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zoom RSS ジェフリー・ディーヴァー 『スキン・コレクター』  ベストセラーを創り出す人々の驕りか?

<<   作成日時 : 2016/03/10 15:01   >>

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画像ところで「毒の針で刺青を刻むスキン・コレクター。すぐには殺さない。」だそうだが、「タトゥー」についての薀蓄に相当部分紙数を割いている。珍奇なピアス同様、ファッションの一種になりあがっている。一般的にはタトゥーパーラーと呼ばれる店舗でタトゥーアーティストがタトゥーマシン(タトゥーガンというヤクザな言葉は使ってはいけないのだそうだ。)で創りあげるものらしい。いかに芸術のように説明されても人面のサソリではグロテスクなだけだな。刺青はちょっと陰のある彫師によって刻まれる健さんの唐獅子牡丹か純子姐さんの緋牡丹に見せ場を添えたところでゾクリとする妖美さがある。

スピード感があって、小難しい理屈をこねず、娯楽に徹している………凶悪で頭脳型の犯罪小説はないかなと漁っていると「今年のミステリーベストテン」という類の出版社イベントで上位にランクされるのがディーヴァー作品なのです。ついつい手が出るディーヴァーさん、です。その中でも抜きんでての超ロングヒット作はリンカーン・ライム・シリーズだ。

リンカーン・ライム・シリーズの第一作『ボーン・コレクター』が発売されディーヴァーが日本で大ブレイクしてから17年も経つんですね。

わたしの読んだJ・ディーヴァー。
1999年1月   ボーン.コレクター  ※
2000年3月   静寂の叫び
2000年9月   悪魔の涙
200年10月   コフィン.ダンサー   ※
2001年11月   エンプティー・チェア ※
2003年6月   石の猿         ※
2004年11月   魔術師         ※
2006年6月   クリスマス・プレゼント
2007年12月   ウォッチメイカー   ※
2008年11月   スリーピング・ドール
2009年12月   ソウル・コレクター  ※
2011年11月   007白紙委任状
2012年12月  バーニング・ワイヤー ※
2016年3月   スキン・コレクター ※
(※がライムシリーズ)

ファンではないのにこれだけの数を読んでいると、惰性で読んでいるところもあり、意表を突くはずの作品も実はお定まりのストーリー展開であることが底割れしていて、新鮮味に欠けるなぁと毎度毎度の読後感なのです。ただし「ついつい手の出る柿のタネ」的な親しみやすさがあります。

アウトラインはカバー折り返しの宣伝文句を引用しよう。
ニューヨークの地下に広がる迷宮。犠牲者の肌を毒針で刻む殺人者の狙いは何か?
科学捜査官リンカーン・ライムは、犯罪の天才ウォッチメイカーが獄中で死亡したとの報を受けた。その直後、新たな難事件がもちこまれる―腹部に謎めいた文字を彫られた女性の死体が発見された。犯人はインクの代わりに毒物で刺青を刻み、被害者を毒殺したのだ。現場で発見できた証拠物件はごくわずかだったが、犯人が残した紙片はニューヨークで起きたある連続殺人に関する書籍の切れ端だった―ライムが解決した“ボーン・コレクター”事件である。犯人はボーン・コレクターの手口とライムの捜査術に学び、殺人をくりかえしているのか?次の犯行はどこで起きるのか?被害者に彫られた文字は何を意味する?スキン・コレクターの真の狙いはいったい何か?すべてを解くカギは証拠の中に!“ドンデン返しの魔術師”ディーヴァーが放つ会心作。緻密な伏線と手がかりから、二重三重に擬装された衝撃の完全犯罪が浮かび上がる!
シリーズものの欠点でしょうね、この作品で初めてリンカーン・ライムを知る読者は気の毒です。たぶん面白さが半減です。リンカーン・ライムがどういう人物かアメリア・サックスとはどういう関係かは説明されていないので行間にある緊張関係が伝わらないじゃぁないかな。

ある作品をベストセラーに持ち上げるには作家の能力だけではなく出版企画や宣伝企画、あるいは作品自体のアウトラインを企画するグループまで存在するといわれている。なんとなく最近のこのシーズにはそういう人達のおごりが見えるようです。
犯人はライムの捜査能力を知りながらゲーム感覚でそれに挑む。ライムは凶悪犯の知力に痺れながら追い詰めるプロセスを楽しむ。相互に裏の裏の裏を読んでのマンハントチェイスに彼ら自身興奮しています。「おぬし、なかなかやるな」と敵同士、称賛しあうのである。
まぁ明智小五郎と怪人二十面相みたいなものだ。(ちょっと古いかな)
同工異曲であることをながい間のことだから読者は心得ている。『ボーン・コレクター』を始めて読んだときは手に汗握る攻防とどんでん返しの連続技にすっかり魅了された。しかし、もう慣れきってしまったから「おぬし、またか」としらけ顔。
『ボーン・コレクター』の細部を思い返せないと本当のところがわからない。『ウォッチメイカー』を読んでいないとこの作品を理解できない。私は両方とも読んでいるのだが、ストーリーのほとんどを忘れてしまっているのだ。だから未消化の部分が多い。それでもまぁいいや!
重要な脇役にアメリアが養育しているパム・ウィロビーという女学生がいます。この女学生とアメリアはいつどこで出会ったのだろうか?よくわからない。ましてや彼女の親がテロリストであったことなどまったく記憶にないのだ。
「そんなことはこのシーズを読んできた人にはわかっているはずだ。」と叱られているような気持ちだな。

それでも売れるのは私のような惰性型読者がいるのでしょうね。
あるいはリンカーンやアメリアの熱狂的ファンが大勢おられるのでしょうか。

蛇足
パム・ウィロビーという女学生の両親はアメリカに数十あるというミリシアに所属していたんですね。ミリシアというものはアメリカの白人が組織する極右武装集団で反銃規制、反連邦、白人優位、反共を主張するといわれています。
スキン・コレクターの両親はこの中のAFFCに所属する野心家なのです。
その行動原理は
自治体や家族の権利が連邦のそれより優先される社会を実現する。リベラルなメディアの執拗なプロパガンダをやめさせる。他国への援助や介入を全面的に停止する。人種隔離を進め、全移民をアメリカから追い払う。非キリスト教団体の活動を制限する。移民労働者やイスラム教徒をたたきのめす。
そして新しい世代にアピールする指導者の台頭を希求している。高揚感、情熱、独創性。ソーシャルメディアの利用。あなたなら若年層を惹きつけられる。あなたは偶像として崇拝される。やがてアメリカ全土を支配下にすることができる。危機意識を煽ろう。テロ組織、イスラム過激派、マイノリティ、社会主義者。これらの脅威から守るカリスマ指導者が必要なのだ。

この小説のバックにはこんな狂気がある。でもこの狂気は小説だけではないだろう。今進行中の大統領選挙がみせるトランプ氏への熱狂こそアメリカ人の本質的狂気なのだ。



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