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help リーダーに追加 RSS 池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。

<<   作成日時 : 2007/02/14 13:46   >>

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「小説好きの諸君!たまには直球の企業小説、読んでみてくれ」
とキャッチコピーにつられた。小説好きは企業小説を読まないものとこのコピーライターは考えているのだろう。なるほど気がつかなかったけれど小説好きだがあまり企業小説は読まない僕のような人は大勢いるんだな。
企業小説と言えば私のイメージは大銀行の内幕暴露ものなんです。いかにもノンフィクション風で実在の人物を臭わせるものだから、その人物を推量しながらこれも実際の出来事に思い巡らせ、いいかげんなことを描いているナァと不愉快になってしまうことが多い。人間を描くのではないため小説としての面白さが半減してしまいます。

ところがこの作品は企業小説かもしれませんが間違いなく楽しめる小説でした。主人公を「妻と三人の子供達、そして従業員とその家族を守るために」大企業と孤軍奮闘する零細運送業のオヤジにしたところにフィクションとしての迫力、ハラハラドキドキですね、まさに一気読みでストーリーが展開します。

ある財閥系の大手自動車メーカー製のトレーラー。オヤジさんの運送会社が走行中にタイヤが脱輪して通りがかりの母子を殺傷する。メーカーの検査結果は部品の構造欠陥ではなくユーザーの整備不良だった。警察の家宅調査。タイヤ殺人事件でマスコミは大騒ぎ、被害者からは殺人者よばわり。大口のお客からは仕事を断られ、銀行からは融資を引き上げられる。小学生の子供はイジメにあう。一方でこの車のディーラー、メーカー、財閥系ですから系列のメインバンク、商社、鉄鋼まで広がる思惑の錯綜。そして当然、警察、マスコミ、役所と登場します。オヤジさんは資金繰り破綻の崖っぷちに立たされ、さあどうなるのかと読み出したらやめられません。
真相を隠蔽する強大な敵に真っ向から戦いを挑む徒手空拳の男の苦闘に感動させられます。建造物、食品、家庭用器具など最近またまた製造物の欠陥から命に関わる事故、事件が続発しています。庶民はくやしい思いが圧倒的ですから、頑張れよ!って声援しながら読む楽しさがあります。

フィクションでしか描けない迫真性とよく使われますが、この小説、事実とは違うのでしょうが周辺の真実はついていますね。

ところでこの作品は直木賞にノミネートされていて、受賞しなかったというところも皮肉でした。タイミングが悪かったんだななど勝手にその間の事情に憶測をめぐらせるオマケつきでした。
刊行されたのが2006年9月25日。
次の新聞報道が2006年12月13日。
三菱自動車製大型車のタイヤ脱落による横浜市の母子3人死傷事故をめぐり、リコールを回避するため国にうその報告をしたとして道路運送車両法違反(虚偽報告)の罪に問われた三菱ふそうトラック・バスの被告ら3人と、法人としての同社に対する判決公判が13日、横浜簡裁で開かれた。小島裕史裁判官は3人と1法人にそれぞれ無罪(いずれも求刑罰金20万円)を言い渡した。
無罪なんですね。
そして直木賞の該当作品なしの発表は2007年1月16日
直木賞受賞作は多くの読者をつかみますから、これは選考委員としてはいくらなんでも受賞させないのが常識でしょうね。

パロマ、リンナイのガス中毒死にも同質の難しい問題があるのでしょう。いまどの企業でもコンプライアンス、コンプライアンス。現場はこれでいろいろな悩みがあります。その当事者、おおかたのサラリーマンは実感しているはずですから、そういう方はこの小説の本当の面白さをよく理解できるはずです。おすすめします。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
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2007/09/20 21:05
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たこの感想文
2007/10/24 16:38
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