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タイトル 日 時
黒川博行 『悪果』
黒川博行 『悪果』 前回の直木賞選考で二つの「本格警察小説」がノミネートされた。この作品と佐々木譲 『警官の血』だったが受賞できなかった。両作品とも警察組織の暗部を鋭く突いたものだけに、受賞して広く世間の関心が高まれば、かなり苦々しく思う向きもあったのだろう。 ...続きを見る

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2008/05/02 12:37
貴志祐介 『新世界より』 異色のSFファンタジーノベルだが………
貴志祐介 『新世界より』 異色のSFファンタジーノベルだが……… デビュー作の 『黒い家』 (1997年)。韓国製の映画が目下上映されているとのこと、感情を欠如した殺人鬼が地獄図を見せる正視に耐えないおぞましいシーンの連続だそうだ。10年以上前の原作だが「生まれながらの殺人者」という突然変異的存在を暗示し、最近のように不可解な犯罪が頻発する日本を当時予見するような怖い作品であった。 『天使の囀り』(1998年)はアフリカの民俗伝承、風土病と現代日本の病んだ精神構造をつないでホラータッチ、なかなかの秀作だった。 『青の炎』(1999年)、これは純真な若者 ...続きを見る

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2008/04/05 17:07
ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』
ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』 ビーケーワン恒例の真夏の怪談競演も今年で5回と続いた。第4回の応募は271篇だったが、第5回は663篇が寄せられたそうで、私も毎回参加させていただいているが、だんだんとお祭り騒ぎが大きくなっていくのにビックリしている。『てのひら怪談2』はこの第5回応募作品から選りすぐりの100篇を掲載したものだ。選考委員の評価によれば作品の質が年々充実さをましているそうだが、この傑作選をみるとたしかにそのとおりだと思う。 小説をその長さで分類し、長編、中編、短編とあってそれより短いのを掌編と呼ぶ。これは最 ...続きを見る

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2007/12/19 23:56
笹本稜平 『越境捜査』 わかりにくい警察機構を理解し警察小説を楽しく読もう。
笹本稜平 『越境捜査』 わかりにくい警察機構を理解し警察小説を楽しく読もう。 日本の警察もアメリカ並みにここまで腐っているのか?いやまさかここまでのことはあるはずがない、と思ったところで、防衛省のあんな醜悪な大犯罪が起こるんだから、この作品だってフィクションをフィクションとして楽しめばいいと単純には割り切れなくなっちゃうではないか。 佐々木譲のシリアスな警察小説『警官の血』をじっくり読んだ後だけに、巨悪と戦う荒唐無稽なバイオレンスを期待して手にとった警察小説である。帯には「12億円に心がグラリ!!勝つのはどっちだ」「じっくりガッツリ読ませます!」とひょうきんな口調で ...続きを見る

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2007/12/09 19:15
佐々木譲 『警官の血』 警官の血とは?異色の警察小説でありめったに現れない傑作である。
佐々木譲 『警官の血』 警官の血とは?異色の警察小説でありめったに現れない傑作である。 この作品には巨悪は登場しない。防衛省事務次官の犯罪。あんな巨悪がまだいたのかとあきれ返る。ささやかな正義の積み重ねをしている人たちこそいい面の皮である。でも盗人にも三分の理、彼は彼なりの「正義」を追い求めていたんだろうね。「自衛官の血」という小説があったとしても、とてもとてもこの現実の迫力にはかなわないでしょう。 ...続きを見る

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2007/12/06 15:48
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。 山田浅右衛門といえば「首斬り浅右衛門」として、死罪人の斬首役であるとの知識しかなかったが、本職が徳川家御佩刀御試御用役だったとはこの作品ではじめて知ったことだ。 実は先日読んだ、山本兼一『いっしん虎徹』で刀剣の斬れ味を鑑定する「試刀」という職業(一太刀で何体の死体を斬ることができるかを基準にして利鈍を試す)があることに驚いたばかりで、おっつけ読んだ山田浅右衛門の家業がこれであったかと偶然の出会いに思わず膝を打った。 罪人を斬首するためにふるう剣、山田流試刀術………。その奥義は、密かに ...続きを見る

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2007/12/01 17:09
曽根圭介 『沈底魚』  本年度江戸川乱歩賞受賞作
曽根圭介 『沈底魚』  本年度江戸川乱歩賞受賞作 アメリカに亡命した中国外交官の証言によれば、日本の現職国会議員が機密情報を中国に漏洩している。この新聞報道で中国と朝鮮の事案を担当する警視庁公安部外事第二課は騒然とする………と快調なスタートである。 沈底魚=スリーパー。潜伏期間二十年余り。素知らぬ顔で暮し、覚醒の時を待っているーーー。スパイ自身が派手な立ち回りを演ずる冒険小説ではない。ガセネタかも知れない沈底魚をあぶりだそうとする警視庁公安部現場の捜査官たちの苦闘の物語である。 ...続きを見る

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2007/11/06 12:04
藤原伊織 『名残り火 てのひらの闇U』 あの堀江雅之はもう帰ってこない。
藤原伊織 『名残り火 てのひらの闇U』 あの堀江雅之はもう帰ってこない。 2007年5月17日に逝去された藤原伊織氏の遺作である。2002年から2005年まで別冊文芸春秋に連載されたもので連載終了後、全38章中第8章までは著者が加筆、改稿作業を完了していた経緯のある遺稿だそうだ。氏の食道ガン発症を知ったのは2005年5月だった。5年生存率20%と告知された「ファンキーなじじい」は復活を切望した私達の期待むなしく2年の闘病生活を送って逝ってしまった。 私より4歳若いとはいえまずは同世代といえる。世代を共有してきたものとして1996年、江戸川乱歩賞、直木賞を受賞した ...続きを見る

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2007/10/26 11:57
佐々木譲 『制服捜査』 新しい切り口の警察小説だ。
佐々木譲 『制服捜査』 新しい切り口の警察小説だ。 『うたう警官』で著者の新ジャンルでの復活を感じたものだから昨年発表のこの『制服捜査』を手にとった。「これが本物の警察小説だ!」と帯封にあったが、本物かどうかは別にして警察小説といわれるジャンルをこれまでにない切り口で見せた。その斬新さはさすが。佐々木譲の手腕、健在である。 ...続きを見る

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2007/07/16 19:14
桐野夏生 『メタボラ』 論評する資格のない自分に気がついた。
桐野夏生 『メタボラ』 論評する資格のない自分に気がついた。 ドキュメンタリー番組で「ネットカフェ難民」という人たちを知り、正直驚いた。住む家がなく24時間営業のインターネットカフェに寝泊りし、日雇い派遣労働などで食いつないでいる若者が急増しているのだそうだ。 そしてこの『メタボラ』である。「ネットカフェ難民」ではないが同様に漂流するものであり、それは衝撃的だった。ホームレス、ニート、フリーター、ワーキング・プアそれぞれに定義はあるようだが、桐野夏生が過度にデフォルメした人物像などではない。どうやら実体を持って社会の一定層を形成しているとリアルに感じ ...続きを見る

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2007/07/04 18:22
京極夏彦 『前巷説百物語』 シリーズものってのは三巻までがよろしいようで………
京極夏彦 『前巷説百物語』 シリーズものってのは三巻までがよろしいようで……… 京極先生の作品にはずいぶんとおつきあいしたものですが、憑物落としの京極堂シリーズは『陰麻羅鬼の瑕』をようやく読み終えたところであとはお休み、この巷説百物語もまぁ今回で読み上げといたしましょう。 これが百物語のはじまりでございます 今、明かされる真実 又市、いかに御行となりしか と既刊・巷説百物語シリーズで活躍した小股潜りの又市が御行となるまでその前歴をなぞっている。『巷説百物語』『続巷説百物語』『後巷説百物語』を読んだ読者であるなら勢いで手にしたくなる一冊だろう。しかし………。 ...続きを見る

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2007/06/26 22:02
佐々木譲 『うたう警官』  戦時情報戦小説の勇、あの佐々木譲の完全復活だ。
佐々木譲 『うたう警官』  戦時情報戦小説の勇、あの佐々木譲の完全復活だ。 2004年3月5日の北海道新聞より、道議会総務委員会で4日開かれた元道警釧路方面本部長に対する参考人質疑の一部である。私が裏金づくりに直接タッチしたのは、一九六四年四月に配置された当時の北見方面本部刑事課が最初。階級は巡査部長だった。初めて領収書や関係書類を、命じられるままに偽造した。その後、退職した九五年まで十七カ所の所属(部署)を転勤したが、何らかの形で裏金づくりに関与し、一部を受け取り、その存在を知っていた。 この報道の示している状況を「うたう警官」と呼ぶらしい。「うたう」は内部の不 ...続きを見る

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2007/05/29 12:31
松井今朝子 『吉原手引草』 歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう
松井今朝子 『吉原手引草』  歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう 演技に工夫を凝らして新しい定九郎像を創造した江戸時代初期の歌舞伎役者、中村仲蔵を描いた『仲蔵狂乱』で記憶に残っておりました。その松井今朝子が新作を発表した。歌舞伎の世界に精通した著者が今回は遊郭の世界だ。『吉原手引草』。手にとらないわけにはいかんでしょう。江戸文化はこの吉原を抜きにしては語れない。それほど人々の生活と密着していて、今でも、映画、芝居、噺などを通じて私たちにもお馴染みの世界でございます。 ...続きを見る

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2007/05/23 01:38
辻原登 『円朝芝居噺 夫婦幽霊』 名人芸で辻原が語る名人円朝伝
辻原登 『円朝芝居噺 夫婦幽霊』 名人芸で辻原が語る名人円朝伝 芝居は観るもの、寄席は聞くもの、小説は読むものとこれが世間の相場なら、はて円朝の創り出した作品・芸風ばかりはどうやらこんな一筋縄では収拾がつかないようだと読み終えて思わず感嘆のため息が洩れます。うらを返せばこれほどの円朝活写をものした著者辻原登へのお世辞抜き、賞賛でございます。 古今無双の知的エンターテイメント文学ミステリーとございますが、このジャンルならしばらく前に世の絶賛を博しえました丸谷才一『輝く日の宮』、あれに比肩する上等の文学ミステリーであります。ま、丸谷のはやんごとなきところの ...続きを見る

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2007/04/30 01:55
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。 「小説好きの諸君!たまには直球の企業小説、読んでみてくれ」とキャッチコピーにつられた。小説好きは企業小説を読まないものとこのコピーライターは考えているのだろう。なるほど気がつかなかったけれど小説好きだがあまり企業小説は読まない僕のような人は大勢いるんだな。 企業小説と言えば私のイメージは大銀行の内幕暴露ものなんです。いかにもノンフィクション風で実在の人物を臭わせるものだから、その人物を推量しながらこれも実際の出来事に思い巡らせ、いいかげんなことを描いているナァと不愉快になってしまうことが多 ...続きを見る

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2007/02/14 13:46
『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』 現代的センスが光る100の怪奇譚
『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』 現代的センスが光る100の怪奇譚 てのひら怪談posted with 簡単リンクくん at 2007. 2. 7加門 七海編 / 奉 徹三編 / 東 雅夫編ポプラ社 (2007.2)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ネット書店・ビーケーワンでは2003年夏から毎年インターネット上で怪談を募集し、優秀作品を授賞している。昨年で4回になった。わたしは毎回欠かさず応募しているからルールはよくわかっているが、「怪談」というテーマ枠に800字で起承転結を綴るとなるとかなり手ごわい文芸競技である。本書は ...続きを見る

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2007/02/07 22:28
『てのひらの怪談ービーケーワン怪談大賞傑作選』という本が2月に刊行される。
ありがたいことに私の作品を二編取り上げていただくことになった。 これに先駆けてビーケーワンのホームページからアクセスできるコーナー「週刊てのひらの怪談」で新作を募集するお話をいただいて、また作品を送ったらここでも取り上げていただいた。 よっちゃんを名乗っていたがもう少しマシなペンネームをといわれ江崎来人と改めた。 ...続きを見る

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2007/01/10 13:13
夏樹静子 『見えない貌』 ベテランのミステリー作家が描いた親子の絆
夏樹静子 『見えない貌』 ベテランのミステリー作家が描いた親子の絆 夏樹静子さん、1938年生まれというからわたしよりも6歳先輩だった。そう気がつけば初期の作品『蒸発』を傑作だなと感じたことや『Wの悲劇』なども懐かしく思い出される。その後二時間ものテレビミステリーでしかお目にかからなくなったが、久々に5年前の『量刑』ではベテランの新境地ここにありと再び輝きを取り戻していた。 ...続きを見る

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2006/12/12 22:59
薬丸岳 『闇の底』 とてつもなくショッキングなラストにあっけにとられた。
薬丸岳 『闇の底』 とてつもなくショッキングなラストにあっけにとられた。 このところ悲惨な事件が連続している。小中学生のイジメによる自殺、肉親による幼児虐待と殺傷。幼い命の非常事態宣言であろう。これという対応措置がないままに狂気だけが蔓延しつつあるようで不安と焦燥感が日本全体を覆っている。そして『闇の底』で薬丸岳はこの暗澹の世相を背景に強烈な反則パンチを繰り出した。 ...続きを見る

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2006/11/15 10:52
塚本青史 『始皇帝』 偉大な歴史の変革者、その末路はあわれ
塚本青史 『始皇帝』 偉大な歴史の変革者、その末路はあわれ 暴君、そして英傑! 血筋という運命、乱世に飛び交う謀略、三度の暗殺未遂を乗り越え中華を制したファースト・エンペラーの生涯を描ききる、畢生の書き下ろし! 始皇帝といえば歴史的には焚書坑儒に代表される非道の王として扱われてきた。しかし暴君であって英傑だったからこそこれだけの偉業をはたせたのだろう。 趙で人質となっていた秦の公子・子楚の子として生まれた政(前259)が、わずか13歳で即位し(前246)、列国を滅ぼして中華を統一、始皇帝を名乗り(前221)、権力をほしいままに、最後は悩乱して死す ...続きを見る

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2006/11/02 15:37
皆川博子 『伯林蝋人形館』 皆川博子の得意とする幻想的世界である。
皆川博子 『伯林蝋人形館』 皆川博子の得意とする幻想的世界である。 エロチックでグロテスクな狂気を耽美的に描く皆川博子の得意とする幻想的世界である。 狂乱へとむかう1920年代のドイツを舞台に6人の男女が織りなす運命の輪舞 「彼らの人生は、さまざまな場所、時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく……… ドイツの歴史をまるで知らない私はバラバラにある6つの物語を時間の流れに沿って組み替えしないとおさまりがつかなかった。 1914年に始まった第一次世界大戦、フランスとの主要戦場のひとつであった1916年のヴェルダンの戦いには生粋のドイツ人とユダヤ系ドイ ...続きを見る

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2006/10/23 15:12
佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』 アメリカを茶化しきった傑作の風刺小説
佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』 アメリカを茶化しきった傑作の風刺小説 南西部諸州は「アメリカ連合国」として独立し「アメリカ合衆国」との戦闘を開始した。「連合国」の空爆により「合衆国」の都市は破壊され、「連合国」の軍事的優勢のままに目下停戦状態にある。国連本部が移転した常任理事国・日本が政治力を発揮するにはまずもってこのアメリカの現状、内戦の背景と本質を正確に把握する必要がある。2016年、かくして愛すべきレポーター森山サトル君は瓦礫と化したロスアンゼルス空港に降り立ったのである。 ...続きを見る

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2006/10/19 01:40
10月の読書
10月の読書 井上尚登の『北京詐劇』を読んだからではないがその延長で面白そうな中国ものを読もうと思います。 ...続きを見る

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2006/10/09 16:09
井上尚登 『T.R.Y. 北京詐劇 ペキン・コンフィデンシャル』久々の大型コンゲームロマン
井上尚登 『T.R.Y. 北京詐劇 ペキン・コンフィデンシャル』久々の大型コンゲームロマン 装丁帯にこうある。 天才詐欺師、伊沢修が帰ってきた!総統に、皇帝の座を。詐欺師には、財宝を! 甲骨文字に隠された謎、壮大な宴席。華麗なる駆け引きが、中国の未来を変える! 時は、1916年。稀代の詐欺師VS中国最高権力者  詐欺師、武器は宮廷料理。ねらいは財宝。「遺跡をひとつ掘らせていただけませんでしょうか?」 袁世凱、野望は、皇帝即位。弱点は美味に目のないこと。 1999年に刊行された井上尚登のデビュー作『T.R.Y.』は実に印象的な作品でした。 題名からすると想像できなかった ...続きを見る

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2006/10/06 12:30
早瀬乱 『三年坂 火の夢』 首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら?
早瀬乱 『三年坂 火の夢』 首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら? 首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら。と首を傾げつつも本当らしさに魅了されます。 ...続きを見る

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2006/10/01 23:56
映画『スーパーマンリターンズ』を観る。劇場はすばらしい音響効果を備えていましたが………
9月26日は夕刻まではたいへんヒマな一日だったものだから、有楽町へわざわざ出向いて『スーパーマンリターンズ』を見た。 ...続きを見る

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2006/09/28 12:22
続.9月の読書 昨日買った新刊本のキャッチコピー
続.9月の読書 昨日買った新刊本のキャッチコピー 今月中に読めるとは思っていませんが、面白そうな新刊本を買いました。 ...続きを見る

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2006/09/19 05:40
宮部みゆき 『名もなき毒』  もどかしさは残るが本来の宮部みゆき復活の予感
宮部みゆき 『名もなき毒』  もどかしさは残るが本来の宮部みゆき復活の予感 犬を連れ、散歩途中の老人がコンビニで買ったウーロン茶を飲んで悶絶死した。首都圏で発生していた無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。今田コンツェルンの社内報を編集する杉田三郎はこの犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから事件に巻き込まれる。いっぽう杉田の職場ではアルバイトをしていた26歳の娘をミスが多発するためにクビにしたことから、彼女の執拗、病的なクレームに編集局一同が振り回されている。彼女の異常な嫌がらせはやがて禍々しさが加わり杉田の家庭にまで入り込んでくる。 杉田三郎は女子高生のお ...続きを見る

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2006/09/16 19:14
今月の読書
さてなにを読もうか。 ...続きを見る

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2006/09/09 01:08
鏑木蓮 『東京ダモイ』 この夏一番の傑作、江戸川乱歩賞受賞の文芸ミステリー
鏑木蓮 『東京ダモイ』 この夏一番の傑作、江戸川乱歩賞受賞の文芸ミステリー 小泉総理にとって最後の夏、公約を実行して本日8月15日に靖国参拝の美学を貫いた。最近、素朴な反戦平和論は風化しつつあるかに見えたが、むしろこの騒動があったからか今年の夏は例年よりも戦争責任を改めて考えようとする報道の特集が増えたような気がしている。われわれにとっては別に最後の夏ではないのだから、素朴な平和希求の心を愚直に語り続けることは忘れてはならないことだと思う。 ...続きを見る

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2006/08/15 23:09
映画 『M:i:V』 3作目にして最高の傑作であったよ。
8月3日池袋のシネマサンシャインでトム・クルーズの『M:i:V』を観る。ようやく梅雨明けしたこの昼の盛り場は地面の照り返しと夏休みに入った若者の熱気ですさまじい暑さだ。11:45開演で11時に映画館に到着したものだから、「一番館」というラーメン屋でネギ味噌を食す。ラーメンのうまい店はこの辺りでもあるのだろうが、別にラーメン通ではないのであまりえり好みはしない。先日「長谷川」という行列のできるといわれる店にはいったが、チャーシュウが気に入らなかった。ネギ味噌にはなぜかチャーシュウがついていなかった ...続きを見る

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2006/08/04 10:01
第13回松本清張受賞作 広川純 『一応の推定』 おそろしく地味なストーリーだが感動がじわりと
第13回松本清張受賞作 広川純 『一応の推定』 おそろしく地味なストーリーだが感動がじわりと 著者の広川氏は保険調査会社勤務の経験がある。60歳、作家デビューとしては高齢のほうだろう。実務経験を活かした実に渋いミステリーで、味わいは深い。第13回松本清張賞受賞作だが、第12回の城野隆『一枚摺屋』と同様、清張の名にふさわしい作品だと思った。 ...続きを見る

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2006/08/02 19:16
映画 『日本沈没』 大掛かりなパニック映画として楽しめる。
会社勤めを終えて時間をもてあますことになるのはいま少し先になるのかもしれない。毎日、飲み会や、ゴルフやマージャンで家にじっとしていることにはなっていないからだ。妻と一緒に映画を観る。久しぶりのことである。 有楽座。日比谷映画とかここは昔はよく出向いた映画館だからと有楽町の地下鉄を降りて歩いてみたのだが風景が変わってなかなか見つからなかった。 えっつ マリオンの前だったのかと。移転したのでしょうと妻が言う。そう思う。切符売り場のオネエチャンに移転したのですかと訊ねると、前からここですと答え ...続きを見る

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2006/07/31 08:00
加藤廣 『秀吉の枷』 成り上がりものの悲哀
加藤廣 『秀吉の枷』 成り上がりものの悲哀 加藤廣氏は2005年『信長の棺』でデビュー、75歳と言う高齢のベストセラー作家の誕生に驚いた。『信長の棺』は小泉首相の愛読書だと喧伝が先行していた作品だった。小泉さんの愛読となればそれなりに成功した政治家の特別の関心事でも書いてあるのだろうと、好みの小説だとは思えずまだ読んでいない。 ...続きを見る

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2006/07/28 08:44
今朝の朝日新聞 金大中事件の真相に関して 梁石日『死は炎のごとく』
朝日新聞報道の抜粋 73年8月に東京で起きた金大中(キム・デジュン)氏(後に大統領)拉致事件について、韓国政府の真実究明委員会は、当時の情報機関・中央情報部(KCIA)による組織ぐるみの犯行と断定する報告書をまとめた。近くKCIAの後身の国家情報院が公表する。韓国歴代政権は一貫して事件への関与を否定してきており、政府として認めるのは初めて。報告書は当時の李厚洛(イ・フラク)KCIA部長が直接犯行を指示し、二十数人が役割を分担したことを確認。焦点とされた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領自身の指 ...続きを見る

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2006/07/26 08:41
小松左京+谷甲州 『日本沈没 第二部』  長かった33年を経て期待の続編のできばえはいかに?
小松左京+谷甲州 『日本沈没 第二部』  長かった33年を経て期待の続編のできばえはいかに? 映画『日本沈没』がまもなく封切られる。目下、日経「私の履歴書」は小松左京氏である。このタイミングで待ちくたびれて忘れかけていた『日本沈没』の第二部がついに発表された。 ...続きを見る

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2006/07/09 16:15
福井晴敏 『Op.ローズダスト」著者らしさのあふれる問題の多い問題作
福井晴敏 『Op.ローズダスト」著者らしさのあふれる問題の多い問題作 国家の体をなさなくなった日本。憂国の野心は世論を巻き込みそのメルトダウンを加速。劇場型で進行する国家転覆の大陰謀。2006年、戦場と化した東京。劇画的細密描写が描く空前の日本沈没。 ...続きを見る

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2006/05/23 12:44
映画化決定 東野圭吾 『手紙』………だそうです。
映画化決定 東野圭吾 『手紙』………だそうです。 この「サンスポ芸能ニュース」によれば『白夜行』に続き主演は山本孝之だそうです。生野慈監督が原作の感動をどう映像化するか楽しみです。 ...続きを見る

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2006/04/28 11:34
半村良 『産霊山秘録』 これぞSF伝奇小説の歴史的傑作だ。
半村良 『産霊山秘録』 これぞSF伝奇小説の歴史的傑作だ。 おどろおどろしい感がするが産霊山、<むすびのやま>と読む。30数年も前に書かれた半村良を代表するSF伝奇小説である。 ...続きを見る

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2006/04/19 15:01
真保裕一『繋がれた明日』3月、NHK連続テレビドラマ化
真保裕一『繋がれた明日』3月、NHK連続テレビドラマ化 19歳の若者が殺人を犯す。 懲役刑。 仮釈放で社会復帰した彼を待っていたのは冷たい世間の眼であった。 そして更生の道は険しい。 と現代版「罪と罰」。 被害者の家族の憎しみをぶつけて「償い」のあり方を問う。 ...続きを見る

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2006/02/08 15:09
今明らかにされた金大中拉致事件の真相とこのミステリー
今明らかにされた金大中拉致事件の真相とこのミステリー 今日の朝刊に発表された「金大中事件の真相」をみてすぐにこの小説を思い浮かべました。やはりこれに書かれていたようなことだったんですね。国家ぐるみの犯罪。主権を侵犯する大事件が闇に葬られたんだ。 ...続きを見る

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2006/02/06 10:53
マーロン・ブランド『片目のジャック』についての戯れ言
なかなかの人格者である某大企業の社長さんと会食して共通の趣味の古い映画の話題に夢中になった。西部劇の数々を蘊蓄したところでマーロン・ブランドが監督・主演した異色作『片目のジャック』に及んだ。二人ともその映画を見たという印象だけで内容は忘れてしまっていた。 ところでと、社長が思わせぶりに私にたずねてきた。 「あのとき、マーロン・ブランドはどちらの目にアイパッチをつけていたんでしたかねぇ?」 これはあえて知りながらする、相当に意地の悪いトリッキーな問いかけだ。 前回の会食の時は「紅葉狩り」は ...続きを見る

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2006/01/27 21:28
ホリエモンの犯罪と二つのミステリー作品
会社は誰のためにあるのか?と問われる。かなり前なら顧客のためあるいは社会のためと答えただろう。十年前だったらこれに従業員のためと付け加えたものだ。ところがある日突然、株主のためというアメリカ流の価値観が台頭してきて、それはそうだ、気が付いていなかったと反省したこともあった。日本人だからまぁこのバランスが大切なんだと思っていたら、顧客や社会や従業員はそっちのけで、株主だけのためにあるのだと言われてびっくり。それでも株主さんは会社のの健全な発展を希求しているのだからまるくおさまることになるのかなと信 ...続きを見る

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2006/01/24 12:33
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 この作品の本当の「凄さ」を語ろう。
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 この作品の本当の「凄さ」を語ろう。 しかしこの作品の本当の「凄さ」は危ういまでに研ぎすまされた著者の時代感覚、透徹した洞察、大胆な社会風刺に見いだせよう。夢野久作は「人間に潜在する怪奇美、醜悪美を暴露し、読者を戦慄させる作品」としたようだが、それは言論封殺の時代的脅迫を感じたからのいいわけだったのではないだろうか。 ...続きを見る

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2006/01/20 13:30
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 読みにくいこの長編をよんでみた
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 読みにくいこの長編をよんでみた 『ドグラ・マグラ』と題名からしてまぁ毒のマタグラのような醜怪な装い。これは長崎地方の方言で切支丹伴天連の幻魔術なのだそうだ。 ...続きを見る

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2006/01/19 19:21
NHKドラマ『クライマーズハイ』この緊迫感を堪能する
NHKドラマ『クライマーズハイ』この緊迫感を堪能する 横山秀夫原作の『クライマーズハイ』が二夜連続のテレビドラマ化されその前編が12月10日に放映された。NHKのドラマだから期待はしなかったが、これは凄かったですね。17日の後編は見逃せません。原作をかなり忠実にたどっているようです。原作を読んだ時の緊張感の高まりを同様に覚えました。 ...続きを見る

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2005/12/13 11:14
文庫本で発売されました 宮部みゆき『模倣犯』 その読みどころ
文庫本で発売されました 宮部みゆき『模倣犯』 その読みどころ 昨日、今年の流行語大賞は「小泉劇場」とされたようです。この一年間の世相を反映し、話題となった言葉に贈られる賞であるが、受賞者となった武部幹事長が女性刺客に囲まれ「小泉オペラまで盛り上げたい」と満面の笑みを浮かべた表彰式のテレビ映像を見ていると、皮肉なことだがこの言葉に潜んでいるマスコミというものの恐るべき魔力があらためて浮き彫りにされたとの感を強くしたのです。 そしてこのタイミングで宮部みゆきの『模倣犯』が文庫化され、より読者層をひろげたことはたいへん意義のあることだと思います。 ...続きを見る

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2005/12/02 22:39
岡嶋二人 『99%の誘拐』 傑作!!ゲームとしての誘拐
岡嶋二人 『99%の誘拐』 傑作!!ゲームとしての誘拐 誘拐を題材にして事件の周辺にある人間ドラマを描く作品は別として、身代金略取を企てる人質誘拐犯行のプロセスそのもののを主軸にしているミステリーもいくつか読んでいる。読んだその時にはおもしろいと感じた作品もないではないが、ほとんどが肝心な仕掛けの部分すら思い出せないものだ。 ...続きを見る

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2005/12/01 00:07
東野圭吾 『容疑者Xの献身』 みごとに騙される傑作だが………
東野圭吾 『容疑者Xの献身』 みごとに騙される傑作だが……… 他人様をたぶらかすことに無上の喜びを感じるペテン師の「私」はたぶらかされることにも快感を覚えるタチなものだから、小説は謎解き型のミステリーを好んで読む。なかなか快感傑作はないのだが、これは完璧であったよ。 ...続きを見る

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2005/11/27 18:28
再読 京極夏彦『鉄鼠の檻』 京極堂シリーズの最高傑作
再読 京極夏彦『鉄鼠の檻』 京極堂シリーズの最高傑作 札幌から一時間半、京極。当時は札幌単身赴任でしばしばこの町を訪ねたものです。「京極の銘水」。羊蹄山の雪水が何十年にわたって濾過されここに溢れて吹き出しています。この清浄な水に含まれる鉄分のような……… 大勢の人がポリバケツでこの名水をくみ出し、生活に商売に利用しています。私は緑茶用にこれを使っていました。実においしい清水であります。とにかくミネラル特に鉄分を多く含んでいることがわかる。一週間とは汲み置きができません。なぜなら鉄分が酸化して、ちょうど血をなめたような味に変化してしまうのです。 ...続きを見る

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2005/10/22 00:29
文庫本が出ました。帚木蓬生『エンブリオ』 ギョッとする生殖医学の最先端。
帚木蓬生『エンブリオ』 かつて山崎豊子は「白い巨塔」で人の命をあずかる医療業界の腐敗、権力闘争を描き、社会的注目を浴びた。同じく医療業界のお話なのだが………。 生真面目な作品が続いた帚木蓬生にしては医療業界の新しい分野における恐るべき「犯罪」を大胆に描いて読者の背筋をふるえあがらせる。テーマは深いところにあるのはわかるが、とにかくグロテスクなエピーソードの氾濫に度肝を抜かれる。  ...続きを見る

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2005/10/21 20:17
佐々木譲 『ベルリン飛行指令』 現代に通ずる男たちの孤高に生きる美学
この小説は「著者前書き」で元本田技研の取締役浅野敏彦氏から著者佐々木譲が「第二次大戦中に日本海軍の零式艦上戦闘機、いわゆるゼロ戦がドイツに飛んだ事実があるのではないか」との話を聞いたことに始まります。実在した戦争秘話とする体裁はストーリーでも一貫して、背景にある国際関係の緊張状態が生々しく伝わり、そのため、戦争という非人道の極限状況でしか生きられなかった男たちの孤高の美学が静かに現代を生きる読者のこころをとらえるのです。 1940年、三国同盟が成立したばかりの欧州戦線。ドイツ空軍がロンドン制 ...続きを見る

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2005/10/01 16:43
北村薫 『盤上の敵』 見事に決まった叙述の仕掛け
ミステリー好きのメル友から北村薫の作品を推薦いただきました。北村薫はエラリー・クイーンへの思い入れがたいへん深い作家だそうです。今年がエラリー・クイーンの生誕百年にあたることから上梓した『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件簿』はEQファンでなくてもミステリ好きには楽しめること請け合いというおすすめでした。そして北村の過去の作品『盤上の敵』にふれて、これもEQ作『盤面の敵』を意識したものらしいのですが、北村薫ミステリのベストだとのコメントがついていました。 ...続きを見る

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2005/09/21 22:05
テレビドラマ 野沢尚『砦なき者」 メディアの魔性
つい先日17日でしたがたまたま再放送の『砦なき者」を見ました。 ...続きを見る

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2005/09/20 21:17
明日より映画化公開 野沢尚『深紅』
2004年に野沢さんが首吊り自殺の報道を知ったときはびっくりしました。その2ヶ月ほど前に氏の最後のTVドラマになった『砦なき者」でそんなシーンがあったことを思い出しました。 ...続きを見る

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2005/09/16 21:11
本年度松本清張賞受賞作 城野隆『一枚摺屋』
時代劇のドラマや映画ではおなじみですね。号外配りのような、瓦版売り。実際には当時、市中で読み売りされた一枚摺(瓦版)はニュースの媒体というよりも好色ものを中心とした娯楽的色彩の強い絵草紙だったようです。ところが反骨の人・与兵衛が制作する一枚摺は硬派で実際の出来事、「記実」=記事を扱っていたのです。御政道を批判する内容だとお上も煙たかったことでしょう ...続きを見る

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2005/09/04 23:49
薬丸岳 『天使のナイフ』最近の 江戸川乱歩賞にはなかったひさびさの傑作だ
刑事罰の対象にならない少年たちに妻を惨殺された桧山貴志。「殺してやりたい」と思わず憎しみの叫びをあげる。殺人者に対する怨みを晴らすすべがない、少年法の保護主義に対するやりばのない怒りが読者の共感を誘う。 ...続きを見る

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2005/08/31 23:05
文庫本が出ました!山田正紀 『ミステリ・オペラ』
昭和13年の満州と現代の東京、時空を隔てて奇怪な事件が起こる。 ミステリでありSFであり歴史小説のようでもある。 しかも歌劇「魔笛」も重要な素材とされ、オカルトホラーの雰囲気もたっぷり。 語りは往年の探偵小説風であり、種々のトリックが披露される。 ...続きを見る

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2005/08/28 12:27
ノベルズ版がでました。宮部みゆき『誰か』過去の作品と比較してみると
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが 私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、 社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく 一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る

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2005/08/24 20:36
文庫本が出ました。五條瑛『熱氷』 氷山ハンターの活躍は?
氷山ハンターという職業は知らなかったが、ミネラルウォーターの原料にするため氷山を採取するビジネスがあるのだそうだ。 「めぼしをつけた氷山をライフルで狙い撃ち、適度な大きさの塊に崩してから船に積む。小さな鉛の弾が当たっただけで固い氷は崩れない。安全に必要な分だけ崩すことがとても難しいのだ。無茶な崩し方をすると危険な回転が起こり、周辺にいる小型船など氷山の回転が引き起こす波に呑まれて転覆することになる」という危険な職業である。 ...続きを見る

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2005/08/21 18:08
絶賛された 古川日出男『アラビアの夜の種族』 ただ眠くて眠くて………
2001年12月に刊行された本著を初版で購入し、積読していました。先般、著者の『ベルカ吠えないのか?』が直木賞の候補にあがったことから、当時大変評価の高かったことを思い出して読んでみました。日本推理作家協会賞、日本SF大賞を受賞しています。 ...続きを見る

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2005/08/10 23:57
横山秀夫 『震度0』 警察小説の進化?退行ではないのか
県警本部のトップクラスがここまでノワールな人間の寄せ集まりではないだろう。だが、現に神奈川県警の不祥事もみ消しが頻発しているところ、道路公団の官製談合などを毎日聞かされるとやはり役人たちは腐敗しているのかなと。 大震災の朝、一人の県警幹部が失踪した。県警事情に精通し、人望の厚い不破がなぜ姿を消したのか?県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、4年前の選挙違反事件なども絡まり、保身と野心、激しい内部抗争を背景に密室劇の幕が開く 登場人物は6人。N県警察本部のナンバー ...続きを見る

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2005/07/29 06:15
再び、恩田陸『ユージニア』 神と悪魔に魅入られた母娘
この小説はあのラストでふれられた母娘の関係があまりにぼんやりしていることでフラストレーションを発散できないままに読み終えることになります。丸窓の狭い部屋は母が神に祈るための密室なのですが、娘を引き込んで娘の精神を恐怖で狂わせるなにかがあったことを暗示しています。 具体的になにが行われたのかは説明がありません。私はスティーヴン・キングの初期の作品で映画化されヒットした『キャリー』に状況の類似性を感じました。主人公キャリーの母親は狂信的なクリスチャンです。特に性的なものを病的にタブー視する不気味 ...続きを見る

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2005/07/25 14:03
恩田陸『ユージニア』ミステリーとしては欠陥商品だがソフトなオカルトホラーなのかもしれない
恩田陸の作品を読むのはこれが初めてです。推理小説を読むつもりでした。売れっ子作家のしかも直木賞候補となった作品ですからいろいろと期待したくなります。 ...続きを見る

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2005/07/19 22:11
笹本稜平の新作『極点飛行』 待望の冒険小説であったが………
期待はずれの「冒険小説巨編」 このところ日本人作家による冒険小説の傑作にお目にかからない。外国もので最近のことでは、ラドラムの『メービウスの環』が楽しめたものだから、待望していたこともあって笹本稜平の最新作を早速読んだ。エベレストを舞台にした著者の『天空への回廊』の面白さに忘れがたいものがあったからだ。 ...続きを見る

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2005/07/17 18:23
乃南アサ 『鎖』 古くさい女をまだ書いている
最近の女流作家は男勝りに相当骨太の小説を書いています。一読すると男が書いている作品と勘違いしてしまうものもあります。そうした作品読みますと作者の視点が男女の違いを超越した座標軸にあることに気づかされます。典型的な作者は桐野夏生や篠田節子でしょう。 ...続きを見る

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2005/07/12 09:42
東郷隆 『最後の幻術』 歴史短編小説の読みどころ
歴史時代小説9編がおさめられた短編集である。初めて読んだ作者であるが出版社が「新人物往来社」だけあって、歴史全般に相当の博識な方と見えた。全体に和漢混淆の記録文体と文献の適度な引用により虚構ないまぜの世界を展開して飽きさせない。実在の人物同士、作者の創造上の人物の組み合わせの妙、そこから生まれる意外性は歴史小説を読む醍醐味でもあり、ミステリー愛好者にも通ずるものがある。 ...続きを見る

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2005/07/08 22:46
土屋隆夫『盲目の鴉』 謎解きと叙情とのみごとな融合 20年以上前の名作
創元推理文庫で土屋隆夫推理小説集が刊行されている。たいていの作品は読んでいたこともあり、積読状態でしたが、未読であった『盲目の鴉』を読んでみた。20年以上も前の作品だが、今読んでも傑作だといえるアリバイ崩しの本格推理小説でした。 ...続きを見る

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2005/06/24 23:51
篠田真由美 『アベラシオン』正統派のオカルティズムそしてゴシックロマンでもある
イタリア、山中の巌上にそびえる「聖天使宮」に圧倒される藍川芹。壮麗さの極致が破滅の運命を予感させる、この幕開けは緊張感をいやがうえにも高める。 『ダ・ヴィンチ・コード』を読まれた方には是非とお薦めします ...続きを見る

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2005/06/23 23:07
藤原伊織の最新作『シリウスの道』あの期待を肩すかしされた傑作
広告業界、異彩のサラリーマンが現場で大活躍するその展開に引き込まれて、電車を乗り過ごした。だが直後に藤原伊織のあのイメージからは期待がはずれた凡作と思った。そして一日たったところでこれは傑作だと気がついた。 ...続きを見る

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2005/06/21 23:21
04/09/05 船戸与一 『降臨の群れ』 インドネシア共和国アンボン島で現在進行中の複雑な内乱
ロシア・北オセチア共和国の学校占拠テロによる死者は330人を超えるという報道がなされている。チェチェン独立運動の武装勢力による犯行と見られており、また先月の旅客機テロ、自爆テロと続きイスラム原理主義過激派の関与が取りざたされている。あまりに度重なる凶事に、またか、と多数の子どもの犠牲者がでる最悪の惨状にも感覚が鈍くされてしまっているほどだ。 強大国による圧制の歴史を塗り替えようとするマイノリティーの独立運動、異民族、異文化の摩擦、さらに先鋭化する宗教対立、複雑に交錯する諸外国の利害、そしてイ ...続きを見る

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2005/06/19 12:48
ミステリーにおける饒舌の効用と瑕について
「陰摩羅鬼の瑕」について ...続きを見る

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2005/06/17 21:20
04/07/25 傑作の密室トリック 貴志祐介 『硝子のハンマー』
ミステリーの本格密室ものはなかなか映像化しにくいのだがこれはそのまま映画化しても面白いだろう。 殺人の現場が「六本木センタービル」と言っても回転ドアにはさまれて子どもがなくなったあの超高層ビルではない。12階建てのこじんまりしたビルだ。新興の介護会社「ベイリーフ社」の役員室はその最上階にあって、開閉のない強靭な窓、いくつかの最新の電子機器と警備保障会社の堅いガードなど、鉄壁のセキュリティーシステムでよそ者の侵入から防御されている。 そこで社長が殺された。 ...続きを見る

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2005/06/11 23:53
04/05/12  87歳、土屋隆夫、最新作『物狂い』にみる老成の心意気
舞台やステージや高座で、最盛期に到達したころの当時の面影を偲びながら、晩年を迎えた先達たちが演ずる至芸を鑑賞することがある。鋭い時代感覚はすでにない。目を見張るような新しい工夫があるわけではない。所作や語りに往年の勢いはなく、また容姿の衰えも隠しきれない。それでもなお深い感銘をおぼえるのは現時点の演技そのものにあるのではないのだろう。この道一筋にかけ自己の表現する独自の世界を築きあげたものの誇り、流行におもねることなくひたすら余命をここになげうとうとしているものの情念、時には鬼気迫るがごとくの ...続きを見る

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2005/06/09 22:59
01/02/04 手品とミステリー 泡坂妻夫『奇術探偵 曽我佳城全集』
私は手品とかマジックを見るのが大好きなのです。 超能力ショウや催眠術ショウもいいですね。 もっともやって見せることもある。 私がやってもばれないのですから、玄人のマジックは絶対に見破れません。 タネを見破れなくて口惜しくて口惜しくて居ても立ってもいられない人はたくさんいます。 見破れなくても楽しめるのがマジックのはずです。要は騙される楽しみです。人間どこか、騙されることに快感を覚えるそんなところを待っているものです ミステリーの醍醐味もここにあるのじゃあないかな。こういうのを新本 ...続きを見る

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2005/06/07 11:35
02/08//25 服部真澄『バカラ』 IT事業で成功した若き企業家がのめりこむ地獄
びっくりしました。2002/08/24の日経夕刊トップによれば「カジノの解禁を求める動きが各地で活発になってきた」「自治体が財政難に苦しみ、地域経済が停滞する中、活性化の起爆剤にしようと官民の研究会が次々と発足」特に石原都知事が積極的であると。記事に触れられていないところは声のあるところ利権ありの原則です。 2002/08/25 ...続きを見る

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2005/06/04 20:35
03/10/07横山秀夫『クライマーズ・ハイ」君の人生には熱く語れるものがあったか?
君の人生には熱く語ることのできるなにかがあったか………と厳しく問いかける男がいる。 まもなく退職年齢を迎える悠木和雅、私より2歳年下の57歳。群馬県の地方紙「北関東新聞」のベテラン記者であった彼は17年前に左遷されたまま山奥の草津通信部で村の小さな出来事を書き続けている。17年前日航ジャンボ旅客機が御巣鷹山に墜落し、その事件の総括デスクとなった。機動力に乏しい地方新聞社の内心は迷惑な大事件なのである。しかし、記者人生にとって、この田舎ではこれ以上の大事件は生涯に出くわすことがない、まさに乾坤 ...続きを見る

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2005/06/03 10:24
「「怪人二十面相」の思い出
「「怪人二十面相」江戸川乱歩著」について 懐かしいですね。このシリーズは戦後はたしか雑誌「少年」に連載されていました。 ...続きを見る

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2005/05/30 15:49
04/02/20これに女は痛快感を覚えるか?東野圭吾 『幻夜』男は被虐の喜びか?
阪神大地震で壊滅した街の瓦礫の中から過去を捨てて一組の男女が再生する。どさくさのさなかに叔父を殺害した男とその現場を目撃し沈黙している女の二人は東京へとむかう。もう一人の目撃者から脅迫される男と脅迫された男を救う女。女のいうがままになる男と男を徹底的に利用する女。無垢な娘に好かれてもこの悪女と別れられない男と男たちを踏み台にして金と地位を我がものにしていく女。破滅する男と成功する女。この女のクライム・サクセスストーリーは単純で読み手の予想通りに、しかしいつ露見するかと心配させられながら、犯行が ...続きを見る

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2005/05/25 20:46
「「藤原伊織氏のガン発症」について」について
「「藤原伊織氏のガン発症」について」について 「ファンキーなじじい作家」なんていかにも藤原さんらしい。早期再登場を祈るばかりです。 6月に長編『シリウスの道』が発刊されるそうです。文芸春秋社ですからなにかベストセラー入りの企みがあるかもしれませんがこれは見逃せそうにありません。 ...続きを見る

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2005/05/25 12:51
藤原伊織氏のガン発症
<藤原伊織さん>小説誌に寄稿し食道がんを告白 [ 05月22日 19時22分 ] 毎日新聞  直木賞作家の藤原伊織さん(57)が、食道がんを発症し、5年生存率が約20%と告知されていることが分かった。発売された小説誌「オール読物」6月号(文芸春秋)に寄稿して、自ら明らかにしている。  寄稿によると、がんが分かったのは今年2月中旬で、3月中旬から断続的に入院して放射線治療などをしていた。6月に4回目の入院予定。  藤原さんは、95年の作品「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞と直木賞をダブ ...続きを見る

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2005/05/25 01:36
高村薫「レディ・ジョーカー」への思い入れをつれづれなるままに
宮部みゆきを読み終えていまさら高村の「レディ・ジョーカー」の凄さを感じる。これまでも折々に感じたことをメモしてあったがそれらを記してみよう。 ...続きを見る

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2005/05/24 16:59
知られざる山岳冒険小説の傑作 樋口明雄 『光の山脈』
海外作品に比較して、日本の小説で「山岳冒険小説」というジャンルで傑出した作品はあまり多くない。真保裕一の『ホワイトアウト』は例外中の傑作だった。実は、昨年の初めにこの作品を読んだときに『ホワイトアウト』に勝るとも劣らない掘り出し物を見つけたような気がした。自然を愛するものたちと環境破壊という社会性、大自然の峻厳な描写、動物とのふれあいなど(それは熊谷達也「邂逅の森」に通ずるところがあるのだが)バイオレンスの迫力を背景に三拍子も四拍子も揃った傑作に思えたのだが、不思議なことにヒットすることなく埋 ...続きを見る

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2005/05/19 15:34
2003/11/27宮部みゆき『誰か』期待を裏切られたこの凡作
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る

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2005/05/13 14:01
文庫本で発売、バイオレンスもふんだん、藤原伊織「蚊トンボ白髭の冒険」
「蚊トンボ」、「冒険」なんていい大人が読むには題名からして人を食った本だと誤解されかねない。さらに内容が超能力者ものなのだからばかばかしいと思い込まれる方も多いに違いない。 ...続きを見る

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2005/05/08 08:07
最新作「灰色の北壁」、真保裕一、感動の山岳ミステリー誕生
「山岳ミステリー」!! この作品は真冬、豪雪の山奥。そこのダムを舞台にしたデビュー作『ホワイトアウト』という傑作冒険小説の類ではない。 ...続きを見る

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2005/05/06 12:52
03/08/21 自己確立のプロセスが娼婦への道であった女 桐野夏生『グロテスク』
じっとりと湿ってすえた万年床の異臭、安手の脂粉に混じった体液と汚物に加え、病んだ精神の腐敗臭がページを繰るごとに強まってくる。グロテスク! ...続きを見る

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2005/05/02 14:10
03/07/06 船戸与一『夢は荒れ地を』そのためには不法も暴力もやむなしと船戸節炸裂
(1)カンボジアにおいては、長年にわたった内戦が残した銃器や手榴弾等の武器が反政府組織の手に渡ったり、一般社会へ大量に流出しており、凶悪犯罪が多発する一因となっています。都市部以外の数多くの広範な地域では、治安当局の力が及ばず、武装強盗団や誘拐団が出没しています。また、カンボジア国民の間では一般的に反ベトナム、反タイ感情が強く、これらの感情に起因する暴動も発生しています。 (2)日本人を含む外国人を狙った犯罪も増加傾向にあり、2002年8月3日には、日本人女性の滞在者が、入居していたアパー ...続きを見る

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2005/04/26 19:34
03/06/12 『鉤』ドナルド・E・ウェストレイク  『斧』と同様、痛烈なアイロニーが充満した作品
著者はかなりのへそ曲がりだ。前作『斧』と同様に私にはやや理解を超えた人物像が描かれる。 ...続きを見る

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2005/04/22 22:44
03/06/01真保裕一『繋がれた明日』 東野圭吾『手紙』と並ぶもう一つの「罪と罰」
加害者あるいはその家族の「償い」のありかたを被害者の家族の「憎しみ」とぶつけて問うというテーマで二人のベストセラー作家の作品が同時期に競いあう形で発表になっているのは興味深いことである。 ...続きを見る

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2005/04/22 00:39
03/05/26篠田節子『コンタクト・ゾーン』ド田舎の爺さま婆さまとピカピカのシティ熟女の連帯
ド田舎の爺さま、婆さまたちとピカピカのシティ熟女との連帯。古きよき村落共同体の滅びの宿命に対するこの命がけの抵抗に声援を送ろう。 ...続きを見る

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2005/04/20 23:46
03/05/22東野圭吾『手紙』 この日本的現代版「罪と罰」に救いはあるのか
さすがミステリー作家らしいある意味で二重、三重のわなが仕掛けられてあり、読者は心情的にさらに頭脳的に混乱させられます。しかしミステリーとは全く異質の作品でありました。 ...続きを見る

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2005/04/20 20:44
03/05/05ドンデンガエシが巧く決まった本格謎解きミステリー 貫井徳郎『慟哭』
白装束に身を包み、トラックを連ねて迷惑を省みない宗教団体がいる。執拗にタマちゃんをとらえようとする宗教団体がいる。クローン人間を誕生させたという宗教団体もいる。なんとなく薄気味が悪い世の中になったものだ。 ...続きを見る

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2005/04/20 05:57
03/04/09 粋なラストとは思えなかった鯨統一郎 『ミステリアス学園』
ニックネームさひろさんからのつぎのようなお薦めいただき早速に読んでみました。 今年の各種ランキングにはまだまだ早いこの時期ですが、私の一押しを見つけてしまいました。それが「ミステリアス学園」です。 架空の大学「ミステリアス学園のミス研(略称ミスミス研)」で起こった『連続殺人事件』を扱った連作短編の形をとっていて、探偵役はこれまで1冊しかミステリーを読んだことのない新入部員という設定です。 新入部員のためのミステリー講義を織り込みながら話は進んでゆくのですが、短編7話のタイトルが「本格ミ ...続きを見る

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2005/04/20 05:54
騙されて快感を覚えるミステリー「葉桜の季節に………」
「「葉桜の季節に君を思うということ」歌野晶午」について ...続きを見る

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2005/04/16 19:16
03/02/12 たまには本格謎解き小説の傑作中の傑作をー2
外界と隔絶されたいわば巨大な密室でおこる連続殺人プラス「見立て殺人」である『そして誰もいなくなった』の類型作品は数多くあって最近では 山田正紀      『ミステリ・オペラ』 笠井潔『オイディプス症候群』      マイケル・スレイド『髑髏島の惨劇』 があげられる。 三作品とも一昨年、昨年のミステリーベストランク入りした作品ではあるが、比較すればこのオリジナルの傑出ぶりがますます際立つのである。 ...続きを見る

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2005/04/14 22:07
03/02/03 大沢在昌 『砂の狩人』 大沢バイオレンス
ふと映画「スター・ウォーズ」シリーズの印象のことを思い浮かべた。あれをはじめてみたときは冒頭まず、大画面を縦断する巨大戦艦の質量感に圧倒された。そして空想科学小説の想像の世界でしか描けなかった星間戦闘を実にリアルに映像化した超重量級激突の連続に舌を巻きながら、一貫した勧善懲悪のストーリーを理屈抜きに楽しんだものだ。ところがである。シリーズがすすんでの最近の作品は映像技術のいっそうの進歩もありこの激戦シーンはますます迫力を加えているのだが、ラブロマンスや親子の愛憎、正義のヒーローに内在する暗い野 ...続きを見る

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2005/04/14 13:57
03/01/05 憎悪をエネルギーとして暴走する女の自己破壊
桐野夏生『ダーク』 主人公のミロは14歳の時に死の床にある実母から、枕元にいて見取って欲しいと懇願されるのを拒絶し、中学の行事八ヶ岳合宿へ参加する。やくざ組織の調査員である父は合宿へ向かう不実の娘に背を向ける。細い山道の奥の合宿現場に母の危篤を知らせる組織の幹部がベンツで乗り付ける。父と信頼関係で結ばれているこの朝鮮人の幹部は車内でミロに現在の父は本当の父ではないことを告げ、少女の親不孝行為を責めるではなく、それでいいんだ「冷たいようですが、そのくらい負い目を持った方がこれから生きやすい」と ...続きを見る

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2005/04/09 18:11
2002年12月17日年寄りには重い『オイディプス症候群』
笠井潔 『オイディプス症候群』 われながらこれだけのボリュームを誇る(大作1600枚)パズル小説を曲がりなりにもよく読破したものだ。しかし、来年には還暦を迎える高齢者にとって手首に疲労感がいつまでも残っているだけで、どこをどう感心してよいやら正直いってさっぱりわからないのである。 最近は読者が本を選ぶだけでなく「本が読者を選ぶ」という不遜なミステリーが横行しているらしいが、どうやら3200円の大枚をはたいて買ったこの本から嫌われたようで、そうなると年寄りのグチのひとことなど申し上げたくなる ...続きを見る

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2005/04/06 18:44
2002年12月12日 練達のテーブルマジックだが減点あり
東野圭吾 『ゲームの名は誘拐』 「人生はゲームである」と開き直って、勝ちを続けている男が二人登場する。 ひとりは広告代理店に勤務、彼の企画したイベントのことごとくが成功している才知の持ち主、女にもまたモテモテの主人公である。 もうひとりは大自動車メーカーの辣腕副社長である。 このメーカーから依頼された大型イベントの企画リーダーであった主人公は副社長の美学にそわず満座の席で罵倒されチームから外されてしまう。腹の虫がおさまらない。なんとかしてひと泡吹かせてやりたいと、じりじりとしていた ...続きを見る

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2005/04/05 23:05
2002年12月9日 酷評。真保裕一『誘拐の果実』
真保祐一『奪取』は偽造紙幣犯罪小説としてA級の作品であった。逆転に継ぐ逆転のストーリー展開、贋札工程のディテールは迫真性をさらに密にし、この緊張感ある大型犯罪小説を堪能した。さすが、当時は目新しかった日本版冒険小説『ホワイトアウト』の作者であると感心したものだ。 誘拐犯罪を扱ったミステリーには名作がいくつもあるが、『奪取』の作者であれば新鮮な切り口を見せてくれるに違いないと楽しみにしてこの2段組500ページの分厚い巨編を手にした。 誘拐テーマではもう一つ、東野圭吾『ゲームの名は誘拐』が発売 ...続きを見る

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2005/04/05 22:54
2002年11月9日 敢えて激辛モードで批評すれば
五條瑛 『熱氷』 宣伝文句につられ、高い買い物をして失敗することがよくあります。装丁帯にこうあった。 俺は、人は撃たない。撃つのは氷だけ。人気絶頂の現総理の元に脅迫状が届く。姿を見せない脅迫犯と氷山ハンターの男、三日間の息詰まる攻防。注目の大型作家、待望お長編エンターテインメント ...続きを見る

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2005/04/01 23:42
2002年10月19日ナチズムの狂気を幻想的に描いた地獄図
皆川博子『死の泉』97年10月に発表された作品である。98年1月に買って読みかけたものの、ホラーか単純なミステリーであると誤解していたので、途中、ストーリーの展開に見えないところがあったために、読み続ける興味が薄れ、頓挫した。改めて手にとった次第だが、今回はそれなりに歳を重ねたのであろうか読み応えを感じた。 ...続きを見る

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2005/03/29 21:47
「昨日やっと」の「続巷説百物語」
「昨日やっと」について 京極夏彦のこのシリ−ズはいずれも傑作ですね。 オジサンも楽しく読みました。 ...続きを見る

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2005/03/27 18:24
2002年8月25日 生真面目な方が目を背ける。帚木蓬生『エンブリオ』 反吐が出そうなグロテスク
帚木蓬生『エンブリオ』 かつて山崎豊子は「白い巨塔」で人の命をあずかる医療業界の腐敗、権力闘争を描き、社会的注目を浴びた。同じく医療業界のお話なのだが………。 生真面目な作品が続いた帚木蓬生にしては医療業界の新しい分野における恐るべき「犯罪」を大胆に描いて読者の背筋をふるえあがらせる。テーマは深いところにあるのはわかるが、とにかくグロテスクなエピーソードの氾濫に度肝を抜かれる。  ...続きを見る

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2005/03/27 18:00
2002年8月12日 マカロニウェスタンではない古きよき時代の西部劇
逢坂剛「アリゾナ無宿」 逢坂剛が書いた西部劇ということで注目されていいと思って読んでみた。 ...続きを見る

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2005/03/27 17:20
2002年7月31日 不倫のアリバイ 深谷忠記「目撃」
自宅近くの公園で毒殺された男の妻はその時刻、渋谷のラブホテルで不倫をしていたとアリバイを主張する。しかし、彼女をその時刻に公園で見かけたという目撃者が二人もあらわれ、第1審は有罪判決が下っている。これを第2審で担当する女性弁護士の逆転無罪を勝ち取るまでの法廷活動が丹念にかかれている。また、不倫現場を目撃した娘の母に対する憎しみ、暴力行為をやめない父に対する憎しみ、周囲からの冷遇、そして精神障害などに作者のやさしい視線が感じられます。 さらに物語は重層しつつ、8歳のときに母が父を刺殺する現場を ...続きを見る

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2005/03/27 12:23
2002年7月26日 逢坂剛の第一級サスペンスといえばこれだ
「ノスリの巣」。逢坂剛、「百舌シリーズ」の最新作が刊行された。ノスリは野鼠や小鳥を捕食する鷹の一種らしい。ヨタカとも読むようであり、新たな女の刺客が登場するのかなと思い巡らせるだけで、前作の「よみがえる百舌」が期待はずれだったこともありまだ購入する心境にはない。 ...続きを見る

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2005/03/26 14:11
大がかりな「劇場型犯罪」が進行中なのかもしれない
フィクションの世界で「劇場型犯罪」を描いた代表作といえば宮部みゆき『模倣犯』 だろう。昨年のベストセラーになった雫井脩介『犯人に告ぐ』では「劇場型捜査」という捜査側が逆手にとった独創的シロモノを披露して見せた。いずれも大衆心理がマスコミによってヒステリックに反応する社会現象を巧みに取り込んだストーリー展開で実に傑作のミステリーであった。 ...続きを見る

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2005/03/25 16:10
映画「半落ち」がテレビ放映される。まだ見ていないので楽しみです。
この作品が発表された当時、傑作に出くわした感激を次のように記してある。いまでもその感動は変わらない。 ...続きを見る

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2005/03/23 00:10
2002年7月21日 「本格推理」にひそむ小説としての限界 
土屋隆夫「聖悪女」 「三つの乳房を持つ女の辿る戦慄の運命。日本ミステリー文学大賞を受賞した斯界の巨匠が85歳の誕生日に書き上げた渾身の書き下ろし長編推理」 とある。 ...続きを見る

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2005/03/22 23:47
2002年6月14日北村薫『六の宮の姫君』に挑戦する
ある人からミステリーファンとしてはこれは読むべしと指摘があって、本屋で手に取ったところ表紙挿し絵がインテリお嬢さん風な青春劇画ものだから、いい歳の大人が読むものではないなと気恥ずかしい思いでためらいつつ買ったものだ。 ...続きを見る

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2005/03/22 10:40
2002年6月3日  第5回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作はどうだったか
『ボーン・コレクター コフィン・ダンサー』から『エンプティー・チェアー』までリンカーン・ライムシリーズを読まれた若い方から「日本のミステリーでこのような面白い小説はないでしょうか」とたずねられ、ハタと困った。「このような面白い」の意味は犯罪のスケールと重要にかかわっている。しかも現実感がともなわなければあれだけの緊張感は生まれない。あまりないのである。若い人は時代小説を好まないが、ジャンルをここまで広げると紹介できるミステリーはいくつも見えてくる。ひとつあげると池宮彰一郎『四十七人の刺客』など ...続きを見る

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2005/03/21 20:01
2002年6月1日 「旧い日本的なこころ」を捨て切れない男たち「蚊トンボ白髭の冒険」
今、無残にもメルトダウンしつつある「旧い日本的なこころ」を捨て切れない男たちの哀切を限りなく滑稽に、さらにふんだんにバイオレンスを取り込んで描いた現代の寓話といえよう。 それが藤原伊織『蚊トンボ白鬚の冒険』だ。 ...続きを見る

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2005/03/21 19:44
「『続巷説百物語』 京極夏彦 」について
「『続巷説百物語』 京極夏彦 」について 京極夏彦の作品はいくつかのジャンルにわけられるように思われますがこの「巷説百物語シリーズ」は超自然現象であるバケモノの世界に見えて実は本格推理小説の論理を積み重ねている傑作ですね。 ...続きを見る

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2005/03/21 19:06
2002年5月6日 山岳冒険小説「天空の回廊」エベレスト山頂の死闘
普段運動靴など履いたことのない身で、エアクッションのウォーキングシューズと軽便なリュックを買い求め、この連休の3〜5日に秩父34ヶ所札所巡りを徒歩で30ヶ所まで巡礼をして、相当くたびれた。その経験からエベレスト登頂を舞台にする山岳小説の迫力はまた格別の感がするものである。 ...続きを見る

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2005/03/19 01:04
迫真の大犯罪小説、その醍醐味 高木彬光「白昼の死角
西武鉄道オーナー支配の終焉とライブドアのフジテレビ乗っ取りは、日本の今をわかりやすく象徴する経済事件ですが、ずいぶん前に読んだ高木彬光「白昼の死角」には戦後動乱期の経済社会を象徴する類似のエッセンスがあったような思いがして古い日記をめくってみました。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:35
2002年4月14日 愛のない夫婦の家庭崩壊………と定番
連城三紀彦「白光」 連城三紀彦の作品をはじめて読んだ。実はもっと若い世代の方と勘違いしていました。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:30
2002年3月31日 こんなダメオヤジにはなりたくない
歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」 初めて読む作品で作者のすべてを推し量ることは失礼にあたるとわかっているつもりだが、定価1600円の価値があるとは到底思えないそのできばえに、この人はどういう人なのだろうと変なところに関心を持った。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:27
2002年3月16日 現代版キリストの寓話 半村良『岬一郎の抵抗』
SFの夢と下町の人情が織り上げる現代版キリストの寓話。半村良がなくなった。『産霊山秘録』『石の血脈』さらに集大成としての『妖星伝』と、半村良が作り出した伝奇SFという妖しい世界に夢中になったときがあった。しかし、むしろ直木賞受賞作である『雨やどり』など、今を生きる庶民の世界、欲や名誉やメンツなどにこだわったりしない人情噺をかかせてその本来の奇才ぶりを発揮する人であったようだ。 ...続きを見る

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