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help リーダーに追加 RSS 岡嶋二人 『99%の誘拐』 傑作!!ゲームとしての誘拐

<<   作成日時 : 2005/12/01 00:07   >>

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誘拐を題材にして事件の周辺にある人間ドラマを描く作品は別として、身代金略取を企てる人質誘拐犯行のプロセスそのもののを主軸にしているミステリーもいくつか読んでいる。読んだその時にはおもしろいと感じた作品もないではないが、ほとんどが肝心な仕掛けの部分すら思い出せないものだ。

ところが40年以上も前に読んだ故・高木彬光氏の『誘拐』だけは別格だ。執筆当時世間を騒がせた雅樹ちゃん誘拐事件をモデルにこの事件を分析し完全犯罪を実行しようとする冷酷な頭脳の犯人像からスタートし、身代金受け渡しの意想外の「完璧性」からラストに明らかにされるまさかの「誘拐の構図」と「法の盲点にあった完全犯罪の綻び」などいまだに鮮明であることはそれだけ傑作だったからだ。そして今となれば高木彬光は幼児営利誘拐という卑劣な犯罪行為を断罪する姿勢を堅持しながら、よくここまで魅力的な犯行の手口で読者をひきつけるエンターテインメントを仕上げたものだとその手腕にあらためて感服します。

現実に幼児誘拐が頻発し、悲惨な結果を引き起こすことは多く、犯人に対する憎しみや怒りは当事者だけだなく、社会全体の共通した感情であるから、うかつな姿勢でこのテーマにとりかかれないからだろう、それ以来犯行のプロセスにスポットライトをあてた誘拐もので背景にうなるような重厚感をもった傑作には出会うことはなかったのだ。
そして読んだものの多くは社会性や人間性を描くことをやめた、楽しく軽快に一気読みできるゲームとしての誘拐劇でした。だから記憶に残っていないのだな。

さて『99%の誘拐』はそのジャンルの傑作だと思います。ここで創られた誘拐大作戦の大仕掛けな舞台装置はまちがいなく記憶に残りますね。単独犯行で、完璧なアリバイを作り、殺人を犯さず、十億円を略取する誘拐ゲームです。導入から読者にとって魅力ある謎が次々に提示されます。主人公は反倫理、反社会性といった暗い影のある「犯罪者」ではなく、難しいゲーム課題をいくつもクリアしていく「ヒーロー」ですから成功するかどうかと読者は期待と不安でどきどきしながらグイグイと引き込まれます。途中も無駄な描写はない。叙述的トリックはないようなものだから余計な詮索はしなくても良い。適度な緊張を楽しみながら、ラストまでそのスピードに乗せられてしまう。結末は予想通りめでたしめでたしの安心感でホッと息がつけました。軽口の誘拐もので東野圭吾『ゲームの名は誘拐』がありましたがコンゲーム小説としての快感ならこの作品のほうがうわてでしょうね。

西澤保彦の解説に親子の愛情が切なく描かれているかのような賛辞が述べられていますが、それは場違いというもの。ここは誘拐ゲームを単純に楽しめばよろしい。

マフィアやCIAならともかく先端のハイテク機器を中心に金と物と労力と知恵をこれだけの規模でぶちこんだ誘拐ドラマは前代未聞です。
1988年の作品なのだが、私の場合、その時に読んだとすれば、ふんだんに登場するハイテク機器は空想科学小説の世界であって、馬鹿馬鹿さが先に立ち嫌気がさしたことでしょう。ところが今ではパソコンなどもそこそこ使えるものだから、おまけで付いている音声入力や自動翻訳機能などもいたずらしている。スキャナーでは画像を文字に変換できることだって知っている。私が使いこなせない不思議な機能をもった携帯電話でも家族は便利に使っているようだし、コンピューター制御の警備システムだって身近にある。
だから、もしかしたら主人公ならばこんなこともできるのだろうなって思いこませるだけの状況が熟してきたところで、読んだタイミングがよかったんじゃあないだろうか。

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【読んだ本】99%の誘拐/岡嶋二人
誘拐を題材に扱った小説は数多ありますが、 これは、ゲームとしての誘拐を書いた作品として傑作と呼べます。 読了前に先食いして書いちゃってますが(笑)、 東野圭吾「ゲームの名は誘拐」と同系統と言っても良く、 どちらが面白いとも言い切れないくらい、どっちも面白い! いや、どっちかっつーと、こっちの方が面白かったかも! ちなみに、第10回吉川英治文学新人賞受賞作です。 ...続きを見る
こばけんdays
2005/12/12 18:49
99%の誘拐<岡嶋二人>−本を読んだ(今年78冊目)−
講談社 ; ISBN: 4062747871 ; (2004/06) ...続きを見る
デコ親父は減量中(映画と本と格闘技とダイ...
2005/12/29 00:43
99%の誘拐 /岡嶋二人
講談社の「この文庫がすごい」の2005年のミステリー部門の一位になった作品らしいです。内容は、ミステリーというよりサスペンスでした。主人公は子供の頃誘拐にあい、そのために父親は事業を手放さざるえなくなり、失意の内に死んでしまいます。その復讐の為に、今度は逆に誘拐をやり返すという話です。基本的に主人公である犯人の視点で、現在進行形で誘拐と身代金奪取という犯罪が進められていきます。主人公は新型の通信機器やコンピュータなどのハイテク機器を駆使してリモートで犯行を行い、同時に身代金の運び屋に自身を... ...続きを見る
Thanatos
2006/05/16 00:41
《99%の誘拐》と、残り1%の…???
『99%の誘拐』岡嶋二人 ♪♪ 徳山諄一 + 井上泉(現:井上夢人)共作作品。 『この文庫がすごい!2005年版 第1位 ミステリー&amp;エンターテインメント部門』 だし、 第10回吉川英治文学新人賞受賞作品 ですっ! 昭和43年9月9日 5才の幼稚園児が誘拐された。 イコマ電子.. ...続きを見る
M's BOOKcaSe
2006/08/01 20:41
示 〜「99%の誘拐」〜
「99%の誘拐」(著:岡嶋二人)を読んだ。 ...続きを見る
サナダ虫 〜解体中〜
2006/08/06 00:42

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
週末に読み終わったので、TBさせていただきました。
おっしゃるとおり、ムリに「感動」することもなく、普通に楽しく読めました。
こばけん
2005/12/12 18:56

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