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桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな?
桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな? [桐野夏生] ブログ村キーワード ...続きを見る

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2008/09/28 18:40
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは?
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは? 神の存在しない日本社会を「悪魔」は食い尽くすのだろうか?ドストエフスキー流の融通無碍な視線で現代人の罪と罰と贖罪を見つめた思索のドラマがここにある。 2002年10月、全国で次々と犯行声明つきのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介良介には妻と喘息もちの男の子がいる。故郷には退職後の気鬱にある父とそれとの生活に疲れ気味の母がいるが、この父母も歳相応にはしっくりしないところがあっても普通の家庭だ。良介の兄・崇は良介とは違って子供のときから優等生の誉れ高く、いまではエ... ...続きを見る

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2008/09/02 00:17
平野啓一郎 『決壊 上』 超重量級のクライムノベルでもある
平野啓一郎 『決壊 上』 超重量級のクライムノベルでもある 私はこれまでこれほどショッキングな犯罪小説を読んだことがない。なぶり殺しにして死体を切り刻む犯行、あるいは無差別の大量殺戮が生々しく詳細に書かれているからだけではない。その内心が残忍であり、あまりにも醜悪な犯人像は「私たちの世界」からまるで「離脱」している。それを生み出す現代社会。重層的にしつらえたエピソードはすべて悪意が善意を食らい尽くすプロセスであり、どれもが読んでいていたたまれないほどに無惨極まりないのである。ここまで病んでいる。世の中はひどく病んでいる。人ごととは思えないこの事態は身... ...続きを見る

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2008/08/27 23:37
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき 今年の夏はことのほか暑い。外に出かける気にはならず、しかし、なんの因果かわが家のクーラーが壊れているものだから、生暖かい扇風機の風にあおられながら、汗が流れるままにゴロゴロと読書をしている。そういう、いたたまれないようなかったるい気分で読むとどこか主人公たちの無為な日常を実感できるようで、この夏つきあうのにふさわしい内容の作品であった。 桂川渓谷と呼ばれる景勝地が近くにあるがその涼風は届かない。町の奥まったところ、老朽化した市営住宅団地がある。真夏の朝、8時、締め切った狭い部屋、クーラ... ...続きを見る

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2008/07/30 13:52
川上未映子 『乳と卵』 芥川賞受賞作 もやもやの中にすっきりとさせてくれます。
川上未映子 『乳と卵』 芥川賞受賞作 もやもやの中にすっきりとさせてくれます。 雄弁は銀、沈黙は金っていう。そんなことかもしれないと思いながら、いずれにしても自分の気持ちを相手にそのまんま伝えるのは相当難しいことだ。 サラリーマンを卒業し家庭の中の時間が圧倒的に増えた今になって振り返れば、会社生活のほうが意思の疎通は容易だったような気がする。なぜかというとそこは約束事とか規則とか通念ってものが完璧だから、「文法」に従って言葉を口に出しまた文章を書けばそれで「私」をありのままに表現することになっているからだ。「慎重に検討させていただきます」といえばそれなりに社会通念が調... ...続きを見る

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2008/02/21 17:04
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 もはや動かしようがない格差の拡大社会と歪められる家族関係を通して人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 ...続きを見る

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2008/02/15 16:01
松浦理英子 『犬身』 家族とはなにかを問うがいまひとつだな。
松浦理英子 『犬身』  家族とはなにかを問うがいまひとつだな。 なんともとらえどころが難しい、奇妙な味わいの作品である。ただし、犬をペットとしてかわいがっている人にとってはやたらにうれしくなってしまう作品である。 私も4年前から牝のトイプードルを飼っている。かわいがっている一人だ。犬には喜怒哀楽の感情があってまるで人間と同様の表現を目の動き、顔つき、尻尾の振り、手足のしぐさ、鳴き声など全身を使って行うものだ。人間がなにをしようとしているのか、どんなことを考えているのか読み取る能力もある。私にも犬の心理が読めるようになっている。そんなところまで交感が深ま... ...続きを見る

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2008/02/03 18:14
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史 この作品、いかにも横溝正史風でスタートしているがミステリーとして読むのはいささか間違いだ。余計な雑念を払い捨て、この語りに没頭してこそ多様な味わいを楽しみ、芳醇な香に酔いしれることができるだろう。 ...続きを見る

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2008/01/08 00:07
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。 ドストエフスキーの描く少年・少女だが、どれもこれも子どもらしさがない、かわいらしさがない、ひとことでいえばこわい。読んだ作品ではじめに印象的だった子どもは『悪霊』の少女マトリョーシャだった。亀山郁夫の『『悪霊』神になりたかった男』は亀山が『悪霊』から「スタヴローギンの告白」だけを抜粋し翻訳して解説している。亀山はマトリョーシャを10歳としている。親から虐待されるのだがその痛みの中に快感をおぼえる人格なのだから驚きだ。スタヴロ−ギン(幼児性愛癖もあるんだな、彼は)は彼女を陵辱する。実は江川卓訳... ...続きを見る

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2007/10/15 17:11
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります 16歳の少女が斧で警察官の父親を殺害した。つい最近の出来事である。同種の事件は過去にもいくつもあった。現在日本の刑法に尊属殺人という概念は消えている。にもかかわらず私たちには大変ショッキングな犯罪である。私のどこかに親は敬うべきものと儒教思想の残滓があるのかもしれない。『カラマーゾフの兄弟』が扱うのはキリスト教社会において最悪の犯罪とされる父殺しだが、今の私には同様の重さでこのテーマを感じることができる。 第4部はミーチャが父殺しの容疑で起訴された裁判シーンでクライマックスを迎える。はじめ... ...続きを見る

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2007/10/06 19:35
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ 『カラマーゾフの兄弟』は第一の小説と第二の小説の構想があって第二の小説は書かれていないのだが、序文「著者より」によれば全体として三男アリョーシャを主人公にしている。ただこの第一の小説ではアリョーシャの影は薄い。とはいえ「第三部第七編アリョーシャ」には引っかかるところがあって読み返したら、独断的なアリョーシャ印象をくどくどと書いてみたくなった。 どんなにスッと入れる名訳でも原書そのものにある難解さをときほぐすのは容易ではない。特に宗教に関連するイメージは私のもっとも苦手なところです。第一部、... ...続きを見る

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2007/09/27 17:26
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。 全巻エピローグまで読み終えたものの混沌の宇宙に放り出されたような頼りなさでいらだたしい心境にある。最後にある亀山郁夫の解説を読むことは中断してこの酩酊状態をしばし楽しむことにしよう。 ...続きを見る

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2007/09/18 20:09
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか 巻末の著者による「読書ガイド」は難解なこの作品を理解するうえでとても重宝である。適度な突っ込みだから読者の自由度を束縛することなく、ポイントをついた手引書になっている。そしておそらく著者の個性的な翻訳姿勢によってこの書はいまや話題のベストセラーとして注目されることになったのだろう。 ...続きを見る

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2007/09/13 17:28
松井今朝子 『吉原手引草』 歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう
松井今朝子 『吉原手引草』  歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう 演技に工夫を凝らして新しい定九郎像を創造した江戸時代初期の歌舞伎役者、中村仲蔵を描いた『仲蔵狂乱』で記憶に残っておりました。その松井今朝子が新作を発表した。歌舞伎の世界に精通した著者が今回は遊郭の世界だ。『吉原手引草』。手にとらないわけにはいかんでしょう。江戸文化はこの吉原を抜きにしては語れない。それほど人々の生活と密着していて、今でも、映画、芝居、噺などを通じて私たちにもお馴染みの世界でございます。 ...続きを見る

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2007/05/23 01:38
熊谷達也 『氷結の森』 名作『邂逅の森』の続編として新たな感動を呼ぶ傑作
熊谷達也 『氷結の森』 名作『邂逅の森』の続編として新たな感動を呼ぶ傑作 主人公、柴田矢一郎。出生は秋田、山々の懐に囲まれたマタギである。昔かたぎのマタギについては前作 『邂逅の森』 に詳しいので『氷結の森』では省略されている。このため『邂逅の森』を振り返ることで、はじめてマタギである矢一郎の心の奥の哀しさを感じとることができる。彼の前にぬかずくべき基準、あの神聖な自然の摂理はすでになくなっていた。物語はそこから始まる。 ...続きを見る

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2007/03/27 18:11
青山七恵 『ひとり日和』 石原慎太郎が激賞したという芥川賞受賞作
青山七恵 『ひとり日和』 石原慎太郎が激賞したという芥川賞受賞作 芥川賞選考委員の一人、このところ激辛の論評を加えてきた石原慎太郎が激賞したと喧伝されたが拝見すれば奥歯にものが挟まった「激賞」ですね。これって都知事選を控えた慎太郎が若者受けを狙ったパフォーマンスじゃあないだろうか。 ...続きを見る

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2007/03/19 20:05
カルロス・ルイス・サフォン 『風の影』 繊細、流麗な文体で完成されたミステリーロマンの傑作。
カルロス・ルイス・サフォン 『風の影』 繊細、流麗な文体で完成されたミステリーロマンの傑作。 バルセロナ。ローマ時代より幾多の栄枯盛衰を繰り返したスペイン随一の工業・商業都市。19世紀末の経済、文化の隆盛、精神の昂揚、それはスペイン内戦(1936〜1939年)にあってつかの間の光芒に過ぎなかったのか。1945年、バルセロナは内戦の深い傷跡がそのままに人々は暗い影の中に息を潜めている。 ...続きを見る

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2007/01/22 21:09
川端康成 『雪国』 十一面観音の印象と「雪国」
川端康成 『雪国』 十一面観音の印象と「雪国」 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 中学だっただろうかいや高校だったろう、おそらく国語の試験問題かあるいはクイズかもしれないのだが、冒頭がこの文章で始まる作品名は?とかこの作者は?あるいはこの長いトンネルとはどこのトンネルでしょう?またはここでいう雪国とはどこを指しますか?などこの一節だけでいくつもの問いがあったものだ。なかには「国境」に振り仮名をつけよという作者本人がルビを振っていないのだけど偉そうにする質問もあった。池部良と岸恵子が主演した豊田四郎監督作品を見たようなおぼろ... ...続きを見る

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2007/01/04 23:29
NHKドラマ 桐野夏生原作『魂萌え!』が面白い。
NHKドラマ 桐野夏生原作『魂萌え!』が面白い。 三回連続の第一回目をみた。原作がまことに楽しかった。あの桐野夏生が変身した。とにかく我々と同年代の夫婦のお話であり実に等身大の現実が書かれていたからだ。 テレビの脚本もほぼ原作に沿っているような気がする。 主人公の敏子、高畑淳子が演じて小説のイメージがぴったりのはまり役だ。 気になったのはその夫の浮気相手蕎麦屋のオバサンである昭子だが高橋恵子はあまりにも美しく性的魅力もあって原作の所帯じみた社員食堂の栄養士のイメージとはかけ離れている。あれでは明らかに敏子が負けているからかわいそう... ...続きを見る

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2006/10/22 19:14
伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』  夫婦とはどういうものか教えてくれる芥川賞
伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』  夫婦とはどういうものか教えてくれる芥川賞 最近の芥川賞は軽くなったと誰かが言っていた。 「軽い」との一言には重みがあるのかもしれないなと受けとめたのだが、前回の受賞作『沖で待つ』に私が好感をもったのとおなじで、この「軽い」受賞作にあるごく平凡な最近の風俗性や日常性のわかりやすさが、芥川賞にふさわしいかどうかは別として、楽しく読める作品となっている。 ...続きを見る

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2006/09/07 17:27
吉村昭 『破獄』 去る7月31日、吉村昭さんが他界された。79歳であった。
吉村昭 『破獄』 去る7月31日、吉村昭さんが他界された。79歳であった。 日本の夏は死者を追憶する季節でもある。そして戦争の悲惨を語る季節でもある。 ...続きを見る

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2006/08/08 07:20
吉村昭 『破獄』のモデルは?
この小説を読んでいて主人公佐久間清太郎の叙述があまりにも真に迫っているからモデルがいてもおかしくないのだが、五寸釘の寅吉ではないことがわかったので吉村氏の創造かと思い始めていました。 ところがそうではなくやはりモデルがいることがわかりました。 ...続きを見る

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2006/08/07 12:08
去る、7月31日、作家・吉村昭さんが他界された。ご冥福をお祈りします。網走刑務所のこと
去る、7月31日、作家・吉村昭さんが他界された。ご冥福をお祈りします。網走刑務所のこと 朝日新聞 戦艦武蔵」など綿密な取材に基づく記録文学から、「天狗(てんぐ)争乱」などの歴史小説まで幅広い作風で親しまれた作家の吉村昭(よしむら・あきら)さんが31日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。79歳だった。葬儀は親族のみで行い、後日「お別れの会」を開く予定。 私は氏の作品は『敵討』しか読んだことがなかった。 吉村昭『敵討』はこの武士道の悲惨と空虚をドキュメンタリー風に、感情をいれず淡々と叙述することでむしろ読後の感銘を深くさせている。 この著書には「敵討」「最後の仇討」の中篇... ...続きを見る

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2006/08/07 09:50
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>2  なるほどこれは危険な作品だ
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>2  なるほどこれは危険な作品だ スタヴローギンを「神になりたかった男」と指摘した亀山郁夫氏は神についてかなり個性的なイメージをお持ちのようだ。しかし、信仰を持たない私にはとてもわかりやすい共感できるイメージです。 ...続きを見る

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2006/07/08 16:20
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>目からうろこの『悪霊』解説
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>目からうろこの『悪霊』解説 タイトルに「神になりたかった男」とありますが、日本の歴史上の人物で言えば、魔王と恐れられた革命児織田信長をイメージしてしまいます。最近流行の解釈ですよね。信長の野心は天皇の地位の簒奪にあったとか、神の国を造り自らが神としてその国の王たらんとしたなど。この場合の「神」は俗世界を政治機構の頂点で支配する神様のような超絶の専制者として使われているのです。 ところが『悪霊』の主人公、悪魔的超人スタヴローギンですが、俗世界の専制者になろうとする野心を持っていたかといえばまるでそんなことはない。ピ... ...続きを見る

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2006/07/07 11:15
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦21 スタヴローギンの悪魔性2
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦21 スタヴローギンの悪魔性2 「広島 女児殺害事件 4日判決」 今朝のNHKニュースより この事件は、去年11月、広島市安芸区で、下校中だった小学1年生の木下あいりさん(当時7歳)が殺害されたもので、近くに住んでいたペルー人のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(34)が殺人や強制わいせつ致死など4つの罪に問われています。裁判で、検察側は「犯行には幼女への異常な性癖が表れ、罪を軽くするためのうそを重ねるなど、反省の態度もなく、極刑で臨むべきだ」として、死刑を求刑しています。これに対し、弁護側は「女の子を殺すつもりは... ...続きを見る

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2006/07/04 09:30
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦20 スタヴローギンの悪魔性
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦20 スタヴローギンの悪魔性 『悪霊』を一通り読んで、それも三度か四度にはなっただろうが、最近になってどうも読み方に手落ちがあったことに気づかされたのです。 ...続きを見る

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2006/07/03 09:23
辻原登 『花はさくら木』波瀾万丈の伝奇時代小説?
辻原登 『花はさくら木』波瀾万丈の伝奇時代小説? 「京・大坂を舞台に、即位前の女性天皇・智子内親王(後桜町)、権謀術数の田沼意次が活躍する」 「時は宝暦十一(1761)年、大君は前年に襲職したばかりの十代将軍家治、天皇(すめらみこと)は百十六代桃園の御代である」 ...続きを見る

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2006/05/08 15:16
江川卓 『ドストエフスキー』ドストエフスキーと直接向き合う人のために
江川卓 『ドストエフスキー』ドストエフスキーと直接向き合う人のために 新書版で「ドストエフスキー」と表題されていればこれはドストエフスキーのひととなりをを概説したもので、これからその作品群を読み始める人のためのいわば入門書かと思われがちである。あるいは一般教養として、この世界史的な文豪をちょとかじっておこうと手に取る人も多いだろう。だがその当ては完全にはずされる。 ...続きを見る

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2006/03/28 11:22
絲山秋子 『沖で待つ』 職場の男女関係のあたらしい形
絲山秋子 『沖で待つ』 職場の男女関係のあたらしい形 芥川賞受賞、サラリーマンのありきたりの日常生活を舞台にした作品なんて初めてでしょうね。半分はまだサラリーマンであるこのオジサンの実感ですが、その日常の切り取り方がとても新鮮でした。 ...続きを見る

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2006/02/27 16:08
「イエスの生涯 /遠藤周作」について
「イエスの生涯 /遠藤周作」について Thanatosさんのこの記事を見て遠藤周作のキリスト観をどう受け止めるのかについて共通するところがありました。 私も「沈黙』から本著『イエスの生涯』や『死海のほとり』など一連のテーマを読んで 「イエスの行動に計算があるとの感じ」あるいはキリスト教にあるある種のいかがわしさを拭えなかったのですが、現実に世界中のおおくの人々が長い歴史の中で心の支えにしているその重みには圧倒されるのです。だから、信仰する境地にはなれなくともちゃんと理解してみようと思ったもの... ...続きを見る

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2006/02/27 10:39
西木正明 『一場の夢 二人の「ひばり」と三代目の昭和』よみがえる美空ひばり伝説
西木正明 『一場の夢 二人の「ひばり」と三代目の昭和』よみがえる美空ひばり伝説 もう一人の美空ひばりが実在した!と序章からセンセーショナルであるが、あくまでもあの国民的歌手・美空ひばりの波乱に満ちた人生をたどる。彼女の実像は? ...続きを見る

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2006/02/23 11:21
村上龍 『半島を出よ』下 私には受け入れがたいところがあった。
村上龍 『半島を出よ』下 私には受け入れがたいところがあった。 北朝鮮軍の侵略に対し拱手傍観、ていたらくの日本に村上龍は暴力には暴力でと迎え撃つ二十人ほどの少年集団を設定している。20歳にも満たない少人数のシロウトが500人の軍隊を翻弄するのだから、この荒唐無稽の戦闘ディテールだけでも娯楽性たっぷりでひきつけられよう。 ...続きを見る

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2005/12/26 14:15
村上龍 『半島を出よ』  上 過激で危険な現代の寓話なのだ
村上龍 『半島を出よ』  上 過激で危険な現代の寓話なのだ 冷戦後の仁義なき大競争時代に取り残されたニッポン。この不安と焦燥に満ちた現代を村上流に延長し、危機の構造を戯画化した作品として注目すべき、これは寓話でしょうね。 ...続きを見る

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2005/12/26 00:18
読了! 高村薫 『新リア王』上・下  圧倒された読後感をつづる
読了! 高村薫 『新リア王』上・下  圧倒された読後感をつづる どうやら高村は福澤榮を戦後の本来的保守政治家を総合して割ったような抽象的政治人間として登場させたようだ。政治論、権力構造論、民主主義の現実、国家論、世界観など、政治的個体であると同時に、一族の頭領であり、父であり、夫である人間・榮が思索をつむぐ。言葉で語る。 ...続きを見る

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2005/11/23 19:31
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦19 超人
「悪魔的超人スタヴローギン」、「非凡な頭脳と繊細な感受性そして超人的な体力に恵まれながら、思想も感情も分裂し、悪徳と虚無に生きる呪われた男スタヴローギン」と文庫本のキャッチコピーで表現されるのを見てスタヴローギンにアメリカ漫画にあるヒーロー・スーパーマンを想像するのは粗忽だと思うのだが、すくなくともこんなエキセントリックな表現ではこの超人があの哲学的思索の産物だとピンとくるのは難しいでしょうね。 ...続きを見る

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2005/11/21 13:02
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦18 神の死
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦18 神の死 今アメリカでは「知的設計論」とよばれる新創造主論が勢力を強めつつある。「知的設計=インテリジェント・デザイン」とは人間が下等な生物から進化した点を認めながら「生命の精妙な発展は偶然だけでは説明できない。何者かによる知的な計らいが進化の方向を決めた」とする主張でこの設計主を「神」だと明言しないところで従来の反進化論と異なるところがミソらしい。 そしてこの新・反進化論を学校で教えるべきとの圧力が強まっているのだそうだ。キリスト教右派が政治力を強めている。ブッシュもこの説を学校で教えることを容認す... ...続きを見る

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2005/11/20 00:06
高村薫 『新リア王』上 シェークスピア『リア王』との関連
高村薫 『新リア王』上 シェークスピア『リア王』との関連 ところで福澤榮はなぜリア王に見立てられたのか、リア王が悲劇であるならば福澤の悲劇とはなんなのか、勝手に推測してみた。 ...続きを見る

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2005/11/18 00:20
高村薫『新リア王』上 感想 その2 彰之は語る
高村薫『新リア王』上 感想 その2 彰之は語る 尋常ならざる修行、心身を苛む苦行の日々のなかでいまだ悟りを得られぬ己への煩悶が繰り返し繰り返し告白される。仏教の専門用語が解説抜きで氾濫するのだが、読み手としてはここは無理に深く理解しようとせず、、大雑把に感覚だけで消化してしまうのも方便であろう。 ...続きを見る

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2005/11/17 15:14
高村薫 『新リア王』上巻の感想その1
高村薫 『新リア王』上巻の感想その1 『新リア王』の冒頭は血のつながりがある父子とはいえ、因業ただならぬ男同士の初めて交わす対話なのです。そして福澤榮。 ところが「対話」というよりもまず榮という政治的人間の半生が「独白」で延々と綴られる。この話し言葉になっていない、まるで一人芝居のようなセリフのとどまることない奔流にまず驚かされた。それは戦後政治のいわゆる55年体制を生きた政治家の半生であるから、時間軸を後に先にしながら実在した具体的な人物、実際にあった政治劇があふれるように登場して、あたかも政治事件小説かのような誤った印象をあ... ...続きを見る

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2005/11/14 13:32
高村薫『新リア王』読書中の感想 『晴子情歌』との結節点
高村薫『新リア王』読書中の感想 『晴子情歌』との結節点 「この雪の昏さなんだろう」「この真闇は人も獣もない原始のように暴力的だ」まるでこの作品を象徴するかのように混迷の深奥から立ち上がる冒頭の第一節である。 時は1987年11月、場所は雪に埋もれた西津軽、曹洞宗の草庵・普門庵。衆議院議員、自民党田中派の長老格、青森県に君臨する福澤王国の王・榮(75歳)が僧侶となった実子・彰之を訪ねる。 と、物語がスタートするのだけれど、これは前作『晴子情歌』との結節点を整理しておいた方が良さそうだ。 ...続きを見る

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2005/11/10 13:12
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦17 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」2
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦17 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」2 ヴェーバーはプロテスタンティズムというキリスト教信仰の生活様式の中に資本増殖の合理性を見いだしたのであるが、同時に富の蓄積運動、営利追求そのものが目的化して、キリスト者にあるべき信仰、禁欲的労働、職業的倫理が喪失しつつある資本主義社会を見詰めていたのです。 ヴェーバーがこの著作を著す半世紀も前からロシアでは同じような視点でローマ・カトリックを批判する思想が生まれていたんですね。プロテスタントではなくカトリックなのですが、同じですね。キリスト教として同質にある合理主義が西欧社会に現出させた混乱... ...続きを見る

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2005/11/07 23:51
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦16 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」1
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦16 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」1 先日テレビの報道番組、楽天の三木谷社長とセブン&アイ(イトーヨーカ堂)CEOの鈴木会長たち。突如大株主として登場し、TBSに楽天との持ち株会社設立を強行しようとしている三木谷氏、いっぽう、受けて立つ側はかつて経済界のニューリーダーとして新しい経営スタイルで国際的にも成功してきた日本企業経営のベテラン。 鈴木氏 「しかし、君ねぇ。マックス・ヴェーバーの言う『倫理』ってもんが………」 とこの引き合いに出した『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。 今年はこの論文発表の百年めにあたる... ...続きを見る

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2005/11/04 23:51
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦15 資本の自己増殖に不可欠だった巨大インフラ
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦15 資本の自己増殖に不可欠だった巨大インフラ 昨日、東京証券市場がプログラムのミスでシステム障害を起こし午前中の取引ができずマーケットは大混乱しました。これを日経紙のコラムが取り上げています。 十数年前、統制経済からの移行が始まったばかりのロシアで、仲間と民間企業を立ち上げた経営者から、市場経済への愚痴をさんざん聞かされた覚えがある。彼が言うには、会社法制などルールづくりが遅れているので仲間がてんで勝手なことをし、会社の経営が混乱を極めている。こんなはずじゃなかったと。市場は万能ではない。市場が機能するのは法制度や情報システムなどのイン... ...続きを見る

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2005/11/02 23:54
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦14 「ロシア的なるもの」
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦14 「ロシア的なるもの」 「ロシア的なるもの」。『 悪霊』を読むにはこの曖昧な「ロシア的なるもの」とか「ロシア人とは」とする語感を緊張して受けとめる必要がありますね。 ...続きを見る

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2005/11/01 23:59
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦13 キリスト教の倫理と合理主義の精神
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦13 キリスト教の倫理と合理主義の精神 スタヴローギンの役割こそがおそらく『悪霊』の本質的テーマであろうと思われます。これを理解するには当時のロシアにおけるキリスト教のポジションをもう少し掘り下げておいた方が的確ではないだろうか。そのためにはユダヤ教とギリシア思想とがまさにエポックメーキングな融合をはたすところに着目することが必要です。 ...続きを見る

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2005/10/29 19:45
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦12 若者たちが企てた「革命」とは?
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦12 若者たちが企てた「革命」とは? ペテルブルグから少し距離のある地方の県庁所在地で若者たちは「革命」の烽火をあげることを意図するのであるが、はじめに通読した限りではだれがなんのためになにをしたのかががアタマに入りませんでした。そこでこの骨格だけは整理しておく必要がありました。 ...続きを見る

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2005/10/25 23:39
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦11 宗教論4
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦11 宗教論4 巻頭に付せられているもう一つのエピグラフはプーシキンの詩です。 ...続きを見る

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2005/10/24 22:58
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦10 宗教論3
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦10 宗教論3 スラブ民族にも10世紀ぐらいまでは日本民族と同じようなカミサマがいました。ただスラブ民族は9世紀以前には文字を持たなかったためにこういう神話が記録としては残っていないようです。 ...続きを見る

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2005/10/19 22:25
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦9 宗教論2
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦9 宗教論2 「宗教というものはキリスト教にしろ仏教にしろ人間の生き方を教え諭すところがあるものなのにどうして神道にはそれがないのでしょうか」 十数年も前のことでしょうか、結婚式場、貸衣装、レストランを経営している神社の宮司さんにたずねたことがあります。 宮司さんが答えてくれた記憶はありませんが、今思うにこれは愚問でした。キリスト教の神と神道の神(日本人が古くから信仰している土俗のカミサマを含めて)全然異質なものでカミ合わないものなんですね。 ...続きを見る

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2005/10/18 23:32
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦8 宗教論1
『悪霊』の巻頭には二つのエピグラフが付せられている。その一つがルカ福音書からの次の引用である。イエスが顕す奇跡である。 そこなる山べに、おぴただしき豚の群れ、飼われありしかぱ、悪霊ども、その豚に入ることを許せと願えり。 イエス許したもう。悪霊ども、人より出でて豚に入りたれば、 その群れ、崖より湖に駆けくだりて溺る。牧者ども、起りしことを見るや、 逃げ行きて町にも村にも告げたり。 人ぴと、起りしことを見んとて、出でてイエスのもとに来たり、悪霊の離れし人の、衣服をつけ、心もたしかにて、 ... ...続きを見る

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2005/10/16 21:04
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦7 時代背景<革命運動>3
政治闘争に関連してもう一つ『悪霊』執筆の契機となったネチャーエフ事件があります。 学生運動が社会改革、革命運動の先頭に立つのはなにもフランスや戦後の日本、中国、韓国だけではなかったんですね。ネチャーエフはペテルブルグ大学の大学紛争に加わり学生運動の革命化をすすめた。「目的のためには手段を選ばず」をモットーにした過激派だったようです。架空の世界革命同盟(架空のというところはやはりこの小説の秘密結社の曖昧なところと同じですね)の代表を名のり、実際に秘密結社も組織した。ところがあまりにも教条的なと... ...続きを見る

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2005/10/14 22:17
ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦6 時代背景<革命運動>2
こうした反政府思想の広範なたかまりの中で文壇デビューまもない20代のドストエフスキーが直接巻き込まれた政府による弾圧事件がありました。ペトラシェフスキー事件です。 ...続きを見る

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2005/10/13 23:06
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦5 時代背景<革命運動>1
? ロシアの革命思想といえばせいぜい20世紀初頭のボルシェビキ政権を樹立したマルクスレーニン主義を思いつく程度だから、その前夜にあたるこの当時の反政府思想にいたってはまるで見当もつかない。ところがこの小説ではいろいろな登場人物がいろいろな考えを激論し、あげくの果てに内ゲバまで起こる、しかもそれをドストエフスキーのシニカルな色眼鏡をとおして語るのを読むのですから、大変つらいものがあります。 ...続きを見る

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2005/10/12 23:10
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦4 時代背景<農奴解放令>
物語は1869年の秋から冬にかけてロシアのある地方都市とその郊外にあるスクヴォレ−シニキという領地を舞台に展開する。この大領地を所有者し、地方政治にも強い影響力を持つ資産家がスタヴローギン家の女主人ワルワーラ夫人である。この地方都市でワルワーラ夫人を中心にやはり大地主の夫人や県知事夫人などカカア天下の上流階級の暮らしぶり、社交界の喧騒、ロシア帝政の末期的動揺が戯画的に描かれる。 ...続きを見る

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2005/10/10 22:11
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦3 腹を固めて読みましょう3
イーゲルさんからこんなコメントをいただきました。 ブログ村経由で辿りついたイーゲルと申します。『悪霊』は9度目の挑戦でようやく一周読んだ程度、もう「ナナカマド以下」という位置づけで息切れしながら読みました。 私が読んだのは新潮文庫版なのですが、文庫裏の作品紹介だと、どエライ悪の権化スタヴローギンが何かやらかしてくれるのかと期待して読んでいたら…あら?という感じでしたね。 やっぱりね。 ...続きを見る

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2005/10/09 23:54
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦2 腹を固めて読みましょう2
ところで『悪霊』の主人公はだれだ?それはスタヴローギンに違いはない。 ...続きを見る

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2005/10/07 13:53
ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦 1 腹を固めて読みましょう1
『罪と罰』を読んでそれ以上にとりつきにくいそうな『悪霊』を読んでみましょうと思い立ちました。そこで岩波文庫、米川正夫訳を読もうとしたのですが上巻の半分も進まないうちに嫌気がさしてきたのです。自分の読み方が悪いことを棚に上げ、訳者の翻訳がいけないからこうもわかりにくいのだと思ったものですからこんどは新潮文庫、江川卓訳に挑戦しました。あまり代わり映えがしないものだと気がつきましたが、これも放棄するのはあまりにももったいないことなので、ぼちぼちと通り一遍ですが読み終えたのが半年ほど前のことです。 ... ...続きを見る

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2005/10/04 19:10
恩田陸 『夜のピクニック』  モデルがあったんですねぇこの作品に
千人を超える全校生徒が一昼夜かけて80キロを歩き通す。これが北高校の伝統行事である「歩行祭」だ。長距離歩行競争のスポーツ性と修学旅行のエキサイティングなところを合体したようなところがある。とくに三年生にとってはここでなにかいい思い出をつくっておきたい、新しい自分を発見したい、友情を確認しておきたいなど若者らしいセンチメンタルな気分の高揚から全員が全行程踏破の意欲に燃えている。朝から翌日の朝までの歩行あるからタイトルの「夜の」だけではないのだが、あえてそうしたのは普段ならありえない夜の団体行動の... ...続きを見る

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2005/09/17 19:39
話題作 島田雅彦 『退廃姉妹』 著者の伝えたいメッセージはいくつかあるようだが
日本人にとって夏は追憶の季節なのかもしれない。お盆が全国民的行事で多くの人が休暇をとって帰郷し、亡き人を偲ぶ。ついでに自分の来し方を振り返る。そしてあの戦争が終わった。その流れに乗ったわけではないのだが、朱川湊人『花まんま』に続いてこの島田雅彦『退廃姉妹』を手に取った。 ...続きを見る

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2005/09/15 00:19
いよいよ高村薫『新リア王』が刊行されるようです。
十月に新潮社から上下二巻だそうです。 十月の本の話題はこれで決まりかもしれません。 とにかく日経紙連載中から話題が絶えませんでした。 おそらく読んでおられた方はほとんどいなかったでしょう。 私もそうでした。 ...続きを見る

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2005/09/07 11:27
本年のミステリー中ベストワンか 奥泉光『モーダルな事象』
瞠目すべきは巻末のオマケにある千野帽子と名乗るお方の解説。これを読むと今読み終えた作品のイメージが一変するのだから、これは巻末のオマケではなく作品そのものの最終章ではないのか。 三流の女子短大で日本近代文学を講義する俗物・「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」(副題)振りに、プッ、フフフ、ゲラゲラ、ワッハッハと何種類かの笑いを押さえようとしても抑えきれない。酔生夢死のダメ男、トホホ男。人にほめられたい、一流になりたい、カッコよく見られたい、うまいものを食いたい、女にもてたいと人一倍欲はあ... ...続きを見る

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2005/08/27 13:05
今回の芥川賞 中村文則『土の中の子供』 純文学とはこのように暗くなければならないのだろうか
どうして暗い小説ばかり読むのかと同棲している女に<私>は答える。 「まあ、救われる気がするんだよ。いろいろ考え込んだり、世界とやっていくのを難しいと思ってるのが、自分だけじゃないってことがわかるだけでも」 どうして暗い小説ばかりが最近の「純文学」なのだろう。もっとも純文学といっても野次馬根性で読む芥川賞受賞作ぐらいなのだが、他人や世間や世界とやっていくのが難しい屈折した人間ばかり登場し、自分で作った閉塞空間に抵抗するわけはなく、むしろやすらいでいるかのようで、ただ息をしているヤツばかりでは... ...続きを見る

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2005/08/19 00:04
西木正明 裕仁皇太子拉致暗殺事件 今読まれてよい『冬のアゼリア』
8月15日終戦記念日、今年は戦後60年の節目に当たる。小泉首相が発表した談話は「かつて植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」と歴史認識を表明し、反省と謝罪の意を改めて明示した。中国・韓国との関係が悪化した中でアジア外交の修復するための内閣の姿勢として妥当だと思う。 一方韓国では今日を「光復節」(日本の植民地支配からの解放記念日)と呼ぶのだそうだ。ノ・ムヒョン大統領は直接の日本批判である竹島領有権や教科書問題などに触れることなく国民統合の必要性... ...続きを見る

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2005/08/17 21:19
村上龍 「希望の国のエクソダス』アナーキーなエネルギーの爆走に希望を託せるか?
『なんとなくクリスタル』という私などは薄っぺらいとぐらいにしか思わなかった小説で文壇デビューした男が県知事になって絶大な人気を集めている。しかし、有力支持者の中ですら「あいつはまだ作家にしか過ぎん。政治家ではない」と批判の声を大きくする人が少なくないと………、さもありなんと納得しつつ、一方で「ドラッグ、セックス、ロックンロール」とかいった安手の風俗を扱ったかのごとき小説『限りなく透明に近いブルー』で芥川賞を受賞した男が最近はインターネットの世界でわが国の政治・経済・社会構造を憂え、特に教育問題... ...続きを見る

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2005/07/11 21:46
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 4
前回の合作「春風に酔う」は惜しいかな「歌」にはなっていませんな。 やはり五・七調でないと色気が出ません。 「ゐ」「ゑ」の二文字を使用することによってかなり弾力性が出ることもわかりましたので「ゐ」「ゑ」つき七・五混交体にて挑戦 してみました。 ...続きを見る

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2005/07/07 23:56
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 3
すでに会社勤めを終え、自遊人と自称し、東樹荘と名づけた山荘に住み着いている男がいる。ゴルフ三昧の日々かと思えば、馬術に鍛錬し、絵を描いたり、酔えば俳句などもたしなむ。名は東男で「はるお」と読むがその由来は「東風(こち)ふかば匂ひおこせや梅の花」にあるというぐらいの風流人である。海外生活が長かったため日本語の小説は読めなくなったあげくに、英文の長編をいつも抱えている、サラリーマン生活も終着にちかい孜君と三人で飲むことがあり、たまたまこの話を披露したところ、即興でいろは歌を作ることになった。だいたい... ...続きを見る

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2005/07/06 11:11
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ2
慶応大学の村松暎先生から中国文学の指導を受けている論語研究会のメンバーの一人、片山はサラリーマンではあるが、登山が好きで、磐梯山を眺望できる雑木林の深くに山荘をもとめ、ゆくゆくは夫婦で住み着くつもりだという。ベランダで、磐梯の刻々に変化するのをみて飽きないといい、数学から化学、宇宙、哲学の書を愛読し、人生を語らせれば、含蓄にとんで、世俗の煩わしさを超越した視点が板についた男である。 自称「エピキュリアン」 彼が酒席で自作のいろは歌を披露した。 ...続きを見る

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2005/07/05 20:46
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 1
「いろは歌遊び」という洒落たゲームがある。 あることは知っていたが実際にやったことはなかった。 ...続きを見る

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2005/07/04 22:35
垣根涼介 『君たちに明日はない』これが山本周五郎賞???
今年度の山本周五郎賞受賞作。山本周五郎賞は平成15年、京極夏彦の『覘き小平次』平成16年、熊谷達也『邂逅の森』が該当作品であり、新潮社がスポンサーとなってそれなりの文芸作品を対象にしているのかと思われた。垣根涼介の作品は『ワイルドソウル』を読んでみたいと思っていたところで、「山本周五郎賞受賞」をおおきく白抜きした表紙帯にひかれて、まずこの作品から読むことにした。 ...続きを見る

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2005/06/27 22:13
『罪と罰』の入門書? 江川卓 『謎解き「罪と罰」』
著者は他界されているがロシア文学翻訳の権威で訳書にドストエフスキー『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』など多数ある。 この書は帯に 「難しいと思っていませんか?ドストエフスキーを本当に愉しむために最初に手にすべき1冊」 と紹介されている。 ...続きを見る

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2005/06/17 23:10
感動の直木賞 熊谷達也 『邂逅の森』 自然の摂理に導かれた生き様を貫く男への讃歌
ある民族にとって自然は過酷であった。そこでは人間に絶対服従を課したのが神であった。しかし、日本民族にとって自然は生きとし生けるものに恵みを与える神である 大いなる自然の道理に導かれている存在。山、森、谷、川、そのものがそうであり、そこで息づいている草木や熊、カモシカ、ウサギなどの獣がそうだ。それらは自然の恵みをあるがままに受け入れる。しかし一方で自然の過酷な試練にさらされ、しかも生きつづけることもまた道理なのである。 ...続きを見る

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2005/06/16 22:20
04/04/04よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』5 最終章の輝き
しかし感動的なエピローグで突如として彼は喜びに満ちた復活を予感するのである。なにによってか? 聖なる娼婦ソーニャの愛か?人間の絶対的尊厳性への目覚めか?ドストエフスキーは直線的に語ることがない。 ミステリー愛好家でしかないわたしは実はここの覚醒感を三度目の読書体験をもってしても実感できないままでいる。結局「わかった」と言えぬままであるが、このボリューム感をたんのうできた。一仕事したあとの心地よい疲労感、爽快感がうれしかった。 ...続きを見る

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2005/06/13 20:14
桐野夏生『魂萌え!』 還暦を越えたオジサンのための「愛妻家入門』
いつでも、どこにでも灰色のビジネススーツを着ていくような、まじめで実直だけがとりえの、平凡なサラリーマン、定年退職後、ゴルフと蕎麦打ちを楽しみ、健康診断も欠かさない63歳の隆之。 隆之の性格も好みもよく心得て、家庭を守り子どもを育て、地域と仲良く付き合い、夫を支えてきた59歳の妻・敏子。 私はこの種の組み合わせの夫婦ならもっとも身近にいるのでよく知っている。 ...続きを見る

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2005/06/13 00:46
04/04/02よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』4ラスコーリニコフの懊悩2
古典を読んでいるとその時代背景が詳しくない場合、 どうしても今の自分の周囲にある概念を物差しにして理解したつもりになってしまう。 たとえば「アイデンティティークライシス」なんて言葉が最近目立っていて、 「異文化との接触によって、それまでの自分の在り方、価値観が否定され、あるいは変更せざるを得なくなり、心理的に不安定になること」 ともっともらしい定義はあるし、 「こうありたいと思ってもそうなれない内心の葛藤」 にも使われているようで、 もっといい加減なのは 「こうなりたいという意... ...続きを見る

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2005/06/10 19:30
04/04/01よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』3ラスコーリニコフの懊悩
ドストエフスキーを読む困難さは初歩的には登場人物の名前の複雑さである。たくさんの人物がいてそれぞれが主要なモチーフに欠かせない役割を果たしているにもかかわらず、名前がさまざまの呼称で使われるから、追っていくのが途方もなくむずかしい。今回はいちいちメモにのこしながら、そのメモを本に挟んで読み進めることにした。大いに役に立ったと言っておこう。 しかしその結果はそこで得たものを順序だてて述べることはもはや自分の能力を超えていることを自覚したことであった。ここは素直な気持ちで印象を述べるのが精一杯であ... ...続きを見る

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2005/06/06 20:50
04/03/28よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』2いまも同じなのかもしれない
 出自、階層、生活基盤、境遇などが異なる人物が数多く登場し、崩壊しつつある帝政ロシア内に生じた混沌の価値観をそれぞれが主張するのだが、実を言えばほとんど理解することができない。それぞれはなにかを象徴するもので、ふさわしい重要なサインを出しているはずなのだが、三度目の読者体験にして、ますますわからない。 ただ60年も生きてきたことによる他人との関わりの累積や自分を客観視する心得から感覚的にだが今ある自分の尺度でその中の部分部分に手探りできるものが出てきたような気がする。 たとえば「19世紀の中... ...続きを見る

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2005/06/02 17:27
04/03/27よっちゃんの読んだ ドストエフスキー『罪と罰』1 三度目の挑戦
学生時代に読んで「ラスコーリニコフはなぜ高利貸しの老婆を殺害したのだろうか?」という基本の問題提起が解けぬままその後私は40年近く生きてきたわけだ。 高校か大学の時か、記憶の中に残ったのが唯一ラスコーリニコフの犯罪論であった。 すべての人間は「凡人」と「非凡人」に分けられる。凡人は法律を踏みこえる権利はないが非凡人はあらゆる犯罪を行い勝手に法律をふみこえる権利を持っている。そしてその理論から導かれ微細な罪悪は百の善行に償われるとし、前途有為の貧しい青年が生活の糧の金銭目当てで有害無益な高利... ...続きを見る

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2005/06/02 00:06
04/03/14三田誠広『わたしの十牛図』真の<わたし>に出会う旅
色不異空、空不異色、色即是空、空即是色………の空ってなぁに。それはわからなくてよいのです。 わたしにとって人生とはなんであったか? あるいはこれからの人生をいかに意義あるものとして生きるか? 本来の自分とはなんであるか? などと思索にふけることは 物心ついてから青雲の志とか人生の明確な目標といった言葉とはまったく無縁で ただなんとなく生きてきたのが実感だから 今さらの感があってやはり青臭いことだと思うし、 気恥ずかしさが先にたつ。 とはいえ、そういうことに全くの無関心でいいの... ...続きを見る

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2005/05/27 15:53
04/02/22奥泉光 『新・地底旅行』はヴェルヌ『地底旅行』の後日談というユーモア小説
小学生の頃、少年雑誌に連載されていた日本版ターザンの山川惣冶『少年王者』に夢中になったが、そのころ産経新聞(だったと思う)に同じ作者の『少年ケニア』も連載されていてこちらも記憶に残っている。むしろ『少年ケニア』は『少年王者』よりも低年齢向きであって、主人公が地底世界で恐竜(ティラノザウルス)と闘う怖い場面があった分、少年たちの間では人気が高かった。コナン・ドイルにも『失われた世界』があって、これは「地底」ではなく人跡未踏の高度をもった「台地」であるが、やはり恐竜が登場する。 ジュール・ヴェルヌ... ...続きを見る

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2005/05/25 20:50
町田康 『告白』  「河内十人斬り」河内音頭に歌われる明治の惨殺事件をモデルに
灰神楽三太郎・森の石松・八尾の浅吉を合計した大馬鹿者の一生。国定忠治も思わずニヤリとするだろう。 ...続きを見る

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2005/05/15 13:09
03/09/15水村美苗 『本格小説』 中高年が読んでこそこたえられない「大人の恋愛」
ずっしりと時の重みを感じましょう。「青臭い恋愛小説など今さら」と分別くさい中高年が少し気恥ずかしい気持ちで読んでこそこたえられない「大人の恋愛小説」なのだ。 ...続きを見る

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2005/05/08 08:39
03/09/02 ハリガネムシを見たことありますか? 吉村萬壱『ハリガネムシ』
倫理担当高校教師の隠れていた暴力への欲望が突然はじけ出る。 読み進みながら子供の頃のハリガネムシの記憶が鮮明に浮かんだ。よく見かけた昆虫の中でもカマキリそのものですら長く細い体の下部にはいやらしくふくれた腹が、先には三角形の鋭角な小さな頭が乗り、その割に大きな目玉がぐるりぐるりと、鋭い口先をパクパクさせ、見るからに獰猛であり、その鎌を振る様は威嚇的であり、実際に私がなじんだ昆虫の中でもっとも醜い攻撃的虫けらであった。そのカマキリを踏みつぶす。緑色の体液に混じってくねくねと細長い針金状の寄生虫... ...続きを見る

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2005/05/02 14:23
03/07/27 丸谷才一 『輝く日の宮』 だらしないところもありそうな親しみを感じる文化論 
一流料亭にて名だたる調理人の芸術的割烹料理を堪能する場合、まずお品書きを一覧し、それぞれがいかなる趣向にこしらえてあるか思い巡らせるを楽しみ、一つ一つの料理が並べられれば盛り付けられた器を鑑賞し、配置の工夫、彩り、季節感を愛で、ベテランの仲居さんと調理人のさばきのよさを語らいながらその深い味わいに恍惚とするのである。また床の間にひっそりとおわす墨絵、一輪挿し、障子を開けて板の間越しにみえる中庭の涼しげな風情にもこころをひかれ、できうれば女将とうわさの政治家周辺、差し障りないスキャンダルにも話の... ...続きを見る

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2005/04/29 23:30
03/07/14幻想文学・泉鏡花 『高野聖』 ホリエモンに読ませてみたい「合理主義の忌避」
?京極夏彦『覘き小平次』と丸谷才一『輝く日の宮』と間に泉鏡花『高野聖』を読む。 丸谷才一の話題作『輝く日の宮』は冒頭、泉鏡花の『高野聖』を本歌取りした現代怪異譚で読者は思いもかけないこの小説の凝った趣向に驚くことになるのだが、少し読み進んで松尾芭蕉論あたりになると、近代文学とか近代的自我の確立などと西洋流の理路整然とした物事の整理の仕方とは対極にあるぼんやりした日本的情趣の値打ちを思いやるようなところに至り、そうなるとやはり、『源氏物語』をいまさら読むのは億劫であるが、おそらく伏線として冒頭... ...続きを見る

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2005/04/28 15:06
神はいつまで「沈黙」されるのか?
「獣の皮をかぶった聖者。」について 遠藤周作『沈黙』、私のキリスト教義に対する疑問の入り口でした。 20数年も前になろうか、遠藤周作の『沈黙』を読んで、キリスト教義にある不可解な原理にまさに触れたような気がしたものだ。 幕府の切支丹禁令下、その迫害にあい、無残な責め苦の中でキリシタンたちは 「なぜ神は救いの手を差し伸べてくれないのか。なぜ神は沈黙されているのか」 と苦悶の叫び声をあげる。 もちろんキリスト者である遠藤周作としてはこの神の不実(わたしは不実であると思うのだが)に対してなん... ...続きを見る

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2005/04/17 23:33
「傷だらけの男根。」について
「傷だらけの男根。」について ...続きを見る

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2005/04/15 09:57
「難解が良い」について
「難解が良い」について フォイエル・バッハ「キリスト教の本質」ドストエフスキー「罪と罰」に挑戦されて、そこから得るものをなど私とは相当年代が違うかたでも共感するところがおおいところでご挨拶します。 学生の時に読みたい、あるいは読むべきと思った書籍で何度か挑戦しながらも中断し、還暦迎えた頃に決心して読破する快感もあるものです。 二年前にはマックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を半年かけて読みました。昨年は「罪と罰」をやはり半年かけて読み終えました。周辺の知識を集めな... ...続きを見る

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2005/04/08 15:17
宗教に縁のない私のキリスト教に関するまじめな疑問 その1
最近は酒の席でも宗教に関する話題が増えています。長年、論語・老子・荘子・韓非子などを一緒によんできた仲間には洗礼を受けたクリスチャンもいて、いい加減な扱いではなくいろいろな観点で話が盛り上がるときがあります。そんな席でわたしはこんなことをいいました。 ...続きを見る

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2005/04/04 17:36
2002年7月20日 高村薫『晴子情歌』 高村はどこへむかうのだろうか
? 日本ミステリー史上、屈指の傑作『レディ・ジョーカー』を発表して後、創作活動がとまっていた高村薫の大河小説「晴子情歌」が刊行されて早速に買い求めた。最近は政治評論家になったかと思われるばかりの言論活動が目について傍目でいらいらしていただけに期待は大きかった。にもかかわらず、いっこうに読み進めないのであった。「非ミステリー」であり、娯楽性がほとんどない、つまりとんでもなく退屈な作品である。しかし、新聞雑誌の書評を大いに賑わしている問題作であることに違いはなく、シャクトリムシの休み休みしながら... ...続きを見る

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2005/03/22 23:25
「蛇にピアス」について
「蛇にピアス」について この本についてはこれまで若い方の見方があまり目に入らなかったものでオジサンの娘よりも10歳も若いかたの感想を興味深く拝見しました。オジサンは安心しました。 ...続きを見る

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2005/03/22 11:06
阿部和重 『グランド・フィナーレ』をどう読まれまし
昨年末に奈良で小学1年生の女児が36歳の男に殺害される事件があり、その男が幼児性愛者という生々しい事実抜きには語れないテーマのはずなのだが。作者の顔が見えない、薄気味悪さが残る芥川賞受賞作 ...続きを見る

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2005/03/11 00:01
2001年11月25日玄侑宗久「中陰の花」共感できる芥川賞
身内や知り合いの葬儀の席で一番に耳をそばだて、しずかに故人を偲ぶときは、お坊さんの読経にあるのではなく、親しいご友人の心のこもった弔辞にあります。次に興味を持って聞くのは読経のあとで会葬者へ語るお坊さんのお説教です。このところ記憶に残るような、感銘を受けるお話を聞く機会がありませんでした、というよりは最近では俗人より徳を積んでこられたお坊さんが少なくなったのではないかな。小説を書く坊さんと言えば今東光、瀬戸内寂聴らを思い浮かべるが、色・恋・欲の世界を赤裸々に書いてベストセラーになった人たちであ... ...続きを見る

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2005/03/06 23:11
2001年10月27日 三浦綾子「氷点」の舞台
「風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝いて、つくりつけたように動かない。ストローブ松の林の影が、くっきりと地に濃く短かった」 三浦綾子「氷点」の舞台となった旭川・外国樹種見本林、ヨーロッパカラマツ、ストローブマツ、ヨーロッパアカマツが入り口から美瑛川にいたるところまで立ちならぶ。 この街を訪れた機会に短時間ではあったが、落葉を踏みながら、常緑樹林の中に綺麗に色づいた木々をかいまみ、深まる秋のけはいをたんのうした。三浦綾子記念文学館はこの一角にある。三浦さんは幾度もこの見本林の美しさを... ...続きを見る

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2005/03/03 15:02
2001年10月23日 奥泉光「鳥類学者のファンタジア」
太古、神の啓示によって与えられた「オルフェウスの音階」を「フィナボッチ数列」に置き換え、「ケプラー制作の惑星模型」においてこれを演奏する。この演奏舞台にキリスト磔刑で使用された槍の断片、これは「ロンギリウスの石」と呼ばれ、世界各地に存在するらしいのであるが、これを据えるとあら不思議!石は妙なる調べに共鳴し、膨大なエネルギーを発生させるのである。この秘密を解いたオカルト集団(のような組織)と敗戦色濃いナチスドイツの軍部が結託し、馬鹿でかい秘密工場のような演奏場を建設、いよいよ世界制覇をかけてその... ...続きを見る

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2005/03/03 14:53
2001年9月21日 井上ひさし 「東京セブンローズ」
抱腹絶倒の文化論だが………超大国アメリカはイラクの「精神・文化」を本当に解放?侵略?できると考えているのだろうかと………思いをはせる、今読むべき文化論の真髄 2003/04/16 ...続きを見る

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2005/03/02 14:31
2001年9月22日 オグ・マンディーノ「十二番目の天使
ネバー・ギブアップ! アメリカ! 生きる望みを失ったの男の前に現れた一人の少年が彼の魂を救済する、少年の起こす奇跡に感動する物語。オグ・マンディーノ「十二番目の天使」である。ミステリーとは程遠いが、ただいまベストセラー。 ...続きを見る

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2005/03/02 14:15
2001年8月11日 帚木蓬生「逃亡」夏は追憶の季節
「夏は追憶の季節」 日本経済新聞のコラムにしては珍しくわが感性に共鳴するイントロだった。、恋のなきがらを追想するのではない。「亡き人を偲び、己の来し方を振り返る」「盂蘭盆会」であり、「戦争の罪業と平和の希求」である。 6月に父が他界し初盆を迎えるものであり、また追悼のまねごとに、反戦児童文学のジャンルにあたる父の絶版になった著作「村いちばんのさくらの木」を復刊したものにとっては、二重の意味で今後「夏は追憶の季節」と実感し続けるであろう。 ...続きを見る

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2005/02/25 12:21
2001年8月3日 いまはやりの「武士道」ではない、吉村昭 「敵討」
構造改革の犠牲者 ...続きを見る

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2005/02/24 12:47
2001年3月17日 篠田節子が描く文明と文化の救いない相克 『弥勒』
アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバーンが、同国バーミヤンの大仏を破壊しようとしていた問題で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「すでに破壊が実施された」と発表した。タリバーン側は大仏の上部の破壊を認めていたが、国連機関による確認は初めて。 2001年3月12日の新聞報道 唐の僧、玄奘が求法の途上で立ち寄ったバーミヤーンにある世界最大級の石仏がイスラム原理主義勢力タリバンの手により破壊された。バーミヤーンの呼称もペルシャ語であるように、この地域の石窟文化はもともと東西文化... ...続きを見る

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2005/01/28 16:34
2000年11月27日 沢木耕太郎「血の味」の味
沢木耕太郎の作品を始めて読んだ。 なんとも不可解なそれでいてどこか自分自身の内にあるやましさ、暗部を垣間見るような現実感。それは既視感の類かもしれないなどと、思いがけない奇妙な味の小説であった。 15歳の少年が殺人を犯す、といえば今ではありきたりな事件になってしまった。作者は決していまふうな解釈を加えない。猟奇的興味は一切ない。 少年時代、鋭利なナイフをみつめ、何か官能的な興奮を覚えた時期があったような気がする。通学の電車で、中年のオヤジから、股間を触れられ、にらみ返したことも記憶によみ... ...続きを見る

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2004/12/02 22:10
2000年8月8日 環境破壊を糾弾する啓蒙の書 帚木蓬生の「空山」
美しい山々の懐に抱かれて、水田、畑、果実園の自然の恵みを感謝しながら、人々が協力し、幸せに、慎ましく生活できる共同体。 ここに巨大ごみ処理センターの建設が密かに進められる。反対運動に立ち上がる人々の努力の積み重ね。横糸には不倫純愛の主人公たちの一途な愛の賛歌。帚木蓬生の「空山」はヒューマニズム溢れるいかにもこの人らしいテーマで重々しくその主張が貫かれています。生真面目なこの主張には批判することは何もありません。風景の美しさ、人々の温かい人情、自然の恩恵、純愛物語……丁寧によく書けています。 ... ...続きを見る

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2004/11/27 17:48
2000年7月9日 みゆさんよりのコメント
「朗読者」読みました。 昨日の朝休みだったのでちょっと手にとって読み始めたら止まらなくなり、 昼までかかって読み終えてしまいました。 よっちゃんさんも書いてらしたように、重い物語です。 2度読んでほしいと書いてありましたがほんとにそうなのかもしれません。 本の中にある『あなたならなにをしましたか』という真摯な問いに胸をつ かれました。 読む価値ありと思います。 ...続きを見る

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2004/11/25 22:20
2000年7月1日 「朗読者」の重み
ベルンハルト・シュリンク「朗読者」ずいぶん売れているようなので読んでみました。 ...続きを見る

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2004/11/25 22:13
2000年3月23日 「クムラン」から派生した雑談
直江信綱さん・ともさんへ 「クムラン」、直江さんはハードカバーでスタートして止まっていますか。 読書の中断、私はウンベルト・エーコ「フーコーの振り子」「前日島」を初版で持っているのですが前者は三度挑戦しましたが10ページと進みません。後者などは表紙も開いていない状態。特に前者は「薔薇の名前」とともにミステリーとしても高い評価を得ている作品ですのでいつかまた取り組みたいと思っています。 キリスト教について言えば遠藤周作「沈黙」「死海のほとり」が日本人的理解が得やすいテーマで書かれていて心に... ...続きを見る

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2004/11/06 10:04
リアルタイム 高村薫「新リア王」の日経連載の中止
高村薫と日経の間でなにやら揉め事があったようですね。未完のままで本日分590回で連載が終了します。 今日の最後には「本作品は加筆の上2005年に新潮社より刊行されます」「本社は10月19日付から原稿11回分を作者の了解を得ずに13回に分けて掲載しました。作者・読者に迷惑をかけたことをおわびします。」とことわりがきと謝罪文がついています。 挿絵の盗作問題とかいわくつきの作品になってしまいましたね。 この作品は「晴子情歌」の続編のようなもの、濃密すぎてもともと日経の連載小説としては馴染まなか... ...続きを見る

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2004/10/31 20:47
2000年1月29日 まず重厚なものを読みました。奥泉光「グランド・ミステリー」
さる23日にフィナンシャルプランナー1級という資格試験にチャレンジしたため受験勉強で忙しくご無沙汰しました。 ...続きを見る

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2004/10/30 11:59
1999年9月20日 ふたたび山崎豊子の魅力
次に新しいジャンルに挑戦し成功したと思う。それは「二つの祖国」であり「大地の子」である。一貫したテーマは「愛国心」。(誤解なきよう、日の丸、君が代的愛国ではありません)私は此の作品が彼女の最高傑作だと思う。 そして今回の「沈まぬ太陽」なのですが。これは戻っちゃうんですよ。「業界内幕もの」に。主人公は巨大航空会社のサラリーマン一人、経営者一人で、これが旧弊な会社機構、官僚、政治家等と悲壮な闘いをするのです。ある意味で古いタイプの理念的なサラリーマン像、経営者像が描かれ、悲劇のヒーローは努力して... ...続きを見る

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2004/10/20 06:15
1999年9月19日 山崎豊子の魅力
彼女の作品を読んだのは最初、「女の勲章」であったと記憶している。今でこそ「方言」がマスメディア、小説に広く使われ特段違和感はないのだが当時は東京弁をいわゆる標準語としてその他の言葉は主役の座にはなかったと感じている。「暖簾」「ぼんち」「女系家族」と全編を大阪弁で表現。、大阪弁と言えば「落語、漫才の世界でのんびりした、柔らかい、あるいは間の抜けた」との印象を持っていた私は 彼女の小説を読んでその登場人物の使う大阪弁の「したたかさ、陰湿さ、押しつけがましさ。特に脅迫性の凄み」に圧倒されことを今でも... ...続きを見る

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2004/10/20 06:14
1999年6月20日 再び『安楽病棟』を評価する
帚木蓬生はいくつかのジャンルでこのHP で話題になってきました。 「逃亡」「総統の防具」 いずれも高い評価がされました。私はこの作者が大好きです。 で新作の「安楽病棟」を読みましたので紹介したくなりました。 「閉鎖病棟」もこれはミステリーかとの論点が ありましたが「安楽病棟」は前作以上にミステリー性は希薄です。 老人問題は大変深刻な誰しもが直面する生活上の大問題です。 自分自身かも知れない。父親、母親はどうでしょうか。 あるいはこのHPに参加されている多くのみなさんの おじい... ...続きを見る

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2004/09/26 19:30
1999年5月20日 バトルを読み終えて今痴呆老人の世界
帚木蓬生「安楽病棟」 バトルを読み終えて今、痴呆老人の世界。 「閉鎖病棟」のあの感激を改めて思い起こしています。 まだ70ページそこそこで六人の老人のエピソードが つづられていますが、期待通り、熱いものを目頭に感じます。 戦争という悲惨な体験を経てなおいま苦闘する善意の 老人たちの心境を淡々としかし作者の「良心に根ざした怒り」 を沸々と感じさせ、導入部分ですが期待に違わない重厚さを 味わっています。 私の両親もいつそうなってもおかしくない年齢です。 あまりにリアルなんです。... ...続きを見る

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2004/09/26 19:05

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