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help リーダーに追加 RSS 2001年11月25日玄侑宗久「中陰の花」共感できる芥川賞

<<   作成日時 : 2005/03/06 23:11   >>

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身内や知り合いの葬儀の席で一番に耳をそばだて、しずかに故人を偲ぶときは、お坊さんの読経にあるのではなく、親しいご友人の心のこもった弔辞にあります。次に興味を持って聞くのは読経のあとで会葬者へ語るお坊さんのお説教です。このところ記憶に残るような、感銘を受けるお話を聞く機会がありませんでした、というよりは最近では俗人より徳を積んでこられたお坊さんが少なくなったのではないかな。小説を書く坊さんと言えば今東光、瀬戸内寂聴らを思い浮かべるが、色・恋・欲の世界を赤裸々に書いてベストセラーになった人たちであって、その限りでは解脱とは煩悩に身を焼く経験が必須なのだと身をもって説いていらっしゃる。

今回の芥川賞受賞作の「中陰の花」は現職の臨済宗僧侶の作品ですが爽やかなお説教であり、好感をもって読めた小説でした。この人、高僧にはなれないかもしれないが市井の名僧にはなれるかもしれない。一度本物の説教を聞いてみたいものである。ワープロで下書きをされているようだ。
ミステリアスなテーマであります。「たたり」「霊障」「お祓い」「霊視」「予言」「背後霊」「金縛り」「憑依」「霊能者」「死後の世界」「離魂現象」等々死者にまつわる超常現象はいつの時代でもどの世界でも日常生活にある好奇のテーマのようだ。
高僧であれば快刀乱麻で解答を出すところですが、主人公は僧侶なのだが僧侶にしては正直者で「あの世」を否定しているくらいだからこれらの不可思議現象を半信半疑で眺めている。
主人公は作者自身のようなのだが、インターネットで「霊能者」を検索したり、だいたい過去帳をパソコンでデータ管理しているなんて実に親しみのもてる人物である。禅に限らず、宗教は呪術とは違うのである、宗教に「霊法」を期待してもらっては迷惑とのたまわる。禅はきわめて現実的な生活哲学である。これはなかなか説得性がありますね。

作者の玄侑宋久さん、京極夏彦の「鉄鼠の檻」にいたく刺激を受けたと云っておられる。祈祷師京極堂こと中禅寺秋彦の哲学と類似点がある。
しかし、数々の不思議をおこした霊能者が死んで、どうもまだ「浮かばれないでこの世とあの世の境にとどっまているらしい」と、更に彼の奥さんは流産した子供の霊がさまよっているけはいがすると、そこでこの魂を成仏させる感動的な奇跡をおこすお話です。

私は超常現象など手品だと思っている不心得ものだから奇跡自体に驚きはしませんが、「成仏」とはなにか、これを深く考えさせてくれました。それはこの前の芥川賞「聖水」の印象があまりに強かったのですね。「聖水」は死にゆくものの「成仏」ですが、「中陰の花」は生きているものの「カタルシスとしての成仏」を説いている………のだと思います。

「やはり世間で言うような『霊障』………、成仏できない霊のいたずらなのだろうか。わかりませんよ成仏の仕方なんて、だいたい亡くなった人が成仏してくれてるかどうかさえ私にはわかっていませんもん。私らが目指しているものも多分故人の成仏じゃなくて、残った家族の心の成仏じゃないのかなあ」そのとおりだと、私は覚醒しました。

オジサンの書評集「よっちゃんの書斎」>「ミステリーの部屋」をごらんください。

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内 容 ニックネーム/日時
アメリカのおじが、プレジデント「金持ち家族貧乏家族」に面白い記事があるといって送ってくれたものの中に玄侑宗久さんの名前があり、どういう人かなと検索してここを見つけました。
ご近所の「京極夏彦」さんの名前もあって(お付き合いはありませんが)、興味深く読みました。
まったく興味の無い分野でしたが、読んでみようかなと思いました。
やのすけ
2006/06/27 08:54

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