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help リーダーに追加 RSS 帚木蓬生 『インターセックス』 帚木蓬生のヒューマニズム復活

<<   作成日時 : 2008/10/07 12:15   >>

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インターセックス。古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形成や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義にみると100人に一人の出生頻度で出現する。
久しぶりに帚木蓬生が医学界の現状に真摯に向き合った好著を手にした。
なにしろ冒頭の医療事故の裁判があまりにも迫真的だった。
これは新聞記事だが、去る8月20日、帝王切開で出産する患者が死亡した福島県立大野病院事件で福島地裁は業務上過失致死罪に問われた医師に無罪を言い渡した。検察側の「癒着胎盤を認識した時点で、胎盤を子宮からはがすのをやめ、子宮摘出手術に移るべきだった」とする主張は退けられ、胎盤をはがした医師の判断を標準的な措置と認めたものだ。この判決を予期していたように専門的なことはわからないが読む限りまったく同じ論点をこの小説で展開しているのだ。弁護側証人・岸川卓也が颯爽と登場する。死力を尽くした医師を逮捕拘留することが許されるならわが国の産婦人科医はもはや異常分娩は取り扱わなくなると言及し、今、現実に激減しつつある産婦人科の問題を指摘している。

インターセックスの子を出産した親がどんな気持ちで子育てをするのか、どういう苦痛が本人の成長過程に待ち構えているのか、軽々しく想像することは不謹慎であろう。本著にはいくつもの苦悩の挿話がここを伝えてくれる。インターセックスに対する医療措置はどうやら生まれてまもなくの幼児を親と医師が男にするか女にするかを選択しできるだけ早い時期に外形的な手術を施すようである。岸川が院長を務めるサンビーチ病院も同様の方針で対処している。しかし、主人公の泌尿婦人科医・秋野翔子の考えは異なる。翔子はその選択は本人が一人前に成長してから本人みずからが選択すべきだと主張し、当初は岸川と対立する。やがてインターセックスの人たちと交流を重ね、人は男女である前に人間であり、インターセックスのままに生きるという選択に人間としての尊厳を見出す。翔子をサンビーチ病院に招聘した岸川もやがて彼女の医療哲学に啓発されていく。
著者の初期の作品『閉鎖病棟』。世間から隔離された生活を営んでいる精神病院を舞台に、彼ら「異常者」の日常生活を通して、「健常者」より確かな人間の善性を謳いあげた。その強烈なヒューマニズム精神に深い共感を覚えたものだ。この作品はそこに通じるところで、帚木蓬生復活! である。うれしくなった。

やがて翔子は彼女の理解を示す岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づく………
と、途中からサスペンスタッチのオマケがついている。この『インターセックス』だけを読むと「不可解な変死」の謎解きはとってつけたかのような印象をもたれるかもしれない。
ところが、岸川とは生殖と移植では「神の手を持つ名医」。贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院の院長だ。と読者が理解すればこれはあの『エンブリオ』の続編ではないか。
『エンブリオ』、生殖・移植の先進医療を描いていた。グロテスクなエピソードの氾濫に度肝を抜かれた。そしてラストの後味が悪かった。常にヒューマニストであった帚木蓬生のイメージが変わったとの印象だけが残ってしまった。ところがこの作品はあの天才的なマッドサイエンティストの後日談として構成されていたのでホッと胸をなでおろしたところである。『エンブリオ』を読んで消化不良になった読者は『インターセックス』を読まれたほうがいい。
その意味でも 帚木蓬生復活!だった。


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インターセックス
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2008/10/08 19:06
インターセックス〜肉体は快楽の奴隷か〜
 半陰陽の話だけに半引用で…と言ったのが洒落にならないくらい、いろいろ迷いがあるので、引用しながら内容を紹介します。盛り込みすぎなんだもん。 性意識が暖昧なままだと、何故いけないのでしようか この本はサスペンスでありながらジェンダーを扱う教科書です。  主人公の美貌の医師 秋野翔子が、産婦人科を核に総合的な生殖医療を展開するサンビーチ病院にヘッドハンティングされることから物語は始まります。そして彼女を招聘した院長 岸川とのやり取りの随所にジェンダーと生殖を巡る医療の現状への問題提起が行われま... ...続きを見る
マチダタイムス
2009/02/06 22:50

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