アクセスカウンタ

zoom RSS テーマ「ミステリー」のブログ記事

みんなの「ミステリー」ブログ

タイトル 日 時
船戸与一 『満州国演義9 残夢の骸』 氏の訃報と同時に読了した畢生の大傑作
船戸与一 『満州国演義9 残夢の骸』 氏の訃報と同時に読了した畢生の大傑作 満州国の誕生から崩壊まで。五族協和の夢が骸としてさらされるまで。侵略を美化する八紘一宇の驕りと欺瞞が完膚なきまでに叩きのめされるまで。「満州国演義」はここに完結した。3月には日本ミステリー大賞を受賞している。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/04/23 12:51
篠田節子 『長女たち』 どの家族にも起こりうるありふれた地獄
篠田節子 『長女たち』 どの家族にも起こりうるありふれた地獄 身近にある恐怖である。だから、どうしても自分や自分の家族を重ね合わせてしまう。70歳を超えた私と妻だけの家庭。まだ結婚していない40歳を超えた長女とほどほどの家庭をやりくりしている次女はそれぞれ独立している。お互いの母親はまだまだ生きられそうにして老人ホーム暮らしだ。老人ホームだと言って家族の手はかかるものであり、100歳近い私の母親を介護しているのはよくよく考えみれば妻であり、90歳を超えた妻の母親の世話をしているのも長女である妻である。この小説でもそうだが、親は老いの世話に男である息子を... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2015/03/02 21:39
黒川博行 『破門』 チンピラ二人組がボケ、ツッコミの凸凹漫才 気のきいたコンゲームかと思っていたら 
黒川博行 『破門』 チンピラ二人組がボケ、ツッコミの凸凹漫才 気のきいたコンゲームかと思っていたら  黒川博行の『悪果』は傑作だった。その黒川が直木賞ということで手に取った次第。映画製作への出資金を持ち逃げされたヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮。失踪した詐欺師を追い、邪魔なゴロツキふたりを病院送りにした桑原だったが、なんと相手は本家筋の構成員だった。組同士の込み合いに発展した修羅場で、ついに桑原も進退窮まり、生き残りをかけた大勝負に出るが………!? ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2014/12/15 12:44
辻原登 『寂しい丘で狩りをする』 本編よりもエピソードが面白い 辻原の作品だからそれもよい
辻原登 『寂しい丘で狩りをする』 本編よりもエピソードが面白い 辻原の作品だからそれもよい            『花はさくら木』『円朝芝居噺 夫婦幽霊』『許されざる者』『闇の奥』『韃靼の馬』『冬の旅』と読んできた。時代小説、文芸ミステリー、歴史小説、冒険小説、現代文芸。分類はあまり意味がないが、辻原登、常に新しいジャンルに挑戦して、その作品は読者の期待を裏切らない。 今回はクライムノベルだ。殺人の前科がある性格破綻者とその男に執拗に狙われた女性の追いつ追われつ。よくあるお話である。小説の世界だけではない、猟奇的犯罪は巷にあふれている。だから読者は不感症になっていて、「息もつけ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2014/11/15 15:30
坂東眞砂子 『瓜子姫の艶文』  瓜子姫とは?おかげ参りとは?伝承・伝習に翻弄される女の生
坂東眞砂子 『瓜子姫の艶文』  瓜子姫とは?おかげ参りとは?伝承・伝習に翻弄される女の生 坂東眞砂子氏は今年1月、出身地である高知県の病院で死去された。55歳、早すぎる他界が惜しまれます。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2014/07/07 19:08
TBSドラマ『MOZU 百舌の叫ぶ夜』の緊張感、スピーディな展開がたまらなくいい
TBSドラマ『MOZU 百舌の叫ぶ夜』の緊張感、スピーディな展開がたまらなくいい NHKドラマ『ロング・グッドバイ』も翻訳ものハードボイルドドラマとしては見逃せない連続ドラマだが、この逢坂剛原作の『MOZU 百舌の叫ぶ夜』もハードボイルド調の雰囲気が魅力だ。かなり前に読んだ原作だから、間違っているかもしれないが、ドラマよりは高度で複雑な伏線が仕掛けられていたような気がする。ドラマも登場人物のそれぞれの背景をフラッシュバックさせるため、ちょっとストーリーを追うのがきつい感じがするが、その分目が離せないという引力が強い。 ドラマにひきつけられたついでに原作は読まれるべきです... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2014/04/29 11:03
宮部みゆき 『ペテロの葬列』  生き延びるために嘘をつき、しかし、嘘を背負って生きてはいけないペテロ
宮部みゆき 『ペテロの葬列』  生き延びるために嘘をつき、しかし、嘘を背負って生きてはいけないペテロ この前に読んだ宮部みゆきの作品は聖書から引用した「ソロモン」で、実を言えば『ソロモンの偽証』の意味が不明だった。今回はやはり聖書ゆかりの「ペテロ」であるが「ペテロの葬列」の意味するところは作品中で示唆されている。 ペテロはキリスト十二使徒の筆頭であり、イエスの死後、パレスチナ・小アジア・ローマで伝道し、ネロ帝の迫害により殉教したという。ローマ教会初代の教皇とされる人物であるが、一度キリストを裏切っている。イエスが捕えられたときイエスの予言通りに彼は拷問に耐えかねてイエスとのかかわりを否認し... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2014/04/10 13:40
京極夏彦『書楼弔堂 破曉』  明治という時代の憑き物を落とす傑作の短編集 まさしく著者の新ジャンルだ
京極夏彦『書楼弔堂 破曉』  明治という時代の憑き物を落とす傑作の短編集 まさしく著者の新ジャンルだ わたしは京極夏彦の作品をよく読んでいた。読んだ作品を整理するとこんな具合である。 @ 妖怪変化がもたらすかのような奇怪な事件を「京極堂」こと中禅寺秋彦が「この世には不思議な事など何もないのだよ」と見えを切って合理的に解決する推理小説シリーズ。 『姑獲鳥の夏』(1994年9月)、『魍魎の匣』(1995年1月)、『鉄鼠の檻』(1996年1月)、『絡新婦の理』(1996年11月)、『塗仏の宴 宴の支度』(1998年3月)、『塗仏の宴 宴の始末』(1998年9月)、『陰摩羅鬼の瑕』(2003年8月)... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2014/02/24 22:39
船戸与一 『満州国演義8 南冥の雫』 70年前になにがあったか?深く重くこの歴史を受けとめたい。
船戸与一 『満州国演義8 南冥の雫』 70年前になにがあったか?深く重くこの歴史を受けとめたい。 挿絵の地図を見れば一目瞭然、戦火は太平洋全域と東南アジアへと広がっていた。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

2014/01/27 23:48
桜木紫乃 『無垢の領域』 緻密な構成に舌を巻く、二度読みして初めて浮かび上がるもうひとつの物語
桜木紫乃 『無垢の領域』 緻密な構成に舌を巻く、二度読みして初めて浮かび上がるもうひとつの物語 さる10月末、日本美術界で権威のあるといわれる日展の「書」で有力会派に入選数を事前に割り振るスキャンダルが報じられた。毎年1万人以上が応募する国内最大の公募美術展なのだが、芸術界も内実は欲得がらみでこんなものなのかもしれない。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2013/12/04 00:06
中村文則 『去年の冬、きみと別れ』 巧妙に紡ぎあげた叙述トリックと純文学性は両立しえたか?
中村文則 『去年の冬、きみと別れ』 巧妙に紡ぎあげた叙述トリックと純文学性は両立しえたか? 中村文則の作品だから、いつものように、他人や世間や世界と折り合いつけられない屈折した人間たちを描いている。『土の中の子供』 『掏摸(スリ)』を読んでいるが、わたしはこういう病的傾向の作品は好みではない。 とはいえ、著者は 「芥川賞、大江健三郎賞受賞、LAタイムズ文学賞最終候補、ウォールストリート・ジャーナル2012年ベスト10小説………」 と世界的に注目されている。日本と世界を震撼させた著者が紡ぐ、戦慄のミステリー!野次馬としてはこの宣伝文句の、コテコテの純文学者が本格ミステリーを書い... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2013/11/23 18:32
西木正明 『水色の娼婦』 第二次大戦下のドイツに仕掛けられた甘い罠のゆくえ
西木正明 『水色の娼婦』 第二次大戦下のドイツに仕掛けられた甘い罠のゆくえ プロローグは、1990年。著者その人ではないかと思われる「わたし」が壁崩壊後のベルリンを訪ね、市民生活を取材するところから始る。「わたし」の出会った老女エヴァ・ミツ・ロドリゲスが語るのは第二次大戦下のドイツを舞台にした諜報活動の追憶であった。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2013/11/03 00:15
堂場瞬一 『Sの継承』 彼は愛国者だったのか、それとも単なる狂人なのか、
堂場瞬一 『Sの継承』 彼は愛国者だったのか、それとも単なる狂人なのか、 堂場瞬一は警察小説の分野で大活躍中ですが、本著はこれまでの作風とは異なる新境地だそうです。わたしは初めて手にする作者です。50年の時を超え繋がる二つの事件 1963年、五輪前夜に人知れず計画されたクーデター。2013年、警察を翻弄する連続毒ガス事件 時空を超えた二つの事件を繋ぐミッシングリンク「S」と紹介されれば、これは大型のクライムノベルに違いないと、わたしの大好きな分野だ、しかも久しぶりだなと、大いに期待して手に取った。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2013/10/05 22:47
百田尚樹 『永遠の0(ゼロ)』 「小説」であったにしろ、これは語り継がれるべき戦争体験の「記録」だ
百田尚樹 『永遠の0(ゼロ)』 「小説」であったにしろ、これは語り継がれるべき戦争体験の「記録」だ 百田尚樹の作品はこのところ、刊行のたびに話題になるので目につくのだが、今まで読んだことはなかった。『永遠の0』は2006年の作家デビュー作で、いまなお高い売り上げを続けている。零戦戦闘員の物語で若い層にも読まれているようだから、ご多分にもれずゲーム感覚で空中戦を演じるカッコイイヒーローのお話と思い込んでいたら、ある人からそうではなく、とても感動的な作品だと推挙された。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2013/09/22 21:40
長野慶太 『神隠し』 空港で子どもが消えた。大掛かりなトリックでうならされるが、その動機は?
長野慶太 『神隠し』 空港で子どもが消えた。大掛かりなトリックでうならされるが、その動機は? このところ出版社がスポンサーとなった懸賞小説の応募が目立つ。本作も第4回日経小説大賞受賞作。著者の長野慶太氏は在米16年で、対米進出企業をクライアントとするコンサルタントだそうで、いかにも日経らしい受賞者だ。日米の法制度、習慣、風俗等多面的に両者の相違を紹介し、へぇ〜そんなことがと、読者の興味をひきつける情報がたっぷり織り込まれている。しかも空港を密室に仕立てた人間消失の大掛かりな犯行であり、そのトリックも絶妙である。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2013/09/01 17:26
藤圭子の人生と『ラブレス』
藤圭子の人生と『ラブレス』 歌手の藤圭子さんが22日午前、東京都新宿区のマンションの高層階から転落し、死亡した。62歳だった。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2013/08/23 08:49
小野不由美 『残穢』 山本周五郎賞を受賞できるホラーとはどんなものかと興味があった。
小野不由美 『残穢』 山本周五郎賞を受賞できるホラーとはどんなものかと興味があった。 小野不由美の作品は二作読んでいる。 『屍鬼』は現代の寒村を舞台にした作品であったが、日本の民俗信仰にはなかった吸血鬼伝説、ゾンビ伝説を大胆に取り込み、当時は新機軸の「ホラー」として充分に楽しめた。 その後、2001年に読んだ、 『黒祠の島』だが、「推理」小説と銘打った作品のわりには、横溝正史風の古臭いセンスで、現実感の欠落が目立った「ホラー」に近い作品となっていた。  さて『残穢』は「戦慄の500枚書き下ろし長編ホラー」と飾り帯で紹介されているから「ホラー」とされているのだが、わたし... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2013/07/23 18:48
辻原登 『冬の旅』 現代という煉獄を彷徨するすべての人に捧げる鎮魂歌
辻原登 『冬の旅』 現代という煉獄を彷徨するすべての人に捧げる鎮魂歌 時代と運命に翻弄されるだけで、私たちは、明日を選択する途が閉ざされているのだろうか。現代という煉獄をさまよう群像を描いて、救いはあるのかと大胆な問題を提起する。 2008年6月8日、5年の刑期を終えた緒方(1970年生)は滋賀刑務所を出所する。5年前、事件をおこした自分を確認するかのように、大阪のあちこちをせわしなく、徘徊する緒方。「秋葉原無差別殺傷事件」の当日である。その三日後、緒方は昔の馴染みの串かつ屋「波源」で新聞記者を前に、突然 「阿弥陀仏よや、をいをい。何こに御ます」 と大声を出... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2013/07/15 10:27
真保裕一  『ローカル線で行こう!』  元気の出る企業再生小説のはずであったが………
真保裕一  『ローカル線で行こう!』   元気の出る企業再生小説のはずであったが……… 真保裕一の代表作といえば『ホワイトアウト』『奪取』だと思っていたから、エクスクラメーションマーク「!」がついている 『デパートへ行こう!』 はタイトルからして、これまでのイメージからすれば新境地と言えた。そしてデパートが子供の遊び場であったことを覚えている世代はこの作品の絶妙な味わいをかみしめることができた。 『ローカル線で行こう!』も「!」がついているからユーモア路線だろうと『デパートへ行こう!』から3年半、著者真骨頂の傑作長編誕生との宣伝がわたしをその気にさせた。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2013/06/14 22:12
今野敏 『疑心 隠蔽捜査3』 あくの強い主人公、やや角が取れたら、ただの人
今野敏 『疑心 隠蔽捜査3』 あくの強い主人公、やや角が取れたら、ただの人 約束の時間よりもだいぶ早くに、待ちあわせ場所に着いたようなときに、手持ち無沙汰を読書で紛らわそうとしても、たまたま持参していない時がある。そんな時には近場にある本屋で買い求めることになるのだが、そういう場合の本は軽く読み飛ばせるものに限る。 隠蔽捜査シリーズは第一巻、第二巻を読んでいるので、その雰囲気はおおよそ見当がつくから、まさにこういうときには好都合の読み物である。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2013/05/26 22:38
葉室麟 『蛍草』 軽快にすすむ娘の仇討、剣あり笑いと涙の恋愛人情噺でもあるのだが………
葉室麟 『蛍草』 軽快にすすむ娘の仇討、剣あり笑いと涙の恋愛人情噺でもあるのだが……… 日経の書評欄で絶賛されていたのが記憶にあって、『蜩の記』以来、久しぶりの葉室麟だった。葉室麟は武士社会のしがらみから抜け切れない人物たちの織りなす文字通り命がけの恋あるいは忍ぶ恋など、峻烈の生き様に宿るぬくもりがじんわりとわたしら年代のものの胸に染み入る………大人の純愛を描いては数少ない名手でもある。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2013/05/16 23:55
桐野夏生 『ハピネス』 私が全く知らなかった「ママ友」の世界を皮肉たっぷりに切り込んだ快作
桐野夏生 『ハピネス』 私が全く知らなかった「ママ友」の世界を皮肉たっぷりに切り込んだ快作 女性の自立………。 『柔らかな頬』 『OUT』 『ダーク』 『グロテスク』 『魂萌え』  『東京島』とこれまでもぎょっとさせるストーリーで女性の自己実現を描いてきた著者であるが今度はどんなタイプの女性かと興味津々で手に取りました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 5

2013/04/16 15:14
奥田英朗 『沈黙の町で』 沈黙だけがすべてではないぞ。甘ったれるな子どもたち!
奥田英朗 『沈黙の町で』 沈黙だけがすべてではないぞ。甘ったれるな子どもたち! イジメが過激化すればたとえ少年とはいえ、もうこれは犯罪として処置することになってしまう。警察の出番!と、かつては隠蔽体質と指弾された学校だって、今はそうなりつつある。だから、暴行・傷害罪、傷害致死罪、脅迫・恐喝・強要罪、自殺教唆罪などなどで日常茶飯事のごとく新聞の社会面をにぎわしている。宮部みゆきの『ソロモンの偽証』では生徒たちの勇気ある行動を称えたが、現実には考えられないユートピアを描いたものだった。川上未映子の『ヘヴン』は社会性を捨象して、被害者の宗教的覚醒というか、内面的救済にスポットライ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 1

2013/04/05 16:17
高村薫 『冷血 下』 思索の人・合田刑事に真実は見えたのか?人は虚無の世界にどう生きるべきか?
高村薫 『冷血 下』 思索の人・合田刑事に真実は見えたのか?人は虚無の世界にどう生きるべきか? 井上克己と戸田吉生は歯科医の一家四人を惨殺し、キャッシュカードと貴金属880万円相当を強奪、ATMにて現金12百万円を窃取した。取調べに対して、事実関係は認めるものの、殺意と動機については 「殺すつもりはなかった」 「金が欲しかったのではない」 と一貫しており、肝心なところは皆目不明のままに取調べは推移する。 ぐっすりと眠りついて気がつかない子どもまでやる必要がない過剰な殺人が 「なんとなく」「勢いで」「なにも考えずに」 とあいまいのうちに行われたようだ。 ところが、このような... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 2

2013/03/04 00:08
ダシール・ハメット 『マルタの鷹』 ジョン・ヒューストン監督 ハンフリー・ボガード主演の映画をみた。
ダシール・ハメット 『マルタの鷹』 ジョン・ヒューストン監督 ハンフリー・ボガード主演の映画をみた。 つい先日のことです。NHKでジョン・ヒューストンが1941年につくった傑作といわれた白黒映画『マルタの鷹』を観ました。サム・スペードに扮したボガードは原作の雰囲気を出していました。 ミステリーなど読まない家内が 「かっこいいセリフを言うのね」。 「だいたいハードボイルドはこういうきざなセリフを使ってみたくなる男が好むミステリーなんだ。」 と教えてやりました。 小説は2005年に読んでいましたので、懐かしくなって その当時の雑文を再掲します。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 1

2013/02/14 11:35
高村薫 『冷血 上』 あの合田雄一郎はさらに深まる闇の中になにを見るのだろうか?
高村薫 『冷血 上』 あの合田雄一郎はさらに深まる闇の中になにを見るのだろうか? 飾り帯には 「この身もふたもない世界は、なにものかがあるという以上の理解を拒絶して、とにかくある。俺たちはその一部だ。」 となにやら難しそうであって、それはいかにも高村の作品らしく、硬質の存在感を主張するがごときで、端からゾクゾクさせる鋭さで迫ってきた。そしてクリスマス前夜の『一家四人殺し』………数多の痕跡を残しながら、逃走する犯人たち。翻弄される警察組織の中で、合田がふたたび動き出す!『レディ・ジョーカー』(1997)『太陽を曳く馬』(2009)に続く“合田雄一郎”シリーズ 待望の最新... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2013/02/10 19:50
横山秀夫 『64 ロクヨン』 組織の壁に立ち向かう孤独の魂、あの横山秀夫の完全復活だ
横山秀夫 『64 ロクヨン』 組織の壁に立ち向かう孤独の魂、あの横山秀夫の完全復活だ 『半落ち』 『クライマーズ・ハイ』のエッセンスをさらに濃厚に味付けしたフランス料理のフルコースは腹にずしんとこたえます。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2012/12/21 00:05
宮部みゆき 『ソロモンの偽証 第V部 法廷』 この世の不条理に少年・少女たちはどう向き合ったか。
宮部みゆき 『ソロモンの偽証 第V部 法廷』 この世の不条理に少年・少女たちはどう向き合ったか。 中学校の屋上から墜落した男子生徒の遺体が発見され、警察は事故死と断定しました。ところが………とこの物語は始ります。それぞれが700ページを越える全三巻。とにかくミステリーとしては破格の長さで、重量級では圧倒させられる大長編小説でした。 「第T部 事件」ではミステリーの核である謎のフレームワークが示され、謎解きのための条件が示されます。ラストは「そして学校は汚された。ことごとく無力な大人たちにはもう任せておけない!」とヒロインが決意するところでした。 「第U部 決意」はやや謎が深まる程度で... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/10/21 16:50
高村薫 『黄金を抱いて翔べ』 高村文学の原点をここに見た
高村薫 『黄金を抱いて翔べ』 高村文学の原点をここに見た 映画化され、11月には公開されるという。高村薫の作品で映画化されたものがあったろうかと首をひねる。これが氏のデビュー作であるにもかかわらず、わたしは読んでいなかった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 1 / コメント 0

2012/10/05 16:40
宮部みゆき 『ソロモンの偽証 第U部 決意』 中学生たちの無垢な正義感が燃え上がった?
宮部みゆき 『ソロモンの偽証 第U部 決意』 中学生たちの無垢な正義感が燃え上がった? 「第T部 事件」のラストは「そして学校は汚された。ことごとく無力な大人たちにはもう任せておけない!」と決意するところでした。ヒロインの文武両道で学級委員・藤野涼子ちゃんです。 「第U部 決意」は「保身に身をやつす教師を見限り、学校内裁判を開廷する。期限はわずか15日」ということです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/09/27 23:52
宮部みゆき 『ソロモンの偽証 第T部 事件』 久々の現代ミステリーに大いに期待して………
宮部みゆき 『ソロモンの偽証 第T部 事件』 久々の現代ミステリーに大いに期待して……… 宮部みゆきの作品はいくつも読んではいるが、ソフトな人情話の時代小説よりは現代ミステリーが好みで、現代ミステリーでもその時代の断面を的確に切り取って見せた初期の作品『火車』『理由』『模倣犯』が代表作だと思っている。『誰か』にはこれら前作の鋭さがなくなっていた。2007年の『名もなき毒』にはこれまでの作風にはなかった風変わりなものを感じ、次回作を期待させるものがあったのだが、その期待を5年間、今日まで待たされたことになる。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/09/16 17:04
梶よう子 『ふくろう』 「千代田の刃傷事件」を素材に、武士社会の凄惨なイジメをリアルに描く
梶よう子 『ふくろう』 「千代田の刃傷事件」を素材に、武士社会の凄惨なイジメをリアルに描く 「イジメ」「殿中」「刃傷」「敵討」と揃えば「忠臣蔵」しか思い浮かばないものだから、 江戸時代後期の「千代田の刃傷事件」は全く知らず、このテーマだけでも読んだ価値がありました。 連日、報道されるように、学校でのイジメがあとを絶たない。自殺にまで追い込まれる。陰湿さはエスカレートし、肉体への暴力行為だけではない。無視蔑視、罵詈雑言・誹謗中傷・流言飛語、責任転嫁で精神的にダメージを与えるものが増えている。よってたかって弱いものを痛めつけ、それを楽しんでいるのである。 こんな外道を許せない。文... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/09/09 19:08
高野史緒 『カラマーゾフの妹』 予想だにしなかった「父殺し」の真犯人!イワンが挑む驚愕の推理とは?
高野史緒 『カラマーゾフの妹』 予想だにしなかった「父殺し」の真犯人!イワンが挑む驚愕の推理とは? 2007年、亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』を一読してあったものだから、このコピーはなんとも魅力的なものでした。話題騒然の本年度江戸川乱歩賞受賞作!! あの世界文学の金字塔には、真犯人がいる。 世界文学の最高峰として名高い『カラマーゾフの兄弟』には第二部がある。 ドストエフスキーはその予告をしながら、ついに書き上げることなく世を去った。 そしていま、文豪の残した壮大な謎に緻密な推理で挑む、 かつてなく刺激的なミステリーが誕生した。 これを読まずに、今年のミステリーは語れない。本読... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2012/08/30 01:24
辻村深月 『鍵のない夢を見る』 直木賞受賞のキイはタイトルにあるのではなかろうか?
辻村深月 『鍵のない夢を見る』 直木賞受賞のキイはタイトルにあるのではなかろうか? 今まで読んだことのない著者でしたが、多分若い人になじむ作風なのでしょう、すでにいくつもの作品がベストセラーになっています。今回、直木賞を受賞しました。オジイサンとしては年甲斐もなく、お祭り騒ぎに加わる野次馬となって、手に取ってみたのです。著者が千葉大学の卒業生という点にも興味がありました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 1 / コメント 0

2012/08/09 23:17
船戸与一 『満州国演義7 雷の波濤』 戦争と人間の狂気を克明に描いた空前の侵略史、ここに頂点を迎える
船戸与一 『満州国演義7 雷の波濤』 戦争と人間の狂気を克明に描いた空前の侵略史、ここに頂点を迎える 昭和十六年。ナチスドイツによるソビエト連邦奇襲攻撃作戦が実施された。ドイツに呼応して日米開戦に踏み切るか、南進論を中断させて開戦を回避するか………。敷島四兄弟が岐路に立つ皇国に見たものとは昭和15年、ドイツがパリを制圧する。日本軍は北部仏印に武力進駐。大政翼賛会の発足。日独伊三国同盟。 昭和16年、日本軍は華北での治安強化を進める。ドイツのバルバロッサ作戦。日ソ中立条約。ドイツのソ連進攻。帝国国策要綱、関東軍特殊演習。南部仏印進駐。ABCD包囲網に対する戦争準備のための帝国国策遂行要領。尾崎秀... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/08/08 20:58
皆川博子 『双頭のバビロン』 幻想・怪奇文学の巨匠が作り上げたこの豪華絢爛の迷宮をさまよう楽しさ
皆川博子 『双頭のバビロン』 幻想・怪奇文学の巨匠が作り上げたこの豪華絢爛の迷宮をさまよう楽しさ 皆川博子氏、80歳の高齢であられる。 『開かせていただき光栄です』では英国流の本格探偵小説という洒脱な新ジャンルに驚かされたが、今回は 『死の泉』以来十八番の幻想・怪奇を装う壮麗な大浪漫であり、そのエネルギッシュな創作活動にあらためて頭が下がる。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/07/31 00:27
原田マハ 『楽園のカンヴァス』 絵画芸術を愛する著者の情熱が生んだ本格絵画小説の傑作
原田マハ 『楽園のカンヴァス』 絵画芸術を愛する著者の情熱が生んだ本格絵画小説の傑作 2歳の孫娘がマジックボードを持参して、アンパンマンの絵を描いてくれとせがむ。アンパンマンやドラエモンなどをかわいらしく描くことなんてできやしない。せいぜいヘヘノノモヘジかツルニハマルマルムシ。ジイジの絵はへんですねと毎度のことだ。とにかく子供のときから絵画芸術に関しては人並み以下のセンスでしかなかった。だから『楽園のカンヴァス』がアンリ・ルソーの生涯を描いた文芸作品であればおそらく手にしなかっただろう。 原田マハ、2005年に作家としてデビューし、処女作は映画化もされたそうだが、わたしは全... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/06/19 23:41
桜木紫乃 『起終点駅 ターミナル』 どん底で生きる男と女が求め合う究極の安らぎとはなんであるのか?
桜木紫乃 『起終点駅 ターミナル』  どん底で生きる男と女が求め合う究極の安らぎとはなんであるのか? 桜木紫乃の『ラブレス』 『凍原』。私のようなまもなく70歳になろうかという年代にも共鳴できる作品だったので、最新作を読んでみたいと、ネット本屋で注文したところ、これは6つの短編集であった。本は読むものの短編はあまり読まない性質なのでちょっと気落ちした。だから第一話の「かたちないもの」を読んだ限りでは、仮想の恋愛ごっこで無理矢理「粋な別れ」を演出したような味気なさが第一印象だった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 2

2012/06/09 10:48
高樹のぶ子 『マルセル』 距離をおいた親子だった。父とは?を知らない、その娘が辿る父という男の真実。
高樹のぶ子 『マルセル』 距離をおいた親子だった。父とは?を知らない、その娘が辿る父という男の真実。 作家はいわゆる純文学で書けないものを推理小説に書くことがある、とだけいっておこう。これは大岡昇平氏の言である。『事件』で第31回日本推理作家協会賞を受賞した大岡昇平は古くからの推理小説ファンで、自分でもなんどかこのジャンルにチャレンジしてみたものの及第点がとれなかったのだそうだ。この受賞は意外だったらしのだが、それでも「やっと一人前になれた形である」と鼻高々であった。氏、69歳のことである。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/06/02 17:19
梶よう子 『一朝の夢』 朝顔に託した男たちの夢とはなんだったのか?安政の大獄をバックに傑作の時代小説
梶よう子 『一朝の夢』 朝顔に託した男たちの夢とはなんだったのか?安政の大獄をバックに傑作の時代小説 いま仕事をしている国立大学の喫煙小屋に集う仲間の一人から借り受けたのがこれである。たまたま、安政の大獄に話が及び、わたしが推薦した時代小説は諸田玲子『奸婦にあらず』であったのだが、彼は梶よう子『一朝の夢』も井伊直弼の通説をひっくり返す作品だと言う。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/05/20 12:25
桜木紫乃 『凍原』 過酷な半生を生きた女たちのその後の凄絶な生きざまが荒涼とした情感のうちに語られる
桜木紫乃 『凍原』 過酷な半生を生きた女たちのその後の凄絶な生きざまが荒涼とした情感のうちに語られる 飲み仲間に桜木紫乃の『ラブレス』を勧めたところ、わたしのうわてをいく本好きが、桜木紫乃だったらこれがいい、わたしの好みにぴったりで、推理小説風の作品だと言う。 彼の読書には驚くべきものがある。週に2〜3冊は軽くこなす読書量なのだが、並みの速読家と違うのは内容をきっちり押さえこんでいることだ。すべて新刊本で、発売開始日に本屋の店頭に出向いてこれを求める。しかも読んだら蔵書などせずに他人にくれてやるのが彼のスタイルなのだ。わたしの好みもよく知っているから彼の言には間違いがない。 そのときは酩... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/05/05 15:07
夢枕獏 『大江戸釣客伝 上下』 若き日の英一蝶、宝井其角が破天荒に遊ぶ元禄の世界
夢枕獏 『大江戸釣客伝 上下』 若き日の英一蝶、宝井其角が破天荒に遊ぶ元禄の世界 夢枕獏といえばいつごろだったろうか、「魔獣狩りシリーズ」をおおいに楽しんで読んでいた時期があった。当時は菊地秀行の「魔界都市シリーズ」も発刊されるたびに読んだ。もうすこし前には平井和正「ウルフガイシリーズ」が面白かった。これらはSF的伝奇的素材を現代に持ち込んでバケモノ的な超能力者同士のバトルアクションに工夫を凝らした小説群で、山田風太郎の「忍法帳シリーズ」の忍法合戦にあった刺激性と似た魅力があった。夢枕獏のその後の作品は読むことはなかったが、ひとつだけ、まるでジャンルをかえた本格山岳小説『... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2012/04/15 15:55
皆川博子 『開かせていただき光栄です』 完璧な本格探偵小説と上等のユーモア文学が融合した傑作
皆川博子 『開かせていただき光栄です』 完璧な本格探偵小説と上等のユーモア文学が融合した傑作 皆川博子氏の作品は『死の泉』『薔薇密室』『伯林蝋人形館』を読んでいた。いずれもナチズムの狂気をエロチックにグロテスクに描いた耽美・幻想の世界で、あまり後味がいい作品ではなかったとの印象がある。 ところが、びっくりしたことにこのジャンルとはまったく違うのだ。今回の『開かせていただき光栄です』は上等の本格探偵小説である。18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四股を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事(ジョン... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 3

2012/01/29 19:49
吉田修一 『平成猿蟹合戦図』 あのなつかしいお伽噺を現代日本に再現すれば………
吉田修一 『平成猿蟹合戦図』 あのなつかしいお伽噺を現代日本に再現すれば……… お伽噺「猿蟹合戦」といえば私たちの年代なら誰でも知っている懐かしい昔話です。 ところで私たちが子供時分はこのお話からどういうメッセージを受け取っていたのでしょうか。 また、仮に私たちが現代の子どもたちに向かってこのお話をする場合、どういうメッセージをこめればよいのでしょうか。 私は「弱いものたちが力をあわせて強いワルモノをやりこめる美しいお話」として受け止めていたような気がします。猿をやっつける計略も痛快でした。 そして吉田修一もこのメッセージをそのまま現代におきかえて『平成猿蟹合戦図』... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2011/11/13 15:40
桜木紫乃 『ラブレス』 流されるままの哀しい人生 昭和女の一生が最後に見せる真実とは?
桜木紫乃 『ラブレス』 流されるままの哀しい人生 昭和女の一生が最後に見せる真実とは? 時の流れに身をまかせた浮き草の人生、あまりに哀しい昭和女の一生………とお膳立ては古めかしいのだが。「しあわせ」の尺度をひくりがえしてみえてくる生きることの値打ちには、漂流する現代の精神に対する力強いメッセージが込めれれている。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

2011/11/06 22:53
佐々木譲 『警官の条件』 名作『警官の血』を上回る異色の警察小説
佐々木譲 『警官の条件』 名作『警官の血』を上回る異色の警察小説 悪徳警官の汚名のまま追放された最強の捜査官・加賀谷仁が戻ってきた。不条理世界で生きるこのニヒリストに警官の誇りはあったのか ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 5

2011/10/18 23:36
山田風太郎 『魔群の通過』  鬼才風太郎が水戸天狗党の乱を描いた異色の傑作歴史小説
山田風太郎 『魔群の通過』  鬼才風太郎が水戸天狗党の乱を描いた異色の傑作歴史小説 水戸の内戦は、まことに酸鼻なものでございました。内戦とはそれまでまったく隣人友人としてつき合っていた人間たちが敵味方に分かれて、同じ国の中で、いくさと言える時間と規模で相たたかうものであります。そもそも日本において内戦という状態にあるいくさは、元治元年の水戸内戦以外にはないのではござりますまいか。「魔群」のタイトルイメージからは忍者群の話と誤解されそうだが天狗党のこと。山田風太郎の作品群にあって、おそらくポピュラーなものではない。しかも水戸天狗党の乱の詳細を追ったシリアスな歴史小説で著者の作... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/10/03 00:20
辻原登 『韃靼の馬』 朝鮮通信使外交を詳述する歴史ロマンの傑作
辻原登 『韃靼の馬』 朝鮮通信使外交を詳述する歴史ロマンの傑作 李朝朝鮮とわが国の歴史的な外交制度である朝鮮通信使について、私が知ることになったのは2003年に荒山徹の伝奇小説『魔岩伝説』読んだ時だった。現在、わが国と朝鮮との間には様々な緊張関係にあるのだけに、対等な善隣関係を前提にした通商・文化の交流という重要な史実を知らなかったことはショックであった。どうして教科書にはのっていなかったのだろう。私たちが知っておくべき歴史のはずだとつくづく思うのである。………徳川家康の求めに応じて日本と国交を回復し、1609年には己酉(きゆう)約条を結んだ。朝鮮からは... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/09/02 23:11
高野和明 『ジェノサイド』 人類滅亡の危機を救うのは最強国アメリカか?超大型のバイオレンスSF
高野和明 『ジェノサイド』 人類滅亡の危機を救うのは最強国アメリカか?超大型のバイオレンスSF 冤罪の死刑囚を取り上げた『13階段』が記憶に残る作品だったが、まさか高野和明がこれほどの大型エンタテインメントを書けるとは思わなかった。うっとうしいこの夏のひととき地球規模で繰り広げられる恐怖と冒険の物語に度肝を抜かれて絶好の暑気払いをしよう。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 2 / コメント 2

2011/08/03 22:46
高橋克彦 『風の陣 裂心篇』  「裂心篇」は大長編の歴史ドラマの完結篇だが独立した小説として読もう。
高橋克彦 『風の陣 裂心篇』  「裂心篇」は大長編の歴史ドラマの完結篇だが独立した小説として読もう。 もはや戦いを防ぐ手立てはない………。蝦夷の雄・鮮麻呂に決起のときが!陸奥の黄金を求め、牙を剝く朝廷に対し、蝦夷の首長・伊治鮮麻呂が起ち上がる。狙うは陸奥守の首ひとつ!北辺の部族の誇りを懸けた戦いを描くシリーズが、ここに幕を降ろす。 第4巻まで続いた『風の陣』もこの第5巻「裂心篇」でいよいよ完結だ。 全体の構成は大和朝廷が統一国家の中に広大な陸奥の地を編成しようとする征服のプロセスであり、その征服に抗う蝦夷たちの闘争の物語である。振り返れば当初は蝦夷出身の道嶋嶋足が中央政権で立身... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/07/24 16:51
池井戸潤 『下町ロケット』 先端の企業間競争にほろりとする人情ドラマを調和させた直木賞受賞作
元三菱銀行のサラリーマンだった著者の『空飛ぶタイヤ』『鉄の骨』を読んで、その人柄に好感を持っていた私はこの作品が今回の直木賞を受賞したと聞いて素直によかったなぁと思いました。 「企業小説」というジャンルは元銀行員とか元役人とかあるいは経済評論家という人たちが書くことが多いのですが、たいがいはノンフィクション仕立てで内幕暴露の一点に読者の好奇心を集めることを狙いにしています。そこには企業という怪物だけがあって人間のドラマが描かれていません。非情な企業論理が貫徹すると同時にだからこそそこに生き... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2011/07/20 22:46
船戸与一 『満州国演義6 大地の牙』 昭和13〜14年を多面的に描出した迫真の侵略ドラマ
第5巻が出版されて2年余りが経過した。この間に目先を変えた『新・雨月』を上梓したものの、どうなっているかと心配していたが、なるほど、これだけの豊富な素材を緻密に組み立てるにはそれだけの時間が必要だったのだと思わせる、期待を裏切らない第6巻だ。 満州クロニクル、大陸侵略史の断面。昭和13年〜14年を750枚のボリュームで多面的にとらえ、迫真のドラマにしている。 密度の高い2年間なのであり、劇的なエピソードもふんだんに披露されるのだが、何よりも私は史実の大筋についてすら「何も知らなかった... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/07/17 18:11
隆慶一郎 『吉原御免状』 第一級の大衆娯楽小説を満喫する
未読のままにあった一時代前の傑作を読むというのはいつもと違う高揚感があるものだ。物語に没頭しながらもあれやこれやと雑念がわいてくるのが楽しいからです ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2011/07/05 22:57
奥泉光 『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』 抱腹絶倒とはこのこと!なんでこんなに可笑しいの?
「にやにや、にたにた、くすくす、くすり、げらげら、ははは、ふふふ」 ページを繰るごとにこれだから、電車で読んでいるとつい周囲が気になる。これほどいくつものわらい方で笑える小説にはめったに出会わない。とにかく可笑しくてたまらないのだ。 ところでヒトだけが「笑う動物」だとの説があるそうだが、どういう場合に笑うのだろうかとふと考えるとなかなかの難問だとしかいいようがないことに気づかされる。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

2011/06/26 15:55
麻耶雄嵩 『隻眼の少女』 本格ミステリーのセオリーを根底から破壊して見せた「本格」といわれる怪作
ガルシア・マルケス『百年の孤独』に疲れたので、軽く一息入れるとしよう。 このところ日本の本格推理小説にはご無沙汰だったから、日本推理作家協会賞、本格ミステリー大賞といういかにも「本格」らしい二冠をとったという作品なら最近のヒット傾向がわかるかもしれないと思い、手に取ったしだい。もちろん謎解きをゲームとして楽しむために。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 5 / トラックバック 5 / コメント 4

2011/06/16 00:05
高橋克彦 『風の陣4 風雲篇』 「義」によって結ばれた男たちのそれぞれの陸奥
国家とは?国民とは?政府とは?地方自治とは?こんな風に日本列島を眺める人はいなかった時代のことだ。ここに、あえて近代的国家観を持った男たちを投じ、悪戦苦闘させるのがこの小説の面白さである。けれども東北地方をどうまとめるかとなれば、この時期である、重苦しくなるのは私だけではないだろう。宇佐八幡の託宣を持ち帰った和気清麻呂によって、皇位を狙った道鏡の野望は阻止された。道鏡を寵愛した称徳女帝も重病に臥し、この機に乗じて藤原一族が復権をかけて動き始める。 だが新たに即位した光仁天皇は藤原一族を牽制... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2011/04/16 17:37
角田光代 『八日目の蝉』  女は弱し、されど母は強し………ということか。
「八日目の蝉」っていったいなんなのだろう。巻末の解説に池澤夏樹が「この小説を読むに際して、まず育児が快楽であることを確認しておこう」と延々とその悦びの経験談?を語っているのだが、これは蝉とは無関係。死の淵にたってこその真の再生ってことかな。いや、そんな長生きの蝉はいないね。このタイトルに託した著者のメッセージはどう考えても謎である。いっそ、「空蝉」のほうが深遠で想像するに拡がりがあり、いいのじゃぁないだろうか。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2011/04/08 23:44
奥泉光 『シューマンの指』 これぞ奥泉光の新ジャンル「本格音楽小説」だ?
「音楽」とはいったいなんなんだ? 音楽は聴覚を媒介として、時間的に展開され把持される意味を形づくる。音の強弱、高低、色彩(音色のことか?)、リズム的な継起、一定のパターンによる反復や変形などがその意味形成の手段となり、同時にその意味を認める心的な働きがあって、音楽は成立する。その意味で、音楽は語られる言語と多くの共通面をもっている。(平凡社世界大百科事典より抜粋) 読後にはこの難解な解説がいくらか理解できるようになった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 2

2011/04/06 23:37
松井今朝子 『吉原十二月』 吉原遊郭案内の上級篇
これであなたは最高級の花魁になれます。 吉原屈指の妓楼主になれます。 そして超一流のお客になって吉原の奥深さを味わい尽くせるでしょう。 実践しないで本を見るだけの読者にとっては五つ星の業界ガイドブックでございます。容貌(きりょう)も気性もまるきり違うふたりの妓(おんな)。妓楼を二分する激しい嫉妬とつば競り合いの先に女の幸せはあるのか?飾り帯にはこう記されております。 たしかに一月から十二月まで各月ごとの吉原歳時記をバックに、花魁ふたり(小夜衣と胡蝶)の競艶が見ものではありますが、「つ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 3 / コメント 0

2011/02/03 23:31
阿部和重 『ピストルズ』 絢爛たる知の迷宮を彷徨う楽しさ。
阿部和重の作品は芥川賞を受賞した『グランドフィナーレ』を2005年3月に読んだだけでした。自分の娘の裸体を写真にとって楽しむ変態野郎の人知れぬ内面、メルヘンの世界でしか生きられないひよわな生真面目さだけをすくいあげたような作品で、幼児性愛者による性犯罪が世の中を震撼させていた当時だったからでしょう、常識人でしかない私は奇抜さだけを狙ったような著作姿勢に不愉快な気持ちになって、著者に対しては嫌気が先行してしました。 『ピストルズ』は宣伝文句に魅かれ手に取ったのですが、まさかあの阿部和重であっ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2011/01/23 00:04
乾緑郎 『忍び外伝』  本格伝奇小説の復活
飾り帯にこうあった。伊賀の上忍・百地丹波によって一流の忍者に育てられた文吾は、何ゆえ忍びを目指すのか思い悩む。やがて北畠(織田)信雄率いる大軍が伊賀に迫る………「伊賀、百地」に「思い悩む忍者」とあっては、戦後、忍者ブームのはしりとなった村山知義『忍びの者』の再来かと思った。また「信雄率いる大軍が伊賀に迫る」のであれば、和田竜の第二作目、『忍びの城』の焼き直しではないかと勘ぐったりもした。 「朝日時代小説大賞受賞作」という、忍者を描いた「本格時代小説」かと思って手に取ったしだい。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/12/26 16:53
松本清張 『天保図録 下』 現代を髣髴とさせる権力群像に瞠目!
『天保図録 上』で登場し、鳥居耀蔵の手下どもを散々やり込めた颯爽の旗本・飯田主水正とその仲間たちの活躍はなりをひそめる。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/12/18 22:22
高橋克彦 『風の陣 3 天命篇』 怪僧・道鏡打倒の秘策は?
恵美押勝討伐の功で破格の昇進を遂げ、勲2等まで授けられた牡鹿嶋足は、しかし実際には閑職に追いやられた。嶋足を陸奥守にして蝦夷の平穏を確保しようとする物部天鈴らの企ては実現しそうもない。 朝廷内で高位の官位をえた嶋足は奥州の安定よりも官人としてむしろ中央政権に国家安泰の政治を期待しているのだが、権力抗争に明け暮れる朝廷には天皇皇族にも有力豪族内にも彼が忠節を尽くすべき中心人物が不在である。 この悩み多きインテリの嶋足に対して、物部天鈴は奥州支配へのパワーを分散させるためにさらに中央の混... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2010/11/28 18:04
高橋克彦 『風の陣2 大望篇』 なんと 主人公・牡鹿嶋足は史実の人・道嶋嶋足だった 
牡鹿嶋足は「橘奈良麻呂の変」鎮圧に大いに功績があったものの、あえて表舞台に立とうとしなかったため、彼を陸奥守に出世させたいともくろむ物部天鈴からみれば大いに不満があったが、それでもこの第2巻の冒頭で、天皇の身辺警備を務める授刀衛(じゅとうえい)として「従7位下」の位階を授かっている。さらに本巻の最終では「従4位下」に昇格する。だが私には獣扱いに蔑視されていたという蝦夷(えみし)が朝廷内で官人として昇進できるのだろうかと割り切れない気持ちがあった。 『火怨』の主人公であったアテルイが実在の人... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/11/21 18:49
高橋克彦 『風の陣 1 立志篇』 蝦夷が仕掛ける朝廷内の権力抗争
高橋克彦の歴史・時代小説では2000年に読んだ『火怨』のインパクトは忘れられない。平安遷都(794年)のころ東北制覇を狙う朝廷10万の大軍を迎え撃つ1万5千の蝦夷。その族長、若きアテルイらの活躍と戦闘シーンの連続に興奮し、権力に飲み込まれるものたちの誇りと敵将・征夷大将軍坂上田村麻呂との交誼には忘れがたいものがあった。 『風の陣』は1995年に単行本として第1巻が刊行され、最近、「裂心篇」で完結した。『火怨』とおなじ蝦夷の物語で、かなり前から読みたいと期待していた作品である。これを機会に手... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/11/20 10:17
創作怪談 『よんひくさんの木』
男は黒紳士の提案を受け入れた。 よんひくさんの木が母上に幸せを約束しています。いつまでも自由にこの施設をお使いください。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/10/30 17:06
森村誠一 『悪道』 悪人・柳沢吉保と善人の忍者・流英次郎のマンハントチェイス
「著者10年ぶりの単行本書き下ろし!」の時代小説 という魅力的なコピーが目に留まった。 77歳とご高齢でありながらその執筆活動の逞しさには感嘆させられる。最近は松尾芭蕉の奥の細道研究に熱心に取り組まれていると聞いている。昭和61年の『忠臣蔵』以降、著者の作品は読んでいなかったことを思い出し、懐かしい思いもあって手に取ったのが本著『悪道』である。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/09/20 11:59
志水辰夫 『飢えて狼』 今読んでも夢中になれる 本格ハードボイルドサスペンス
私の記録では志水辰夫の作品『あした蜉蝣の旅』『滅びし者へ』『情事』『暗夜』『みのたけの春』を所有している。時代小説である『みのたけの春』は未読であり、ポルノ小説まがいの『情事』だけはひどく扇情的であったとの記憶があるが、これらの作品の印象はほとんどない。振り返れば代表作といわれるものではないようだし、読んだ当時が志水辰夫の感覚を受け入れにくいような時期だったのかもしれない。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/09/16 22:16
佐々木譲 『エトロフ発緊急電』 この完成された戦時スパイ小説の傑作を再読する
佐々木譲といえばいまでこそ警察小説の第一人者として知られるが、その初期には第二次大戦を背景にした軍事・冒険・諜報を描いた名作があった。(『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』 当時第二次大戦三部作と言われた)手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』を読んだ直後だからだろう、これぞ日本を代表する第1級のスパイ小説だと『エトロフ発緊急電』を再読したくなった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/09/03 22:44
手嶋龍一 『ウルトラ・ダラー』 一流の政治・外交評論家の手になる国際謀略小説の出来具合は?
どちらかというとノンフィクション系の人間ドラマをよく読んでいるH君が貸してくれた。 著者はかつてNHKでワシントン支局長などを勤め、現在は政治・外交評論家としテレビなどではお目にかかることがある。このような情報通の人が著した「小説」は現実を大きく飛躍できないために小説としてはあまり面白くないという思い込みがある。 「衝撃のドキュメンタリー・ノベル!」との鳴り物入りだがかえって端から興ざめする。 またタイトルからはドル防衛を巡る国際通貨マフィアたちの秘話かと思ったのだがそれは間違いだった... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/08/28 23:17
道尾秀介 『カラスの親指』 読者を騙すテクニックが凄いが複雑すぎて………
道尾秀介で期待した『光媒の花』はいささか拍子抜けであった。この二冊目『カラスの親指』がなんとなくコンゲームの傑作『スティング』のように見えたものだから「最高の逆転劇」を楽しもうと手にした。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/08/22 22:35
船戸与一『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』 奥羽越列藩同盟の戦ぶりを詳述
船戸与一の大長編、『満州国演義』は昨年1月の第5巻までで、その続巻は未完である。実は第1巻『風の払暁』のプロローグは戊辰戦役中、会津・鶴ヶ城の落城シーンであった。城下の武家屋敷に侵入した長州武士がその家の夫人に乱暴狼藉。彼女が汗の臭い男の下になりながら、、生き抜いて復讐を誓う凄絶な場面がある。だから『満州国演義』には会津人の長州人への恨みがどこかで登場するもの思っていたのだが、今のところその気配はない。ところが一足飛びにこの新作・戊辰戦役朧夜話となったようだ。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 4

2010/08/07 23:55
道尾秀介 『光媒の花』 耽美的に描く少年たちの殺人事件
道尾秀介の作品はこれが初めてだ。最近立て続けに作品を発表していずれもが注目を浴びているミステリー作家であるから、直木賞候補作となった機会に本著を読んでみる気持ちになった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2010/07/30 00:06
貫井徳郎 『乱反射』 「風が吹くと桶屋が儲かる」をミステリー化したのではないか。
こんなことを思い浮かべました。なぜ桶屋は儲かったのでしょうか。大風が吹いて砂埃が舞い上がり目に入る。眼病を患う人が増え、目の見えなくなる人が増える。目の見えない人は三味線を趣味にする。三味線に使う猫の皮の需要が増して、猫がいなくなる。猫がいないと鼠が増える。鼠は桶を齧るので桶がよく売れるようになったからです。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/06/13 20:06
創作怪談 『百人腐女(ひゃくにんくさめ)』
ハックションと厠から転がりでた息子、目の前真っ暗にてなにも見えぬとうろたえる。 奇怪なことと父、大念寺に仮寓の名高き兼好僧正にこれを問う。 僧正、無明なり。 人には見えぬ暗黒瘴気の鼻より出でて身にまとわりつくもの。 百年の昔にかの西班牙(スペイン)より渡来せし疫病神のよみがえりにて、町中に災厄がおよぶかと眉をひそむ。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 1

2010/04/30 21:49
米澤穂信 『ボトルネック』 パラレルワールドにさまよう若者の自己発見だが………。
学生時代から馴染んできた東京の繁華街に渋谷、新宿、池袋があるのだが、新宿や池袋はそのころの名残がまだあるのだろう、街をうずめる群れの中には私と同じ体臭を漂わせる人たちも少なくない。 ところが渋谷はどうだ、あれは異界である。居心地が悪いのだ。若者の街の風俗にケチをつけるつもりはなく、むしろ物分りのよいオジサンのつもりなのだが、 「あなたなんかがいる場所ではないよ」 と街全体から無言の警告を発信されているようで、いたたまれなくなるところだ。 東上線に地下鉄の副都心線が乗り入れて渋谷まで直... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 6

2010/04/25 16:56
樋口明雄 『約束の地』 老猟師と巨大野獣との死闘が見せ場
6年前になるが著者の『光の山脈』をはじめて読んだときの印象が忘れられない。真保裕一の『ホワイトアウト』以来、久しぶりに日本の山岳地帯を舞台にした本格冒険活劇小説の充実感を味わった。そして単なる冒険小説ではなかった。大自然の営みは人間が冒してはならない神聖なものだとする叫びに心洗われる思いだった。それは南アルプスの麓で生活する著者自身の実体験から生まれた祈りともいえる。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2010/04/15 00:32
佐々木譲 『廃墟に乞う』 何かと話題を呼んだ直木賞受賞作だが………
このところ北海道警察の組織体質を相当手厳しく告発する警察小説を発表してきた佐々木譲の直木賞受賞作である。道警本部に勤務する警察捜査官が事件解決の主役なのだが、『廃墟に乞う』はこれまでの佐々木譲の作品からは一風変わった印象をうける連作短編集だった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 2 / コメント 0

2010/04/04 15:54
佐々木譲 『巡査の休日』 マンネリ気味の道警シリーズのこれは蛇足であろう
北海道警察シリーズ第4弾。『うたう警官(改題 笑う警官)』『警官の紋章』は読んでいる。「警官」ではなく今回は「巡査」である。警察小説のタイトルに「巡査」は珍しいのではないだろうか。巡査とは法で定められた警察官組織の最下位の階級であり、それをあえて強調しているところに佐々木譲らしさがある。警察小説の第一人者となった佐々木譲が「刑事」という肩書きを使わないところもそれが正規の役職名ではないからであって、著者なりの筋の通し方をうかがわせる。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 2

2010/02/20 21:06
中村文則 『掏摸』 非社会的人間の自滅を美的にとらえた危険な書
反社会的な行動をあおるテーマではない。非社会的人間の自滅を美的にとらえたかなり危険な書である。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2010/02/14 17:47
真保裕一 『デパートへ行こう!』 懐かしさあふれる涙と笑いの傑作の人情劇
真保裕一らしからぬ、エクスクラメーションマークがついているタイトルからして軽いのりだなと第一印象!『ホワイトアウト』や『奪取』という代表作のイメージからすれば真保裕一の新境地である。そしてわれわれ初老族にとっては実に楽しい小説でした。デパートが子供の遊び場であったことを覚えている世代ならこの作品の絶妙な味わいをかみしめることができそうだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2010/01/07 16:11
薬丸岳 『悪党』 被害者遺族はどうしても殺人者を赦すことはできないのだろうか。
裁判員制度がスタートしたからなのかどうか、最近の判決は被害者遺族の感情に寄り添う姿勢が色濃く反映されるという。このために従来よりも量刑が重くなる傾向があるのだそうだ。実際、被害者家族が裁判の席などで「極刑を望みます」との訴える報道を見聞きすることが多くなった。 本著『悪党』の原点にあるのが薬丸岳のデビュー作、江戸川乱歩賞受賞作である『天使のナイフ』である。刑事罰の対象にならない少年たちに妻を惨殺された男が「殺してやりたい」と憎しみの叫びを上げる。この率直な感情を読者は素直に受け入れることが... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/12/30 23:18
池井戸潤 『鉄の骨』 官庁工事の談合にかかわる人物たちの真実を描く傑作の企業小説
官庁工事における談合。 かつては市場で形成されるはずの合理的利潤を超過させ、不当利得を確保し、それを配分するシステムであった。いまはそうではない。 「昔と違って、いまはどこのゼネコンにも余裕がない。談合は利益の分配システムというより、生命維持装置といったほうが実体に合致している気がする」こういわれて実感する企業人は多いはずだ。 『鉄の骨』はこの談合にかかわる人間たちの真実に肉薄する。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/12/27 19:51
夏樹静子 『てのひらのメモ』 裁判員制度入門書として格好のリーガルサスペンス
今年の夏から裁判員制度による裁判が始まり衆目を集めている。『てのひらのメモ』は裁判員に選ばれた57歳の専業主婦・折川福美の視線で語られるリーガルサスペンスとして成功している作品なのだが、もし裁判員になったらどんなことになるのだろうかと考えている多くの人にとって、実際に役立ちそうな要点がいくつも盛り込まれている格好の裁判員制度入門書でもある。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/11/29 18:01
柳広司 『ジョーカー・ゲーム』『ダブル・ジョーカー』 とにかく第一話は光っているぞ。 
日本が大陸侵略を本格化した頃、そのころはどうやら日本には英米独露に匹敵するまともな諜報機関がなかったらしい。なぜかというと諜報活動は卑怯、卑劣な行為であって日本古来の武士道に反するという皇国軍人精神が信奉され、特にその最右翼であった陸軍がこれを毛嫌いしていたからだという。そんな馬鹿たれ脳みそでは戦争に勝てないと頭脳明晰、実行力で抜群の結城中佐が極秘に設立したのが合理的思考回路が貫徹する、近代スパイ戦用の「D機関」だ。天皇陛下にお仕えする軍人の大和魂を真っ向から否定し、結城中佐が率いる忍者部隊... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 3

2009/10/10 13:30
高村薫 『太陽を曳く馬 下』 高村が挑む21世紀の宗教改革
 「だれでもいいから殺したかった」この現代の闇に伝統仏教は光明を与えられるのか? そして高村は21世紀の宗教改革を求めているのか? ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 1 / コメント 6

2009/10/05 23:34
高村薫 『太陽を曳く馬 上』 その二 現代によみがえるラスコーリニコフ裁判
「はじめに言葉あり、言葉は神とともにあり、言葉は神なりき」 言葉によってこの世の秩序は成り、言葉はこの世のすべてを明晰に至らしむ。 「道の道とすべきは常の道にあらず。名の名とすべきは常の名にあらず。名無し、天下の始めには。名あり万物の母には」 言葉は始めにはない。あらゆる秩序と明晰なるものを拒み暗く定かならぬ混沌から世界は生ずる。知る者は言わず、言うものは知らず。 この対立する二つの世界観を抽象論、観念論で述べるのではない。高村薫は現代を象徴する不可解事件を両サイドから徹底的に突き詰... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/10/05 23:32
高村薫 『太陽を曳く馬 上』 あの合田雄一郎の復活。 高村薫文学の一つの到達点
『晴子情歌』は母・晴子と福澤彰之の対話であった。『新リア王』は父・榮と彰之の対話であった。そして『太陽を曳く馬』では子・秋道と彰之の対話があり、三部作の一貫して中心人物であった福澤彰之が歩んできたところの究極に見えたものがある。さらに実に巧妙な仕組みだと感心させられるのだが、あの合田雄一郎の復活であった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 10 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/09/26 18:25
創作怪談 『うたかたの 結びて消ゆる よどみの如く』
夢操りを得手とする馴染みのあやかしが久しぶりにわが家の厠にあらわれでた。 だんな、鼻毛引っ張りながらの長い用たしたぁ、随分と退屈なご様子だ。 大手町の地下通路、一度そこのトイレへお出ましなされちゃぁいかがです。なんで大手町か?いえね、あっしはあの辺り、道三堀って船入水路があったころ、お侍さん相手にさんざわるさをしておりやして、旧知のショバなんですよ。騙されたつもりでそこの便座に腰を下ろし結界破りのパスワード。 「エータイヤ、ドウサン トウサン モウコーサン」と誦する。 5分ばかりじっ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/08/01 23:45
創作怪談 『お花さん』
年金生活者になった今年の6月、納戸を片づけていると古いミカン箱の奥に干からびて捻じれた骨のようなものが転がっていた。 鶏の脚!風化していた記憶がぼんやり甦る。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 2

2009/07/22 22:56
山崎豊子 『運命の人 四』 歯切れの悪い幕切れ
山崎豊子の作品の『二つの祖国』と『大地の子』。それまでの業界内幕ものから大きく視点を変えた新ジャンルへの挑戦だった。二作とも「愛国心」が中心テーマだったが、無理強いされるそれではない。日本人であるがゆえに過酷な境遇にある者が祖国に抱く素朴な感情には胸を打つものがあった。そして不条理の中で信念を貫こうとする主人公がさまざまな困難に立ち向かう不屈の魂に感動を覚える傑作だった。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/07/11 12:41
山崎豊子 『運命の人 三』 国家権力への怒りか?著者はいったいなにを訴えたかったのだろうか。
この小説に従って裁判の流れを追うと次の通り 1972年 5月 沖縄復帰。 1972年 6月 佐橋総理退陣、田淵内閣誕生 1972年10月 東京地裁、外務省機密漏洩事件初公判 1972年12月 佐橋元首相、ノーベル平和賞候補としてノミネート 1974年 1月 東京地裁一審判決。三木昭子元事務官、懲役6ヶ月執行猶予1年。          弓成記者、無罪          検察側控訴 1974年 2月 三木昭子、「週刊潮流」に告白の手記発表 1974年12月 佐橋元首相ノーベル... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 1

2009/07/01 23:48
山崎豊子 『運命の人 二』 これはモデル小説ではないとおっしゃるが………
毎朝新聞の弓成亮太は、昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、ある密約が結ばれようとしていることに気づいた。弓成は外務省安西審議官の秘書・三木昭子事務官と「情を通じ」、彼女より極秘電文を入手、この事実を知る。公式にはアメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドルを実は日本政府が肩代わりし秘密裏にアメリカに支払うという密約であった。これが事件の発端で、すでに第一巻で述べられている。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 1 / コメント 2

2009/06/10 21:28
山崎豊子 『運命の人 一』 10年ぶりの大作に飛びついた。
山崎豊子の作品はいつごろからか、新刊が出るたびに読むようになっていたから、この作品も内容はまったく知らないまま手に取った。 昭和46年、毎朝新聞政治部、外務省詰キャップ・弓成亮太。今でもそうだろうが新聞社では出世街道をトップで走る役職である。それだけの実績を上げている敏腕記者。昼となく夜となく、ゴルフだ宴席だ。相手の自宅で懇親の酒を酌み交わす。彼の仕事ぶりが綿密に描かれる。個人的に親密になるため、世間から見たら胡散臭いやり方で官僚の上層部へ食い込み、特定の政治家の懐に飛び込み、都合よく情報... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/06/07 00:15
篠田節子 『仮想儀礼』 宗教にある狂気と暴力
篠田節子の『弥勒』『ホーラ 死都』は宗教を通じた異文化コンタクトを扱った秀作だった。これは私たちの身近にある宗教をなまなましく描き出した異色作である。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 3 / コメント 1

2009/05/19 23:04
テレビドラマ夏樹静子の『量刑』が放映される。
2001年に読んだ。 来週 ドラマが放映される。 いまの裁判員制度ではない。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/05/18 23:39
連城三紀彦 『造花の蜜』  造花の蜜の妖しい香りとは?
しっとりとしたムードが漂い、しかもトリッキーなひねりの新作ミステリーを読みたいと思っていたところで連城三紀彦の『造花の蜜』が目にとまった。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2009/04/05 22:47
船戸与一 『満州国演義5 灰塵の暦』 佳境にはいる大陸侵略のドラマ
暴走した理想が、地獄の扉を開く中国大陸侵略のドラマも南京虐殺を描いたこの巻でようやく佳境をむかえた感がある。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/03/29 23:30
奥泉光 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』  戦争の狂気をシリアスに思索するユーモア文芸
『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』『モーダルな事象』と共通するロンギヌスの石は登場するがこれらが抱腹絶倒の笑いの文学であるのとは異なり、笑いは笑いでも醒めたブラックユーモアである。デフォルメしてあるからブラックユーモアなのだが、戦争のグロテスクな狂気をシリアスに捉えた思索の文学である。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 2 / コメント 0

2009/03/21 19:53
久坂部羊 『まず石を投げよ』  あまりにお粗末な内容なのであきれ返る。
それは医療ミスなのか、それともひそかな殺人か。恐るべき実態をあばく。衝撃のミステリーと装丁帯にあった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

2009/02/11 22:51
三浦しをん 『光』 エロスとバイオレンスに新たなメスを入れた実験的小説
普段、読書とはおよそ縁のないご婦人から 「テレビで三浦しをんが過激な暴力とセックスで長編ミステリーを描いたと紹介されていましたが、読んでみたらいかが」 と無責任な注文を受けた。当人は中学生の異様に色気づいた描写の初めの十数ページが、ひどく現実離れしていて嫌気がさしたそうだ。かつての桐野夏生風、エロスとバイオレンスかな?と興味がひかれた。天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。二十年後過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 3 / トラックバック 1 / コメント 4

2009/02/07 09:15
佐々木譲 『警官の紋章』 洞爺湖サミットへのテロ?圧倒される迫真の警察l小説
「警官の紋章」とは「警察の紋章」ではない。警察権力の象徴とか、あるいは組織の統制と団結力を象徴する代紋をさすのではない。市民生活の安全を守るために正義を貫こうとする警官ひとりひとりの志をさしているのだろう。 警察官僚上層エリートの個人的な醜悪さを描く警察小説はよく見かける。エライ人イコールワルイ人と単純な図式だけにわかりやすく、これを叩きのめすたたき上げの警官の痛快な格闘ぶり、楽しく読める娯楽小説だ。 だが本当の悪はそうではないところに存在するのが現実ではないのだろうか。 警察組織には... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2009/02/02 16:42
奥田英朗 『オリンピックの身代金』  昭和39年という時代はそう、こんな時代だったんだと懐かしい
奥田英朗はずいぶん前に『最悪』と『邪魔』を読んだきりだった。二作とも日常生活におこるクライムノベルだったが、これはクライムノベルとすればはるかにスケールが大きく、面白さも前作を格段にしのいでいる。昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という(<懐かしいではないか>あの草加次郎を名乗... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 10 / コメント 2

2009/01/24 18:46
雫井脩介 『犯罪小説家』  著者の野心的新ジャンルかと期待できたが………
本を手にするときにたいがいはどこかで得た先入観を持って臨むものだ。その著者の作品を読んだことのある場合はなおさらである。先入観があると作品の本来の価値を誤解しやすい。また、先入観は期待感でもあり、期待はずれという印象を受けることがある。 二、三日前にテレビで映画化された雫井脩介原作の『犯人に告ぐ』を観た。原作はマスメディアの暴力を告発する姿勢がもっと強かったような気がするが、劇場型捜査と銘打って発表されただけのダイナミックな動きと緊迫感の盛り上がりが満喫できる娯楽性の高い第一級のミステリー... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/11/23 10:52
五十嵐貴久 『誘拐』 あまりのご都合主義にあきれかえる。
先日テレビで黒澤明の映画『天国と地獄』を観た。1963年の映画館で見た印象は今でも鮮明である。エド・マクベインの『キングの身代金』が原作だといわれるが、新幹線のトイレの窓を使った身代金の受け渡しというアイデアには驚嘆したものだ。スラム街で生きる凶悪のインテリ・山崎努が演じる誘拐犯。スラム街からはるか見上げる高台の豪邸に暮らす製靴会社常務を三船敏郎が演じる。山崎努は三船の息子と誤って彼の運転手の息子を誘拐する。身代金を要求された三船の苦悩するシーンがこの映画をレベルの高い人間ドラマとして完... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2008/11/18 23:20
湊かなえ 『告白』  第一章だけが光る長編ミステリー
女性教師が担任のクラスの生徒を制裁のために殺しまくるというショッキングなお話はかつて黒武洋『そして粛清の扉を』がありました。そう、あれはハードバイオレンスのキワモノでしたね。これも同質のキワモノですがやり口が気味が悪くなるほど陰湿な復讐譚であります。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 6 / トラックバック 7 / コメント 0

2008/10/30 21:55
真藤順丈 『地図男』 ダ・ヴィンチ文学賞大賞っていかがなものか
新刊本を手にするきっかけはいろいろあるものだが、人に薦められて読み始めることもある。 本好きの友人から電話があった。 「真藤順丈という作家知ってる?その人の作品で『地図男』というのがいくつもの賞をとって評判がいいから読んでみたらどうか」 この友人は文庫本主義者であるから、本人は読んでいないのだろう。作者も作品もまったく知らなかった。昔、首藤瓜於の『脳男』というタイトルの作品を読んでがっかりした記憶があるがタイトルからして魅力に欠けているので、わかったわかったといい加減に応えてあった... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2008/10/28 23:21
帚木蓬生 『インターセックス』 帚木蓬生のヒューマニズム復活
インターセックス。古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形成や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義にみると100人に一人の出生頻度で出現する。久しぶりに帚木蓬生が医学界の現状に真摯に向き合った好著を手にした。 なにしろ冒頭の医療事故の裁判があまりにも迫真的だった。 これは新聞記事だが、去る8月20日、帝王切開で出産する患者が死亡した福島県立大野病院事件で福島地裁は業務上過失致死罪に問われた医師に無罪を言い渡した。検察側の「癒着胎盤を認識した時点で、胎盤を子宮から... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 0

2008/10/07 12:15
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは?
神の存在しない日本社会を「悪魔」は食い尽くすのだろうか?ドストエフスキー流の融通無碍な視線で現代人の罪と罰と贖罪を見つめた思索のドラマがここにある。 2002年10月、全国で次々と犯行声明つきのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介良介には妻と喘息もちの男の子がいる。故郷には退職後の気鬱にある父とそれとの生活に疲れ気味の母がいるが、この父母も歳相応にはしっくりしないところがあっても普通の家庭だ。良介の兄・崇は良介とは違って子供のときから優等生の誉れ高く、いまではエ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 4

2008/09/02 00:17
平野啓一郎 『決壊 上』 超重量級のクライムノベルでもある
私はこれまでこれほどショッキングな犯罪小説を読んだことがない。なぶり殺しにして死体を切り刻む犯行、あるいは無差別の大量殺戮が生々しく詳細に書かれているからだけではない。その内心が残忍であり、あまりにも醜悪な犯人像は「私たちの世界」からまるで「離脱」している。それを生み出す現代社会。重層的にしつらえたエピソードはすべて悪意が善意を食らい尽くすプロセスであり、どれもが読んでいていたたまれないほどに無惨極まりないのである。ここまで病んでいる。世の中はひどく病んでいる。人ごととは思えないこの事態は身... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2008/08/27 23:37
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき
今年の夏はことのほか暑い。外に出かける気にはならず、しかし、なんの因果かわが家のクーラーが壊れているものだから、生暖かい扇風機の風にあおられながら、汗が流れるままにゴロゴロと読書をしている。そういう、いたたまれないようなかったるい気分で読むとどこか主人公たちの無為な日常を実感できるようで、この夏つきあうのにふさわしい内容の作品であった。 桂川渓谷と呼ばれる景勝地が近くにあるがその涼風は届かない。町の奥まったところ、老朽化した市営住宅団地がある。真夏の朝、8時、締め切った狭い部屋、クーラ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 5 / コメント 1

2008/07/30 13:52
今野敏 『果断 隠蔽捜査2』 まず前作の『隠蔽捜査』を読んでおくべきでしょう。
型破りの警察小説、『隠蔽捜査』で充分に楽しませてくれた個性、あの竜崎の再登場である。第21回山本周五郎賞と第61回日本推理作家協会賞のW受賞のこの作品は警察組織を痛快に揶揄してのけるところ、前作を上回る面白さがあった。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/07/24 17:23
今野敏 『隠蔽捜査』 はみ出しの一匹狼が活躍するハードボイルドかと思っていたが………
エライ奴はワルイ奴である。使命感が欠落している薄汚い奴だ。権力欲・金銭欲の権化であり、ありついたポストは絶対に手放さない。そのエライ・ワルイ奴を現場密着型のはみ出し野郎が徹底的に痛めつける。この爽快感がまぁ警察小説のひとつの典型といってよい。 そうしたこれまでの警察小説の殻を破った驚きの作品だった。まったく新しいヒーローの誕生である。警察内部の不祥事をテーマにした警察小説は数多くあり、この作品も同じなのだが、著者の切り口の斬新さには脱帽した。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 1

2008/07/18 14:12
伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』 初めて読んだ伊坂幸太郎
伊坂幸太郎の作品をはじめて読んだ。「ゴールデン スランバー」とは極上のまどろみを指すもの。子守唄でビートルズのアルバムにもあると解説されているが作品のテーマとどうかかわっているのか私の感覚ではわからなかった。 「戦後ほぼ一党独裁を貫いてきた労働党から離党し自ら自由党を立ち上げた………」 という一節をみて、労働党?自由党?コリャなんだ。首相は公選制?戦後初めての自由党首相が生まれる?そして凱旋パレードの最中ラジコンヘリから爆弾を投じられ暗殺される。暗殺の背景が各方面で推測され、そのドタ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 3

2008/06/21 17:08
篠田節子 『ホーラ 死都』 不倫といえば日本人なら人の道をはずした後ろめたさのあるものだが………
エーゲ海に行ったことはない。紺碧の海、ふりそそぐ陽光、大小の島々、真っ白な教会や家々など。明媚な風景と古代遺跡、神話世界のロマンに思いをはせる、いわば観光用のイメージだけがある。 それとジュディ・オング『魅せられて』があった。 経済的に充分ゆとりのある男女、ずるずると長いこと続いてきた不倫関係にも倦怠感を覚え ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/06/12 15:50
黒川博行 『悪果』
前回の直木賞選考で二つの「本格警察小説」がノミネートされた。この作品と佐々木譲 『警官の血』だったが受賞できなかった。両作品とも警察組織の暗部を鋭く突いたものだけに、受賞して広く世間の関心が高まれば、かなり苦々しく思う向きもあったのだろう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/05/02 12:37
火坂雅志 『臥竜の天』 地方からの天下簒奪
来年のNHK大河ドラマ、火坂雅志『天地人』は直江兼続を主人公にしている。伊達政宗はこの直江兼続のライバルだったようで火坂雅志は『天地人』を書きながらこの作品の構想を思いついたのだそうだ。臥竜が天を目指す。正宗の特異な地方性と微妙な時代性を詳細に描き出した傑作の歴史小説だ。 隻眼異相の武将、徳川幕府から一目置かれた雄藩大名。伊達男・伊達者という言葉、これは政宗が好んだ豪華絢爛の気風に由来するものだ。実はこの程度の知識しかなかった。これまで読んだ戦国期の歴史小説はたいがいが信長から秀吉をへて家... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2008/04/27 14:45
貴志祐介 『新世界より』 異色のSFファンタジーノベルだが………
デビュー作の 『黒い家』 (1997年)。韓国製の映画が目下上映されているとのこと、感情を欠如した殺人鬼が地獄図を見せる正視に耐えないおぞましいシーンの連続だそうだ。10年以上前の原作だが「生まれながらの殺人者」という突然変異的存在を暗示し、最近のように不可解な犯罪が頻発する日本を当時予見するような怖い作品であった。 『天使の囀り』(1998年)はアフリカの民俗伝承、風土病と現代日本の病んだ精神構造をつないでホラータッチ、なかなかの秀作だった。 『青の炎』(1999年)、これは純真な若者... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 7 / コメント 1

2008/04/05 17:07
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。
もはや動かしようがない格差の拡大社会と歪められる家族関係を通して人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

2008/02/15 16:01
桜庭一樹 『私の男』 直木賞候補作となっているがはたして………。
桜庭一樹の作品を読むのはこれが二作目だ。つい最近読んだ『赤朽葉家の伝説』はミステリーとしての評価が高く、本著は文芸作品としての評価が高い。逆じゃぁないのかな。「朽ちていく幸福と不幸を描く、衝撃の問題作!」この宣伝文句にとらわれないほうがいい。謎解きミステリーとして読むほうが不快にならずに楽しめる。 ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2008/01/14 01:54
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史
この作品、いかにも横溝正史風でスタートしているがミステリーとして読むのはいささか間違いだ。余計な雑念を払い捨て、この語りに没頭してこそ多様な味わいを楽しみ、芳醇な香に酔いしれることができるだろう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

2008/01/08 00:07
ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』
ビーケーワン恒例の真夏の怪談競演も今年で5回と続いた。第4回の応募は271篇だったが、第5回は663篇が寄せられたそうで、私も毎回参加させていただいているが、だんだんとお祭り騒ぎが大きくなっていくのにビックリしている。『てのひら怪談2』はこの第5回応募作品から選りすぐりの100篇を掲載したものだ。選考委員の評価によれば作品の質が年々充実さをましているそうだが、この傑作選をみるとたしかにそのとおりだと思う。 小説をその長さで分類し、長編、中編、短編とあってそれより短いのを掌編と呼ぶ。これは最... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2007/12/19 23:56
笹本稜平 『越境捜査』 わかりにくい警察機構を理解し警察小説を楽しく読もう。
日本の警察もアメリカ並みにここまで腐っているのか?いやまさかここまでのことはあるはずがない、と思ったところで、防衛省のあんな醜悪な大犯罪が起こるんだから、この作品だってフィクションをフィクションとして楽しめばいいと単純には割り切れなくなっちゃうではないか。 佐々木譲のシリアスな警察小説『警官の血』をじっくり読んだ後だけに、巨悪と戦う荒唐無稽なバイオレンスを期待して手にとった警察小説である。帯には「12億円に心がグラリ!!勝つのはどっちだ」「じっくりガッツリ読ませます!」とひょうきんな口調で... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/09 19:15
佐々木譲 『警官の血』 警官の血とは?異色の警察小説でありめったに現れない傑作である。
この作品には巨悪は登場しない。防衛省事務次官の犯罪。あんな巨悪がまだいたのかとあきれ返る。ささやかな正義の積み重ねをしている人たちこそいい面の皮である。でも盗人にも三分の理、彼は彼なりの「正義」を追い求めていたんだろうね。「自衛官の血」という小説があったとしても、とてもとてもこの現実の迫力にはかなわないでしょう。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 4

2007/12/06 15:48
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。
山田浅右衛門といえば「首斬り浅右衛門」として、死罪人の斬首役であるとの知識しかなかったが、本職が徳川家御佩刀御試御用役だったとはこの作品ではじめて知ったことだ。 実は先日読んだ、山本兼一『いっしん虎徹』で刀剣の斬れ味を鑑定する「試刀」という職業(一太刀で何体の死体を斬ることができるかを基準にして利鈍を試す)があることに驚いたばかりで、おっつけ読んだ山田浅右衛門の家業がこれであったかと偶然の出会いに思わず膝を打った。 罪人を斬首するためにふるう剣、山田流試刀術………。その奥義は、密かに... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/12/01 17:09
曽根圭介 『沈底魚』  本年度江戸川乱歩賞受賞作
アメリカに亡命した中国外交官の証言によれば、日本の現職国会議員が機密情報を中国に漏洩している。この新聞報道で中国と朝鮮の事案を担当する警視庁公安部外事第二課は騒然とする………と快調なスタートである。 沈底魚=スリーパー。潜伏期間二十年余り。素知らぬ顔で暮し、覚醒の時を待っているーーー。スパイ自身が派手な立ち回りを演ずる冒険小説ではない。ガセネタかも知れない沈底魚をあぶりだそうとする警視庁公安部現場の捜査官たちの苦闘の物語である。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/11/06 12:04
藤原伊織 『名残り火 てのひらの闇U』 あの堀江雅之はもう帰ってこない。
2007年5月17日に逝去された藤原伊織氏の遺作である。2002年から2005年まで別冊文芸春秋に連載されたもので連載終了後、全38章中第8章までは著者が加筆、改稿作業を完了していた経緯のある遺稿だそうだ。氏の食道ガン発症を知ったのは2005年5月だった。5年生存率20%と告知された「ファンキーなじじい」は復活を切望した私達の期待むなしく2年の闘病生活を送って逝ってしまった。 私より4歳若いとはいえまずは同世代といえる。世代を共有してきたものとして1996年、江戸川乱歩賞、直木賞を受賞した... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2007/10/26 11:57
佐々木譲 『制服捜査』 新しい切り口の警察小説だ。
『うたう警官』で著者の新ジャンルでの復活を感じたものだから昨年発表のこの『制服捜査』を手にとった。「これが本物の警察小説だ!」と帯封にあったが、本物かどうかは別にして警察小説といわれるジャンルをこれまでにない切り口で見せた。その斬新さはさすが。佐々木譲の手腕、健在である。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2007/07/16 19:14
桐野夏生 『メタボラ』 論評する資格のない自分に気がついた。
ドキュメンタリー番組で「ネットカフェ難民」という人たちを知り、正直驚いた。住む家がなく24時間営業のインターネットカフェに寝泊りし、日雇い派遣労働などで食いつないでいる若者が急増しているのだそうだ。 そしてこの『メタボラ』である。「ネットカフェ難民」ではないが同様に漂流するものであり、それは衝撃的だった。ホームレス、ニート、フリーター、ワーキング・プアそれぞれに定義はあるようだが、桐野夏生が過度にデフォルメした人物像などではない。どうやら実体を持って社会の一定層を形成しているとリアルに感じ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2007/07/04 18:22
京極夏彦 『前巷説百物語』 シリーズものってのは三巻までがよろしいようで………
京極先生の作品にはずいぶんとおつきあいしたものですが、憑物落としの京極堂シリーズは『陰麻羅鬼の瑕』をようやく読み終えたところであとはお休み、この巷説百物語もまぁ今回で読み上げといたしましょう。 これが百物語のはじまりでございます 今、明かされる真実 又市、いかに御行となりしか と既刊・巷説百物語シリーズで活躍した小股潜りの又市が御行となるまでその前歴をなぞっている。『巷説百物語』『続巷説百物語』『後巷説百物語』を読んだ読者であるなら勢いで手にしたくなる一冊だろう。しかし………。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/06/26 22:02
大鐘稔彦 『孤高のメス 外科医当麻鉄彦』 連載劇画のノベライズだった。
文庫本全六巻。友人に紹介されて読んだものだ。作者はまったく知らない人だった。 大鐘稔彦。1943年愛知県生まれ。京都大学医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み、「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設、手術の公開など先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約6000件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。小説やエッセイなどの著書多数。帯封にある二村雄次・名古屋大学大学院医学系研究科外科教授の推薦の辞によれば 日進月歩で医... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/05/31 17:34
佐々木譲 『うたう警官』  戦時情報戦小説の勇、あの佐々木譲の完全復活だ。
2004年3月5日の北海道新聞より、道議会総務委員会で4日開かれた元道警釧路方面本部長に対する参考人質疑の一部である。私が裏金づくりに直接タッチしたのは、一九六四年四月に配置された当時の北見方面本部刑事課が最初。階級は巡査部長だった。初めて領収書や関係書類を、命じられるままに偽造した。その後、退職した九五年まで十七カ所の所属(部署)を転勤したが、何らかの形で裏金づくりに関与し、一部を受け取り、その存在を知っていた。 この報道の示している状況を「うたう警官」と呼ぶらしい。「うたう」は内部の不... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2007/05/29 12:31
松井今朝子 『吉原手引草』 歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう
演技に工夫を凝らして新しい定九郎像を創造した江戸時代初期の歌舞伎役者、中村仲蔵を描いた『仲蔵狂乱』で記憶に残っておりました。その松井今朝子が新作を発表した。歌舞伎の世界に精通した著者が今回は遊郭の世界だ。『吉原手引草』。手にとらないわけにはいかんでしょう。江戸文化はこの吉原を抜きにしては語れない。それほど人々の生活と密着していて、今でも、映画、芝居、噺などを通じて私たちにもお馴染みの世界でございます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 4

2007/05/23 01:38
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。
「小説好きの諸君!たまには直球の企業小説、読んでみてくれ」とキャッチコピーにつられた。小説好きは企業小説を読まないものとこのコピーライターは考えているのだろう。なるほど気がつかなかったけれど小説好きだがあまり企業小説は読まない僕のような人は大勢いるんだな。 企業小説と言えば私のイメージは大銀行の内幕暴露ものなんです。いかにもノンフィクション風で実在の人物を臭わせるものだから、その人物を推量しながらこれも実際の出来事に思い巡らせ、いいかげんなことを描いているナァと不愉快になってしまうことが多... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 17 / トラックバック 5 / コメント 2

2007/02/14 13:46
『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』 現代的センスが光る100の怪奇譚
てのひら怪談posted with 簡単リンクくん at 2007. 2. 7加門 七海編 / 奉 徹三編 / 東 雅夫編ポプラ社 (2007.2)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ネット書店・ビーケーワンでは2003年夏から毎年インターネット上で怪談を募集し、優秀作品を授賞している。昨年で4回になった。わたしは毎回欠かさず応募しているからルールはよくわかっているが、「怪談」というテーマ枠に800字で起承転結を綴るとなるとかなり手ごわい文芸競技である。本書は... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2007/02/07 22:28
『てのひらの怪談ービーケーワン怪談大賞傑作選』という本が2月に刊行される。
ありがたいことに私の作品を二編取り上げていただくことになった。 これに先駆けてビーケーワンのホームページからアクセスできるコーナー「週刊てのひらの怪談」で新作を募集するお話をいただいて、また作品を送ったらここでも取り上げていただいた。 よっちゃんを名乗っていたがもう少しマシなペンネームをといわれ江崎来人と改めた。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2007/01/10 13:13
夏樹静子 『見えない貌』 ベテランのミステリー作家が描いた親子の絆
夏樹静子さん、1938年生まれというからわたしよりも6歳先輩だった。そう気がつけば初期の作品『蒸発』を傑作だなと感じたことや『Wの悲劇』なども懐かしく思い出される。その後二時間ものテレビミステリーでしかお目にかからなくなったが、久々に5年前の『量刑』ではベテランの新境地ここにありと再び輝きを取り戻していた。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2006/12/12 22:59
薬丸岳 『闇の底』 とてつもなくショッキングなラストにあっけにとられた。
このところ悲惨な事件が連続している。小中学生のイジメによる自殺、肉親による幼児虐待と殺傷。幼い命の非常事態宣言であろう。これという対応措置がないままに狂気だけが蔓延しつつあるようで不安と焦燥感が日本全体を覆っている。そして『闇の底』で薬丸岳はこの暗澹の世相を背景に強烈な反則パンチを繰り出した。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 4 / コメント 2

2006/11/15 10:52
皆川博子 『伯林蝋人形館』 皆川博子の得意とする幻想的世界である。
エロチックでグロテスクな狂気を耽美的に描く皆川博子の得意とする幻想的世界である。 狂乱へとむかう1920年代のドイツを舞台に6人の男女が織りなす運命の輪舞 「彼らの人生は、さまざまな場所、時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく……… ドイツの歴史をまるで知らない私はバラバラにある6つの物語を時間の流れに沿って組み替えしないとおさまりがつかなかった。 1914年に始まった第一次世界大戦、フランスとの主要戦場のひとつであった1916年のヴェルダンの戦いには生粋のドイツ人とユダヤ系ドイ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/10/23 15:12
佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』 アメリカを茶化しきった傑作の風刺小説
南西部諸州は「アメリカ連合国」として独立し「アメリカ合衆国」との戦闘を開始した。「連合国」の空爆により「合衆国」の都市は破壊され、「連合国」の軍事的優勢のままに目下停戦状態にある。国連本部が移転した常任理事国・日本が政治力を発揮するにはまずもってこのアメリカの現状、内戦の背景と本質を正確に把握する必要がある。2016年、かくして愛すべきレポーター森山サトル君は瓦礫と化したロスアンゼルス空港に降り立ったのである。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/10/19 01:40
井上尚登 『T.R.Y. 北京詐劇 ペキン・コンフィデンシャル』久々の大型コンゲームロマン
装丁帯にこうある。 天才詐欺師、伊沢修が帰ってきた!総統に、皇帝の座を。詐欺師には、財宝を! 甲骨文字に隠された謎、壮大な宴席。華麗なる駆け引きが、中国の未来を変える! 時は、1916年。稀代の詐欺師VS中国最高権力者  詐欺師、武器は宮廷料理。ねらいは財宝。「遺跡をひとつ掘らせていただけませんでしょうか?」 袁世凱、野望は、皇帝即位。弱点は美味に目のないこと。 1999年に刊行された井上尚登のデビュー作『T.R.Y.』は実に印象的な作品でした。 題名からすると想像できなかった... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2006/10/06 12:30
早瀬乱 『三年坂 火の夢』 首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら?
首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら。と首を傾げつつも本当らしさに魅了されます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2006/10/01 23:56
荒山徹 『処刑御使』  あまりにも映像的な妖術合戦にいささか辟易しました。
この挿絵、怖いですね。まるで、最近の日本製ホラー映画に出てくる化け物のようです。 装丁帯にこうある。 その密使は、時空を超えてやってきた。朝鮮を侵略した仇敵を抹殺するために………。 伊藤博文、絶体絶命! 韓流も嫌韓流も唸らせる、壮大無比な伝奇時代小説、ここに誕生。 「おれは長州藩の伊藤俊輔だ。足軽以下の小者で、閣下なんて呼ばれる身分じゃない」 「今はそうでも」女は畏まった口調で答えた。 「閣下はいずれ、大日本帝国の初代内閣総理大臣――宰相におなりあそばします。わたしは、閣下が総... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2006/09/23 10:52
宮部みゆき 『名もなき毒』  もどかしさは残るが本来の宮部みゆき復活の予感
犬を連れ、散歩途中の老人がコンビニで買ったウーロン茶を飲んで悶絶死した。首都圏で発生していた無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。今田コンツェルンの社内報を編集する杉田三郎はこの犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから事件に巻き込まれる。いっぽう杉田の職場ではアルバイトをしていた26歳の娘をミスが多発するためにクビにしたことから、彼女の執拗、病的なクレームに編集局一同が振り回されている。彼女の異常な嫌がらせはやがて禍々しさが加わり杉田の家庭にまで入り込んでくる。 杉田三郎は女子高生のお... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 12 / コメント 5

2006/09/16 19:14
鏑木蓮 『東京ダモイ』 この夏一番の傑作、江戸川乱歩賞受賞の文芸ミステリー
小泉総理にとって最後の夏、公約を実行して本日8月15日に靖国参拝の美学を貫いた。最近、素朴な反戦平和論は風化しつつあるかに見えたが、むしろこの騒動があったからか今年の夏は例年よりも戦争責任を改めて考えようとする報道の特集が増えたような気がしている。われわれにとっては別に最後の夏ではないのだから、素朴な平和希求の心を愚直に語り続けることは忘れてはならないことだと思う。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 3

2006/08/15 23:09
映画 『M:i:V』 3作目にして最高の傑作であったよ。
8月3日池袋のシネマサンシャインでトム・クルーズの『M:i:V』を観る。ようやく梅雨明けしたこの昼の盛り場は地面の照り返しと夏休みに入った若者の熱気ですさまじい暑さだ。11:45開演で11時に映画館に到着したものだから、「一番館」というラーメン屋でネギ味噌を食す。ラーメンのうまい店はこの辺りでもあるのだろうが、別にラーメン通ではないのであまりえり好みはしない。先日「長谷川」という行列のできるといわれる店にはいったが、チャーシュウが気に入らなかった。ネギ味噌にはなぜかチャーシュウがついていなかった... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/08/04 10:01
第13回松本清張受賞作 広川純 『一応の推定』 おそろしく地味なストーリーだが感動がじわりと
著者の広川氏は保険調査会社勤務の経験がある。60歳、作家デビューとしては高齢のほうだろう。実務経験を活かした実に渋いミステリーで、味わいは深い。第13回松本清張賞受賞作だが、第12回の城野隆『一枚摺屋』と同様、清張の名にふさわしい作品だと思った。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2006/08/02 19:16
加藤廣 『秀吉の枷』 成り上がりものの悲哀
加藤廣氏は2005年『信長の棺』でデビュー、75歳と言う高齢のベストセラー作家の誕生に驚いた。『信長の棺』は小泉首相の愛読書だと喧伝が先行していた作品だった。小泉さんの愛読となればそれなりに成功した政治家の特別の関心事でも書いてあるのだろうと、好みの小説だとは思えずまだ読んでいない。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 1

2006/07/28 08:44
今朝の朝日新聞 金大中事件の真相に関して 梁石日『死は炎のごとく』
朝日新聞報道の抜粋 73年8月に東京で起きた金大中(キム・デジュン)氏(後に大統領)拉致事件について、韓国政府の真実究明委員会は、当時の情報機関・中央情報部(KCIA)による組織ぐるみの犯行と断定する報告書をまとめた。近くKCIAの後身の国家情報院が公表する。韓国歴代政権は一貫して事件への関与を否定してきており、政府として認めるのは初めて。報告書は当時の李厚洛(イ・フラク)KCIA部長が直接犯行を指示し、二十数人が役割を分担したことを確認。焦点とされた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領自身の指... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/07/26 08:41
札幌の町が変わった。
10年もたつのだから当然のことだけど、とくにJR札幌駅付近の開発が進んでここは全く変貌していました。拓銀、丸井今井が破綻して、大通りの商店街の殷賑もピークを打ったのだろう。札幌駅にはデパートでは大丸、家電の大型販売店が軒並み大繁盛のようでした。 「遊ぜん」南1条西5丁目郵船会館ビルB1Fにて宴会 女性二人と元運転手、われわれ三人。たらふく飲み食いして3万円だから安い! 思いがけない毛ガニにうれしくなった。 ホッケの開き、イカの塩辛、それに姫ダラと予定のものをたっぷり堪能する。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 1

2006/07/24 14:57
福井晴敏 『Op.ローズダスト」著者らしさのあふれる問題の多い問題作
国家の体をなさなくなった日本。憂国の野心は世論を巻き込みそのメルトダウンを加速。劇場型で進行する国家転覆の大陰謀。2006年、戦場と化した東京。劇画的細密描写が描く空前の日本沈没。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/05/23 12:44
映画化決定 東野圭吾 『手紙』………だそうです。
この「サンスポ芸能ニュース」によれば『白夜行』に続き主演は山本孝之だそうです。生野慈監督が原作の感動をどう映像化するか楽しみです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

2006/04/28 11:34
半村良 『産霊山秘録』 これぞSF伝奇小説の歴史的傑作だ。
おどろおどろしい感がするが産霊山、<むすびのやま>と読む。30数年も前に書かれた半村良を代表するSF伝奇小説である。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 1

2006/04/19 15:01
西木正明『間諜二葉亭四迷』につき蛇足のひとこと
西木正明のノンフィクション・ノベルに限らず歴史小説、時代小説、伝奇小説など一般的に知られる史実と、作者の想像である虚構が入りくんだ作品を読むと虚実の境目を知りたくなってくるものです。それからたとえば「二葉亭四迷」が登場すると、著名人だけに私がほとんど知らない人物であるからちょっと恥ずかしい気持ちもあって予備知識を仕入れたくなることもあります。 そのときは百科事典がいちばん参考になるのですが、利用するにあたりあまり簡便とは言えません。これは従来の書籍タイプではなくデジタル化したものがはるかに優れ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/03/17 12:57
西木正明 『間諜 二葉亭四迷』 あの文豪がスパイだった!!??
たとえば『冬のアゼリア 大正十年・裕仁皇太子拉致暗殺計画』、『一場の夢 二人の「ひばり」と三代目の昭和』など西木正明の作品は実名が入ったセンセーショナルな副題に目を奪われるのだが、この作品は本題からして『間諜 二葉亭四迷』、あの文豪がスパイだったのかとギョッとさせれらます。 著者の得意とする歴史秘話にあたるが、この作品は日露戦争における陸軍の謀略工作を背景としている。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2006/03/15 10:16
西木正明 『一場の夢 二人の「ひばり」と三代目の昭和』よみがえる美空ひばり伝説
もう一人の美空ひばりが実在した!と序章からセンセーショナルであるが、あくまでもあの国民的歌手・美空ひばりの波乱に満ちた人生をたどる。彼女の実像は? ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2006/02/23 11:21
真保裕一『繋がれた明日』3月、NHK連続テレビドラマ化
19歳の若者が殺人を犯す。 懲役刑。 仮釈放で社会復帰した彼を待っていたのは冷たい世間の眼であった。 そして更生の道は険しい。 と現代版「罪と罰」。 被害者の家族の憎しみをぶつけて「償い」のあり方を問う。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 4

2006/02/08 15:09
今明らかにされた金大中拉致事件の真相とこのミステリー
今日の朝刊に発表された「金大中事件の真相」をみてすぐにこの小説を思い浮かべました。やはりこれに書かれていたようなことだったんですね。国家ぐるみの犯罪。主権を侵犯する大事件が闇に葬られたんだ。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2006/02/06 10:53
マーロン・ブランド『片目のジャック』についての戯れ言
なかなかの人格者である某大企業の社長さんと会食して共通の趣味の古い映画の話題に夢中になった。西部劇の数々を蘊蓄したところでマーロン・ブランドが監督・主演した異色作『片目のジャック』に及んだ。二人ともその映画を見たという印象だけで内容は忘れてしまっていた。 ところでと、社長が思わせぶりに私にたずねてきた。 「あのとき、マーロン・ブランドはどちらの目にアイパッチをつけていたんでしたかねぇ?」 これはあえて知りながらする、相当に意地の悪いトリッキーな問いかけだ。 前回の会食の時は「紅葉狩り」は... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 7 / トラックバック 1 / コメント 0

2006/01/27 21:28
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 この作品の本当の「凄さ」を語ろう。
しかしこの作品の本当の「凄さ」は危ういまでに研ぎすまされた著者の時代感覚、透徹した洞察、大胆な社会風刺に見いだせよう。夢野久作は「人間に潜在する怪奇美、醜悪美を暴露し、読者を戦慄させる作品」としたようだが、それは言論封殺の時代的脅迫を感じたからのいいわけだったのではないだろうか。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 2 / コメント 1

2006/01/20 13:30
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 読みにくいこの長編をよんでみた
『ドグラ・マグラ』と題名からしてまぁ毒のマタグラのような醜怪な装い。これは長崎地方の方言で切支丹伴天連の幻魔術なのだそうだ。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 0

2006/01/19 19:21
NHKドラマ『クライマーズハイ』この緊迫感を堪能する
横山秀夫原作の『クライマーズハイ』が二夜連続のテレビドラマ化されその前編が12月10日に放映された。NHKのドラマだから期待はしなかったが、これは凄かったですね。17日の後編は見逃せません。原作をかなり忠実にたどっているようです。原作を読んだ時の緊張感の高まりを同様に覚えました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 3

2005/12/13 11:14
文庫本で発売されました 宮部みゆき『模倣犯』 その読みどころ
昨日、今年の流行語大賞は「小泉劇場」とされたようです。この一年間の世相を反映し、話題となった言葉に贈られる賞であるが、受賞者となった武部幹事長が女性刺客に囲まれ「小泉オペラまで盛り上げたい」と満面の笑みを浮かべた表彰式のテレビ映像を見ていると、皮肉なことだがこの言葉に潜んでいるマスコミというものの恐るべき魔力があらためて浮き彫りにされたとの感を強くしたのです。 そしてこのタイミングで宮部みゆきの『模倣犯』が文庫化され、より読者層をひろげたことはたいへん意義のあることだと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

2005/12/02 22:39
岡嶋二人 『99%の誘拐』 傑作!!ゲームとしての誘拐
誘拐を題材にして事件の周辺にある人間ドラマを描く作品は別として、身代金略取を企てる人質誘拐犯行のプロセスそのもののを主軸にしているミステリーもいくつか読んでいる。読んだその時にはおもしろいと感じた作品もないではないが、ほとんどが肝心な仕掛けの部分すら思い出せないものだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 1

2005/12/01 00:07
東野圭吾 『容疑者Xの献身』 みごとに騙される傑作だが………
他人様をたぶらかすことに無上の喜びを感じるペテン師の「私」はたぶらかされることにも快感を覚えるタチなものだから、小説は謎解き型のミステリーを好んで読む。なかなか快感傑作はないのだが、これは完璧であったよ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 11 / コメント 4

2005/11/27 18:28
読了! 高村薫 『新リア王』上・下  圧倒された読後感をつづる
どうやら高村は福澤榮を戦後の本来的保守政治家を総合して割ったような抽象的政治人間として登場させたようだ。政治論、権力構造論、民主主義の現実、国家論、世界観など、政治的個体であると同時に、一族の頭領であり、父であり、夫である人間・榮が思索をつむぐ。言葉で語る。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 8

2005/11/23 19:31
高村薫 『新リア王』上 シェークスピア『リア王』との関連
ところで福澤榮はなぜリア王に見立てられたのか、リア王が悲劇であるならば福澤の悲劇とはなんなのか、勝手に推測してみた。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/11/18 00:20
高村薫『新リア王』上 感想 その2 彰之は語る
尋常ならざる修行、心身を苛む苦行の日々のなかでいまだ悟りを得られぬ己への煩悶が繰り返し繰り返し告白される。仏教の専門用語が解説抜きで氾濫するのだが、読み手としてはここは無理に深く理解しようとせず、、大雑把に感覚だけで消化してしまうのも方便であろう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/11/17 15:14
高村薫 『新リア王』上巻の感想その1
『新リア王』の冒頭は血のつながりがある父子とはいえ、因業ただならぬ男同士の初めて交わす対話なのです。そして福澤榮。 ところが「対話」というよりもまず榮という政治的人間の半生が「独白」で延々と綴られる。この話し言葉になっていない、まるで一人芝居のようなセリフのとどまることない奔流にまず驚かされた。それは戦後政治のいわゆる55年体制を生きた政治家の半生であるから、時間軸を後に先にしながら実在した具体的な人物、実際にあった政治劇があふれるように登場して、あたかも政治事件小説かのような誤った印象を... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/11/14 13:32
再読 京極夏彦『鉄鼠の檻』 京極堂シリーズの最高傑作
札幌から一時間半、京極。当時は札幌単身赴任でしばしばこの町を訪ねたものです。「京極の銘水」。羊蹄山の雪水が何十年にわたって濾過されここに溢れて吹き出しています。この清浄な水に含まれる鉄分のような……… 大勢の人がポリバケツでこの名水をくみ出し、生活に商売に利用しています。私は緑茶用にこれを使っていました。実においしい清水であります。とにかくミネラル特に鉄分を多く含んでいることがわかる。一週間とは汲み置きができません。なぜなら鉄分が酸化して、ちょうど血をなめたような味に変化してしまうのです。... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 1

2005/10/22 00:29
文庫本が出ました。帚木蓬生『エンブリオ』 ギョッとする生殖医学の最先端。
帚木蓬生『エンブリオ』 かつて山崎豊子は「白い巨塔」で人の命をあずかる医療業界の腐敗、権力闘争を描き、社会的注目を浴びた。同じく医療業界のお話なのだが………。 生真面目な作品が続いた帚木蓬生にしては医療業界の新しい分野における恐るべき「犯罪」を大胆に描いて読者の背筋をふるえあがらせる。テーマは深いところにあるのはわかるが、とにかくグロテスクなエピーソードの氾濫に度肝を抜かれる。  ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2005/10/21 20:17
佐々木譲 『ベルリン飛行指令』 現代に通ずる男たちの孤高に生きる美学
この小説は「著者前書き」で元本田技研の取締役浅野敏彦氏から著者佐々木譲が「第二次大戦中に日本海軍の零式艦上戦闘機、いわゆるゼロ戦がドイツに飛んだ事実があるのではないか」との話を聞いたことに始まります。実在した戦争秘話とする体裁はストーリーでも一貫して、背景にある国際関係の緊張状態が生々しく伝わり、そのため、戦争という非人道の極限状況でしか生きられなかった男たちの孤高の美学が静かに現代を生きる読者のこころをとらえるのです。 1940年、三国同盟が成立したばかりの欧州戦線。ドイツ空軍がロンドン... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/10/01 16:43
文庫本がでました。荒山徹『十兵衛両断』
「朝鮮は古より文を尊ぶ国柄。剣術の如き野蛮なるもの、絶えて我が国に存在せし例はござらぬ」よって妖術ノッカラノウムにより柳生十兵衛の肉体と剣技を奪いその指南を仰ぎ朝鮮国内に正統の柳生新陰流を継承する強力な暗殺部隊を養成する。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/09/30 04:05
北村薫 『盤上の敵』 見事に決まった叙述の仕掛け
ミステリー好きのメル友から北村薫の作品を推薦いただきました。北村薫はエラリー・クイーンへの思い入れがたいへん深い作家だそうです。今年がエラリー・クイーンの生誕百年にあたることから上梓した『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件簿』はEQファンでなくてもミステリ好きには楽しめること請け合いというおすすめでした。そして北村の過去の作品『盤上の敵』にふれて、これもEQ作『盤面の敵』を意識したものらしいのですが、北村薫ミステリのベストだとのコメントがついていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 4

2005/09/21 22:05
テレビドラマ 野沢尚『砦なき者」 メディアの魔性
つい先日17日でしたがたまたま再放送の『砦なき者」を見ました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2005/09/20 21:17
明日より映画化公開 野沢尚『深紅』
2004年に野沢さんが首吊り自殺の報道を知ったときはびっくりしました。その2ヶ月ほど前に氏の最後のTVドラマになった『砦なき者」でそんなシーンがあったことを思い出しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

2005/09/16 21:11
本年度松本清張賞受賞作 城野隆『一枚摺屋』
時代劇のドラマや映画ではおなじみですね。号外配りのような、瓦版売り。実際には当時、市中で読み売りされた一枚摺(瓦版)はニュースの媒体というよりも好色ものを中心とした娯楽的色彩の強い絵草紙だったようです。ところが反骨の人・与兵衛が制作する一枚摺は硬派で実際の出来事、「記実」=記事を扱っていたのです。御政道を批判する内容だとお上も煙たかったことでしょう ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/09/04 23:49
薬丸岳 『天使のナイフ』最近の 江戸川乱歩賞にはなかったひさびさの傑作だ
刑事罰の対象にならない少年たちに妻を惨殺された桧山貴志。「殺してやりたい」と思わず憎しみの叫びをあげる。殺人者に対する怨みを晴らすすべがない、少年法の保護主義に対するやりばのない怒りが読者の共感を誘う。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 14 / コメント 4

2005/08/31 23:05
本年のミステリー中ベストワンか 奥泉光『モーダルな事象』
瞠目すべきは巻末のオマケにある千野帽子と名乗るお方の解説。これを読むと今読み終えた作品のイメージが一変するのだから、これは巻末のオマケではなく作品そのものの最終章ではないのか。 三流の女子短大で日本近代文学を講義する俗物・「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」(副題)振りに、プッ、フフフ、ゲラゲラ、ワッハッハと何種類かの笑いを押さえようとしても抑えきれない。酔生夢死のダメ男、トホホ男。人にほめられたい、一流になりたい、カッコよく見られたい、うまいものを食いたい、女にもてたいと人一倍欲はあ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 4

2005/08/27 13:05
ノベルズ版がでました。宮部みゆき『誰か』過去の作品と比較してみると
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが 私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、 社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく 一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

2005/08/24 20:36
文庫本が出ました。五條瑛『熱氷』 氷山ハンターの活躍は?
氷山ハンターという職業は知らなかったが、ミネラルウォーターの原料にするため氷山を採取するビジネスがあるのだそうだ。 「めぼしをつけた氷山をライフルで狙い撃ち、適度な大きさの塊に崩してから船に積む。小さな鉛の弾が当たっただけで固い氷は崩れない。安全に必要な分だけ崩すことがとても難しいのだ。無茶な崩し方をすると危険な回転が起こり、周辺にいる小型船など氷山の回転が引き起こす波に呑まれて転覆することになる」という危険な職業である。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/08/21 18:08
絶賛された 古川日出男『アラビアの夜の種族』 ただ眠くて眠くて………
2001年12月に刊行された本著を初版で購入し、積読していました。先般、著者の『ベルカ吠えないのか?』が直木賞の候補にあがったことから、当時大変評価の高かったことを思い出して読んでみました。日本推理作家協会賞、日本SF大賞を受賞しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 5

2005/08/10 23:57
横山秀夫 『震度0』 警察小説の進化?退行ではないのか
県警本部のトップクラスがここまでノワールな人間の寄せ集まりではないだろう。だが、現に神奈川県警の不祥事もみ消しが頻発しているところ、道路公団の官製談合などを毎日聞かされるとやはり役人たちは腐敗しているのかなと。 大震災の朝、一人の県警幹部が失踪した。県警事情に精通し、人望の厚い不破がなぜ姿を消したのか?県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、4年前の選挙違反事件なども絡まり、保身と野心、激しい内部抗争を背景に密室劇の幕が開く 登場人物は6人。N県警察本部のナンバ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 15 / コメント 7

2005/07/29 06:15
再び、恩田陸『ユージニア』 神と悪魔に魅入られた母娘
この小説はあのラストでふれられた母娘の関係があまりにぼんやりしていることでフラストレーションを発散できないままに読み終えることになります。丸窓の狭い部屋は母が神に祈るための密室なのですが、娘を引き込んで娘の精神を恐怖で狂わせるなにかがあったことを暗示しています。 具体的になにが行われたのかは説明がありません。私はスティーヴン・キングの初期の作品で映画化されヒットした『キャリー』に状況の類似性を感じました。主人公キャリーの母親は狂信的なクリスチャンです。特に性的なものを病的にタブー視する不気... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/07/25 14:03
恩田陸『ユージニア』ミステリーとしては欠陥商品だがソフトなオカルトホラーなのかもしれない
恩田陸の作品を読むのはこれが初めてです。推理小説を読むつもりでした。売れっ子作家のしかも直木賞候補となった作品ですからいろいろと期待したくなります。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 10 / トラックバック 7 / コメント 3

2005/07/19 22:11
笹本稜平の新作『極点飛行』 待望の冒険小説であったが………
期待はずれの「冒険小説巨編」 このところ日本人作家による冒険小説の傑作にお目にかからない。外国もので最近のことでは、ラドラムの『メービウスの環』が楽しめたものだから、待望していたこともあって笹本稜平の最新作を早速読んだ。エベレストを舞台にした著者の『天空への回廊』の面白さに忘れがたいものがあったからだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/07/17 18:23
乃南アサ 『鎖』 古くさい女をまだ書いている
最近の女流作家は男勝りに相当骨太の小説を書いています。一読すると男が書いている作品と勘違いしてしまうものもあります。そうした作品読みますと作者の視点が男女の違いを超越した座標軸にあることに気づかされます。典型的な作者は桐野夏生や篠田節子でしょう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/07/12 09:42
村上龍 「希望の国のエクソダス』アナーキーなエネルギーの爆走に希望を託せるか?
『なんとなくクリスタル』という私などは薄っぺらいとぐらいにしか思わなかった小説で文壇デビューした男が県知事になって絶大な人気を集めている。しかし、有力支持者の中ですら「あいつはまだ作家にしか過ぎん。政治家ではない」と批判の声を大きくする人が少なくないと………、さもありなんと納得しつつ、一方で「ドラッグ、セックス、ロックンロール」とかいった安手の風俗を扱ったかのごとき小説『限りなく透明に近いブルー』で芥川賞を受賞した男が最近はインターネットの世界でわが国の政治・経済・社会構造を憂え、特に教育問... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 3

2005/07/11 21:46
東郷隆 『最後の幻術』 歴史短編小説の読みどころ
歴史時代小説9編がおさめられた短編集である。初めて読んだ作者であるが出版社が「新人物往来社」だけあって、歴史全般に相当の博識な方と見えた。全体に和漢混淆の記録文体と文献の適度な引用により虚構ないまぜの世界を展開して飽きさせない。実在の人物同士、作者の創造上の人物の組み合わせの妙、そこから生まれる意外性は歴史小説を読む醍醐味でもあり、ミステリー愛好者にも通ずるものがある。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/07/08 22:46
垣根涼介 『君たちに明日はない』これが山本周五郎賞???
今年度の山本周五郎賞受賞作。山本周五郎賞は平成15年、京極夏彦の『覘き小平次』平成16年、熊谷達也『邂逅の森』が該当作品であり、新潮社がスポンサーとなってそれなりの文芸作品を対象にしているのかと思われた。垣根涼介の作品は『ワイルドソウル』を読んでみたいと思っていたところで、「山本周五郎賞受賞」をおおきく白抜きした表紙帯にひかれて、まずこの作品から読むことにした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 2

2005/06/27 22:13
土屋隆夫『盲目の鴉』 謎解きと叙情とのみごとな融合 20年以上前の名作
創元推理文庫で土屋隆夫推理小説集が刊行されている。たいていの作品は読んでいたこともあり、積読状態でしたが、未読であった『盲目の鴉』を読んでみた。20年以上も前の作品だが、今読んでも傑作だといえるアリバイ崩しの本格推理小説でした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/06/24 23:51
篠田真由美 『アベラシオン』正統派のオカルティズムそしてゴシックロマンでもある
イタリア、山中の巌上にそびえる「聖天使宮」に圧倒される藍川芹。壮麗さの極致が破滅の運命を予感させる、この幕開けは緊張感をいやがうえにも高める。 『ダ・ヴィンチ・コード』を読まれた方には是非とお薦めします ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/06/23 23:07
藤原伊織の最新作『シリウスの道』あの期待を肩すかしされた傑作
広告業界、異彩のサラリーマンが現場で大活躍するその展開に引き込まれて、電車を乗り過ごした。だが直後に藤原伊織のあのイメージからは期待がはずれた凡作と思った。そして一日たったところでこれは傑作だと気がついた。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 10 / コメント 1

2005/06/21 23:21
04/09/05 船戸与一 『降臨の群れ』 インドネシア共和国アンボン島で現在進行中の複雑な内乱
ロシア・北オセチア共和国の学校占拠テロによる死者は330人を超えるという報道がなされている。チェチェン独立運動の武装勢力による犯行と見られており、また先月の旅客機テロ、自爆テロと続きイスラム原理主義過激派の関与が取りざたされている。あまりに度重なる凶事に、またか、と多数の子どもの犠牲者がでる最悪の惨状にも感覚が鈍くされてしまっているほどだ。 強大国による圧制の歴史を塗り替えようとするマイノリティーの独立運動、異民族、異文化の摩擦、さらに先鋭化する宗教対立、複雑に交錯する諸外国の利害、そして... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/06/19 12:48
ミステリーにおける饒舌の効用と瑕について
「陰摩羅鬼の瑕」について ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/06/17 21:20
04/07/25 傑作の密室トリック 貴志祐介 『硝子のハンマー』
ミステリーの本格密室ものはなかなか映像化しにくいのだがこれはそのまま映画化しても面白いだろう。 殺人の現場が「六本木センタービル」と言っても回転ドアにはさまれて子どもがなくなったあの超高層ビルではない。12階建てのこじんまりしたビルだ。新興の介護会社「ベイリーフ社」の役員室はその最上階にあって、開閉のない強靭な窓、いくつかの最新の電子機器と警備保障会社の堅いガードなど、鉄壁のセキュリティーシステムでよそ者の侵入から防御されている。 そこで社長が殺された。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/06/11 23:53
04/05/12  87歳、土屋隆夫、最新作『物狂い』にみる老成の心意気
舞台やステージや高座で、最盛期に到達したころの当時の面影を偲びながら、晩年を迎えた先達たちが演ずる至芸を鑑賞することがある。鋭い時代感覚はすでにない。目を見張るような新しい工夫があるわけではない。所作や語りに往年の勢いはなく、また容姿の衰えも隠しきれない。それでもなお深い感銘をおぼえるのは現時点の演技そのものにあるのではないのだろう。この道一筋にかけ自己の表現する独自の世界を築きあげたものの誇り、流行におもねることなくひたすら余命をここになげうとうとしているものの情念、時には鬼気迫るがごとく... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/06/09 22:59
01/02/04 手品とミステリー 泡坂妻夫『奇術探偵 曽我佳城全集』
私は手品とかマジックを見るのが大好きなのです。 超能力ショウや催眠術ショウもいいですね。 もっともやって見せることもある。 私がやってもばれないのですから、玄人のマジックは絶対に見破れません。 タネを見破れなくて口惜しくて口惜しくて居ても立ってもいられない人はたくさんいます。 見破れなくても楽しめるのがマジックのはずです。要は騙される楽しみです。人間どこか、騙されることに快感を覚えるそんなところを待っているものです ミステリーの醍醐味もここにあるのじゃあないかな。こういうのを新... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/06/07 11:35
02/08//25 服部真澄『バカラ』 IT事業で成功した若き企業家がのめりこむ地獄
びっくりしました。2002/08/24の日経夕刊トップによれば「カジノの解禁を求める動きが各地で活発になってきた」「自治体が財政難に苦しみ、地域経済が停滞する中、活性化の起爆剤にしようと官民の研究会が次々と発足」特に石原都知事が積極的であると。記事に触れられていないところは声のあるところ利権ありの原則です。 2002/08/25 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/06/04 20:35
03/10/07横山秀夫『クライマーズ・ハイ」君の人生には熱く語れるものがあったか?
君の人生には熱く語ることのできるなにかがあったか………と厳しく問いかける男がいる。 まもなく退職年齢を迎える悠木和雅、私より2歳年下の57歳。群馬県の地方紙「北関東新聞」のベテラン記者であった彼は17年前に左遷されたまま山奥の草津通信部で村の小さな出来事を書き続けている。17年前日航ジャンボ旅客機が御巣鷹山に墜落し、その事件の総括デスクとなった。機動力に乏しい地方新聞社の内心は迷惑な大事件なのである。しかし、記者人生にとって、この田舎ではこれ以上の大事件は生涯に出くわすことがない、まさに乾... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/06/03 10:24
「「怪人二十面相」の思い出
「「怪人二十面相」江戸川乱歩著」について 懐かしいですね。このシリーズは戦後はたしか雑誌「少年」に連載されていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2005/05/30 15:49
04/02/22奥泉光 『新・地底旅行』はヴェルヌ『地底旅行』の後日談というユーモア小説
小学生の頃、少年雑誌に連載されていた日本版ターザンの山川惣冶『少年王者』に夢中になったが、そのころ産経新聞(だったと思う)に同じ作者の『少年ケニア』も連載されていてこちらも記憶に残っている。むしろ『少年ケニア』は『少年王者』よりも低年齢向きであって、主人公が地底世界で恐竜(ティラノザウルス)と闘う怖い場面があった分、少年たちの間では人気が高かった。コナン・ドイルにも『失われた世界』があって、これは「地底」ではなく人跡未踏の高度をもった「台地」であるが、やはり恐竜が登場する。 ジュール・ヴェル... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/05/25 20:50
04/02/20これに女は痛快感を覚えるか?東野圭吾 『幻夜』男は被虐の喜びか?
阪神大地震で壊滅した街の瓦礫の中から過去を捨てて一組の男女が再生する。どさくさのさなかに叔父を殺害した男とその現場を目撃し沈黙している女の二人は東京へとむかう。もう一人の目撃者から脅迫される男と脅迫された男を救う女。女のいうがままになる男と男を徹底的に利用する女。無垢な娘に好かれてもこの悪女と別れられない男と男たちを踏み台にして金と地位を我がものにしていく女。破滅する男と成功する女。この女のクライム・サクセスストーリーは単純で読み手の予想通りに、しかしいつ露見するかと心配させられながら、犯行... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 2

2005/05/25 20:46
「「藤原伊織氏のガン発症」について」について
「「藤原伊織氏のガン発症」について」について 「ファンキーなじじい作家」なんていかにも藤原さんらしい。早期再登場を祈るばかりです。 6月に長編『シリウスの道』が発刊されるそうです。文芸春秋社ですからなにかベストセラー入りの企みがあるかもしれませんがこれは見逃せそうにありません。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2005/05/25 12:51
藤原伊織氏のガン発症
<藤原伊織さん>小説誌に寄稿し食道がんを告白 [ 05月22日 19時22分 ] 毎日新聞  直木賞作家の藤原伊織さん(57)が、食道がんを発症し、5年生存率が約20%と告知されていることが分かった。発売された小説誌「オール読物」6月号(文芸春秋)に寄稿して、自ら明らかにしている。  寄稿によると、がんが分かったのは今年2月中旬で、3月中旬から断続的に入院して放射線治療などをしていた。6月に4回目の入院予定。  藤原さんは、95年の作品「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞と直木賞をダブ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/05/25 01:36
高村薫「レディ・ジョーカー」への思い入れをつれづれなるままに
宮部みゆきを読み終えていまさら高村の「レディ・ジョーカー」の凄さを感じる。これまでも折々に感じたことをメモしてあったがそれらを記してみよう。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 3 / トラックバック 11 / コメント 3

2005/05/24 16:59
宮部みゆき 『日暮らし』 「癒し」を求める読者に応える作品ではあるが………
毎日、毎日を平穏に平凡につつがなく生きていくこと、それ以上のことは望まない人たちがそのご近所にたくさんいる。周囲と調和することで最も安らぎを得られるタイプ。町方役人・平四郎とその女房、平四郎の甥で佐賀町の藍玉問屋河合屋の五男坊・弓之助13歳、世話好きな煮売屋・お徳、植木職人・佐吉夫婦、本所元町に住む岡っ引き・政五郎、その子分で13歳のおでこなどなど。そこではこれらやさしさにあふれた人たちが助け合いながらおまんまを食っている。市井の片隅にこじんまりとした、あったかい人情に包まれた日常がそこにあ... ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/05/24 00:13
知られざる山岳冒険小説の傑作 樋口明雄 『光の山脈』
海外作品に比較して、日本の小説で「山岳冒険小説」というジャンルで傑出した作品はあまり多くない。真保裕一の『ホワイトアウト』は例外中の傑作だった。実は、昨年の初めにこの作品を読んだときに『ホワイトアウト』に勝るとも劣らない掘り出し物を見つけたような気がした。自然を愛するものたちと環境破壊という社会性、大自然の峻厳な描写、動物とのふれあいなど(それは熊谷達也「邂逅の森」に通ずるところがあるのだが)バイオレンスの迫力を背景に三拍子も四拍子も揃った傑作に思えたのだが、不思議なことにヒットすることなく... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/05/19 15:34
私も読んだ嗤う伊右衛門』
「最近読んでいる本、「嗤(わら)う伊右衛門」」について ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/05/15 14:08
町田康 『告白』  「河内十人斬り」河内音頭に歌われる明治の惨殺事件をモデルに
灰神楽三太郎・森の石松・八尾の浅吉を合計した大馬鹿者の一生。国定忠治も思わずニヤリとするだろう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 4

2005/05/15 13:09
2003/11/27宮部みゆき『誰か』期待を裏切られたこの凡作
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2005/05/13 14:01
03/11/24京極夏彦 『嗤う伊右衛門』幽霊のでない四谷怪談の恐怖
この京極流四谷怪談、時代設定はあの四谷怪談でありますが、明日の見えない現代の不安とそこで生きるもののこころの歪みをあな恐ろしく描写しています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/05/13 13:05
文庫本で発売、バイオレンスもふんだん、藤原伊織「蚊トンボ白髭の冒険」
「蚊トンボ」、「冒険」なんていい大人が読むには題名からして人を食った本だと誤解されかねない。さらに内容が超能力者ものなのだからばかばかしいと思い込まれる方も多いに違いない。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2005/05/08 08:07
「「柔らかな頬」 桐野夏生」について 桐野夏生の作品に見る女性像
普@「柔らかな頬」 桐野夏生」について 私も桐野夏生の作品を初めて読んだのが「顔に降りかかる雨」でした。女性版ハードボイルドといった印象でそれまでにはなかったタッチで女性を描く作家だと思いました。「柔らかな頬」で一層その感を強めました。 夫婦の関係、男女の関係については全く対等に男を見つめる、そして「日常」からの逃避あるいは飛翔、孤独の放浪に自己を確立する女。非常に新鮮でした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 3

2005/05/06 14:39
最新作「灰色の北壁」、真保裕一、感動の山岳ミステリー誕生
「山岳ミステリー」!! この作品は真冬、豪雪の山奥。そこのダムを舞台にしたデビュー作『ホワイトアウト』という傑作冒険小説の類ではない。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/05/06 12:52
03/08/21 自己確立のプロセスが娼婦への道であった女 桐野夏生『グロテスク』
じっとりと湿ってすえた万年床の異臭、安手の脂粉に混じった体液と汚物に加え、病んだ精神の腐敗臭がページを繰るごとに強まってくる。グロテスク! ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 11 / コメント 3

2005/05/02 14:10
03/07/06 船戸与一『夢は荒れ地を』そのためには不法も暴力もやむなしと船戸節炸裂
(1)カンボジアにおいては、長年にわたった内戦が残した銃器や手榴弾等の武器が反政府組織の手に渡ったり、一般社会へ大量に流出しており、凶悪犯罪が多発する一因となっています。都市部以外の数多くの広範な地域では、治安当局の力が及ばず、武装強盗団や誘拐団が出没しています。また、カンボジア国民の間では一般的に反ベトナム、反タイ感情が強く、これらの感情に起因する暴動も発生しています。 (2)日本人を含む外国人を狙った犯罪も増加傾向にあり、2002年8月3日には、日本人女性の滞在者が、入居していたアパー... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/26 19:34
03/06/01真保裕一『繋がれた明日』 東野圭吾『手紙』と並ぶもう一つの「罪と罰」
加害者あるいはその家族の「償い」のありかたを被害者の家族の「憎しみ」とぶつけて問うというテーマで二人のベストセラー作家の作品が同時期に競いあう形で発表になっているのは興味深いことである。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/22 00:39
03/05/26篠田節子『コンタクト・ゾーン』ド田舎の爺さま婆さまとピカピカのシティ熟女の連帯
ド田舎の爺さま、婆さまたちとピカピカのシティ熟女との連帯。古きよき村落共同体の滅びの宿命に対するこの命がけの抵抗に声援を送ろう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/20 23:46
03/05/22東野圭吾『手紙』 この日本的現代版「罪と罰」に救いはあるのか
さすがミステリー作家らしいある意味で二重、三重のわなが仕掛けられてあり、読者は心情的にさらに頭脳的に混乱させられます。しかしミステリーとは全く異質の作品でありました。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 7 / コメント 3

2005/04/20 20:44
03/05/05ドンデンガエシが巧く決まった本格謎解きミステリー 貫井徳郎『慟哭』
白装束に身を包み、トラックを連ねて迷惑を省みない宗教団体がいる。執拗にタマちゃんをとらえようとする宗教団体がいる。クローン人間を誕生させたという宗教団体もいる。なんとなく薄気味が悪い世の中になったものだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 2

2005/04/20 05:57
03/04/09 粋なラストとは思えなかった鯨統一郎 『ミステリアス学園』
ニックネームさひろさんからのつぎのようなお薦めいただき早速に読んでみました。 今年の各種ランキングにはまだまだ早いこの時期ですが、私の一押しを見つけてしまいました。それが「ミステリアス学園」です。 架空の大学「ミステリアス学園のミス研(略称ミスミス研)」で起こった『連続殺人事件』を扱った連作短編の形をとっていて、探偵役はこれまで1冊しかミステリーを読んだことのない新入部員という設定です。 新入部員のためのミステリー講義を織り込みながら話は進んでゆくのですが、短編7話のタイトルが「本格... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/04/20 05:54
03/04/05 横山秀夫『半落ち』はなぜ直木賞を受賞できなかったかー2
『半落ち』とこの『動機』を読んで、さらに『半落ち』が直木賞を受賞できなかったことを思い合わせて、横山秀夫のこれまでの作風で気がついたことがあります。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/04/18 23:51
03/04/05 横山秀夫『半落ち』はなぜ直木賞を受賞できなかったのかー1
横山秀夫の作品は『半落ち』を最初に読んだだけでしたので日本推理作家協会賞受賞の『動機』を読んで、その作風にある共通の個性的魅力が感じられました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/18 23:01
03/02/23高村薫の直木賞『マークスの山』 その4「その後」
その後、高村はミステリー最後の最高傑作、犯罪兼企業小説『レディ・ジョーカー』を発表する。 ここでは事件に巻き込まれた大企業の経営者たちの真剣な対応姿勢が実にリアルな筆致で描かれていることに驚かされた。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/04/17 21:59
03/02/23 高村薫の直木賞『マークスの山』 その3「誰がバブルを告発できるか?」
日本の権力構造をとらえる高村薫の視点に関することである。 初稿を読んでもう10年近くもたつのかと、私自身この間の時の経過、その凝縮された濃度を実感する。 バブルという魔物に日本の全体構造は窒息状態に追いやられた。 その魔物の周囲で数多い不正義があった。 私の友人・知人の幾人かはその責めを問われ被告席に立たされた。 経済的制裁、社会的制裁をうけた友人・知人の数は知れない。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/04/17 12:05
03/02/23 高村薫の直木賞『マークスの山』 その2「10年後の印象」
実は1993年に初稿版を読んだときには直木賞受賞とはいえ、退屈だった記憶を除いて印象が薄い作品であった。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/17 11:39
03/02/23 高村薫の直木賞 『マークスの山』 その1
このほど改訂版が発刊された。 帯には「警察小説の金字塔」とある。まさに文字通りの傑作である。 マークスと名乗る二重人格の青年の狂気と仲間の秘密を共有しあった政・財・官・法曹界のエリートたちの狂気、二つの狂気が交錯する暗闘に警察組織が翻弄される。ほとんど手がかりがないまま進行する連続殺人事件の真相を追う合田刑事たちの地道な捜査活動、そこで繰り返される試行錯誤、警察という厳しく管理された組織とそこで生きる男たちの苦闘ぶりだけでなく、それぞれの個性、喜怒哀楽を活写する。 年がら年中顔を合わせ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 1

2005/04/17 10:53
騙されて快感を覚えるミステリー「葉桜の季節に………」
「「葉桜の季節に君を思うということ」歌野晶午」について ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 6 / コメント 1

2005/04/16 19:16
03/02/12 たまには本格謎解き小説の傑作中の傑作をー2
外界と隔絶されたいわば巨大な密室でおこる連続殺人プラス「見立て殺人」である『そして誰もいなくなった』の類型作品は数多くあって最近では 山田正紀      『ミステリ・オペラ』 笠井潔『オイディプス症候群』      マイケル・スレイド『髑髏島の惨劇』 があげられる。 三作品とも一昨年、昨年のミステリーベストランク入りした作品ではあるが、比較すればこのオリジナルの傑出ぶりがますます際立つのである。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/04/14 22:07
03/02/12 たまには本格謎解き小説の傑作中の傑作をー1
孤島の豪邸に10人の男女が招かれるが主の姿はない。全員が集まった広間にどこからともなく怪しい声が響き、10人の隠された過去の罪状が暴かれる。各人の部屋には「マザーグースの子守唄 10人のインディアン」の歌詞が書かれた羊皮紙が掲げられている。ダイニングルームにはインディアンの人形が10個、飾られている。そして子守唄の歌詞どおりに殺人が進行し(この形式の殺人プロセスをミステリー用語で「見立て殺人」と呼称する)、人形はそのたびに壊れていく。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/14 20:05
03/02/03 大沢在昌 『砂の狩人』 大沢バイオレンス
ふと映画「スター・ウォーズ」シリーズの印象のことを思い浮かべた。あれをはじめてみたときは冒頭まず、大画面を縦断する巨大戦艦の質量感に圧倒された。そして空想科学小説の想像の世界でしか描けなかった星間戦闘を実にリアルに映像化した超重量級激突の連続に舌を巻きながら、一貫した勧善懲悪のストーリーを理屈抜きに楽しんだものだ。ところがである。シリーズがすすんでの最近の作品は映像技術のいっそうの進歩もありこの激戦シーンはますます迫力を加えているのだが、ラブロマンスや親子の愛憎、正義のヒーローに内在する暗い... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/04/14 13:57
03/01/11魔岩に仕掛けた家康三百年の深謀
荒山徹 『魔岩伝説』 久々の大型伝奇時代小説を堪能しました。まず、朝鮮通信使とよばれる李朝朝鮮とわが国の歴史的な外交の制度について全く知らなかったものとしては、いたく好奇心を刺激させられました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 1

2005/04/09 23:18
03/01/05 憎悪をエネルギーとして暴走する女の自己破壊
桐野夏生『ダーク』 主人公のミロは14歳の時に死の床にある実母から、枕元にいて見取って欲しいと懇願されるのを拒絶し、中学の行事八ヶ岳合宿へ参加する。やくざ組織の調査員である父は合宿へ向かう不実の娘に背を向ける。細い山道の奥の合宿現場に母の危篤を知らせる組織の幹部がベンツで乗り付ける。父と信頼関係で結ばれているこの朝鮮人の幹部は車内でミロに現在の父は本当の父ではないことを告げ、少女の親不孝行為を責めるではなく、それでいいんだ「冷たいようですが、そのくらい負い目を持った方がこれから生きやすい」... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/04/09 18:11
2002年12月17日年寄りには重い『オイディプス症候群』
笠井潔 『オイディプス症候群』 われながらこれだけのボリュームを誇る(大作1600枚)パズル小説を曲がりなりにもよく読破したものだ。しかし、来年には還暦を迎える高齢者にとって手首に疲労感がいつまでも残っているだけで、どこをどう感心してよいやら正直いってさっぱりわからないのである。 最近は読者が本を選ぶだけでなく「本が読者を選ぶ」という不遜なミステリーが横行しているらしいが、どうやら3200円の大枚をはたいて買ったこの本から嫌われたようで、そうなると年寄りのグチのひとことなど申し上げたくな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/04/06 18:44
2002年12月12日 練達のテーブルマジックだが減点あり
東野圭吾 『ゲームの名は誘拐』 「人生はゲームである」と開き直って、勝ちを続けている男が二人登場する。 ひとりは広告代理店に勤務、彼の企画したイベントのことごとくが成功している才知の持ち主、女にもまたモテモテの主人公である。 もうひとりは大自動車メーカーの辣腕副社長である。 このメーカーから依頼された大型イベントの企画リーダーであった主人公は副社長の美学にそわず満座の席で罵倒されチームから外されてしまう。腹の虫がおさまらない。なんとかしてひと泡吹かせてやりたいと、じりじりとしていた... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 3

2005/04/05 23:05
2002年12月9日 酷評。真保裕一『誘拐の果実』
真保祐一『奪取』は偽造紙幣犯罪小説としてA級の作品であった。逆転に継ぐ逆転のストーリー展開、贋札工程のディテールは迫真性をさらに密にし、この緊張感ある大型犯罪小説を堪能した。さすが、当時は目新しかった日本版冒険小説『ホワイトアウト』の作者であると感心したものだ。 誘拐犯罪を扱ったミステリーには名作がいくつもあるが、『奪取』の作者であれば新鮮な切り口を見せてくれるに違いないと楽しみにしてこの2段組500ページの分厚い巨編を手にした。 誘拐テーマではもう一つ、東野圭吾『ゲームの名は誘拐』が発... ...続きを見る

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 2 / コメント 1

2005/04/05 22:54
2002年11月9日 敢えて激辛モードで批評すれば
五條瑛 『熱氷』 宣伝文句につられ、高い買い物をして失敗することがよくあります。装丁帯にこうあった。 俺は、人は撃たない。撃つのは氷だけ。人気絶頂の現総理の元に脅迫状が届く。姿を見せない脅迫犯と氷山ハンターの男、三日間の息詰まる攻防。注目の大型作家、待望お長編エンターテインメント ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/04/01 23:42
2002年10月19日ナチズムの狂気を幻想的に描いた地獄図
皆川博子『死の泉』97年10月に発表された作品である。98年1月に買って読みかけたものの、ホラーか単純なミステリーであると誤解していたので、途中、ストーリーの展開に見えないところがあったために、読み続ける興味が薄れ、頓挫した。改めて手にとった次第だが、今回はそれなりに歳を重ねたのであろうか読み応えを感じた。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/03/29 21:47
「昨日やっと」の「続巷説百物語」
「昨日やっと」について 京極夏彦のこのシリ−ズはいずれも傑作ですね。 オジサンも楽しく読みました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/27 18:24
2002年8月25日 生真面目な方が目を背ける。帚木蓬生『エンブリオ』 反吐が出そうなグロテスク
帚木蓬生『エンブリオ』 かつて山崎豊子は「白い巨塔」で人の命をあずかる医療業界の腐敗、権力闘争を描き、社会的注目を浴びた。同じく医療業界のお話なのだが………。 生真面目な作品が続いた帚木蓬生にしては医療業界の新しい分野における恐るべき「犯罪」を大胆に描いて読者の背筋をふるえあがらせる。テーマは深いところにあるのはわかるが、とにかくグロテスクなエピーソードの氾濫に度肝を抜かれる。  ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/03/27 18:00
2002年8月12日 マカロニウェスタンではない古きよき時代の西部劇
逢坂剛「アリゾナ無宿」 逢坂剛が書いた西部劇ということで注目されていいと思って読んでみた。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/03/27 17:20
2002年7月31日 不倫のアリバイ 深谷忠記「目撃」
自宅近くの公園で毒殺された男の妻はその時刻、渋谷のラブホテルで不倫をしていたとアリバイを主張する。しかし、彼女をその時刻に公園で見かけたという目撃者が二人もあらわれ、第1審は有罪判決が下っている。これを第2審で担当する女性弁護士の逆転無罪を勝ち取るまでの法廷活動が丹念にかかれている。また、不倫現場を目撃した娘の母に対する憎しみ、暴力行為をやめない父に対する憎しみ、周囲からの冷遇、そして精神障害などに作者のやさしい視線が感じられます。 さらに物語は重層しつつ、8歳のときに母が父を刺殺する現場... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/03/27 12:23
2002年7月26日 逢坂剛の第一級サスペンスといえばこれだ
「ノスリの巣」。逢坂剛、「百舌シリーズ」の最新作が刊行された。ノスリは野鼠や小鳥を捕食する鷹の一種らしい。ヨタカとも読むようであり、新たな女の刺客が登場するのかなと思い巡らせるだけで、前作の「よみがえる百舌」が期待はずれだったこともありまだ購入する心境にはない。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/26 14:11
大がかりな「劇場型犯罪」が進行中なのかもしれない
フィクションの世界で「劇場型犯罪」を描いた代表作といえば宮部みゆき『模倣犯』 だろう。昨年のベストセラーになった雫井脩介『犯人に告ぐ』では「劇場型捜査」という捜査側が逆手にとった独創的シロモノを披露して見せた。いずれも大衆心理がマスコミによってヒステリックに反応する社会現象を巧みに取り込んだストーリー展開で実に傑作のミステリーであった。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/03/25 16:10
映画「半落ち」がテレビ放映される。まだ見ていないので楽しみです。
この作品が発表された当時、傑作に出くわした感激を次のように記してある。いまでもその感動は変わらない。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 10 / コメント 0

2005/03/23 00:10
2002年7月21日 「本格推理」にひそむ小説としての限界 
土屋隆夫「聖悪女」 「三つの乳房を持つ女の辿る戦慄の運命。日本ミステリー文学大賞を受賞した斯界の巨匠が85歳の誕生日に書き上げた渾身の書き下ろし長編推理」 とある。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

2005/03/22 23:47
2002年6月14日北村薫『六の宮の姫君』に挑戦する
ある人からミステリーファンとしてはこれは読むべしと指摘があって、本屋で手に取ったところ表紙挿し絵がインテリお嬢さん風な青春劇画ものだから、いい歳の大人が読むものではないなと気恥ずかしい思いでためらいつつ買ったものだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/03/22 10:40
2002年6月3日  第5回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作はどうだったか
『ボーン・コレクター コフィン・ダンサー』から『エンプティー・チェアー』までリンカーン・ライムシリーズを読まれた若い方から「日本のミステリーでこのような面白い小説はないでしょうか」とたずねられ、ハタと困った。「このような面白い」の意味は犯罪のスケールと重要にかかわっている。しかも現実感がともなわなければあれだけの緊張感は生まれない。あまりないのである。若い人は時代小説を好まないが、ジャンルをここまで広げると紹介できるミステリーはいくつも見えてくる。ひとつあげると池宮彰一郎『四十七人の刺客』な... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/03/21 20:01
2002年6月1日 「旧い日本的なこころ」を捨て切れない男たち「蚊トンボ白髭の冒険」
今、無残にもメルトダウンしつつある「旧い日本的なこころ」を捨て切れない男たちの哀切を限りなく滑稽に、さらにふんだんにバイオレンスを取り込んで描いた現代の寓話といえよう。 それが藤原伊織『蚊トンボ白鬚の冒険』だ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/21 19:44
「『続巷説百物語』 京極夏彦 」について
「『続巷説百物語』 京極夏彦 」について 京極夏彦の作品はいくつかのジャンルにわけられるように思われますがこの「巷説百物語シリーズ」は超自然現象であるバケモノの世界に見えて実は本格推理小説の論理を積み重ねている傑作ですね。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2005/03/21 19:06
2002年5月6日 山岳冒険小説「天空の回廊」エベレスト山頂の死闘
普段運動靴など履いたことのない身で、エアクッションのウォーキングシューズと軽便なリュックを買い求め、この連休の3〜5日に秩父34ヶ所札所巡りを徒歩で30ヶ所まで巡礼をして、相当くたびれた。その経験からエベレスト登頂を舞台にする山岳小説の迫力はまた格別の感がするものである。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/19 01:04
迫真の大犯罪小説、その醍醐味 高木彬光「白昼の死角
西武鉄道オーナー支配の終焉とライブドアのフジテレビ乗っ取りは、日本の今をわかりやすく象徴する経済事件ですが、ずいぶん前に読んだ高木彬光「白昼の死角」には戦後動乱期の経済社会を象徴する類似のエッセンスがあったような思いがして古い日記をめくってみました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/03/17 22:35
2002年4月14日 愛のない夫婦の家庭崩壊………と定番
連城三紀彦「白光」 連城三紀彦の作品をはじめて読んだ。実はもっと若い世代の方と勘違いしていました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/03/17 22:30
2002年3月31日 こんなダメオヤジにはなりたくない
歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」 初めて読む作品で作者のすべてを推し量ることは失礼にあたるとわかっているつもりだが、定価1600円の価値があるとは到底思えないそのできばえに、この人はどういう人なのだろうと変なところに関心を持った。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/17 22:27
2002年3月16日 現代版キリストの寓話 半村良『岬一郎の抵抗』
SFの夢と下町の人情が織り上げる現代版キリストの寓話。半村良がなくなった。『産霊山秘録』『石の血脈』さらに集大成としての『妖星伝』と、半村良が作り出した伝奇SFという妖しい世界に夢中になったときがあった。しかし、むしろ直木賞受賞作である『雨やどり』など、今を生きる庶民の世界、欲や名誉やメンツなどにこだわったりしない人情噺をかかせてその本来の奇才ぶりを発揮する人であったようだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 1

2005/03/14 19:01
2002年3月1日 夢枕獏『神々の山嶺』の強烈なインパクト!
外へでた。思わず、声のでそうな景観の中に、いきなり深町の身はさらされた。地上ではなく、いきなり、宇宙のただなかへ放り出されたようであった。頭上には銀河がかぶさっている。雲は一つもない。おそろしいほど透明な空に夥しい数の星がきらめいていた。月もないのに雪や岩の細かいディテールまでがみてとれる。雪明りと、星灯りとで、ここまで視界を得ることができるのかと思った。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

2005/03/13 15:54
2002年2月16日社会派推理小説の金字塔水上勉『飢餓海峡』
樽見京一郎は京都の僻村に生まれた。17歳で北海道に渡り貧困のどん底にあえぎながら必死で這い上がる。その彼が出世し社会的名声も得る。しかし、その成り上がりのためにはいくつかの残虐な殺人を犯さねばならなかった。下北半島、恐山のふもとの寒村で生まれ、親を養うために身を売る薄倖の女・杉戸八重との出会い。彼女は上京し、焼け野原の新宿、池袋、亀戸を酌婦・娼妓として転々とする。10年の歳月が流れ二人の運命の出会いから次の殺人事件が……… ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 1

2005/03/12 23:56
2002年2月10日マジックとトリック 折原一『沈黙者』
ミステリーのジャンルに「新本格」といわれる作風・作家群があって、ものの解説によると 「島田荘司の推薦をうけてデビューした京都大学推理小説研究会出身者を中心とする若手作家」たちとあった。実にわかりやすい解説だ。さらに「講談社新書版」から1988年以降続出した同じ傾向の作品群を指すようである。折原一は講談社系ではないが今では新本格派の第一人者であろう。新本格派はトリック至上主義がその作風であるといえよう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/12 23:38
2002年2月9日 鮎川哲也『黒いトランク』戦後本格推理小説の代表作、復刊
「これぞ本格推理」「本格の金字塔!純度100%のトリック」「読み継がれるべき不朽の名作!」とかねて本格ファンより復刊が期待されていた作品が出版された。 1956年、鮎川哲也の実質的デビュー作である。キャッチフレーズが語るとおり「戦後の本格推理小説の代表作」とされています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/03/11 23:05
2002年2月3日超重量級 山田正紀『ミステリ・オペラ』
押しも押されもせぬわが国SF界の巨匠、入魂の大作、宝島社「このミステリーがすごい!」の昨年国内編第3位でもあり、2段組み700ページの超重量級に挑戦してみました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/03/11 22:04
2002年1月19日 船戸与一 『緋色の時代』
期待はずれの大作 船戸与一が「虹の谷の五月」で直木賞を受賞、その後の長編第1作ですから期待が大きかっただけに「緋色の時代」には肩透かしを食らわされました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/03/10 16:29
「『陰摩羅鬼の瑕』(おんもらきのきず)京極夏彦著」に
「『陰摩羅鬼の瑕』(おんもらきのきず)京極夏彦著」について オジサンも京極夏彦さんが大好きでいくつも読んでいます。京極堂シリーズは「薀蓄」が魅力です。でもこの作品の犯人像はあまりにも「作りすぎ」で、オジサンの頭の働きではついて行けませんでした。ゴメンナサイ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/03/10 11:21
2001年12月8日 短編集・東野圭吾の「超・殺人事件 推理作家の苦悩」
誰がベストセラーをつくるのか。高名な毒舌タレント女史が脱税容疑で逮捕された。手口が幼稚であるのになぜこれまで当局は放置してきたのだろうかと首をひねった。いっときは茶の間のワイドショウでいまの外務大臣並の人気を集めていたほどだから税務署もうかつに手をだせば抗議の投書やら電話攻勢にあってつぶされていたに違いない。たとえマスコミにつくられた風評であっても大衆の支持によって人気者の徳がうまれる格好の見本がある。 ところで小説家にも脱税の手口があるのだそうだ。短編集・東野圭吾の「超・殺人事件 推理作... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 0

2005/03/06 23:36
2001年10月23日 奥泉光「鳥類学者のファンタジア」
太古、神の啓示によって与えられた「オルフェウスの音階」を「フィナボッチ数列」に置き換え、「ケプラー制作の惑星模型」においてこれを演奏する。この演奏舞台にキリスト磔刑で使用された槍の断片、これは「ロンギリウスの石」と呼ばれ、世界各地に存在するらしいのであるが、これを据えるとあら不思議!石は妙なる調べに共鳴し、膨大なエネルギーを発生させるのである。この秘密を解いたオカルト集団(のような組織)と敗戦色濃いナチスドイツの軍部が結託し、馬鹿でかい秘密工場のような演奏場を建設、いよいよ世界制覇をかけてそ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 7 / コメント 1

2005/03/03 14:53
松本清張「点と線」の思い出
最近、テレビドラマ化された松本清張の「黒革の手帖」がヒットし、また宮部みゆきが編集した短編集もベストセラーとなって、静かな清張ブームが起きている。「昭和史発掘」も復刊されるというから、うれしいことだ。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 6 / コメント 0

2005/03/02 15:00
ライブドア・ニッポン放送乗っ取りと夏樹静子「量刑」
ライブドアがニッポン放送株式を市場内時間外取引によって大量に取得したことから表面化したこの経済事件はフジテレビ側の新株予約権発行という毒をもって毒を制する対抗措置で新たな局面に入った。もともと市場内時間外取引には制度としてあるTOBの趣旨に抵触するのではないかとの考えがあった。一方、この新株予約権発行は既存株主の権利を侵害するとしてライブドアは差し止めの仮処分申請に至る。 このマネーゲームは経済力、政治力では終結の道筋はつけられず、まして商道徳という倫理の問題ではかたづけられない。そして立法、... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/02/28 16:17
2001年9月16日 宮部みゆき『R・P・G』どんでん返しが鮮やかに決まったパズル型ミステリー
宮部みゆきの「模倣犯」、あのボリュームを堪能したあとだけに、物足りないのではと先入観をもって「R・P・G」を手に取りました。なんと上等の鯛茶漬け!ひさしぶりの騙しのテクニックに、クリスティーを始めて読んだときの、それは「アクロイド殺し」、つづいて「オリエント急行殺人事件」でしたが、あの欺かれる爽快感にいっしゅん恍惚となりました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/02/26 16:36
2001年9月1日 川崎草志『長い腕』
ついでに読んだ横溝賞受賞作。角川が製作した映画はやたらに制作費・宣伝費をかけるのが多いのだが、トンと中身は薄いんですねぇ。横溝正史ミステリー大賞も同工異曲と思っていました。最近近所にブックオフが開店しまして時々顔を出す。ずいぶんと新しい書籍が並んでいて見て回るだけで楽しい。不思議なことに文庫本のほうがハードカバーよりも値段的には高いことに驚きました。全集ものなんかあきれるほど安い。岩波の漱石全集なぞ全巻そろっていないけれど、オヤジの残してくれた我が家にあるものよりはるかに保存状態が良好なのに... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 3 / コメント 2

2005/02/26 15:49
2001年9月2日 高野和明「13階段」
「量刑」に続いて読んだ乱歩賞受賞作 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 5 / コメント 0

2005/02/25 14:16
もっちゃんの読んだ夏樹静子「量刑」
人が人を裁く、そのプロセスの危うさにぞっとする ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2005/02/25 12:56
「桶川ストーカー殺人事件ー遺言ー」 もっちゃんより
このごろの警察と裁判について 発言者:もっちゃん 2005年2月23日(水) ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/02/25 12:43
2001年8月11日 帚木蓬生「逃亡」夏は追憶の季節
「夏は追憶の季節」 日本経済新聞のコラムにしては珍しくわが感性に共鳴するイントロだった。、恋のなきがらを追想するのではない。「亡き人を偲び、己の来し方を振り返る」「盂蘭盆会」であり、「戦争の罪業と平和の希求」である。 6月に父が他界し初盆を迎えるものであり、また追悼のまねごとに、反戦児童文学のジャンルにあたる父の絶版になった著作「村いちばんのさくらの木」を復刊したものにとっては、二重の意味で今後「夏は追憶の季節」と実感し続けるであろう。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/02/25 12:21
リアルタイム 京極夏彦「巷説百物語シリーズ」
宮部みゆきの時代小説が大変なブレイクのようですが同じくミステリー作家京極夏彦の時代小説もすばらしい。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/02/24 17:19
2001年8月1日 真保裕一 「黄金の島」ベトナム最下層の若者群像
ベトナム最下層の若者群像。現状打破へのふてぶてしさ ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/02/24 11:27
2001年7月16日 だらしのない亭主のカミさんは怖いですぞ
 奥田英郎『邪魔』に見る女の自我? ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2005/02/21 22:55
2001年7月15日 「理想の夫婦像」教えます 東野圭吾「秘密」
東野圭吾という作家の小説など年甲斐もなくと、手にとることもなかったのだが、『片想い』に続いて初期の傑作「秘密」、遅ればせながら、読んだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 9 / コメント 0

2005/02/21 22:44
2001年7月14日 友情って女性の間にもあるのでしょうか?東野圭吾「片想い」
a@ サラリーマン人生が終局を迎えそろそろ第二の生き方の楽しみを模索するようになりますと、今まで気づくことがなかったところに新鮮な輝きを見出すものです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/02/20 23:31
2001年7月12日 野沢尚「深紅」 発想に古さはあるが
 野沢尚は脚本家としてヒットメーカーであるがミステリー「破線のマリス」では97年江戸川乱歩賞を獲得し小説家としてもその才能を認められている。 「破線のマリス」もそうであったが、今回の「深紅」もジャーナリスティックな題材を特異な感覚でメスを入れ、ひきつけられるところがある作品であった。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 1

2005/02/20 19:27
2001年6月18日  井上尚登 「T・R・Yトライ」 
歯カ庫版が発売されました 横溝正史賞など読んだことはなかったのですが、これまでの受賞作っておそらく私の好みではなかったのでしょう、しかしこれは楽しく読むことが出来ました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/02/19 18:26
「宮部みゆき初体験なるか!?」について
「宮部みゆき初体験なるか!?」について 初体験ってやつはその思いがいつまでも残るものだから 老婆心ながら申し上げれば 『誰か』は彼女の失敗作としか言いようがありません。 初体験でイメージを悪い方に受けられては相手がかわいそう。 やはり「火車」ではないでしょうか。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/02/19 01:40
「「硝子のハンマー」★感想」について
「「硝子のハンマー」★感想」について 最近の密室ものミステリーにはない新鮮さを感じた。 最近の作品であっても舞台は現代ではなく昔々で、あるいはわれわれの生活とはまるで関係がない寒村、孤島や古城がほとんどである。それを都市の中の都市と言うべき六本木、サラリーマンならだれでも想像できる警備体制下の事務所ビルとリアルな設定にして謎ときの興味をマニアだけのものにしていない。 また、この作品では最新の建築技術とITシステムで具体的な密室空間を作り上げている。密室トリックには心理トリックあるいは作者の... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 1

2005/02/13 19:52
2001年5月6日 宮部みゆき『火車』再読
今なお親交の深い新聞記者のS氏から宮部みゆきの「火車」をどう思うかと問われた。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2005/02/10 01:04
2001年4月30日 宮部みゆき「模倣犯」 現代を生きるすべての人に懺悔を強いる告発の書
宮部みゆきがおそらく後世まで傑作として賞賛されるであろう犯罪小説を発表した。 「模倣犯」。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 9 / コメント 0

2005/02/07 22:45
2001年3月31日 土屋隆夫『天狗の面』の舞台
ミステリーの舞台として、孤立した村落共同体と権力者、迷信、因習へのこだわり、怪しげな宗教、漆黒の夜とかがりび、祭祀の異様な興奮、連続殺人事件、精神異常者、探偵とが登場すれば「おどろおどろしい」「血も凍る」「陰惨猟奇」、あの横溝正史の世界を描がくことが出来ます。 「黒祀の島」もまた使い古された素材をそのままに組み立てた作品でうんざりさせられました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/02/06 22:48
「「OUT」読んだ。」について
「「OUT」読んだ。」について それを我慢できない女たちの怖い怖いお話 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2005/02/03 16:24
2001年3月24日 小野不由美「黒祠の島」 この時代感覚の欠如を憂える。
私の実家筋は古くからの稲作中心の農家である。大消費地の近くに位置するものの、旧い生活習慣がいまなお幅を利かせているところがあって、特に嫁取り、婿取りの話となると一族郎党を率いるジイサマが大家族会議の統率者としても実権を堅持している。当然に本人たちの意向、親の意向は二の次となる。たまたまそういう場に居合わせ、意見を求められたがいやはやこれには参った。あげくの果てに「ところで、おめえのとこはネエチャン二人だが、まさか二人とも嫁にだすなんてこたぁしねえだろうな」と念を押される始末。そばでズウズウ弁... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/01/28 16:50
2001年3月17日 篠田節子が描く文明と文化の救いない相克 『弥勒』
アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバーンが、同国バーミヤンの大仏を破壊しようとしていた問題で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「すでに破壊が実施された」と発表した。タリバーン側は大仏の上部の破壊を認めていたが、国連機関による確認は初めて。 2001年3月12日の新聞報道 唐の僧、玄奘が求法の途上で立ち寄ったバーミヤーンにある世界最大級の石仏がイスラム原理主義勢力タリバンの手により破壊された。バーミヤーンの呼称もペルシャ語であるように、この地域の石窟文化はもともと東西文... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/01/28 16:34
リアルタイム 原ォの長編全作品を紹介します。
日本の本格ハードボイルドの魅力がここにあります。 一口に「ハードボイルド」と言ってもその定義が日本では相当広い範囲で使われています。ここではその原型を踏襲した原ォの作品を通じて今流には古いタイプになった「ハードボイルド」をそれでもなお共感する感性と視点でとりあげてみました。 (作品表題をクリックしてください) ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/01/27 10:35
2001年3月17日 黒武洋「そして粛清の扉を」 第1回ホラーサスペンス大賞受賞作
 くず鉄を金に変えるか、幻冬舎 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 1

2005/01/19 23:32
リアルタイム 斎藤純『銀輪の覇者』満州侵攻前夜のスポーツマンスピリット賛歌 
トンと競技型スポーツには無縁だったし、いまさらこの手のスポーツ賛歌に感動する歳でもないのだが……… ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/01/19 13:34
2001年3月11日 白川道「天国への階段」 古色蒼然の大メロドラマ
1950年代の前半、全国民がラジオの前に釘付けになったといわれた「君の名は」。当時次から次にいわゆる「すれ違いメロ」がラジオ・映画でドラマ化され国民大衆の涙を絞りました。 「思う人には嫁がれず、思わぬ人の言うまま気まま、涙こらえ、笑顔のままに………」 カラオケでももう歌わないでしょうね。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/01/17 23:17
2001年3月3日 梁石日「死は炎のごとく」 韓国現代史を描く迫真のテロル
ヒトラー、スターリン、ド・ゴールなど要人暗殺を描いたサスペンスミステリーの傑作はいくつかありますが、そこには虚構の前提があるからこそ、手放しで楽しめる世界があります。時代も、場所も我々とは遠く離れていていわば絵空事の世界です。一方スパイ小説、国家的陰謀小説で日本を舞台にした傑作はあまりお目にかかりません。 そんなわけで梁石日「死は炎のごとく」の日本を舞台にした韓国の現大統領金大中の日本での拉致事件と大統領朴正熙暗殺未遂事件そのものを語る迫真性には身近に存在する「怖さ」を感じさせます。 ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/01/17 23:09
2001年2月24日 伴野朗『陰の刺客』 たまには剣戟小説も
伴野朗の作品は「五十万年の死角」すら読むチャンスがないまま、なぜか際立つ作品にお目にかかったことがなかった。今回「陰の刺客」という作品を読んでみたが、結構楽しめました。 「アヘン戦争」を舞台として、捌き方によっては重厚な仕上がりになったと思われるが、しばらく前に日本でもベストセラーになった中国の作家、金庸の武侠格闘風であり、また往時の山田風太郎忍法帖の様式を踏んで、気楽にしかも興味深く読める娯楽作品である。 ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

2005/01/15 18:14
2001年2月14日 坂東眞砂子 『狗神』
民俗学的に言う「憑物」伝承を正確に消化し、現代農村によみがえらせたホラー。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/01/13 23:36
2001年2月9日 これ「文芸ミステリー」なの? 佐藤正午の『ジャンプ』
著者待望の文芸ミステリー???? ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2005/01/12 15:59
リアルタイム 今年の「このミス」国内編
宝島社のこの本を買って自分で読んだものを数え、何勝何敗と一喜一憂した頃もあったのだけれど、余計な分別がついのだろう、歳相応の選択眼が選評者のそれとはかなりへだたりができてしまったようで、わざわざ買って目を通すこともなくなった。最近はあいかわらずの横溝正史風やパズル型には関心がなくなったし、出版社の強引な目玉商品、新人売り込みの宣伝文句にも慎重になってきた。 そこで私なりに今年発表の読んだ本の中からおすすめできる作品は次のようなものになる。 読んだ順番で並べる。 樋口明雄 『光の山脈』 京... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/12/17 00:57
2000年12月23日 二人の女と我が家の女
桐野夏生と乃南アサ 最近の女流作家は男勝りに相当骨太の小説を書いています。一読すると男が書いている作品と勘違いしてしまうものもあります。そうした作品読みますと作者の視点が男女の違いを超越した座標軸にあることに気づかされます。直木賞「柔らかな頬」、桐野夏生が描く女のその欲望は男と変わりありません。 ところで乃南アサはこの新しい流れに乗ることなくあくまで女性の視点で男世界の中で苦闘する女を描くやや古いタイプの作家なのでしょう。新作の「鎖」を読んでここまで演歌調に「女のあわれさ」「女の性」「女... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/12/13 00:13
2000年12月10日 心の病 多島斗志之「症例A」
少年による異常な犯罪が後をたたない世情には心胆を寒からしむるものがある。また、興味本位であるいは猟奇趣味で描かれるミステリー、映画、報道番組も氾濫状態にある。昔、フロイドの「精神分析入門」をそれこそ興味本位で拾い読みをし、リピドーという概念にえらく感心したものだった。そのころであったろうかヒチコックの「サイコ」を見たが、今でもあの恐怖感覚と二重人格という特殊な設定への興味の高まりを忘れられない。その後このテーマには数多くかかわりあったが、中でもワイラー監督「コレクター」、ハリス「羊たちの沈黙... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/12/09 20:09
リアルタイム 原ォ 『愚か者死すべし』 読むべし
原ォのネームバリューだけではないぞ。9年の沈黙の後、文字通り「待望」の新作は期待を裏切らない。ミステリー界の今年の掉尾を飾るにふさわしい大傑作だ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2004/12/03 00:26
2000年11月28日 沢井鯨「プリズナー・イン・プノンペン」
これは中学の教師であった作者がカンボジアで不当逮捕された体験から書いた小説だそうだ。 カネ、カネ、カネとそれだけで政治や社会が動いているとも思えないのだが、今のカンボジアはどうやらそういう世界らしい。 悲惨な現状をさらりとあるいはあっけらかんと描いているのは作者の若いエネルギーであろう。 プノンペンの観光案内、カンボジアの近代史を短時間で楽しく知るのに格好の読み物。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/12/02 22:11
2000年11月27日 沢木耕太郎「血の味」の味
沢木耕太郎の作品を始めて読んだ。 なんとも不可解なそれでいてどこか自分自身の内にあるやましさ、暗部を垣間見るような現実感。それは既視感の類かもしれないなどと、思いがけない奇妙な味の小説であった。 15歳の少年が殺人を犯す、といえば今ではありきたりな事件になってしまった。作者は決していまふうな解釈を加えない。猟奇的興味は一切ない。 少年時代、鋭利なナイフをみつめ、何か官能的な興奮を覚えた時期があったような気がする。通学の電車で、中年のオヤジから、股間を触れられ、にらみ返したことも記憶によみ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/12/02 22:10
2000年10月7日 ホラーと江戸川乱歩賞を読んでみました。
カバー帯の「山田正紀絶賛」と目立った、あるホラー黒岩研「聖土」を買ってしまいました。軽快なテンポで進むのですが要所要所で読んだことのあるような、見たことのあるようなネタが想起されるのです。 キング「ペットセメタリー」、貴志祐介「天使の囀り」、中島らも「ガダラの豚」、映画「ポルターガイスト」、梅原克文「カムナビ」など。パロディーではありませんでしたが滑稽でした。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 2

2004/12/02 00:11
2000年9月28日 期待される警官像 大沢在昌『新宿鮫
≠?の華麗なハードアクション『新宿鮫』、八作目ともなるとずいぶんと軟弱化したものだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/12/02 00:08
リアルタイム 原ォ『私が殺した少女』の魅力
男はタフでなければ生きていけない、やさしくなければ生きていく資格がない。私立探偵沢崎、そのイブシ銀の男の艶が全編に滲み溢れ出す。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 1

2004/11/29 19:42
2000年8月27日 中部地方横断の旅
車にナビゲーションをつけました。これは大人のおもちゃです。そこで機能をテストするために明日から1週間、北軽井沢、穂高、奥飛騨、永平寺、東尋坊とぶらりドライブ。今のところ、住宅ローンは返済でき、退任慰労金が差し引きまだある。金はないが時間はたっぷりある。そうそう、お知らせするのを忘れていましたが、ファイナンシャルアドバイザーの資格テストに合格し、そのうち、コンサルタント業でも始めましょうか。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/29 19:27
2000年8月8日 環境破壊を糾弾する啓蒙の書 帚木蓬生の「空山」
美しい山々の懐に抱かれて、水田、畑、果実園の自然の恵みを感謝しながら、人々が協力し、幸せに、慎ましく生活できる共同体。 ここに巨大ごみ処理センターの建設が密かに進められる。反対運動に立ち上がる人々の努力の積み重ね。横糸には不倫純愛の主人公たちの一途な愛の賛歌。帚木蓬生の「空山」はヒューマニズム溢れるいかにもこの人らしいテーマで重々しくその主張が貫かれています。生真面目なこの主張には批判することは何もありません。風景の美しさ、人々の温かい人情、自然の恩恵、純愛物語……丁寧によく書けています。... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/27 17:48
2000年8月5日 「ミステリーの良識」について
静さんからの投稿 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/27 17:47
2000年7月9日 冒険・スパイ小説は黄昏ているのか?
ダン・フェスパーマンの 「闇に横たわれ」を読んだある弁護士さんが この小説のミステリーとしての評価はともかく新聞報道では知らなかった内戦の悲惨さを思い知らされた と書いている。 さらに最近のミステリーが謎解き、ハードボイルド、警察などジャンルを問わず、黄金期を終え、今や黄昏(たそがれ)を迎えているように見えるそうだ。 ただ、黄昏を迎えて風俗小説化し、かえって市民の生活や感覚の実態を学べると、現状を肯定しておられる。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/11/25 22:37
2000年6月27日 イタリアから帰ってきました
イタリアから戻って、まだ時差ボケが癒えずボケーとしています。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/25 17:14
2000年6月12日 明日からイタリアへ旅行です
京極夏彦「鉄鼠の檻」で一言。 現代の仏教が葬儀という形式主義に陥って、人間の精神を救済するという本来持っている役割を忘れてしまった状況に対する告発がテーマであります。これからお読みになる方はこうした観点を持って望まれると面白さが倍増します。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/11/24 23:10
2000年5月22日 これぞ男のハードボイルド 香納諒一『幻の女』
過去は消えず、過ぎゆくのみ ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/11/21 00:40
リアルタイム新刊書紹介 マシュー・パール『ダンテ・クラブ』
最近のミステリー系海外作品ではついぞお目にかかれなかった傑作中の傑作だ。 著者が構築した縦軸は三本あろうかと思われる。そしてモチーフは一貫してダンテである。このかなり消化の難しい縦軸と横軸がむりなく融合しているところにこの作品の値打ちを見出す。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/11/17 01:00
リアルタイム新刊書紹介 皆川博子『薔薇密室』
少年時代、ポーランド映画アンジェイ・ワイダ『地下水道』『灰とダイヤモンド』に感激したオジサンはこう読んだ。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/17 00:58
リアルタイム新刊書紹介 雫井脩介 『犯人に告ぐ』
メディアによって一線からはずされた刑事がメディアを利用して殺人鬼を追う。刑事対殺人鬼よりも刑事対メディアの構図に冴えが見られる。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/11/17 00:58
2000年5月23日 バイオレンス小説、暗黒小説って?
逢坂剛の作品はだいたい読んでいることもあり、「禿鷹の夜」もおつきあいをした。 これは愚作としか言いようがない。大沢在昌「新宿鮫」の渋谷版を狙ったとしても成功していません。もっとも最近の鮫島刑事はすっかりオトナに変身して、初期の圧倒的な暴力性、一匹狼性の魅力が薄れた感があり、大変残念なのです。そうしたキャラクターが既存の組織や秩序を無視して事件解決にあたる姿に喝采する、バイオレンス刑事物の良いところはここですよね。ところがここで登場する刑事は本物の性格破綻者です(私の見立てでは)から、共感が... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/17 00:56
2000年5月11日 おひさしぶりです、志水辰夫
ミステリーの中でじっくり読むに値するものにハードボイルドがある。最近読んで楽しめたのはローレンス・ブロック「皆殺し」藤原伊織「てのひらの闇」。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/11 20:00
リアルタイム 今読むべき原ォ!「そして夜は甦る」
近々、原ォの新作『愚か者死すべし』が刊行されるという。業界の常識からおそらく今年のミステリーランキングの上位確保は間違いないだろうなどと贔屓目をしながらこの機会に実は内容をまるで忘れてしまっていた処女作『そして夜は甦る』を改めて読んでみた。 このデビュー作は1988年に刊行された。16年以上も前の作品である。彼はその後1989年『わたしが殺した少女』1990年『天使たちの探偵』そして1995年『さらば長き眠り』を最後にこれまで沈黙を守っていた。本格ハードボイルドの第一人者である彼の新作を心... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 1

2004/11/06 10:07
2000年3月12日 新入社員に宮部みゆきの作品「理由」を推薦しようかな
bそろそろ入社式の季節です。新入社員の若い人といろいろお話し合いをするいいチャンスなのですが、昨年は京極夏彦「鉄鼠の檻」の一部をコピーして糸口にしましたので、今年は宮部みゆきの「理由」がいいなと思っているのです。 私は戦争の後遺症を負って今の経済社会のカオスに生きている年代にあたります。 戦後の混乱→民主化→冷戦→反動→復興→繁栄→東西の壁崩壊→成熟とバブル→バブルの崩壊→21世紀? ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 7 / コメント 0

2004/11/06 10:02
2000年2月21日 高村薫大好き!論・続
(無題) 投稿者:うさ  投稿日:02月21日(月)11時23分17秒 >よっちゃんさん、マモルさん 高村薫、私も好きです。 私の中では『リヴィエラを撃て』と『レディ・ジョーカー』が双璧です。もちろん他の作品も好きではありますが。先日時効をむかえた「グリコ森永事件」の特集をTVで放映していましたが、それを見ていたら『レディ・ジョーカー』をまた読みたくなりました。 しかしながら、高村作品についてのよっちゃんさんの理路整然とした記述には、感服しています。 何がどのように面白く感じられ、... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/05 00:38
2000年2月20日 高村薫大好き!論
>よっちゃんさん 投稿者:とも  投稿日:02月19日(土)16時10分03秒 高村薫ですが、『レディ・ジョーカー』未読なのですよ。残念。 (ハードカバーに弱い…) しかし1〜4の事項は実に分かりやすい進め方で気に入りました。 これはよいです。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/11/05 00:34
2001年10月27日の日記より
「1999年10月2日 もう一度松本清張のこと」について <KAORU BOMBAYEさん、トラックバックありがとうございました。私の父も清張の諸作はほとんどをもっている人でした。ファンというよりも清張と自分を重ねて見つめた人でした。> ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/31 12:02
2000年1月29日 まず重厚なものを読みました。奥泉光「グランド・ミステリー」
さる23日にフィナンシャルプランナー1級という資格試験にチャレンジしたため受験勉強で忙しくご無沙汰しました。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/30 11:59
2000年1月3日 明けましておめでとうございます
年越しをY2Kによりビルの窓越しにお台場のミレニアム花火を眺めながら新年を迎えました。インフラ面では大きな問題はでなかったようです。三が日も家にいたのは今日だけ明日は営業開始ですから全社員が朝7時に出社し、設備、端末機の誤作動チェックに念を入れます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/30 11:00
1999年12月11日 「このミス」のページ  祝15万アクセス
私が初めてこのHPにアクセスして参加する気持ちにさせていただいた時を思い出しています。 清張の「ゼロの焦点」を投票した際、すぐにともさんのコメントがあって、大変丁寧にこのページを管理している方だなと感心したものでした。また広い範囲の読者層をつかんでいて、しかも参加者のほとんどの方が適切な意見交換を良しとしているミステリーファンですから、マニアでない私でも安心して参加できる場だと思いました。他の場所を覗いたことがないので比較できませんが、とにかくさらに参加者が増えてほしいと期待しています。... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/29 19:44
1999年11月24日 逢坂剛「百舌シリーズ」読み始める方へのアドバイス
「よみがえる百舌」が書店に並んでいます。 逢坂剛のこの方面のジャンルはスペインものがロマンティクな香りがあるのと比べ純粋ハードで乾ききっているだけ私好みです。 「よみがえる百舌」は シリーズの最終作品です。シリーズものでも単独で読めるものが多いのですがこのシリーズは順序立てて読むことをお薦めします。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/10/29 14:12
1999年11月19日 精神異常者の犯罪ストーリー
最近のミステリーには精神異常者の犯罪をテーマにした作品が溢れています。ところで精神異常のテーマの場合あまりに安直にミステリー仕立てにする傾向がでてくると社会生活を不安定にさせるのではないかと気がかりです。だから中には感心しないものもある。 人間の心理の深淵そのものにいろいろなメスの入れ方が考えられますし、社会的背景を描いてもいい。作者からすればホラーにでもサスペンスにでも本格推理にでも社会派にでも仕立て方には多様性があります。 優れた作品は多くの読者を引きつけるものを持っています。それは... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

2004/10/29 14:10
1999年11月13日 福井晴敏「亡国のイージス」 面白いけれどね………
黙殺してもいい 福井晴敏「亡国のイージス」。第44回江戸川乱歩賞作の「TwelveY・O・」は読みにくかったことから途中で放棄。これはとにかく読み終えました。スティーブン・セガールの「沈黙の戦艦」とか「ダイハード」とかスーパーヒーローが重装備のテロリストと壮絶な闘いを繰り広げる。こういう映画は理屈抜きで楽しい。この類のお話を大長編小説に仕立てたのがこの作品なのでとにかくすさまじいアクションシーンの連続です。これだけでやめておけば私も「理屈抜きで面白かった」と申し上げたかったところです。私は... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/28 16:27
1999年11月7日 藤原伊織「てのひらの闇」の世界
あの名作「テロリストのパラソル」から4年です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 1

2004/10/27 21:46
1999年11月2日 ミステリーの読後感をどう語れるか
私の職場仲間にも徐々にミステリーファンが増えつつあります。共通の書物を読んだことに気づいた仲間に出会って、夢中になって読後感を述べあう、それを周りの何人かが聞いていて興味を抱く、そしてその何人かはこれを読みたくなる。そういう場面はよくあります。さて、その読後感なのですがそれはすべて私達が過去、現在、未来において自分の人生の延長として共感する何かを語ることになるのです。文学とは普遍的に語り合える深みを備えているものです。ミステリーという文学のジャンルも同じことです。ただ、ミステリーの本質として、プ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/27 21:43
1999年10月16日 魍魎の世界とマジック
「魍魎の匣」を最後に京極夏彦「京極堂シリーズ」を全部読んでみたところでさすがいささか食傷気味になった。 久しぶりに秋空の下、ゴルフでまずまずのスコア。風呂上がりの酒席にいささか酩酊。調子に乗ってテーブルマジックを披露させてもらった。超自然現象を現出させるのがマジックであるがすべてタネも仕掛けもおおあり。トリックを我流で分類すると三つ。物理的、技術的、心理的。いわゆる箱ものと呼ばれる、道具自体に細工が施されていてそれを使えば誰でも演出可能なもの。かなりの訓練を積んで初めて演出可能なつまりテク... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 0

2004/10/26 22:31
1999年10月10日 京極夏彦「巷説百物語」
この作者本当に才人なんだなとまた感心しました。都筑道夫ばりの本格ものも書けるんだなと。時に本格ミステリーの短編集を読むのもいいものですね。ウーンとうなって読み返すことができるのも短編ならではのことです。妖怪談義のいつもの衒学的蘊蓄は背後に薄れて昔読んだ都筑道夫の「○○長屋」とか「○○砂絵」をなんとなく彷彿させます。まああの軽妙洒脱の世界とはまるで違いますが「本格性」は同じだろうと思います。ついでながら積んであった「魍魎の匣」も並行して読み始めました。 今日は結婚して29年目に当たるんです。体... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/26 22:30
1999年10月9日 井谷昌喜「クライシスF」なんでそんなことが起こるのか
98年日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作、井谷昌喜 「クライシスF」。これは売れませんでしたね。私もつまらないと言う読後感でした。国際的企業が引起す環境破壊問題。テーマの社会性は優れていたのかも知れません。「何でそんなことが起こるのか」に警鐘を打つ作品です。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 2

2004/10/26 06:32
1999年10月9日真保裕一「ボーダーライン」 これもまた不可解な犯罪者を描く
真保裕一の最新作「ボーダーライン」は不可解な犯罪者を生み育てた親が愛憎の狭間で葛藤を繰り返しながらその子に迫りつくお話でハードボイルドタッチで組み立てたものです。 純真無垢な子供のように微笑しながら,喜んで虐殺行為を繰り返すという人物が描かれる。幼子が昆虫などを相手に,残酷な遊びをすることがあるが,善悪を知らない幼児の精神そのままに,肉体的に成熟し,残酷な行為の相手が虫から人間にかわってしまったのだ。 素材が「クライシスF」と同じで、きわめて深刻な社会問題であるため、ミステリーとしての面... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/26 06:32
1999年10月8日 貴志祐介「黒い家」いやな犯罪が続発していますね。
一時代前には考えられなかった類の犯罪が連続して発生しています。残忍とか冷酷と言った概念とは異なる異常性が際立った事件です。東京池袋に続いて下関でも多数の一般市民が「通り魔」の犠牲になりました。保険金目当ての肉親、あるいは隣人を平然と殺害する人達。大量無差別殺戮を正当視するオウムの若者。大型旅客機を操縦するために大惨事を捨象してしまうハイジャック犯。さかのぼればあの神戸少年。幼い少女を犠牲にする性犯罪も数え切れません。なぜそんなことをするのと問うより何でそんなことが起こるのと問うことが大切なこ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/10/26 06:31
1999年10月1日 『黒い画集』のウラ話
>momotarouさん 週刊朝日連載順は次の通りだと思います。 「遭難」「証言」「坂道の家」「失踪」「寒流」「紐」次に「凶器」「濁った陽」最後が「草」「新潮文庫」にどのような順序で何が入っているかは分かりませんがmomotarouさんの疑問は理解できます。 第一、週刊朝日側の連載に当たっての注文は「一回原稿用紙15枚で一編が2〜3回で終了。しかもそれぞれが珠玉の小品」。清張先生もまだ売り出し中の赤貧生活でしたからこの条件に妥協せざるを得なかった。(私の父親がある時清張と飲んだことがあ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/21 05:38
1999年9月28日 松本清張『黒い画集』のころ
中三トリオのミステリーに対する造詣の深さに驚き、さて私は同じ時期にはミステリーの何を読んでいたかなと考えていましたがmomotarouさんが清張の「黒い画集」について書き込まれたのを読んでまるで昨日のことのように当時を思い出すことが出来ました。私とミステリーの出会いは清張でありその「黒い画集」にありました。私らの中学生時代は「恋愛」「恋」「恋人」「思春期」と言う概念すらおぼろげでありましてそういう文字を親の前で見ることが気恥ずかしい、またそういう情報が普通では家庭内では入ってこない、そんな頃で... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/21 05:37
1999年9月27日 横溝正史賞にも読ませる作品がある 井上尚登「T.R.Y」
「T・R・Yトライ」思いがけない面白さ ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/20 06:16
1999年9月20日 ふたたび山崎豊子の魅力
次に新しいジャンルに挑戦し成功したと思う。それは「二つの祖国」であり「大地の子」である。一貫したテーマは「愛国心」。(誤解なきよう、日の丸、君が代的愛国ではありません)私は此の作品が彼女の最高傑作だと思う。 そして今回の「沈まぬ太陽」なのですが。これは戻っちゃうんですよ。「業界内幕もの」に。主人公は巨大航空会社のサラリーマン一人、経営者一人で、これが旧弊な会社機構、官僚、政治家等と悲壮な闘いをするのです。ある意味で古いタイプの理念的なサラリーマン像、経営者像が描かれ、悲劇のヒーローは努力し... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/10/20 06:15
1999年9月19日 山崎豊子の魅力
彼女の作品を読んだのは最初、「女の勲章」であったと記憶している。今でこそ「方言」がマスメディア、小説に広く使われ特段違和感はないのだが当時は東京弁をいわゆる標準語としてその他の言葉は主役の座にはなかったと感じている。「暖簾」「ぼんち」「女系家族」と全編を大阪弁で表現。、大阪弁と言えば「落語、漫才の世界でのんびりした、柔らかい、あるいは間の抜けた」との印象を持っていた私は 彼女の小説を読んでその登場人物の使う大阪弁の「したたかさ、陰湿さ、押しつけがましさ。特に脅迫性の凄み」に圧倒されことを今で... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/20 06:14
1999年9月11日 久しぶりに集う若手?とミステリー談義ー2
B君:それにしてもボスは大殺戮が好きでしたね。クィネル「クリーシーシリーズ」もすべて読みましたが最近でませんね。 D君:クリーシーも初期の一匹狼ですよ、いいのは。最近のは集団で戦うように堕落している。だいたいシリーズものは最初の三作までじゃないの。新宿鮫もそう。 (「検屍官」もそうじゃ) E君:シリーズものと言えばあの頃ご推薦の「鉄鼠の檻」、京極夏彦はほとんど読みました。このシリーズは絶対「姑獲鳥の夏」から読むべきです。 (わかったことを言うじゃないの。この作者、たいしたものだと思った... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/15 06:49
1999年9月11日 久しぶりに集う若手?とミステリー談義ー3
F君:それじゃあ、「ボーダーライン」はどうですか。 (なんだよそれ) 彼も「ホワイトアウト」「奪取」せいぜい「密告」まで北海道を舞台にした「朽ちた樹木の枝の下で」はたいしたことなっかたですね。 (エッ。真保裕一のこと!そんな作品あるの?) G君:「白夜行」はまさか読んでいますよね? (読んだよそれは、読み終わったばかりですよ) 東野圭吾というのはいいですね。逆読みで「秘密」から「天空の蜂」へと一気に読んでしまいました。(おまえら仕事してんのかよ) F君:山崎豊子「沈まぬ太陽」。... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/15 06:49
1999年9月11日 久しぶりに集う若手?とミステリー談義ー1
昨日は3〜5年前の札幌勤務の仲間が集まって、深夜までの酒宴で盛り上がった。話題の前半は最近の我が業界の展望や札幌時代の公私にわたる武勇伝と、まあ年代が30代後半から50の前半までのいい大人たちであるからそうなるのだが、後半は打って変わって口角あわを飛ばすミステリー談義となった。ボスとして 赴任してミステリーなどとあまり縁のなかった連中に船戸与一の「蝦夷地別件」を薦めたことがきっかけとなりミステリーファンが輪のように広がったのである。しかも今回なかなかの成長ぶりがうかがえ、たいした仕事はできな... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/15 06:48
1999年9月5日 東野圭吾「白夜行」を堪能する
東野圭吾は「秘密」を読んで軽妙な語り口が上手な作者だと思っておりました。奇抜であり得ない状況を設定しつつ普遍な夫婦愛をなんのけれんみもなく表現したものでおそらく若い年代は素直に受けとめたでしょうし、「夫婦愛」と言う言葉がくすぐったくなる、あるいは風化してしまった年代層にも郷愁に似た感慨をおぼえさせる、なかなかに手練れた作品でした。 。 「白夜行」その時代背景 東野圭吾の前作「秘密」とは全く趣を変えた傑作だと思います。「秘密」は奇抜で、あり得ない環境を人工的に作り、軽妙な筆致で夫婦愛を... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 14 / コメント 2

2004/10/15 06:48
1999年8月27日 年寄りが世迷い言するメフィスト賞 「ハサミ男」
第13回メフィスト賞受賞・殊能将之「ハサミ男」? 連続美少女殺人事件。死体ののどに突き立てられたハサミ。その残虐性から「ハサミ男」と名づけられたシリアル・キラーが、自分の犯行を真似た第三の殺人の真犯人を探す羽目に…。 メフィスト賞を受賞し、法月綸太郎が絶賛している、しかも多くの方が読んでおられますので遅ればせながら仲間入りさせてもらいました。 読後感を一言で言いますと「こういうタイプのミステリーが今様で評価されるのか」と 私としては疎外感を覚え、「いつまでも若いつもりでいるが老いた... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

2004/10/14 06:27
1999年8月25日 土屋隆夫さん!健在ですね。「ミレイの囚人」
「天狗の面」、「赤の組曲」、「危険な童話」。ずいぶん前に読んで騙される楽しさを教えてもらった作者です。 彼の作品に共通の優れた点は文章が平易であること。私は「読みづらい」小説はそれ自体優れているものではないと思っています。 「読みづらい」ことと「文章をじっくりかみしめて読まなくては味わうことができない」 ものとは違うのです。彼の作品の叙述には無駄がない、よけいな形容詞を使わないことが指摘できます。要は「練りに練った叙述」なのです。しかも平易です。寡作であることがうなづけます。 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/10/12 23:08
1999年8月21日柄刀一「4000年のアリバイ回廊」新人の本格推理はいまひとつ 
酔テ代文明とか人類の祖先を考察する事自体がミステリーの世界でありもちろんこのテーマを縦軸にしたミステリー小説はいくつかの傑作があります。特に最近ではDNA分析が加わり何千年も前の遺骨が現存する人の先祖であることを追求できるまでにその手法が発達しています。イギリスで実際、話題になったことがありました。不思議で不思議でなりません。この作品も九州で発見された縄文遺跡(これは全くのフィクションですが)を巡ってその共同体の生活ぶり風習を考古学者や生痕学者(こんな学があるんですね)民俗学者やデーター解析... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/10/12 23:08
1999年8月14日 逢坂剛の異色の新作は?
「イベリアの雷鳴」は彼の新しいジャンルへの挑戦作といえるでしょう。 舞台はスペインなのですがお得意の「スペインもの」とは毛色の違うサスペンスでした。戦争体験が全くない、あるいは戦後体験が全くない世代が増えていますので昭和19年生まれの「私」とお断りしていくつかの思いを書かせてもらいます。 一つは歴史認識です。私もそうですがおそらくこのHPに参加されている多くの方々も学校で現代史を教わった経験はないことでしょう。第二次世界大戦の中で日本の国際関係といいますと日中、日米、日露は直接の対戦相手... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/10/12 00:13
1999年8月10日 本格「法廷もの」の傑作をどうぞ
「法廷もの」の定石はしかも醍醐味はあらゆる状況が被告を有罪に落とし込むギリギリの瞬間これを逆転無罪とするハラハラドキドキの駆け引きにあります。 昔々「情婦」という映画を見た。著名な美男、美女の役者の名前は忘れましたがあのどんでん返しの巧妙さに舌を巻いたことを忘れられません。数年前にもまた映画化されていました。「情婦」の原作がアガサの「検察側の証人」と知って私はそれからいわゆる「洋もの」を読み出すきっかけになりました。(監督ビル・ワイルダー 主演マリーネ・ディートリッヒ・タイロンパワー) ... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/11 20:55
1999年7月31日 誘拐もの二つ
誘拐をテーマにした作品でインパクトがあったものとしては高木淋光の「誘拐」。 映画では黒沢明の「天国と地獄」。最近の作品では高村薫「レディ・ジョーカー」。 誘拐ものの定石である身代金受け渡しにおける緊迫感、知恵と知恵との攻防それと事件の背景に胸が躍りました。いずれも「なんとなく実行可能ではないか」と思わせるリアリティにプラスしてその時代に起こりそうな社会背景を丹念に表現した作品でした。 今回は森純「墜ちた鷲」と鯨統一郎「隕石誘拐」。 森純は96年「八月の獲物」でデビューし今年の一月に... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/09 20:12
1999年7月26日 羊蹄山の麓 京極の思い出とともに
札幌から一時間半、二年前札幌単身赴任のおりしばしばこの町を訪ねたものです。 羊蹄山の雪水が何十年にわたって濾過されここに溢れて吹き出しています。 大勢の人がポリバケツでこの名水をくみ出し、生活に商売に利用しています。 私は緑茶用にこれを使っていました。実においしい清水であります。 とにかくミネラル特に鉄分を多く含んでいることがわかる。 一週間とは汲み置きができません。なぜなら鉄分が酸化して、ちょうど血をなめたような味に変化してしまうのです。 当時京極夏彦が「鉄鼠の檻」を発表、話題... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 6 / コメント 0

2004/10/03 18:13
19999年7月18日 再びミステリー礼賛
再びミステリー礼賛:カクテルさんへの返礼 カクテルさんの「ミステリーは風俗小説の一形態とする認識」。 正鵠を得ている。目から鱗が落ちる思いです。 このキイワードで私の今までもやもやしていたミステリー認識に 筋の通った整理ができる気がします。 風俗とは、その時代、その国、その上部構造と下部構造を構成する人々の 平均的精神構造すなわち固有の文化そのものの具体化した社会現象だと思います。 @なぜ、海外物や古典と呼ばれる名作を敬遠することになりがちなのか。 カクテルさんの言うように辻... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/03 17:55
1999年7月18日 ミステリー論議すなわちミステリー礼賛
ミステリー礼賛 ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/10/03 17:51
1999年7月17日 パズル型ミステリーの楽しみ
アガサ・クリスティー『アクロイド殺人事件』 京極夏彦『姑獲鳥の夏』 ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/10/03 12:03
1999年7月10日 アフリカの呪術関連
一週間札幌、旭川へ出張し、おいしいラーメンを食べてきました。 てつおさん> 「双頭の鷲」のフォローありがとうございました。読み始めています。 私も「ゼンダ城の虜」とか「ロビンフッド」や「「三銃士」「鉄仮面」 「モンテクリスト伯」など西洋大冒険小説に夢中になったときがあります。 こういうおもしろい小説も今の子どもたちには受けないのでしょうか。 SHOW-Tさん> 藤木稟「イツロベ」どうでしたか。私は「ハーメルン哭く笛」を最初に読んで 少し落胆し「黄泉津比良坂暗夜行路」を途中で... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/09/28 15:56
1999年6月27日 逢坂剛の作品について 
逢坂剛の新作「イベリアの雷鳴」を購入しましたので しばらく前に買ってあった「燃える地の果てに」を読ん でみることになりました。 「カディスの赤い星」の流れを汲むスペインものです。 この作者の作品には別のジャンルの 「百舌の叫ぶ夜」 「幻の翼」「砕かれた鍵」「よみがえる百舌」などいわゆる 「公安もの」があって私はどちらかというとこちらものが好き なのでした。「百舌」はすさまじい迫力ですよね。 大沢在昌、新宿鮫もせいぜい第二話までと同じように、 まあ「よみがえる」までいっち... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/09/28 15:44
1999年6月20日 再び『安楽病棟』を評価する
帚木蓬生はいくつかのジャンルでこのHP で話題になってきました。 「逃亡」「総統の防具」 いずれも高い評価がされました。私はこの作者が大好きです。 で新作の「安楽病棟」を読みましたので紹介したくなりました。 「閉鎖病棟」もこれはミステリーかとの論点が ありましたが「安楽病棟」は前作以上にミステリー性は希薄です。 老人問題は大変深刻な誰しもが直面する生活上の大問題です。 自分自身かも知れない。父親、母親はどうでしょうか。 あるいはこのHPに参加されている多くのみなさんの おじ... ...続きを見る

ブログ気持玉 / トラックバック / コメント

2004/09/26 19:30
1999年6月12日 21世紀に残したいミステリー
あるウェブページに「21世紀に残したいミステリー」というコーナーがあります。そこに最初に松本清張「ゼロの焦点」をあげました。 その後おしゃべりを楽しんでいましたが、 今日hiroo。さんの就職活動のご苦労という現実を拝見し、思いを深くし 改めて「21世紀に残したい」作品をあげてみます。 それは20世紀末期がどういう社会であったかをミステリーとして表現している 名作との観点で選んだものです。 水上勉「飢餓海峡」 柴田翔「されど我らが日々」(これはミステリーではないかも知れません)... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

2004/09/26 19:25
1999年5月20日 バトルを読み終えて今痴呆老人の世界
帚木蓬生「安楽病棟」 バトルを読み終えて今、痴呆老人の世界。 「閉鎖病棟」のあの感激を改めて思い起こしています。 まだ70ページそこそこで六人の老人のエピソードが つづられていますが、期待通り、熱いものを目頭に感じます。 戦争という悲惨な体験を経てなおいま苦闘する善意の 老人たちの心境を淡々としかし作者の「良心に根ざした怒り」 を沸々と感じさせ、導入部分ですが期待に違わない重厚さを 味わっています。 私の両親もいつそうなってもおかしくない年齢です。 あまりにリアルなんです... ...続きを見る

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 0

2004/09/26 19:05

トップへ | みんなの「ミステリー」ブログ

日記風雑読書きなぐり ミステリーのテーマ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる