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みんなの「文学」ブログ

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フェルディナント・フォン・シーラッハ 『禁忌 TABU』  もやもやの核心をどうとらえるべきか?
フェルディナント・フォン・シーラッハ 『禁忌 TABU』  もやもやの核心をどうとらえるべきか? 飾り帯の宣伝文句には「ラストに明かされる衝撃の結末」とあり、前作の『犯罪』がとても魅力的な犯罪小説であったため期待をして手に取った。いくつかの出版社が企画した昨年度傑作ミステリーの上位にランクされている。 取りつく島のないもやもやの核心を読者としてはどうとらえたらよいのか?魅力的な文体に迷走させられながら、ゼバスティアン・フォン・エッシュブルグという芸術家のおこした事件は解明されたのか?それとも読者には全貌を知らせるつもりはなかったのか?それすらわからぬままに、………確固たるはずのおのれの人生... ...続きを見る

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2016/04/03 19:09
滝口悠生『死んでいないもの』 なんともはやわかりにくい作品だがわかりにくいから芥川賞作品なのだろう
滝口悠生『死んでいないもの』 なんともはやわかりにくい作品だがわかりにくいから芥川賞作品なのだろう この作品、文体が奇妙なリズムを奏で、とらえどころのないストーリーの流れが、登場人物たちの織りなす意識の交錯を凹凸のない時空に描いて、なんともわかりにくい芥川賞なのだが、わかりにくいから芥川賞なのかもしれない。人は誰でも死ぬのだから自分もいつかは死ぬし、次の葬式はあの人か、それともこの人かと、まさか口にはしないけれども、そう考えることをとめられない。むしろそうやってお互いにお互いの死をゆるやかに思い合っている連帯感が、今日この時の空気をわずかばかり穏やかなものにして、みんなちょっと気持ちが明るくな... ...続きを見る

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2016/03/18 00:20
追悼 ガルシア=マルケス 『百年の孤独』 17日、コロンビアのノーベル賞作家が亡くなった
追悼 ガルシア=マルケス 『百年の孤独』 17日、コロンビアのノーベル賞作家が亡くなった 1967年発表の長編『百年の孤独』は、架空の都市・マコンドを舞台にした開拓者一族の百年の歴史を夢幻のごとく描いて、マジックリアリズムの傑作とされた。ノーベル賞作家だから、難解であるとの先入観から敬遠していた作品だったが、チャレンジ精神とヤジウマ根性で2011年6月に読んでみた。その時の印象であるが…… 大作家の死を悼んで、再掲します。 ...続きを見る

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2014/04/20 22:10
藤野可織 『爪と目』 なにがなんだかわからないうちにジワリとホンモノの恐怖にすくみあがる
藤野可織 『爪と目』 なにがなんだかわからないうちにジワリとホンモノの恐怖にすくみあがる 第149回芥川賞受賞作である。普段は掲載された月刊誌「文芸春秋」の発売を待って読むのだが、「ホラー」だとの評判に、ものめずらしさから、単行本を買って読んだ。そういえば、前回の『abさんご』も単行本を買ったっけ。あれは「ひらがな・横書き」が特徴になっているとのことで、「文芸春秋」の掲載ではそれがうまく表現できるかと心配だった。でも最初の一節に目を通しただけで、興味を失い、まだ読めていない。 ...続きを見る

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2013/08/16 17:22
桜木紫乃 『ホテルローヤル』 著者らしい切り口で現代の風俗を語る直木賞にふさわしい作品だった
桜木紫乃 『ホテルローヤル』 著者らしい切り口で現代の風俗を語る直木賞にふさわしい作品だった 桜木紫乃が直木賞を受賞した。いくつかの作品を読んでいたものだから、期待していたこともあり、早速手にした次第。『起終点駅 ターミナル』がそうだったが、短編集の構成には特に工夫を凝らしている作家で、本著もその工夫が充分に活きている作品だった。 > 湿原を背に建つ北国のラブホテル。「非日常」を求めて、男と女の扉は開く第一話ではこのラブホテルが廃墟になっている。そして第二話、第三話と過去に遡り、最終の第七話ではラブホテルは建設構想の段階にある。読者はたぶんそのあと、もう一度第一話を読み返したくな... ...続きを見る

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2013/08/11 10:44
小川洋子 『ことり』 著者は「小さな、ひたむきな幸せ」を小父さんに贈ることができたのだろうか。
小川洋子 『ことり』 著者は「小さな、ひたむきな幸せ」を小父さんに贈ることができたのだろうか。 小川洋子の作品を読むのは初めてです。映画の『博士の愛した数式』を見ただけですが、記憶障害の特異な人格とその家で働くシングルマザー。二人の交流を爽やかに描いたとの印象があります。映画ということでしたが、人間全般に優しいまなざしをもった作家だと思っていました。 ...続きを見る

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2013/03/09 20:04
高村薫 『冷血 下』 思索の人・合田刑事に真実は見えたのか?人は虚無の世界にどう生きるべきか?
高村薫 『冷血 下』 思索の人・合田刑事に真実は見えたのか?人は虚無の世界にどう生きるべきか? 井上克己と戸田吉生は歯科医の一家四人を惨殺し、キャッシュカードと貴金属880万円相当を強奪、ATMにて現金12百万円を窃取した。取調べに対して、事実関係は認めるものの、殺意と動機については 「殺すつもりはなかった」 「金が欲しかったのではない」 と一貫しており、肝心なところは皆目不明のままに取調べは推移する。 ぐっすりと眠りついて気がつかない子どもまでやる必要がない過剰な殺人が 「なんとなく」「勢いで」「なにも考えずに」 とあいまいのうちに行われたようだ。 ところが、このような... ...続きを見る

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2013/03/04 00:08
高村薫 『冷血 上』 あの合田雄一郎はさらに深まる闇の中になにを見るのだろうか?
高村薫 『冷血 上』 あの合田雄一郎はさらに深まる闇の中になにを見るのだろうか? 飾り帯には 「この身もふたもない世界は、なにものかがあるという以上の理解を拒絶して、とにかくある。俺たちはその一部だ。」 となにやら難しそうであって、それはいかにも高村の作品らしく、硬質の存在感を主張するがごときで、端からゾクゾクさせる鋭さで迫ってきた。そしてクリスマス前夜の『一家四人殺し』………数多の痕跡を残しながら、逃走する犯人たち。翻弄される警察組織の中で、合田がふたたび動き出す!『レディ・ジョーカー』(1997)『太陽を曳く馬』(2009)に続く“合田雄一郎”シリーズ 待望の最新... ...続きを見る

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2013/02/10 19:50
高村薫 『黄金を抱いて翔べ』 高村文学の原点をここに見た
高村薫 『黄金を抱いて翔べ』 高村文学の原点をここに見た 映画化され、11月には公開されるという。高村薫の作品で映画化されたものがあったろうかと首をひねる。これが氏のデビュー作であるにもかかわらず、わたしは読んでいなかった。 ...続きを見る

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2012/10/05 16:40
鹿島田真希 『冥土めぐり』   冥土で身悶える亡者が救われるとき………信仰の起源か
鹿島田真希 『冥土めぐり』   冥土で身悶える亡者が救われるとき………信仰の起源か 芥川賞受賞作であるが、エロ・グロ・バイオレンスを際立たせた最近作品とは違うことだけでもホッとさせられる。奈津子の夫・太一は結婚してまもなく脳を患い手術を受けた。奈津子は頭の働きが鈍麻し、四股が不自由になった夫を介助している。パートで貯めたお金で奈津子は一泊二日の小旅行に連れ出す。東京から新幹線で近い距離の観光地。一泊5000円の区の保養所。今でこそ安上りの宿泊施設だが、かつては高級リゾートホテルで、奈津子の母が幼い時分、祖父家族と贅沢な生活を送っていた頃の象徴である。奈津子は母の栄光のなれの果て... ...続きを見る

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2012/09/26 15:26
カルロス・ルイス・サフォン 『天使のゲーム』 20世紀初頭、呪われたバルセロナを語る第一級のエンタメ
カルロス・ルイス・サフォン 『天使のゲーム』 20世紀初頭、呪われたバルセロナを語る第一級のエンタメ 2007年に読んだ前作 『風の影』のバルセロナは1945年だった。嫉妬、憎悪、不信、裏切り、暴力のなかで、人々の善意、友情、愛の絆のたくましさを、繊細、流麗な文体で高らかに歌い上げていた。特にスペイン文芸文化の光と影を象徴するかのように人知れず浮かび上がる「忘れられた本の墓場」は強烈な印象を残した。「忘れられた本の墓場」シリーズとなるのだろうか、『天使のゲーム』は同じバルセロナを舞台している。時代は前作の1945年より遡った1917年に始まるのだが、しかし趣は前作とはまるで違う。「第一章 呪... ...続きを見る

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2012/08/27 00:41
原田マハ 『楽園のカンヴァス』 絵画芸術を愛する著者の情熱が生んだ本格絵画小説の傑作
原田マハ 『楽園のカンヴァス』 絵画芸術を愛する著者の情熱が生んだ本格絵画小説の傑作 2歳の孫娘がマジックボードを持参して、アンパンマンの絵を描いてくれとせがむ。アンパンマンやドラエモンなどをかわいらしく描くことなんてできやしない。せいぜいヘヘノノモヘジかツルニハマルマルムシ。ジイジの絵はへんですねと毎度のことだ。とにかく子供のときから絵画芸術に関しては人並み以下のセンスでしかなかった。だから『楽園のカンヴァス』がアンリ・ルソーの生涯を描いた文芸作品であればおそらく手にしなかっただろう。 原田マハ、2005年に作家としてデビューし、処女作は映画化もされたそうだが、わたしは全... ...続きを見る

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2012/06/19 23:41
桜木紫乃 『起終点駅 ターミナル』 どん底で生きる男と女が求め合う究極の安らぎとはなんであるのか?
桜木紫乃 『起終点駅 ターミナル』  どん底で生きる男と女が求め合う究極の安らぎとはなんであるのか? 桜木紫乃の『ラブレス』 『凍原』。私のようなまもなく70歳になろうかという年代にも共鳴できる作品だったので、最新作を読んでみたいと、ネット本屋で注文したところ、これは6つの短編集であった。本は読むものの短編はあまり読まない性質なのでちょっと気落ちした。だから第一話の「かたちないもの」を読んだ限りでは、仮想の恋愛ごっこで無理矢理「粋な別れ」を演出したような味気なさが第一印象だった。 ...続きを見る

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2012/06/09 10:48
高樹のぶ子 『マルセル』 距離をおいた親子だった。父とは?を知らない、その娘が辿る父という男の真実。
高樹のぶ子 『マルセル』 距離をおいた親子だった。父とは?を知らない、その娘が辿る父という男の真実。 作家はいわゆる純文学で書けないものを推理小説に書くことがある、とだけいっておこう。これは大岡昇平氏の言である。『事件』で第31回日本推理作家協会賞を受賞した大岡昇平は古くからの推理小説ファンで、自分でもなんどかこのジャンルにチャレンジしてみたものの及第点がとれなかったのだそうだ。この受賞は意外だったらしのだが、それでも「やっと一人前になれた形である」と鼻高々であった。氏、69歳のことである。 ...続きを見る

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2012/06/02 17:19
水村美苗 『母の遺産 新聞小説』 家族のしがらみを冷静なメスで暴き、しかも優しいまなざしが一貫する
水村美苗 『母の遺産 新聞小説』 家族のしがらみを冷静なメスで暴き、しかも優しいまなざしが一貫する この数年、小説あるいは映画、テレビドラマには、親・子や夫・妻を軸として「綻んでしまった不幸な家族の新たな出発」をテーマにしたものが溢れかえっていた。ほとんどの作品が再起、再生、明るい明日を展望する感動生産型のものであった。そこでは、やさしく暖かい「絆」という言葉が万人の心を癒す呪文のように共通して浸透しつつあった。そして東日本大震災があった。なるほど。と、わたしたちは「絆」の大切さをあらためて思いしらされることになった。しかしやがて「絆」は絶対不可侵の価値観のように、「絆を深めよう」と一人歩... ...続きを見る

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2012/05/01 01:23
メルヴィル 『白鯨 モービィ・ディック 下』 エイハブVS白鯨。両者の見せる絢爛たる「悪」の競演
メルヴィル 『白鯨 モービィ・ディック 下』 エイハブVS白鯨。両者の見せる絢爛たる「悪」の競演 博覧強記で鳴るウンベルト・エーコの作品は「百科引用大小説」と言われた。ぼくにとってそれは百科事典を傍らに置いて首っ引きにしないと理解し得ないという、とんでもないしろものだった。 メルヴィルの『白鯨』であるが、とにかく鯨に関する種類、生態、分布などの分析的・分類的記載の詳述がいたるところに現れる。博物誌的な話題ばかりではない。解剖学的、考古学的考証に神話伝承を加えた、まさに鯨に関する百科事典そのものといえるような叙述に圧倒された。いや、延々と続くので眠くもなった。 だがいわゆる「事典」とか... ...続きを見る

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2012/04/04 23:27
帰宅途中で夜空を見上げれば
帰宅途中で夜空を見上げれば 金星と木星の間に三日月が入り込んで一直線になっていた ...続きを見る

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2012/03/26 22:33
メルヴィル 『白鯨 モービィ・ディック 上』 イシュメールが語った酷薄の世界にわが国の混乱を見る
メルヴィル 『白鯨 モービィ・ディック 上』 イシュメールが語った酷薄の世界にわが国の混乱を見る 小学生だったぼくが読んだ『白鯨』は児童向けに模様替えされた作品だった。当時は日本人作家の手になるオリジナルの新作児童文学は影を潜めており、たいがいは海外の古い作品であり、その中に大人の読む小説を子供向けに書き直したものがたくさんあった。ほとんどは大人になってから読み直したものだが、『白鯨』だけは今になるまで手をつけることができなかった。小学生で読んだ時の印象は片足の船長が巨大鯨と死闘をした程度で、たとえば『岩窟王』のように決死の脱獄という冒頭からの強烈なインパクトがなかったこともある。それよ... ...続きを見る

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2012/03/20 05:27
田中慎弥 『共喰い』 母親の実在感が光る性と暴力の芥川賞受賞作
田中慎弥 『共喰い』 母親の実在感が光る性と暴力の芥川賞受賞作 芥川賞と直木賞の違いってのはなんなんだ? と飲み友達からきかれた。 純文学と通俗小説の違いだと思うんだが……… とあいまいに答えたら おまえもいい加減な奴だな、純文学と通俗小説に境目はないだろう。 と、もっともな反論がかえってきた。 そこで 芥川賞は文芸雑誌に発表された作品で、まだ単行本になっていない、つまり売れていない作家がもらうもの、直木賞はベストセラー作家がもらうものだと言い直したら、それで納得してくれた。 ...続きを見る

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2012/02/25 13:27
五木寛之 『親鸞 激動篇』 「鬼神を敬してこれを遠ざく」の親鸞。専修念仏の布教の前に立ちはだかる障壁
五木寛之 『親鸞 激動篇』 「鬼神を敬してこれを遠ざく」の親鸞。専修念仏の布教の前に立ちはだかる障壁 死後の世界など無頓着であり信仰に救済を求めるなどまったく考えられない私ですが、実際には大勢の人が神仏に祈りをこめる向き合い方をしている。科学万能の現代でなお科学者のなかには真理の究極に霊的存在を認める方がおられる。身の回りを見れば、私だって墓参もすれば葬儀もあるという具合に日本人の生活様式に深く組み込まれている。また政治や国家、民族の動向に宗教が強く関わっている。さらに宗教にある熱狂が個人に限らず集団の暴力を生み、民族・国家間の戦争すら引き起こす。 信仰心のないものでも宗教に強い関心を持た... ...続きを見る

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2012/02/06 22:58
皆川博子 『開かせていただき光栄です』 完璧な本格探偵小説と上等のユーモア文学が融合した傑作
皆川博子 『開かせていただき光栄です』 完璧な本格探偵小説と上等のユーモア文学が融合した傑作 皆川博子氏の作品は『死の泉』『薔薇密室』『伯林蝋人形館』を読んでいた。いずれもナチズムの狂気をエロチックにグロテスクに描いた耽美・幻想の世界で、あまり後味がいい作品ではなかったとの印象がある。 ところが、びっくりしたことにこのジャンルとはまったく違うのだ。今回の『開かせていただき光栄です』は上等の本格探偵小説である。18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四股を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事(ジョン... ...続きを見る

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2012/01/29 19:49
三浦しをん 『舟を編む』 ライトノベル風だが一気読みをしないで、辞書を片手に楽しもう
三浦しをん 『舟を編む』 ライトノベル風だが一気読みをしないで、辞書を片手に楽しもう 楽しい仕掛けがいっぱいあるぞ。ライトノベル風で一気読みはできるのだが、それではあまりにもったいない。辞書を片手に寄り道しながら、言葉の世界を逍遥しましょう。 玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う点で言葉を捉える馬締は、辞書編纂部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉... ...続きを見る

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2011/12/04 16:24
志水辰夫 『みのたけの春』 冒険小説の第一人者が円熟した筆で語る若者のいきかた
志水辰夫 『みのたけの春』 冒険小説の第一人者が円熟した筆で語る若者のいきかた 志水辰夫といえばハードボイルド・冒険小説界の第一人者だったのだが、このところ時代小説に転じたらしい。ダイナミックなこれまでのイメージとは異なって『みのたけの春』、相当に渋い。この作品を読んだあとで、1936年生まれと知ってびっくりした。私よりも8歳も年上のオジイチャンだったのだ。なるほど、「若者の生き方のひとつ」として、多分にアナクロニズムであるかもしれないのだが、われわれの年代には、微妙にこそばゆい共感を覚えずにはいられない深みがこめられていた。 ...続きを見る

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2011/11/29 19:29
吉田修一 『平成猿蟹合戦図』 あのなつかしいお伽噺を現代日本に再現すれば………
吉田修一 『平成猿蟹合戦図』 あのなつかしいお伽噺を現代日本に再現すれば……… お伽噺「猿蟹合戦」といえば私たちの年代なら誰でも知っている懐かしい昔話です。 ところで私たちが子供時分はこのお話からどういうメッセージを受け取っていたのでしょうか。 また、仮に私たちが現代の子どもたちに向かってこのお話をする場合、どういうメッセージをこめればよいのでしょうか。 私は「弱いものたちが力をあわせて強いワルモノをやりこめる美しいお話」として受け止めていたような気がします。猿をやっつける計略も痛快でした。 そして吉田修一もこのメッセージをそのまま現代におきかえて『平成猿蟹合戦図』... ...続きを見る

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2011/11/13 15:40
桜木紫乃 『ラブレス』 流されるままの哀しい人生 昭和女の一生が最後に見せる真実とは?
桜木紫乃 『ラブレス』 流されるままの哀しい人生 昭和女の一生が最後に見せる真実とは? 時の流れに身をまかせた浮き草の人生、あまりに哀しい昭和女の一生………とお膳立ては古めかしいのだが。「しあわせ」の尺度をひくりがえしてみえてくる生きることの値打ちには、漂流する現代の精神に対する力強いメッセージが込めれれている。 ...続きを見る

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2011/11/06 22:53
吉村昭 『桜田門外ノ変』 史実を丹念に積み上げ、桜田事変の実相に肉薄する歴史小説の傑作
吉村昭 『桜田門外ノ変』 史実を丹念に積み上げ、桜田事変の実相に肉薄する歴史小説の傑作 「桜田門外の変」とは安政7年(万延元年・1860年)、雪降る江戸城お堀端で水戸藩士たちが井伊大老を襲撃し暗殺した事件である………と。それだけでなく安政の大獄、無勅許の開国など独断専行に対する制裁だった………程度は誰もが知っている著名な事件である。 先日出会った山田風太郎『魔群の通過』はその4年後の1864年の天狗党の乱であったが、このとき茨城県生まれの私は「幕末期の水戸藩とは一体なんであったのか?」との興味にとらわれてしまった。 本著は桜田事変の襲撃現場の指揮者・関鉄之助を主人公にして、そ... ...続きを見る

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2011/11/02 13:33
フェルディナント・フォン・シーラッハ 『犯罪』  異常な犯罪と向き合う弁護士が描く裁判制度の光と闇
フェルディナント・フォン・シーラッハ 『犯罪』  異常な犯罪と向き合う弁護士が描く裁判制度の光と闇 弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描く連作短編集。文学賞二冠、45万部突破の欧米読書界を震撼せしめた傑作一生を愛し続けると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした心やさしき銀行強盗。………魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たちその他………ギリシャ人であること拒否することに... ...続きを見る

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2011/08/20 20:05
ヨハン・テオリン  『黄昏に眠る秋』 スウェーデン・エーランドの憂愁たっぷりの傑作ミステリー
ヨハン・テオリン  『黄昏に眠る秋』 スウェーデン・エーランドの憂愁たっぷりの傑作ミステリー スウェーデンのエーランド島。 地図を見れば、スカンジナビア半島を海龍に見立てたとき、デンマークを飲み込もうとする下あごの付け根にコバンザメのように張り付いて見える細長い島だ。現在、南部の農業地帯は世界遺産に指定されている。島の北部がこの物語の舞台になる。西に本島を眺望するいくつかの村落があるが定住人口は数少ない。ストックホルムの小金持ちたちがここに別荘を持ち、夏だけが賑わいを見せる。秋ともなれば本土へUターンする人の流れも途絶える。厳しい冬を迎える老人達だけがひっそりとそれぞれの軌跡、栄光... ...続きを見る

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2011/08/12 14:47
奥泉光 『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』 抱腹絶倒とはこのこと!なんでこんなに可笑しいの?
奥泉光 『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』  抱腹絶倒とはこのこと!なんでこんなに可笑しいの? 「にやにや、にたにた、くすくす、くすり、げらげら、ははは、ふふふ」 ページを繰るごとにこれだから、電車で読んでいるとつい周囲が気になる。これほどいくつものわらい方で笑える小説にはめったに出会わない。とにかく可笑しくてたまらないのだ。 ところでヒトだけが「笑う動物」だとの説があるそうだが、どういう場合に笑うのだろうかとふと考えるとなかなかの難問だとしかいいようがないことに気づかされる。 ...続きを見る

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2011/06/26 15:55
G・ガルシア・マルケス 『百年の孤独』  廃墟と化したマコンドは復活するだろうか。現在の日本を予言?
G・ガルシア・マルケス 『百年の孤独』  廃墟と化したマコンドは復活するだろうか。現在の日本を予言? いつかは読みたい、むしろ読んでおかねばならないと思うような重量級作品はいくつかあるのだが、手ごわい!と怖気が先行し、なかなか手が出ない。これはそのひとつだった。 コロンビアのノーベル賞作家。ラテンアメリカ文学ブームの先駆け。 「20世紀後半の世界文学を物語の奔流で力強く牽引した」 といわれる作品だと、この程度の知識しかなかった。 ...続きを見る

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2011/06/12 18:09
井上ひさし 『一週間』 氏のいきかたそのままをメッセージにした井上文学の到達点
井上ひさし 『一週間』 氏のいきかたそのままをメッセージにした井上文学の到達点 井上ひさしさんの作品では『吉里吉里人』『腹鼓記』『馬喰八十八伝』などは昔のことなのでよく覚えていないが、伊能忠敬を描いた『四千万歩の男』、通説では不忠者とされた人々の物語『不忠臣蔵』、占領下の日本人と米軍とのコンフリクトを喜劇的に際立たせた『東京セブンローズ』の記憶は鮮明に残っている。いずれの作品も弱いもの、差別されているものへのやさしさが滲んでいた。 ...続きを見る

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2011/05/07 13:08
ケイト・モートン 『忘れられた花園・下』 ビクトリア朝世紀末と現代にまたがる家族関係の普遍性とは。
ケイト・モートン 『忘れられた花園・下』 ビクトリア朝世紀末と現代にまたがる家族関係の普遍性とは。 1913年、ロンドンからオーストラリアに着いた船にたったひとり残された少女ネルに何があったのか。魔法の組み紐が遡る謎の原点には名門貴族・マウントラチェット家の家族関係があった。ビクトリア朝世紀末と現代にまたがる家族関係の普遍性とは。 ...続きを見る

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2011/04/29 17:50
角田光代 『八日目の蝉』  女は弱し、されど母は強し………ということか。
角田光代 『八日目の蝉』  女は弱し、されど母は強し………ということか。 「八日目の蝉」っていったいなんなのだろう。巻末の解説に池澤夏樹が「この小説を読むに際して、まず育児が快楽であることを確認しておこう」と延々とその悦びの経験談?を語っているのだが、これは蝉とは無関係。死の淵にたってこその真の再生ってことかな。いや、そんな長生きの蝉はいないね。このタイトルに託した著者のメッセージはどう考えても謎である。いっそ、「空蝉」のほうが深遠で想像するに拡がりがあり、いいのじゃぁないだろうか。 ...続きを見る

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2011/04/08 23:44
奥泉光 『シューマンの指』 これぞ奥泉光の新ジャンル「本格音楽小説」だ?
奥泉光 『シューマンの指』 これぞ奥泉光の新ジャンル「本格音楽小説」だ? 「音楽」とはいったいなんなんだ? 音楽は聴覚を媒介として、時間的に展開され把持される意味を形づくる。音の強弱、高低、色彩(音色のことか?)、リズム的な継起、一定のパターンによる反復や変形などがその意味形成の手段となり、同時にその意味を認める心的な働きがあって、音楽は成立する。その意味で、音楽は語られる言語と多くの共通面をもっている。(平凡社世界大百科事典より抜粋) 読後にはこの難解な解説がいくらか理解できるようになった。 ...続きを見る

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2011/04/06 23:37
ウンベルト・エーコ 『バウドリーノ 下」 司祭ヨハネの国の「虚構」を知ったバウドリーノの回心
ウンベルト・エーコ 『バウドリーノ 下」 司祭ヨハネの国の「虚構」を知ったバウドリーノの回心 「下巻」は「上巻」の動・高揚感から静・虚脱感へと見事な転調をみせる。「上巻」は、フリードリヒ1世の皇帝即位1155年ごろから始まり、1187年の彼の第3回十字軍参戦までが語られている。 「上巻」に登場するバウドリーノは、のちに語られるこの皇帝の歴史上の偉業、そのポイント、ポイントすべてをお膳立てしていった陰の主役であり、その活躍ぶりの痛快さが物語の魅力になっていた。 ...続きを見る

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2011/03/15 20:55
ウンベルト・エーコ 『バウドリーノ 上』 影で歴史を創る稀代の策略家バウドリーノは神か?
ウンベルト・エーコ 『バウドリーノ 上』 影で歴史を創る稀代の策略家バウドリーノは神か? フリードリヒ1世の臣下バウドリーノ。嘘つき。いや稀代の策略家。皇帝、教皇、都市同盟とそれぞれは内部に波乱の種を持ちながら三すくみだ。しかしひとたび権力武力で他を圧するとなれば、大勢を束ねるために普段は実体がない「権威」を実体化したくなる。日本流の大義名分だ。錦の御旗だ。何か事をするにあたっての根拠、疚しくない口実。あることないことでっち上げてこれを実体あるものに変えてしまうのがバウドリーノ流だ。 ...続きを見る

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2011/02/22 23:09
阿部和重 『ピストルズ』 絢爛たる知の迷宮を彷徨う楽しさ。
阿部和重 『ピストルズ』  絢爛たる知の迷宮を彷徨う楽しさ。 阿部和重の作品は芥川賞を受賞した『グランドフィナーレ』を2005年3月に読んだだけでした。自分の娘の裸体を写真にとって楽しむ変態野郎の人知れぬ内面、メルヘンの世界でしか生きられないひよわな生真面目さだけをすくいあげたような作品で、幼児性愛者による性犯罪が世の中を震撼させていた当時だったからでしょう、常識人でしかない私は奇抜さだけを狙ったような著作姿勢に不愉快な気持ちになって、著者に対しては嫌気が先行してしました。 『ピストルズ』は宣伝文句に魅かれ手に取ったのですが、まさかあの阿部和重であっ... ...続きを見る

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2011/01/23 00:04
黒井千次 『高く手を振る日』 過去へとジャンプする老人の恋
黒井千次 『高く手を振る日』 過去へとジャンプする老人の恋 読書好きの仲間の一人K君が酒の席でぜひ読むべしとすすめてくれた。宴席が終わって別れるときにも、長くないからすぐ読めるからと、手を振りながら念を押された。ところが作者の名前もタイトルも忘れてしまったのだが、執拗なまでの言い振りには何か理由があるはずだと気になっていた。たまたま「手を振る」だけは記憶にあって、本屋でそれを目にした時に、もしかしたらこれかもしれないと手に取った。作者もまったく知らない人だった。先入観をまったく持たずに、しかし第1章17ページまでだけで彼がすすめてくれた理由はわかった... ...続きを見る

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2010/08/12 18:06
辻原登 『闇の奥』 現代人の喪失感に希望の光があてられるか?
辻原登 『闇の奥』 現代人の喪失感に希望の光があてられるか? 世界各地に残る小人伝説を追う一大ロマン小人といえば白雪姫、一寸法師、今公開中の映画『アリエッティ』であり、ファンタジー、子供の夢の世界を思い浮かべる。この作品の小人は身長1メートルほどの種族であり、かわいらしさの象徴ではない。人跡未踏の地に住む、未発見の小さい種族を捜し求める学術的探求であるが、にもかかわらず、それを追い求める人たちは、子供が夢にあこがれるような感性に突き動かされている。太平洋戦争の末期、北ボルネオで気鋭の民俗学者・三上隆が忽然と姿を消した。彼はジャングルの奥地に隠れ住むという矮... ...続きを見る

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2010/08/01 18:58
司馬遼太郎 『竜馬がゆく 5〜8』 NHK大河ドラマを3倍楽しむために
司馬遼太郎 『竜馬がゆく 5〜8』 NHK大河ドラマを3倍楽しむために この大長編小説の後半です。1864年(元治元年)の池田屋騒動から1867年(慶応3年)大政奉還までの4年の幕末史が詳細に描かれます。密度の高い4年間でした。わたしの鞍馬天狗・正義の人に直結する尊王攘夷論がいい加減であったのは仕方なかったことで、なるほど「尊王」「攘夷」「倒幕」「開国」「佐幕」という思想の思惑は当時は百人百様であったということがこれでようやく理解できました。そして坂本竜馬は30歳から34歳のこの短い時間に新しい歴史の流れを作り上げる大事業をほとんど単身でおこなうのであるからこれ... ...続きを見る

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2010/07/25 22:24
司馬遼太郎 『竜馬がゆく 1〜4』 NHK『龍馬伝』を超えた面白さがあった。
司馬遼太郎 『竜馬がゆく 1〜4』 NHK『龍馬伝』を超えた面白さがあった。 新聞連載の後、昭和41年に刊行された司馬遼太郎の初期の作品です。司馬遼太郎の著作は『梟の城』『国盗り物語』『新撰組血風録』『項羽と劉邦』は面白く読んだのですが、『翔ぶが如く』や『空海の風景』となると西郷隆盛、空海の評伝のようで、なるほどと勉強にはなったがロマンとしてわくわくするところがありませんでした。今のところ司馬遼太郎の代表作といわれる『坂の上の雲』も日露戦争論のように思えて読む気持ちになれません。 ...続きを見る

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2010/07/04 23:11
帚木蓬生 『水神』 平成という時代が生んだ新・義民伝説
帚木蓬生 『水神』 平成という時代が生んだ新・義民伝説 百姓は死なぬように生きぬように考えて年貢を取れと家康が語ったという。 また胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなりという言もあります。 国の礎といわれる農民に対する領主の苛斂誅求と同時にどん底にあえぐ農民の暮らしが端的に語られ、記憶に残る言葉です。 ...続きを見る

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2010/06/30 23:34
辻原登 『許されざる者 下』 美しい女性の二つの恋の物語でもある。
辻原登 『許されざる者 下』  美しい女性の二つの恋の物語でもある。 初恋と不倫。この作品は西千春、永野暁子という美しい女性の二つの恋の物語でもある。あらすじだけなら型にはまった恋愛小説といえなくはない。しかしちりばめられた巧みな語りの技法と時代性で濃厚に味付けされた個性の表現は稀に見る一級品である。じっくりと楽しむことができた。 ...続きを見る

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2010/05/30 16:28
辻原登 『許されざる者上』 戦争と恋。自由へと許されざる者たちの魂の鼓動を描く大浪漫
辻原登 『許されざる者上』 戦争と恋。自由へと許されざる者たちの魂の鼓動を描く大浪漫 頭山満の日露開戦論に森宮の人々は熱狂した。ドクトル槇の声がひびいた「戦争を扇動するのは悪徳の人で、実際に戦うのは美徳の人である。」場内は凍りついた。玄洋社の集団が腕まくりして槇に詰め寄る。それを地元ヤクザ中駒組の若衆が取り囲む。「おっしゃられたことは正しいとつくづく思いました」彼に恋をする永野夫人の澄み切ってうるおいのある声があった。そして私は自由を求める魂の鼓動とさわやかに共振している。 ...続きを見る

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2010/05/24 12:18
村上春樹 『1Q84 BOOK3<10月―12月>』 混沌の世界から抜け出せないのは読者だった。
村上春樹 『1Q84 BOOK3<10月―12月>』 混沌の世界から抜け出せないのは読者だった。 半年も前に前二巻をファッションとして読んだ初老族だから、うろ覚えのままでこの第三巻を理解できるだろうかと不安があった。だが、著者も心得ていたようで、読んでいくうちに充分思い出すことができるような仕掛けがあったので助かった。 相変わらず判じ物の謎解きを読者にせまるのだが、今回の前半は教団側の探索者・牛河が暗殺者・青豆を追いつめるプロフェッショナルな行動様式で、一本筋が通っているものだからかなりわかりやすい。それにこの牛河と青豆の守護者・タマル、教団側の暴力機構をしょって立つ凶漢、小説『空気さ... ...続きを見る

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2010/05/14 00:05
橋本治 『巡礼』 周囲の住人から非難されながらゴミに埋もれている老人の過去
橋本治 『巡礼』 周囲の住人から非難されながらゴミに埋もれている老人の過去 戦中派とは第二次大戦中に青春時代を過ごした世代(1910年代末期〜1920年代生)だそうだ。日本のフレームワークが根底から覆った終戦はかなり明瞭な時代の区切りであったから、「戦前」「戦中」「戦後」の仕分けに意味がなくはない。しかし新しい国家制度が人々の暮らしにまで定着するにはかなりの時間がかかるものである。戦中から戦後へとグラデーションする時代に戦時下の1933年に生まれた忠一は戦後世代になりきれなかったのだ。 ...続きを見る

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2010/05/05 18:51
中村文則 『掏摸』 非社会的人間の自滅を美的にとらえた危険な書
中村文則 『掏摸』 非社会的人間の自滅を美的にとらえた危険な書 反社会的な行動をあおるテーマではない。非社会的人間の自滅を美的にとらえたかなり危険な書である。 ...続きを見る

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2010/02/14 17:47
村上春樹 『1Q84 BOOK1 BOOK2』  ムードで読むか、理屈で読むか?
村上春樹 『1Q84 BOOK1 BOOK2』  ムードで読むか、理屈で読むか? 混沌の世界を実感させる企ては成功したか?  しばらく前から 「『1Q84』を読んだか?」 と60歳をこえた何人もの仲間からたずねられた。 「村上春樹って読んだことがないのだが、販売企画力がメチャメチャうまく、発売前からベストセラーだったんで買ってはあるんだ。」 でもまだ読んではいなかったからそれ以上会話は発展しなかった。 ...続きを見る

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2009/11/18 00:05
川上未映子 『ヘヴン』 生死の淵に追い込まれたイジメ被害者の救済に途はあるのか?
川上未映子 『ヘヴン』 生死の淵に追い込まれたイジメ被害者の救済に途はあるのか? 理屈はないよ、いじめたいからいじめるだけなんだ。この思い上がった、現代に跋扈する異質なものたちを見よ。なすすべなく、ただいじめられている者たち。生死の淵に追い詰められたいじめ被害者は宗教的救済を確信するしか道はないのか?それとも………。 ...続きを見る

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2009/10/27 18:14
高村薫 『太陽を曳く馬 下』 高村が挑む21世紀の宗教改革
高村薫 『太陽を曳く馬 下』 高村が挑む21世紀の宗教改革  「だれでもいいから殺したかった」この現代の闇に伝統仏教は光明を与えられるのか? そして高村は21世紀の宗教改革を求めているのか? ...続きを見る

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2009/10/05 23:34
高村薫 『太陽を曳く馬 上』 その二 現代によみがえるラスコーリニコフ裁判
「はじめに言葉あり、言葉は神とともにあり、言葉は神なりき」 言葉によってこの世の秩序は成り、言葉はこの世のすべてを明晰に至らしむ。 「道の道とすべきは常の道にあらず。名の名とすべきは常の名にあらず。名無し、天下の始めには。名あり万物の母には」 言葉は始めにはない。あらゆる秩序と明晰なるものを拒み暗く定かならぬ混沌から世界は生ずる。知る者は言わず、言うものは知らず。 この対立する二つの世界観を抽象論、観念論で述べるのではない。高村薫は現代を象徴する不可解事件を両サイドから徹底的に突き詰... ...続きを見る

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2009/10/05 23:32
高村薫 『太陽を曳く馬 上』 あの合田雄一郎の復活。 高村薫文学の一つの到達点
『晴子情歌』は母・晴子と福澤彰之の対話であった。『新リア王』は父・榮と彰之の対話であった。そして『太陽を曳く馬』では子・秋道と彰之の対話があり、三部作の一貫して中心人物であった福澤彰之が歩んできたところの究極に見えたものがある。さらに実に巧妙な仕組みだと感心させられるのだが、あの合田雄一郎の復活であった。 ...続きを見る

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2009/09/26 18:25
磯ア憲一郎 『終の住処』  本物のサラリーマンが描いた純文学の芥川賞受賞作
現役のサラリーマンが描いたサラリーマン小説で純文学で芥川賞受賞作というのは珍しい。何らかの事情で会社をやめその経験から企業小説を書く作家はいても、たいがいの場合は企業と批判的に向きあっている。あるいは揶揄する姿勢が見えるものだ。この小説では製薬会社の営業を担当していた主人公の「彼」の記憶が語られ、会社での仕事ぶりについては、上司の指示通りに務めを果たそうとする「彼」はそこに溶け込んでいて会社に違和感を持つことはない。私を含めてサラリーマンの多くはそんなものだろう。身近な「彼」である。 雑誌... ...続きを見る

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2009/09/06 15:05
ドストエフスキー 亀山郁夫訳 『罪と罰』 3 ラスコーリニコフの犯罪の核心を推測する
「道の道とすべきは、常の道にあらず」 彼は「道」に謀反し、「道」に誅せられ、「道」に回帰していく。 ...続きを見る

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2009/08/31 19:45
ドストエフスキー 亀山郁夫訳 『罪と罰』2 ナポレオン主義とはなにか?
義を見てせざるは勇なきなりと一肌脱いで感謝されるとうれしくなる。ところが思いがけないところから余計なことをしてくれたとお小言を頂戴する。内心複雑な思いで弁解にあい努めるハメに追い込まれた。 よくあることだが、これってナポレオン主義と関係あり!? ラスコーリニコフの犯罪論を読んだポリフィーリーがラスコーリニコフの殺人哲学について挑発的に言及する。この世にはどんな無法行為だろうと、犯罪だろうと、それを行うことができる人間が存在するという………いや、できるなんてもんじゃなく、完全な権利をもつ人... ...続きを見る

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2009/08/26 14:41
ドストエフスキー 亀山郁夫訳 『罪と罰』1 理解不能な今のわが国の犯罪と重ね合わせながら………
まもなく衆議院選挙だ。 日本が羅針盤を失い漂流しはじめてから何年になるか。その間に積もり積もった焦燥感が解消されるどころか、さらにふくれあがるであろうことをだれもが認識している政治的プロセスである。 ...続きを見る

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2009/08/16 17:46
亀山郁夫 『「罪と罰」ノート』 ドストエフスキー『罪と罰』を熟読したあとで
亀山郁夫氏の著書ではじめに読んだのは『「悪霊」神になりたかった男』だった。ドストエフスキーの『悪霊』は岩波文庫の米川正男訳になじめず、新潮文庫の江川卓訳でどうにか通読できたそのころ、この著作でまさに目からうろこが落ちたという爽やかな気分で私なりの理解に到達感を持つことができた。 ドストエフスキーを読むといつものことなのだが、「神」という存在をどうとらえていいのかわからないことで、そこがポイントだと思うものだから余計にいらだたしくなる。ところが『悪霊』に関しては亀山氏の個性が語る神のイメージ... ...続きを見る

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2009/08/09 23:43
奥泉光 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』  戦争の狂気をシリアスに思索するユーモア文芸
『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』『モーダルな事象』と共通するロンギヌスの石は登場するがこれらが抱腹絶倒の笑いの文学であるのとは異なり、笑いは笑いでも醒めたブラックユーモアである。デフォルメしてあるからブラックユーモアなのだが、戦争のグロテスクな狂気をシリアスに捉えた思索の文学である。 ...続きを見る

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2009/03/21 19:53
桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな?
[桐野夏生] ブログ村キーワード ...続きを見る

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2008/09/28 18:40
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは?
神の存在しない日本社会を「悪魔」は食い尽くすのだろうか?ドストエフスキー流の融通無碍な視線で現代人の罪と罰と贖罪を見つめた思索のドラマがここにある。 2002年10月、全国で次々と犯行声明つきのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介良介には妻と喘息もちの男の子がいる。故郷には退職後の気鬱にある父とそれとの生活に疲れ気味の母がいるが、この父母も歳相応にはしっくりしないところがあっても普通の家庭だ。良介の兄・崇は良介とは違って子供のときから優等生の誉れ高く、いまではエ... ...続きを見る

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2008/09/02 00:17
平野啓一郎 『決壊 上』 超重量級のクライムノベルでもある
私はこれまでこれほどショッキングな犯罪小説を読んだことがない。なぶり殺しにして死体を切り刻む犯行、あるいは無差別の大量殺戮が生々しく詳細に書かれているからだけではない。その内心が残忍であり、あまりにも醜悪な犯人像は「私たちの世界」からまるで「離脱」している。それを生み出す現代社会。重層的にしつらえたエピソードはすべて悪意が善意を食らい尽くすプロセスであり、どれもが読んでいていたたまれないほどに無惨極まりないのである。ここまで病んでいる。世の中はひどく病んでいる。人ごととは思えないこの事態は身... ...続きを見る

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2008/08/27 23:37
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき
今年の夏はことのほか暑い。外に出かける気にはならず、しかし、なんの因果かわが家のクーラーが壊れているものだから、生暖かい扇風機の風にあおられながら、汗が流れるままにゴロゴロと読書をしている。そういう、いたたまれないようなかったるい気分で読むとどこか主人公たちの無為な日常を実感できるようで、この夏つきあうのにふさわしい内容の作品であった。 桂川渓谷と呼ばれる景勝地が近くにあるがその涼風は届かない。町の奥まったところ、老朽化した市営住宅団地がある。真夏の朝、8時、締め切った狭い部屋、クーラ... ...続きを見る

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2008/07/30 13:52
川上未映子 『乳と卵』 芥川賞受賞作 もやもやの中にすっきりとさせてくれます。
雄弁は銀、沈黙は金っていう。そんなことかもしれないと思いながら、いずれにしても自分の気持ちを相手にそのまんま伝えるのは相当難しいことだ。 サラリーマンを卒業し家庭の中の時間が圧倒的に増えた今になって振り返れば、会社生活のほうが意思の疎通は容易だったような気がする。なぜかというとそこは約束事とか規則とか通念ってものが完璧だから、「文法」に従って言葉を口に出しまた文章を書けばそれで「私」をありのままに表現することになっているからだ。「慎重に検討させていただきます」といえばそれなりに社会通念が調... ...続きを見る

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2008/02/21 17:04
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。
もはや動かしようがない格差の拡大社会と歪められる家族関係を通して人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 ...続きを見る

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2008/02/15 16:01
松浦理英子 『犬身』 家族とはなにかを問うがいまひとつだな。
なんともとらえどころが難しい、奇妙な味わいの作品である。ただし、犬をペットとしてかわいがっている人にとってはやたらにうれしくなってしまう作品である。 私も4年前から牝のトイプードルを飼っている。かわいがっている一人だ。犬には喜怒哀楽の感情があってまるで人間と同様の表現を目の動き、顔つき、尻尾の振り、手足のしぐさ、鳴き声など全身を使って行うものだ。人間がなにをしようとしているのか、どんなことを考えているのか読み取る能力もある。私にも犬の心理が読めるようになっている。そんなところまで交感が深ま... ...続きを見る

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2008/02/03 18:14
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史
この作品、いかにも横溝正史風でスタートしているがミステリーとして読むのはいささか間違いだ。余計な雑念を払い捨て、この語りに没頭してこそ多様な味わいを楽しみ、芳醇な香に酔いしれることができるだろう。 ...続きを見る

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2008/01/08 00:07
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。
ドストエフスキーの描く少年・少女だが、どれもこれも子どもらしさがない、かわいらしさがない、ひとことでいえばこわい。読んだ作品ではじめに印象的だった子どもは『悪霊』の少女マトリョーシャだった。亀山郁夫の『『悪霊』神になりたかった男』は亀山が『悪霊』から「スタヴローギンの告白」だけを抜粋し翻訳して解説している。亀山はマトリョーシャを10歳としている。親から虐待されるのだがその痛みの中に快感をおぼえる人格なのだから驚きだ。スタヴロ−ギン(幼児性愛癖もあるんだな、彼は)は彼女を陵辱する。実は江川卓訳... ...続きを見る

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2007/10/15 17:11
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります
16歳の少女が斧で警察官の父親を殺害した。つい最近の出来事である。同種の事件は過去にもいくつもあった。現在日本の刑法に尊属殺人という概念は消えている。にもかかわらず私たちには大変ショッキングな犯罪である。私のどこかに親は敬うべきものと儒教思想の残滓があるのかもしれない。『カラマーゾフの兄弟』が扱うのはキリスト教社会において最悪の犯罪とされる父殺しだが、今の私には同様の重さでこのテーマを感じることができる。 第4部はミーチャが父殺しの容疑で起訴された裁判シーンでクライマックスを迎える。はじめ... ...続きを見る

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2007/10/06 19:35
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ
『カラマーゾフの兄弟』は第一の小説と第二の小説の構想があって第二の小説は書かれていないのだが、序文「著者より」によれば全体として三男アリョーシャを主人公にしている。ただこの第一の小説ではアリョーシャの影は薄い。とはいえ「第三部第七編アリョーシャ」には引っかかるところがあって読み返したら、独断的なアリョーシャ印象をくどくどと書いてみたくなった。 どんなにスッと入れる名訳でも原書そのものにある難解さをときほぐすのは容易ではない。特に宗教に関連するイメージは私のもっとも苦手なところです。第一部、... ...続きを見る

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2007/09/27 17:26
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。
全巻エピローグまで読み終えたものの混沌の宇宙に放り出されたような頼りなさでいらだたしい心境にある。最後にある亀山郁夫の解説を読むことは中断してこの酩酊状態をしばし楽しむことにしよう。 ...続きを見る

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2007/09/18 20:09
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか
巻末の著者による「読書ガイド」は難解なこの作品を理解するうえでとても重宝である。適度な突っ込みだから読者の自由度を束縛することなく、ポイントをついた手引書になっている。そしておそらく著者の個性的な翻訳姿勢によってこの書はいまや話題のベストセラーとして注目されることになったのだろう。 ...続きを見る

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2007/09/13 17:28
辻原登 『円朝芝居噺 夫婦幽霊』 名人芸で辻原が語る名人円朝伝
芝居は観るもの、寄席は聞くもの、小説は読むものとこれが世間の相場なら、はて円朝の創り出した作品・芸風ばかりはどうやらこんな一筋縄では収拾がつかないようだと読み終えて思わず感嘆のため息が洩れます。うらを返せばこれほどの円朝活写をものした著者辻原登へのお世辞抜き、賞賛でございます。 古今無双の知的エンターテイメント文学ミステリーとございますが、このジャンルならしばらく前に世の絶賛を博しえました丸谷才一『輝く日の宮』、あれに比肩する上等の文学ミステリーであります。ま、丸谷のはやんごとなきところの... ...続きを見る

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2007/04/30 01:55
熊谷達也 『氷結の森』 名作『邂逅の森』の続編として新たな感動を呼ぶ傑作
主人公、柴田矢一郎。出生は秋田、山々の懐に囲まれたマタギである。昔かたぎのマタギについては前作 『邂逅の森』 に詳しいので『氷結の森』では省略されている。このため『邂逅の森』を振り返ることで、はじめてマタギである矢一郎の心の奥の哀しさを感じとることができる。彼の前にぬかずくべき基準、あの神聖な自然の摂理はすでになくなっていた。物語はそこから始まる。 ...続きを見る

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2007/03/27 18:11
青山七恵 『ひとり日和』 石原慎太郎が激賞したという芥川賞受賞作
芥川賞選考委員の一人、このところ激辛の論評を加えてきた石原慎太郎が激賞したと喧伝されたが拝見すれば奥歯にものが挟まった「激賞」ですね。これって都知事選を控えた慎太郎が若者受けを狙ったパフォーマンスじゃあないだろうか。 ...続きを見る

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2007/03/19 20:05
カルロス・ルイス・サフォン 『風の影』 繊細、流麗な文体で完成されたミステリーロマンの傑作。
バルセロナ。ローマ時代より幾多の栄枯盛衰を繰り返したスペイン随一の工業・商業都市。19世紀末の経済、文化の隆盛、精神の昂揚、それはスペイン内戦(1936〜1939年)にあってつかの間の光芒に過ぎなかったのか。1945年、バルセロナは内戦の深い傷跡がそのままに人々は暗い影の中に息を潜めている。 ...続きを見る

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2007/01/22 21:09
川端康成 『雪国』 十一面観音の印象と「雪国」
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 中学だっただろうかいや高校だったろう、おそらく国語の試験問題かあるいはクイズかもしれないのだが、冒頭がこの文章で始まる作品名は?とかこの作者は?あるいはこの長いトンネルとはどこのトンネルでしょう?またはここでいう雪国とはどこを指しますか?などこの一節だけでいくつもの問いがあったものだ。なかには「国境」に振り仮名をつけよという作者本人がルビを振っていないのだけど偉そうにする質問もあった。池部良と岸恵子が主演した豊田四郎監督作品を見たようなおぼろ... ...続きを見る

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2007/01/04 23:29
NHKドラマ 桐野夏生原作『魂萌え!』が面白い。
三回連続の第一回目をみた。原作がまことに楽しかった。あの桐野夏生が変身した。とにかく我々と同年代の夫婦のお話であり実に等身大の現実が書かれていたからだ。 テレビの脚本もほぼ原作に沿っているような気がする。 主人公の敏子、高畑淳子が演じて小説のイメージがぴったりのはまり役だ。 気になったのはその夫の浮気相手蕎麦屋のオバサンである昭子だが高橋恵子はあまりにも美しく性的魅力もあって原作の所帯じみた社員食堂の栄養士のイメージとはかけ離れている。あれでは明らかに敏子が負けているからかわいそう... ...続きを見る

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2006/10/22 19:14
伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』  夫婦とはどういうものか教えてくれる芥川賞
最近の芥川賞は軽くなったと誰かが言っていた。 「軽い」との一言には重みがあるのかもしれないなと受けとめたのだが、前回の受賞作『沖で待つ』に私が好感をもったのとおなじで、この「軽い」受賞作にあるごく平凡な最近の風俗性や日常性のわかりやすさが、芥川賞にふさわしいかどうかは別として、楽しく読める作品となっている。 ...続きを見る

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2006/09/07 17:27
吉村昭 『破獄』 去る7月31日、吉村昭さんが他界された。79歳であった。
日本の夏は死者を追憶する季節でもある。そして戦争の悲惨を語る季節でもある。 ...続きを見る

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2006/08/08 07:20
吉村昭 『破獄』のモデルは?
この小説を読んでいて主人公佐久間清太郎の叙述があまりにも真に迫っているからモデルがいてもおかしくないのだが、五寸釘の寅吉ではないことがわかったので吉村氏の創造かと思い始めていました。 ところがそうではなくやはりモデルがいることがわかりました。 ...続きを見る

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2006/08/07 12:08
去る、7月31日、作家・吉村昭さんが他界された。ご冥福をお祈りします。網走刑務所のこと
朝日新聞 戦艦武蔵」など綿密な取材に基づく記録文学から、「天狗(てんぐ)争乱」などの歴史小説まで幅広い作風で親しまれた作家の吉村昭(よしむら・あきら)さんが31日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。79歳だった。葬儀は親族のみで行い、後日「お別れの会」を開く予定。 私は氏の作品は『敵討』しか読んだことがなかった。 吉村昭『敵討』はこの武士道の悲惨と空虚をドキュメンタリー風に、感情をいれず淡々と叙述することでむしろ読後の感銘を深くさせている。 この著書には「敵討」「最後の仇討」の中篇... ...続きを見る

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2006/08/07 09:50
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>2  なるほどこれは危険な作品だ
スタヴローギンを「神になりたかった男」と指摘した亀山郁夫氏は神についてかなり個性的なイメージをお持ちのようだ。しかし、信仰を持たない私にはとてもわかりやすい共感できるイメージです。 ...続きを見る

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2006/07/08 16:20
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>目からうろこの『悪霊』解説
タイトルに「神になりたかった男」とありますが、日本の歴史上の人物で言えば、魔王と恐れられた革命児織田信長をイメージしてしまいます。最近流行の解釈ですよね。信長の野心は天皇の地位の簒奪にあったとか、神の国を造り自らが神としてその国の王たらんとしたなど。この場合の「神」は俗世界を政治機構の頂点で支配する神様のような超絶の専制者として使われているのです。 ところが『悪霊』の主人公、悪魔的超人スタヴローギンですが、俗世界の専制者になろうとする野心を持っていたかといえばまるでそんなことはない。ピ... ...続きを見る

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2006/07/07 11:15
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦21 スタヴローギンの悪魔性2
「広島 女児殺害事件 4日判決」 今朝のNHKニュースより この事件は、去年11月、広島市安芸区で、下校中だった小学1年生の木下あいりさん(当時7歳)が殺害されたもので、近くに住んでいたペルー人のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(34)が殺人や強制わいせつ致死など4つの罪に問われています。裁判で、検察側は「犯行には幼女への異常な性癖が表れ、罪を軽くするためのうそを重ねるなど、反省の態度もなく、極刑で臨むべきだ」として、死刑を求刑しています。これに対し、弁護側は「女の子を殺すつもりは... ...続きを見る

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2006/07/04 09:30
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦20 スタヴローギンの悪魔性
『悪霊』を一通り読んで、それも三度か四度にはなっただろうが、最近になってどうも読み方に手落ちがあったことに気づかされたのです。 ...続きを見る

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2006/07/03 09:23
辻原登 『花はさくら木』波瀾万丈の伝奇時代小説?
「京・大坂を舞台に、即位前の女性天皇・智子内親王(後桜町)、権謀術数の田沼意次が活躍する」 「時は宝暦十一(1761)年、大君は前年に襲職したばかりの十代将軍家治、天皇(すめらみこと)は百十六代桃園の御代である」 ...続きを見る

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2006/05/08 15:16
絲山秋子 『沖で待つ』 職場の男女関係のあたらしい形
芥川賞受賞、サラリーマンのありきたりの日常生活を舞台にした作品なんて初めてでしょうね。半分はまだサラリーマンであるこのオジサンの実感ですが、その日常の切り取り方がとても新鮮でした。 ...続きを見る

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2006/02/27 16:08
「イエスの生涯 /遠藤周作」について
「イエスの生涯 /遠藤周作」について Thanatosさんのこの記事を見て遠藤周作のキリスト観をどう受け止めるのかについて共通するところがありました。 私も「沈黙』から本著『イエスの生涯』や『死海のほとり』など一連のテーマを読んで 「イエスの行動に計算があるとの感じ」あるいはキリスト教にあるある種のいかがわしさを拭えなかったのですが、現実に世界中のおおくの人々が長い歴史の中で心の支えにしているその重みには圧倒されるのです。だから、信仰する境地にはなれなくともちゃんと理解してみようと思ったもの... ...続きを見る

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2006/02/27 10:39
村上龍 『半島を出よ』下 私には受け入れがたいところがあった。
北朝鮮軍の侵略に対し拱手傍観、ていたらくの日本に村上龍は暴力には暴力でと迎え撃つ二十人ほどの少年集団を設定している。20歳にも満たない少人数のシロウトが500人の軍隊を翻弄するのだから、この荒唐無稽の戦闘ディテールだけでも娯楽性たっぷりでひきつけられよう。 ...続きを見る

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2005/12/26 14:15
村上龍 『半島を出よ』  上 過激で危険な現代の寓話なのだ
冷戦後の仁義なき大競争時代に取り残されたニッポン。この不安と焦燥に満ちた現代を村上流に延長し、危機の構造を戯画化した作品として注目すべき、これは寓話でしょうね。 ...続きを見る

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2005/12/26 00:18
読了! 高村薫 『新リア王』上・下  圧倒された読後感をつづる
どうやら高村は福澤榮を戦後の本来的保守政治家を総合して割ったような抽象的政治人間として登場させたようだ。政治論、権力構造論、民主主義の現実、国家論、世界観など、政治的個体であると同時に、一族の頭領であり、父であり、夫である人間・榮が思索をつむぐ。言葉で語る。 ...続きを見る

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2005/11/23 19:31
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦19 超人
「悪魔的超人スタヴローギン」、「非凡な頭脳と繊細な感受性そして超人的な体力に恵まれながら、思想も感情も分裂し、悪徳と虚無に生きる呪われた男スタヴローギン」と文庫本のキャッチコピーで表現されるのを見てスタヴローギンにアメリカ漫画にあるヒーロー・スーパーマンを想像するのは粗忽だと思うのだが、すくなくともこんなエキセントリックな表現ではこの超人があの哲学的思索の産物だとピンとくるのは難しいでしょうね。 ...続きを見る

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2005/11/21 13:02
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦18 神の死
今アメリカでは「知的設計論」とよばれる新創造主論が勢力を強めつつある。「知的設計=インテリジェント・デザイン」とは人間が下等な生物から進化した点を認めながら「生命の精妙な発展は偶然だけでは説明できない。何者かによる知的な計らいが進化の方向を決めた」とする主張でこの設計主を「神」だと明言しないところで従来の反進化論と異なるところがミソらしい。 そしてこの新・反進化論を学校で教えるべきとの圧力が強まっているのだそうだ。キリスト教右派が政治力を強めている。ブッシュもこの説を学校で教えることを容認... ...続きを見る

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2005/11/20 00:06
高村薫 『新リア王』上 シェークスピア『リア王』との関連
ところで福澤榮はなぜリア王に見立てられたのか、リア王が悲劇であるならば福澤の悲劇とはなんなのか、勝手に推測してみた。 ...続きを見る

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2005/11/18 00:20
高村薫『新リア王』上 感想 その2 彰之は語る
尋常ならざる修行、心身を苛む苦行の日々のなかでいまだ悟りを得られぬ己への煩悶が繰り返し繰り返し告白される。仏教の専門用語が解説抜きで氾濫するのだが、読み手としてはここは無理に深く理解しようとせず、、大雑把に感覚だけで消化してしまうのも方便であろう。 ...続きを見る

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2005/11/17 15:14
高村薫 『新リア王』上巻の感想その1
『新リア王』の冒頭は血のつながりがある父子とはいえ、因業ただならぬ男同士の初めて交わす対話なのです。そして福澤榮。 ところが「対話」というよりもまず榮という政治的人間の半生が「独白」で延々と綴られる。この話し言葉になっていない、まるで一人芝居のようなセリフのとどまることない奔流にまず驚かされた。それは戦後政治のいわゆる55年体制を生きた政治家の半生であるから、時間軸を後に先にしながら実在した具体的な人物、実際にあった政治劇があふれるように登場して、あたかも政治事件小説かのような誤った印象を... ...続きを見る

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2005/11/14 13:32
高村薫『新リア王』読書中の感想 『晴子情歌』との結節点
「この雪の昏さなんだろう」「この真闇は人も獣もない原始のように暴力的だ」まるでこの作品を象徴するかのように混迷の深奥から立ち上がる冒頭の第一節である。 時は1987年11月、場所は雪に埋もれた西津軽、曹洞宗の草庵・普門庵。衆議院議員、自民党田中派の長老格、青森県に君臨する福澤王国の王・榮(75歳)が僧侶となった実子・彰之を訪ねる。 と、物語がスタートするのだけれど、これは前作『晴子情歌』との結節点を整理しておいた方が良さそうだ。 ...続きを見る

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2005/11/10 13:12
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦17 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」2
ヴェーバーはプロテスタンティズムというキリスト教信仰の生活様式の中に資本増殖の合理性を見いだしたのであるが、同時に富の蓄積運動、営利追求そのものが目的化して、キリスト者にあるべき信仰、禁欲的労働、職業的倫理が喪失しつつある資本主義社会を見詰めていたのです。 ヴェーバーがこの著作を著す半世紀も前からロシアでは同じような視点でローマ・カトリックを批判する思想が生まれていたんですね。プロテスタントではなくカトリックなのですが、同じですね。キリスト教として同質にある合理主義が西欧社会に現出させた混... ...続きを見る

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2005/11/07 23:51
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦16 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」1
先日テレビの報道番組、楽天の三木谷社長とセブン&アイ(イトーヨーカ堂)CEOの鈴木会長たち。突如大株主として登場し、TBSに楽天との持ち株会社設立を強行しようとしている三木谷氏、いっぽう、受けて立つ側はかつて経済界のニューリーダーとして新しい経営スタイルで国際的にも成功してきた日本企業経営のベテラン。 鈴木氏 「しかし、君ねぇ。マックス・ヴェーバーの言う『倫理』ってもんが………」 とこの引き合いに出した『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。 今年はこの論文発表の百年めにあた... ...続きを見る

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2005/11/04 23:51
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦15 資本の自己増殖に不可欠だった巨大インフラ
昨日、東京証券市場がプログラムのミスでシステム障害を起こし午前中の取引ができずマーケットは大混乱しました。これを日経紙のコラムが取り上げています。 十数年前、統制経済からの移行が始まったばかりのロシアで、仲間と民間企業を立ち上げた経営者から、市場経済への愚痴をさんざん聞かされた覚えがある。彼が言うには、会社法制などルールづくりが遅れているので仲間がてんで勝手なことをし、会社の経営が混乱を極めている。こんなはずじゃなかったと。市場は万能ではない。市場が機能するのは法制度や情報システムなどのイ... ...続きを見る

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2005/11/02 23:54
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦14 「ロシア的なるもの」
「ロシア的なるもの」。『 悪霊』を読むにはこの曖昧な「ロシア的なるもの」とか「ロシア人とは」とする語感を緊張して受けとめる必要がありますね。 ...続きを見る

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2005/11/01 23:59
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦13 キリスト教の倫理と合理主義の精神
スタヴローギンの役割こそがおそらく『悪霊』の本質的テーマであろうと思われます。これを理解するには当時のロシアにおけるキリスト教のポジションをもう少し掘り下げておいた方が的確ではないだろうか。そのためにはユダヤ教とギリシア思想とがまさにエポックメーキングな融合をはたすところに着目することが必要です。 ...続きを見る

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2005/10/29 19:45
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦12 若者たちが企てた「革命」とは?
ペテルブルグから少し距離のある地方の県庁所在地で若者たちは「革命」の烽火をあげることを意図するのであるが、はじめに通読した限りではだれがなんのためになにをしたのかががアタマに入りませんでした。そこでこの骨格だけは整理しておく必要がありました。 ...続きを見る

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2005/10/25 23:39
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦11 宗教論4
巻頭に付せられているもう一つのエピグラフはプーシキンの詩です。 ...続きを見る

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2005/10/24 22:58
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦10 宗教論3
スラブ民族にも10世紀ぐらいまでは日本民族と同じようなカミサマがいました。ただスラブ民族は9世紀以前には文字を持たなかったためにこういう神話が記録としては残っていないようです。 ...続きを見る

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2005/10/19 22:25
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦9 宗教論2
「宗教というものはキリスト教にしろ仏教にしろ人間の生き方を教え諭すところがあるものなのにどうして神道にはそれがないのでしょうか」 十数年も前のことでしょうか、結婚式場、貸衣装、レストランを経営している神社の宮司さんにたずねたことがあります。 宮司さんが答えてくれた記憶はありませんが、今思うにこれは愚問でした。キリスト教の神と神道の神(日本人が古くから信仰している土俗のカミサマを含めて)全然異質なものでカミ合わないものなんですね。 ...続きを見る

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2005/10/18 23:32
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦8 宗教論1
『悪霊』の巻頭には二つのエピグラフが付せられている。その一つがルカ福音書からの次の引用である。イエスが顕す奇跡である。 そこなる山べに、おぴただしき豚の群れ、飼われありしかぱ、悪霊ども、その豚に入ることを許せと願えり。 イエス許したもう。悪霊ども、人より出でて豚に入りたれば、 その群れ、崖より湖に駆けくだりて溺る。牧者ども、起りしことを見るや、 逃げ行きて町にも村にも告げたり。 人ぴと、起りしことを見んとて、出でてイエスのもとに来たり、悪霊の離れし人の、衣服をつけ、心もたしかにて、... ...続きを見る

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2005/10/16 21:04
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦7 時代背景<革命運動>3
政治闘争に関連してもう一つ『悪霊』執筆の契機となったネチャーエフ事件があります。 学生運動が社会改革、革命運動の先頭に立つのはなにもフランスや戦後の日本、中国、韓国だけではなかったんですね。ネチャーエフはペテルブルグ大学の大学紛争に加わり学生運動の革命化をすすめた。「目的のためには手段を選ばず」をモットーにした過激派だったようです。架空の世界革命同盟(架空のというところはやはりこの小説の秘密結社の曖昧なところと同じですね)の代表を名のり、実際に秘密結社も組織した。ところがあまりにも教条的な... ...続きを見る

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2005/10/14 22:17
ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦6 時代背景<革命運動>2
こうした反政府思想の広範なたかまりの中で文壇デビューまもない20代のドストエフスキーが直接巻き込まれた政府による弾圧事件がありました。ペトラシェフスキー事件です。 ...続きを見る

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2005/10/13 23:06
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦5 時代背景<革命運動>1
ロシアの革命思想といえばせいぜい20世紀初頭のボルシェビキ政権を樹立したマルクスレーニン主義を思いつく程度だから、その前夜にあたるこの当時の反政府思想にいたってはまるで見当もつかない。ところがこの小説ではいろいろな登場人物がいろいろな考えを激論し、あげくの果てに内ゲバまで起こる、しかもそれをドストエフスキーのシニカルな色眼鏡をとおして語るのを読むのですから、大変つらいものがあります。 ...続きを見る

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2005/10/12 23:10
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦4 時代背景<農奴解放令>
物語は1869年の秋から冬にかけてロシアのある地方都市とその郊外にあるスクヴォレ−シニキという領地を舞台に展開する。この大領地を所有者し、地方政治にも強い影響力を持つ資産家がスタヴローギン家の女主人ワルワーラ夫人である。この地方都市でワルワーラ夫人を中心にやはり大地主の夫人や県知事夫人などカカア天下の上流階級の暮らしぶり、社交界の喧騒、ロシア帝政の末期的動揺が戯画的に描かれる。 ...続きを見る

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2005/10/10 22:11
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦3 腹を固めて読みましょう3
イーゲルさんからこんなコメントをいただきました。 ブログ村経由で辿りついたイーゲルと申します。『悪霊』は9度目の挑戦でようやく一周読んだ程度、もう「ナナカマド以下」という位置づけで息切れしながら読みました。 私が読んだのは新潮文庫版なのですが、文庫裏の作品紹介だと、どエライ悪の権化スタヴローギンが何かやらかしてくれるのかと期待して読んでいたら…あら?という感じでしたね。 やっぱりね。 ...続きを見る

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2005/10/09 23:54
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦2 腹を固めて読みましょう2
ところで『悪霊』の主人公はだれだ?それはスタヴローギンに違いはない。 ...続きを見る

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2005/10/07 13:53
ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦 1 腹を固めて読みましょう1
『罪と罰』を読んでそれ以上にとりつきにくいそうな『悪霊』を読んでみましょうと思い立ちました。そこで岩波文庫、米川正夫訳を読もうとしたのですが上巻の半分も進まないうちに嫌気がさしてきたのです。自分の読み方が悪いことを棚に上げ、訳者の翻訳がいけないからこうもわかりにくいのだと思ったものですからこんどは新潮文庫、江川卓訳に挑戦しました。あまり代わり映えがしないものだと気がつきましたが、これも放棄するのはあまりにももったいないことなので、ぼちぼちと通り一遍ですが読み終えたのが半年ほど前のことです。 ... ...続きを見る

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2005/10/04 19:10
恩田陸 『夜のピクニック』  モデルがあったんですねぇこの作品に
千人を超える全校生徒が一昼夜かけて80キロを歩き通す。これが北高校の伝統行事である「歩行祭」だ。長距離歩行競争のスポーツ性と修学旅行のエキサイティングなところを合体したようなところがある。とくに三年生にとってはここでなにかいい思い出をつくっておきたい、新しい自分を発見したい、友情を確認しておきたいなど若者らしいセンチメンタルな気分の高揚から全員が全行程踏破の意欲に燃えている。朝から翌日の朝までの歩行あるからタイトルの「夜の」だけではないのだが、あえてそうしたのは普段ならありえない夜の団体行動... ...続きを見る

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2005/09/17 19:39
話題作 島田雅彦 『退廃姉妹』 著者の伝えたいメッセージはいくつかあるようだが
日本人にとって夏は追憶の季節なのかもしれない。お盆が全国民的行事で多くの人が休暇をとって帰郷し、亡き人を偲ぶ。ついでに自分の来し方を振り返る。そしてあの戦争が終わった。その流れに乗ったわけではないのだが、朱川湊人『花まんま』に続いてこの島田雅彦『退廃姉妹』を手に取った。 ...続きを見る

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2005/09/15 00:19
いよいよ高村薫『新リア王』が刊行されるようです。
十月に新潮社から上下二巻だそうです。 十月の本の話題はこれで決まりかもしれません。 とにかく日経紙連載中から話題が絶えませんでした。 おそらく読んでおられた方はほとんどいなかったでしょう。 私もそうでした。 ...続きを見る

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2005/09/07 11:27
本年のミステリー中ベストワンか 奥泉光『モーダルな事象』
瞠目すべきは巻末のオマケにある千野帽子と名乗るお方の解説。これを読むと今読み終えた作品のイメージが一変するのだから、これは巻末のオマケではなく作品そのものの最終章ではないのか。 三流の女子短大で日本近代文学を講義する俗物・「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」(副題)振りに、プッ、フフフ、ゲラゲラ、ワッハッハと何種類かの笑いを押さえようとしても抑えきれない。酔生夢死のダメ男、トホホ男。人にほめられたい、一流になりたい、カッコよく見られたい、うまいものを食いたい、女にもてたいと人一倍欲はあ... ...続きを見る

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2005/08/27 13:05
今回の芥川賞 中村文則『土の中の子供』 純文学とはこのように暗くなければならないのだろうか
どうして暗い小説ばかり読むのかと同棲している女に<私>は答える。 「まあ、救われる気がするんだよ。いろいろ考え込んだり、世界とやっていくのを難しいと思ってるのが、自分だけじゃないってことがわかるだけでも」 どうして暗い小説ばかりが最近の「純文学」なのだろう。もっとも純文学といっても野次馬根性で読む芥川賞受賞作ぐらいなのだが、他人や世間や世界とやっていくのが難しい屈折した人間ばかり登場し、自分で作った閉塞空間に抵抗するわけはなく、むしろやすらいでいるかのようで、ただ息をしているヤツばかりで... ...続きを見る

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2005/08/19 00:04
西木正明 裕仁皇太子拉致暗殺事件 今読まれてよい『冬のアゼリア』
8月15日終戦記念日、今年は戦後60年の節目に当たる。小泉首相が発表した談話は「かつて植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」と歴史認識を表明し、反省と謝罪の意を改めて明示した。中国・韓国との関係が悪化した中でアジア外交の修復するための内閣の姿勢として妥当だと思う。 一方韓国では今日を「光復節」(日本の植民地支配からの解放記念日)と呼ぶのだそうだ。ノ・ムヒョン大統領は直接の日本批判である竹島領有権や教科書問題などに触れることなく国民統合の必要... ...続きを見る

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2005/08/17 21:19
村上龍 「希望の国のエクソダス』アナーキーなエネルギーの爆走に希望を託せるか?
『なんとなくクリスタル』という私などは薄っぺらいとぐらいにしか思わなかった小説で文壇デビューした男が県知事になって絶大な人気を集めている。しかし、有力支持者の中ですら「あいつはまだ作家にしか過ぎん。政治家ではない」と批判の声を大きくする人が少なくないと………、さもありなんと納得しつつ、一方で「ドラッグ、セックス、ロックンロール」とかいった安手の風俗を扱ったかのごとき小説『限りなく透明に近いブルー』で芥川賞を受賞した男が最近はインターネットの世界でわが国の政治・経済・社会構造を憂え、特に教育問... ...続きを見る

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2005/07/11 21:46
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 4
前回の合作「春風に酔う」は惜しいかな「歌」にはなっていませんな。 やはり五・七調でないと色気が出ません。 「ゐ」「ゑ」の二文字を使用することによってかなり弾力性が出ることもわかりましたので「ゐ」「ゑ」つき七・五混交体にて挑戦 してみました。 ...続きを見る

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2005/07/07 23:56
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 3
すでに会社勤めを終え、自遊人と自称し、東樹荘と名づけた山荘に住み着いている男がいる。ゴルフ三昧の日々かと思えば、馬術に鍛錬し、絵を描いたり、酔えば俳句などもたしなむ。名は東男で「はるお」と読むがその由来は「東風(こち)ふかば匂ひおこせや梅の花」にあるというぐらいの風流人である。海外生活が長かったため日本語の小説は読めなくなったあげくに、英文の長編をいつも抱えている、サラリーマン生活も終着にちかい孜君と三人で飲むことがあり、たまたまこの話を披露したところ、即興でいろは歌を作ることになった。だいたい... ...続きを見る

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2005/07/06 11:11
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ2
慶応大学の村松暎先生から中国文学の指導を受けている論語研究会のメンバーの一人、片山はサラリーマンではあるが、登山が好きで、磐梯山を眺望できる雑木林の深くに山荘をもとめ、ゆくゆくは夫婦で住み着くつもりだという。ベランダで、磐梯の刻々に変化するのをみて飽きないといい、数学から化学、宇宙、哲学の書を愛読し、人生を語らせれば、含蓄にとんで、世俗の煩わしさを超越した視点が板についた男である。 自称「エピキュリアン」 彼が酒席で自作のいろは歌を披露した。 ...続きを見る

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2005/07/05 20:46
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 1
「いろは歌遊び」という洒落たゲームがある。 あることは知っていたが実際にやったことはなかった。 ...続きを見る

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2005/07/04 22:35
感動の直木賞 熊谷達也 『邂逅の森』 自然の摂理に導かれた生き様を貫く男への讃歌
ある民族にとって自然は過酷であった。そこでは人間に絶対服従を課したのが神であった。しかし、日本民族にとって自然は生きとし生けるものに恵みを与える神である 大いなる自然の道理に導かれている存在。山、森、谷、川、そのものがそうであり、そこで息づいている草木や熊、カモシカ、ウサギなどの獣がそうだ。それらは自然の恵みをあるがままに受け入れる。しかし一方で自然の過酷な試練にさらされ、しかも生きつづけることもまた道理なのである。 ...続きを見る

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2005/06/16 22:20
04/04/04よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』5 最終章の輝き
しかし感動的なエピローグで突如として彼は喜びに満ちた復活を予感するのである。なにによってか? 聖なる娼婦ソーニャの愛か?人間の絶対的尊厳性への目覚めか?ドストエフスキーは直線的に語ることがない。 ミステリー愛好家でしかないわたしは実はここの覚醒感を三度目の読書体験をもってしても実感できないままでいる。結局「わかった」と言えぬままであるが、このボリューム感をたんのうできた。一仕事したあとの心地よい疲労感、爽快感がうれしかった。 ...続きを見る

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2005/06/13 20:14
桐野夏生『魂萌え!』 還暦を越えたオジサンのための「愛妻家入門』
いつでも、どこにでも灰色のビジネススーツを着ていくような、まじめで実直だけがとりえの、平凡なサラリーマン、定年退職後、ゴルフと蕎麦打ちを楽しみ、健康診断も欠かさない63歳の隆之。 隆之の性格も好みもよく心得て、家庭を守り子どもを育て、地域と仲良く付き合い、夫を支えてきた59歳の妻・敏子。 私はこの種の組み合わせの夫婦ならもっとも身近にいるのでよく知っている。 ...続きを見る

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2005/06/13 00:46
04/04/02よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』4ラスコーリニコフの懊悩2
古典を読んでいるとその時代背景が詳しくない場合、 どうしても今の自分の周囲にある概念を物差しにして理解したつもりになってしまう。 たとえば「アイデンティティークライシス」なんて言葉が最近目立っていて、 「異文化との接触によって、それまでの自分の在り方、価値観が否定され、あるいは変更せざるを得なくなり、心理的に不安定になること」 ともっともらしい定義はあるし、 「こうありたいと思ってもそうなれない内心の葛藤」 にも使われているようで、 もっといい加減なのは 「こうなりたいという... ...続きを見る

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2005/06/10 19:30
04/04/01よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』3ラスコーリニコフの懊悩
ドストエフスキーを読む困難さは初歩的には登場人物の名前の複雑さである。たくさんの人物がいてそれぞれが主要なモチーフに欠かせない役割を果たしているにもかかわらず、名前がさまざまの呼称で使われるから、追っていくのが途方もなくむずかしい。今回はいちいちメモにのこしながら、そのメモを本に挟んで読み進めることにした。大いに役に立ったと言っておこう。 しかしその結果はそこで得たものを順序だてて述べることはもはや自分の能力を超えていることを自覚したことであった。ここは素直な気持ちで印象を述べるのが精一杯であ... ...続きを見る

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2005/06/06 20:50
04/03/28よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』2いまも同じなのかもしれない
 出自、階層、生活基盤、境遇などが異なる人物が数多く登場し、崩壊しつつある帝政ロシア内に生じた混沌の価値観をそれぞれが主張するのだが、実を言えばほとんど理解することができない。それぞれはなにかを象徴するもので、ふさわしい重要なサインを出しているはずなのだが、三度目の読者体験にして、ますますわからない。 ただ60年も生きてきたことによる他人との関わりの累積や自分を客観視する心得から感覚的にだが今ある自分の尺度でその中の部分部分に手探りできるものが出てきたような気がする。 たとえば「19世紀の中... ...続きを見る

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2005/06/02 17:27
04/03/27よっちゃんの読んだ ドストエフスキー『罪と罰』1 三度目の挑戦
学生時代に読んで「ラスコーリニコフはなぜ高利貸しの老婆を殺害したのだろうか?」という基本の問題提起が解けぬままその後私は40年近く生きてきたわけだ。 高校か大学の時か、記憶の中に残ったのが唯一ラスコーリニコフの犯罪論であった。 すべての人間は「凡人」と「非凡人」に分けられる。凡人は法律を踏みこえる権利はないが非凡人はあらゆる犯罪を行い勝手に法律をふみこえる権利を持っている。そしてその理論から導かれ微細な罪悪は百の善行に償われるとし、前途有為の貧しい青年が生活の糧の金銭目当てで有害無益な高... ...続きを見る

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2005/06/02 00:06
西木正明 『凍れる瞳』 ここに書かれた昭和を生きた人たちに素直に共感できた。
初めて読んだ西木正明。昭和15年秋田生まれ。私より4歳年上とはいえ同世代だ。昭和63年に直木賞を受賞したのが48歳であったから文壇デビューとしては遅いほうだろう。手元にある昭和63年受賞の直前に発刊の『凍れる瞳』の「あとがき」で氏は 大多数の人間にとって、人生は挫折の連続だと思うし、それが人生だとも思う。しかし、………。人生の翳の部分など、自分にはとうてい書けるものではない、と信じていた。なによりも人生経験が浅すぎるし、人間の年輪を書くほどの文章力もない と低い姿勢で述べておられる。この... ...続きを見る

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2005/06/01 20:25
04/03/14三田誠広『わたしの十牛図』真の<わたし>に出会う旅
色不異空、空不異色、色即是空、空即是色………の空ってなぁに。それはわからなくてよいのです。 わたしにとって人生とはなんであったか? あるいはこれからの人生をいかに意義あるものとして生きるか? 本来の自分とはなんであるか? などと思索にふけることは 物心ついてから青雲の志とか人生の明確な目標といった言葉とはまったく無縁で ただなんとなく生きてきたのが実感だから 今さらの感があってやはり青臭いことだと思うし、 気恥ずかしさが先にたつ。 とはいえ、そういうことに全くの無関心でいい... ...続きを見る

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2005/05/27 15:53
04/02/22奥泉光 『新・地底旅行』はヴェルヌ『地底旅行』の後日談というユーモア小説
小学生の頃、少年雑誌に連載されていた日本版ターザンの山川惣冶『少年王者』に夢中になったが、そのころ産経新聞(だったと思う)に同じ作者の『少年ケニア』も連載されていてこちらも記憶に残っている。むしろ『少年ケニア』は『少年王者』よりも低年齢向きであって、主人公が地底世界で恐竜(ティラノザウルス)と闘う怖い場面があった分、少年たちの間では人気が高かった。コナン・ドイルにも『失われた世界』があって、これは「地底」ではなく人跡未踏の高度をもった「台地」であるが、やはり恐竜が登場する。 ジュール・ヴェル... ...続きを見る

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2005/05/25 20:50
高村薫「レディ・ジョーカー」への思い入れをつれづれなるままに
宮部みゆきを読み終えていまさら高村の「レディ・ジョーカー」の凄さを感じる。これまでも折々に感じたことをメモしてあったがそれらを記してみよう。 ...続きを見る

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2005/05/24 16:59
少女を監禁、手錠で拘束し、己の欲望のままに飼育する  このテーマの純文学に次回芥川賞を授けるか
飼育ゲームなるものでシコシコと夢中になっている。少女たちが身につけている汚れたパンティーを大量に仕込んで臭いを楽しんでいる。女学生のトイレ中を盗撮した写真集で興奮している。部屋いっぱいにお人形さんを飾ってブツブツと会話している。 いい歳をした大人がである。 気持ち悪いなぁ、そばに寄りたくないなぁ、変態だと「普通の人」は思う。 ...続きを見る

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2005/05/17 19:34
町田康 『告白』  「河内十人斬り」河内音頭に歌われる明治の惨殺事件をモデルに
灰神楽三太郎・森の石松・八尾の浅吉を合計した大馬鹿者の一生。国定忠治も思わずニヤリとするだろう。 ...続きを見る

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2005/05/15 13:09
03/09/15水村美苗 『本格小説』 中高年が読んでこそこたえられない「大人の恋愛」
ずっしりと時の重みを感じましょう。「青臭い恋愛小説など今さら」と分別くさい中高年が少し気恥ずかしい気持ちで読んでこそこたえられない「大人の恋愛小説」なのだ。 ...続きを見る

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2005/05/08 08:39
03/09/02 ハリガネムシを見たことありますか? 吉村萬壱『ハリガネムシ』
倫理担当高校教師の隠れていた暴力への欲望が突然はじけ出る。 読み進みながら子供の頃のハリガネムシの記憶が鮮明に浮かんだ。よく見かけた昆虫の中でもカマキリそのものですら長く細い体の下部にはいやらしくふくれた腹が、先には三角形の鋭角な小さな頭が乗り、その割に大きな目玉がぐるりぐるりと、鋭い口先をパクパクさせ、見るからに獰猛であり、その鎌を振る様は威嚇的であり、実際に私がなじんだ昆虫の中でもっとも醜い攻撃的虫けらであった。そのカマキリを踏みつぶす。緑色の体液に混じってくねくねと細長い針金状の寄生... ...続きを見る

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2005/05/02 14:23
03/07/27 丸谷才一 『輝く日の宮』 だらしないところもありそうな親しみを感じる文化論 
一流料亭にて名だたる調理人の芸術的割烹料理を堪能する場合、まずお品書きを一覧し、それぞれがいかなる趣向にこしらえてあるか思い巡らせるを楽しみ、一つ一つの料理が並べられれば盛り付けられた器を鑑賞し、配置の工夫、彩り、季節感を愛で、ベテランの仲居さんと調理人のさばきのよさを語らいながらその深い味わいに恍惚とするのである。また床の間にひっそりとおわす墨絵、一輪挿し、障子を開けて板の間越しにみえる中庭の涼しげな風情にもこころをひかれ、できうれば女将とうわさの政治家周辺、差し障りないスキャンダルにも話... ...続きを見る

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2005/04/29 23:30
03/07/14幻想文学・泉鏡花 『高野聖』 ホリエモンに読ませてみたい「合理主義の忌避」
?京極夏彦『覘き小平次』と丸谷才一『輝く日の宮』と間に泉鏡花『高野聖』を読む。 丸谷才一の話題作『輝く日の宮』は冒頭、泉鏡花の『高野聖』を本歌取りした現代怪異譚で読者は思いもかけないこの小説の凝った趣向に驚くことになるのだが、少し読み進んで松尾芭蕉論あたりになると、近代文学とか近代的自我の確立などと西洋流の理路整然とした物事の整理の仕方とは対極にあるぼんやりした日本的情趣の値打ちを思いやるようなところに至り、そうなるとやはり、『源氏物語』をいまさら読むのは億劫であるが、おそらく伏線として冒... ...続きを見る

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2005/04/28 15:06
神はいつまで「沈黙」されるのか?
「獣の皮をかぶった聖者。」について 遠藤周作『沈黙』、私のキリスト教義に対する疑問の入り口でした。 20数年も前になろうか、遠藤周作の『沈黙』を読んで、キリスト教義にある不可解な原理にまさに触れたような気がしたものだ。 幕府の切支丹禁令下、その迫害にあい、無残な責め苦の中でキリシタンたちは 「なぜ神は救いの手を差し伸べてくれないのか。なぜ神は沈黙されているのか」 と苦悶の叫び声をあげる。 もちろんキリスト者である遠藤周作としてはこの神の不実(わたしは不実であると思うのだが)に対してな... ...続きを見る

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2005/04/17 23:33
「傷だらけの男根。」について
「傷だらけの男根。」について ...続きを見る

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2005/04/15 09:57
「難解が良い」について
「難解が良い」について フォイエル・バッハ「キリスト教の本質」ドストエフスキー「罪と罰」に挑戦されて、そこから得るものをなど私とは相当年代が違うかたでも共感するところがおおいところでご挨拶します。 学生の時に読みたい、あるいは読むべきと思った書籍で何度か挑戦しながらも中断し、還暦迎えた頃に決心して読破する快感もあるものです。 二年前にはマックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を半年かけて読みました。昨年は「罪と罰」をやはり半年かけて読み終えました。周辺の知識を集め... ...続きを見る

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2005/04/08 15:17
2002年10月2日 没個性的・非社会的人間である「ぼく」がした決断とは?
吉田修一『パーク・ライフ』、今回(平成14年度上期)の芥川賞受賞作である。年齢は20代後半か、独身。一人住まいのサラリーマンが毎日昼休みに地下鉄に乗って日比谷公園へ出向き、缶コーヒーを飲み、生ハム入りのクラブサンドを齧り、ぼんやりベンチに腰掛けて周囲の風景を眺めているお話。 ...続きを見る

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2005/03/28 15:51
2002年7月20日 高村薫『晴子情歌』 高村はどこへむかうのだろうか
? 日本ミステリー史上、屈指の傑作『レディ・ジョーカー』を発表して後、創作活動がとまっていた高村薫の大河小説「晴子情歌」が刊行されて早速に買い求めた。最近は政治評論家になったかと思われるばかりの言論活動が目について傍目でいらいらしていただけに期待は大きかった。にもかかわらず、いっこうに読み進めないのであった。「非ミステリー」であり、娯楽性がほとんどない、つまりとんでもなく退屈な作品である。しかし、新聞雑誌の書評を大いに賑わしている問題作であることに違いはなく、シャクトリムシの休み休みしなが... ...続きを見る

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2005/03/22 23:25
「蛇にピアス」について
「蛇にピアス」について この本についてはこれまで若い方の見方があまり目に入らなかったものでオジサンの娘よりも10歳も若いかたの感想を興味深く拝見しました。オジサンは安心しました。 ...続きを見る

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2005/03/22 11:06
「邂逅の森」について
「邂逅の森」について 大いなる自然の道理に導かれている存在。山、森、谷、川、そのものがそうであり、そこで息づいている草木や熊、カモシカ、ウサギなどの獣がそうだ。それらは自然の恵みをあるがままに受け入れる。しかし一方で自然の過酷な試練にさらされ、しかも生きつづけることもまた道理なのである。 人間はそうではなかった。人間は常に自然を征服しようとする。それが人類の進歩であり、文明発展の歴史であり、合理主義を真理とする近代化である。そして現代の繁栄がある。ただその延長にある未来に栄光が待っているの... ...続きを見る

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2005/03/15 14:46
阿部和重 『グランド・フィナーレ』をどう読まれまし
昨年末に奈良で小学1年生の女児が36歳の男に殺害される事件があり、その男が幼児性愛者という生々しい事実抜きには語れないテーマのはずなのだが。作者の顔が見えない、薄気味悪さが残る芥川賞受賞作 ...続きを見る

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2005/03/11 00:01
2001年11月25日玄侑宗久「中陰の花」共感できる芥川賞
身内や知り合いの葬儀の席で一番に耳をそばだて、しずかに故人を偲ぶときは、お坊さんの読経にあるのではなく、親しいご友人の心のこもった弔辞にあります。次に興味を持って聞くのは読経のあとで会葬者へ語るお坊さんのお説教です。このところ記憶に残るような、感銘を受けるお話を聞く機会がありませんでした、というよりは最近では俗人より徳を積んでこられたお坊さんが少なくなったのではないかな。小説を書く坊さんと言えば今東光、瀬戸内寂聴らを思い浮かべるが、色・恋・欲の世界を赤裸々に書いてベストセラーになった人たちで... ...続きを見る

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2005/03/06 23:11
2001年10月27日 三浦綾子「氷点」の舞台
「風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝いて、つくりつけたように動かない。ストローブ松の林の影が、くっきりと地に濃く短かった」 三浦綾子「氷点」の舞台となった旭川・外国樹種見本林、ヨーロッパカラマツ、ストローブマツ、ヨーロッパアカマツが入り口から美瑛川にいたるところまで立ちならぶ。 この街を訪れた機会に短時間ではあったが、落葉を踏みながら、常緑樹林の中に綺麗に色づいた木々をかいまみ、深まる秋のけはいをたんのうした。三浦綾子記念文学館はこの一角にある。三浦さんは幾度もこの見本林の美しさ... ...続きを見る

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2005/03/03 15:02
2001年10月23日 奥泉光「鳥類学者のファンタジア」
太古、神の啓示によって与えられた「オルフェウスの音階」を「フィナボッチ数列」に置き換え、「ケプラー制作の惑星模型」においてこれを演奏する。この演奏舞台にキリスト磔刑で使用された槍の断片、これは「ロンギリウスの石」と呼ばれ、世界各地に存在するらしいのであるが、これを据えるとあら不思議!石は妙なる調べに共鳴し、膨大なエネルギーを発生させるのである。この秘密を解いたオカルト集団(のような組織)と敗戦色濃いナチスドイツの軍部が結託し、馬鹿でかい秘密工場のような演奏場を建設、いよいよ世界制覇をかけてそ... ...続きを見る

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2005/03/03 14:53
2001年9月21日 井上ひさし 「東京セブンローズ」
抱腹絶倒の文化論だが………超大国アメリカはイラクの「精神・文化」を本当に解放?侵略?できると考えているのだろうかと………思いをはせる、今読むべき文化論の真髄 2003/04/16 ...続きを見る

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2005/03/02 14:31
2001年9月22日 オグ・マンディーノ「十二番目の天使
ネバー・ギブアップ! アメリカ! 生きる望みを失ったの男の前に現れた一人の少年が彼の魂を救済する、少年の起こす奇跡に感動する物語。オグ・マンディーノ「十二番目の天使」である。ミステリーとは程遠いが、ただいまベストセラー。 ...続きを見る

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2005/03/02 14:15
2001年8月11日 帚木蓬生「逃亡」夏は追憶の季節
「夏は追憶の季節」 日本経済新聞のコラムにしては珍しくわが感性に共鳴するイントロだった。、恋のなきがらを追想するのではない。「亡き人を偲び、己の来し方を振り返る」「盂蘭盆会」であり、「戦争の罪業と平和の希求」である。 6月に父が他界し初盆を迎えるものであり、また追悼のまねごとに、反戦児童文学のジャンルにあたる父の絶版になった著作「村いちばんのさくらの木」を復刊したものにとっては、二重の意味で今後「夏は追憶の季節」と実感し続けるであろう。 ...続きを見る

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2005/02/25 12:21
2001年8月3日 いまはやりの「武士道」ではない、吉村昭 「敵討」
構造改革の犠牲者 ...続きを見る

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2005/02/24 12:47
2001年3月17日 篠田節子が描く文明と文化の救いない相克 『弥勒』
アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバーンが、同国バーミヤンの大仏を破壊しようとしていた問題で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「すでに破壊が実施された」と発表した。タリバーン側は大仏の上部の破壊を認めていたが、国連機関による確認は初めて。 2001年3月12日の新聞報道 唐の僧、玄奘が求法の途上で立ち寄ったバーミヤーンにある世界最大級の石仏がイスラム原理主義勢力タリバンの手により破壊された。バーミヤーンの呼称もペルシャ語であるように、この地域の石窟文化はもともと東西文... ...続きを見る

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2005/01/28 16:34
2000年7月9日 みゆさんよりのコメント
「朗読者」読みました。 昨日の朝休みだったのでちょっと手にとって読み始めたら止まらなくなり、 昼までかかって読み終えてしまいました。 よっちゃんさんも書いてらしたように、重い物語です。 2度読んでほしいと書いてありましたがほんとにそうなのかもしれません。 本の中にある『あなたならなにをしましたか』という真摯な問いに胸をつ かれました。 読む価値ありと思います。 ...続きを見る

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2004/11/25 22:20
2000年7月1日 「朗読者」の重み
ベルンハルト・シュリンク「朗読者」ずいぶん売れているようなので読んでみました。 ...続きを見る

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2004/11/25 22:13
2000年3月23日 「クムラン」から派生した雑談
直江信綱さん・ともさんへ 「クムラン」、直江さんはハードカバーでスタートして止まっていますか。 読書の中断、私はウンベルト・エーコ「フーコーの振り子」「前日島」を初版で持っているのですが前者は三度挑戦しましたが10ページと進みません。後者などは表紙も開いていない状態。特に前者は「薔薇の名前」とともにミステリーとしても高い評価を得ている作品ですのでいつかまた取り組みたいと思っています。 キリスト教について言えば遠藤周作「沈黙」「死海のほとり」が日本人的理解が得やすいテーマで書かれていて心... ...続きを見る

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2004/11/06 10:04
2000年1月29日 まず重厚なものを読みました。奥泉光「グランド・ミステリー」
さる23日にフィナンシャルプランナー1級という資格試験にチャレンジしたため受験勉強で忙しくご無沙汰しました。 ...続きを見る

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2004/10/30 11:59
1999年6月20日 再び『安楽病棟』を評価する
帚木蓬生はいくつかのジャンルでこのHP で話題になってきました。 「逃亡」「総統の防具」 いずれも高い評価がされました。私はこの作者が大好きです。 で新作の「安楽病棟」を読みましたので紹介したくなりました。 「閉鎖病棟」もこれはミステリーかとの論点が ありましたが「安楽病棟」は前作以上にミステリー性は希薄です。 老人問題は大変深刻な誰しもが直面する生活上の大問題です。 自分自身かも知れない。父親、母親はどうでしょうか。 あるいはこのHPに参加されている多くのみなさんの おじ... ...続きを見る

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2004/09/26 19:30
1999年5月20日 バトルを読み終えて今痴呆老人の世界
帚木蓬生「安楽病棟」 バトルを読み終えて今、痴呆老人の世界。 「閉鎖病棟」のあの感激を改めて思い起こしています。 まだ70ページそこそこで六人の老人のエピソードが つづられていますが、期待通り、熱いものを目頭に感じます。 戦争という悲惨な体験を経てなおいま苦闘する善意の 老人たちの心境を淡々としかし作者の「良心に根ざした怒り」 を沸々と感じさせ、導入部分ですが期待に違わない重厚さを 味わっています。 私の両親もいつそうなってもおかしくない年齢です。 あまりにリアルなんです... ...続きを見る

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2004/09/26 19:05

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