![]() 宮部みゆきがおそらく後世まで傑作として賞賛されるであろう犯罪小説を発表した。 「模倣犯」。 エンターテインメントとしても屈指の作品。 次々と緊張した場面展開の連続で読み出すとやめられない、よく言うジェットコースター小説である。 犯罪者はこれまで描かれたあらゆる悪のキャラクターをはるかに凌駕する。現代社会に存在する邪悪の凝縮として登場する。その犯罪行為は読むものが怖気立つ描写で詳述されのであるが、善意の人々に対し 「あらゆる不義、悪、むさぼり、悪意に満ち、ねたみ、殺意、不和、欺き、邪念にあふれ、陰口を言い、人をそしり、神を憎み、人を侮り、高慢であり、大言を吐き、悪事をたくらみ、親に逆らい、無知、不誠実、無情、無慈悲です」 この作品が単なるエンターテインメントではないところは人間の直面する、変えることも回避することも出来ない絶対的な状況を犯罪者、被害者、その家族、と第三者(マスコミ、ルポライター、一般大衆)の行動・心理を抉り出すことにより、語っていることにあろう。 カッコ書きはこの犯罪者にピタリあてはまる表現であるが、実は聖書から勝手に引用したもので、絶対者から見た人間一般の姿である。神から見ればあらゆる人間は邪悪な存在なのだ。 「なぜ人を殺していけないのか」との問いが大議論になる今日的社会状況がある。 「汝、殺すなかれ」の戒律から解放された時にラスコーリニコフ的魂の救済方法がもはやありえないとすれば………。この稀有の殺人鬼、その犯行の土壌、犯行が成立する環境などいずれも現実的存在感の重みをひしひしと感じさせるからこそ、これは恐るべき小説である。 雑感をいくつか。 とにかくまれに見る大長編ミステリー。だが冗長さは感じないのです。犯行そのもの、その波紋、そのまた周囲に起こる波紋を丹念に書くがいずれも庶民感覚、すなわち身近にある現実を描いて、絵空事と思えないところで緊張します。 組織の「長」は組織を維持、成長、変化させるために当然、環境変化を読んだシナリオを考えます。そのシナリオ空間にはステークホルダーだけではなく、マスコミ、お役所、マーケットなどなど、思い通りに動いていただきたいと痛感するところがあるでしょう。万事がシナリオどおりに動くはずはないけれど、そのためにいろいろ努力します。 そのプロセスで喜び、落胆、喜怒哀楽の感情が発露されます。シナリオが完成すれば大喜びですね。この犯罪者の心理がわかる。 「模倣犯」の名称、これは作者の間違いではないかと思い続けました。最後になるほどねと感心しました。 オジサンの書評集「よっちゃんの書斎」>「ミステリーの部屋」をごらんください。 |
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宮部みゆき
Counter: 0, today: 0, yesterday: 0 宮部みゆき † 名前:宮部(みやべ)みゆき 【blogmap|ウィキペディア|はてなキーワード|bk1|Google】 生年月日:1960年12月23日(金) 出身地:東京都江東区 受賞歴:オール讀物推理小説新人賞(1987年)、日本推理サスペンス... ...続きを見る |
PukiWiki/TrackBack 0... 2005/03/02 16:39 |
宮部みゆき
Counter: 0, today: 0, yesterday: 0 宮部みゆき † 名前:宮部(みやべ)みゆき 【blogmap|ウィキペディア|はてなキーワード|bk1|Google】 生年月日:1960年12月23日(金) 出身地:東京都江東区 受賞歴:オール讀物推理小説新人賞(1987年)、日本推理サスペンス... ...続きを見る |
PukiWiki/TrackBack 0... 2005/03/22 14:34 |
2003/11/27宮部みゆき『誰か』期待を裏切られたこの凡作
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る |
日記風雑読書きなぐり@WebryBlog 2005/05/13 14:02 |
宮部みゆき 『日暮らし』 「癒し」を求める読者に応える作品ではあるが………
毎日、毎日を平穏に平凡につつがなく生きていくこと、それ以上のことは望まない人たちがそのご近所にたくさんいる。周囲と調和することで最も安らぎを得られるタイプ。町方役人・平四郎とその女房、平四郎の甥で佐賀町の藍玉問屋河合屋の五男坊・弓之助13歳、世話好きな煮売屋・お徳、植木職人・佐吉夫婦、本所元町に住む岡っ引き・政五郎、その子分で13歳のおでこなどなど。そこではこれらやさしさにあふれた人たちが助け合いながらおまんまを食っている。市井の片隅にこじんまりとした、あったかい人情に包まれた日常がそこに... ...続きを見る |
日記風雑読書きなぐり@WebryBlog 2005/05/24 00:15 |
2001年9月16日 宮部みゆき『R・P・G』どんでん返しが鮮やかに決まったパズル型ミステリー
宮部みゆきの「模倣犯」、あのボリュームを堪能したあとだけに、物足りないのではと先入観をもって「R・P・G」を手に取りました。なんと上等の鯛茶漬け!ひさしぶりの騙しのテクニックに、クリスティーを始めて読んだときの、それは「アクロイド殺し」、つづいて「オリエント急行殺人事件」でしたが、あの欺かれる爽快感にいっしゅん恍惚となりました。 ...続きを見る |
日記風雑読書きなぐり 2005/06/02 11:24 |
大がかりな「劇場型犯罪」が進行中なのかもしれない
フィクションの世界で「劇場型犯罪」を描いた代表作といえば宮部みゆき『模倣犯』 だろう。昨年のベストセラーになった雫井脩介『犯人に告ぐ』では「劇場型捜査」という捜査側が逆手にとった独創的シロモノを披露して見せた。いずれも大衆心理がマスコミによってヒステリックに反応する社会現象を巧みに取り込んだストーリー展開で実に傑作のミステリーであった。 ...続きを見る |
日記風雑読書きなぐり 2005/06/03 15:14 |
「模倣犯」宮部みゆき
とにかく長かったです。第一声はやはりこれではないでしょうか。その長さにふさわしいだけの「価値」を読者が感じることができるかどうか、ここがこの作品の評価になってしまうのではないかと思うぐらい、長さのインパクトが強かったです。★★★★☆長いと思ったのは主に第2部。ド ...続きを見る |
日だまりで読書 2005/07/12 18:00 |
(書評)模倣犯
著者:宮部みゆき 公園のゴミ箱から発見された人間の腕。それが全ての始まりだった。 ...続きを見る |
たこの感想文 2005/08/07 20:02 |
文庫本で発売されました 宮部みゆき『模倣犯』 その読みどころ
昨日、今年の流行語大賞は「小泉劇場」とされたようです。この一年間の世相を反映し、話題となった言葉に贈られる賞であるが、受賞者となった武部幹事長が女性刺客に囲まれ「小泉オペラまで盛り上げたい」と満面の笑みを浮かべた表彰式のテレビ映像を見ていると、皮肉なことだがこの言葉に潜んでいるマスコミというものの恐るべき魔力があらためて浮き彫りにされたとの感を強くしたのです。 そしてこのタイミングで宮部みゆきの『模倣犯』が文庫化され、より読者層をひろげたことはたいへん意義のあることだと思います。 ... ...続きを見る |
日記風雑読書きなぐり 2005/12/03 10:44 |
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