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help リーダーに追加 RSS 2001年5月6日 宮部みゆき『火車』再読

<<   作成日時 : 2005/02/10 01:04   >>

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今なお親交の深い新聞記者のS氏から宮部みゆきの「火車」をどう思うかと問われた。

平成4年に発表されたこの作品は当時、日本経済の爛熟期終末において「家計」がこうむった影響の重要な一面を経済の構造から説明してその悲劇を活写した傑作との印象をもったものだ。家計における消費活動が経済成長の最大のファクターであった。消費はまぎれもなく美徳であった。再読した今でも、その評価は変わらない。

当時はなんとなくこのヒロインを、そうした経済社会の犠牲者との捉え方しか出来なかったのであるが、再読してその印象はいささか間違いであったことに気がついた。宮部みゆきはこの作品で新しいタイプの女性の犯罪者像を創っていたに相違ない。

推理小説の真犯人が女性の場合、大体においてその動機は、現状を維持するために、過去において犯した些細な過ち(つまり殺人を犯すにはバランスの取れない)を隠蔽したいがための殺人が定石です。男の暴力に対する正当防衛的過失致死がその後の犯行の原因となる場合もありますね。で、作者としてはこの「過去の過ち」に主眼を置くことになる。安上がりの作品の場合は男性上位の社会構造を前提にそれを「女の業」とか「女の性」とかで締めくくるケースも多い。読者もこの論理に得心し、さもありなんとして悲劇の主人公に見立てる訳です。もっとも最近では女の変質者も登場しますが、これは別格。

「火車」のヒロインはこのタイプではないな。これは女性の「自立」がなせる「積極的犯罪」、同情の余地がない完全犯罪です………と気がついた。桐野夏生 「OUT」の主人公には目を見張ったが、「火車」のヒロインはその前に登場していたんですね。

別の観点で新たな発見。個人の属性情報の漏洩問題が企業の重大責任として厳しく指弾される状況が生まれ、リスク管理の基本的テーマになっていますが、この作品はこの問題も鋭く指摘していた、いまさらですが、感心しました。

オジサンの書評集「よっちゃんの書斎」>「ミステリーの部屋」をごらんください。

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宮部みゆき
Counter: 0, today: 0, yesterday: 0 宮部みゆき &dagger; 名前:宮部(みやべ)みゆき 【blogmap|ウィキペディア|はてなキーワード|bk1|Google】 生年月日:1960年12月23日(金) 出身地:東京都江東区 受賞歴:オール讀物推理小説新人賞(1987年)、日本推理サスペンス... ...続きを見る
PukiWiki/TrackBack 0...
2005/03/02 16:12
2003/11/27宮部みゆき『誰か』期待を裏切られたこの凡作
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る
日記風雑読書きなぐり@WebryBlog
2005/05/13 14:02
宮部みゆき 『日暮らし』 「癒し」を求める読者に応える作品ではあるが………
毎日、毎日を平穏に平凡につつがなく生きていくこと、それ以上のことは望まない人たちがそのご近所にたくさんいる。周囲と調和することで最も安らぎを得られるタイプ。町方役人・平四郎とその女房、平四郎の甥で佐賀町の藍玉問屋河合屋の五男坊・弓之助13歳、世話好きな煮売屋・お徳、植木職人・佐吉夫婦、本所元町に住む岡っ引き・政五郎、その子分で13歳のおでこなどなど。そこではこれらやさしさにあふれた人たちが助け合いながらおまんまを食っている。市井の片隅にこじんまりとした、あったかい人情に包まれた日常がそこに... ...続きを見る
日記風雑読書きなぐり@WebryBlog
2005/05/24 00:14
「火車」
宮部みゆきの「火車」を読みました。 休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて ...続きを見る
はぐれ雲
2005/12/15 22:26

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