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help リーダーに追加 RSS ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』

<<   作成日時 : 2007/12/19 23:56   >>

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ビーケーワン恒例の真夏の怪談競演も今年で5回と続いた。第4回の応募は271篇だったが、第5回は663篇が寄せられたそうで、私も毎回参加させていただいているが、だんだんとお祭り騒ぎが大きくなっていくのにビックリしている。『てのひら怪談2』はこの第5回応募作品から選りすぐりの100篇を掲載したものだ。選考委員の評価によれば作品の質が年々充実さをましているそうだが、この傑作選をみるとたしかにそのとおりだと思う。
小説をその長さで分類し、長編、中編、短編とあってそれより短いのを掌編と呼ぶ。これは最近知ったことだ。だから「てのひら」なのだろう。ショートショートといわれて星新一や小松左京がブームを作ったSFのジャンルがあったがいまや掌編怪談の時代になったともいえる。

アカウンタビリティー(説明責任)という概念が普段に使われるようになった。消費生活の現場で私たちは商品やサービスの内容をこと細かに知らねばならないと強迫観念が生まれるようになってしまった。また事件が起こればマスコミは微にいり細にいりなぜ犯人はそんな異常を起こしたのか説明しようとする。私たちも知りたがる。合理的な因果関係が解明されないと消化不良の不快感が残る。つまらんことだがそれが習い性になってしまった。とにかく科学的、合理的、論理的にいかないと通用しないのが現代社会なのだ。

「よくわからないなぁ」ではホッとして胸をなでおろすことができない心理、それが現代人の持つひとつの、しかしかなり広範に浸透した焦燥感であろう。だが、現実に生きている場では説明不可能なことをしょっちゅう体験している。「よくわからないなぁ」と思う事物や現象に遭遇もする。最も不可解なのは人間の心の奥の奥にある闇、それは本人すら「よくわからないなぁ」なのだ。

そして掌編怪談はこの現代人の大衆心理を逆手にとって作者が楽しみ、読者を楽しませてくれる。800字の字数制限ルールは実に精妙な働きでもって掌編怪談を成功させている。
昔、少年時代に作文の時間で教わった忘れられない原理に「起・承・転・結」があった。「サザエさん」「クリちゃん」など4コマ漫画の例が挙げられた。これでもって因果関係を説明することができる。ところが800字という字数制限ルールは起承転結原理にはなかなかなじみにくいものだ。私などはこの古い原理に呪縛されていていつもウンウンうなってしまうのだが、現代怪異譚とはどうやらそんなしがらみから飛躍してしまったらしい。 「起」だけで完了しているものもあれば「結」だけが描写されている。読んでいるものは「えっ、それでどうなるの?」とあるいは「なんでそうなるの?」と心穏やかにはいられない。だが説明責任は放棄されている。おそらく著者が感じている暮しの中の不安、理不尽なストレスが創作意欲に結びついているのだろうが、そこから生まれる宙ぶらりんな漂流感覚によって読者は奇怪な世界に引きずり込まれるのだろう。

アメリカ流の合理主義が幅をきかせるものだから妙なナショナリズムが装いをあらたに流行する今日だが、それよりも非合理にロマンを求める現代のあやしの世界を楽しむほうに格別なものを感じる。

手前勝手かもしれないが。私の作品「お花さん」も江崎来人のペンネームで掲載されている。新進の文芸作家、川上未映子さんから「充分に気色悪い」と言われていることが紹介されているブログをみて充分に気色を良くしている。

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「てのひら怪談2」感想用ブログ
2008/01/07 04:49

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