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タイトル 日 時
ケヴィン・ギルフォイル 『我らが影歩みし所』 クローン人間が仮想現実「シャドーワールド」で
ケヴィン・ギルフォイル 『我らが影歩みし所』  クローン人間が仮想現実「シャドーワールド」で クローン技術が不妊治療に実用化された近未来。ただ人々の生活が今より大きく変わっているわけではない。せいぜいパソコンゲームソフトがかなり高度化しているといった程度。もしかしたら近い将来ありうるかもしれないと思わせる時代設定である。だが………。 ...続きを見る

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2008/05/10 17:27
黒川博行 『悪果』
黒川博行 『悪果』 前回の直木賞選考で二つの「本格警察小説」がノミネートされた。この作品と佐々木譲 『警官の血』だったが受賞できなかった。両作品とも警察組織の暗部を鋭く突いたものだけに、受賞して広く世間の関心が高まれば、かなり苦々しく思う向きもあったのだろう。 ...続きを見る

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2008/05/02 12:37
火坂雅志 『臥竜の天』 地方からの天下簒奪
火坂雅志 『臥竜の天』 地方からの天下簒奪 来年のNHK大河ドラマ、火坂雅志『天地人』は直江兼続を主人公にしている。伊達政宗はこの直江兼続のライバルだったようで火坂雅志は『天地人』を書きながらこの作品の構想を思いついたのだそうだ。臥竜が天を目指す。正宗の特異な地方性と微妙な時代性を詳細に描き出した傑作の歴史小説だ。 隻眼異相の武将、徳川幕府から一目置かれた雄藩大名。伊達男・伊達者という言葉、これは政宗が好んだ豪華絢爛の気風に由来するものだ。実はこの程度の知識しかなかった。これまで読んだ戦国期の歴史小説はたいがいが信長から秀吉をへて家 ...続きを見る

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2008/04/27 14:45
貴志祐介 『新世界より』 異色のSFファンタジーノベルだが………
貴志祐介 『新世界より』 異色のSFファンタジーノベルだが……… デビュー作の 『黒い家』 (1997年)。韓国製の映画が目下上映されているとのこと、感情を欠如した殺人鬼が地獄図を見せる正視に耐えないおぞましいシーンの連続だそうだ。10年以上前の原作だが「生まれながらの殺人者」という突然変異的存在を暗示し、最近のように不可解な犯罪が頻発する日本を当時予見するような怖い作品であった。 『天使の囀り』(1998年)はアフリカの民俗伝承、風土病と現代日本の病んだ精神構造をつないでホラータッチ、なかなかの秀作だった。 『青の炎』(1999年)、これは純真な若者 ...続きを見る

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2008/04/05 17:07
船戸与一 『満州国演義3 群狼の舞』 船戸与一が冷酷にあぶりだす人間性悪の極限図。
船戸与一 『満州国演義3 群狼の舞』 船戸与一が冷酷にあぶりだす人間性悪の極限図。 人の性は悪にしてその善なる者は偽なり。人間の本性には生まれつき利益を追求する傾向があり、それに従ってゆくから、他人と争いになって譲り合うことがなくなるのである。また生まれつき嫉んだり憎んだりする傾向があり、それに従ってゆくから、他人を害するようになって誠心の徳がなくなるのである。(荀子 性悪篇) ...続きを見る

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2008/03/29 16:57
船戸与一 『満州国演義2 事変の夜』 「本格歴史小説」の名著である。
船戸与一 『満州国演義2 事変の夜』  「本格歴史小説」の名著である。 昭和5年1月、浜口雄幸内閣が金解禁を実施したことにより日本は世界大恐慌の直撃を受ける。農民、都市労働者の窮乏、深刻化する国民生活。4月に締結したロンドン軍縮条約を政友会の犬養毅、鳩山一郎が統帥権干犯として議会で追求。軍部は将来の国家総力戦準備として、満州の鉄、石炭などの資源獲得を緊要とするとともに、最大の仮想敵国であるソ連との戦争に備えるために南満州の確保を必須とした。さらに朝鮮統治の安定、大恐慌下の社会的不安の鎮静や人口問題の解決などのためにも、満蒙問題の解決が必要であると高唱されるように ...続きを見る

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2008/03/12 17:07
船戸与一 『満州国演義1 風の払暁』 圧倒的迫力で描かれる昭和激動史
船戸与一 『満州国演義1 風の払暁』 圧倒的迫力で描かれる昭和激動史 船戸与一の作品では『蝦夷地別件』、「滅びの残酷史」というべき最高傑作があったが、この第一巻、『蝦夷地別件』に匹敵する、あるいはこれを超えるかもしれないと期待させられる大長編の幕開けである。 ...続きを見る

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2008/03/03 23:09
川上未映子 『乳と卵』 芥川賞受賞作 もやもやの中にすっきりとさせてくれます。
川上未映子 『乳と卵』 芥川賞受賞作 もやもやの中にすっきりとさせてくれます。 雄弁は銀、沈黙は金っていう。そんなことかもしれないと思いながら、いずれにしても自分の気持ちを相手にそのまんま伝えるのは相当難しいことだ。 サラリーマンを卒業し家庭の中の時間が圧倒的に増えた今になって振り返れば、会社生活のほうが意思の疎通は容易だったような気がする。なぜかというとそこは約束事とか規則とか通念ってものが完璧だから、「文法」に従って言葉を口に出しまた文章を書けばそれで「私」をありのままに表現することになっているからだ。「慎重に検討させていただきます」といえばそれなりに社会通念が調 ...続きを見る

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2008/02/21 17:04
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 もはや動かしようがない格差の拡大社会と歪められる家族関係を通して人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 ...続きを見る

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2008/02/15 16:01
松浦理英子 『犬身』 家族とはなにかを問うがいまひとつだな。
松浦理英子 『犬身』  家族とはなにかを問うがいまひとつだな。 なんともとらえどころが難しい、奇妙な味わいの作品である。ただし、犬をペットとしてかわいがっている人にとってはやたらにうれしくなってしまう作品である。 私も4年前から牝のトイプードルを飼っている。かわいがっている一人だ。犬には喜怒哀楽の感情があってまるで人間と同様の表現を目の動き、顔つき、尻尾の振り、手足のしぐさ、鳴き声など全身を使って行うものだ。人間がなにをしようとしているのか、どんなことを考えているのか読み取る能力もある。私にも犬の心理が読めるようになっている。そんなところまで交感が深ま ...続きを見る

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2008/02/03 18:14
桜庭一樹 『私の男』 直木賞候補作となっているがはたして………。
桜庭一樹 『私の男』 直木賞候補作となっているがはたして………。 桜庭一樹の作品を読むのはこれが二作目だ。つい最近読んだ『赤朽葉家の伝説』はミステリーとしての評価が高く、本著は文芸作品としての評価が高い。逆じゃぁないのかな。「朽ちていく幸福と不幸を描く、衝撃の問題作!」この宣伝文句にとらわれないほうがいい。謎解きミステリーとして読むほうが不快にならずに楽しめる。 ...続きを見る

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2008/01/14 01:54
スティーヴン・キング 『セル』 どこかへんてこりんな巨匠の最新作
スティーヴン・キング 『セル』 どこかへんてこりんな巨匠の最新作 モダンホラーの第一人者、映画では随分とつきあったのだが読むのはこれがはじめて。プロの書評で、キングの長編はゆったりとした幕開けなのだがこれは冒頭からショッキングな場面があって展開にスピードがあると高い評価をしていたので、のんびりのホラーは魅力がないがそれならと手にとった次第。 ...続きを見る

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2008/01/10 19:48
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史 この作品、いかにも横溝正史風でスタートしているがミステリーとして読むのはいささか間違いだ。余計な雑念を払い捨て、この語りに没頭してこそ多様な味わいを楽しみ、芳醇な香に酔いしれることができるだろう。 ...続きを見る

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2008/01/08 00:07
ジェフリー・ディーヴァー 『ウォッチメイカー』 食傷気味だが「このミス」第一位かと手にとった
ジェフリー・ディーヴァー 『ウォッチメイカー』 食傷気味だが「このミス」第一位かと手にとった またまたライムシリーズか、と食傷気味になりながらもついつい手にとってしまう。さて今回の作品のできばえは?と、このシリーズ、そこまで新機軸が期待できる魅力がある。ジェフリー・ディーヴァーはたしかなストーリーテラーなのだ。これは第7弾だそうだが、私はこれで6作品を読んだことになる。 『ボーン・コレクター』『コフィン・ダンサー』『魔術師』………。数々の名犯人たちと頭脳戦を演じ、勝利を収めてきた現代の名探偵リンカーン・ライム。彼の前に、細心緻密な殺人計画を引っさげて、史上最大の敵<ウォッチメイカー ...続きを見る

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2007/12/22 18:58
ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』
ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』 ビーケーワン恒例の真夏の怪談競演も今年で5回と続いた。第4回の応募は271篇だったが、第5回は663篇が寄せられたそうで、私も毎回参加させていただいているが、だんだんとお祭り騒ぎが大きくなっていくのにビックリしている。『てのひら怪談2』はこの第5回応募作品から選りすぐりの100篇を掲載したものだ。選考委員の評価によれば作品の質が年々充実さをましているそうだが、この傑作選をみるとたしかにそのとおりだと思う。 小説をその長さで分類し、長編、中編、短編とあってそれより短いのを掌編と呼ぶ。これは最 ...続きを見る

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2007/12/19 23:56
浅田次郎 『中原の虹』 傑作『蒼穹の昴』の続編。待ちに待った全四巻を読み終えて
浅田次郎 『中原の虹』 傑作『蒼穹の昴』の続編。待ちに待った全四巻を読み終えて 新国家建設に混迷する中国大陸。民の平安のために!と張作霖は燃える。彼を新しい英雄にしようとする浅田次郎の着想は成功しただろうか。 ...続きを見る

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2007/12/15 02:13
笹本稜平 『越境捜査』 わかりにくい警察機構を理解し警察小説を楽しく読もう。
笹本稜平 『越境捜査』 わかりにくい警察機構を理解し警察小説を楽しく読もう。 日本の警察もアメリカ並みにここまで腐っているのか?いやまさかここまでのことはあるはずがない、と思ったところで、防衛省のあんな醜悪な大犯罪が起こるんだから、この作品だってフィクションをフィクションとして楽しめばいいと単純には割り切れなくなっちゃうではないか。 佐々木譲のシリアスな警察小説『警官の血』をじっくり読んだ後だけに、巨悪と戦う荒唐無稽なバイオレンスを期待して手にとった警察小説である。帯には「12億円に心がグラリ!!勝つのはどっちだ」「じっくりガッツリ読ませます!」とひょうきんな口調で ...続きを見る

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2007/12/09 19:15
佐々木譲 『警官の血』 警官の血とは?異色の警察小説でありめったに現れない傑作である。
佐々木譲 『警官の血』 警官の血とは?異色の警察小説でありめったに現れない傑作である。 この作品には巨悪は登場しない。防衛省事務次官の犯罪。あんな巨悪がまだいたのかとあきれ返る。ささやかな正義の積み重ねをしている人たちこそいい面の皮である。でも盗人にも三分の理、彼は彼なりの「正義」を追い求めていたんだろうね。「自衛官の血」という小説があったとしても、とてもとてもこの現実の迫力にはかなわないでしょう。 ...続きを見る

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2007/12/06 15:48
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。 山田浅右衛門といえば「首斬り浅右衛門」として、死罪人の斬首役であるとの知識しかなかったが、本職が徳川家御佩刀御試御用役だったとはこの作品ではじめて知ったことだ。 実は先日読んだ、山本兼一『いっしん虎徹』で刀剣の斬れ味を鑑定する「試刀」という職業(一太刀で何体の死体を斬ることができるかを基準にして利鈍を試す)があることに驚いたばかりで、おっつけ読んだ山田浅右衛門の家業がこれであったかと偶然の出会いに思わず膝を打った。 罪人を斬首するためにふるう剣、山田流試刀術………。その奥義は、密かに ...続きを見る

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2007/12/01 17:09
曽根圭介 『沈底魚』  本年度江戸川乱歩賞受賞作
曽根圭介 『沈底魚』  本年度江戸川乱歩賞受賞作 アメリカに亡命した中国外交官の証言によれば、日本の現職国会議員が機密情報を中国に漏洩している。この新聞報道で中国と朝鮮の事案を担当する警視庁公安部外事第二課は騒然とする………と快調なスタートである。 沈底魚=スリーパー。潜伏期間二十年余り。素知らぬ顔で暮し、覚醒の時を待っているーーー。スパイ自身が派手な立ち回りを演ずる冒険小説ではない。ガセネタかも知れない沈底魚をあぶりだそうとする警視庁公安部現場の捜査官たちの苦闘の物語である。 ...続きを見る

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2007/11/06 12:04
藤原伊織 『名残り火 てのひらの闇U』 あの堀江雅之はもう帰ってこない。
藤原伊織 『名残り火 てのひらの闇U』 あの堀江雅之はもう帰ってこない。 2007年5月17日に逝去された藤原伊織氏の遺作である。2002年から2005年まで別冊文芸春秋に連載されたもので連載終了後、全38章中第8章までは著者が加筆、改稿作業を完了していた経緯のある遺稿だそうだ。氏の食道ガン発症を知ったのは2005年5月だった。5年生存率20%と告知された「ファンキーなじじい」は復活を切望した私達の期待むなしく2年の闘病生活を送って逝ってしまった。 私より4歳若いとはいえまずは同世代といえる。世代を共有してきたものとして1996年、江戸川乱歩賞、直木賞を受賞した ...続きを見る

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2007/10/26 11:57
ジョー・ホールドマン 『擬態 カムフラージュ』 昔懐かしいSFのガジェットがたくさんあったが
ジョー・ホールドマン 『擬態 カムフラージュ』 昔懐かしいSFのガジェットがたくさんあったが もう30年以上前になる。いや小学生からもう好きだった。面白くて古典も含めて内外のSFをひと通り読んだ。最後に読んだSFらしい小説は小松左京の『日本沈没』だった。それ以来SF小説には縁がなくなったから、最近の定義には疎く、私にはSFというと当時のイメージにあるSFでしかない。そのころTV動画の松本零士『宇宙戦艦ヤマト』を楽しみ、映画『スターウォーズ』に驚嘆し、以降、映像SFとは今でもときたま付き合っている。 ...続きを見る

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2007/10/21 16:59
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。 ドストエフスキーの描く少年・少女だが、どれもこれも子どもらしさがない、かわいらしさがない、ひとことでいえばこわい。読んだ作品ではじめに印象的だった子どもは『悪霊』の少女マトリョーシャだった。亀山郁夫の『『悪霊』神になりたかった男』は亀山が『悪霊』から「スタヴローギンの告白」だけを抜粋し翻訳して解説している。亀山はマトリョーシャを10歳としている。親から虐待されるのだがその痛みの中に快感をおぼえる人格なのだから驚きだ。スタヴロ−ギン(幼児性愛癖もあるんだな、彼は)は彼女を陵辱する。実は江川卓訳 ...続きを見る

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2007/10/15 17:11
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります 16歳の少女が斧で警察官の父親を殺害した。つい最近の出来事である。同種の事件は過去にもいくつもあった。現在日本の刑法に尊属殺人という概念は消えている。にもかかわらず私たちには大変ショッキングな犯罪である。私のどこかに親は敬うべきものと儒教思想の残滓があるのかもしれない。『カラマーゾフの兄弟』が扱うのはキリスト教社会において最悪の犯罪とされる父殺しだが、今の私には同様の重さでこのテーマを感じることができる。 第4部はミーチャが父殺しの容疑で起訴された裁判シーンでクライマックスを迎える。はじめ ...続きを見る

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2007/10/06 19:35
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ 『カラマーゾフの兄弟』は第一の小説と第二の小説の構想があって第二の小説は書かれていないのだが、序文「著者より」によれば全体として三男アリョーシャを主人公にしている。ただこの第一の小説ではアリョーシャの影は薄い。とはいえ「第三部第七編アリョーシャ」には引っかかるところがあって読み返したら、独断的なアリョーシャ印象をくどくどと書いてみたくなった。 どんなにスッと入れる名訳でも原書そのものにある難解さをときほぐすのは容易ではない。特に宗教に関連するイメージは私のもっとも苦手なところです。第一部、 ...続きを見る

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2007/09/27 17:26
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。 全巻エピローグまで読み終えたものの混沌の宇宙に放り出されたような頼りなさでいらだたしい心境にある。最後にある亀山郁夫の解説を読むことは中断してこの酩酊状態をしばし楽しむことにしよう。 ...続きを見る

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2007/09/18 20:09
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか 巻末の著者による「読書ガイド」は難解なこの作品を理解するうえでとても重宝である。適度な突っ込みだから読者の自由度を束縛することなく、ポイントをついた手引書になっている。そしておそらく著者の個性的な翻訳姿勢によってこの書はいまや話題のベストセラーとして注目されることになったのだろう。 ...続きを見る

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2007/09/13 17:28
上野 国立科学博物館とフーコーの振り子
上野 国立科学博物館とフーコーの振り子 9月24日まで「インカ マヤ アステカ展」が開催されている。スペインの侵略により滅亡したこの文明の悲劇が胸を打つ。 ...続きを見る

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2007/08/30 13:10
山本兼一 『いっしん虎徹』 またまた傑作時代小説にぶつかりました。
山本兼一 『いっしん虎徹』 またまた傑作時代小説にぶつかりました。 虎徹といえば新撰組隊長近藤勇の斬殺剣だと講談本の知識はあった。江戸時代を代表する刀工であろう。長曽祢興里(おきさと)、もともと 越前国福井の甲冑鍛冶師であったが、自ら鍛えた当代随一の兜を一刀にして断ち切ることのできる日本刀を鍛えるべく、病床にある妻とともに江戸にでる。入道して古鉄、虎徹と称す。とくに切れ味の鋭いことでは全刀工中第一といわれ、江戸時代の刀剣書に高く評価されている。実際に「三ッ胴截断」「二ッ胴切落」「石灯籠切」などと切れ味を誇る添銘した作が数多く現存しているそうだ。 鉄とともに ...続きを見る

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2007/08/13 20:03
葉室麟 『銀漢の賦』 漢(おとこ)たちの凛冽の生き様を描いて松本清張賞受賞にふさわしい時代小説の傑作
葉室麟 『銀漢の賦』 漢(おとこ)たちの凛冽の生き様を描いて松本清張賞受賞にふさわしい時代小説の傑作 齢60をこえると、自分の半生を振り返り、ほろ苦い感傷にぼんやりするときがあるものだ。サラリーマンだって自分なりに大仕事だったと思える経験がいくつかあって、結果が本当に全体にとってよかったのかと冷静になれば自信こそないのだが、ただただ古きよき思い出として消化してしまう心境でいいのじゃないだろうか。そして、そういうことを語り合える友がいればなおさら満たされるものだ。 国家財政が困窮し、地方がそれでも自活しようとなれば選択肢は多くない。市町村合併か、米軍基地の移転先、大規模ゴミ処理場の建設、ある ...続きを見る

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2007/08/05 23:32
グレン・ミード 『地獄の使徒』  グレン・ミードだからと期待してはいけない。
グレン・ミード 『地獄の使徒』  グレン・ミードだからと期待してはいけない。 グレン・ミードの新作が出版され、『雪の狼』が強く印象に残っていたものだから大いに期待して飛びついた。『雪の狼』の後にいくつかの長編を発表していたとは知らず、この『地獄の使者』を久々に発表した第二作だと思い込んでいた。ソ連要人暗殺を軸にした『雪の狼』は第一級の大型スパイサスペンスだった。これがグレン・ミードの作風であり、『地獄の使者』もその流れかと思ったのだがまったく違うジャンルに驚いた。 <悪魔の使徒>と異名をとって残虐な連続殺人犯が処刑された後も相次ぐ同様の連続殺人!模倣犯か、それとも処 ...続きを見る

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2007/07/27 14:41
諸田玲子 『かってまま』 これは宮部みゆきの世界ではないかと………。
諸田玲子 『かってまま』 これは宮部みゆきの世界ではないかと………。 売れっ子の女流作家 宮部みゆき『日暮らし』、松井今朝子『吉原手引草』 桐野夏生『メタボラ』に似て非なる傑作の人情噺。 ...続きを見る

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2007/07/25 23:52
佐々木譲 『制服捜査』 新しい切り口の警察小説だ。
佐々木譲 『制服捜査』 新しい切り口の警察小説だ。 『うたう警官』で著者の新ジャンルでの復活を感じたものだから昨年発表のこの『制服捜査』を手にとった。「これが本物の警察小説だ!」と帯封にあったが、本物かどうかは別にして警察小説といわれるジャンルをこれまでにない切り口で見せた。その斬新さはさすが。佐々木譲の手腕、健在である。 ...続きを見る

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2007/07/16 19:14
桐野夏生 『メタボラ』 論評する資格のない自分に気がついた。
桐野夏生 『メタボラ』 論評する資格のない自分に気がついた。 ドキュメンタリー番組で「ネットカフェ難民」という人たちを知り、正直驚いた。住む家がなく24時間営業のインターネットカフェに寝泊りし、日雇い派遣労働などで食いつないでいる若者が急増しているのだそうだ。 そしてこの『メタボラ』である。「ネットカフェ難民」ではないが同様に漂流するものであり、それは衝撃的だった。ホームレス、ニート、フリーター、ワーキング・プアそれぞれに定義はあるようだが、桐野夏生が過度にデフォルメした人物像などではない。どうやら実体を持って社会の一定層を形成しているとリアルに感じ ...続きを見る

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2007/07/04 18:22
京極夏彦 『前巷説百物語』 シリーズものってのは三巻までがよろしいようで………
京極夏彦 『前巷説百物語』 シリーズものってのは三巻までがよろしいようで……… 京極先生の作品にはずいぶんとおつきあいしたものですが、憑物落としの京極堂シリーズは『陰麻羅鬼の瑕』をようやく読み終えたところであとはお休み、この巷説百物語もまぁ今回で読み上げといたしましょう。 これが百物語のはじまりでございます 今、明かされる真実 又市、いかに御行となりしか と既刊・巷説百物語シリーズで活躍した小股潜りの又市が御行となるまでその前歴をなぞっている。『巷説百物語』『続巷説百物語』『後巷説百物語』を読んだ読者であるなら勢いで手にしたくなる一冊だろう。しかし………。 ...続きを見る

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2007/06/26 22:02
竹田真砂子 『桂昌院 藤原宗子』 寂しさを気づけなかった女の激烈な一生
竹田真砂子 『桂昌院 藤原宗子』 寂しさを気づけなかった女の激烈な一生 桂昌院 1627‐1705(寛永4‐宝永2) 3代将軍徳川家光の側、5代将軍綱吉の生母。関白二条光平家司本庄宗利の養女。名は宗子。秋野、お玉の方と称す。家光側室六条有純の女お梅の方の縁で江戸へ下り、家光の寵をうけて綱吉を生む。1680年(延宝8)綱吉が将軍となって後、江戸城三丸に住み、三丸殿と称された。綱吉の厚い孝敬をうけ、1702年(元禄15)従一位に昇り、また弟本庄宗資をはじめその一族中幕臣として栄進する者も多かった。深く仏教に帰依し、僧亮賢、隆光等を信頼し、そこから生類憐みの令を極 ...続きを見る

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2007/06/20 22:30
映画 『ザ・シューター 極大射程』の原作 スティーヴン・ハンターの傑作『極大射程』
映画 『ザ・シューター 極大射程』の原作 スティーヴン・ハンターの傑作『極大射程』 前々からこれが映画化されるのを楽しみにしていたものとしてはぜひとも観なくては!!! 今から八年も前に発表された作品である。 ...続きを見る

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2007/06/01 19:08
大鐘稔彦 『孤高のメス 外科医当麻鉄彦』 連載劇画のノベライズだった。
大鐘稔彦 『孤高のメス 外科医当麻鉄彦』  連載劇画のノベライズだった。 文庫本全六巻。友人に紹介されて読んだものだ。作者はまったく知らない人だった。 大鐘稔彦。1943年愛知県生まれ。京都大学医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み、「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設、手術の公開など先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約6000件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。小説やエッセイなどの著書多数。帯封にある二村雄次・名古屋大学大学院医学系研究科外科教授の推薦の辞によれば 日進月歩で医 ...続きを見る

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2007/05/31 17:34
佐々木譲 『うたう警官』  戦時情報戦小説の勇、あの佐々木譲の完全復活だ。
佐々木譲 『うたう警官』  戦時情報戦小説の勇、あの佐々木譲の完全復活だ。 2004年3月5日の北海道新聞より、道議会総務委員会で4日開かれた元道警釧路方面本部長に対する参考人質疑の一部である。私が裏金づくりに直接タッチしたのは、一九六四年四月に配置された当時の北見方面本部刑事課が最初。階級は巡査部長だった。初めて領収書や関係書類を、命じられるままに偽造した。その後、退職した九五年まで十七カ所の所属(部署)を転勤したが、何らかの形で裏金づくりに関与し、一部を受け取り、その存在を知っていた。 この報道の示している状況を「うたう警官」と呼ぶらしい。「うたう」は内部の不 ...続きを見る

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2007/05/29 12:31
レイモンド・チャンドラー  村上春樹訳 『ロング・グッドバイ』  ハードボイルドの原点を名訳
レイモンド・チャンドラー  村上春樹訳 『ロング・グッドバイ』  ハードボイルドの原点を名訳 『The Long Goodbye』。チャンドラーの傑作中の傑作、いや古今のミステリー史上十指に入ると言われる名作である。わたしが『長いお別れ』として清水俊二訳を初めて読んだのが二年前だった。そして世評どおりの印象を受けた。これを村上春樹が翻訳したということで目下読書界の話題をさらっている。 ...続きを見る

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2007/05/14 22:18
司馬遼太郎 『項羽と劉邦』 山本勘助なんて小さい小さい!
司馬遼太郎 『項羽と劉邦』 山本勘助なんて小さい小さい! NHK大河ドラマ『風林火山』がおもしろい。雀荘で臨卓から「あれでは原作のよさがまるで感じられない」との声があった。井上靖は読んでいないのでなんともいえないのだが山本勘助のいかにもワルなところを非情なタッチで描いている。虫酸がはしると感じる視聴者があっても不思議ではない。すくなくともこれまで放映されたところでは卑怯な謀が上首尾に仕上がったところで、顔を伏せてにやりとするところなど、NHKらしくもない凄さがある。 若い頃から諸国を遍歴し、各地の地勢、民力、領主の資質を総合的に把握し、軍略や築城 ...続きを見る

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2007/04/16 18:47
熊谷達也 『氷結の森』 名作『邂逅の森』の続編として新たな感動を呼ぶ傑作
熊谷達也 『氷結の森』 名作『邂逅の森』の続編として新たな感動を呼ぶ傑作 主人公、柴田矢一郎。出生は秋田、山々の懐に囲まれたマタギである。昔かたぎのマタギについては前作 『邂逅の森』 に詳しいので『氷結の森』では省略されている。このため『邂逅の森』を振り返ることで、はじめてマタギである矢一郎の心の奥の哀しさを感じとることができる。彼の前にぬかずくべき基準、あの神聖な自然の摂理はすでになくなっていた。物語はそこから始まる。 ...続きを見る

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2007/03/27 18:11
青山七恵 『ひとり日和』 石原慎太郎が激賞したという芥川賞受賞作
青山七恵 『ひとり日和』 石原慎太郎が激賞したという芥川賞受賞作 芥川賞選考委員の一人、このところ激辛の論評を加えてきた石原慎太郎が激賞したと喧伝されたが拝見すれば奥歯にものが挟まった「激賞」ですね。これって都知事選を控えた慎太郎が若者受けを狙ったパフォーマンスじゃあないだろうか。 ...続きを見る

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2007/03/19 20:05
諸田玲子 『奸婦にあらず』 幕末の激動に身を投じた女の真心とは
諸田玲子 『奸婦にあらず』 幕末の激動に身を投じた女の真心とは 読み終えて、古地図を重ねながら現在の地図を眺めてみた。彦根藩主井伊家の上屋敷は桜田濠に面して現在の憲政記念館と国会前庭の洋式庭園を含む広大な屋敷だった。警視庁、警察総合庁舎一帯に豊後杵築藩邸があり、藩邸前を左に折れると外桜田門にいたるのだが、水戸浪士の襲撃はその直前、杵築藩邸前、有楽町線桜田門駅辺りが現場だったようだ。地図を片手に、主人公・たかはここで籠から引き出される井伊直弼の血塗られた体を目撃し、絶叫したのかと思いやる。 ...続きを見る

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2007/03/12 23:35
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。 「小説好きの諸君!たまには直球の企業小説、読んでみてくれ」とキャッチコピーにつられた。小説好きは企業小説を読まないものとこのコピーライターは考えているのだろう。なるほど気がつかなかったけれど小説好きだがあまり企業小説は読まない僕のような人は大勢いるんだな。 企業小説と言えば私のイメージは大銀行の内幕暴露ものなんです。いかにもノンフィクション風で実在の人物を臭わせるものだから、その人物を推量しながらこれも実際の出来事に思い巡らせ、いいかげんなことを描いているナァと不愉快になってしまうことが多 ...続きを見る

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2007/02/14 13:46
『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』 現代的センスが光る100の怪奇譚
『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』 現代的センスが光る100の怪奇譚 てのひら怪談posted with 簡単リンクくん at 2007. 2. 7加門 七海編 / 奉 徹三編 / 東 雅夫編ポプラ社 (2007.2)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ネット書店・ビーケーワンでは2003年夏から毎年インターネット上で怪談を募集し、優秀作品を授賞している。昨年で4回になった。わたしは毎回欠かさず応募しているからルールはよくわかっているが、「怪談」というテーマ枠に800字で起承転結を綴るとなるとかなり手ごわい文芸競技である。本書は ...続きを見る

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2007/02/07 22:28
司馬遼太郎 『空海の風景』 空海とはなんだったのだろう。空海の風景からその実体に迫る。
司馬遼太郎 『空海の風景』 空海とはなんだったのだろう。空海の風景からその実体に迫る。 5年ほど前のことだ。すでに経験のある友人に誘われて秩父三十四ヶ所の霊場巡礼をしたことがある。延5日の行程であったが未知の経験だけに忘れられないいろいろな印象があった。白装束を着衣したかなり本格的な詣だった。 秩父花巡礼の記録 空海に関連することでは菅笠に「同行二人」と書かれているのだがそれが「弘法大師とともに」をさすことなどそのときはわからなかった。ひとつひとつの霊場で般若心経を誦する。般若心経の解説を読めば形而上的な宇宙観・世界観の思考体形の一部、勘どころを繰り返し述べた大衆向けの ...続きを見る

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2007/02/04 17:44
カルロス・ルイス・サフォン 『風の影』 繊細、流麗な文体で完成されたミステリーロマンの傑作。
カルロス・ルイス・サフォン 『風の影』 繊細、流麗な文体で完成されたミステリーロマンの傑作。 バルセロナ。ローマ時代より幾多の栄枯盛衰を繰り返したスペイン随一の工業・商業都市。19世紀末の経済、文化の隆盛、精神の昂揚、それはスペイン内戦(1936〜1939年)にあってつかの間の光芒に過ぎなかったのか。1945年、バルセロナは内戦の深い傷跡がそのままに人々は暗い影の中に息を潜めている。 ...続きを見る

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2007/01/22 21:09
『てのひらの怪談ービーケーワン怪談大賞傑作選』という本が2月に刊行される。
ありがたいことに私の作品を二編取り上げていただくことになった。 これに先駆けてビーケーワンのホームページからアクセスできるコーナー「週刊てのひらの怪談」で新作を募集するお話をいただいて、また作品を送ったらここでも取り上げていただいた。 よっちゃんを名乗っていたがもう少しマシなペンネームをといわれ江崎来人と改めた。 ...続きを見る

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2007/01/10 13:13
川端康成 『雪国』 十一面観音の印象と「雪国」
川端康成 『雪国』 十一面観音の印象と「雪国」 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 中学だっただろうかいや高校だったろう、おそらく国語の試験問題かあるいはクイズかもしれないのだが、冒頭がこの文章で始まる作品名は?とかこの作者は?あるいはこの長いトンネルとはどこのトンネルでしょう?またはここでいう雪国とはどこを指しますか?などこの一節だけでいくつもの問いがあったものだ。なかには「国境」に振り仮名をつけよという作者本人がルビを振っていないのだけど偉そうにする質問もあった。池部良と岸恵子が主演した豊田四郎監督作品を見たようなおぼろ ...続きを見る

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2007/01/04 23:29
ジェイムズ・カルロス・ブレイク 『荒ぶる血』 深みと広がりを持ったビカレスクロマンの傑作
原題は「Under The Skin」。血筋、血縁、血脈、血統、皮膚の色、人種、そして血みどろの暴力。久々に無頼のヤカラたちの暴力を描いてしかも深みと広がりを持ったビカレスクロマンの傑作にお目にかかった。 ...続きを見る

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2006/12/24 17:26
リチャード・マシスン 『奇術師の密室』 老大家の手になる意欲的実験的ミステリー
トリック重視のミステリー作家はどうすれば常識人をギョッとさせるかともっぱら腐心するのでしょう。奇術師と大いに似ています。ミステリーにはこの類似性を直接作品に同化させ、マジシャンを主役にした作品がいくつもあります。近年のヒット作では泡坂妻夫『奇術探偵 曾我佳城全集』、ジェフリー・ディーヴァー『魔術師(イリュージョニスト)』などが記憶に新しいところです。前者が探偵役として奇術師を据え、後者では犯人が魔術師でした。そしてその華麗なテクニックが作品の価値を高める役割を果たしています。ただしマジックは ...続きを見る

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2006/12/18 23:59
アダム・ファウアー 『数学的にありえない』 どこかで読んだことがあるようなSFタイプのマンハント
ある日突然機密研究所内のすべての物質が透明になってしまった。その中に居合わせたただ一人の男もまた透明人間になってしまう。上層階に残され中空に浮いている見えない自分に彼は茫然自失する。軍事的には核兵器開発を上回るこの生きた資料を国家機密機関が総力を挙げて追う。透明人間は逃げる。とこれはSF的、ノンストップ・マンハント・アクションの代表作といえるH・F・セイント『透明人間の告白』だった。『数学的にはありえない』を読み始めて、すぐに数年前のこの傑作に思い至った。 破滅寸前の天才数学者ケイン。彼を ...続きを見る

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2006/12/16 12:40
夏樹静子 『見えない貌』 ベテランのミステリー作家が描いた親子の絆
夏樹静子さん、1938年生まれというからわたしよりも6歳先輩だった。そう気がつけば初期の作品『蒸発』を傑作だなと感じたことや『Wの悲劇』なども懐かしく思い出される。その後二時間ものテレビミステリーでしかお目にかからなくなったが、久々に5年前の『量刑』ではベテランの新境地ここにありと再び輝きを取り戻していた。 ...続きを見る

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2006/12/12 22:59
浅田次郎 『蒼穹の昴』  目下刊行中の 『中原の虹』を読む前に再読しておく価値はあった。
この続編だと思われる『中原の虹』を読む前に再読しておく価値はあった。浅田次郎初期の大傑作。 ...続きを見る

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2006/12/02 18:33
北方謙三『水滸伝』文庫本化されました。
時は北宋の末期、最後の皇帝徽宗治下。政治のことは宰相の蔡京にまかせて,日夜遊興にふけり,書画骨董の収集に熱中し,豪壮な宮殿,庭園,道観等を造営したりして,莫大な金銭を使った。その穴埋めのために,蔡京はあらゆる手段を用いて誅求を行い,人民を苦しめたので,浙江の方臘(ほうろう),山東の宋江はじめ各地で反乱が勃発し,政府はその鎮圧に手をやいた。この史実を背景に108人もの英雄・豪傑が腐敗した国家転覆のために勇壮無比の戦いを挑みやがて破れていく大長編口語小説がいわゆる水滸伝である。施耐庵と羅貫中によって ...続きを見る

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2006/11/27 07:58
貝塚茂樹 『韓非』 歴史大ロマンを読む心地で
数人の仲間と『韓非子』を読んでいる。中国文学の権威・村松暎先生と雑談を交わしながら全編を通読するのではなく、先生が用意された解釈なしの原文テキストで「孤憤」「説難」「和氏」「姦劫弑臣」「五蠹」までを読んだ。五十五篇の大著のなかからどうしてこの篇をとりあげ、この順序で読むのかわからないままに先生の洒脱な語りぶりとおとぼけにすっかりのめりこんでいた。これらは韓非子の自著であり、韓非子思想の枢要をなすものなのだろう。 ...続きを見る

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2006/11/23 10:03
薬丸岳 『闇の底』 とてつもなくショッキングなラストにあっけにとられた。
このところ悲惨な事件が連続している。小中学生のイジメによる自殺、肉親による幼児虐待と殺傷。幼い命の非常事態宣言であろう。これという対応措置がないままに狂気だけが蔓延しつつあるようで不安と焦燥感が日本全体を覆っている。そして『闇の底』で薬丸岳はこの暗澹の世相を背景に強烈な反則パンチを繰り出した。 ...続きを見る

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2006/11/15 10:52
11月の読書
塚本青史『始皇帝』を読み終えましたので関連する韓非子の研究書貝塚茂樹『韓非』をじっくり読みます。 韓非posted with 簡単リンクくん at 2006.11.10貝塚 茂樹〔著〕講談社 (2003.4)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ...続きを見る

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2006/11/10 12:48
映画『父親たちの星条旗』を観る
我が家の近く、浦和所沢街道沿いにシネマコンプレックスがあったとは驚きで、早速出かけてみた。設備は最新だし、ここも平日はがら空きで申し分のない環境だった。10:25からの開演と早朝だったせいか観客数20人足らずでは経営が安定的に成り立つのだろうか。それはともかく、私としては今後映画館選びの最優先の劇場としたい。 ...続きを見る

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2006/11/08 19:02
「江戸文化歴史検定」を受験しみた。
今日青山学院でこの検定試験が行われた。 ...続きを見る

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2006/11/03 16:27
塚本青史 『始皇帝』 偉大な歴史の変革者、その末路はあわれ
暴君、そして英傑! 血筋という運命、乱世に飛び交う謀略、三度の暗殺未遂を乗り越え中華を制したファースト・エンペラーの生涯を描ききる、畢生の書き下ろし! 始皇帝といえば歴史的には焚書坑儒に代表される非道の王として扱われてきた。しかし暴君であって英傑だったからこそこれだけの偉業をはたせたのだろう。 趙で人質となっていた秦の公子・子楚の子として生まれた政(前259)が、わずか13歳で即位し(前246)、列国を滅ぼして中華を統一、始皇帝を名乗り(前221)、権力をほしいままに、最後は悩乱して死す ...続きを見る

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2006/11/02 15:37
上海蟹を食す。
上海蟹の旬は11月だそうだ。11月にはオスの味が芳醇になるのだという。娘が言い出したことだがオヤジの退任慰労をやっていなかったとか結婚記念日にお祝いを忘れたとかでこの際家族で会食をしようと。ならば娘たちがご馳走をしてくれるのかとホクホクして臨んだのだがその考えは甘かったようだ。 本音は自分たちが食べたことのない上等の上海蟹を他人の懐をあてに試しておこうと、そんなわけだった。 ...続きを見る

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2006/10/30 10:45
皆川博子 『伯林蝋人形館』 皆川博子の得意とする幻想的世界である。
エロチックでグロテスクな狂気を耽美的に描く皆川博子の得意とする幻想的世界である。 狂乱へとむかう1920年代のドイツを舞台に6人の男女が織りなす運命の輪舞 「彼らの人生は、さまざまな場所、時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく……… ドイツの歴史をまるで知らない私はバラバラにある6つの物語を時間の流れに沿って組み替えしないとおさまりがつかなかった。 1914年に始まった第一次世界大戦、フランスとの主要戦場のひとつであった1916年のヴェルダンの戦いには生粋のドイツ人とユダヤ系ドイ ...続きを見る

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2006/10/23 15:12
NHKドラマ 桐野夏生原作『魂萌え!』が面白い。
三回連続の第一回目をみた。原作がまことに楽しかった。あの桐野夏生が変身した。とにかく我々と同年代の夫婦のお話であり実に等身大の現実が書かれていたからだ。 テレビの脚本もほぼ原作に沿っているような気がする。 主人公の敏子、高畑淳子が演じて小説のイメージがぴったりのはまり役だ。 気になったのはその夫の浮気相手蕎麦屋のオバサンである昭子だが高橋恵子はあまりにも美しく性的魅力もあって原作の所帯じみた社員食堂の栄養士のイメージとはかけ離れている。あれでは明らかに敏子が負けているからかわいそう ...続きを見る

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2006/10/22 19:14
養老孟司先生の講演を聴く
10月16日、元勤務先のOB会が開催した養老孟司先生の講演会に出席した。先生の著書はだいぶ前に『バカの壁』を読んだことがある。そのときの印象は支離滅裂でなにを言っているのかまるでわからないことだけであって、よくこの著書がベストセラーになったものだと首をかしげた。 人間の脳の働きで他の動物と際立っているのは五感でインプットされた千差万別の情報を類似性でまとめるところにあるようだ。概念をつくるということだろう。そこで言葉が生まれるのだが、これが他の動物にはできないのだそうだ。 赤いリンゴ、青いリ ...続きを見る

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2006/10/20 18:03
佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』 アメリカを茶化しきった傑作の風刺小説
南西部諸州は「アメリカ連合国」として独立し「アメリカ合衆国」との戦闘を開始した。「連合国」の空爆により「合衆国」の都市は破壊され、「連合国」の軍事的優勢のままに目下停戦状態にある。国連本部が移転した常任理事国・日本が政治力を発揮するにはまずもってこのアメリカの現状、内戦の背景と本質を正確に把握する必要がある。2016年、かくして愛すべきレポーター森山サトル君は瓦礫と化したロスアンゼルス空港に降り立ったのである。 ...続きを見る

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2006/10/19 01:40
10月の読書
井上尚登の『北京詐劇』を読んだからではないがその延長で面白そうな中国ものを読もうと思います。 ...続きを見る

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2006/10/09 16:09
井上尚登 『T.R.Y. 北京詐劇 ペキン・コンフィデンシャル』久々の大型コンゲームロマン
装丁帯にこうある。 天才詐欺師、伊沢修が帰ってきた!総統に、皇帝の座を。詐欺師には、財宝を! 甲骨文字に隠された謎、壮大な宴席。華麗なる駆け引きが、中国の未来を変える! 時は、1916年。稀代の詐欺師VS中国最高権力者  詐欺師、武器は宮廷料理。ねらいは財宝。「遺跡をひとつ掘らせていただけませんでしょうか?」 袁世凱、野望は、皇帝即位。弱点は美味に目のないこと。 1999年に刊行された井上尚登のデビュー作『T.R.Y.』は実に印象的な作品でした。 題名からすると想像できなかった ...続きを見る

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2006/10/06 12:30
志木市立柳瀬川図書館をたずねる。
自転車で5分、柳瀬川駅の志木駅よりのガードをくぐるとマロニエ通りに通じる。道路沿いの右手に柳瀬川図書館がある。前にいった遊学図書館よりも広々として、書庫も豊富である。AV設備やインターネット使用など設備も新しいものを取り入れてある。読書机は大きく数も多い。 マロニエ通りと名づけられているが、並木は栃の木とケヤキが道の両側に枝葉を広げている。 「前にある並木はなんですか」と職員に尋ねると、絵本を持ってきてくれた。 「この絵本にある栃の木なんですよ。マロニエとは違うのかもしれませんが同じ系 ...続きを見る

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2006/10/03 18:15
早瀬乱 『三年坂 火の夢』 首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら?
首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら。と首を傾げつつも本当らしさに魅了されます。 ...続きを見る

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2006/10/01 23:56
三つの「風神雷神図屏風」が出光美術館に集まった。
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一。「風神雷神図屏風」、屏風絵はあまりにも知られているためイメージすることはできたが三つもあるとは知らなかった。 琳派の三巨匠の作品が一堂に展示されるのは66年ぶりなのだそうだ。 ...続きを見る

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2006/09/30 10:10
創作怪談 第六話 『ムグッチョの唄』
ムグッチョの唄 ...続きを見る

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2006/09/24 18:33
荒山徹 『処刑御使』  あまりにも映像的な妖術合戦にいささか辟易しました。
この挿絵、怖いですね。まるで、最近の日本製ホラー映画に出てくる化け物のようです。 装丁帯にこうある。 その密使は、時空を超えてやってきた。朝鮮を侵略した仇敵を抹殺するために………。 伊藤博文、絶体絶命! 韓流も嫌韓流も唸らせる、壮大無比な伝奇時代小説、ここに誕生。 「おれは長州藩の伊藤俊輔だ。足軽以下の小者で、閣下なんて呼ばれる身分じゃない」 「今はそうでも」女は畏まった口調で答えた。 「閣下はいずれ、大日本帝国の初代内閣総理大臣――宰相におなりあそばします。わたしは、閣下が総 ...続きを見る

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2006/09/23 10:52
映画「X−MEN:ファイナル・デシジョン」を見る。
西武池袋線豊島園に「ユナイテッドシネマ豊島園」というシネマコンプレックスがあると桜台在住の歯医者さんから聞いていた。清潔感があり、十分な大画面と音響効果、なにしろ平日は空いているのが魅力だと。シネマコンプレックスなるものはいまは閉店した志木の駅前ビルにあったもののイメージしかなく、それはそれはちっぽけな映画館でしたので東京のロードショウ映画館と同じ料金はとても払う気がしないお粗末な設備でした。 歯医者さんの言ったとおり、私にはこんな都心から離れた場所にしては立派な建物、設備だと思いました。上映 ...続きを見る

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2006/09/20 17:55
続.9月の読書 昨日買った新刊本のキャッチコピー
今月中に読めるとは思っていませんが、面白そうな新刊本を買いました。 ...続きを見る

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2006/09/19 05:40
新書斎完成 室内無線ランの設定は難しかったですね。
寝室の片隅にパソコン作業場を移転しようとしました。 光ケーブルの最終接続ターミナルが移動できませんから、無線ランのセットを買い込んだのです。販売店では誰でも設定できそうな説明でしたが、素人にはかなり難しかったですね。 説明書どおりにはいきません。 販売店に電話して接続サービスを受けようとしたところ、数日待たされて2万円以上かかると説明され腹立たしくなりました。 メーカーでもそのサービスがあり、1万円以内と説明書に書いてあります。説明書に書いてあるということはかなり難しいことを前提 ...続きを見る

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2006/09/17 18:00
宮部みゆき 『名もなき毒』  もどかしさは残るが本来の宮部みゆき復活の予感
犬を連れ、散歩途中の老人がコンビニで買ったウーロン茶を飲んで悶絶死した。首都圏で発生していた無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。今田コンツェルンの社内報を編集する杉田三郎はこの犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから事件に巻き込まれる。いっぽう杉田の職場ではアルバイトをしていた26歳の娘をミスが多発するためにクビにしたことから、彼女の執拗、病的なクレームに編集局一同が振り回されている。彼女の異常な嫌がらせはやがて禍々しさが加わり杉田の家庭にまで入り込んでくる。 杉田三郎は女子高生のお ...続きを見る

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2006/09/16 19:14
江戸文化歴史検定協会・編  『大江戸見聞録』 そりゃぁ 冗談だろう!と笑い飛ばすかこの企画
「江戸文化歴史検定」という検定制度があるのだそうだ。資格を取って金になるものならそのための指導システムも作られようが、あきらかに金にならない資格を作ってそれで稼ごうというのだから魂消た根性である。 江戸文化歴史の知識をどのくらい所持しているかをテストして3級2級1級とランク付ける。テレビのクイズ番組ではないから最高位をとったところで賞品がでるわけではない。それどころか受験料をおさめることになる。安くはない。2級が5250円、3級が4200円だ。とはいえ、江戸雑学の全国競技大会のようなも ...続きを見る

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2006/09/15 00:07
獅子文六 『箱根山』の現場
9月9日、10日、親しい仲間ら6人で強羅から登山鉄道で少し上ったところ、中強羅の保養所で一泊する温泉旅行を楽しんだ。普段、箱根近辺でゴルフをすることがあっても、車で往来するため、新宿から小田急で強羅まで電車、強羅よりケーブルカーの経験は初めてのことだった。 ...続きを見る

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2006/09/13 17:27
今月の読書
さてなにを読もうか。 ...続きを見る

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2006/09/09 01:08
伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』  夫婦とはどういうものか教えてくれる芥川賞
最近の芥川賞は軽くなったと誰かが言っていた。 「軽い」との一言には重みがあるのかもしれないなと受けとめたのだが、前回の受賞作『沖で待つ』に私が好感をもったのとおなじで、この「軽い」受賞作にあるごく平凡な最近の風俗性や日常性のわかりやすさが、芥川賞にふさわしいかどうかは別として、楽しく読める作品となっている。 ...続きを見る

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2006/09/07 17:27
「ザマイカー」この雑誌はこういう使い方をするのか。
車を買い替えようかと思った。日産のプリメーラを9万2千キロ乗って、瑕だらけになっている。まだ会社勤めのころにつき合った職場に近い東京にあるディーラーから20年以上も買い換えていた。今回は自宅近辺のディーラにしようかと考えた。家内に言わせればはるか遠くにいてメンテには無関心のディーラーよりは近場のディーラーのほうが後々便利だとのこと。もっともだ。 私は買い物が下手だから、値段交渉をするにしてもコツがわからない。家内の方がうわてだ。 娘のボーイフレンドで車にはやたら詳しい青年がいる。家内 ...続きを見る

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2006/09/04 17:43
文芸春秋 九月特別号 はお得な買い物です。
芥川賞発表受賞作全文掲載とまぁ発表後にはいつものことなのだが、単行本が発刊されその広告で値段を見れば、絶対に安い買い物でしょうね。 ...続きを見る

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2006/08/31 23:56
吉村昭氏の死と長英の死 二つの死の容に思うこと
7月31日に他界された吉村昭さんの死の直前の模様が報道された。点滴の管と静脈に埋め込まれたカテーテルポートを自ら引き抜いた覚悟の死だった。病床に伏したときから延命治療を拒否していた。病院から自宅に戻っていたのだそうだ。 夫人の津村節子さんは 「家にいたからこそ、自分の死を決することができてよかったと思う」 と述懐しておられた。 ...続きを見る

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2006/08/29 20:27
吉村昭 『長英逃亡』 氏の逝去に哀悼の意を表しつつ
日立デジタル平凡社 世界大百科事典 高野長英 1804‐50(文化1‐嘉永3) 幕末の蘭学者。名は譲、のち長英、号は瑞皐(ずいこう)。陸奥水沢の生れ。幼いころ父と死別し、母方の叔父高野玄斎の養子となる。1820年(文政3)江戸に出て蘭医吉田長淑に学び、25年にシーボルトをしたって長崎に留学。シーボルト事件が起こるといち早く姿をくらまし,30年(天保1)江戸に戻って鵬町貝坂で開業、かたわら生理学の研究に従事し,32年に《西説医原枢要》6巻を著した。この年渡辺崋山を知り,蘭書を翻訳して崋山 ...続きを見る

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2006/08/27 20:56
映画 『花田少年史』を観た。
お父さん、なんでこんな映画、見に行ったの。あれは漫画や動画ではじめてイキイキしているのだと思うんだけど。実写映像なんて考えられないわ。 と娘ににらまれた。 ...続きを見る

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2006/08/27 09:04
直木賞作家、坂東眞砂子のちょっとしたスキャンダル
坂東眞砂子の作品を初めて読んだのは『狗神』だった。日本に古くから伝わる憑物伝承を正確に消化し現代の農村に甦らせたホラー小説の傑作だった。その後『死国』と『山妣』を読んでいる。『山妣』は直木賞を受賞した、大自然の凄愴の美と人間界の極彩色の地獄図を描いた記憶に残る作品だった。 ...続きを見る

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2006/08/26 00:19
図書館利用初体験
図書館を利用したことがなかった。小中学、高校の学校図書館には読みたい本などまるでなかったからだ。おそらく大学の図書館だってそうだったろう。まして公立の図書館には縁がなかった。借りて読むよりも買って読む性質でもある。もっとも貸し本屋には入り浸りのときもあった。 ...続きを見る

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2006/08/24 20:26
胸部肋骨骨折のこと
8月17日のことだ。甲府から車で30分の甲斐芙蓉CCに午後の2時に到着。雨が上がったようなのでハーフプレイを始めた。ところが途中から豪雨に変わり雷もドロドロと気味悪くなって中断した。6時半ごろから飲み始めさて部屋に戻ったのは何時になっていたのだろうか。ズボンを脱いだ拍子に。いやそこの記憶がないのだが、とにかく左胸部に強烈な痛みがあった。息が出来なくなって床にうずくまってうめいた。どうやらベッドの端にぶつけたようだ。はいずるようにして隣室の同宿の知人のもとへ行ってそのベッドでしばらく休ませ ...続きを見る

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2006/08/21 07:43
創作怪談 第4回BK1怪談大賞のこと
ネット本屋のBK1さんとの付き合いは長い。ここは読者の書評のページがどのネット本屋より充実していて、本を買うときの参考にする価値があるし、自分でも投稿するのが実に楽しいからだ。毎年のことだがここで広く怪談を募集し、私も毎年参加している。 ...続きを見る

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2006/08/19 18:39
鏑木蓮 『東京ダモイ』 この夏一番の傑作、江戸川乱歩賞受賞の文芸ミステリー
小泉総理にとって最後の夏、公約を実行して本日8月15日に靖国参拝の美学を貫いた。最近、素朴な反戦平和論は風化しつつあるかに見えたが、むしろこの騒動があったからか今年の夏は例年よりも戦争責任を改めて考えようとする報道の特集が増えたような気がしている。われわれにとっては別に最後の夏ではないのだから、素朴な平和希求の心を愚直に語り続けることは忘れてはならないことだと思う。 ...続きを見る

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2006/08/15 23:09
やはり8月と言う月には戦争をテーマにした作品を読むのか。
吉村昭『破獄』を読みながらそんなことを感じていました。 ...続きを見る

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2006/08/12 23:52
土蜘蛛無残5 茨城のむかしむかし大昔22
当麻(たぎま)の郷 行方郡の郡庁地より東北15里ほどに当麻の郷に伝わる佐伯のこと 倭武天皇が巡幸の際、鳥日子という佐伯が命令に逆らった。このためにたちまちこれを殺された。車駕の通る道が狭くて凸凹した悪路だったためにこの地を当麻といっている。土地の人は悪路のことを「たぎたぎし」というからである。この地は土地はやせているが紫草が生えている。また、香取と香島の二つの神の子神の社がある。その周囲の山野にはイチイ、ハハソ、クリ、クヌギの林があり、イノシシ、サル、オオカミがたくさん棲んでいる。 ...続きを見る

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2006/08/11 12:09
吉村昭 『破獄』 去る7月31日、吉村昭さんが他界された。79歳であった。
日本の夏は死者を追憶する季節でもある。そして戦争の悲惨を語る季節でもある。 ...続きを見る

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2006/08/08 07:20
吉村昭 『破獄』のモデルは?
この小説を読んでいて主人公佐久間清太郎の叙述があまりにも真に迫っているからモデルがいてもおかしくないのだが、五寸釘の寅吉ではないことがわかったので吉村氏の創造かと思い始めていました。 ところがそうではなくやはりモデルがいることがわかりました。 ...続きを見る

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2006/08/07 12:08
去る、7月31日、作家・吉村昭さんが他界された。ご冥福をお祈りします。網走刑務所のこと
朝日新聞 戦艦武蔵」など綿密な取材に基づく記録文学から、「天狗(てんぐ)争乱」などの歴史小説まで幅広い作風で親しまれた作家の吉村昭(よしむら・あきら)さんが31日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。79歳だった。葬儀は親族のみで行い、後日「お別れの会」を開く予定。 私は氏の作品は『敵討』しか読んだことがなかった。 吉村昭『敵討』はこの武士道の悲惨と空虚をドキュメンタリー風に、感情をいれず淡々と叙述することでむしろ読後の感銘を深くさせている。 この著書には「敵討」「最後の仇討」の中篇 ...続きを見る

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2006/08/07 09:50
第13回松本清張受賞作 広川純 『一応の推定』 おそろしく地味なストーリーだが感動がじわりと
著者の広川氏は保険調査会社勤務の経験がある。60歳、作家デビューとしては高齢のほうだろう。実務経験を活かした実に渋いミステリーで、味わいは深い。第13回松本清張賞受賞作だが、第12回の城野隆『一枚摺屋』と同様、清張の名にふさわしい作品だと思った。 ...続きを見る

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2006/08/02 19:16
映画 『日本沈没』 大掛かりなパニック映画として楽しめる。
会社勤めを終えて時間をもてあますことになるのはいま少し先になるのかもしれない。毎日、飲み会や、ゴルフやマージャンで家にじっとしていることにはなっていないからだ。妻と一緒に映画を観る。久しぶりのことである。 有楽座。日比谷映画とかここは昔はよく出向いた映画館だからと有楽町の地下鉄を降りて歩いてみたのだが風景が変わってなかなか見つからなかった。 えっつ マリオンの前だったのかと。移転したのでしょうと妻が言う。そう思う。切符売り場のオネエチャンに移転したのですかと訊ねると、前からここですと答え ...続きを見る

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2006/07/31 08:00
苫小牧カントリー倶楽部ブルックスコース
北海道ツアーの最終日 7月21日 ...続きを見る

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2006/07/30 18:05
鮫島淳一郎 『北海道の樹木』
北海道の魅力は雄大な自然景観にある。私は北海道へ赴任するまで森林は針葉樹林でなりたっているのかと誤解していた。寒冷地はそうなのだと思い込んでいたからだ。ところがそうではなかった。本州の山は圧倒的に杉だが北海道は広葉樹林に覆われていると言ってよい。そのため紅葉の時期には本州では経験できない広大な自然の美を眺望することができるのだ。 ゴルフ場にある樹木の名前だけでも覚えたいと思ってこの本を買った。そのときはかなり覚えたつもりが今度きてみてほとんど忘れてしまっていた。 苔の洞門の管理人と話しこ ...続きを見る

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2006/07/29 23:51
加藤廣 『秀吉の枷』 成り上がりものの悲哀
加藤廣氏は2005年『信長の棺』でデビュー、75歳と言う高齢のベストセラー作家の誕生に驚いた。『信長の棺』は小泉首相の愛読書だと喧伝が先行していた作品だった。小泉さんの愛読となればそれなりに成功した政治家の特別の関心事でも書いてあるのだろうと、好みの小説だとは思えずまだ読んでいない。 ...続きを見る

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2006/07/28 08:44
7月20日 札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース
9月になると全日空オープン。ホテルからタクシーで20分、広葉樹林にすっぽりと包まれたいかにも北海道らしい自然の豊かさを満喫できるコースです。札幌勤務の頃はメンバーになっていてかなりの経験があったはずだが、それほどゴルフには夢中になれなかった方だから、レイアウトもほとんど記憶にない。 曇り。このところ雨が多かったとかでバンカーは固まっていて難儀しました。グリーンは速かった。ラフはきつかった。つまり難しかったということで、昨晩の飲みすぎのせいではない。100を切ることはできませんでした。 ...続きを見る

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2006/07/27 07:09
今朝の朝日新聞 金大中事件の真相に関して 梁石日『死は炎のごとく』
朝日新聞報道の抜粋 73年8月に東京で起きた金大中(キム・デジュン)氏(後に大統領)拉致事件について、韓国政府の真実究明委員会は、当時の情報機関・中央情報部(KCIA)による組織ぐるみの犯行と断定する報告書をまとめた。近くKCIAの後身の国家情報院が公表する。韓国歴代政権は一貫して事件への関与を否定してきており、政府として認めるのは初めて。報告書は当時の李厚洛(イ・フラク)KCIA部長が直接犯行を指示し、二十数人が役割を分担したことを確認。焦点とされた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領自身の指 ...続きを見る

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2006/07/26 08:41
札幌の町が変わった。
10年もたつのだから当然のことだけど、とくにJR札幌駅付近の開発が進んでここは全く変貌していました。拓銀、丸井今井が破綻して、大通りの商店街の殷賑もピークを打ったのだろう。札幌駅にはデパートでは大丸、家電の大型販売店が軒並み大繁盛のようでした。 「遊ぜん」南1条西5丁目郵船会館ビルB1Fにて宴会 女性二人と元運転手、われわれ三人。たらふく飲み食いして3万円だから安い! 思いがけない毛ガニにうれしくなった。 ホッケの開き、イカの塩辛、それに姫ダラと予定のものをたっぷり堪能する。 ...続きを見る

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2006/07/24 14:57
北海道のうまいもの 北海道の読書といえば
平成6年から8年を札幌で過ごした。10年振りである。 ...続きを見る

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2006/07/24 00:16
北海道でゴルフ
7月19日 ANA羽田発11:00にて札幌へむかう。 半年前から計画していたゴルフツアーだ。志木駅から羽田までバスが出ていることを教えてくれたのは家内だった。首都高のあの混雑を知っているものとしては正確に運行できるはずはないとそれでも余裕をたっぷりにして乗り込んだところ、私の知らなかった高速道路のルートを複雑に選んで、1時間50分、予定より10分ほど時間がかかったが、到着したのには驚いた。 仲間は札幌支店に勤務していたもの、立花君と高橋君。高橋君は仕事の関係で夕刻の便になる。 持参して ...続きを見る

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2006/07/23 09:16
小松左京+谷甲州 『日本沈没 第二部』2 私の期待が大きすぎたのかもしれない。
「異変」から25年が経過した。かつて日本国家の存在した海域は領土の帰属、資源開発問題など複雑な国際問題を封印する形で不可侵の「制限海域」とされている。本格的調査は実施されていない。海図の整備もなし。観測衛星では大雑把な地形程度しかわからない。そして日本政府はここで中国らしき国による利権確保のための軍事的行動が開始されていることを視認する。 と緊張した物語のスタートである。 ...続きを見る

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2006/07/16 16:36
小松左京+谷甲州 『日本沈没 第二部』  長かった33年を経て期待の続編のできばえはいかに?
映画『日本沈没』がまもなく封切られる。目下、日経「私の履歴書」は小松左京氏である。このタイミングで待ちくたびれて忘れかけていた『日本沈没』の第二部がついに発表された。 ...続きを見る

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2006/07/09 16:15
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>2  なるほどこれは危険な作品だ
スタヴローギンを「神になりたかった男」と指摘した亀山郁夫氏は神についてかなり個性的なイメージをお持ちのようだ。しかし、信仰を持たない私にはとてもわかりやすい共感できるイメージです。 ...続きを見る

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2006/07/08 16:20
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>目からうろこの『悪霊』解説
タイトルに「神になりたかった男」とありますが、日本の歴史上の人物で言えば、魔王と恐れられた革命児織田信長をイメージしてしまいます。最近流行の解釈ですよね。信長の野心は天皇の地位の簒奪にあったとか、神の国を造り自らが神としてその国の王たらんとしたなど。この場合の「神」は俗世界を政治機構の頂点で支配する神様のような超絶の専制者として使われているのです。 ところが『悪霊』の主人公、悪魔的超人スタヴローギンですが、俗世界の専制者になろうとする野心を持っていたかといえばまるでそんなことはない。ピ ...続きを見る

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2006/07/07 11:15
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦21 スタヴローギンの悪魔性2
「広島 女児殺害事件 4日判決」 今朝のNHKニュースより この事件は、去年11月、広島市安芸区で、下校中だった小学1年生の木下あいりさん(当時7歳)が殺害されたもので、近くに住んでいたペルー人のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(34)が殺人や強制わいせつ致死など4つの罪に問われています。裁判で、検察側は「犯行には幼女への異常な性癖が表れ、罪を軽くするためのうそを重ねるなど、反省の態度もなく、極刑で臨むべきだ」として、死刑を求刑しています。これに対し、弁護側は「女の子を殺すつもりは ...続きを見る

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2006/07/04 09:30
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦20 スタヴローギンの悪魔性
『悪霊』を一通り読んで、それも三度か四度にはなっただろうが、最近になってどうも読み方に手落ちがあったことに気づかされたのです。 ...続きを見る

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2006/07/03 09:23
ローリー・リン・ドラモンド 『あなたに不利な証拠として』この不条理に耐えられるか。
著者は警察官の経験があると訳者あとがきで紹介されているが、これはまさしく警察小説である。ただし、かなり異色だ。五人の女性警察官が一人称で語る短編集だが、事件そのものの不可解性よりも人間性に共通して潜むマイナスベクトルを丹念に時には残酷に切り開いてみせる。そしてそれもまた不可解のままに放置される。 ...続きを見る