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zoom RSS 池上永一 『テンペスト』 琉球王朝の大奥、豪華絢爛の女の争い!

<<   作成日時 : 2008/10/16 17:24   >>

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読む前に、私はこの作品が琉球王朝の末期を舞台にした本格的歴史小説だと思っていました。
琉球の歴史を知らないので百科事典で小当たりしたところ、琉球王朝は1372年から1879年までの約500年間続いた独立国家でした。中国、日本、朝鮮、東南アジアの文化を摂取し、琉球古来の文化に立って創造された独自の性格を持つ文化圏です。王宮首里城のある首里には多くの建造物が建てられ,琉球文化の華を開かせました。王朝の経済的基盤は王の経営する国家貿易です。琉球船は自国産の品物に加えて豊富な中国産品を積み、日本、朝鮮、東南アジアへ、それぞれの国々で特産品を入手し,その品々を使って中国との朝貢貿易を展開するという典型的な中継貿易を推進していました。近世に入ると薩摩、幕府に従属してその基本制度を受け入れつつ中国との伝統的な関係も維持して、そのうえで国家的存在としての王国の存続を図るという条件下に琉球はおかれ、ストーリーもこのあたりの政治的駆け引きが背景になっています。

あらすじは装丁帯から引用しますと
上・若夏の巻。珊瑚礁王国の美少女、真鶴は性を偽り宦官になる。王府入りした真鶴はフル回転で活躍するが待っていたのは、流刑であった。
下・花風の巻。流刑にされた宦官・寧温は九死に一生を得て、側室として返り咲いた。折しも内外に国難を抱える五百年王国にペリー来航。近代化の嵐が吹きすさぶ。近代化の波は容赦なく涙と愛をもたらした。さらば王宮、大団円。

そして北上次郎と筒井康隆の宣伝文句がついています。
北上次郎「読み始めるともう絶対やめられないのである。圧倒的にリアルで迫力満点なのだ。いやはや、すごい」と手ばなしの絶賛。
筒井康隆「主人公の人生を共にする悦楽。ゆったりした物語の構築力はすでに文豪の風格だ」とやはりこれも一種のほめ言葉なんでしょうね。文豪ってシェイクスピアとかデュマのことをイメージしているのかしら。

浅田次郎の傑作『蒼穹の昴』の琉球版かと思わせる滑り出し。十歳の美少女・真鶴が宦官だと性を偽り美少年・寧温として「科試」を最優秀の成績で合格しあれよあれよと出世階段を駆け上るのですから。

ところで北上次郎、筒井康隆のご両所のこれほどまでの賛辞はいかがなものでしょうか。
また私の本格歴史小説だとの思い込みは誤解でした。
美しい乙女が色と欲との渦巻く宮廷内の妬み嫉みでいじめられるのですが、大奥マル秘物語と似て非なるところは陰湿さがなくむしろイジメの華やかなコンペティションといった具合の劇画タッチ。なぜか女であることがばれると斬首にされるという前提ですのでだれにも気づかれないように女になったり男になったりのその早変わりのドタバタが見所になっています。露見したらかわいそう!とハラハラさせる仕掛けでいっぱいですが、私はこの繰り返される非リアリズムに退屈してしまいました。笑ってはいけませんよ。あら!私ってどっちで生きればいいの?なんて深刻そうに悩んだりもします。妖術、淫術が出てくるファンタジーでもあります。勿論恋あり涙あり歌ありです。男からも女からもモテモテ。まつげの長い大きなオメメの美男美女が恋とロマンに大活躍といった少女マンガをミーハー的に読んでいるようで、ちょっと気恥ずかしい思いで読み終えました。
いくら末期的だったにせよ当時の宮廷政治がこんな能天気な輩だけで動いていたとは思えません………などとそんな読み方をしないで読む作品なのでしょう。

門外漢ですが宝塚の「ベルサイユのばら」はこんなあでやかさなのかもしれません。

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