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zoom RSS 2002年2月9日 鮎川哲也『黒いトランク』戦後本格推理小説の代表作、復刊

<<   作成日時 : 2005/03/11 23:05   >>

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「これぞ本格推理」「本格の金字塔!純度100%のトリック」「読み継がれるべき不朽の名作!」とかねて本格ファンより復刊が期待されていた作品が出版された。
1956年、鮎川哲也の実質的デビュー作である。キャッチフレーズが語るとおり「戦後の本格推理小説の代表作」とされています。


謎を論理によって解明する小説が推理小説でさらに「本格」推理小説と絞り込むとすれば
謎が現実的であること、頭脳的な探偵役が登場すること、解決に必要な手がかりがすべてオープンにされていることが加わることになるのかな。
読んでみてたしかにその綿密な論理構成を楽しむことができる、戦後の日本本格推理小説の代表作といわれる価値がありました。

この「名作」が、松本清張の『点と線』よりわずかではあるが先行して発表された作品で、しかも同様に実際の時刻表を駆使する、福岡・東京間のアリバイトリックであるのにもかかわらず、その当時、清張作品が爆発的に読者層を掴んだことに比較し、この作品がさほど大衆の関心を集めなかったのはなぜであろうか。ミステリーファンの要請が強かったにもかかわらず長い間復刊されなかったのはなぜなのだろうか。

事件の背景となった時代が異なるという点があるかもしれないとも思うのです。『黒いトランク』の事件は1949年とされています。まだ 敗戦を受けとめることができない全体主義思想の残滓が強い影響力をもっている、そんな時代背景のようです。また麻薬の密貿易が広範囲で行われていたようです。しかし仮に私が1956年にこの小説を読んだときにこうした時代背景をリアルに感じたか疑問です。1956年は「もはや戦後ではな」くむしろ高度成長への胎動が始まっているときです。むしろ『点と線』を読んで事件の背景である官民癒着の腐敗構造に現実感を覚えたものでした。

今この作品を読んで謎解き、パズル解きの原点にある価値を改めて感じます。本格ものの面白さです。この論理の完璧性は『点と線』を超えたところにあります。いっぽう、本格ものが現実の迫真性を描くことの難しさも感じるのです。

昨年秋に江戸川乱歩が横溝正史宛に送った書簡が発見され、そこにはこんな一文があった。
「探偵小説の興味の大半は犯人の意外性にかかっている。併し種がわかってしまってから再読して………いっそう感心させられるやうな作でなくては傑作とはいえない」

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