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山崎豊子 『運命の人 三』 国家権力への怒りか?著者はいったいなにを訴えたかったのだろうか。
山崎豊子 『運命の人 三』  国家権力への怒りか?著者はいったいなにを訴えたかったのだろうか。 この小説に従って裁判の流れを追うと次の通り 1972年 5月 沖縄復帰。 1972年 6月 佐橋総理退陣、田淵内閣誕生 1972年10月 東京地裁、外務省機密漏洩事件初公判 1972年12月 佐橋元首相、ノーベル平和賞候補としてノミネート 1974年 1月 東京地裁一審判決。三木昭子元事務官、懲役6ヶ月執行猶予1年。          弓成記者、無罪          検察側控訴 1974年 2月 三木昭子、「週刊潮流」に告白の手記発表 1974年12月 佐橋元首相ノーベル... ...続きを見る

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2009/07/01 23:48
スティーグ・ラーソン 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』 高福祉国家スウェーデンの闇を告発
スティーグ・ラーソン 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』  高福祉国家スウェーデンの闇を告発 スウェーデンはなじみのない国だ。知らない国は理解しにくいから、そこの小説はあまり読む気にならないのだが、この作品は世界的なベストセラーになっているとの宣伝についつい乗っけられたことによる。 私にあるスウェーデンの断片は映画のイングマール・ベルイマン『処女の泉』、フリーセックス、高福祉国家程度に過ぎない。『処女の泉』は高校生のころだったが、神との対話という深遠なテーマはまったく理解できず、当時としてはショッキングな少女強姦シーンが話題になっていてそこが見たかった。かつてフリーセックスというと... ...続きを見る

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2009/06/23 22:45
山崎豊子 『運命の人 二』 これはモデル小説ではないとおっしゃるが………
山崎豊子 『運命の人 二』 これはモデル小説ではないとおっしゃるが……… 毎朝新聞の弓成亮太は、昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、ある密約が結ばれようとしていることに気づいた。弓成は外務省安西審議官の秘書・三木昭子事務官と「情を通じ」、彼女より極秘電文を入手、この事実を知る。公式にはアメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドルを実は日本政府が肩代わりし秘密裏にアメリカに支払うという密約であった。これが事件の発端で、すでに第一巻で述べられている。 ...続きを見る

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2009/06/10 21:28
山崎豊子 『運命の人 一』 10年ぶりの大作に飛びついた。
山崎豊子 『運命の人 一』  10年ぶりの大作に飛びついた。 山崎豊子の作品はいつごろからか、新刊が出るたびに読むようになっていたから、この作品も内容はまったく知らないまま手に取った。 昭和46年、毎朝新聞政治部、外務省詰キャップ・弓成亮太。今でもそうだろうが新聞社では出世街道をトップで走る役職である。それだけの実績を上げている敏腕記者。昼となく夜となく、ゴルフだ宴席だ。相手の自宅で懇親の酒を酌み交わす。彼の仕事ぶりが綿密に描かれる。個人的に親密になるため、世間から見たら胡散臭いやり方で官僚の上層部へ食い込み、特定の政治家の懐に飛び込み、都合よく情報... ...続きを見る

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2009/06/07 00:15
佐藤賢一 『小説フランス革命V 聖者の戦い』 大政治家の奥の手 「魔法」とはなにか?
佐藤賢一 『小説フランス革命V 聖者の戦い』 大政治家の奥の手 「魔法」とはなにか? 革命の中で宗教はどういう目にあったのだろう。軍事力は実際にはだれの手にあったのだろう。さらに聖職者と軍隊と王権がどのように絡み合っているのか。第一巻、第二巻はそんな疑問が消化不良のままにあったが、私の期待に応えるかのようにこの第三巻で佐藤賢一はちゃんと押さえてくれていた。しかも引き続きドラマティックな語りである。 ...続きを見る

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2009/05/31 18:14
佐藤賢一 『小説フランス革命U バスティーユの陥落』 早くもクライマックスが訪れる第二巻
佐藤賢一 『小説フランス革命U バスティーユの陥落』 早くもクライマックスが訪れる第二巻 民衆の鬱屈したエネルギーは発火点に達し、ついに燃え上がる。それは旧体制打破の革命を牽引する快挙か?革命を封じ込める旧体制に都合のいい口実を与える愚行か。大衆は政治舞台の主役になりうるのか。民意とは? 政治は民意を反映できるのか?現代に通じるこの葛藤の構図を佐藤はミラボーに託して語りかける。 ...続きを見る

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2009/05/27 13:45
佐藤賢一 『小説フランス革命T 革命のライオン』 久々のヨーロッパ歴史ロマンの大作だ。
佐藤賢一 『小説フランス革命T 革命のライオン』 久々のヨーロッパ歴史ロマンの大作だ。 フランス革命を描く全十巻の大作だ。 ...続きを見る

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2009/05/24 16:15
篠田節子 『仮想儀礼』 宗教にある狂気と暴力
篠田節子 『仮想儀礼』 宗教にある狂気と暴力 篠田節子の『弥勒』『ホーラ 死都』は宗教を通じた異文化コンタクトを扱った秀作だった。これは私たちの身近にある宗教をなまなましく描き出した異色作である。 ...続きを見る

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2009/05/19 23:04
テレビドラマ夏樹静子の『量刑』が放映される。
テレビドラマ夏樹静子の『量刑』が放映される。 2001年に読んだ。 来週 ドラマが放映される。 いまの裁判員制度ではない。 ...続きを見る

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2009/05/18 23:39
宮本昌孝 『海王 下』 これはまさしく大衆小説の傑作だ。
宮本昌孝 『海王 下』 これはまさしく大衆小説の傑作だ。 天下一統の大業と世の安寧を目指しながら、謀反に斃れた足利将軍・義輝。その夢を継ぐはずだった信長もまた本能寺に斃れた下巻は光秀、秀吉、家康らが信長の覇業を継ぐべく義輝の遺児・海王を天下争奪戦略の隠し玉にするという破天荒なストーリーだ。歴史の流れから言えば、光秀が滅ぶ山崎の合戦が詳細に語られ、織田・秀吉連合軍と家康軍のいわゆる小牧・長久手の戦いとその終戦処理で終わるのだが、宮本昌孝が広げに広げた大風呂敷の中身はあれやこれやのお楽しみがてんこ盛りだった。 ...続きを見る

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2009/05/10 23:34
宮本昌孝 『海王 上』久しぶりの大型娯楽時代小説の傑作だ
宮本昌孝 『海王 上』久しぶりの大型娯楽時代小説の傑作だ このところテレビのドラマは歴史小説、クイズも歴史、バラエティ番組も歴史秘話と「史実」花盛りであるが………。まずは壮絶バトルを堪能しよう。そして改竄された虚構の歴史を大いに楽しむ余裕のある読者ならば、これは最近とんとお目にかかることがなかった大スケール時代小説の掘り出し物だ。 剣豪将軍として名高き足利第十三代将軍・義輝が松永弾正の奸計に斃れてから十余年後………。ひとりの少年が信長の戦勝に沸く堺の街に姿を現した。少年の名は海王。かつて大武装船団を率いて東シナ海を席巻した倭寇の大頭目・五峰王直を... ...続きを見る

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2009/05/04 17:20
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー下』  リメンバーではないよ。ウェルカムトゥパールハーバー!
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー下』  リメンバーではないよ。ウェルカムトゥパールハーバー! わが国がアメリカの一方的戦略に乗りやすい体質だとはかねがね思うところなんだが、真珠湾もそうだったんですよと言われても、それは素直には受け入れられないなぁ。 三国同盟の結成で無謀な覇権争いに関与した日本。そこに仕掛けられた巨大な罠。激烈な諜報戦の果てに、真珠湾の奈落が待っていた。この作品の骨格は真珠湾奇襲による太平洋戦争勃発は日本側の積極的作戦ではなく、イギリスが仕掛けた罠に日本がまんまと引っかかった結果だとしているところである。「奈落」か。そうか日本は被害者だったんだ? 日本を戦争へと導... ...続きを見る

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2009/04/26 18:28
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー 上』 太平洋戦争勃発前夜の外交秘話として楽しめる。
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー 上』 太平洋戦争勃発前夜の外交秘話として楽しめる。 プロローグはチャーチルの祝杯だ。 「諸君、日本がハワイを奇襲攻撃した。永らく我々が待ち望んだ状況になった。周到に練られたトレチャラスアタックだ。アメリカは間違いなく日本に宣戦を布告する。それは同時にヨーロッパ戦線に参入することを意味する。」 ...続きを見る

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2009/04/19 17:10
連城三紀彦 『造花の蜜』  造花の蜜の妖しい香りとは?
連城三紀彦 『造花の蜜』  造花の蜜の妖しい香りとは? しっとりとしたムードが漂い、しかもトリッキーなひねりの新作ミステリーを読みたいと思っていたところで連城三紀彦の『造花の蜜』が目にとまった。 ...続きを見る

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2009/04/05 22:47
船戸与一 『満州国演義5 灰塵の暦』 佳境にはいる大陸侵略のドラマ
船戸与一 『満州国演義5 灰塵の暦』  佳境にはいる大陸侵略のドラマ 暴走した理想が、地獄の扉を開く中国大陸侵略のドラマも南京虐殺を描いたこの巻でようやく佳境をむかえた感がある。 ...続きを見る

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2009/03/29 23:30
奥泉光 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』  戦争の狂気をシリアスに思索するユーモア文芸
奥泉光 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』  戦争の狂気をシリアスに思索するユーモア文芸 『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』『モーダルな事象』と共通するロンギヌスの石は登場するがこれらが抱腹絶倒の笑いの文学であるのとは異なり、笑いは笑いでも醒めたブラックユーモアである。デフォルメしてあるからブラックユーモアなのだが、戦争のグロテスクな狂気をシリアスに捉えた思索の文学である。 ...続きを見る

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2009/03/21 19:53
フランク・シェッツイング 『深海のYrr(イール)』 人類絶滅の序曲が始まっていた。
フランク・シェッツイング 『深海のYrr(イール)』 人類絶滅の序曲が始まっていた。 人類滅亡をテーマにした本格ハードSFのようである。が、それだけではない。ショッキングなシーンが連続する大規模パニック映像をみるような興奮と楽しさでいっぱいのエンタテインメントであることに間違いはない。そして進化の頂点に立った人類のおごりに対する警鐘であると本気になって受け止めざるを得ないシリアスな思索が底流にある。陳腐な言い方になってしまうのだが断然「面白くてためになる」。すべての階層世代にお勧めしたい傑作の大長編小説だ。 ...続きを見る

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2009/02/24 22:46
久坂部羊 『まず石を投げよ』  あまりにお粗末な内容なのであきれ返る。
久坂部羊 『まず石を投げよ』  あまりにお粗末な内容なのであきれ返る。 それは医療ミスなのか、それともひそかな殺人か。恐るべき実態をあばく。衝撃のミステリーと装丁帯にあった。 ...続きを見る

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2009/02/11 22:51
三浦しをん 『光』 エロスとバイオレンスに新たなメスを入れた実験的小説
三浦しをん 『光』 エロスとバイオレンスに新たなメスを入れた実験的小説 普段、読書とはおよそ縁のないご婦人から 「テレビで三浦しをんが過激な暴力とセックスで長編ミステリーを描いたと紹介されていましたが、読んでみたらいかが」 と無責任な注文を受けた。当人は中学生の異様に色気づいた描写の初めの十数ページが、ひどく現実離れしていて嫌気がさしたそうだ。かつての桐野夏生風、エロスとバイオレンスかな?と興味がひかれた。天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。二十年後過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・... ...続きを見る

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2009/02/07 09:15
佐々木譲 『警官の紋章』 洞爺湖サミットへのテロ?圧倒される迫真の警察l小説
佐々木譲 『警官の紋章』 洞爺湖サミットへのテロ?圧倒される迫真の警察l小説 「警官の紋章」とは「警察の紋章」ではない。警察権力の象徴とか、あるいは組織の統制と団結力を象徴する代紋をさすのではない。市民生活の安全を守るために正義を貫こうとする警官ひとりひとりの志をさしているのだろう。 警察官僚上層エリートの個人的な醜悪さを描く警察小説はよく見かける。エライ人イコールワルイ人と単純な図式だけにわかりやすく、これを叩きのめすたたき上げの警官の痛快な格闘ぶり、楽しく読める娯楽小説だ。 だが本当の悪はそうではないところに存在するのが現実ではないのだろうか。 警察組織には... ...続きを見る

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2009/02/02 16:42
奥田英朗 『オリンピックの身代金』  昭和39年という時代はそう、こんな時代だったんだと懐かしい
奥田英朗 『オリンピックの身代金』   昭和39年という時代はそう、こんな時代だったんだと懐かしい 奥田英朗はずいぶん前に『最悪』と『邪魔』を読んだきりだった。二作とも日常生活におこるクライムノベルだったが、これはクライムノベルとすればはるかにスケールが大きく、面白さも前作を格段にしのいでいる。昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という(<懐かしいではないか>あの草加次郎を名乗... ...続きを見る

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2009/01/24 18:46
諸田玲子 『美女いくさ』 信長の妹・お市の方の末娘 小督の波乱の生涯
諸田玲子 『美女いくさ』  信長の妹・お市の方の末娘 小督の波乱の生涯 幼くして三度の落城に遭遇し、三度の婚姻を強いられた女性・小督(おごう)。織田信長の妹・お市の方が浅井長政との間になした末娘、小督の生涯をたどっている。同時に信長・秀吉・家康が天下取りのため必要であった政略結婚の系譜を俯瞰している。これほど徹底していたのかと驚くことになったのだが、婚姻とは政略以外のなにものでもないことを痛感させられた。そして手駒にさせられた女たちが、それでも、それぞれに生き抜こうとする。この多彩な人間模様が読者を魅了する、出色の時代小説である。 ...続きを見る

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2009/01/12 01:02
トム・ロブ・スミス 『チャイルド44』 あまりのサディスティックな描写に度肝を抜かれる
トム・ロブ・スミス 『チャイルド44』 あまりのサディスティックな描写に度肝を抜かれる 盗聴盗撮装置を張り巡らし国民の私生活を徹底的に管理する未来社会。首相暗殺の犯人にでっち上げられた若者が警察に追われる。絶体絶命。危機一髪、友人の協力で逃れる。甘美な友情賛歌。伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』は思想などとはおよそ無関係、饒舌の若者たちがドタバタする近未来ファンタジーであり、コミカルな香港製アクション映画のようだった。 ...続きを見る

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2009/01/01 00:21
デニス・ルヘイン 『運命の日・下』 ボストンは火の海と化した。すさまじい迫力の暴動描写
デニス・ルヘイン 『運命の日・下』 ボストンは火の海と化した。すさまじい迫力の暴動描写 警察という暴力機構の暴力がどうにかこうにか市民の安全を維持している。この時代のボストンはそれほどいたるところに暴力が横行する町だったんだ。今のアメリカの話ではないのだろう。 NHKホームドラマ「篤姫」ではないが今年は「家族」をテーマにした作品がことのほか多かったような気がしている。この作品もボストン市警警部、トマス・コグリン一家の結束と崩壊をひとつの軸としている。 トマス・コグリンはこの地区の治安維持に貢献し、実力を認められている警察の幹部なのだ。家には市会議員、政治指導者、検事、市警副... ...続きを見る

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2008/12/30 19:37
デニス・ルヘイン 『運命の日・上』  アメリカの宿命をドラマティックに描いた傑作
デニス・ルヘイン 『運命の日・上』  アメリカの宿命をドラマティックに描いた傑作 たぶん、頭が混乱するものを見るとすぐ答えが欲しくなるからじゃないかな。で、答えが目の前にないと、なんだろうとつかみとってそれを答えにしてしまう それが変わらぬアメリカの素顔だ。 ...続きを見る

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2008/12/29 20:19
ジェフリー・ディーヴァー 『スリーピング・ドール』  あの『ウォッチメイカー』、キャサリン・ダンスが
ジェフリー・ディーヴァー 『スリーピング・ドール』  あの『ウォッチメイカー』、キャサリン・ダンスが ジェフリー・ディーヴァーの作品はどれも追いつ追われつのパターンは似ているのだが、それぞれに独自の趣向を凝らしてついつい手を出してみたくなる魅力がある。この最新作もいつもの疾走感と新たな工夫を楽しもうと読み始めた。カルトを率い、8年前に一家を惨殺したその男が、大胆かつ緻密な計画で脱走したカルトのリーダーとは日本であればすぐにあの麻原某を思い浮かべられるし、マインドコントロ−ルという特異な才能というか雰囲気を身につけていることも周知で、この作品の犯罪者・ダニエル・ベルが他人をコントロールする天才... ...続きを見る

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2008/11/30 11:00
雫井脩介 『犯罪小説家』  著者の野心的新ジャンルかと期待できたが………
雫井脩介 『犯罪小説家』  著者の野心的新ジャンルかと期待できたが……… 本を手にするときにたいがいはどこかで得た先入観を持って臨むものだ。その著者の作品を読んだことのある場合はなおさらである。先入観があると作品の本来の価値を誤解しやすい。また、先入観は期待感でもあり、期待はずれという印象を受けることがある。 二、三日前にテレビで映画化された雫井脩介原作の『犯人に告ぐ』を観た。原作はマスメディアの暴力を告発する姿勢がもっと強かったような気がするが、劇場型捜査と銘打って発表されただけのダイナミックな動きと緊迫感の盛り上がりが満喫できる娯楽性の高い第一級のミステリー... ...続きを見る

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2008/11/23 10:52
五十嵐貴久 『誘拐』 あまりのご都合主義にあきれかえる。
五十嵐貴久 『誘拐』 あまりのご都合主義にあきれかえる。 先日テレビで黒澤明の映画『天国と地獄』を観た。1963年の映画館で見た印象は今でも鮮明である。エド・マクベインの『キングの身代金』が原作だといわれるが、新幹線のトイレの窓を使った身代金の受け渡しというアイデアには驚嘆したものだ。スラム街で生きる凶悪のインテリ・山崎努が演じる誘拐犯。スラム街からはるか見上げる高台の豪邸に暮らす製靴会社常務を三船敏郎が演じる。山崎努は三船の息子と誤って彼の運転手の息子を誘拐する。身代金を要求された三船の苦悩するシーンがこの映画をレベルの高い人間ドラマとして完... ...続きを見る

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2008/11/18 23:20
藤沢周平 『密謀』 これはもう一人の直江兼続 『天地人』と読み比べる。
藤沢周平 『密謀』  これはもう一人の直江兼続 『天地人』と読み比べる。 NHKの来年の大河ドラマは直江兼続だが火坂雅志『天地人』と読み比べるのもいいだろう。 謙信以来の精強を誇る東国の雄・上杉で主君景勝を支えるのは、二十代の若さだが知謀の将として聞こえる直江兼続。本書は兼続の慧眼と彼が擁する草(忍びの者)の暗躍を軸に戦国の世の盛衰を活写した興趣尽きない歴史・時代小説である。 来年のNHK大河ドラマの原作になっている火坂雅志 『天地人』を読んだ直後に友人から直江兼続なら藤沢周平も書いていると本著を紹介された。藤沢周平の作品は映画やテレビドラマではよく観ているが... ...続きを見る

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2008/11/11 23:07
葉室麟 『いのちなりけり』 葉隠の恋を描いた大人の純愛時代小説
葉室麟 『いのちなりけり』  葉隠の恋を描いた大人の純愛時代小説 いっとき武士道でもって政治・経営を論ずることがもてはやされた。 全世界の屋台骨が悲鳴を上げているこの事態では、日本的美徳に解決の糸口を求めるような、そんな立論はまったく影も形もなくなった。 この物語は「葉隠」編纂の前史である。 私は「葉隠」については 「武士道とは死ぬことと見つけたり」と 「忍ぶ恋こそ至極の恋」というそれだけしか知らない。 そしてこの異質とも思える二つが見事に融合しているではないか。 「葉隠」でもって現代人にお説教する姿勢などまったくないのがむしろ爽やかであった... ...続きを見る

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2008/11/02 01:29
湊かなえ 『告白』  第一章だけが光る長編ミステリー
湊かなえ 『告白』  第一章だけが光る長編ミステリー 女性教師が担任のクラスの生徒を制裁のために殺しまくるというショッキングなお話はかつて黒武洋『そして粛清の扉を』がありました。そう、あれはハードバイオレンスのキワモノでしたね。これも同質のキワモノですがやり口が気味が悪くなるほど陰湿な復讐譚であります。 ...続きを見る

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2008/10/30 21:55
真藤順丈 『地図男』 ダ・ヴィンチ文学賞大賞っていかがなものか
真藤順丈 『地図男』  ダ・ヴィンチ文学賞大賞っていかがなものか 新刊本を手にするきっかけはいろいろあるものだが、人に薦められて読み始めることもある。 本好きの友人から電話があった。 「真藤順丈という作家知ってる?その人の作品で『地図男』というのがいくつもの賞をとって評判がいいから読んでみたらどうか」 この友人は文庫本主義者であるから、本人は読んでいないのだろう。作者も作品もまったく知らなかった。昔、首藤瓜於の『脳男』というタイトルの作品を読んでがっかりした記憶があるがタイトルからして魅力に欠けているので、わかったわかったといい加減に応えてあった... ...続きを見る

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2008/10/28 23:21
池上永一 『テンペスト』 琉球王朝の大奥、豪華絢爛の女の争い!
池上永一 『テンペスト』 琉球王朝の大奥、豪華絢爛の女の争い! 読む前に、私はこの作品が琉球王朝の末期を舞台にした本格的歴史小説だと思っていました。 琉球の歴史を知らないので百科事典で小当たりしたところ、琉球王朝は1372年から1879年までの約500年間続いた独立国家でした。中国、日本、朝鮮、東南アジアの文化を摂取し、琉球古来の文化に立って創造された独自の性格を持つ文化圏です。王宮首里城のある首里には多くの建造物が建てられ,琉球文化の華を開かせました。王朝の経済的基盤は王の経営する国家貿易です。琉球船は自国産の品物に加えて豊富な中国産品を積み、日... ...続きを見る

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2008/10/16 17:24
帚木蓬生 『インターセックス』 帚木蓬生のヒューマニズム復活
帚木蓬生 『インターセックス』 帚木蓬生のヒューマニズム復活 インターセックス。古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形成や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義にみると100人に一人の出生頻度で出現する。久しぶりに帚木蓬生が医学界の現状に真摯に向き合った好著を手にした。 なにしろ冒頭の医療事故の裁判があまりにも迫真的だった。 これは新聞記事だが、去る8月20日、帝王切開で出産する患者が死亡した福島県立大野病院事件で福島地裁は業務上過失致死罪に問われた医師に無罪を言い渡した。検察側の「癒着胎盤を認識した時点で、胎盤を子宮から... ...続きを見る

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2008/10/07 12:15
桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな?
桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな? [桐野夏生] ブログ村キーワード ...続きを見る

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2008/09/28 18:40
『のぼうの城』の町 行田市散策
『のぼうの城』の町 行田市散策 和田竜のベストセラー『のぼうの城』を読んだものだから、一度歩いてみたかった。 行田市は「古代ハス」が有名で前に訪ねたことがあったが、忍城というのはまるで知りませんでした。 豊臣秀吉の関東平定に際して石田三成の水攻めに耐えた難攻不落の浮き城。忍藩十万石の城下町として栄えた町です。 それと昭和43年に国宝「金錯銘鉄剣」の出土により、一躍有名になった貴重な古墳群がある歴史の町なのです。 ...続きを見る

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2008/09/28 01:14
飯嶋和一 『出星前夜』  怒涛の迫力で描く島原の乱
飯嶋和一 『出星前夜』  怒涛の迫力で描く島原の乱 歴史小説の新刊をいくつも読んでいるのだが、ここ数年で最も手ごたえを感じることになった作品だ。おそらく後世にまでその名を残す歴史小説の代表作といえるのではないか。 島原の乱といえば天草四郎であり、キリシタン信仰であり、禁教令に反抗した宗教一揆と、その程度の知識でしかなかった。 島原の乱とはなんだったのか? 著者はその根源にさかのぼる。確立の途上にある幕藩体制。その新たな秩序にどうしても耐え切れない地方の生活者。両者の基本的対立の構図が見えてくる。 また蜂起から全滅にいたる攻防の4ヶ... ...続きを見る

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2008/09/25 23:58
火坂雅志 『天地人』 2009年NHK大河ドラマの原作。傑作の歴史小説
火坂雅志 『天地人』 2009年NHK大河ドラマの原作。傑作の歴史小説 輝虎(謙信)公の曰く、天の時、地の利に叶い、人の和ともに整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なおあるべしをも覚えずなるほどこういう為政者は今日まで出現したためしはない。 ...続きを見る

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2008/09/15 16:58
和田竜 『忍びの国』 手抜きの歴史小説
和田竜 『忍びの国』 手抜きの歴史小説  『のぼうの城』が大ブレークし、出版社から第二作を急かれたために、ついつい詰の甘い作品になってしまったというところか。 ...続きを見る

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2008/09/07 23:34
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは?
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは? 神の存在しない日本社会を「悪魔」は食い尽くすのだろうか?ドストエフスキー流の融通無碍な視線で現代人の罪と罰と贖罪を見つめた思索のドラマがここにある。 2002年10月、全国で次々と犯行声明つきのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介良介には妻と喘息もちの男の子がいる。故郷には退職後の気鬱にある父とそれとの生活に疲れ気味の母がいるが、この父母も歳相応にはしっくりしないところがあっても普通の家庭だ。良介の兄・崇は良介とは違って子供のときから優等生の誉れ高く、いまではエ... ...続きを見る

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2008/09/02 00:17
船戸与一 『満州国演義4 炎の回廊』 日本の夏は大陸に残した残酷な爪あとを省みるべき季節である。
船戸与一 『満州国演義4 炎の回廊』 日本の夏は大陸に残した残酷な爪あとを省みるべき季節である。 日本の夏は、愚直に平和を祈念する季節である。その素朴な祈りの心を持って大陸に残した残酷な爪あとを省みるべき季節である。 ...続きを見る

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2008/08/10 19:41
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき 今年の夏はことのほか暑い。外に出かける気にはならず、しかし、なんの因果かわが家のクーラーが壊れているものだから、生暖かい扇風機の風にあおられながら、汗が流れるままにゴロゴロと読書をしている。そういう、いたたまれないようなかったるい気分で読むとどこか主人公たちの無為な日常を実感できるようで、この夏つきあうのにふさわしい内容の作品であった。 桂川渓谷と呼ばれる景勝地が近くにあるがその涼風は届かない。町の奥まったところ、老朽化した市営住宅団地がある。真夏の朝、8時、締め切った狭い部屋、クーラ... ...続きを見る

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2008/07/30 13:52
今野敏 『果断 隠蔽捜査2』 まず前作の『隠蔽捜査』を読んでおくべきでしょう。
今野敏 『果断 隠蔽捜査2』 まず前作の『隠蔽捜査』を読んでおくべきでしょう。 型破りの警察小説、『隠蔽捜査』で充分に楽しませてくれた個性、あの竜崎の再登場である。第21回山本周五郎賞と第61回日本推理作家協会賞のW受賞のこの作品は警察組織を痛快に揶揄してのけるところ、前作を上回る面白さがあった。 ...続きを見る

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2008/07/24 17:23
今野敏 『隠蔽捜査』 はみ出しの一匹狼が活躍するハードボイルドかと思っていたが………
今野敏 『隠蔽捜査』  はみ出しの一匹狼が活躍するハードボイルドかと思っていたが……… エライ奴はワルイ奴である。使命感が欠落している薄汚い奴だ。権力欲・金銭欲の権化であり、ありついたポストは絶対に手放さない。そのエライ・ワルイ奴を現場密着型のはみ出し野郎が徹底的に痛めつける。この爽快感がまぁ警察小説のひとつの典型といってよい。 そうしたこれまでの警察小説の殻を破った驚きの作品だった。まったく新しいヒーローの誕生である。警察内部の不祥事をテーマにした警察小説は数多くあり、この作品も同じなのだが、著者の切り口の斬新さには脱帽した。 ...続きを見る

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2008/07/18 14:12
三浦しをん 『まほろ駅前多田便利軒』 著者の父上とおしゃべりして………
三浦しをん 『まほろ駅前多田便利軒』 著者の父上とおしゃべりして……… まほろ市。東京都下南西部にある最大の住宅地、神奈川県と川を隔てて隣接している。いかにもモデルがありそうなのだが………、どこか現実離れをして蜃気楼のようにもやもやと歪んだところのある著者が作り出した空間である。ちょっと町の外に出れば農家があるのだが、市内は歓楽街、電気街、書店街、学生街があってスーパー、デパート、商店街、映画館、そして銭湯までもがそろっている。そんな町が現実にあるかもしれないと思わせながら、夜にはヤンキーがあふれるとなれば私の知っているいくつかのベッドタウンには該当しそうもない... ...続きを見る

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2008/07/09 15:09
和田竜 『のぼうの城』 埼玉県行田市が仕掛けたか?これぞ町おこしの隠し玉
和田竜 『のぼうの城』 埼玉県行田市が仕掛けたか?これぞ町おこしの隠し玉 埼玉県に住んでいながら、この物語の舞台となった忍城(おしじょう)と城主であった成田一族についてはほとんど知らなかった。戦国時代を描いた数々の歴史小説でもこれを取り上げたものはあまりないのかもしれないと興味津々として読み始めた。それにしても「忍城」といい別名「浮き城」といい、城攻めが難しい秘密の仕掛けを用意した忍者屋敷のようで、いかにも冒険とロマンにあふれている。この作品はまさにその雰囲気そのままに波乱万丈であった。 ...続きを見る

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2008/06/25 15:55
伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』 初めて読んだ伊坂幸太郎
伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』 初めて読んだ伊坂幸太郎 伊坂幸太郎の作品をはじめて読んだ。「ゴールデン スランバー」とは極上のまどろみを指すもの。子守唄でビートルズのアルバムにもあると解説されているが作品のテーマとどうかかわっているのか私の感覚ではわからなかった。 「戦後ほぼ一党独裁を貫いてきた労働党から離党し自ら自由党を立ち上げた………」 という一節をみて、労働党?自由党?コリャなんだ。首相は公選制?戦後初めての自由党首相が生まれる?そして凱旋パレードの最中ラジコンヘリから爆弾を投じられ暗殺される。暗殺の背景が各方面で推測され、そのドタ... ...続きを見る

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2008/06/21 17:08
篠田節子 『ホーラ 死都』 不倫といえば日本人なら人の道をはずした後ろめたさのあるものだが………
篠田節子 『ホーラ 死都』 不倫といえば日本人なら人の道をはずした後ろめたさのあるものだが……… エーゲ海に行ったことはない。紺碧の海、ふりそそぐ陽光、大小の島々、真っ白な教会や家々など。明媚な風景と古代遺跡、神話世界のロマンに思いをはせる、いわば観光用のイメージだけがある。 それとジュディ・オング『魅せられて』があった。 経済的に充分ゆとりのある男女、ずるずると長いこと続いてきた不倫関係にも倦怠感を覚え ...続きを見る

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2008/06/12 15:50
ケヴィン・ギルフォイル 『我らが影歩みし所』 クローン人間が仮想現実「シャドーワールド」で
ケヴィン・ギルフォイル 『我らが影歩みし所』  クローン人間が仮想現実「シャドーワールド」で クローン技術が不妊治療に実用化された近未来。ただ人々の生活が今より大きく変わっているわけではない。せいぜいパソコンゲームソフトがかなり高度化しているといった程度。もしかしたら近い将来ありうるかもしれないと思わせる時代設定である。だが………。 ...続きを見る

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2008/05/10 17:27
黒川博行 『悪果』
黒川博行 『悪果』 前回の直木賞選考で二つの「本格警察小説」がノミネートされた。この作品と佐々木譲 『警官の血』だったが受賞できなかった。両作品とも警察組織の暗部を鋭く突いたものだけに、受賞して広く世間の関心が高まれば、かなり苦々しく思う向きもあったのだろう。 ...続きを見る

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2008/05/02 12:37
火坂雅志 『臥竜の天』 地方からの天下簒奪
来年のNHK大河ドラマ、火坂雅志『天地人』は直江兼続を主人公にしている。伊達政宗はこの直江兼続のライバルだったようで火坂雅志は『天地人』を書きながらこの作品の構想を思いついたのだそうだ。臥竜が天を目指す。正宗の特異な地方性と微妙な時代性を詳細に描き出した傑作の歴史小説だ。 隻眼異相の武将、徳川幕府から一目置かれた雄藩大名。伊達男・伊達者という言葉、これは政宗が好んだ豪華絢爛の気風に由来するものだ。実はこの程度の知識しかなかった。これまで読んだ戦国期の歴史小説はたいがいが信長から秀吉をへて家... ...続きを見る

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2008/04/27 14:45
貴志祐介 『新世界より』 異色のSFファンタジーノベルだが………
デビュー作の 『黒い家』 (1997年)。韓国製の映画が目下上映されているとのこと、感情を欠如した殺人鬼が地獄図を見せる正視に耐えないおぞましいシーンの連続だそうだ。10年以上前の原作だが「生まれながらの殺人者」という突然変異的存在を暗示し、最近のように不可解な犯罪が頻発する日本を当時予見するような怖い作品であった。 『天使の囀り』(1998年)はアフリカの民俗伝承、風土病と現代日本の病んだ精神構造をつないでホラータッチ、なかなかの秀作だった。 『青の炎』(1999年)、これは純真な若者... ...続きを見る

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2008/04/05 17:07
船戸与一 『満州国演義3 群狼の舞』 船戸与一が冷酷にあぶりだす人間性悪の極限図。
人の性は悪にしてその善なる者は偽なり。人間の本性には生まれつき利益を追求する傾向があり、それに従ってゆくから、他人と争いになって譲り合うことがなくなるのである。また生まれつき嫉んだり憎んだりする傾向があり、それに従ってゆくから、他人を害するようになって誠心の徳がなくなるのである。(荀子 性悪篇) ...続きを見る

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2008/03/29 16:57
船戸与一 『満州国演義2 事変の夜』 「本格歴史小説」の名著である。
昭和5年1月、浜口雄幸内閣が金解禁を実施したことにより日本は世界大恐慌の直撃を受ける。農民、都市労働者の窮乏、深刻化する国民生活。4月に締結したロンドン軍縮条約を政友会の犬養毅、鳩山一郎が統帥権干犯として議会で追求。軍部は将来の国家総力戦準備として、満州の鉄、石炭などの資源獲得を緊要とするとともに、最大の仮想敵国であるソ連との戦争に備えるために南満州の確保を必須とした。さらに朝鮮統治の安定、大恐慌下の社会的不安の鎮静や人口問題の解決などのためにも、満蒙問題の解決が必要であると高唱されるように... ...続きを見る

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2008/03/12 17:07
船戸与一 『満州国演義1 風の払暁』 圧倒的迫力で描かれる昭和激動史
船戸与一の作品では『蝦夷地別件』、「滅びの残酷史」というべき最高傑作があったが、この第一巻、『蝦夷地別件』に匹敵する、あるいはこれを超えるかもしれないと期待させられる大長編の幕開けである。 ...続きを見る

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2008/03/03 23:09
川上未映子 『乳と卵』 芥川賞受賞作 もやもやの中にすっきりとさせてくれます。
雄弁は銀、沈黙は金っていう。そんなことかもしれないと思いながら、いずれにしても自分の気持ちを相手にそのまんま伝えるのは相当難しいことだ。 サラリーマンを卒業し家庭の中の時間が圧倒的に増えた今になって振り返れば、会社生活のほうが意思の疎通は容易だったような気がする。なぜかというとそこは約束事とか規則とか通念ってものが完璧だから、「文法」に従って言葉を口に出しまた文章を書けばそれで「私」をありのままに表現することになっているからだ。「慎重に検討させていただきます」といえばそれなりに社会通念が調... ...続きを見る

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2008/02/21 17:04
吉田修一 『悪人』 人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。
もはや動かしようがない格差の拡大社会と歪められる家族関係を通して人間の本当の値打ちとはなにかを問いかける。 ...続きを見る

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2008/02/15 16:01
松浦理英子 『犬身』 家族とはなにかを問うがいまひとつだな。
なんともとらえどころが難しい、奇妙な味わいの作品である。ただし、犬をペットとしてかわいがっている人にとってはやたらにうれしくなってしまう作品である。 私も4年前から牝のトイプードルを飼っている。かわいがっている一人だ。犬には喜怒哀楽の感情があってまるで人間と同様の表現を目の動き、顔つき、尻尾の振り、手足のしぐさ、鳴き声など全身を使って行うものだ。人間がなにをしようとしているのか、どんなことを考えているのか読み取る能力もある。私にも犬の心理が読めるようになっている。そんなところまで交感が深ま... ...続きを見る

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2008/02/03 18:14
桜庭一樹 『私の男』 直木賞候補作となっているがはたして………。
桜庭一樹の作品を読むのはこれが二作目だ。つい最近読んだ『赤朽葉家の伝説』はミステリーとしての評価が高く、本著は文芸作品としての評価が高い。逆じゃぁないのかな。「朽ちていく幸福と不幸を描く、衝撃の問題作!」この宣伝文句にとらわれないほうがいい。謎解きミステリーとして読むほうが不快にならずに楽しめる。 ...続きを見る

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2008/01/14 01:54
スティーヴン・キング 『セル』 どこかへんてこりんな巨匠の最新作
モダンホラーの第一人者、映画では随分とつきあったのだが読むのはこれがはじめて。プロの書評で、キングの長編はゆったりとした幕開けなのだがこれは冒頭からショッキングな場面があって展開にスピードがあると高い評価をしていたので、のんびりのホラーは魅力がないがそれならと手にとった次第。 ...続きを見る

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2008/01/10 19:48
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』 のめりこまされる戦後昭和史
この作品、いかにも横溝正史風でスタートしているがミステリーとして読むのはいささか間違いだ。余計な雑念を払い捨て、この語りに没頭してこそ多様な味わいを楽しみ、芳醇な香に酔いしれることができるだろう。 ...続きを見る

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2008/01/08 00:07
ジェフリー・ディーヴァー 『ウォッチメイカー』 食傷気味だが「このミス」第一位かと手にとった
またまたライムシリーズか、と食傷気味になりながらもついつい手にとってしまう。さて今回の作品のできばえは?と、このシリーズ、そこまで新機軸が期待できる魅力がある。ジェフリー・ディーヴァーはたしかなストーリーテラーなのだ。これは第7弾だそうだが、私はこれで6作品を読んだことになる。 『ボーン・コレクター』『コフィン・ダンサー』『魔術師』………。数々の名犯人たちと頭脳戦を演じ、勝利を収めてきた現代の名探偵リンカーン・ライム。彼の前に、細心緻密な殺人計画を引っさげて、史上最大の敵<ウォッチメイカー... ...続きを見る

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2007/12/22 18:58
ビーケーワン怪談大賞傑作選 『てのひら怪談2』
ビーケーワン恒例の真夏の怪談競演も今年で5回と続いた。第4回の応募は271篇だったが、第5回は663篇が寄せられたそうで、私も毎回参加させていただいているが、だんだんとお祭り騒ぎが大きくなっていくのにビックリしている。『てのひら怪談2』はこの第5回応募作品から選りすぐりの100篇を掲載したものだ。選考委員の評価によれば作品の質が年々充実さをましているそうだが、この傑作選をみるとたしかにそのとおりだと思う。 小説をその長さで分類し、長編、中編、短編とあってそれより短いのを掌編と呼ぶ。これは最... ...続きを見る

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2007/12/19 23:56
浅田次郎 『中原の虹』 傑作『蒼穹の昴』の続編。待ちに待った全四巻を読み終えて
新国家建設に混迷する中国大陸。民の平安のために!と張作霖は燃える。彼を新しい英雄にしようとする浅田次郎の着想は成功しただろうか。 ...続きを見る

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2007/12/15 02:13
笹本稜平 『越境捜査』 わかりにくい警察機構を理解し警察小説を楽しく読もう。
日本の警察もアメリカ並みにここまで腐っているのか?いやまさかここまでのことはあるはずがない、と思ったところで、防衛省のあんな醜悪な大犯罪が起こるんだから、この作品だってフィクションをフィクションとして楽しめばいいと単純には割り切れなくなっちゃうではないか。 佐々木譲のシリアスな警察小説『警官の血』をじっくり読んだ後だけに、巨悪と戦う荒唐無稽なバイオレンスを期待して手にとった警察小説である。帯には「12億円に心がグラリ!!勝つのはどっちだ」「じっくりガッツリ読ませます!」とひょうきんな口調で... ...続きを見る

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2007/12/09 19:15
佐々木譲 『警官の血』 警官の血とは?異色の警察小説でありめったに現れない傑作である。
この作品には巨悪は登場しない。防衛省事務次官の犯罪。あんな巨悪がまだいたのかとあきれ返る。ささやかな正義の積み重ねをしている人たちこそいい面の皮である。でも盗人にも三分の理、彼は彼なりの「正義」を追い求めていたんだろうね。「自衛官の血」という小説があったとしても、とてもとてもこの現実の迫力にはかなわないでしょう。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 3 / コメント 4

2007/12/06 15:48
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。
山田浅右衛門といえば「首斬り浅右衛門」として、死罪人の斬首役であるとの知識しかなかったが、本職が徳川家御佩刀御試御用役だったとはこの作品ではじめて知ったことだ。 実は先日読んだ、山本兼一『いっしん虎徹』で刀剣の斬れ味を鑑定する「試刀」という職業(一太刀で何体の死体を斬ることができるかを基準にして利鈍を試す)があることに驚いたばかりで、おっつけ読んだ山田浅右衛門の家業がこれであったかと偶然の出会いに思わず膝を打った。 罪人を斬首するためにふるう剣、山田流試刀術………。その奥義は、密かに... ...続きを見る

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2007/12/01 17:09
曽根圭介 『沈底魚』  本年度江戸川乱歩賞受賞作
アメリカに亡命した中国外交官の証言によれば、日本の現職国会議員が機密情報を中国に漏洩している。この新聞報道で中国と朝鮮の事案を担当する警視庁公安部外事第二課は騒然とする………と快調なスタートである。 沈底魚=スリーパー。潜伏期間二十年余り。素知らぬ顔で暮し、覚醒の時を待っているーーー。スパイ自身が派手な立ち回りを演ずる冒険小説ではない。ガセネタかも知れない沈底魚をあぶりだそうとする警視庁公安部現場の捜査官たちの苦闘の物語である。 ...続きを見る

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2007/11/06 12:04
藤原伊織 『名残り火 てのひらの闇U』 あの堀江雅之はもう帰ってこない。
2007年5月17日に逝去された藤原伊織氏の遺作である。2002年から2005年まで別冊文芸春秋に連載されたもので連載終了後、全38章中第8章までは著者が加筆、改稿作業を完了していた経緯のある遺稿だそうだ。氏の食道ガン発症を知ったのは2005年5月だった。5年生存率20%と告知された「ファンキーなじじい」は復活を切望した私達の期待むなしく2年の闘病生活を送って逝ってしまった。 私より4歳若いとはいえまずは同世代といえる。世代を共有してきたものとして1996年、江戸川乱歩賞、直木賞を受賞した... ...続きを見る

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2007/10/26 11:57
ジョー・ホールドマン 『擬態 カムフラージュ』 昔懐かしいSFのガジェットがたくさんあったが
もう30年以上前になる。いや小学生からもう好きだった。面白くて古典も含めて内外のSFをひと通り読んだ。最後に読んだSFらしい小説は小松左京の『日本沈没』だった。それ以来SF小説には縁がなくなったから、最近の定義には疎く、私にはSFというと当時のイメージにあるSFでしかない。そのころTV動画の松本零士『宇宙戦艦ヤマト』を楽しみ、映画『スターウォーズ』に驚嘆し、以降、映像SFとは今でもときたま付き合っている。 ...続きを見る

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2007/10/21 16:59
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。
ドストエフスキーの描く少年・少女だが、どれもこれも子どもらしさがない、かわいらしさがない、ひとことでいえばこわい。読んだ作品ではじめに印象的だった子どもは『悪霊』の少女マトリョーシャだった。亀山郁夫の『『悪霊』神になりたかった男』は亀山が『悪霊』から「スタヴローギンの告白」だけを抜粋し翻訳して解説している。亀山はマトリョーシャを10歳としている。親から虐待されるのだがその痛みの中に快感をおぼえる人格なのだから驚きだ。スタヴロ−ギン(幼児性愛癖もあるんだな、彼は)は彼女を陵辱する。実は江川卓訳... ...続きを見る

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2007/10/15 17:11
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります
16歳の少女が斧で警察官の父親を殺害した。つい最近の出来事である。同種の事件は過去にもいくつもあった。現在日本の刑法に尊属殺人という概念は消えている。にもかかわらず私たちには大変ショッキングな犯罪である。私のどこかに親は敬うべきものと儒教思想の残滓があるのかもしれない。『カラマーゾフの兄弟』が扱うのはキリスト教社会において最悪の犯罪とされる父殺しだが、今の私には同様の重さでこのテーマを感じることができる。 第4部はミーチャが父殺しの容疑で起訴された裁判シーンでクライマックスを迎える。はじめ... ...続きを見る

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2007/10/06 19:35
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ
『カラマーゾフの兄弟』は第一の小説と第二の小説の構想があって第二の小説は書かれていないのだが、序文「著者より」によれば全体として三男アリョーシャを主人公にしている。ただこの第一の小説ではアリョーシャの影は薄い。とはいえ「第三部第七編アリョーシャ」には引っかかるところがあって読み返したら、独断的なアリョーシャ印象をくどくどと書いてみたくなった。 どんなにスッと入れる名訳でも原書そのものにある難解さをときほぐすのは容易ではない。特に宗教に関連するイメージは私のもっとも苦手なところです。第一部、... ...続きを見る

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2007/09/27 17:26
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。
全巻エピローグまで読み終えたものの混沌の宇宙に放り出されたような頼りなさでいらだたしい心境にある。最後にある亀山郁夫の解説を読むことは中断してこの酩酊状態をしばし楽しむことにしよう。 ...続きを見る

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2007/09/18 20:09
ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか
巻末の著者による「読書ガイド」は難解なこの作品を理解するうえでとても重宝である。適度な突っ込みだから読者の自由度を束縛することなく、ポイントをついた手引書になっている。そしておそらく著者の個性的な翻訳姿勢によってこの書はいまや話題のベストセラーとして注目されることになったのだろう。 ...続きを見る

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2007/09/13 17:28
上野 国立科学博物館とフーコーの振り子
9月24日まで「インカ マヤ アステカ展」が開催されている。スペインの侵略により滅亡したこの文明の悲劇が胸を打つ。 ...続きを見る

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2007/08/30 13:10
山本兼一 『いっしん虎徹』 またまた傑作時代小説にぶつかりました。
虎徹といえば新撰組隊長近藤勇の斬殺剣だと講談本の知識はあった。江戸時代を代表する刀工であろう。長曽祢興里(おきさと)、もともと 越前国福井の甲冑鍛冶師であったが、自ら鍛えた当代随一の兜を一刀にして断ち切ることのできる日本刀を鍛えるべく、病床にある妻とともに江戸にでる。入道して古鉄、虎徹と称す。とくに切れ味の鋭いことでは全刀工中第一といわれ、江戸時代の刀剣書に高く評価されている。実際に「三ッ胴截断」「二ッ胴切落」「石灯籠切」などと切れ味を誇る添銘した作が数多く現存しているそうだ。 鉄とともに... ...続きを見る

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2007/08/13 20:03
葉室麟 『銀漢の賦』 漢(おとこ)たちの凛冽の生き様を描いて松本清張賞受賞にふさわしい時代小説の傑作
齢60をこえると、自分の半生を振り返り、ほろ苦い感傷にぼんやりするときがあるものだ。サラリーマンだって自分なりに大仕事だったと思える経験がいくつかあって、結果が本当に全体にとってよかったのかと冷静になれば自信こそないのだが、ただただ古きよき思い出として消化してしまう心境でいいのじゃないだろうか。そして、そういうことを語り合える友がいればなおさら満たされるものだ。 国家財政が困窮し、地方がそれでも自活しようとなれば選択肢は多くない。市町村合併か、米軍基地の移転先、大規模ゴミ処理場の建設、ある... ...続きを見る

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2007/08/05 23:32
グレン・ミード 『地獄の使徒』  グレン・ミードだからと期待してはいけない。
グレン・ミードの新作が出版され、『雪の狼』が強く印象に残っていたものだから大いに期待して飛びついた。『雪の狼』の後にいくつかの長編を発表していたとは知らず、この『地獄の使者』を久々に発表した第二作だと思い込んでいた。ソ連要人暗殺を軸にした『雪の狼』は第一級の大型スパイサスペンスだった。これがグレン・ミードの作風であり、『地獄の使者』もその流れかと思ったのだがまったく違うジャンルに驚いた。 <悪魔の使徒>と異名をとって残虐な連続殺人犯が処刑された後も相次ぐ同様の連続殺人!模倣犯か、それとも処... ...続きを見る

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2007/07/27 14:41
諸田玲子 『かってまま』 これは宮部みゆきの世界ではないかと………。
売れっ子の女流作家 宮部みゆき『日暮らし』、松井今朝子『吉原手引草』 桐野夏生『メタボラ』に似て非なる傑作の人情噺。 ...続きを見る

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2007/07/25 23:52
佐々木譲 『制服捜査』 新しい切り口の警察小説だ。
『うたう警官』で著者の新ジャンルでの復活を感じたものだから昨年発表のこの『制服捜査』を手にとった。「これが本物の警察小説だ!」と帯封にあったが、本物かどうかは別にして警察小説といわれるジャンルをこれまでにない切り口で見せた。その斬新さはさすが。佐々木譲の手腕、健在である。 ...続きを見る

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2007/07/16 19:14
桐野夏生 『メタボラ』 論評する資格のない自分に気がついた。
ドキュメンタリー番組で「ネットカフェ難民」という人たちを知り、正直驚いた。住む家がなく24時間営業のインターネットカフェに寝泊りし、日雇い派遣労働などで食いつないでいる若者が急増しているのだそうだ。 そしてこの『メタボラ』である。「ネットカフェ難民」ではないが同様に漂流するものであり、それは衝撃的だった。ホームレス、ニート、フリーター、ワーキング・プアそれぞれに定義はあるようだが、桐野夏生が過度にデフォルメした人物像などではない。どうやら実体を持って社会の一定層を形成しているとリアルに感じ... ...続きを見る

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2007/07/04 18:22
京極夏彦 『前巷説百物語』 シリーズものってのは三巻までがよろしいようで………
京極先生の作品にはずいぶんとおつきあいしたものですが、憑物落としの京極堂シリーズは『陰麻羅鬼の瑕』をようやく読み終えたところであとはお休み、この巷説百物語もまぁ今回で読み上げといたしましょう。 これが百物語のはじまりでございます 今、明かされる真実 又市、いかに御行となりしか と既刊・巷説百物語シリーズで活躍した小股潜りの又市が御行となるまでその前歴をなぞっている。『巷説百物語』『続巷説百物語』『後巷説百物語』を読んだ読者であるなら勢いで手にしたくなる一冊だろう。しかし………。 ...続きを見る

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2007/06/26 22:02
竹田真砂子 『桂昌院 藤原宗子』 寂しさを気づけなかった女の激烈な一生
桂昌院 1627‐1705(寛永4‐宝永2) 3代将軍徳川家光の側、5代将軍綱吉の生母。関白二条光平家司本庄宗利の養女。名は宗子。秋野、お玉の方と称す。家光側室六条有純の女お梅の方の縁で江戸へ下り、家光の寵をうけて綱吉を生む。1680年(延宝8)綱吉が将軍となって後、江戸城三丸に住み、三丸殿と称された。綱吉の厚い孝敬をうけ、1702年(元禄15)従一位に昇り、また弟本庄宗資をはじめその一族中幕臣として栄進する者も多かった。深く仏教に帰依し、僧亮賢、隆光等を信頼し、そこから生類憐みの令を極... ...続きを見る

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2007/06/20 22:30
映画 『ザ・シューター 極大射程』の原作 スティーヴン・ハンターの傑作『極大射程』
前々からこれが映画化されるのを楽しみにしていたものとしてはぜひとも観なくては!!! 今から八年も前に発表された作品である。 ...続きを見る

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2007/06/01 19:08
大鐘稔彦 『孤高のメス 外科医当麻鉄彦』 連載劇画のノベライズだった。
文庫本全六巻。友人に紹介されて読んだものだ。作者はまったく知らない人だった。 大鐘稔彦。1943年愛知県生まれ。京都大学医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み、「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設、手術の公開など先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約6000件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。小説やエッセイなどの著書多数。帯封にある二村雄次・名古屋大学大学院医学系研究科外科教授の推薦の辞によれば 日進月歩で医... ...続きを見る

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2007/05/31 17:34
佐々木譲 『うたう警官』  戦時情報戦小説の勇、あの佐々木譲の完全復活だ。
2004年3月5日の北海道新聞より、道議会総務委員会で4日開かれた元道警釧路方面本部長に対する参考人質疑の一部である。私が裏金づくりに直接タッチしたのは、一九六四年四月に配置された当時の北見方面本部刑事課が最初。階級は巡査部長だった。初めて領収書や関係書類を、命じられるままに偽造した。その後、退職した九五年まで十七カ所の所属(部署)を転勤したが、何らかの形で裏金づくりに関与し、一部を受け取り、その存在を知っていた。 この報道の示している状況を「うたう警官」と呼ぶらしい。「うたう」は内部の不... ...続きを見る

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2007/05/29 12:31
司馬遼太郎 『項羽と劉邦』 山本勘助なんて小さい小さい!
NHK大河ドラマ『風林火山』がおもしろい。雀荘で臨卓から「あれでは原作のよさがまるで感じられない」との声があった。井上靖は読んでいないのでなんともいえないのだが山本勘助のいかにもワルなところを非情なタッチで描いている。虫酸がはしると感じる視聴者があっても不思議ではない。すくなくともこれまで放映されたところでは卑怯な謀が上首尾に仕上がったところで、顔を伏せてにやりとするところなど、NHKらしくもない凄さがある。 若い頃から諸国を遍歴し、各地の地勢、民力、領主の資質を総合的に把握し、軍略や築城... ...続きを見る

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2007/04/16 18:47
熊谷達也 『氷結の森』 名作『邂逅の森』の続編として新たな感動を呼ぶ傑作
主人公、柴田矢一郎。出生は秋田、山々の懐に囲まれたマタギである。昔かたぎのマタギについては前作 『邂逅の森』 に詳しいので『氷結の森』では省略されている。このため『邂逅の森』を振り返ることで、はじめてマタギである矢一郎の心の奥の哀しさを感じとることができる。彼の前にぬかずくべき基準、あの神聖な自然の摂理はすでになくなっていた。物語はそこから始まる。 ...続きを見る

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2007/03/27 18:11
青山七恵 『ひとり日和』 石原慎太郎が激賞したという芥川賞受賞作
芥川賞選考委員の一人、このところ激辛の論評を加えてきた石原慎太郎が激賞したと喧伝されたが拝見すれば奥歯にものが挟まった「激賞」ですね。これって都知事選を控えた慎太郎が若者受けを狙ったパフォーマンスじゃあないだろうか。 ...続きを見る

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2007/03/19 20:05
諸田玲子 『奸婦にあらず』 幕末の激動に身を投じた女の真心とは
読み終えて、古地図を重ねながら現在の地図を眺めてみた。彦根藩主井伊家の上屋敷は桜田濠に面して現在の憲政記念館と国会前庭の洋式庭園を含む広大な屋敷だった。警視庁、警察総合庁舎一帯に豊後杵築藩邸があり、藩邸前を左に折れると外桜田門にいたるのだが、水戸浪士の襲撃はその直前、杵築藩邸前、有楽町線桜田門駅辺りが現場だったようだ。地図を片手に、主人公・たかはここで籠から引き出される井伊直弼の血塗られた体を目撃し、絶叫したのかと思いやる。 ...続きを見る

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2007/03/12 23:35
池井戸潤 『空飛ぶタイヤ』 タイトルで損をしているが傑作のミステリーだった。
「小説好きの諸君!たまには直球の企業小説、読んでみてくれ」とキャッチコピーにつられた。小説好きは企業小説を読まないものとこのコピーライターは考えているのだろう。なるほど気がつかなかったけれど小説好きだがあまり企業小説は読まない僕のような人は大勢いるんだな。 企業小説と言えば私のイメージは大銀行の内幕暴露ものなんです。いかにもノンフィクション風で実在の人物を臭わせるものだから、その人物を推量しながらこれも実際の出来事に思い巡らせ、いいかげんなことを描いているナァと不愉快になってしまうことが多... ...続きを見る

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2007/02/14 13:46
『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』 現代的センスが光る100の怪奇譚
てのひら怪談posted with 簡単リンクくん at 2007. 2. 7加門 七海編 / 奉 徹三編 / 東 雅夫編ポプラ社 (2007.2)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ネット書店・ビーケーワンでは2003年夏から毎年インターネット上で怪談を募集し、優秀作品を授賞している。昨年で4回になった。わたしは毎回欠かさず応募しているからルールはよくわかっているが、「怪談」というテーマ枠に800字で起承転結を綴るとなるとかなり手ごわい文芸競技である。本書は... ...続きを見る

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2007/02/07 22:28
司馬遼太郎 『空海の風景』 空海とはなんだったのだろう。空海の風景からその実体に迫る。
5年ほど前のことだ。すでに経験のある友人に誘われて秩父三十四ヶ所の霊場巡礼をしたことがある。延5日の行程であったが未知の経験だけに忘れられないいろいろな印象があった。白装束を着衣したかなり本格的な詣だった。 秩父花巡礼の記録 空海に関連することでは菅笠に「同行二人」と書かれているのだがそれが「弘法大師とともに」をさすことなどそのときはわからなかった。ひとつひとつの霊場で般若心経を誦する。般若心経の解説を読めば形而上的な宇宙観・世界観の思考体形の一部、勘どころを繰り返し述べた大衆向けの... ...続きを見る

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2007/02/04 17:44
カルロス・ルイス・サフォン 『風の影』 繊細、流麗な文体で完成されたミステリーロマンの傑作。
バルセロナ。ローマ時代より幾多の栄枯盛衰を繰り返したスペイン随一の工業・商業都市。19世紀末の経済、文化の隆盛、精神の昂揚、それはスペイン内戦(1936〜1939年)にあってつかの間の光芒に過ぎなかったのか。1945年、バルセロナは内戦の深い傷跡がそのままに人々は暗い影の中に息を潜めている。 ...続きを見る

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2007/01/22 21:09
『てのひらの怪談ービーケーワン怪談大賞傑作選』という本が2月に刊行される。
ありがたいことに私の作品を二編取り上げていただくことになった。 これに先駆けてビーケーワンのホームページからアクセスできるコーナー「週刊てのひらの怪談」で新作を募集するお話をいただいて、また作品を送ったらここでも取り上げていただいた。 よっちゃんを名乗っていたがもう少しマシなペンネームをといわれ江崎来人と改めた。 ...続きを見る

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2007/01/10 13:13
川端康成 『雪国』 十一面観音の印象と「雪国」
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。 中学だっただろうかいや高校だったろう、おそらく国語の試験問題かあるいはクイズかもしれないのだが、冒頭がこの文章で始まる作品名は?とかこの作者は?あるいはこの長いトンネルとはどこのトンネルでしょう?またはここでいう雪国とはどこを指しますか?などこの一節だけでいくつもの問いがあったものだ。なかには「国境」に振り仮名をつけよという作者本人がルビを振っていないのだけど偉そうにする質問もあった。池部良と岸恵子が主演した豊田四郎監督作品を見たようなおぼろ... ...続きを見る

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2007/01/04 23:29
ジェイムズ・カルロス・ブレイク 『荒ぶる血』 深みと広がりを持ったビカレスクロマンの傑作
原題は「Under The Skin」。血筋、血縁、血脈、血統、皮膚の色、人種、そして血みどろの暴力。久々に無頼のヤカラたちの暴力を描いてしかも深みと広がりを持ったビカレスクロマンの傑作にお目にかかった。 ...続きを見る

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2006/12/24 17:26
リチャード・マシスン 『奇術師の密室』 老大家の手になる意欲的実験的ミステリー
トリック重視のミステリー作家はどうすれば常識人をギョッとさせるかともっぱら腐心するのでしょう。奇術師と大いに似ています。ミステリーにはこの類似性を直接作品に同化させ、マジシャンを主役にした作品がいくつもあります。近年のヒット作では泡坂妻夫『奇術探偵 曾我佳城全集』、ジェフリー・ディーヴァー『魔術師(イリュージョニスト)』などが記憶に新しいところです。前者が探偵役として奇術師を据え、後者では犯人が魔術師でした。そしてその華麗なテクニックが作品の価値を高める役割を果たしています。ただしマジックは... ...続きを見る

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2006/12/18 23:59
アダム・ファウアー 『数学的にありえない』 どこかで読んだことがあるようなSFタイプのマンハント
ある日突然機密研究所内のすべての物質が透明になってしまった。その中に居合わせたただ一人の男もまた透明人間になってしまう。上層階に残され中空に浮いている見えない自分に彼は茫然自失する。軍事的には核兵器開発を上回るこの生きた資料を国家機密機関が総力を挙げて追う。透明人間は逃げる。とこれはSF的、ノンストップ・マンハント・アクションの代表作といえるH・F・セイント『透明人間の告白』だった。『数学的にはありえない』を読み始めて、すぐに数年前のこの傑作に思い至った。 破滅寸前の天才数学者ケイン。彼を... ...続きを見る

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2006/12/16 12:40
夏樹静子 『見えない貌』 ベテランのミステリー作家が描いた親子の絆
夏樹静子さん、1938年生まれというからわたしよりも6歳先輩だった。そう気がつけば初期の作品『蒸発』を傑作だなと感じたことや『Wの悲劇』なども懐かしく思い出される。その後二時間ものテレビミステリーでしかお目にかからなくなったが、久々に5年前の『量刑』ではベテランの新境地ここにありと再び輝きを取り戻していた。 ...続きを見る

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2006/12/12 22:59
浅田次郎 『蒼穹の昴』  目下刊行中の 『中原の虹』を読む前に再読しておく価値はあった。
この続編だと思われる『中原の虹』を読む前に再読しておく価値はあった。浅田次郎初期の大傑作。 ...続きを見る

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2006/12/02 18:33
北方謙三『水滸伝』文庫本化されました。
時は北宋の末期、最後の皇帝徽宗治下。政治のことは宰相の蔡京にまかせて,日夜遊興にふけり,書画骨董の収集に熱中し,豪壮な宮殿,庭園,道観等を造営したりして,莫大な金銭を使った。その穴埋めのために,蔡京はあらゆる手段を用いて誅求を行い,人民を苦しめたので,浙江の方臘(ほうろう),山東の宋江はじめ各地で反乱が勃発し,政府はその鎮圧に手をやいた。この史実を背景に108人もの英雄・豪傑が腐敗した国家転覆のために勇壮無比の戦いを挑みやがて破れていく大長編口語小説がいわゆる水滸伝である。施耐庵と羅貫中によって... ...続きを見る

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2006/11/27 07:58
貝塚茂樹 『韓非』 歴史大ロマンを読む心地で
数人の仲間と『韓非子』を読んでいる。中国文学の権威・村松暎先生と雑談を交わしながら全編を通読するのではなく、先生が用意された解釈なしの原文テキストで「孤憤」「説難」「和氏」「姦劫弑臣」「五蠹」までを読んだ。五十五篇の大著のなかからどうしてこの篇をとりあげ、この順序で読むのかわからないままに先生の洒脱な語りぶりとおとぼけにすっかりのめりこんでいた。これらは韓非子の自著であり、韓非子思想の枢要をなすものなのだろう。 ...続きを見る

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2006/11/23 10:03
薬丸岳 『闇の底』 とてつもなくショッキングなラストにあっけにとられた。
このところ悲惨な事件が連続している。小中学生のイジメによる自殺、肉親による幼児虐待と殺傷。幼い命の非常事態宣言であろう。これという対応措置がないままに狂気だけが蔓延しつつあるようで不安と焦燥感が日本全体を覆っている。そして『闇の底』で薬丸岳はこの暗澹の世相を背景に強烈な反則パンチを繰り出した。 ...続きを見る

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2006/11/15 10:52
11月の読書
塚本青史『始皇帝』を読み終えましたので関連する韓非子の研究書貝塚茂樹『韓非』をじっくり読みます。 韓非posted with 簡単リンクくん at 2006.11.10貝塚 茂樹〔著〕講談社 (2003.4)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ...続きを見る

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2006/11/10 12:48
映画『父親たちの星条旗』を観る
我が家の近く、浦和所沢街道沿いにシネマコンプレックスがあったとは驚きで、早速出かけてみた。設備は最新だし、ここも平日はがら空きで申し分のない環境だった。10:25からの開演と早朝だったせいか観客数20人足らずでは経営が安定的に成り立つのだろうか。それはともかく、私としては今後映画館選びの最優先の劇場としたい。 ...続きを見る

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2006/11/08 19:02
「江戸文化歴史検定」を受験しみた。
今日青山学院でこの検定試験が行われた。 ...続きを見る

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2006/11/03 16:27
塚本青史 『始皇帝』 偉大な歴史の変革者、その末路はあわれ
暴君、そして英傑! 血筋という運命、乱世に飛び交う謀略、三度の暗殺未遂を乗り越え中華を制したファースト・エンペラーの生涯を描ききる、畢生の書き下ろし! 始皇帝といえば歴史的には焚書坑儒に代表される非道の王として扱われてきた。しかし暴君であって英傑だったからこそこれだけの偉業をはたせたのだろう。 趙で人質となっていた秦の公子・子楚の子として生まれた政(前259)が、わずか13歳で即位し(前246)、列国を滅ぼして中華を統一、始皇帝を名乗り(前221)、権力をほしいままに、最後は悩乱して死す... ...続きを見る

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2006/11/02 15:37
上海蟹を食す。
上海蟹の旬は11月だそうだ。11月にはオスの味が芳醇になるのだという。娘が言い出したことだがオヤジの退任慰労をやっていなかったとか結婚記念日にお祝いを忘れたとかでこの際家族で会食をしようと。ならば娘たちがご馳走をしてくれるのかとホクホクして臨んだのだがその考えは甘かったようだ。 本音は自分たちが食べたことのない上等の上海蟹を他人の懐をあてに試しておこうと、そんなわけだった。 ...続きを見る

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2006/10/30 10:45
皆川博子 『伯林蝋人形館』 皆川博子の得意とする幻想的世界である。
エロチックでグロテスクな狂気を耽美的に描く皆川博子の得意とする幻想的世界である。 狂乱へとむかう1920年代のドイツを舞台に6人の男女が織りなす運命の輪舞 「彼らの人生は、さまざまな場所、時代で交錯し、激動の歴史に飲み込まれていく……… ドイツの歴史をまるで知らない私はバラバラにある6つの物語を時間の流れに沿って組み替えしないとおさまりがつかなかった。 1914年に始まった第一次世界大戦、フランスとの主要戦場のひとつであった1916年のヴェルダンの戦いには生粋のドイツ人とユダヤ系ドイ... ...続きを見る

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2006/10/23 15:12
NHKドラマ 桐野夏生原作『魂萌え!』が面白い。
三回連続の第一回目をみた。原作がまことに楽しかった。あの桐野夏生が変身した。とにかく我々と同年代の夫婦のお話であり実に等身大の現実が書かれていたからだ。 テレビの脚本もほぼ原作に沿っているような気がする。 主人公の敏子、高畑淳子が演じて小説のイメージがぴったりのはまり役だ。 気になったのはその夫の浮気相手蕎麦屋のオバサンである昭子だが高橋恵子はあまりにも美しく性的魅力もあって原作の所帯じみた社員食堂の栄養士のイメージとはかけ離れている。あれでは明らかに敏子が負けているからかわいそう... ...続きを見る

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2006/10/22 19:14
養老孟司先生の講演を聴く
10月16日、元勤務先のOB会が開催した養老孟司先生の講演会に出席した。先生の著書はだいぶ前に『バカの壁』を読んだことがある。そのときの印象は支離滅裂でなにを言っているのかまるでわからないことだけであって、よくこの著書がベストセラーになったものだと首をかしげた。 人間の脳の働きで他の動物と際立っているのは五感でインプットされた千差万別の情報を類似性でまとめるところにあるようだ。概念をつくるということだろう。そこで言葉が生まれるのだが、これが他の動物にはできないのだそうだ。 赤いリンゴ、青いリ... ...続きを見る

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2006/10/20 18:03
佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』 アメリカを茶化しきった傑作の風刺小説
南西部諸州は「アメリカ連合国」として独立し「アメリカ合衆国」との戦闘を開始した。「連合国」の空爆により「合衆国」の都市は破壊され、「連合国」の軍事的優勢のままに目下停戦状態にある。国連本部が移転した常任理事国・日本が政治力を発揮するにはまずもってこのアメリカの現状、内戦の背景と本質を正確に把握する必要がある。2016年、かくして愛すべきレポーター森山サトル君は瓦礫と化したロスアンゼルス空港に降り立ったのである。 ...続きを見る

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2006/10/19 01:40
10月の読書
井上尚登の『北京詐劇』を読んだからではないがその延長で面白そうな中国ものを読もうと思います。 ...続きを見る

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2006/10/09 16:09
井上尚登 『T.R.Y. 北京詐劇 ペキン・コンフィデンシャル』久々の大型コンゲームロマン
装丁帯にこうある。 天才詐欺師、伊沢修が帰ってきた!総統に、皇帝の座を。詐欺師には、財宝を! 甲骨文字に隠された謎、壮大な宴席。華麗なる駆け引きが、中国の未来を変える! 時は、1916年。稀代の詐欺師VS中国最高権力者  詐欺師、武器は宮廷料理。ねらいは財宝。「遺跡をひとつ掘らせていただけませんでしょうか?」 袁世凱、野望は、皇帝即位。弱点は美味に目のないこと。 1999年に刊行された井上尚登のデビュー作『T.R.Y.』は実に印象的な作品でした。 題名からすると想像できなかった... ...続きを見る

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2006/10/06 12:30
志木市立柳瀬川図書館をたずねる。
自転車で5分、柳瀬川駅の志木駅よりのガードをくぐるとマロニエ通りに通じる。道路沿いの右手に柳瀬川図書館がある。前にいった遊学図書館よりも広々として、書庫も豊富である。AV設備やインターネット使用など設備も新しいものを取り入れてある。読書机は大きく数も多い。 マロニエ通りと名づけられているが、並木は栃の木とケヤキが道の両側に枝葉を広げている。 「前にある並木はなんですか」と職員に尋ねると、絵本を持ってきてくれた。 「この絵本にある栃の木なんですよ。マロニエとは違うのかもしれませんが同じ系... ...続きを見る

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2006/10/03 18:15
早瀬乱 『三年坂 火の夢』 首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら?
首都東京の成り立ちにはこんな不思議な伝奇、伝承があったのかしら。と首を傾げつつも本当らしさに魅了されます。 ...続きを見る

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2006/10/01 23:56
三つの「風神雷神図屏風」が出光美術館に集まった。
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一。「風神雷神図屏風」、屏風絵はあまりにも知られているためイメージすることはできたが三つもあるとは知らなかった。 琳派の三巨匠の作品が一堂に展示されるのは66年ぶりなのだそうだ。 ...続きを見る

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2006/09/30 10:10
創作怪談 第六話 『ムグッチョの唄』
ムグッチョの唄 ...続きを見る

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2006/09/24 18:33
荒山徹 『処刑御使』  あまりにも映像的な妖術合戦にいささか辟易しました。
この挿絵、怖いですね。まるで、最近の日本製ホラー映画に出てくる化け物のようです。 装丁帯にこうある。 その密使は、時空を超えてやってきた。朝鮮を侵略した仇敵を抹殺するために………。 伊藤博文、絶体絶命! 韓流も嫌韓流も唸らせる、壮大無比な伝奇時代小説、ここに誕生。 「おれは長州藩の伊藤俊輔だ。足軽以下の小者で、閣下なんて呼ばれる身分じゃない」 「今はそうでも」女は畏まった口調で答えた。 「閣下はいずれ、大日本帝国の初代内閣総理大臣――宰相におなりあそばします。わたしは、閣下が総... ...続きを見る

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2006/09/23 10:52
映画「X−MEN:ファイナル・デシジョン」を見る。
西武池袋線豊島園に「ユナイテッドシネマ豊島園」というシネマコンプレックスがあると桜台在住の歯医者さんから聞いていた。清潔感があり、十分な大画面と音響効果、なにしろ平日は空いているのが魅力だと。シネマコンプレックスなるものはいまは閉店した志木の駅前ビルにあったもののイメージしかなく、それはそれはちっぽけな映画館でしたので東京のロードショウ映画館と同じ料金はとても払う気がしないお粗末な設備でした。 歯医者さんの言ったとおり、私にはこんな都心から離れた場所にしては立派な建物、設備だと思いました。上映... ...続きを見る

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2006/09/20 17:55
続.9月の読書 昨日買った新刊本のキャッチコピー
今月中に読めるとは思っていませんが、面白そうな新刊本を買いました。 ...続きを見る

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2006/09/19 05:40
新書斎完成 室内無線ランの設定は難しかったですね。
寝室の片隅にパソコン作業場を移転しようとしました。 光ケーブルの最終接続ターミナルが移動できませんから、無線ランのセットを買い込んだのです。販売店では誰でも設定できそうな説明でしたが、素人にはかなり難しかったですね。 説明書どおりにはいきません。 販売店に電話して接続サービスを受けようとしたところ、数日待たされて2万円以上かかると説明され腹立たしくなりました。 メーカーでもそのサービスがあり、1万円以内と説明書に書いてあります。説明書に書いてあるということはかなり難しいことを前提... ...続きを見る

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2006/09/17 18:00
宮部みゆき 『名もなき毒』  もどかしさは残るが本来の宮部みゆき復活の予感
犬を連れ、散歩途中の老人がコンビニで買ったウーロン茶を飲んで悶絶死した。首都圏で発生していた無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。今田コンツェルンの社内報を編集する杉田三郎はこの犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから事件に巻き込まれる。いっぽう杉田の職場ではアルバイトをしていた26歳の娘をミスが多発するためにクビにしたことから、彼女の執拗、病的なクレームに編集局一同が振り回されている。彼女の異常な嫌がらせはやがて禍々しさが加わり杉田の家庭にまで入り込んでくる。 杉田三郎は女子高生のお... ...続きを見る

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2006/09/16 19:14
江戸文化歴史検定協会・編  『大江戸見聞録』 そりゃぁ 冗談だろう!と笑い飛ばすかこの企画
「江戸文化歴史検定」という検定制度があるのだそうだ。資格を取って金になるものならそのための指導システムも作られようが、あきらかに金にならない資格を作ってそれで稼ごうというのだから魂消た根性である。 江戸文化歴史の知識をどのくらい所持しているかをテストして3級2級1級とランク付ける。テレビのクイズ番組ではないから最高位をとったところで賞品がでるわけではない。それどころか受験料をおさめることになる。安くはない。2級が5250円、3級が4200円だ。とはいえ、江戸雑学の全国競技大会のようなも... ...続きを見る

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2006/09/15 00:07
獅子文六 『箱根山』の現場
9月9日、10日、親しい仲間ら6人で強羅から登山鉄道で少し上ったところ、中強羅の保養所で一泊する温泉旅行を楽しんだ。普段、箱根近辺でゴルフをすることがあっても、車で往来するため、新宿から小田急で強羅まで電車、強羅よりケーブルカーの経験は初めてのことだった。 ...続きを見る

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2006/09/13 17:27
今月の読書
さてなにを読もうか。 ...続きを見る

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2006/09/09 01:08
伊藤たかみ 『八月の路上に捨てる』  夫婦とはどういうものか教えてくれる芥川賞
最近の芥川賞は軽くなったと誰かが言っていた。 「軽い」との一言には重みがあるのかもしれないなと受けとめたのだが、前回の受賞作『沖で待つ』に私が好感をもったのとおなじで、この「軽い」受賞作にあるごく平凡な最近の風俗性や日常性のわかりやすさが、芥川賞にふさわしいかどうかは別として、楽しく読める作品となっている。 ...続きを見る

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2006/09/07 17:27
「ザマイカー」この雑誌はこういう使い方をするのか。
車を買い替えようかと思った。日産のプリメーラを9万2千キロ乗って、瑕だらけになっている。まだ会社勤めのころにつき合った職場に近い東京にあるディーラーから20年以上も買い換えていた。今回は自宅近辺のディーラにしようかと考えた。家内に言わせればはるか遠くにいてメンテには無関心のディーラーよりは近場のディーラーのほうが後々便利だとのこと。もっともだ。 私は買い物が下手だから、値段交渉をするにしてもコツがわからない。家内の方がうわてだ。 娘のボーイフレンドで車にはやたら詳しい青年がいる。家内... ...続きを見る

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2006/09/04 17:43
文芸春秋 九月特別号 はお得な買い物です。
芥川賞発表受賞作全文掲載とまぁ発表後にはいつものことなのだが、単行本が発刊されその広告で値段を見れば、絶対に安い買い物でしょうね。 ...続きを見る

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2006/08/31 23:56
吉村昭氏の死と長英の死 二つの死の容に思うこと
7月31日に他界された吉村昭さんの死の直前の模様が報道された。点滴の管と静脈に埋め込まれたカテーテルポートを自ら引き抜いた覚悟の死だった。病床に伏したときから延命治療を拒否していた。病院から自宅に戻っていたのだそうだ。 夫人の津村節子さんは 「家にいたからこそ、自分の死を決することができてよかったと思う」 と述懐しておられた。 ...続きを見る

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2006/08/29 20:27
吉村昭 『長英逃亡』 氏の逝去に哀悼の意を表しつつ
日立デジタル平凡社 世界大百科事典 高野長英 1804‐50(文化1‐嘉永3) 幕末の蘭学者。名は譲、のち長英、号は瑞皐(ずいこう)。陸奥水沢の生れ。幼いころ父と死別し、母方の叔父高野玄斎の養子となる。1820年(文政3)江戸に出て蘭医吉田長淑に学び、25年にシーボルトをしたって長崎に留学。シーボルト事件が起こるといち早く姿をくらまし,30年(天保1)江戸に戻って鵬町貝坂で開業、かたわら生理学の研究に従事し,32年に《西説医原枢要》6巻を著した。この年渡辺崋山を知り,蘭書を翻訳して崋山... ...続きを見る

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2006/08/27 20:56
映画 『花田少年史』を観た。
お父さん、なんでこんな映画、見に行ったの。あれは漫画や動画ではじめてイキイキしているのだと思うんだけど。実写映像なんて考えられないわ。 と娘ににらまれた。 ...続きを見る

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2006/08/27 09:04
直木賞作家、坂東眞砂子のちょっとしたスキャンダル
坂東眞砂子の作品を初めて読んだのは『狗神』だった。日本に古くから伝わる憑物伝承を正確に消化し現代の農村に甦らせたホラー小説の傑作だった。その後『死国』と『山妣』を読んでいる。『山妣』は直木賞を受賞した、大自然の凄愴の美と人間界の極彩色の地獄図を描いた記憶に残る作品だった。 ...続きを見る

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2006/08/26 00:19
図書館利用初体験
図書館を利用したことがなかった。小中学、高校の学校図書館には読みたい本などまるでなかったからだ。おそらく大学の図書館だってそうだったろう。まして公立の図書館には縁がなかった。借りて読むよりも買って読む性質でもある。もっとも貸し本屋には入り浸りのときもあった。 ...続きを見る

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2006/08/24 20:26
胸部肋骨骨折のこと
8月17日のことだ。甲府から車で30分の甲斐芙蓉CCに午後の2時に到着。雨が上がったようなのでハーフプレイを始めた。ところが途中から豪雨に変わり雷もドロドロと気味悪くなって中断した。6時半ごろから飲み始めさて部屋に戻ったのは何時になっていたのだろうか。ズボンを脱いだ拍子に。いやそこの記憶がないのだが、とにかく左胸部に強烈な痛みがあった。息が出来なくなって床にうずくまってうめいた。どうやらベッドの端にぶつけたようだ。はいずるようにして隣室の同宿の知人のもとへ行ってそのベッドでしばらく休ませ... ...続きを見る

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2006/08/21 07:43
創作怪談 第4回BK1怪談大賞のこと
ネット本屋のBK1さんとの付き合いは長い。ここは読者の書評のページがどのネット本屋より充実していて、本を買うときの参考にする価値があるし、自分でも投稿するのが実に楽しいからだ。毎年のことだがここで広く怪談を募集し、私も毎年参加している。 ...続きを見る

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2006/08/19 18:39
鏑木蓮 『東京ダモイ』 この夏一番の傑作、江戸川乱歩賞受賞の文芸ミステリー
小泉総理にとって最後の夏、公約を実行して本日8月15日に靖国参拝の美学を貫いた。最近、素朴な反戦平和論は風化しつつあるかに見えたが、むしろこの騒動があったからか今年の夏は例年よりも戦争責任を改めて考えようとする報道の特集が増えたような気がしている。われわれにとっては別に最後の夏ではないのだから、素朴な平和希求の心を愚直に語り続けることは忘れてはならないことだと思う。 ...続きを見る

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2006/08/15 23:09
やはり8月と言う月には戦争をテーマにした作品を読むのか。
吉村昭『破獄』を読みながらそんなことを感じていました。 ...続きを見る

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2006/08/12 23:52
土蜘蛛無残5 茨城のむかしむかし大昔22
当麻(たぎま)の郷 行方郡の郡庁地より東北15里ほどに当麻の郷に伝わる佐伯のこと 倭武天皇が巡幸の際、鳥日子という佐伯が命令に逆らった。このためにたちまちこれを殺された。車駕の通る道が狭くて凸凹した悪路だったためにこの地を当麻といっている。土地の人は悪路のことを「たぎたぎし」というからである。この地は土地はやせているが紫草が生えている。また、香取と香島の二つの神の子神の社がある。その周囲の山野にはイチイ、ハハソ、クリ、クヌギの林があり、イノシシ、サル、オオカミがたくさん棲んでいる。 ... ...続きを見る

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2006/08/11 12:09
吉村昭 『破獄』 去る7月31日、吉村昭さんが他界された。79歳であった。
日本の夏は死者を追憶する季節でもある。そして戦争の悲惨を語る季節でもある。 ...続きを見る

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2006/08/08 07:20
吉村昭 『破獄』のモデルは?
この小説を読んでいて主人公佐久間清太郎の叙述があまりにも真に迫っているからモデルがいてもおかしくないのだが、五寸釘の寅吉ではないことがわかったので吉村氏の創造かと思い始めていました。 ところがそうではなくやはりモデルがいることがわかりました。 ...続きを見る

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2006/08/07 12:08
去る、7月31日、作家・吉村昭さんが他界された。ご冥福をお祈りします。網走刑務所のこと
朝日新聞 戦艦武蔵」など綿密な取材に基づく記録文学から、「天狗(てんぐ)争乱」などの歴史小説まで幅広い作風で親しまれた作家の吉村昭(よしむら・あきら)さんが31日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。79歳だった。葬儀は親族のみで行い、後日「お別れの会」を開く予定。 私は氏の作品は『敵討』しか読んだことがなかった。 吉村昭『敵討』はこの武士道の悲惨と空虚をドキュメンタリー風に、感情をいれず淡々と叙述することでむしろ読後の感銘を深くさせている。 この著書には「敵討」「最後の仇討」の中篇... ...続きを見る

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2006/08/07 09:50
第13回松本清張受賞作 広川純 『一応の推定』 おそろしく地味なストーリーだが感動がじわりと
著者の広川氏は保険調査会社勤務の経験がある。60歳、作家デビューとしては高齢のほうだろう。実務経験を活かした実に渋いミステリーで、味わいは深い。第13回松本清張賞受賞作だが、第12回の城野隆『一枚摺屋』と同様、清張の名にふさわしい作品だと思った。 ...続きを見る

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2006/08/02 19:16
映画 『日本沈没』 大掛かりなパニック映画として楽しめる。
会社勤めを終えて時間をもてあますことになるのはいま少し先になるのかもしれない。毎日、飲み会や、ゴルフやマージャンで家にじっとしていることにはなっていないからだ。妻と一緒に映画を観る。久しぶりのことである。 有楽座。日比谷映画とかここは昔はよく出向いた映画館だからと有楽町の地下鉄を降りて歩いてみたのだが風景が変わってなかなか見つからなかった。 えっつ マリオンの前だったのかと。移転したのでしょうと妻が言う。そう思う。切符売り場のオネエチャンに移転したのですかと訊ねると、前からここですと答え... ...続きを見る

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2006/07/31 08:00
苫小牧カントリー倶楽部ブルックスコース
北海道ツアーの最終日 7月21日 ...続きを見る

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2006/07/30 18:05
鮫島淳一郎 『北海道の樹木』
北海道の魅力は雄大な自然景観にある。私は北海道へ赴任するまで森林は針葉樹林でなりたっているのかと誤解していた。寒冷地はそうなのだと思い込んでいたからだ。ところがそうではなかった。本州の山は圧倒的に杉だが北海道は広葉樹林に覆われていると言ってよい。そのため紅葉の時期には本州では経験できない広大な自然の美を眺望することができるのだ。 ゴルフ場にある樹木の名前だけでも覚えたいと思ってこの本を買った。そのときはかなり覚えたつもりが今度きてみてほとんど忘れてしまっていた。 苔の洞門の管理人と話しこ... ...続きを見る

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2006/07/29 23:51
加藤廣 『秀吉の枷』 成り上がりものの悲哀
加藤廣氏は2005年『信長の棺』でデビュー、75歳と言う高齢のベストセラー作家の誕生に驚いた。『信長の棺』は小泉首相の愛読書だと喧伝が先行していた作品だった。小泉さんの愛読となればそれなりに成功した政治家の特別の関心事でも書いてあるのだろうと、好みの小説だとは思えずまだ読んでいない。 ...続きを見る

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2006/07/28 08:44
7月20日 札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース
9月になると全日空オープン。ホテルからタクシーで20分、広葉樹林にすっぽりと包まれたいかにも北海道らしい自然の豊かさを満喫できるコースです。札幌勤務の頃はメンバーになっていてかなりの経験があったはずだが、それほどゴルフには夢中になれなかった方だから、レイアウトもほとんど記憶にない。 曇り。このところ雨が多かったとかでバンカーは固まっていて難儀しました。グリーンは速かった。ラフはきつかった。つまり難しかったということで、昨晩の飲みすぎのせいではない。100を切ることはできませんでした。 ... ...続きを見る

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2006/07/27 07:09
今朝の朝日新聞 金大中事件の真相に関して 梁石日『死は炎のごとく』
朝日新聞報道の抜粋 73年8月に東京で起きた金大中(キム・デジュン)氏(後に大統領)拉致事件について、韓国政府の真実究明委員会は、当時の情報機関・中央情報部(KCIA)による組織ぐるみの犯行と断定する報告書をまとめた。近くKCIAの後身の国家情報院が公表する。韓国歴代政権は一貫して事件への関与を否定してきており、政府として認めるのは初めて。報告書は当時の李厚洛(イ・フラク)KCIA部長が直接犯行を指示し、二十数人が役割を分担したことを確認。焦点とされた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領自身の指... ...続きを見る

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2006/07/26 08:41
札幌の町が変わった。
10年もたつのだから当然のことだけど、とくにJR札幌駅付近の開発が進んでここは全く変貌していました。拓銀、丸井今井が破綻して、大通りの商店街の殷賑もピークを打ったのだろう。札幌駅にはデパートでは大丸、家電の大型販売店が軒並み大繁盛のようでした。 「遊ぜん」南1条西5丁目郵船会館ビルB1Fにて宴会 女性二人と元運転手、われわれ三人。たらふく飲み食いして3万円だから安い! 思いがけない毛ガニにうれしくなった。 ホッケの開き、イカの塩辛、それに姫ダラと予定のものをたっぷり堪能する。 ... ...続きを見る

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2006/07/24 14:57
北海道のうまいもの 北海道の読書といえば
平成6年から8年を札幌で過ごした。10年振りである。 ...続きを見る

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2006/07/24 00:16
北海道でゴルフ
7月19日 ANA羽田発11:00にて札幌へむかう。 半年前から計画していたゴルフツアーだ。志木駅から羽田までバスが出ていることを教えてくれたのは家内だった。首都高のあの混雑を知っているものとしては正確に運行できるはずはないとそれでも余裕をたっぷりにして乗り込んだところ、私の知らなかった高速道路のルートを複雑に選んで、1時間50分、予定より10分ほど時間がかかったが、到着したのには驚いた。 仲間は札幌支店に勤務していたもの、立花君と高橋君。高橋君は仕事の関係で夕刻の便になる。 持参して... ...続きを見る

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2006/07/23 09:16
小松左京+谷甲州 『日本沈没 第二部』2 私の期待が大きすぎたのかもしれない。
「異変」から25年が経過した。かつて日本国家の存在した海域は領土の帰属、資源開発問題など複雑な国際問題を封印する形で不可侵の「制限海域」とされている。本格的調査は実施されていない。海図の整備もなし。観測衛星では大雑把な地形程度しかわからない。そして日本政府はここで中国らしき国による利権確保のための軍事的行動が開始されていることを視認する。 と緊張した物語のスタートである。 ...続きを見る

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2006/07/16 16:36
小松左京+谷甲州 『日本沈没 第二部』  長かった33年を経て期待の続編のできばえはいかに?
映画『日本沈没』がまもなく封切られる。目下、日経「私の履歴書」は小松左京氏である。このタイミングで待ちくたびれて忘れかけていた『日本沈没』の第二部がついに発表された。 ...続きを見る

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2006/07/09 16:15
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>2  なるほどこれは危険な作品だ
スタヴローギンを「神になりたかった男」と指摘した亀山郁夫氏は神についてかなり個性的なイメージをお持ちのようだ。しかし、信仰を持たない私にはとてもわかりやすい共感できるイメージです。 ...続きを見る

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2006/07/08 16:20
亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>目からうろこの『悪霊』解説
タイトルに「神になりたかった男」とありますが、日本の歴史上の人物で言えば、魔王と恐れられた革命児織田信長をイメージしてしまいます。最近流行の解釈ですよね。信長の野心は天皇の地位の簒奪にあったとか、神の国を造り自らが神としてその国の王たらんとしたなど。この場合の「神」は俗世界を政治機構の頂点で支配する神様のような超絶の専制者として使われているのです。 ところが『悪霊』の主人公、悪魔的超人スタヴローギンですが、俗世界の専制者になろうとする野心を持っていたかといえばまるでそんなことはない。ピ... ...続きを見る

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2006/07/07 11:15
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦21 スタヴローギンの悪魔性2
「広島 女児殺害事件 4日判決」 今朝のNHKニュースより この事件は、去年11月、広島市安芸区で、下校中だった小学1年生の木下あいりさん(当時7歳)が殺害されたもので、近くに住んでいたペルー人のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(34)が殺人や強制わいせつ致死など4つの罪に問われています。裁判で、検察側は「犯行には幼女への異常な性癖が表れ、罪を軽くするためのうそを重ねるなど、反省の態度もなく、極刑で臨むべきだ」として、死刑を求刑しています。これに対し、弁護側は「女の子を殺すつもりは... ...続きを見る

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2006/07/04 09:30
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦20 スタヴローギンの悪魔性
『悪霊』を一通り読んで、それも三度か四度にはなっただろうが、最近になってどうも読み方に手落ちがあったことに気づかされたのです。 ...続きを見る

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2006/07/03 09:23
ローリー・リン・ドラモンド 『あなたに不利な証拠として』この不条理に耐えられるか。
著者は警察官の経験があると訳者あとがきで紹介されているが、これはまさしく警察小説である。ただし、かなり異色だ。五人の女性警察官が一人称で語る短編集だが、事件そのものの不可解性よりも人間性に共通して潜むマイナスベクトルを丹念に時には残酷に切り開いてみせる。そしてそれもまた不可解のままに放置される。 ...続きを見る

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2006/06/12 12:57
福井晴敏 『Op.ローズダスト」著者らしさのあふれる問題の多い問題作
国家の体をなさなくなった日本。憂国の野心は世論を巻き込みそのメルトダウンを加速。劇場型で進行する国家転覆の大陰謀。2006年、戦場と化した東京。劇画的細密描写が描く空前の日本沈没。 ...続きを見る

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2006/05/23 12:44
宮本昌孝 『風魔』 めったにお目にかかれないバトルシーンの連続だ。
「風魔一族」。忍法小説に時折見かける、らっぱ集団である。実際、小田原北条家につかえ、北条軍団の系列下でゲリラ戦、攪乱戦、諜報戦を得意とする武装集団だったようだ。『北条五代記』には武田勝頼軍をさんざ悩ませた黄瀬川の戦いが紹介されている。そこでは頭領の風魔小太郎について、身の丈七尺二寸、筋骨隆々として、眼は逆さまに裂け、牙四本が剥き出ているというから、さながら魔人と言ったところか。家康が関東を制圧した頃には盗人集団と化し、小太郎は処刑されたという説もある。 ...続きを見る

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2006/05/03 20:07
映画化決定 東野圭吾 『手紙』………だそうです。
この「サンスポ芸能ニュース」によれば『白夜行』に続き主演は山本孝之だそうです。生野慈監督が原作の感動をどう映像化するか楽しみです。 ...続きを見る

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2006/04/28 11:34
半村良 『産霊山秘録』 これぞSF伝奇小説の歴史的傑作だ。
おどろおどろしい感がするが産霊山、<むすびのやま>と読む。30数年も前に書かれた半村良を代表するSF伝奇小説である。 ...続きを見る

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2006/04/19 15:01
速水敏彦 『他人を見下す若者たち』 時代遅れの発言と見下されても言っておきたいことがある
ごく最近のことだ。滅多にないことだが、身近にいる若者の何人かと個人的な就職問題でいささか深刻な会話をした。その体験から本著を読んでみる気になったのだが、直後のせいもあってひとつひとつの分析結果がいちいちもっともだと思われてならなかった。 その後、ある大企業の部長職に 「最近の若者はキレるそうだが職場で実際そうか」 とたずねてみた。 「仕事上でキレて問題をおこすことはありませんね。結構一生懸命にやってくれますよ。ただし、相当なストレスがかかっているでしょうから、職場を離れたところでキレ... ...続きを見る

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2006/04/05 23:47
江川卓 『ドストエフスキー』ドストエフスキーと直接向き合う人のために
新書版で「ドストエフスキー」と表題されていればこれはドストエフスキーのひととなりをを概説したもので、これからその作品群を読み始める人のためのいわば入門書かと思われがちである。あるいは一般教養として、この世界史的な文豪をちょとかじっておこうと手に取る人も多いだろう。だがその当ては完全にはずされる。 ...続きを見る

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2006/03/28 11:22
グレッグ・ルッカ 『逸脱者』 過激なアクションストーリーをゲーム感覚で楽しもう
先日読んだジャン=クリストフ・グランジェ『狼の帝国』はフランス製のハードバイオレンスだったが本書は本家アメリカの活劇小説である。新刊の読みたい本が見あたらなくなった間隙には古典かさもなければこのような過激なアクションストーリーを楽しむに限る。特に通勤途上では絶好のエンターテインメントだ。 ...続きを見る

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2006/03/20 22:30
西木正明『間諜二葉亭四迷』につき蛇足のひとこと
西木正明のノンフィクション・ノベルに限らず歴史小説、時代小説、伝奇小説など一般的に知られる史実と、作者の想像である虚構が入りくんだ作品を読むと虚実の境目を知りたくなってくるものです。それからたとえば「二葉亭四迷」が登場すると、著名人だけに私がほとんど知らない人物であるからちょっと恥ずかしい気持ちもあって予備知識を仕入れたくなることもあります。 そのときは百科事典がいちばん参考になるのですが、利用するにあたりあまり簡便とは言えません。これは従来の書籍タイプではなくデジタル化したものがはるかに優れ... ...続きを見る

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2006/03/17 12:57
西木正明 『間諜 二葉亭四迷』 あの文豪がスパイだった!!??
たとえば『冬のアゼリア 大正十年・裕仁皇太子拉致暗殺計画』、『一場の夢 二人の「ひばり」と三代目の昭和』など西木正明の作品は実名が入ったセンセーショナルな副題に目を奪われるのだが、この作品は本題からして『間諜 二葉亭四迷』、あの文豪がスパイだったのかとギョッとさせれらます。 著者の得意とする歴史秘話にあたるが、この作品は日露戦争における陸軍の謀略工作を背景としている。 ...続きを見る

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2006/03/15 10:16
ジャン=クリストフ・グランジェ 『狼の帝国』 狼よ死ね!フランス万歳!
「狼よ死ね!!!フランス万歳!!」とはどこにも書かれてはいないのだが。「狼よ死ね!!!フランスは死んでいる!!」との怨み節が聞こえる。 『クリムゾン・リバー』、小説と映画で華々しく日本にデビューしたフランス人作家の最新作。これもまたジャン・レノが主演でタイトルは『エンパイア オブ ザウルフ』として映画化、公開されている。 ...続きを見る

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2006/03/06 22:50
絲山秋子 『沖で待つ』 職場の男女関係のあたらしい形
芥川賞受賞、サラリーマンのありきたりの日常生活を舞台にした作品なんて初めてでしょうね。半分はまだサラリーマンであるこのオジサンの実感ですが、その日常の切り取り方がとても新鮮でした。 ...続きを見る

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2006/02/27 16:08
「イエスの生涯 /遠藤周作」について
「イエスの生涯 /遠藤周作」について Thanatosさんのこの記事を見て遠藤周作のキリスト観をどう受け止めるのかについて共通するところがありました。 私も「沈黙』から本著『イエスの生涯』や『死海のほとり』など一連のテーマを読んで 「イエスの行動に計算があるとの感じ」あるいはキリスト教にあるある種のいかがわしさを拭えなかったのですが、現実に世界中のおおくの人々が長い歴史の中で心の支えにしているその重みには圧倒されるのです。だから、信仰する境地にはなれなくともちゃんと理解してみようと思ったもの... ...続きを見る

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2006/02/27 10:39
西木正明 『一場の夢 二人の「ひばり」と三代目の昭和』よみがえる美空ひばり伝説
もう一人の美空ひばりが実在した!と序章からセンセーショナルであるが、あくまでもあの国民的歌手・美空ひばりの波乱に満ちた人生をたどる。彼女の実像は? ...続きを見る

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2006/02/23 11:21
佐藤賢一 『カポネ』 なんとしてでもアメリカ人になってやる。「下流社会」より抜け出ようとした若者。
「悪の権化」、カポネ。「法の守護神」、ネス。なんとしても「アメリカ人」になりたい!「下流社会」からの飛翔のエネルギーをたぎらせ二人のアメリカ人は大物への道を驀進する。アメリカンドリーム! 善悪を超越し、旧弊を壊して若者はひらすら疾駆する。大衆の熱狂はそのかっこよさに声援をおくる。時代の寵児。しかし栄光の座を手にしたとたん転落が始まる。守旧派の巻き返し。大衆の熱狂は糾弾へと転じた。 と、これはこのほど証券取引法違反で起訴されたあの男の話ではない。しかし、あの男に読ませてやりたいほど近似性が... ...続きを見る

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2006/02/14 22:10
真保裕一『繋がれた明日』3月、NHK連続テレビドラマ化
19歳の若者が殺人を犯す。 懲役刑。 仮釈放で社会復帰した彼を待っていたのは冷たい世間の眼であった。 そして更生の道は険しい。 と現代版「罪と罰」。 被害者の家族の憎しみをぶつけて「償い」のあり方を問う。 ...続きを見る

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2006/02/08 15:09
佐々木譲 『駿女』 退屈で退屈で読み終えるのがしんどかったなぁ
昨年のNHK大河ドラマ「義経」は藤原泰衡に義経主従が討たれるところで完結しているがこの作品はその後のいわゆる奥州合戦、藤原一族とともにあった奥州豪族たちの鎌倉政権への叛乱と頼朝の軍勢に敗北していく末路を描いている。奥州合戦が奥州征討とも呼ばれるように先住民族・蝦夷に対する大和民族の征服史の一環でもあるところからこの作品でも古代から引き継がれている蝦夷の抵抗精神が織り込まれている。 ...続きを見る

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2006/02/08 00:45
今明らかにされた金大中拉致事件の真相とこのミステリー
今日の朝刊に発表された「金大中事件の真相」をみてすぐにこの小説を思い浮かべました。やはりこれに書かれていたようなことだったんですね。国家ぐるみの犯罪。主権を侵犯する大事件が闇に葬られたんだ。 ...続きを見る

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2006/02/06 10:53
ドナ・W・クロス 『女教皇ヨハンナ』下 白熱の大歴史小説。灼熱の恋愛が感動を誘う
真理を求めて、世のため人のために。 ヨハンナは聖職者としての途を歩む。 だが、キリスト教の「真実」は決してそんなものではなかった。 著者は佐藤賢一の中世西洋歴史小説と同様人間を呪縛する宗教世界を痛烈に告発する。 ...続きを見る

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2006/02/03 16:00
ドナ・W・クロス 『女教皇ヨハンナ』まさかこんなにスリリングな小説だったとは!!
「カトリック教会の公式記録から抹消され、伝承のみに語られてきた男装の女教皇。激動の中世ヨーロッパを舞台に、史実の間から謎の女性教皇の姿が浮かび上がる!歴史大河ロマンス」 とコピーを見ると、これはいくつもの文献を引用して歴史の裏をひもといたノンフィクション系フィクションか。堅物のそれなら襟を正して読むべきと腹を据えたものだが、とんでもない、冒頭からのサスペンスタッチに、危機又危機の連続と冒険小説なみの興奮。 読み出したら止められない。 これはいわばジェットコースター型エンタテインメントのジ... ...続きを見る

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2006/02/03 13:20
マーロン・ブランド『片目のジャック』についての戯れ言
なかなかの人格者である某大企業の社長さんと会食して共通の趣味の古い映画の話題に夢中になった。西部劇の数々を蘊蓄したところでマーロン・ブランドが監督・主演した異色作『片目のジャック』に及んだ。二人ともその映画を見たという印象だけで内容は忘れてしまっていた。 ところでと、社長が思わせぶりに私にたずねてきた。 「あのとき、マーロン・ブランドはどちらの目にアイパッチをつけていたんでしたかねぇ?」 これはあえて知りながらする、相当に意地の悪いトリッキーな問いかけだ。 前回の会食の時は「紅葉狩り」は... ...続きを見る

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2006/01/27 21:28
ホリエモンの犯罪と二つのミステリー作品
会社は誰のためにあるのか?と問われる。かなり前なら顧客のためあるいは社会のためと答えただろう。十年前だったらこれに従業員のためと付け加えたものだ。ところがある日突然、株主のためというアメリカ流の価値観が台頭してきて、それはそうだ、気が付いていなかったと反省したこともあった。日本人だからまぁこのバランスが大切なんだと思っていたら、顧客や社会や従業員はそっちのけで、株主だけのためにあるのだと言われてびっくり。それでも株主さんは会社のの健全な発展を希求しているのだからまるくおさまることになるのかなと信... ...続きを見る

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2006/01/24 12:33
荒山徹 『柳生薔薇剣』 アナクロかもしれないがとにかく面白い。
「司馬遼太郎の透徹した歴史観と山田風太郎の奇想天外な構想力、さらに柴田錬三郎の波瀾万丈の物語展開を受け継ぐ時代小説作家がついに誕生した」文芸評論家・菊池仁 とこの賛辞はポイントをついているのだが、「ついに誕生した」とは認識不足じゃないか。 『高麗秘帳』に始まり『魔風海峡』 『魔岩伝説』 『十兵衛両断』と時代小説に新風を吹き込んだエンターテイナー、著者の実力はすでに定着しています。 ...続きを見る

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2006/01/23 16:11
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 この作品の本当の「凄さ」を語ろう。
しかしこの作品の本当の「凄さ」は危ういまでに研ぎすまされた著者の時代感覚、透徹した洞察、大胆な社会風刺に見いだせよう。夢野久作は「人間に潜在する怪奇美、醜悪美を暴露し、読者を戦慄させる作品」としたようだが、それは言論封殺の時代的脅迫を感じたからのいいわけだったのではないだろうか。 ...続きを見る

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2006/01/20 13:30
夢野久作 『ドグラ・マグラ』 読みにくいこの長編をよんでみた
『ドグラ・マグラ』と題名からしてまぁ毒のマタグラのような醜怪な装い。これは長崎地方の方言で切支丹伴天連の幻魔術なのだそうだ。 ...続きを見る

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2006/01/19 19:21
ヴァン・ダイン 『僧正殺人事件』 本格探偵小説の古典をあじわう。その古臭さ
ところで当たり前のことだが「古典だな」と古臭さを感じるところにも気づかされる。 ...続きを見る

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2006/01/13 00:24
ヴァン・ダイン 『僧正殺人事件』 本格探偵小説の古典的名作の味わい 古臭さのないところ
清張以降の「社会派」になじんだミステリーファンには私のように本格探偵小説にさほど魅力を感じない人たちがいるのではないかと思う。わたしはそれでもときおり新本格派として登場していたものを読むが、周囲にいるオジサン族に薦められる作品にはお目にかかることはなかった。人生の古ダヌキたちには情感を揺さぶられる小説が好きでも、純粋な論理的謎解きゲームに仕掛けられた騙される快感を良しとする洒落たてあいがいなかったこともあるのだが、新本格のたいがいの作品が重厚長大でスマートさに欠けるところが大きく、忙しい時を... ...続きを見る

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2006/01/12 19:53
宮部みゆき『孤宿の人』 これぞ宮部ワールドの感動生産装置
これだけ肉厚の歴史的素材を集中させ、いよいよ宮部みゆきが本格時代小説に挑戦したと思わせる長編であったが……… ...続きを見る

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2006/01/06 23:39
村上龍 『半島を出よ』下 私には受け入れがたいところがあった。
北朝鮮軍の侵略に対し拱手傍観、ていたらくの日本に村上龍は暴力には暴力でと迎え撃つ二十人ほどの少年集団を設定している。20歳にも満たない少人数のシロウトが500人の軍隊を翻弄するのだから、この荒唐無稽の戦闘ディテールだけでも娯楽性たっぷりでひきつけられよう。 ...続きを見る

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2005/12/26 14:15
村上龍 『半島を出よ』  上 過激で危険な現代の寓話なのだ
冷戦後の仁義なき大競争時代に取り残されたニッポン。この不安と焦燥に満ちた現代を村上流に延長し、危機の構造を戯画化した作品として注目すべき、これは寓話でしょうね。 ...続きを見る

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2005/12/26 00:18
NHKドラマ『クライマーズハイ』この緊迫感を堪能する
横山秀夫原作の『クライマーズハイ』が二夜連続のテレビドラマ化されその前編が12月10日に放映された。NHKのドラマだから期待はしなかったが、これは凄かったですね。17日の後編は見逃せません。原作をかなり忠実にたどっているようです。原作を読んだ時の緊張感の高まりを同様に覚えました。 ...続きを見る

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2005/12/13 11:14
池宮彰一郎 『天下騒乱』 せっかくだから正月までに読んでおいたらいかが
毎年の正月2日にテレビ東京で10時間の時代劇ドラマが放映されている。豪華キャストで金もかけているし、筋立てもおおむねはすでに知っているお馴染み系で、はなやかな見せ場がいくつも用意されているから通しで見ていなくとも楽しめる。うつらうつらとほろ酔いながら観るには格好の番組だ。 ...続きを見る

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2005/12/12 12:26
文庫本で発売されました 宮部みゆき『模倣犯』 その読みどころ
昨日、今年の流行語大賞は「小泉劇場」とされたようです。この一年間の世相を反映し、話題となった言葉に贈られる賞であるが、受賞者となった武部幹事長が女性刺客に囲まれ「小泉オペラまで盛り上げたい」と満面の笑みを浮かべた表彰式のテレビ映像を見ていると、皮肉なことだがこの言葉に潜んでいるマスコミというものの恐るべき魔力があらためて浮き彫りにされたとの感を強くしたのです。 そしてこのタイミングで宮部みゆきの『模倣犯』が文庫化され、より読者層をひろげたことはたいへん意義のあることだと思います。 ...続きを見る

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2005/12/02 22:39
岡嶋二人 『99%の誘拐』 傑作!!ゲームとしての誘拐
誘拐を題材にして事件の周辺にある人間ドラマを描く作品は別として、身代金略取を企てる人質誘拐犯行のプロセスそのもののを主軸にしているミステリーもいくつか読んでいる。読んだその時にはおもしろいと感じた作品もないではないが、ほとんどが肝心な仕掛けの部分すら思い出せないものだ。 ...続きを見る

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2005/12/01 00:07
東野圭吾 『容疑者Xの献身』 みごとに騙される傑作だが………
他人様をたぶらかすことに無上の喜びを感じるペテン師の「私」はたぶらかされることにも快感を覚えるタチなものだから、小説は謎解き型のミステリーを好んで読む。なかなか快感傑作はないのだが、これは完璧であったよ。 ...続きを見る

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2005/11/27 18:28
読了! 高村薫 『新リア王』上・下  圧倒された読後感をつづる
どうやら高村は福澤榮を戦後の本来的保守政治家を総合して割ったような抽象的政治人間として登場させたようだ。政治論、権力構造論、民主主義の現実、国家論、世界観など、政治的個体であると同時に、一族の頭領であり、父であり、夫である人間・榮が思索をつむぐ。言葉で語る。 ...続きを見る

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2005/11/23 19:31
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦19 超人
「悪魔的超人スタヴローギン」、「非凡な頭脳と繊細な感受性そして超人的な体力に恵まれながら、思想も感情も分裂し、悪徳と虚無に生きる呪われた男スタヴローギン」と文庫本のキャッチコピーで表現されるのを見てスタヴローギンにアメリカ漫画にあるヒーロー・スーパーマンを想像するのは粗忽だと思うのだが、すくなくともこんなエキセントリックな表現ではこの超人があの哲学的思索の産物だとピンとくるのは難しいでしょうね。 ...続きを見る

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2005/11/21 13:02
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦18 神の死
今アメリカでは「知的設計論」とよばれる新創造主論が勢力を強めつつある。「知的設計=インテリジェント・デザイン」とは人間が下等な生物から進化した点を認めながら「生命の精妙な発展は偶然だけでは説明できない。何者かによる知的な計らいが進化の方向を決めた」とする主張でこの設計主を「神」だと明言しないところで従来の反進化論と異なるところがミソらしい。 そしてこの新・反進化論を学校で教えるべきとの圧力が強まっているのだそうだ。キリスト教右派が政治力を強めている。ブッシュもこの説を学校で教えることを容認す... ...続きを見る

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2005/11/20 00:06
高村薫 『新リア王』上 シェークスピア『リア王』との関連
ところで福澤榮はなぜリア王に見立てられたのか、リア王が悲劇であるならば福澤の悲劇とはなんなのか、勝手に推測してみた。 ...続きを見る

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2005/11/18 00:20
高村薫『新リア王』上 感想 その2 彰之は語る
尋常ならざる修行、心身を苛む苦行の日々のなかでいまだ悟りを得られぬ己への煩悶が繰り返し繰り返し告白される。仏教の専門用語が解説抜きで氾濫するのだが、読み手としてはここは無理に深く理解しようとせず、、大雑把に感覚だけで消化してしまうのも方便であろう。 ...続きを見る

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2005/11/17 15:14
高村薫 『新リア王』上巻の感想その1
『新リア王』の冒頭は血のつながりがある父子とはいえ、因業ただならぬ男同士の初めて交わす対話なのです。そして福澤榮。 ところが「対話」というよりもまず榮という政治的人間の半生が「独白」で延々と綴られる。この話し言葉になっていない、まるで一人芝居のようなセリフのとどまることない奔流にまず驚かされた。それは戦後政治のいわゆる55年体制を生きた政治家の半生であるから、時間軸を後に先にしながら実在した具体的な人物、実際にあった政治劇があふれるように登場して、あたかも政治事件小説かのような誤った印象をあ... ...続きを見る

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2005/11/14 13:32
高村薫『新リア王』読書中の感想 『晴子情歌』との結節点
「この雪の昏さなんだろう」「この真闇は人も獣もない原始のように暴力的だ」まるでこの作品を象徴するかのように混迷の深奥から立ち上がる冒頭の第一節である。 時は1987年11月、場所は雪に埋もれた西津軽、曹洞宗の草庵・普門庵。衆議院議員、自民党田中派の長老格、青森県に君臨する福澤王国の王・榮(75歳)が僧侶となった実子・彰之を訪ねる。 と、物語がスタートするのだけれど、これは前作『晴子情歌』との結節点を整理しておいた方が良さそうだ。 ...続きを見る

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2005/11/10 13:12
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦17 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」2
ヴェーバーはプロテスタンティズムというキリスト教信仰の生活様式の中に資本増殖の合理性を見いだしたのであるが、同時に富の蓄積運動、営利追求そのものが目的化して、キリスト者にあるべき信仰、禁欲的労働、職業的倫理が喪失しつつある資本主義社会を見詰めていたのです。 ヴェーバーがこの著作を著す半世紀も前からロシアでは同じような視点でローマ・カトリックを批判する思想が生まれていたんですね。プロテスタントではなくカトリックなのですが、同じですね。キリスト教として同質にある合理主義が西欧社会に現出させた混乱... ...続きを見る

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2005/11/07 23:51
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦16 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」1
先日テレビの報道番組、楽天の三木谷社長とセブン&アイ(イトーヨーカ堂)CEOの鈴木会長たち。突如大株主として登場し、TBSに楽天との持ち株会社設立を強行しようとしている三木谷氏、いっぽう、受けて立つ側はかつて経済界のニューリーダーとして新しい経営スタイルで国際的にも成功してきた日本企業経営のベテラン。 鈴木氏 「しかし、君ねぇ。マックス・ヴェーバーの言う『倫理』ってもんが………」 とこの引き合いに出した『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』。 今年はこの論文発表の百年めにあたる... ...続きを見る

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2005/11/04 23:51
16歳少女の母親毒殺未遂事件と「参考書」に思うこと
静岡県下で今進行している事件のことだけれど、捜査中だから事件や少女の内心そのものを野次馬的にあれこれ詮索するつもりはなく、ただミステリーをよく読んでいるものだから、ある古典的名作のことがふっと思い浮かんだ。 ...続きを見る

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2005/11/04 11:13
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦15 資本の自己増殖に不可欠だった巨大インフラ
昨日、東京証券市場がプログラムのミスでシステム障害を起こし午前中の取引ができずマーケットは大混乱しました。これを日経紙のコラムが取り上げています。 十数年前、統制経済からの移行が始まったばかりのロシアで、仲間と民間企業を立ち上げた経営者から、市場経済への愚痴をさんざん聞かされた覚えがある。彼が言うには、会社法制などルールづくりが遅れているので仲間がてんで勝手なことをし、会社の経営が混乱を極めている。こんなはずじゃなかったと。市場は万能ではない。市場が機能するのは法制度や情報システムなどのイン... ...続きを見る

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2005/11/02 23:54
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦14 「ロシア的なるもの」
「ロシア的なるもの」。『 悪霊』を読むにはこの曖昧な「ロシア的なるもの」とか「ロシア人とは」とする語感を緊張して受けとめる必要がありますね。 ...続きを見る

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2005/11/01 23:59
北方謙三 『水滸伝 』 第十九巻 「旌旗の章」 壮大なドラマここに完結する
不正が世を覆い、悪が巷にはびこる。権力は私利私欲をむさぼり、人民は苛斂誅求に呻吟する。農民は流民や盗賊に群れ、優秀な官吏・軍人は高潔さが疎まれる。天才的技能を持つ商工業者、教育者、医師、薬師、建築家たちもスポイルされた。彼らのやり場のない憤怒のエネルギーは世直し=替天行道の旗の下、新国家建設へと収斂していく。 ...続きを見る

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2005/10/31 23:11
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦13 キリスト教の倫理と合理主義の精神
スタヴローギンの役割こそがおそらく『悪霊』の本質的テーマであろうと思われます。これを理解するには当時のロシアにおけるキリスト教のポジションをもう少し掘り下げておいた方が的確ではないだろうか。そのためにはユダヤ教とギリシア思想とがまさにエポックメーキングな融合をはたすところに着目することが必要です。 ...続きを見る

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2005/10/29 19:45
ついに北方謙三『水滸伝』最終巻が刊行されました。
いよいよですね。北方謙三『水滸伝』第19巻完結編。本日の全国紙にページ全面広告。派手にやっています。とにかく面白かったですね。すぐに買ってラストを楽しもう。 スペシャリストが時代を変える 水滸伝は108名の個性集団が国家改革に挑む壮大なドラマです。この108人の人たちは、それぞれに専門的な能力を備えた超人的なスペシャリストであり、彼らが「志」をひとつにしてドリームチームを結成することで、「改革」は成し遂げられていきます。そう、いつの世も時代を変えるのは、独自の専門的なスキルと強固なチームワー... ...続きを見る

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2005/10/26 10:41
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦12 若者たちが企てた「革命」とは?
ペテルブルグから少し距離のある地方の県庁所在地で若者たちは「革命」の烽火をあげることを意図するのであるが、はじめに通読した限りではだれがなんのためになにをしたのかががアタマに入りませんでした。そこでこの骨格だけは整理しておく必要がありました。 ...続きを見る

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2005/10/25 23:39
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦11 宗教論4
巻頭に付せられているもう一つのエピグラフはプーシキンの詩です。 ...続きを見る

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2005/10/24 22:58
再読 京極夏彦『鉄鼠の檻』 京極堂シリーズの最高傑作
札幌から一時間半、京極。当時は札幌単身赴任でしばしばこの町を訪ねたものです。「京極の銘水」。羊蹄山の雪水が何十年にわたって濾過されここに溢れて吹き出しています。この清浄な水に含まれる鉄分のような……… 大勢の人がポリバケツでこの名水をくみ出し、生活に商売に利用しています。私は緑茶用にこれを使っていました。実においしい清水であります。とにかくミネラル特に鉄分を多く含んでいることがわかる。一週間とは汲み置きができません。なぜなら鉄分が酸化して、ちょうど血をなめたような味に変化してしまうのです。 ... ...続きを見る

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2005/10/22 00:29
文庫本が出ました。帚木蓬生『エンブリオ』 ギョッとする生殖医学の最先端。
帚木蓬生『エンブリオ』 かつて山崎豊子は「白い巨塔」で人の命をあずかる医療業界の腐敗、権力闘争を描き、社会的注目を浴びた。同じく医療業界のお話なのだが………。 生真面目な作品が続いた帚木蓬生にしては医療業界の新しい分野における恐るべき「犯罪」を大胆に描いて読者の背筋をふるえあがらせる。テーマは深いところにあるのはわかるが、とにかくグロテスクなエピーソードの氾濫に度肝を抜かれる。  ...続きを見る

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2005/10/21 20:17
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦10 宗教論3
スラブ民族にも10世紀ぐらいまでは日本民族と同じようなカミサマがいました。ただスラブ民族は9世紀以前には文字を持たなかったためにこういう神話が記録としては残っていないようです。 ...続きを見る

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2005/10/19 22:25
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦9 宗教論2
「宗教というものはキリスト教にしろ仏教にしろ人間の生き方を教え諭すところがあるものなのにどうして神道にはそれがないのでしょうか」 十数年も前のことでしょうか、結婚式場、貸衣装、レストランを経営している神社の宮司さんにたずねたことがあります。 宮司さんが答えてくれた記憶はありませんが、今思うにこれは愚問でした。キリスト教の神と神道の神(日本人が古くから信仰している土俗のカミサマを含めて)全然異質なものでカミ合わないものなんですね。 ...続きを見る

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2005/10/18 23:32
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦8 宗教論1
『悪霊』の巻頭には二つのエピグラフが付せられている。その一つがルカ福音書からの次の引用である。イエスが顕す奇跡である。 そこなる山べに、おぴただしき豚の群れ、飼われありしかぱ、悪霊ども、その豚に入ることを許せと願えり。 イエス許したもう。悪霊ども、人より出でて豚に入りたれば、 その群れ、崖より湖に駆けくだりて溺る。牧者ども、起りしことを見るや、 逃げ行きて町にも村にも告げたり。 人ぴと、起りしことを見んとて、出でてイエスのもとに来たり、悪霊の離れし人の、衣服をつけ、心もたしかにて、 ... ...続きを見る

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2005/10/16 21:04
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦7 時代背景<革命運動>3
政治闘争に関連してもう一つ『悪霊』執筆の契機となったネチャーエフ事件があります。 学生運動が社会改革、革命運動の先頭に立つのはなにもフランスや戦後の日本、中国、韓国だけではなかったんですね。ネチャーエフはペテルブルグ大学の大学紛争に加わり学生運動の革命化をすすめた。「目的のためには手段を選ばず」をモットーにした過激派だったようです。架空の世界革命同盟(架空のというところはやはりこの小説の秘密結社の曖昧なところと同じですね)の代表を名のり、実際に秘密結社も組織した。ところがあまりにも教条的なと... ...続きを見る

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2005/10/14 22:17
ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦6 時代背景<革命運動>2
こうした反政府思想の広範なたかまりの中で文壇デビューまもない20代のドストエフスキーが直接巻き込まれた政府による弾圧事件がありました。ペトラシェフスキー事件です。 ...続きを見る

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2005/10/13 23:06
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦5 時代背景<革命運動>1
? ロシアの革命思想といえばせいぜい20世紀初頭のボルシェビキ政権を樹立したマルクスレーニン主義を思いつく程度だから、その前夜にあたるこの当時の反政府思想にいたってはまるで見当もつかない。ところがこの小説ではいろいろな登場人物がいろいろな考えを激論し、あげくの果てに内ゲバまで起こる、しかもそれをドストエフスキーのシニカルな色眼鏡をとおして語るのを読むのですから、大変つらいものがあります。 ...続きを見る

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2005/10/12 23:10
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦4 時代背景<農奴解放令>
物語は1869年の秋から冬にかけてロシアのある地方都市とその郊外にあるスクヴォレ−シニキという領地を舞台に展開する。この大領地を所有者し、地方政治にも強い影響力を持つ資産家がスタヴローギン家の女主人ワルワーラ夫人である。この地方都市でワルワーラ夫人を中心にやはり大地主の夫人や県知事夫人などカカア天下の上流階級の暮らしぶり、社交界の喧騒、ロシア帝政の末期的動揺が戯画的に描かれる。 ...続きを見る

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2005/10/10 22:11
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦3 腹を固めて読みましょう3
イーゲルさんからこんなコメントをいただきました。 ブログ村経由で辿りついたイーゲルと申します。『悪霊』は9度目の挑戦でようやく一周読んだ程度、もう「ナナカマド以下」という位置づけで息切れしながら読みました。 私が読んだのは新潮文庫版なのですが、文庫裏の作品紹介だと、どエライ悪の権化スタヴローギンが何かやらかしてくれるのかと期待して読んでいたら…あら?という感じでしたね。 やっぱりね。 ...続きを見る

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2005/10/09 23:54
ドストエフスキー『悪霊』への挑戦2 腹を固めて読みましょう2
ところで『悪霊』の主人公はだれだ?それはスタヴローギンに違いはない。 ...続きを見る

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2005/10/07 13:53
ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦 1 腹を固めて読みましょう1
『罪と罰』を読んでそれ以上にとりつきにくいそうな『悪霊』を読んでみましょうと思い立ちました。そこで岩波文庫、米川正夫訳を読もうとしたのですが上巻の半分も進まないうちに嫌気がさしてきたのです。自分の読み方が悪いことを棚に上げ、訳者の翻訳がいけないからこうもわかりにくいのだと思ったものですからこんどは新潮文庫、江川卓訳に挑戦しました。あまり代わり映えがしないものだと気がつきましたが、これも放棄するのはあまりにももったいないことなので、ぼちぼちと通り一遍ですが読み終えたのが半年ほど前のことです。 ... ...続きを見る

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2005/10/04 19:10
佐々木譲 『ベルリン飛行指令』 現代に通ずる男たちの孤高に生きる美学
この小説は「著者前書き」で元本田技研の取締役浅野敏彦氏から著者佐々木譲が「第二次大戦中に日本海軍の零式艦上戦闘機、いわゆるゼロ戦がドイツに飛んだ事実があるのではないか」との話を聞いたことに始まります。実在した戦争秘話とする体裁はストーリーでも一貫して、背景にある国際関係の緊張状態が生々しく伝わり、そのため、戦争という非人道の極限状況でしか生きられなかった男たちの孤高の美学が静かに現代を生きる読者のこころをとらえるのです。 1940年、三国同盟が成立したばかりの欧州戦線。ドイツ空軍がロンドン制... ...続きを見る

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2005/10/01 16:43
文庫本がでました。荒山徹『十兵衛両断』
「朝鮮は古より文を尊ぶ国柄。剣術の如き野蛮なるもの、絶えて我が国に存在せし例はござらぬ」よって妖術ノッカラノウムにより柳生十兵衛の肉体と剣技を奪いその指南を仰ぎ朝鮮国内に正統の柳生新陰流を継承する強力な暗殺部隊を養成する。 ...続きを見る

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2005/09/30 04:05
文庫本がでました。宮本昌孝『ふたり道三』
時代小説、数ある中で後世に残る大娯楽傑作が誕生した。小説のもつ娯楽性をこれほどまで高めた作品はめったにお目にかかれるものではない。斎藤道三親子が二代をかけて時に敵対し、時に相補しつつ、美濃を掌中にするまでの波乱万丈の天下争奪絵巻である。 ...続きを見る

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2005/09/29 20:00
誰もが知っているあのセリフの真相2 チャンドラー『プレイバック』
『プレイバック』清水俊二訳の 「しっかりしていなかったら、生きていられない。優しくなれなかったら、生きていく資格がない」 を名セリフとして紹介し、日本中に普及させたきっかけはやはり丸谷才一でした。 ...続きを見る

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2005/09/27 23:12
誰もが知っているあのセリフの真相 チャンドラー 『プレイバック』
「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きていく資格がない」 ハードボイルドを地でいくような、女にモテる男を象徴する名セリフです。カッコイイ!!!といつごろからか僕の脳細胞にインプットされていました。応用範囲が広い言葉だからその後なにかと便利に使用させていただいていたものです。これがレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説に登場する主人公・私立探偵マーローのセリフだと、これもだいぶ前からのことですがそんな刷り込みがあったんですね。 ...続きを見る

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2005/09/26 22:06
土蜘蛛無残4 茨城のむかしむかし大昔21
この地の国巣に夜尺斯(ヤサカシ)、夜筑斯(ヤツクシ)となのる二人がいた。ふたりは一族を束ね、穴を掘って土窟を構え、ここに常住していた。官軍の動向を用心深くうかがい、身を潜め、守りは堅かった。 ...続きを見る

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2005/09/25 18:18
土蜘蛛無残3 茨城のむかしむかし大昔20
わが故郷の江戸崎町付近にはこの土蜘蛛族の悲惨な運命の舞台となっていた模様である。 これも『常陸国風土記』行方郡の章にある伝説なのだが大虐殺、ホロコーストである。 潮来、浮島、阿波崎など懐かしい地名が見られる。 ...続きを見る

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2005/09/24 20:49
土蜘蛛無残2 茨城のむかしむかし大昔19
能、歌舞伎にも「源頼光の鬼退治」の相手が土蜘蛛とされている作品がある。 能 流派により《土蜘》とも《土蜘蛛》とも書く。五番目物。鬼物。作者不明。シテは土蜘の精魂の鬼神。源頼光(らいこう)(ツレ)の館へ侍女の胡蝶(ツレ)が薬を持って帰って来る。頼光は重病で苦しんでいるのである。そこへ怪しげな僧(前ジテ)が現れて,頼光に蜘蛛の巣糸を投げかけるが,頼光の太刀先に傷を負い姿を消す。物音を聞いて駆けつけた独武者(ひとりむしや)(ワキ)は目ざとく血痕を見つけ,その跡をたどって怪物の行方を突きとめることにす... ...続きを見る

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2005/09/24 03:20
土蜘蛛無残 茨城のむかしむかし大昔18
「昔のことだがこのあたりには国巣(くず)と呼ばれるものが住んでおった。都知久母(つちくも)とか夜都賀波岐(やつかはぎ)ともいわれ、山の佐伯、野の佐伯と名乗っていた。 こやつらは山腹のいたるとこに穴倉をほり、いつもはその穴の中で暮らしておって、人間が近づくとすぐに穴倉にかくれるが、遠ざかれば野原にでてきて遊ぶ。オオカミの性格、フクロウの情をもっていて、ネズミのように隙を窺って掠め取るわるさをし、だれからも招かれたりかわいがられたりすることがないから、ますます、土地の風習から隔たって孤立していた。... ...続きを見る

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2005/09/23 22:58
北村薫 『盤上の敵』 見事に決まった叙述の仕掛け
ミステリー好きのメル友から北村薫の作品を推薦いただきました。北村薫はエラリー・クイーンへの思い入れがたいへん深い作家だそうです。今年がエラリー・クイーンの生誕百年にあたることから上梓した『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件簿』はEQファンでなくてもミステリ好きには楽しめること請け合いというおすすめでした。そして北村の過去の作品『盤上の敵』にふれて、これもEQ作『盤面の敵』を意識したものらしいのですが、北村薫ミステリのベストだとのコメントがついていました。 ...続きを見る

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2005/09/21 22:05
テレビドラマ 野沢尚『砦なき者」 メディアの魔性
つい先日17日でしたがたまたま再放送の『砦なき者」を見ました。 ...続きを見る

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2005/09/20 21:17
恩田陸 『夜のピクニック』  モデルがあったんですねぇこの作品に
千人を超える全校生徒が一昼夜かけて80キロを歩き通す。これが北高校の伝統行事である「歩行祭」だ。長距離歩行競争のスポーツ性と修学旅行のエキサイティングなところを合体したようなところがある。とくに三年生にとってはここでなにかいい思い出をつくっておきたい、新しい自分を発見したい、友情を確認しておきたいなど若者らしいセンチメンタルな気分の高揚から全員が全行程踏破の意欲に燃えている。朝から翌日の朝までの歩行あるからタイトルの「夜の」だけではないのだが、あえてそうしたのは普段ならありえない夜の団体行動の... ...続きを見る

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2005/09/17 19:39
明日より映画化公開 野沢尚『深紅』
2004年に野沢さんが首吊り自殺の報道を知ったときはびっくりしました。その2ヶ月ほど前に氏の最後のTVドラマになった『砦なき者」でそんなシーンがあったことを思い出しました。 ...続きを見る

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2005/09/16 21:11
話題作 島田雅彦 『退廃姉妹』 著者の伝えたいメッセージはいくつかあるようだが
日本人にとって夏は追憶の季節なのかもしれない。お盆が全国民的行事で多くの人が休暇をとって帰郷し、亡き人を偲ぶ。ついでに自分の来し方を振り返る。そしてあの戦争が終わった。その流れに乗ったわけではないのだが、朱川湊人『花まんま』に続いてこの島田雅彦『退廃姉妹』を手に取った。 ...続きを見る

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2005/09/15 00:19
「創作怪談」うらばなし 第三回怪談大賞
これまでの反省を踏まえいささかドギツイやつを作ってみました。  「さようならわたしを抱いてくれた人」  もうひとつ引き続きサラリーマンもの  「おかあさんこわいよぅ」  ...続きを見る

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2005/09/11 19:51
「創作怪談」うらばなし 第二回怪談大賞にチャレンジ
第一回の怪談大賞の選考委員は福澤徹三さんでした。かなりの評価をしていただいたことに気をよくして二回目も同じようなサラリーマンもので投稿しました。 「赤の幻影」です。 ところが佳作にも入らず選考の評議の対象にもなりませんでした。 選考委員には加門七海さんが加わっていました。 選考の模様をみますとこの先生方は怖さにインパクトがあるような怪談が好みのようです。 次回はそういう傾向がよろしいようだと思いました。 ...続きを見る

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2005/09/10 16:36
直木賞受賞作 朱川湊人 『花まんま』 どうしてこれだけ懐かしく思えるのだろう
僕にも「こういう」少年の時があったんだ。六つの短編にはいずれもどこかに既視感を覚えるような懐かしいところがあった。それは怪異現象そのものの体験ではないのだけれど、子供がうけとめる不思議現象というフィルターを通して語られる懐古談に、事実としての記憶はますますぼんやりしてしまうのだが、むしろ感性だけは浄化されて、登場する少年少女とおなじような心の働き、感情の揺らぎが僕にもまちがいなくあったんだと妙にそこだけはしみじみとして浮かび上がった。 ...続きを見る

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2005/09/09 00:02
いよいよ高村薫『新リア王』が刊行されるようです。
十月に新潮社から上下二巻だそうです。 十月の本の話題はこれで決まりかもしれません。 とにかく日経紙連載中から話題が絶えませんでした。 おそらく読んでおられた方はほとんどいなかったでしょう。 私もそうでした。 ...続きを見る

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2005/09/07 11:27
「創作怪談」うらばなし。「怪談大賞」へチャレンジ
BK1というオンライン本屋さんがありまして、二年前から夏になると怪談を募集しているんです。 遊び心が刺激されまして、第一回には三作を投稿してみました。 ...続きを見る

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2005/09/05 23:00
本年度松本清張賞受賞作 城野隆『一枚摺屋』
時代劇のドラマや映画ではおなじみですね。号外配りのような、瓦版売り。実際には当時、市中で読み売りされた一枚摺(瓦版)はニュースの媒体というよりも好色ものを中心とした娯楽的色彩の強い絵草紙だったようです。ところが反骨の人・与兵衛が制作する一枚摺は硬派で実際の出来事、「記実」=記事を扱っていたのです。御政道を批判する内容だとお上も煙たかったことでしょう ...続きを見る

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2005/09/04 23:49
薬丸岳 『天使のナイフ』最近の 江戸川乱歩賞にはなかったひさびさの傑作だ
刑事罰の対象にならない少年たちに妻を惨殺された桧山貴志。「殺してやりたい」と思わず憎しみの叫びをあげる。殺人者に対する怨みを晴らすすべがない、少年法の保護主義に対するやりばのない怒りが読者の共感を誘う。 ...続きを見る

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2005/08/31 23:05
文庫本が出ました!山田正紀 『ミステリ・オペラ』
昭和13年の満州と現代の東京、時空を隔てて奇怪な事件が起こる。 ミステリでありSFであり歴史小説のようでもある。 しかも歌劇「魔笛」も重要な素材とされ、オカルトホラーの雰囲気もたっぷり。 語りは往年の探偵小説風であり、種々のトリックが披露される。 ...続きを見る

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2005/08/28 12:27
本年のミステリー中ベストワンか 奥泉光『モーダルな事象』
瞠目すべきは巻末のオマケにある千野帽子と名乗るお方の解説。これを読むと今読み終えた作品のイメージが一変するのだから、これは巻末のオマケではなく作品そのものの最終章ではないのか。 三流の女子短大で日本近代文学を講義する俗物・「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」(副題)振りに、プッ、フフフ、ゲラゲラ、ワッハッハと何種類かの笑いを押さえようとしても抑えきれない。酔生夢死のダメ男、トホホ男。人にほめられたい、一流になりたい、カッコよく見られたい、うまいものを食いたい、女にもてたいと人一倍欲はあ... ...続きを見る

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2005/08/27 13:05
『常陸国風土記』にみる「茨城」の名前の由来2 茨城
sy地の古老はもう一つの「茨城」由来を語っている。 ...続きを見る

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2005/08/25 23:15
ノベルズ版がでました。宮部みゆき『誰か』過去の作品と比較してみると
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが 私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、 社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく 一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る

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2005/08/24 20:36
『常陸国風土記』に見る「茨城」の名前の由来  茨城
茨城郡(うばらきのこおり)は東には香島郡(かしまのこおり)南は佐我の流海(霞ヶ浦北部)西は筑波山、北は那珂郡(なかのこおり)に囲まれた一帯を言った。常陸国の国司が所在する国庁はここの石岡にあった。 ...続きを見る

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2005/08/23 23:14
文庫本が出ました。五條瑛『熱氷』 氷山ハンターの活躍は?
氷山ハンターという職業は知らなかったが、ミネラルウォーターの原料にするため氷山を採取するビジネスがあるのだそうだ。 「めぼしをつけた氷山をライフルで狙い撃ち、適度な大きさの塊に崩してから船に積む。小さな鉛の弾が当たっただけで固い氷は崩れない。安全に必要な分だけ崩すことがとても難しいのだ。無茶な崩し方をすると危険な回転が起こり、周辺にいる小型船など氷山の回転が引き起こす波に呑まれて転覆することになる」という危険な職業である。 ...続きを見る

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2005/08/21 18:08
文庫本がでました。宮本昌孝『夏雲あがれ』
これはだいぶ前に単行本で発刊されました。「青春時代小説」がうたい文句でした。 題名からすると時代小説のイメージはありません。 ところがどうしてこれがおもしろいのです。 しかも「若く明るい」青春ものです。 「青春もの」なんて言葉は通用するのかな。昔のそれを思い出しながら楽しみました。 ...続きを見る

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2005/08/19 21:03
今回の芥川賞 中村文則『土の中の子供』 純文学とはこのように暗くなければならないのだろうか
どうして暗い小説ばかり読むのかと同棲している女に<私>は答える。 「まあ、救われる気がするんだよ。いろいろ考え込んだり、世界とやっていくのを難しいと思ってるのが、自分だけじゃないってことがわかるだけでも」 どうして暗い小説ばかりが最近の「純文学」なのだろう。もっとも純文学といっても野次馬根性で読む芥川賞受賞作ぐらいなのだが、他人や世間や世界とやっていくのが難しい屈折した人間ばかり登場し、自分で作った閉塞空間に抵抗するわけはなく、むしろやすらいでいるかのようで、ただ息をしているヤツばかりでは... ...続きを見る

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2005/08/19 00:04
西木正明 裕仁皇太子拉致暗殺事件 今読まれてよい『冬のアゼリア』
8月15日終戦記念日、今年は戦後60年の節目に当たる。小泉首相が発表した談話は「かつて植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」と歴史認識を表明し、反省と謝罪の意を改めて明示した。中国・韓国との関係が悪化した中でアジア外交の修復するための内閣の姿勢として妥当だと思う。 一方韓国では今日を「光復節」(日本の植民地支配からの解放記念日)と呼ぶのだそうだ。ノ・ムヒョン大統領は直接の日本批判である竹島領有権や教科書問題などに触れることなく国民統合の必要性... ...続きを見る

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2005/08/17 21:19
創作怪談 第六話 『おかあさんこわいよぅ〜』
S市から車で二時間の山中にあるリゾートホテルにたどりついたときには雨がホテル前の石畳を激しく打ちつけていた。車の中から辺りをうかがう。 「支店長!あれです」 同行の課長が指さした石畳の中心部にびしょ濡れの彼がいた。もう一人傘を差しかける和服の女性がみえた。 ...続きを見る

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2005/08/14 17:53
創作怪談 第五話 『さようなら わたしを抱いてくれた人』
刑事さん 私はこの精神科病院に勤めて二年前になります。 昼、あの患者を保護室に送った後、その部屋で文字が書かれた紙きれを見つけたんです。 本当です。 ...続きを見る

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2005/08/13 15:07
マシュー・パール『ダンテ・クラブ』が示唆する現代アメリカの狂気
今アメリカで勢力を強めつつある「知的設計論」をご存じだろうか。私は8月9日の日経紙コラム「地球回覧・進化論論争米国で再燃」で知ることになった。アメリカではしばらく前まで進化論を学校で教えること禁じる州法があって、今なおその賛否が分かれている。最新の世論調査でも「人間は神の手で作られたと信じる」と64%の人が回答するという。 ...続きを見る

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2005/08/11 22:59
絶賛された 古川日出男『アラビアの夜の種族』 ただ眠くて眠くて………
2001年12月に刊行された本著を初版で購入し、積読していました。先般、著者の『ベルカ吠えないのか?』が直木賞の候補にあがったことから、当時大変評価の高かったことを思い出して読んでみました。日本推理作家協会賞、日本SF大賞を受賞しています。 ...続きを見る

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2005/08/10 23:57
最新刊です。北方謙三『水滸伝』第十八巻「乾坤の章」
これが最終巻になるものと思っていたがどうやらもう一巻あるようだ。『原典水滸伝』に史実を加えれば第十九巻でおそらく梁山泊軍は壊滅するのであろう。ここではその最終戦争の一歩手前の攻防戦の輝きがみられ、緊張感ある戦闘シーンを堪能できる。黄河と梁山泊湖で繰り広げられる水軍の激突。要衝二竜山、攻防の末の落城。そして宋禁軍の元帥・童貫との総力戦のせめぎ合い。いずれも印象に残る名場面であった。 このところ多少うんざりする語り口が続いただけに、久々に興奮を覚える描写の連続を楽しむことができた。 ...続きを見る

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2005/08/05 22:45
北方謙三『水滸伝』第十七巻「朱雀の章」 (再掲)
腐敗混濁の世を正す、「替天行道」の旗の下に結集した叛乱軍梁山泊。ついに宋国は梁山泊の完全殲滅を宣言した。十六巻までに108人からなる梁山泊の同志たちの33人が死んでいる。そしてこの巻では大幹部二人を含めた11人の命が失われる。 ...続きを見る

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2005/08/05 00:35
北方謙三『水滸伝』第十六巻「馳驟の章」大波乱の前兆か (再掲)
「原典水滸伝」をうわまわる天衣無縫の大活劇はなくなってきたような気はするが ...続きを見る

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2005/08/04 23:59
北方謙三『水滸伝』第15巻「折戟の章」そろそろ倦怠感が出てくる
いついかなる戦争にもカッコイイ終わり方などあるはずはないのだ。 宋国も梁山泊側もともに戦いに疲れが見え出す。この大河小説の筆の運びも息が切れ始めたかとの印象を受けるが、むしろこの第15巻は終結へ向けて流れを変えるタイミングのための踊り場なのだろう。 ...続きを見る

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2005/08/04 22:35
北方謙三『水滸伝』第十四巻「爪牙の章」北方節、絶好調!!
男女の交情、親子の情愛、子弟の薫陶など人情の機微の色模様も多彩。これもまた通俗の極致なのだが、聞かせる北方節なのだ。 もともと日本人は英雄を好んでもそれは悲劇の主人公であって原典「水滸伝」に登場する英雄のように天衣無縫に暴れまわりカンラカラカラと高笑いする豪傑は大人の趣味とされていないのではないだろうか。 人情についても原典「水滸伝」の英雄・豪傑たちの人情の世界は義や信、誠に生きる男のつきあいの世界に徹していて、それは日本人も好きなのだが、もう一方にある劇的な男女の愛憎や抜き差しならぬ親子... ...続きを見る

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2005/08/03 23:34
北方謙三『水滸伝』第十三巻「白虎の章」この大河小説のゆくえを推測する
宋国と梁山泊の全面戦闘が引き続き描かれる。梁山泊の大敗する戦もあるがこれまでさまざまな趣向を見せてきた戦絵巻もマンネリ化し、緊張感が薄れてくる。両陣営とも水軍の強化に工夫があって、来たるべき水軍戦の模様が大いに楽しみなのだが、いつごろになるのだろうか。ストーリーの太い幹がここまで拡散すると、大長編もそろそろ結末を見据えた整理が必要であろうと読み手としては傍目八目の構えとなる。 ...続きを見る

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2005/08/03 20:20
北方謙三『水滸伝』第十二巻「炳乎の章」晁蓋を誤解した毛沢東
梁山泊の双璧、そのひとりであった晁蓋の死は敵味方にどのように受け止められたか。そしてあの毛沢東は水滸伝を悪書として指弾する。 ...続きを見る

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2005/08/01 22:55
北方謙三『水滸伝』第十一巻「天地の章」城郭攻略の準備
第十一巻ともなるとラストの山場を除けばいささか中だるみの感が出てくる。ただ梁山泊ではこれまで野戦を主とする軍事力増強であったが、首都開封を念頭にした城郭(まち)攻略の軍備に注力し始めるところがいかにももっともな北方一流の発想だと感心する。 野戦で活躍していた騎馬隊だけでは駄目なのである。攻城兵器を扱う重装備の部隊が欠かせないと、衝車、雲梯、投石器、大砲の製作に取り掛かる。さらには造船所を建設し軍船と水兵を育成する、水軍の強化である。 この『水滸伝』では「梁山泊山寨」を黄河につながる梁山湖に... ...続きを見る

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2005/08/01 22:05
北方謙三『水滸伝』第十巻「濁流の章」乾坤一擲の連環馬とは?
梁山泊に負け続ける宋国、「一度必ず勝て」と国境軍最強の将軍呼延灼に命令が下った。双鞭・呼延灼の秘策、乾坤一擲の連環馬とは? 高球が禁軍の大将となってから腐敗は瞬く間に拡がった。軍とは外敵から国を守ることが使命だとする名将呼延灼はあえて禁軍より国境軍を志望し、代州軍を精強の部隊に育て上げていた。最高権力者蔡京宰相の名の下に禁軍総帥童貫は彼に「必勝」を命ずる。代州軍一万、その後方に高球の一万。対する梁山泊はほぼ全軍一万余を晁蓋が率いる。 呼延灼側から実戦用大砲の号砲が轟く。そして不敗の戦法・連... ...続きを見る

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2005/07/29 23:10
北方謙三『水滸伝』第九巻「嵐翠の章」もうひとりの総帥晁蓋とはいかなる人物であるのか
晁蓋と宋江このふたりの総帥は梁山泊にとって健在でなければならない。どちらかひとりを失えば全土で梁山泊に好意をもっている者たちの衝撃ははかりしれない。官軍にはやはり勝てないのかと諦めにもつながりかねない。 ...続きを見る

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2005/07/29 22:54
横山秀夫 『震度0』 警察小説の進化?退行ではないのか
県警本部のトップクラスがここまでノワールな人間の寄せ集まりではないだろう。だが、現に神奈川県警の不祥事もみ消しが頻発しているところ、道路公団の官製談合などを毎日聞かされるとやはり役人たちは腐敗しているのかなと。 大震災の朝、一人の県警幹部が失踪した。県警事情に精通し、人望の厚い不破がなぜ姿を消したのか?県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、4年前の選挙違反事件なども絡まり、保身と野心、激しい内部抗争を背景に密室劇の幕が開く 登場人物は6人。N県警察本部のナンバー... ...続きを見る

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2005/07/29 06:15
小学生のときに読んだ本
茨城県は霞ヶ浦に近い江戸崎町。周囲は肥沃な田園が広がる小さな町。 今でこそ「江戸崎まんじゅう」「江戸崎かぼちゃ」なる名物で ちっとは知られるようになったんだが辺鄙なとこよ。 平右衛門のばあちゃんに育てられ「ヘーモンのよっちゃん」と呼ばれておったです。 生まれたのが昭和19年、農村地帯だがら食い物にはこまらんかった。 とうちゃん、かあちゃんが東京に定職をもとめて出ておったこともあってな、 東京文化というか、この田舎町にはみらんなかった子ども向け読み物が山のようで、近所の子どもらの図書... ...続きを見る

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2005/07/27 16:36
司馬遼太郎も知らなかった芹沢「鴨」の由来 茨城のむかしむかし大昔15
『常陸国風土記』行方(なめかた)の郡 (倭武<ヤマトタケル>の天皇<スメラミコト>)更に御輿を巡らして現原<アラハラ>の丘にお行きになり………この地を行細<ナメクハシ>と言うべし」とおっしゃいました。このため後世に行方とよびならわします。その丘は見晴らしがよく天皇は現原となづけられました。この丘をお降りになって大益河<オオヤガワ>においでになり、船に乗って上りましたときに、棹梶<サオカジ>が折れてしまいました。そこでこの河を無梶河<カジナシガワ>と言います。ここはすなわち茨城・行方の郡の境に... ...続きを見る

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2005/07/26 23:52
司馬遼太郎も知らなかった芹沢「鴨」の由来 茨城のむかしむかし大昔14
司馬遼太郎『新選組血風録』の「芹沢鴨の暗殺」にはこう書かれている。 この男の生地は、常州芹沢村である。郷士の子で、本名は木村継次といったらしい。芹沢鴨は、脱藩して風雲の中からの名であった。なぜ、鴨という奇妙な名をつけたのかはわからない。一字名をつけたのは、当時、いわゆる志士のあいだで流行していたからであろう。 司馬遼太郎はこのように「鴨」と自称した由来を「わからない」としている。芹沢は新選組の中でも凶暴な男として悪名だけは高いが、近藤、土方、沖田などと比べればはるかにインテリであって司馬が... ...続きを見る

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2005/07/26 23:35
再び、恩田陸『ユージニア』 神と悪魔に魅入られた母娘
この小説はあのラストでふれられた母娘の関係があまりにぼんやりしていることでフラストレーションを発散できないままに読み終えることになります。丸窓の狭い部屋は母が神に祈るための密室なのですが、娘を引き込んで娘の精神を恐怖で狂わせるなにかがあったことを暗示しています。 具体的になにが行われたのかは説明がありません。私はスティーヴン・キングの初期の作品で映画化されヒットした『キャリー』に状況の類似性を感じました。主人公キャリーの母親は狂信的なクリスチャンです。特に性的なものを病的にタブー視する不気... ...続きを見る

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2005/07/25 14:03
北方謙三『水滸伝』第八巻「青龍の章」宋江とはいかなる人物であるのか そのリーダーシップは
青蓮寺は独竜岡に砦を築いた。梁山泊の拠点網のど真ん中。梁山泊の勢力を開封府、北京大名府、南京応天府とともに包囲し外から内から崩そうとする壮大な作戦が展開される。その中心が祝家荘であり、宋江を総帥とした梁山泊全軍を挙げてこれを攻撃するが………。 砦の内部はいたるところに迷路があり、周辺も含め殺傷用の罠が張り巡らされて、攻撃を待ち受ける構えを見せている。禁軍の宿元景率いる精強騎馬隊五千がこれに加わる。 ...続きを見る

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2005/07/21 22:53
北方謙三『水滸伝』第七巻 「烈火の章」 ついに宋江が梁山泊に入る
戦闘シーンに手に汗を握りながら、一方でクールな今日的政治力学の世界が展開される。これも北方『水滸伝』の魅力だろう。 ...続きを見る

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2005/07/21 14:44
冒険小説の第一人者 A・J・クィネル氏がなくなられました。つつしんで哀悼の意を表します。
本日の日経紙、死亡記事にこうありました。 ...続きを見る

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2005/07/20 13:06
恩田陸『ユージニア』ミステリーとしては欠陥商品だがソフトなオカルトホラーなのかもしれない
恩田陸の作品を読むのはこれが初めてです。推理小説を読むつもりでした。売れっ子作家のしかも直木賞候補となった作品ですからいろいろと期待したくなります。 ...続きを見る

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2005/07/19 22:11
笹本稜平の新作『極点飛行』 待望の冒険小説であったが………
期待はずれの「冒険小説巨編」 このところ日本人作家による冒険小説の傑作にお目にかからない。外国もので最近のことでは、ラドラムの『メービウスの環』が楽しめたものだから、待望していたこともあって笹本稜平の最新作を早速読んだ。エベレストを舞台にした著者の『天空への回廊』の面白さに忘れがたいものがあったからだ。 ...続きを見る

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2005/07/17 18:23
北方謙三『水滸伝』第六巻 「風塵の章」集団戦闘を楽しもう
第五巻から第七巻までは武松と李逵のふたりだけを供に従えた宋江の逃避行を軸として梁山泊の新たな展開が記述される。青蓮寺側の暗殺者として抱きこまれた馬圭の手引きによる青面獣・楊志の壮絶な死、女真族との同盟工作に失敗し囚われた魯智深がみずから手首を切り落とす決死の脱出、青州官軍にあって勇猛で知られる将軍、霹靂火・秦明の梁山泊への仲間入りなどページを繰るのがもどかしくなるような緊張のエピソードが連続する。 ...続きを見る

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2005/07/15 22:42
北方謙三『水滸伝』第五巻「玄武の章」スローガン「替天行道」とは
北方・梁山泊のは原典「水滸伝」のそれとはかなり異なるのではないかと思いつつ………。 梁山泊の首領は宋江と晁蓋である。ここにやがて数万人の賊徒が結集する。108人の親分たちは宋江の主張する革命思想に共感するのである。それを書き表したものが檄文あるいはパンフレットの「替天行道」だ。その具体的内容は明らかにされないのだが、おそらく君主独裁の権力機構を打倒し、民の安寧と繁栄を希求する「民主」の政治機構を擁立せんとする主張を平易にしかも熱烈に語りかけている小冊子であろうと推測できる。 この「志」に無... ...続きを見る

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2005/07/15 22:33
フィリップ・マーゴリン『葬儀屋の未亡人』タイトルは不満だが内容は一級品
「未亡人」のイメージなんですが、旦那さんがなくなって新盆と一周忌をすませるころ、一時の動揺、傷心、空白感がうすらぎ、新たな人生を踏み出そうとするあたりから使うべきロマンの中の概念なのではないか。そのあと貞女でいつづけるか悪女に変身するかはともかく、孤独を実感する「時間を経る」ことが必要ですね。 ...続きを見る

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2005/07/15 20:24
ヴィクトル・スタルヒンですか 辻原登『枯葉の中…」に寄せて
「ヴィクトル・スタルヒン ― 辻原登『枯葉の中の青い炎』について」について ...続きを見る

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2005/07/15 11:00
北方謙三『水滸伝』第四巻 「道蛇の章」 原典水滸伝とどこがちがうのか
梁山泊の首領である宋江だが、少年時代に読んだ簡略本では共感できる人物とはとうてい思われなかった記憶しかない。中国文学に詳しい高島俊男著の『水滸伝の世界』(ちくま文庫)を参考にして、なるほどと納得したしだいである。 ...続きを見る

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2005/07/14 14:59
北方謙三『水滸伝』第三巻「輪舞の章」梁山泊の前に強大な敵が姿をあらわす
当時の宋王朝は遊興にふける皇帝徽宗の下、政治は宰相の蔡京、軍事は禁軍大将高球ら国家腐敗の元凶である奸臣が牛耳る、財政軍事面でも脆弱な体制であったからそのままでは強靭な軍事力・組織力を有する新国家梁山泊の敵ではありえない。敵が強大であればあるほど読者はそのストーリー展開に魅了されるものだ。北方謙三はここで現王朝の裏に「青蓮寺」と名乗る精強の謀略集団を登場させるのだ。総帥は袁明。精鋭の私兵特殊部隊を率いる。暗殺、諜報、撹乱、ゲリラ戦。梁山泊の資源、塩の道をたつための執拗な攻撃で見せ場は華やかに盛り... ...続きを見る

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2005/07/14 14:54
北方謙三『水滸伝』第二巻「替天の章」ついに替天行道の旗が梁山泊に
10世紀の半ば、北宋は太祖趙匡胤が開封に都を置いた。江南諸国と北漢をつぎつぎに平定し,太宗の初めに中国統一を成就し,君主独裁の中央集権体制を築いた。統一して数十年もたつと,社会のひずみが表面化してくるものだ。官僚と軍隊の数が年々増えて財政を圧迫した。そのしわよせが農民への重税となり,生活に苦しむ農民は流民や群盗となる。賄賂の横行があれば、優秀な官吏・軍人は高潔さが疎まれ、謀反の冤罪で追われる。さらに天才的技能の持ち主である商工業者、教育者、医師、薬師たちもそのためにスポイルされる。 ...続きを見る

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2005/07/13 10:48
北方謙三の大長編小説『水滸伝』が近々完結する そこで第一巻「曙光の章」より
時は北宋の末期、最後の皇帝徽宗治下。政治のことは宰相の蔡京にまかせて,日夜遊興にふけり,書画骨董の収集に熱中し,豪壮な宮殿,庭園,道観等を造営したりして,莫大な金銭を使った。その穴埋めのために,蔡京はあらゆる手段を用いて誅求を行い,人民を苦しめたので,浙江の方臘(ほうろう),山東の宋江はじめ各地で反乱が勃発し,政府はその鎮圧に手をやいた。この史実を背景に108人もの英雄・豪傑が腐敗した国家転覆のために勇壮無比の戦いを挑みやがて破れていく大長編口語小説がいわゆる水滸伝である。施耐庵と羅貫中によっ... ...続きを見る

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2005/07/13 10:28
乃南アサ 『鎖』 古くさい女をまだ書いている
最近の女流作家は男勝りに相当骨太の小説を書いています。一読すると男が書いている作品と勘違いしてしまうものもあります。そうした作品読みますと作者の視点が男女の違いを超越した座標軸にあることに気づかされます。典型的な作者は桐野夏生や篠田節子でしょう。 ...続きを見る

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2005/07/12 09:42
村上龍 「希望の国のエクソダス』アナーキーなエネルギーの爆走に希望を託せるか?
『なんとなくクリスタル』という私などは薄っぺらいとぐらいにしか思わなかった小説で文壇デビューした男が県知事になって絶大な人気を集めている。しかし、有力支持者の中ですら「あいつはまだ作家にしか過ぎん。政治家ではない」と批判の声を大きくする人が少なくないと………、さもありなんと納得しつつ、一方で「ドラッグ、セックス、ロックンロール」とかいった安手の風俗を扱ったかのごとき小説『限りなく透明に近いブルー』で芥川賞を受賞した男が最近はインターネットの世界でわが国の政治・経済・社会構造を憂え、特に教育問題... ...続きを見る

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2005/07/11 21:46
東郷隆 『最後の幻術』 歴史短編小説の読みどころ
歴史時代小説9編がおさめられた短編集である。初めて読んだ作者であるが出版社が「新人物往来社」だけあって、歴史全般に相当の博識な方と見えた。全体に和漢混淆の記録文体と文献の適度な引用により虚構ないまぜの世界を展開して飽きさせない。実在の人物同士、作者の創造上の人物の組み合わせの妙、そこから生まれる意外性は歴史小説を読む醍醐味でもあり、ミステリー愛好者にも通ずるものがある。 ...続きを見る

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2005/07/08 22:46
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 4
前回の合作「春風に酔う」は惜しいかな「歌」にはなっていませんな。 やはり五・七調でないと色気が出ません。 「ゐ」「ゑ」の二文字を使用することによってかなり弾力性が出ることもわかりましたので「ゐ」「ゑ」つき七・五混交体にて挑戦 してみました。 ...続きを見る

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2005/07/07 23:56
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 3
すでに会社勤めを終え、自遊人と自称し、東樹荘と名づけた山荘に住み着いている男がいる。ゴルフ三昧の日々かと思えば、馬術に鍛錬し、絵を描いたり、酔えば俳句などもたしなむ。名は東男で「はるお」と読むがその由来は「東風(こち)ふかば匂ひおこせや梅の花」にあるというぐらいの風流人である。海外生活が長かったため日本語の小説は読めなくなったあげくに、英文の長編をいつも抱えている、サラリーマン生活も終着にちかい孜君と三人で飲むことがあり、たまたまこの話を披露したところ、即興でいろは歌を作ることになった。だいたい... ...続きを見る

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2005/07/06 11:11
創作怪談 第四話 赤の幻影
あと五台か。 タクシー待ちの列で私は首をすくめた。タクシーの数がひどく少ない深夜の池袋、それでなくとも冷たい師走の風に先ほどから粉雪が混じり、痛いように頬をうちはじめている。 ...続きを見る

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2005/07/05 23:09
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ2
慶応大学の村松暎先生から中国文学の指導を受けている論語研究会のメンバーの一人、片山はサラリーマンではあるが、登山が好きで、磐梯山を眺望できる雑木林の深くに山荘をもとめ、ゆくゆくは夫婦で住み着くつもりだという。ベランダで、磐梯の刻々に変化するのをみて飽きないといい、数学から化学、宇宙、哲学の書を愛読し、人生を語らせれば、含蓄にとんで、世俗の煩わしさを超越した視点が板についた男である。 自称「エピキュリアン」 彼が酒席で自作のいろは歌を披露した。 ...続きを見る

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2005/07/05 20:46
色は匂へど散りぬるを あの「いろは歌」に遊ぶ 1
「いろは歌遊び」という洒落たゲームがある。 あることは知っていたが実際にやったことはなかった。 ...続きを見る

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2005/07/04 22:35
荒山徹 『朝鮮出兵異聞・高麗秘帖』 李舜臣将軍を暗殺せよ
この伝奇時代小説は「伝奇小説にある奇想天外」の面白さはほどほどでありますが「時代小説にある事実性」への好奇心をおおいに満足させてくれます。 北朝鮮に拉致されていた蓮池薫さんが翻訳した金薫『弧将』がベストセラーになっている。弧将とは救国の英雄・李舜臣(イスンシン)。朝鮮の人が反日感情を抱く原因に「歴史認識の差」がある。それは明治以降の戦争史のことだけではないはずである。古代史における大陸との交流については教科書的知識がいくらかはある。しかし、16世紀・戦国時代の二国間の史実といえば子どものころ... ...続きを見る

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2005/07/03 16:37
創作怪談 第三話 「親友」
生涯の親友なんてめったにいるものじゃない。奴とは同じ高校、大学で一緒に青春を謳歌し、就職先こそ違え同じように銀行へ入った。お互いの結婚式には主賓の立場で嫁さんを誉めあったものだ。住まいも東上線で奴は鶴瀬、僕は少し手前の志木だから、家族同士の付き合いも続き、今でも女房同士で始終行き来している。 ...続きを見る

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2005/07/03 10:21
創作怪談 第二話 夜と朝のはざまで
まもなく午前二時の時を告げる。 私はひとつしかない目玉で、女たちとツイストにはしゃぎ戻った若者の寝顔を見つめている。 ...続きを見る

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2005/07/01 15:25
茨城のむかしむかし大昔13 来栖神社とヤマトタケル2
★★★来栖宮司のお話★★★ ...続きを見る

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2005/07/01 14:53
茨城のむかしむかし大昔12 来栖神社とヤマトタケル
笠間村の伝承にあった「来栖神社」 江戸崎の平右衛門家は苗字を「来栖」としていたところから、わたしとしては特別に興味をそそられたところです。そこでいちど来栖神社を詣でようと思い立ったのです。笠間市の観光協会に住所を尋ねたところ、この神社はあまり人も訪れないところで、宮司もいないし、観光地として登録がなく、したがって電話も住所もわからないとの回答にかえって好奇心をかきたてられました。 ...続きを見る

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2005/07/01 14:31
創作怪談 第一話 『夜寒のあやかし』
ついこの間まで、まさか倒産するとは思いもよらなかった大企業で毎日のように宴会だ、ゴルフだなどと憂き身をやつしていたものでございます。まもなく還暦の身、リストラの後、都心から社用車で帰る身分にはすでになく、池袋から東上線の志木駅までの深夜電車では眠りこけることもございます。 ...続きを見る

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2005/06/30 22:53
茨城のむかしむかし大昔11 笠間の伝承「来栖村」2
さてこの笠間村の伝承であるが、文字通り「伝承」であって文献はないものと思われる。このためいつごろから伝わるものかは明らかではない。 ところが私はたまたまであるが、播磨国風土記にこの伝承に酷似した次の記述を発見した。 ...続きを見る

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2005/06/30 22:46
垣根涼介 『君たちに明日はない』これが山本周五郎賞???
今年度の山本周五郎賞受賞作。山本周五郎賞は平成15年、京極夏彦の『覘き小平次』平成16年、熊谷達也『邂逅の森』が該当作品であり、新潮社がスポンサーとなってそれなりの文芸作品を対象にしているのかと思われた。垣根涼介の作品は『ワイルドソウル』を読んでみたいと思っていたところで、「山本周五郎賞受賞」をおおきく白抜きした表紙帯にひかれて、まずこの作品から読むことにした。 ...続きを見る

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2005/06/27 22:13
探偵小説黄金時代の傑作 ジョン・ディクスン・カー 『火刑法廷』
今年は新作の外国ものミステリーにいい作品が見当たらない。今さら古典を読むつもりはなかったが、たまには目先を変えることも必要かなと、探偵小説黄金時代の巨匠ジョン・ディクスン・カーの傑作中の傑作と定評のある『火刑法廷』を読んでみた。 ...続きを見る

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2005/06/25 23:47
土屋隆夫『盲目の鴉』 謎解きと叙情とのみごとな融合 20年以上前の名作
創元推理文庫で土屋隆夫推理小説集が刊行されている。たいていの作品は読んでいたこともあり、積読状態でしたが、未読であった『盲目の鴉』を読んでみた。20年以上も前の作品だが、今読んでも傑作だといえるアリバイ崩しの本格推理小説でした。 ...続きを見る

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2005/06/24 23:51
戦後ミステリーの原点 ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』
昭和25年に江戸川乱歩が驚愕をもって紹介した本書はわが国ミステリー界に新しい潮流をもたらした、いわば戦後ミステリーの原点といわれる作品である。初めて読んだのだが、なるほど、その後主流になる清張ミステリーに共通するものがここに見出される。 ...続きを見る

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2005/06/24 19:50
篠田真由美 『アベラシオン』正統派のオカルティズムそしてゴシックロマンでもある
イタリア、山中の巌上にそびえる「聖天使宮」に圧倒される藍川芹。壮麗さの極致が破滅の運命を予感させる、この幕開けは緊張感をいやがうえにも高める。 『ダ・ヴィンチ・コード』を読まれた方には是非とお薦めします ...続きを見る

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2005/06/23 23:07
藤原伊織の最新作『シリウスの道』あの期待を肩すかしされた傑作
広告業界、異彩のサラリーマンが現場で大活躍するその展開に引き込まれて、電車を乗り過ごした。だが直後に藤原伊織のあのイメージからは期待がはずれた凡作と思った。そして一日たったところでこれは傑作だと気がついた。 ...続きを見る

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2005/06/21 23:21
04/09/16 サラ・ウォーターズ 『荊の城』エロ グロ サディスティックとビクトリア朝の偽善
?ポルノ=ポルノグラフィーとは「偽善や上品ぶる内面の感情を暴露したものに他ならない。W.アレン」とすれば、この作品、まさしく正統派のポルノである。 前作『半身』で披露されたねばねばした隠微な妖しさ、取り繕った表面からは想像できない人間の卑しさがここでも装飾的、技巧的な文体で絡みつくように表現される。 ...続きを見る

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2005/06/20 21:18
04/09/05 船戸与一 『降臨の群れ』 インドネシア共和国アンボン島で現在進行中の複雑な内乱
ロシア・北オセチア共和国の学校占拠テロによる死者は330人を超えるという報道がなされている。チェチェン独立運動の武装勢力による犯行と見られており、また先月の旅客機テロ、自爆テロと続きイスラム原理主義過激派の関与が取りざたされている。あまりに度重なる凶事に、またか、と多数の子どもの犠牲者がでる最悪の惨状にも感覚が鈍くされてしまっているほどだ。 強大国による圧制の歴史を塗り替えようとするマイノリティーの独立運動、異民族、異文化の摩擦、さらに先鋭化する宗教対立、複雑に交錯する諸外国の利害、そしてイ... ...続きを見る

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2005/06/19 12:48
04/08/23 「水滸伝」を楽しく読むために 高島俊男 『水滸伝の世界』
「水滸伝」を楽しく読むための格好のガイドブック。北方謙三『水滸伝』の面白さを倍増できます。 著者の高島俊男氏は中国文学の研究者で、著書に『李白と杜甫』『中国の大盗賊』『水滸伝と日本人』『水滸伝人物事典』などがある。私は少年時代に簡略版の「水滸伝」(おそらく100回本)を読んだときの残尿感的印象だけがあったので、今回北方謙三の『水滸伝』を読むにあたって「水滸伝」とはそもそも何であるのかを大ざっぱにでも知っておきたい気持ちからたまたま本書を手にしたのだが、結果的に充分にその目的は達成できた。 ... ...続きを見る

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2005/06/18 23:49
『罪と罰』の入門書? 江川卓 『謎解き「罪と罰」』
著者は他界されているがロシア文学翻訳の権威で訳書にドストエフスキー『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』など多数ある。 この書は帯に 「難しいと思っていませんか?ドストエフスキーを本当に愉しむために最初に手にすべき1冊」 と紹介されている。 ...続きを見る

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2005/06/17 23:10
ミステリーにおける饒舌の効用と瑕について
「陰摩羅鬼の瑕」について ...続きを見る

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2005/06/17 21:20
感動の直木賞 熊谷達也 『邂逅の森』 自然の摂理に導かれた生き様を貫く男への讃歌
ある民族にとって自然は過酷であった。そこでは人間に絶対服従を課したのが神であった。しかし、日本民族にとって自然は生きとし生けるものに恵みを与える神である 大いなる自然の道理に導かれている存在。山、森、谷、川、そのものがそうであり、そこで息づいている草木や熊、カモシカ、ウサギなどの獣がそうだ。それらは自然の恵みをあるがままに受け入れる。しかし一方で自然の過酷な試練にさらされ、しかも生きつづけることもまた道理なのである。 ...続きを見る

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2005/06/16 22:20
藤原伊織『テロリストのパラソル』忘れがたいこの名作をいま再読する
空には轟音をたてて旋回するヘリコプター。屋上から降りそそぐ火焔ビン、投石。粉塵や地上からの催涙ガスと放水で周囲は白煙にけぶっていた。 1969年東大安田講堂。 会社に入ってようやく3年がたとうとする頃だった。 「ここまでいっちまったのか」 と市街戦さながらのテレビ映像をくいいるように見ていた。 ...続きを見る

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2005/06/15 20:13
04/04/04よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』5 最終章の輝き
しかし感動的なエピローグで突如として彼は喜びに満ちた復活を予感するのである。なにによってか? 聖なる娼婦ソーニャの愛か?人間の絶対的尊厳性への目覚めか?ドストエフスキーは直線的に語ることがない。 ミステリー愛好家でしかないわたしは実はここの覚醒感を三度目の読書体験をもってしても実感できないままでいる。結局「わかった」と言えぬままであるが、このボリューム感をたんのうできた。一仕事したあとの心地よい疲労感、爽快感がうれしかった。 ...続きを見る

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2005/06/13 20:14
桐野夏生『魂萌え!』 還暦を越えたオジサンのための「愛妻家入門』
いつでも、どこにでも灰色のビジネススーツを着ていくような、まじめで実直だけがとりえの、平凡なサラリーマン、定年退職後、ゴルフと蕎麦打ちを楽しみ、健康診断も欠かさない63歳の隆之。 隆之の性格も好みもよく心得て、家庭を守り子どもを育て、地域と仲良く付き合い、夫を支えてきた59歳の妻・敏子。 私はこの種の組み合わせの夫婦ならもっとも身近にいるのでよく知っている。 ...続きを見る

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2005/06/13 00:46
04/07/25 傑作の密室トリック 貴志祐介 『硝子のハンマー』
ミステリーの本格密室ものはなかなか映像化しにくいのだがこれはそのまま映画化しても面白いだろう。 殺人の現場が「六本木センタービル」と言っても回転ドアにはさまれて子どもがなくなったあの超高層ビルではない。12階建てのこじんまりしたビルだ。新興の介護会社「ベイリーフ社」の役員室はその最上階にあって、開閉のない強靭な窓、いくつかの最新の電子機器と警備保障会社の堅いガードなど、鉄壁のセキュリティーシステムでよそ者の侵入から防御されている。 そこで社長が殺された。 ...続きを見る

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2005/06/11 23:53
04/04/02よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』4ラスコーリニコフの懊悩2
古典を読んでいるとその時代背景が詳しくない場合、 どうしても今の自分の周囲にある概念を物差しにして理解したつもりになってしまう。 たとえば「アイデンティティークライシス」なんて言葉が最近目立っていて、 「異文化との接触によって、それまでの自分の在り方、価値観が否定され、あるいは変更せざるを得なくなり、心理的に不安定になること」 ともっともらしい定義はあるし、 「こうありたいと思ってもそうなれない内心の葛藤」 にも使われているようで、 もっといい加減なのは 「こうなりたいという意... ...続きを見る

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2005/06/10 19:30
04/05/12  87歳、土屋隆夫、最新作『物狂い』にみる老成の心意気
舞台やステージや高座で、最盛期に到達したころの当時の面影を偲びながら、晩年を迎えた先達たちが演ずる至芸を鑑賞することがある。鋭い時代感覚はすでにない。目を見張るような新しい工夫があるわけではない。所作や語りに往年の勢いはなく、また容姿の衰えも隠しきれない。それでもなお深い感銘をおぼえるのは現時点の演技そのものにあるのではないのだろう。この道一筋にかけ自己の表現する独自の世界を築きあげたものの誇り、流行におもねることなくひたすら余命をここになげうとうとしているものの情念、時には鬼気迫るがごとくの... ...続きを見る

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2005/06/09 22:59
ハードSFの傑作 ジェイムズ・P・ホーガン 『星を継ぐもの』にみる「古くささのない」ところ
月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された。関連は? この一作をもって現代ハードSFの巨星となったホーガンの傑作長編。 ...続きを見る

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2005/06/08 14:48
「浅田次郎」について『蒼穹の昴』『壬生義士伝』『天切り松闇がたり』
「浅田次郎」について 私も浅田次郎を最初に読んだのが『蒼穹の昴』でした。 清朝末期の複雑で国際的な政治情勢と主人公の印象的な生き方がしっかりと重なり合って、しかも西太后の人物評価に独自の史観で光を当てたところが傑作でした。 これまでの浅田次郎の一番好きな作品です。 ...続きを見る

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2005/06/07 20:32
01/02/04 手品とミステリー 泡坂妻夫『奇術探偵 曽我佳城全集』
私は手品とかマジックを見るのが大好きなのです。 超能力ショウや催眠術ショウもいいですね。 もっともやって見せることもある。 私がやってもばれないのですから、玄人のマジックは絶対に見破れません。 タネを見破れなくて口惜しくて口惜しくて居ても立ってもいられない人はたくさんいます。 見破れなくても楽しめるのがマジックのはずです。要は騙される楽しみです。人間どこか、騙されることに快感を覚えるそんなところを待っているものです ミステリーの醍醐味もここにあるのじゃあないかな。こういうのを新本... ...続きを見る

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2005/06/07 11:35
04/04/01よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』3ラスコーリニコフの懊悩
ドストエフスキーを読む困難さは初歩的には登場人物の名前の複雑さである。たくさんの人物がいてそれぞれが主要なモチーフに欠かせない役割を果たしているにもかかわらず、名前がさまざまの呼称で使われるから、追っていくのが途方もなくむずかしい。今回はいちいちメモにのこしながら、そのメモを本に挟んで読み進めることにした。大いに役に立ったと言っておこう。 しかしその結果はそこで得たものを順序だてて述べることはもはや自分の能力を超えていることを自覚したことであった。ここは素直な気持ちで印象を述べるのが精一杯であ... ...続きを見る

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2005/06/06 20:50
02/08//25 服部真澄『バカラ』 IT事業で成功した若き企業家がのめりこむ地獄
びっくりしました。2002/08/24の日経夕刊トップによれば「カジノの解禁を求める動きが各地で活発になってきた」「自治体が財政難に苦しみ、地域経済が停滞する中、活性化の起爆剤にしようと官民の研究会が次々と発足」特に石原都知事が積極的であると。記事に触れられていないところは声のあるところ利権ありの原則です。 2002/08/25 ...続きを見る

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2005/06/04 20:35
03/10/07横山秀夫『クライマーズ・ハイ」君の人生には熱く語れるものがあったか?
君の人生には熱く語ることのできるなにかがあったか………と厳しく問いかける男がいる。 まもなく退職年齢を迎える悠木和雅、私より2歳年下の57歳。群馬県の地方紙「北関東新聞」のベテラン記者であった彼は17年前に左遷されたまま山奥の草津通信部で村の小さな出来事を書き続けている。17年前日航ジャンボ旅客機が御巣鷹山に墜落し、その事件の総括デスクとなった。機動力に乏しい地方新聞社の内心は迷惑な大事件なのである。しかし、記者人生にとって、この田舎ではこれ以上の大事件は生涯に出くわすことがない、まさに乾坤... ...続きを見る

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2005/06/03 10:24
04/03/28よっちゃんの読んだドストエフスキー『罪と罰』2いまも同じなのかもしれない
 出自、階層、生活基盤、境遇などが異なる人物が数多く登場し、崩壊しつつある帝政ロシア内に生じた混沌の価値観をそれぞれが主張するのだが、実を言えばほとんど理解することができない。それぞれはなにかを象徴するもので、ふさわしい重要なサインを出しているはずなのだが、三度目の読者体験にして、ますますわからない。 ただ60年も生きてきたことによる他人との関わりの累積や自分を客観視する心得から感覚的にだが今ある自分の尺度でその中の部分部分に手探りできるものが出てきたような気がする。 たとえば「19世紀の中... ...続きを見る

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2005/06/02 17:27
04/03/27よっちゃんの読んだ ドストエフスキー『罪と罰』1 三度目の挑戦
学生時代に読んで「ラスコーリニコフはなぜ高利貸しの老婆を殺害したのだろうか?」という基本の問題提起が解けぬままその後私は40年近く生きてきたわけだ。 高校か大学の時か、記憶の中に残ったのが唯一ラスコーリニコフの犯罪論であった。 すべての人間は「凡人」と「非凡人」に分けられる。凡人は法律を踏みこえる権利はないが非凡人はあらゆる犯罪を行い勝手に法律をふみこえる権利を持っている。そしてその理論から導かれ微細な罪悪は百の善行に償われるとし、前途有為の貧しい青年が生活の糧の金銭目当てで有害無益な高利... ...続きを見る

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2005/06/02 00:06
西木正明 『凍れる瞳』 ここに書かれた昭和を生きた人たちに素直に共感できた。
初めて読んだ西木正明。昭和15年秋田生まれ。私より4歳年上とはいえ同世代だ。昭和63年に直木賞を受賞したのが48歳であったから文壇デビューとしては遅いほうだろう。手元にある昭和63年受賞の直前に発刊の『凍れる瞳』の「あとがき」で氏は 大多数の人間にとって、人生は挫折の連続だと思うし、それが人生だとも思う。しかし、………。人生の翳の部分など、自分にはとうてい書けるものではない、と信じていた。なによりも人生経験が浅すぎるし、人間の年輪を書くほどの文章力もない と低い姿勢で述べておられる。この言... ...続きを見る

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2005/06/01 20:25
茨城のむかしむかし大昔10 笠間の伝承「来栖村」
茨城県に残る日本武尊伝説は『記紀』『常陸国風土記』には数多く見られたものの一般の民間伝承あるいは事跡としては不思議なほど少ないのである。しかし、ただ、笠間地方に古くからの言い伝えがあると聞いて、これを笠間のホームページで探し当てることができました。 ...続きを見る

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2005/05/30 19:22
「「怪人二十面相」の思い出
「「怪人二十面相」江戸川乱歩著」について 懐かしいですね。このシリーズは戦後はたしか雑誌「少年」に連載されていました。 ...続きを見る

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2005/05/30 15:49
「BOOK54:「血の収穫」★☆☆☆☆」について
「BOOK54:「血の収穫」★☆☆☆☆」について ハメットは今まで読んだことありませんでした。つい最近 「マルタの鷹」の方を読んでみました。muuminnの穴さんのこのコメントがあったのでやはり古臭いのかと心配していたのですが、60歳以上のオジサンからするとこれがなかなか意味深なテーマを扱っているし、今の時代とあまり変わらないものを感じたところです。 「血の収穫」については何もいえませんが、お時間があるようでしたら、「マルタ」をおすすめしておきます。 ...続きを見る

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2005/05/29 17:00
ダシール・ハメット 『マルタの鷹』  文中にあるハメットの人生観が凝縮されるこの一節は見逃せない。
「少しも古さを感じさせないハードボイルドの古典」と賞賛するのにはそれだけの理由がある。 数年前まで『マルタの鷹』を『鷲は舞い降りた』や『ナバロンの要塞』のような戦争冒険小説と思っていた程度に本格ハードボイルドには疎いものだったが、昨年暮れからの原ォ復活の余韻が後を引いていて、チャンドラーの 『長いお別れ』を読み、そしてこの「ハードボイルドの創始者」と言われる1929年の「古典」を読む気になった。 ...続きを見る

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2005/05/29 12:20
04/02/05京極夏彦「巷説百物語シリーズ」その2 『後巷説百物語』
『巷説百物語』『続巷説百物語』と続きましたこのシリーズもこれが最後となりますと後ろ髪ひかれる思いがいたします。御維新の10年と時代が変わりました。小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平といった一癖も二癖もある小悪党が好事家山岡百介を狂言回しとして江戸市中ならず全国をめぐり妖怪変化が引起したとしか考えられない怪事件を鮮やかに解きほぐし、逆に怪異・あやかしの仕掛け罠をこしらえ極悪人を懲らしめるというあの時代から40年の歳月が流れたのでございます。 ...続きを見る

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2005/05/27 23:32
04/02/01 京極夏彦「巷説百物語シリーズ」 その1
先般の直木賞をこの『後巷説百物語』が受賞しましたので積読状態にありました『続巷説百物語』とあわせて読んでみました。このシリーズは最初の『巷説百物語』がとても楽しい読み物だったのです。 ...続きを見る

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2005/05/27 19:59
04/03/14三田誠広『わたしの十牛図』真の<わたし>に出会う旅
色不異空、空不異色、色即是空、空即是色………の空ってなぁに。それはわからなくてよいのです。 わたしにとって人生とはなんであったか? あるいはこれからの人生をいかに意義あるものとして生きるか? 本来の自分とはなんであるか? などと思索にふけることは 物心ついてから青雲の志とか人生の明確な目標といった言葉とはまったく無縁で ただなんとなく生きてきたのが実感だから 今さらの感があってやはり青臭いことだと思うし、 気恥ずかしさが先にたつ。 とはいえ、そういうことに全くの無関心でいいの... ...続きを見る

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2005/05/27 15:53
04/02/22奥泉光 『新・地底旅行』はヴェルヌ『地底旅行』の後日談というユーモア小説
小学生の頃、少年雑誌に連載されていた日本版ターザンの山川惣冶『少年王者』に夢中になったが、そのころ産経新聞(だったと思う)に同じ作者の『少年ケニア』も連載されていてこちらも記憶に残っている。むしろ『少年ケニア』は『少年王者』よりも低年齢向きであって、主人公が地底世界で恐竜(ティラノザウルス)と闘う怖い場面があった分、少年たちの間では人気が高かった。コナン・ドイルにも『失われた世界』があって、これは「地底」ではなく人跡未踏の高度をもった「台地」であるが、やはり恐竜が登場する。 ジュール・ヴェルヌ... ...続きを見る

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2005/05/25 20:50
04/02/20これに女は痛快感を覚えるか?東野圭吾 『幻夜』男は被虐の喜びか?
阪神大地震で壊滅した街の瓦礫の中から過去を捨てて一組の男女が再生する。どさくさのさなかに叔父を殺害した男とその現場を目撃し沈黙している女の二人は東京へとむかう。もう一人の目撃者から脅迫される男と脅迫された男を救う女。女のいうがままになる男と男を徹底的に利用する女。無垢な娘に好かれてもこの悪女と別れられない男と男たちを踏み台にして金と地位を我がものにしていく女。破滅する男と成功する女。この女のクライム・サクセスストーリーは単純で読み手の予想通りに、しかしいつ露見するかと心配させられながら、犯行が... ...続きを見る

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2005/05/25 20:46
「「藤原伊織氏のガン発症」について」について
「「藤原伊織氏のガン発症」について」について 「ファンキーなじじい作家」なんていかにも藤原さんらしい。早期再登場を祈るばかりです。 6月に長編『シリウスの道』が発刊されるそうです。文芸春秋社ですからなにかベストセラー入りの企みがあるかもしれませんがこれは見逃せそうにありません。 ...続きを見る

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2005/05/25 12:51
藤原伊織氏のガン発症
<藤原伊織さん>小説誌に寄稿し食道がんを告白 [ 05月22日 19時22分 ] 毎日新聞  直木賞作家の藤原伊織さん(57)が、食道がんを発症し、5年生存率が約20%と告知されていることが分かった。発売された小説誌「オール読物」6月号(文芸春秋)に寄稿して、自ら明らかにしている。  寄稿によると、がんが分かったのは今年2月中旬で、3月中旬から断続的に入院して放射線治療などをしていた。6月に4回目の入院予定。  藤原さんは、95年の作品「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞と直木賞をダブ... ...続きを見る

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2005/05/25 01:36
04/01/25マイケル・ギルバード 『捕虜収容所の死』古い作品を見直す動きがあるがこれはいけない
純文学ではなくともミステリーであっても時代を超えてなお新鮮さを感じさせる名作が存在するのは道理で、最近のミステリー通の間ではこれまで国内では翻訳刊行されていない古い海外作品を再評価しようとする動きがあるようだ。 ...続きを見る

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2005/05/24 20:47
高村薫「レディ・ジョーカー」への思い入れをつれづれなるままに
宮部みゆきを読み終えていまさら高村の「レディ・ジョーカー」の凄さを感じる。これまでも折々に感じたことをメモしてあったがそれらを記してみよう。 ...続きを見る

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2005/05/24 16:59
宮部みゆき 『日暮らし』 「癒し」を求める読者に応える作品ではあるが………
毎日、毎日を平穏に平凡につつがなく生きていくこと、それ以上のことは望まない人たちがそのご近所にたくさんいる。周囲と調和することで最も安らぎを得られるタイプ。町方役人・平四郎とその女房、平四郎の甥で佐賀町の藍玉問屋河合屋の五男坊・弓之助13歳、世話好きな煮売屋・お徳、植木職人・佐吉夫婦、本所元町に住む岡っ引き・政五郎、その子分で13歳のおでこなどなど。そこではこれらやさしさにあふれた人たちが助け合いながらおまんまを食っている。市井の片隅にこじんまりとした、あったかい人情に包まれた日常がそこにある... ...続きを見る

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2005/05/24 00:13
「日本人なら一度は読んでみよう「古事記」」について
「日本人なら一度は読んでみよう「古事記」」について 「古事記」は皇国史観の基本にあるものとして戦後教育の場から遠ざけられた不幸があるのでしょうね。 何も難しく考えることなく、日本の神々もギリシャ神話の神々と同様に喜怒哀楽を人間と共通しているところが魅力的だと思います。 ...続きを見る

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2005/05/20 20:52
04/01/12「衝撃の結末は袋とじの中に」とデニス・ルヘイン『シャッター・アイランド』
巻末が袋とじされて帯表紙に「衝撃の結末は袋とじの中に」とあれば、この作品は読者の推理を混乱させ、予想のつかない結末を用意した本格ミステリーだぞと宣言しているわけだ。 ...続きを見る

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2005/05/19 19:36
知られざる山岳冒険小説の傑作 樋口明雄 『光の山脈』
海外作品に比較して、日本の小説で「山岳冒険小説」というジャンルで傑出した作品はあまり多くない。真保裕一の『ホワイトアウト』は例外中の傑作だった。実は、昨年の初めにこの作品を読んだときに『ホワイトアウト』に勝るとも劣らない掘り出し物を見つけたような気がした。自然を愛するものたちと環境破壊という社会性、大自然の峻厳な描写、動物とのふれあいなど(それは熊谷達也「邂逅の森」に通ずるところがあるのだが)バイオレンスの迫力を背景に三拍子も四拍子も揃った傑作に思えたのだが、不思議なことにヒットすることなく埋... ...続きを見る

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2005/05/19 15:34
茨城のむかしむかし大昔9 セックスの祭典 筑波山の歌垣
★★★『歌垣』と呼ばれる饗宴の風習★★★ ...続きを見る

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2005/05/18 19:59
03/12/19 パタースン 『サイレントゲーム』まずまずの法廷ミステリー
我が国でも司法制度改革の柱の一つとして刑事裁判の審理・評決に一般の国民が参加する裁判官制度の具体化が進んでいる。刑事事件のうち重大事件について、無作為に選出された一般市民が裁判官と対等に評議を行い、有罪・無罪や量刑を判断する欧米の陪審員制度と似た司法制度だ。ただ「国民参加」と魅力的なキャッチフレーズがあって日弁連なども積極的なのだがどこかに諸手をあげて賛成できない気持ちがある。心配性になるのは海外の名作法廷ミステリーをよく読んでいるからである。 ...続きを見る

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2005/05/18 16:06
少女を監禁、手錠で拘束し、己の欲望のままに飼育する  このテーマの純文学に次回芥川賞を授けるか
飼育ゲームなるものでシコシコと夢中になっている。少女たちが身につけている汚れたパンティーを大量に仕込んで臭いを楽しんでいる。女学生のトイレ中を盗撮した写真集で興奮している。部屋いっぱいにお人形さんを飾ってブツブツと会話している。 いい歳をした大人がである。 気持ち悪いなぁ、そばに寄りたくないなぁ、変態だと「普通の人」は思う。 ...続きを見る

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2005/05/17 19:34
最新刊・北方謙三『水滸伝第十七巻朱雀の章』いよいよ最終章へ向けて若い人物ふたりが立ち上げる
腐敗混濁の世を正す、「替天行道」の旗の下に結集した叛乱軍梁山泊。ついに宋国は梁山泊の完全殲滅を宣言した。十六巻までに108人からなる梁山泊の同志たちの33人が死んでいる。そしてこの巻では大幹部二人を含めた11人の命が失われる。 ...続きを見る

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2005/05/16 22:54
『国盗り物語』・蝮の道三を読まれたら次はもっと娯楽的なこれ
「迷うなぁ・・・。」について 『国盗り物語』は前編、「斉藤道三」が特によかったような気がします。信長・光秀・秀吉のお話は子供のころからのなじみでしたが、道三はこの小説ではじめて魅力的人物だったと知ることができました。 山岡荘八や司馬遼太郎の「歴史小説」がお好きな方の趣味ではないかもしれませんが道三といえば宮本昌孝 『ふたり道三』をおすすめします。全四巻の長編で、歴史小説というよりどちらかというと『影武者徳川家康』系統の時代小説ですが、それだけ読み出したらとまらない面白さです。 ...続きを見る

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2005/05/15 23:24
03/12/15サラ・ウォーターズ 『半身』 全編妖しい霧がたちこめる技巧的ミステリーの傑作だ
読み終えてもう一度ページをめくり返してポイントになっていたと思われる箇所を読み返さざるを得ない。そんな気持ちになって結局、全ストーリーを読み直す誘惑にかられる。技巧と装飾にちりばめられたミステリーだからである。作者の緻密に企てた作為であることがわかっていながらその巧妙さに乗せられること自体がこの作品の魅力なのだ。 ...続きを見る

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2005/05/15 22:23
私も読んだ嗤う伊右衛門』
「最近読んでいる本、「嗤(わら)う伊右衛門」」について ...続きを見る

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2005/05/15 14:08
町田康 『告白』  「河内十人斬り」河内音頭に歌われる明治の惨殺事件をモデルに
灰神楽三太郎・森の石松・八尾の浅吉を合計した大馬鹿者の一生。国定忠治も思わずニヤリとするだろう。 ...続きを見る

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2005/05/15 13:09
2003/11/27宮部みゆき『誰か』期待を裏切られたこの凡作
宮部みゆきは多方面のジャンルで優れた作品がありますが私は現代の経済社会に直結した風俗をとらえ、社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれていく一般庶民を丁寧に描く作品が彼女の真骨頂だと思います。 ...続きを見る

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2005/05/13 14:01
03/11/24京極夏彦 『嗤う伊右衛門』幽霊のでない四谷怪談の恐怖
この京極流四谷怪談、時代設定はあの四谷怪談でありますが、明日の見えない現代の不安とそこで生きるもののこころの歪みをあな恐ろしく描写しています。 ...続きを見る

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2005/05/13 13:05
03/11/18ロバート・R・マキャモン 『魔女は夜ささやく』アメリカ開拓者たちに潜む内面の恐怖
私の友人に猛烈に読書量の多い男がいて、彼が言うには北上次郎氏の書評が的を射ているため、その評価の高い作品は必ず目を通す。その北上氏が朝日新聞紙上でこのマキャモン作『魔女は夜ささやく』を 「父と子の小説であり、青年の成長小説であり。年上の女性との恋愛小説で」 「なによりも素晴らしいのはこれが見事なミステリーである」 とつまり「脱ホラーの新生ミステリー」と評価するのが目にとまった。 『スワンソング』という悪魔降臨によるハルマゲドンと生命の復活を描いたホラー小説が印象に残る作家である。 ... ...続きを見る

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2005/05/11 13:13
03/11/04ウィリアム・ランデイ 『ボストン、沈黙の街』不愉快な「驚愕のラスト」
著者のウィリアム・ランデイはこの作品の舞台であるボストンに生まれ6年間検事補として公職についたことのある作家でその長編第一作である。 ボストン大学を母の介護のため中退し、事件らしい事件の起こりようのないメイン州の田舎町に戻ったベンは父のあとをついで警察署長になっている。 まずのんびりした田舎警察の日常がいい雰囲気で描かれる。ここは西部劇にある平和な地域の善良な保安官のイメージで現代警察とは思えないのだが、これもアメリカなのだろう。 ...続きを見る

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2005/05/11 12:27
茨城のむかしむかし大昔8 富士よりもいい山だっぺ筑波山
筑波山は江戸崎町の高台から望める子どものときからなじみのある山だ。昔は関東一円どこからでもよく見られたようだ。海抜800メートル程度の山に過ぎないが、広大な関東平野の地平が尽きるあたりに、そこだけがいきなり盛り上がって秀麗な山の姿を顕している。男山と女山、双つの嶺がぴったりと寄り添って見え、大地に横たわった巨大な女神の乳房にもみえる。まさに生産のシンボル、常陸国にふさわしい、豊饒の祈り山である。朝夕にその色を変えるところから「紫の山」・「紫峰」などといわれている。 ...続きを見る

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2005/05/10 12:49
03/10/05『Yの悲劇』日本人の選ぶ海外推理小説のナンバーワン
1937年に刊行の序文で江戸川乱歩は 『Yの悲劇』は着想のなんともいえぬ恐ろしさと、謎の論理の申し分ない魅力において、探偵小説愛好家の魂に食い入る傑作である と賞賛した。 また別の場所では この作品にはそういう謎と論理の魅力のほかにもっと大きな魅力がある。それはこの犯罪の動機と犯人とが、ちょっと書き表すことのできないほど、異様で悲劇的で戦慄に満ちていることである。その並外れた着想を読んで私は『アァ、探偵小説のたねはつきないものだなあ。まだこんな素晴らしいのが残っていたじゃないか』... ...続きを見る

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2005/05/10 10:35
03/09/15水村美苗 『本格小説』 中高年が読んでこそこたえられない「大人の恋愛」
ずっしりと時の重みを感じましょう。「青臭い恋愛小説など今さら」と分別くさい中高年が少し気恥ずかしい気持ちで読んでこそこたえられない「大人の恋愛小説」なのだ。 ...続きを見る

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2005/05/08 08:39
文庫本で発売、バイオレンスもふんだん、藤原伊織「蚊トンボ白髭の冒険」
「蚊トンボ」、「冒険」なんていい大人が読むには題名からして人を食った本だと誤解されかねない。さらに内容が超能力者ものなのだからばかばかしいと思い込まれる方も多いに違いない。 ...続きを見る

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2005/05/08 08:07
「「柔らかな頬」 桐野夏生」について 桐野夏生の作品に見る女性像
普@「柔らかな頬」 桐野夏生」について 私も桐野夏生の作品を初めて読んだのが「顔に降りかかる雨」でした。女性版ハードボイルドといった印象でそれまでにはなかったタッチで女性を描く作家だと思いました。「柔らかな頬」で一層その感を強めました。 夫婦の関係、男女の関係については全く対等に男を見つめる、そして「日常」からの逃避あるいは飛翔、孤独の放浪に自己を確立する女。非常に新鮮でした。 ...続きを見る

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2005/05/06 14:39
最新作「灰色の北壁」、真保裕一、感動の山岳ミステリー誕生
「山岳ミステリー」!! この作品は真冬、豪雪の山奥。そこのダムを舞台にしたデビュー作『ホワイトアウト』という傑作冒険小説の類ではない。 ...続きを見る

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2005/05/06 12:52
茨城のむかしむかし大昔 その7 隠れ伝承 『橘花残影』
橘花残影 ...続きを見る

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2005/05/04 19:42
ゴダードの「BOOK50:「閉じられた環」★★★★☆」について
「BOOK50:「閉じられた環」★★★★☆」について ...続きを見る

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2005/05/04 12:24
03/09/06 荒山徹 『十兵衛両断』 めちゃくちゃに面白い伝奇小説が登場した 
「朝鮮は古より文を尊ぶ国柄。剣術の如き野蛮なるもの、絶えて我が国に存在せし例はござらぬ」 よって妖術ノッカラノウムにより柳生十兵衛の肉体と剣技を奪いその指導のもとに朝鮮国内に正統の柳生新陰流を継承する強力な暗殺部隊を養成する。 古来中国の属国であった朝鮮国は中国が明から清朝へ政権が交代することで存亡の帰趨が定まらない。豊臣秀吉の侵略もありこの国家的危機に政権内抗争が激化している。そして日本の武力、政治力を手玉にとって中国と対抗しようとする勢力の大陰謀が徳川体制の裏舞台を一手に担う柳生一族を... ...続きを見る

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2005/05/03 22:29
茨城のむかしむかし大昔 その6 『常陸国風土記』  多珂郡に見るヤマトタケル
多珂の郡(こおり)には唯一、ヤマトタケルロマンがあります。 多珂の郡とは茨城県の現多賀郡のほぼ全域と日立市の一部を指します。 ...続きを見る

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2005/05/03 21:58
茨城のむかしむかし大昔 その5 『常陸国風土記』に見るヤマトタケル(倭武天皇)伝説-2
☆☆☆ヤマトタケルに名前をつけてもらった土地が大変多いことがわかった☆☆☆ 江戸崎近辺でもヤマトタケルに名づけられたそのままにあるいは少し言い方を替えて、今に残る土地名がこれほどたくさんあるのには驚かされます。他の郡にもまだいくつかの記述がありますが退屈なので紹介は省略します。 ...続きを見る

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2005/05/02 23:42
03/09/02 ハリガネムシを見たことありますか? 吉村萬壱『ハリガネムシ』
倫理担当高校教師の隠れていた暴力への欲望が突然はじけ出る。 読み進みながら子供の頃のハリガネムシの記憶が鮮明に浮かんだ。よく見かけた昆虫の中でもカマキリそのものですら長く細い体の下部にはいやらしくふくれた腹が、先には三角形の鋭角な小さな頭が乗り、その割に大きな目玉がぐるりぐるりと、鋭い口先をパクパクさせ、見るからに獰猛であり、その鎌を振る様は威嚇的であり、実際に私がなじんだ昆虫の中でもっとも醜い攻撃的虫けらであった。そのカマキリを踏みつぶす。緑色の体液に混じってくねくねと細長い針金状の寄生虫... ...続きを見る

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2005/05/02 14:23
03/08/21 自己確立のプロセスが娼婦への道であった女 桐野夏生『グロテスク』
じっとりと湿ってすえた万年床の異臭、安手の脂粉に混じった体液と汚物に加え、病んだ精神の腐敗臭がページを繰るごとに強まってくる。グロテスク! ...続きを見る

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2005/05/02 14:10
「黄金旅風/飯嶋和一」について 主人公末次平左衛門は長崎の民にとって本当に英雄だったのかしら?
「黄金旅風/飯嶋和一」について とても面白い歴史小説でした。悪の竹中重義をやっつけるのは良かったんですが結局その後ますます鎖国政策は厳しくなって、キリシタン弾圧は過酷になっていくんですね。歴史の皮肉でしょうか。いっそ主人公は不自由な日本を飛び出して東南アジアで活躍すれば反逆児らしくすっきりしたことでしょう。 ...続きを見る

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2005/05/02 13:21
2003/08/04 佐藤賢一 『オクシタニア』人間は極限状況でいかに神と向き合うか
13世紀フランス南部の豊饒の地「オクシタニア」の覇権と異端カタリ派をめぐる複雑な対立の構図を丹念に描く歴史小説であるが………。 オクシタニアは当時トゥールーズ伯を中心とする複数の諸侯がそれぞれの領地で繁栄を競っていた。物語は1208年ローマ教皇使節がトゥールーズ伯の家臣に殺害されたことを契機に教皇インノケンティウス3世が討伐の十字軍を宣布することに始まる。北フランスの諸侯や騎士団で組成された十字軍が、オクシタニアの諸侯連合と攻防戦を繰り返し、一時は敗退する。やがて、フランス王の介入による、1... ...続きを見る

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2005/05/01 07:29
03/07/27 丸谷才一 『輝く日の宮』 だらしないところもありそうな親しみを感じる文化論 
一流料亭にて名だたる調理人の芸術的割烹料理を堪能する場合、まずお品書きを一覧し、それぞれがいかなる趣向にこしらえてあるか思い巡らせるを楽しみ、一つ一つの料理が並べられれば盛り付けられた器を鑑賞し、配置の工夫、彩り、季節感を愛で、ベテランの仲居さんと調理人のさばきのよさを語らいながらその深い味わいに恍惚とするのである。また床の間にひっそりとおわす墨絵、一輪挿し、障子を開けて板の間越しにみえる中庭の涼しげな風情にもこころをひかれ、できうれば女将とうわさの政治家周辺、差し障りないスキャンダルにも話の... ...続きを見る

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2005/04/29 23:30
オジサンが足で作った「秩父札所巡り・ガイドブック」? この連休のアイデア
2002年5月の連休を皮切りに秩父札所34ヶ所を巡礼。五月には30ヶ所でお勤めを果たしました。その後7月7日に31番から33番までの3寺を訪れ7月28日、第34番札所に納経、結願を果たしました。 とにかく花々の生命のその迸りに感動しました。 ...続きを見る

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2005/04/28 15:08
03/07/14幻想文学・泉鏡花 『高野聖』 ホリエモンに読ませてみたい「合理主義の忌避」
?京極夏彦『覘き小平次』と丸谷才一『輝く日の宮』と間に泉鏡花『高野聖』を読む。 丸谷才一の話題作『輝く日の宮』は冒頭、泉鏡花の『高野聖』を本歌取りした現代怪異譚で読者は思いもかけないこの小説の凝った趣向に驚くことになるのだが、少し読み進んで松尾芭蕉論あたりになると、近代文学とか近代的自我の確立などと西洋流の理路整然とした物事の整理の仕方とは対極にあるぼんやりした日本的情趣の値打ちを思いやるようなところに至り、そうなるとやはり、『源氏物語』をいまさら読むのは億劫であるが、おそらく伏線として冒頭... ...続きを見る

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2005/04/28 15:06
茨城のむかしむかし大昔 その4 『常陸国風土記』に見るヤマトタケル(倭武天皇)伝説
◆信太郡(しだのこほり)の章 なお信太郡はわが江戸崎町を含む現在の稲敷郡である。 倭武天皇(ヤマトタケルノスメラミコト)海辺に巡幸されまして、乗浜に行き至りました。時に濱の上に多く海苔を干していました。これからこのあたりをノリハマの村と名づけられました。 注 乗濱 稲敷郡の東端、霞ヶ浦に臨む古渡・阿波・伊崎付近の浦浜 ...続きを見る

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2005/04/27 01:09
03/07/06 船戸与一『夢は荒れ地を』そのためには不法も暴力もやむなしと船戸節炸裂
(1)カンボジアにおいては、長年にわたった内戦が残した銃器や手榴弾等の武器が反政府組織の手に渡ったり、一般社会へ大量に流出しており、凶悪犯罪が多発する一因となっています。都市部以外の数多くの広範な地域では、治安当局の力が及ばず、武装強盗団や誘拐団が出没しています。また、カンボジア国民の間では一般的に反ベトナム、反タイ感情が強く、これらの感情に起因する暴動も発生しています。 (2)日本人を含む外国人を狙った犯罪も増加傾向にあり、2002年8月3日には、日本人女性の滞在者が、入居していたアパー... ...続きを見る

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2005/04/26 19:34
私が読んだマックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」終わり
10.グローバリゼーションの急速な進展とアメリカのエートス ...続きを見る

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2005/04/26 15:01
03/06/30 京極夏彦『覘き小平次』 怪談にして怪談にあらず、鏡に映る自分が怖い?
怪談と申しますと文化・文政期の合本、読本、歌舞伎を真っ先に思い浮かべますな。人間界の邪悪な葛藤、その結果がひきおこす殺人、加虐、血みどろな幽霊と凄惨な復讐がおりなす、妖美・淫虐の世界でございます。 ...続きを見る

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2005/04/25 00:15
茨城のむかしむかし大昔 その3 ヒタチと呼ぶは?
豊穣の地 常陸国 (クリックで当時の地図を見ることができます) ...続きを見る

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2005/04/24 23:51
私が読んだマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」その5
8.今なぜヴェーバーか ...続きを見る

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2005/04/24 16:21
マシュー・パール『ダンテ・クラブ』 海外ミステリーではついぞお目にかかれなかった骨太の傑作だ。
著者が構築した縦軸は三本あろうかと思われる。そしてモチーフは一貫してダンテである。このかなり消化の難しい縦軸と横軸がむりなく融合しているところにこの作品の値打ちを見出す。 ...続きを見る

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2005/04/24 16:04
筑波山・笠間稲荷・来栖神社 デジカメ散歩
常陸国に残る日本武尊伝説を集めているところで笠間市の古い伝承に出会いました。 筑波山そのものもヤマトタケルとはなじみのところです。 そこで2003年5月3日、途中筑波山に立ち寄りながら 笠間のお稲荷さんから その伝承にある来栖神社を訪ねました。 ...続きを見る

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2005/04/23 20:50
03/06/21ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』 リンカーン・ライムシリーズ第4作目の出来映えは?
第1作は「四股麻痺科学捜査官・ライムとNY市警の女巡査・サックスが明かす異常殺人事件の謎」『ボーン・コレクター』。 第2作は「棺おけの前で踊る死神の刺青をした連続殺人鬼を追うライムとサックス」『コフィン・ダンサー』。 この二つの作品は都会型の凶悪犯罪でしかも相手は奸智に長けた頭脳犯。この追う者、追われる者の知恵のせめぎあいにクールで、ドライで、直線的な緊張感が全編を貫徹していた。まさにジェットコースター型で理屈ぬきの興奮を味わえる第1級のエンタテイメントであった。 ...続きを見る

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2005/04/23 17:41
茨城のむかしむかし大昔 その2
★★★ヤマトタケルの常陸国における足跡★★★ ...続きを見る

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2005/04/23 16:42
03/06/12 『鉤』ドナルド・E・ウェストレイク  『斧』と同様、痛烈なアイロニーが充満した作品
著者はかなりのへそ曲がりだ。前作『斧』と同様に私にはやや理解を超えた人物像が描かれる。 ...続きを見る

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2005/04/22 22:44
私が読んだマックス・ヴェーバ- 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」その4
7-2.非合理と合理の合体 ...続きを見る

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2005/04/22 19:47
私が読んだマックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』3
6.エートス ヴェーバーを理解するうえで欠かせない概念に「エートス」がある。 大塚久雄先生の解説では 宗教的倫理であれ、あるいは単なる世俗的な伝統主義の倫理であれ、そうした倫理綱領とか倫理的徳目とかという倫理規範でなくて、そういうものが歴史の流れのなかでいつしか人間の血となり肉となってしまった、いわば社会の倫理的雰囲気とでも言うべきものなのです 広辞苑のほうが理解しやすいかもしれない。 ある民族や社会集団にゆきわたっている道徳的な慣習・雰囲気 ...続きを見る

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2005/04/22 00:51
茨城のむかしむかし大昔 その1
私は茨城県江戸崎町に生まれた者です。還暦を越えたこの歳に至っておよそこの故郷周辺の古い歴史について、知識を持ち合わせていなかったことに気がつきました。それは私の実家筋来栖平右衛門家の過去帳を調べたことに始まる。そこでは戦国時代の江戸崎周辺の武将たちが私も知っている歴史の動乱に巻き込まれながら活き活きとうごめいているではないか。 ...続きを見る

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2005/04/22 00:44
03/06/01真保裕一『繋がれた明日』 東野圭吾『手紙』と並ぶもう一つの「罪と罰」
加害者あるいはその家族の「償い」のありかたを被害者の家族の「憎しみ」とぶつけて問うというテーマで二人のベストセラー作家の作品が同時期に競いあう形で発表になっているのは興味深いことである。 ...続きを見る

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2005/04/22 00:39
わたしが読んだマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』2
3・キリスト教にある合理性 ヴェーバーの示唆をまたずとも、歴史的に見ればキリスト教は発祥のときから合理的思想と融合しやすい教義であった。イエスの生きた時代は人間の文化が東方から西方へ、呪術から合理・理性へと転換する大移行期であった。ギリシアの思想家たち──彼らの影響は、ローマ帝国を通してヨーロッパに広がっていったのだが──は、理性を発達させた。しかし宗教を必要としていた。唯一神を信じ、倫理的な、そして偶像崇拝を否定する高度に発達したユダヤ神学がこのギリシア思想と融合して誕生したのが強力な新宗教... ...続きを見る

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2005/04/21 00:59
03/05/26篠田節子『コンタクト・ゾーン』ド田舎の爺さま婆さまとピカピカのシティ熟女の連帯
ド田舎の爺さま、婆さまたちとピカピカのシティ熟女との連帯。古きよき村落共同体の滅びの宿命に対するこの命がけの抵抗に声援を送ろう。 ...続きを見る

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2005/04/20 23:46
私が読んだマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズの倫理と資本主義の精神』
先日ホリエモン騒動をとりあげた日経紙のコラムでマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を引用、マーケット至上主義の世界にも一定の倫理観が必要ではないかと述べていた。 今年は本著が発表されてちょうど百年になるという。 学問とは全く無縁でただサラリーマンをやってきたオジサンが、これは2003年の春に読んでまとめてあった独断の感想と解釈です。 ...続きを見る

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2005/04/20 20:45
03/05/22東野圭吾『手紙』 この日本的現代版「罪と罰」に救いはあるのか
さすがミステリー作家らしいある意味で二重、三重のわなが仕掛けられてあり、読者は心情的にさらに頭脳的に混乱させられます。しかしミステリーとは全く異質の作品でありました。 ...続きを見る

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2005/04/20 20:44
03/05/05ドンデンガエシが巧く決まった本格謎解きミステリー 貫井徳郎『慟哭』
白装束に身を包み、トラックを連ねて迷惑を省みない宗教団体がいる。執拗にタマちゃんをとらえようとする宗教団体がいる。クローン人間を誕生させたという宗教団体もいる。なんとなく薄気味が悪い世の中になったものだ。 ...続きを見る

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2005/04/20 05:57
03/04/09 粋なラストとは思えなかった鯨統一郎 『ミステリアス学園』
ニックネームさひろさんからのつぎのようなお薦めいただき早速に読んでみました。 今年の各種ランキングにはまだまだ早いこの時期ですが、私の一押しを見つけてしまいました。それが「ミステリアス学園」です。 架空の大学「ミステリアス学園のミス研(略称ミスミス研)」で起こった『連続殺人事件』を扱った連作短編の形をとっていて、探偵役はこれまで1冊しかミステリーを読んだことのない新入部員という設定です。 新入部員のためのミステリー講義を織り込みながら話は進んでゆくのですが、短編7話のタイトルが「本格ミ... ...続きを見る

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2005/04/20 05:54
03/04/05 横山秀夫『半落ち』はなぜ直木賞を受賞できなかったかー2
『半落ち』とこの『動機』を読んで、さらに『半落ち』が直木賞を受賞できなかったことを思い合わせて、横山秀夫のこれまでの作風で気がついたことがあります。 ...続きを見る

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2005/04/18 23:51
03/04/05 横山秀夫『半落ち』はなぜ直木賞を受賞できなかったのかー1
横山秀夫の作品は『半落ち』を最初に読んだだけでしたので日本推理作家協会賞受賞の『動機』を読んで、その作風にある共通の個性的魅力が感じられました。 ...続きを見る

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2005/04/18 23:01
今日の日経紙「核心」によれば、今、マックス・ヴェーバーの再評価だと。
二つの買収劇が日本を揺さぶっている。ひとつはニッポン放送をめぐるライブドアとフジテレビの攻防であり、もうひとつは郵政民営化をめぐる政治のあつれきだ。 そして それは戦後日本の経済システムがきしみながらも、終わりを迎えたことを示している。 とし、資本主義の進化が必要だと述べるが、必ずしもグローバル競争の勝者となった米国流の市場経済をそのまま鵜呑みにすべきではないと忠告している。 グリーディー(どんよく)な原色の資本主義は見習うべきではない。{最近の株主偏重のマーケット主義に対... ...続きを見る

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2005/04/18 12:46
神はいつまで「沈黙」されるのか?
「獣の皮をかぶった聖者。」について 遠藤周作『沈黙』、私のキリスト教義に対する疑問の入り口でした。 20数年も前になろうか、遠藤周作の『沈黙』を読んで、キリスト教義にある不可解な原理にまさに触れたような気がしたものだ。 幕府の切支丹禁令下、その迫害にあい、無残な責め苦の中でキリシタンたちは 「なぜ神は救いの手を差し伸べてくれないのか。なぜ神は沈黙されているのか」 と苦悶の叫び声をあげる。 もちろんキリスト者である遠藤周作としてはこの神の不実(わたしは不実であると思うのだが)に対してなん... ...続きを見る

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2005/04/17 23:33
03/02/23高村薫の直木賞『マークスの山』 その4「その後」
その後、高村はミステリー最後の最高傑作、犯罪兼企業小説『レディ・ジョーカー』を発表する。 ここでは事件に巻き込まれた大企業の経営者たちの真剣な対応姿勢が実にリアルな筆致で描かれていることに驚かされた。 ...続きを見る

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2005/04/17 21:59
03/02/23 高村薫の直木賞『マークスの山』 その3「誰がバブルを告発できるか?」
日本の権力構造をとらえる高村薫の視点に関することである。 初稿を読んでもう10年近くもたつのかと、私自身この間の時の経過、その凝縮された濃度を実感する。 バブルという魔物に日本の全体構造は窒息状態に追いやられた。 その魔物の周囲で数多い不正義があった。 私の友人・知人の幾人かはその責めを問われ被告席に立たされた。 経済的制裁、社会的制裁をうけた友人・知人の数は知れない。 ...続きを見る

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2005/04/17 12:05
03/02/23 高村薫の直木賞『マークスの山』 その2「10年後の印象」
実は1993年に初稿版を読んだときには直木賞受賞とはいえ、退屈だった記憶を除いて印象が薄い作品であった。 ...続きを見る

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2005/04/17 11:39
03/02/23 高村薫の直木賞 『マークスの山』 その1
このほど改訂版が発刊された。 帯には「警察小説の金字塔」とある。まさに文字通りの傑作である。 マークスと名乗る二重人格の青年の狂気と仲間の秘密を共有しあった政・財・官・法曹界のエリートたちの狂気、二つの狂気が交錯する暗闘に警察組織が翻弄される。ほとんど手がかりがないまま進行する連続殺人事件の真相を追う合田刑事たちの地道な捜査活動、そこで繰り返される試行錯誤、警察という厳しく管理された組織とそこで生きる男たちの苦闘ぶりだけでなく、それぞれの個性、喜怒哀楽を活写する。 年がら年中顔を合わせ、... ...続きを見る

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2005/04/17 10:53
騙されて快感を覚えるミステリー「葉桜の季節に………」
「「葉桜の季節に君を思うということ」歌野晶午」について ...続きを見る

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2005/04/16 19:16
「会津の春」 この週末のお天気は良さそうですね。
私の友人に「エピキュリアン」を自称する自然人がいます。2年前に磐梯山を望む彼の山小屋に一泊して「白虎隊の道」を歩いてきました。 2003年4月27日、写真集「会津の春」をご紹介します。 ...続きを見る

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2005/04/15 12:45
「傷だらけの男根。」について
「傷だらけの男根。」について ...続きを見る

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2005/04/15 09:57
03/02/12 たまには本格謎解き小説の傑作中の傑作をー2
外界と隔絶されたいわば巨大な密室でおこる連続殺人プラス「見立て殺人」である『そして誰もいなくなった』の類型作品は数多くあって最近では 山田正紀      『ミステリ・オペラ』 笠井潔『オイディプス症候群』      マイケル・スレイド『髑髏島の惨劇』 があげられる。 三作品とも一昨年、昨年のミステリーベストランク入りした作品ではあるが、比較すればこのオリジナルの傑出ぶりがますます際立つのである。 ...続きを見る

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2005/04/14 22:07
03/02/12 たまには本格謎解き小説の傑作中の傑作をー1
孤島の豪邸に10人の男女が招かれるが主の姿はない。全員が集まった広間にどこからともなく怪しい声が響き、10人の隠された過去の罪状が暴かれる。各人の部屋には「マザーグースの子守唄 10人のインディアン」の歌詞が書かれた羊皮紙が掲げられている。ダイニングルームにはインディアンの人形が10個、飾られている。そして子守唄の歌詞どおりに殺人が進行し(この形式の殺人プロセスをミステリー用語で「見立て殺人」と呼称する)、人形はそのたびに壊れていく。 ...続きを見る

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2005/04/14 20:05
03/02/03 大沢在昌 『砂の狩人』 大沢バイオレンス
ふと映画「スター・ウォーズ」シリーズの印象のことを思い浮かべた。あれをはじめてみたときは冒頭まず、大画面を縦断する巨大戦艦の質量感に圧倒された。そして空想科学小説の想像の世界でしか描けなかった星間戦闘を実にリアルに映像化した超重量級激突の連続に舌を巻きながら、一貫した勧善懲悪のストーリーを理屈抜きに楽しんだものだ。ところがである。シリーズがすすんでの最近の作品は映像技術のいっそうの進歩もありこの激戦シーンはますます迫力を加えているのだが、ラブロマンスや親子の愛憎、正義のヒーローに内在する暗い野... ...続きを見る

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2005/04/14 13:57
荒木一郎著「テクニカルなカードマジック」中級レベル
世の中マジックブームだそうでございます。昔からテレビではイリュージョンと言われる大がかりな舞台マジックを見かけることはありましたが、最近では少人数の観客に対し披露するクロースアップ型のマジックの受けがよろしいようで、設備投資がかさまないため、それを素人が見て楽しむばかりか実際に演技して見ていただくことを楽しむ方が増えているのですね。しかも中高年層に急増しているのですからなんともうれしいことです。先日もオジイチャン、オバアチャンのサークルが手品教室で指導を受け、杖を花に変えたり、ネッカチーフから... ...続きを見る

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2005/04/14 09:43
高遠の桜
信州高遠城趾のコヒガンザクラは日本さくらの会選定「さくらの名所百選」に選ばれた名桜。現在の桜情報では今週末が満開の模様です。 私は2002年の4月7日に絶好のチャンスを得ました。 ...続きを見る

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2005/04/13 15:09
「いきなりマジック塾 「どこでも」「すぐ」できる簡単びっくり手品80 宝島社 」について
「いきなりマジック塾 「どこでも」「すぐ」できる簡単びっくり手品80 宝島社 」について 私は丸善で「テクニカルなカードマジック講座」荒木一郎著と言う奴をおととい買ったばかりだったものでついついご挨拶いたします。この本は「トランプ手品」となっていない、「カードマジック」としてあるところがいかにも中級らしく、しかもCD-ROMつきで映像で学べるというそれこそいいオジサンが買うにはいかにも恥ずかしかったのですが、思い切って買いました。デパートの手品売り場にはさすがいけませんのでもっぱらカードで遊... ...続きを見る

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2005/04/13 01:06
03/02/01目からうろこのキリスト教誕生の背景-2
バーバラ・スィーリング 『イエスのミステリー 死海文書で謎を解く』 隠れた新事実として実に驚くべきものが明らかにされるため、この聖書解読は上質のミステリー同様スリリングである。 たとえば 「イエスは十字架の上では死ななかった。友人たちに墓の中から助け出され、ローマに到着する」。この著はいわゆる「とんでも本」の類だと評するむきがある。その評価が的を射たものとは思えないのだが、センセーショナルな分析結果の学術論文であると同時に充分魅力な読み物でもある。 ...続きを見る

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2005/04/12 00:58
03/02/01目からうろこのキリスト教誕生の背景-1
バーバラ・スィーリング 『イエスのミステリー 死海文書で謎を解く』 ...続きを見る

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2005/04/12 00:54
03/01/23 イカモノ喰い-『髑髏島の惨劇』
マイケル・スレイド『髑髏島の惨劇』はミステリー好きのゲテモノと理解できれば食えない作品ではない。 呪われた伝説の島、髑髏島。残虐な連続殺人鬼。島に集められた15人の男女は邪教を崇拝する殺人鬼が仕掛けた死の罠の餌食と化す 前半は神の生贄(ここでは山羊ではなく人間である)として欠かせない儀式をともなう連続殺人であるから頭皮を剥いだり、顔面を削ったり、内臓をすべて取り出したりする惨劇が細密に描かれます。むしろここではヨーロッパに残る悪魔・魔女崇拝思想の歴史や切り裂きジャックをはじめとする猟奇連続... ...続きを見る

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2005/04/11 19:42
03/01/26 イカモノ喰い-山羊のそれ
十数年も前のことだ。新宿3丁目の奥まったところに沖縄料理の店があって店主から「山羊の男性自身の刺身」を勧められたことがある。 ...続きを見る

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2005/04/11 19:41
03/01/13 これぞ忠臣蔵の決定版
例年、正月の二日は10時間のテレビドラマを楽しみにしている。今年は「忠臣蔵」であった。この誰もが知っている美談をどう解釈しているかがもっぱら興味の対象であったが『仮名手本忠臣蔵』の素材をかなり取り込んで、世話物、人情噺といわば古典的解釈の「義士」を描くドラマで拍子抜けしたが、それでも、最近でははやらない挿話がむしろ懐かしく、年寄りと一緒に見て会話も弾んだものだ。 ...続きを見る

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2005/04/10 22:48
03/01/11魔岩に仕掛けた家康三百年の深謀
荒山徹 『魔岩伝説』 久々の大型伝奇時代小説を堪能しました。まず、朝鮮通信使とよばれる李朝朝鮮とわが国の歴史的な外交の制度について全く知らなかったものとしては、いたく好奇心を刺激させられました。 ...続きを見る

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2005/04/09 23:18
「「騙し絵の檻」 オジサンも読みました。
「「騙し絵の檻」読了」について この作者が女性であったとは、最後の解説を見るまで考えもしませんでした。男性的タッチですよね。 冒頭から緊張感にあふれ、非常に無駄のない、それでいて複雑な伏線がいたるところに張り巡らされ、最終章でこのジグソウパズルが再分解され、嵌めこみが完成する。まさに本格ものの醍醐味を味わえることになる。 ...続きを見る

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2005/04/09 18:27
03/01/05 憎悪をエネルギーとして暴走する女の自己破壊
桐野夏生『ダーク』 主人公のミロは14歳の時に死の床にある実母から、枕元にいて見取って欲しいと懇願されるのを拒絶し、中学の行事八ヶ岳合宿へ参加する。やくざ組織の調査員である父は合宿へ向かう不実の娘に背を向ける。細い山道の奥の合宿現場に母の危篤を知らせる組織の幹部がベンツで乗り付ける。父と信頼関係で結ばれているこの朝鮮人の幹部は車内でミロに現在の父は本当の父ではないことを告げ、少女の親不孝行為を責めるではなく、それでいいんだ「冷たいようですが、そのくらい負い目を持った方がこれから生きやすい」と... ...続きを見る

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2005/04/09 18:11
「難解が良い」について
「難解が良い」について フォイエル・バッハ「キリスト教の本質」ドストエフスキー「罪と罰」に挑戦されて、そこから得るものをなど私とは相当年代が違うかたでも共感するところがおおいところでご挨拶します。 学生の時に読みたい、あるいは読むべきと思った書籍で何度か挑戦しながらも中断し、還暦迎えた頃に決心して読破する快感もあるものです。 二年前にはマックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を半年かけて読みました。昨年は「罪と罰」をやはり半年かけて読み終えました。周辺の知識を集めな... ...続きを見る

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2005/04/08 15:17
2002年12月24日新生サラリーマン必須 清濁のこころえ
「すまじきものは宮仕え」と自嘲しながら師走の寒風に身をすくめる方もおられるのでしょうが、そんな逃げ口上のことは百も承知で、自分を貫く道をなんとか見出そうと四苦八苦しているのが多くのサラリーマンというものでしょう。 ...続きを見る

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2005/04/06 18:48
2002年12月17日年寄りには重い『オイディプス症候群』
笠井潔 『オイディプス症候群』 われながらこれだけのボリュームを誇る(大作1600枚)パズル小説を曲がりなりにもよく読破したものだ。しかし、来年には還暦を迎える高齢者にとって手首に疲労感がいつまでも残っているだけで、どこをどう感心してよいやら正直いってさっぱりわからないのである。 最近は読者が本を選ぶだけでなく「本が読者を選ぶ」という不遜なミステリーが横行しているらしいが、どうやら3200円の大枚をはたいて買ったこの本から嫌われたようで、そうなると年寄りのグチのひとことなど申し上げたくなる... ...続きを見る

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2005/04/06 18:44
2002年12月12日 練達のテーブルマジックだが減点あり
東野圭吾 『ゲームの名は誘拐』 「人生はゲームである」と開き直って、勝ちを続けている男が二人登場する。 ひとりは広告代理店に勤務、彼の企画したイベントのことごとくが成功している才知の持ち主、女にもまたモテモテの主人公である。 もうひとりは大自動車メーカーの辣腕副社長である。 このメーカーから依頼された大型イベントの企画リーダーであった主人公は副社長の美学にそわず満座の席で罵倒されチームから外されてしまう。腹の虫がおさまらない。なんとかしてひと泡吹かせてやりたいと、じりじりとしていた... ...続きを見る

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2005/04/05 23:05
2002年12月9日 酷評。真保裕一『誘拐の果実』
真保祐一『奪取』は偽造紙幣犯罪小説としてA級の作品であった。逆転に継ぐ逆転のストーリー展開、贋札工程のディテールは迫真性をさらに密にし、この緊張感ある大型犯罪小説を堪能した。さすが、当時は目新しかった日本版冒険小説『ホワイトアウト』の作者であると感心したものだ。 誘拐犯罪を扱ったミステリーには名作がいくつもあるが、『奪取』の作者であれば新鮮な切り口を見せてくれるに違いないと楽しみにしてこの2段組500ページの分厚い巨編を手にした。 誘拐テーマではもう一つ、東野圭吾『ゲームの名は誘拐』が発売... ...続きを見る

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2005/04/05 22:54
宗教には縁のない私のキリスト教に関するまじめな疑問その2 『小説 聖書 新約編』
2002年12月5日 前に読んだアベカシスの 『クムラン』ではイエスですら磔刑の苦痛のなかで 「なぜ神は私を見捨てるのか」 と絶望することが記されていた。 これでは往生はできません。 この神の子にして救われなかったとするこの小説に虚構としての面白さを感じたのである。 しかし、どうやら虚構と断定するにはそう単純ではないようです。 ...続きを見る

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2005/04/05 22:46
宗教に縁のない私のキリスト教に関するまじめな疑問 その1
最近は酒の席でも宗教に関する話題が増えています。長年、論語・老子・荘子・韓非子などを一緒によんできた仲間には洗礼を受けたクリスチャンもいて、いい加減な扱いではなくいろいろな観点で話が盛り上がるときがあります。そんな席でわたしはこんなことをいいました。 ...続きを見る

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2005/04/04 17:36
平和の伝道者であったローマ法王が神に召された 『小説 聖書 旧約編』
宗教とはずっと無縁の立場であった者が聖書を読んでみる気になった時がある。そのときウォルター・ワンゲリン 『小説 聖書 旧約編』。小説であれ「聖書」なるものを読んでみた。いまどき、不謹慎なことかもしれないが、キリスト教の神に関するその時の印象はやはり現時点でも変わらない。 ...続きを見る

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2005/04/04 00:17
庭園と桜と高層ビル
本日(2005年4月3日)文京区の小石川後楽園を訪れました。 千鳥が淵、靖国神社、上野公園などソメイヨシノの名所はまだ開花には至りませんがここの枝垂桜は満開でした。入園料300円が必要のためか混雑もなく楽しめました。 ソメイヨシノの樹林を眺めるのもよいが、こうした庭園に調和した桜も風情があるものです。さらに都会の高層ビルを背景にしたアンバランスも一興でした。 ...続きを見る

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2005/04/03 21:54
2002年11月17日 「クムラン」の続編 この好戦的神学ミステリーは本当に怖い。
神は人間に対し、限りない愛をお示しになる存在と思っていましたが、それは誤解だったような気がします。 ...続きを見る

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2005/04/02 22:01
ヴァチカンの枢機卿が「ダ・ヴィンチ・コード」にケチ
をつけたと先月のニュースにありましたが、キリストにまつわる重大秘事を今なお受け継いでいる組織を背景にした「ダ・ヴィンチ・コード」が世界的ベストセラーになったことから起こった波紋でしょう。 ...続きを見る

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2005/04/02 00:02
2002年11月15日 痛快、爽快!!青春時代劇
宮本昌孝 『夏雲あがれ』 痛快!!! これは楽しめる、「きらめく青春」の時代小説の傑作だ ...続きを見る

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2005/04/01 23:53
2002年11月16日 青春モノにあるオジサン族の思い出
宮本昌孝  『夏雲あがれ』 「きらめく青春の光、爽快な時代小説」と背の帯装丁にある。「きらめく青春」かぁ、なんと古めかしい言葉なのだろう。今この言葉を使うのは気恥ずかしい思いがする。こんなコピーを使っていまどきそんな本が売れるのかしらと心配になります。 「きらめく」は健康的躍動感の表現だろうが、ところで、今の若者たちにも「きらめく青春」はあるのだろうか。もしかしたら死語になってしまっているのではないだろうか。 ...続きを見る

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2005/04/01 23:44
2002年11月9日 敢えて激辛モードで批評すれば
五條瑛 『熱氷』 宣伝文句につられ、高い買い物をして失敗することがよくあります。装丁帯にこうあった。 俺は、人は撃たない。撃つのは氷だけ。人気絶頂の現総理の元に脅迫状が届く。姿を見せない脅迫犯と氷山ハンターの男、三日間の息詰まる攻防。注目の大型作家、待望お長編エンターテインメント ...続きを見る

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2005/04/01 23:42
2002年11月4日 もうこの手のサイコサスペンスは卒業にしたい。
ジェレミー・ドロンフィールド『飛蝗の農場』 作者ジェレミー・ドロンフィールドはイギリスウェールズ地方の出身で考古学を専攻した人だという。この作品は彼が1998年のデビュー作でその年の英国推理作家協会賞最優秀処女長編賞の「候補作」だそうだ。候補作であってそれ以上のものでないことは作品を読んでうなずける。 ...続きを見る

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2005/03/30 23:11
2002年10月27日 傷ついたもの同士の結束を暴力的に描くデニス・ルヘイン『雨に祈りを』
ハードボイルドが一世を風靡して以来、外国の私立探偵は女性にモテて、女性にほれやすく、そのため事件に巻き込まれ、さらに事件を複雑化させるのが相場です。レイモンド・チャンドラーが生んだフィリプ・マーローという探偵が、「あなたのようにしっかりした男がどうしてそんなに優しくなれるの?」と女に訊ねられたとき、こう答えるのである。 「しっかりしていなかったら、生きていられない。優しくなれなかったら、生きている資格がない」。 このようなキザなセリフをつぶやいて女ごころを蕩かす探偵はタフな行動的人間である... ...続きを見る

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2005/03/30 22:59
「【ダ・ヴィンチ・コード】」について
「【ダ・ヴィンチ・コード】」について 世界史を動かす巨大な陰謀がある。これまでの人類の歴史はその陰謀の展開の過程としてあった。あるいは、延々として闇の結社に守り継がれている巨大な秘密がある。それが白日のものになれば現在の世界秩序は崩壊する。 この種のミステリアスな骨格に各方面の専門知識、文明論、宗教論などなど読者をうならせる薀蓄を絢爛豪華にちりばめた長編小説の傑作がいくつかあります。でも薀蓄が難しくて敬遠され気味です。 そういうことではこれは楽しく読めます。 ...続きを見る

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2005/03/29 22:54
2002年10月19日ナチズムの狂気を幻想的に描いた地獄図
皆川博子『死の泉』97年10月に発表された作品である。98年1月に買って読みかけたものの、ホラーか単純なミステリーであると誤解していたので、途中、ストーリーの展開に見えないところがあったために、読み続ける興味が薄れ、頓挫した。改めて手にとった次第だが、今回はそれなりに歳を重ねたのであろうか読み応えを感じた。 ...続きを見る

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2005/03/29 21:47
いろいろな徳川家康のイメージ、理屈抜きにおもしろい家康も
「徳川家康 全26巻を読破」を拝見、「あぁ、当時読んでおくべきだったな」とくやまれました。 ...続きを見る

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2005/03/29 21:43
「徳川家康 全26巻を読破」について
「徳川家康 全26巻を読破」について オジサン世代もこれを読んだ仲間が大勢いました。結局このオジサンは読まずじまいでした。 ...続きを見る

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2005/03/28 16:41
2002年10月2日 没個性的・非社会的人間である「ぼく」がした決断とは?
吉田修一『パーク・ライフ』、今回(平成14年度上期)の芥川賞受賞作である。年齢は20代後半か、独身。一人住まいのサラリーマンが毎日昼休みに地下鉄に乗って日比谷公園へ出向き、缶コーヒーを飲み、生ハム入りのクラブサンドを齧り、ぼんやりベンチに腰掛けて周囲の風景を眺めているお話。 ...続きを見る

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2005/03/28 15:51
「昨日やっと」の「続巷説百物語」
「昨日やっと」について 京極夏彦のこのシリ−ズはいずれも傑作ですね。 オジサンも楽しく読みました。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

2005/03/27 18:24
2002年8月25日 生真面目な方が目を背ける。帚木蓬生『エンブリオ』 反吐が出そうなグロテスク
帚木蓬生『エンブリオ』 かつて山崎豊子は「白い巨塔」で人の命をあずかる医療業界の腐敗、権力闘争を描き、社会的注目を浴びた。同じく医療業界のお話なのだが………。 生真面目な作品が続いた帚木蓬生にしては医療業界の新しい分野における恐るべき「犯罪」を大胆に描いて読者の背筋をふるえあがらせる。テーマは深いところにあるのはわかるが、とにかくグロテスクなエピーソードの氾濫に度肝を抜かれる。  ...続きを見る

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2005/03/27 18:00
2002年8月12日 マカロニウェスタンではない古きよき時代の西部劇
逢坂剛「アリゾナ無宿」 逢坂剛が書いた西部劇ということで注目されていいと思って読んでみた。 ...続きを見る

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2005/03/27 17:20
2002年8月10日 面白くないサスペンスの分析
ジャン・バーク 『骨』。2000年度MWA最優秀長編賞受賞とあり、吉野仁氏が「役者、舞台、話し運びの三拍子そろった傑作」と激賞していたものだから読む気になったのだが、どちらかといえばかなり昔の映画ヘップバーンの「暗くなるまで待って」までさかのぼって比較していいような「旧い」感覚のサスペンスであった。 ...続きを見る

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2005/03/27 12:31
2002年7月31日 不倫のアリバイ 深谷忠記「目撃」
自宅近くの公園で毒殺された男の妻はその時刻、渋谷のラブホテルで不倫をしていたとアリバイを主張する。しかし、彼女をその時刻に公園で見かけたという目撃者が二人もあらわれ、第1審は有罪判決が下っている。これを第2審で担当する女性弁護士の逆転無罪を勝ち取るまでの法廷活動が丹念にかかれている。また、不倫現場を目撃した娘の母に対する憎しみ、暴力行為をやめない父に対する憎しみ、周囲からの冷遇、そして精神障害などに作者のやさしい視線が感じられます。 さらに物語は重層しつつ、8歳のときに母が父を刺殺する現場を... ...続きを見る

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2005/03/27 12:23
2002年7月26日 逢坂剛の第一級サスペンスといえばこれだ
「ノスリの巣」。逢坂剛、「百舌シリーズ」の最新作が刊行された。ノスリは野鼠や小鳥を捕食する鷹の一種らしい。ヨタカとも読むようであり、新たな女の刺客が登場するのかなと思い巡らせるだけで、前作の「よみがえる百舌」が期待はずれだったこともありまだ購入する心境にはない。 ...続きを見る

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2005/03/26 14:11
大がかりな「劇場型犯罪」が進行中なのかもしれない
フィクションの世界で「劇場型犯罪」を描いた代表作といえば宮部みゆき『模倣犯』 だろう。昨年のベストセラーになった雫井脩介『犯人に告ぐ』では「劇場型捜査」という捜査側が逆手にとった独創的シロモノを披露して見せた。いずれも大衆心理がマスコミによってヒステリックに反応する社会現象を巧みに取り込んだストーリー展開で実に傑作のミステリーであった。 ...続きを見る

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2005/03/25 16:10
NHK大河ドラマ『義経』よりもはるかに面白い、これもまた義経のお話
NHK大河ドラマ、陽光に輝き真っ白な駿馬が翔ける。颯爽の貴公子・多感の若武者・軍事の天才・波乱の生涯。非業の最期を遂げる義経の人物像は「判官贔屓」の言葉どおり国民大衆がいまなお追慕しつづける完成された日本型英雄である。おそらく放映中の大河ドラマもNHKだからこの枠をはずすことはないだろう。一方の頼朝については疑心暗鬼・優柔不断・嫉妬妄想・陰険嗜虐のイメージが刷り込まれている。 ...続きを見る

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2005/03/24 23:37
映画「半落ち」がテレビ放映される。まだ見ていないので楽しみです。
この作品が発表された当時、傑作に出くわした感激を次のように記してある。いまでもその感動は変わらない。 ...続きを見る

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2005/03/23 00:10
2002年7月21日 「本格推理」にひそむ小説としての限界 
土屋隆夫「聖悪女」 「三つの乳房を持つ女の辿る戦慄の運命。日本ミステリー文学大賞を受賞した斯界の巨匠が85歳の誕生日に書き上げた渾身の書き下ろし長編推理」 とある。 ...続きを見る

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2005/03/22 23:47
2002年7月20日 高村薫『晴子情歌』 高村はどこへむかうのだろうか
? 日本ミステリー史上、屈指の傑作『レディ・ジョーカー』を発表して後、創作活動がとまっていた高村薫の大河小説「晴子情歌」が刊行されて早速に買い求めた。最近は政治評論家になったかと思われるばかりの言論活動が目について傍目でいらいらしていただけに期待は大きかった。にもかかわらず、いっこうに読み進めないのであった。「非ミステリー」であり、娯楽性がほとんどない、つまりとんでもなく退屈な作品である。しかし、新聞雑誌の書評を大いに賑わしている問題作であることに違いはなく、シャクトリムシの休み休みしながら... ...続きを見る

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2005/03/22 23:25
「蛇にピアス」について
「蛇にピアス」について この本についてはこれまで若い方の見方があまり目に入らなかったものでオジサンの娘よりも10歳も若いかたの感想を興味深く拝見しました。オジサンは安心しました。 ...続きを見る

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2005/03/22 11:06
2002年6月14日北村薫『六の宮の姫君』に挑戦する
ある人からミステリーファンとしてはこれは読むべしと指摘があって、本屋で手に取ったところ表紙挿し絵がインテリお嬢さん風な青春劇画ものだから、いい歳の大人が読むものではないなと気恥ずかしい思いでためらいつつ買ったものだ。 ...続きを見る

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2005/03/22 10:40
2002年6月3日  第5回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作はどうだったか
『ボーン・コレクター コフィン・ダンサー』から『エンプティー・チェアー』までリンカーン・ライムシリーズを読まれた若い方から「日本のミステリーでこのような面白い小説はないでしょうか」とたずねられ、ハタと困った。「このような面白い」の意味は犯罪のスケールと重要にかかわっている。しかも現実感がともなわなければあれだけの緊張感は生まれない。あまりないのである。若い人は時代小説を好まないが、ジャンルをここまで広げると紹介できるミステリーはいくつも見えてくる。ひとつあげると池宮彰一郎『四十七人の刺客』など... ...続きを見る

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2005/03/21 20:01
2002年6月1日 「旧い日本的なこころ」を捨て切れない男たち「蚊トンボ白髭の冒険」
今、無残にもメルトダウンしつつある「旧い日本的なこころ」を捨て切れない男たちの哀切を限りなく滑稽に、さらにふんだんにバイオレンスを取り込んで描いた現代の寓話といえよう。 それが藤原伊織『蚊トンボ白鬚の冒険』だ。 ...続きを見る

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2005/03/21 19:44
「『続巷説百物語』 京極夏彦 」について
「『続巷説百物語』 京極夏彦 」について 京極夏彦の作品はいくつかのジャンルにわけられるように思われますがこの「巷説百物語シリーズ」は超自然現象であるバケモノの世界に見えて実は本格推理小説の論理を積み重ねている傑作ですね。 ...続きを見る

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2005/03/21 19:06
2002年5月18日 英雄待望論の陥穽 曽野綾子「狂王ヘロデ」
ミステリーも面白いことに変わりはないが、最近では宗教周辺の読み物にも興味を惹かれるようになったのはやはり歳のせいなのだろうか。 ...続きを見る

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2005/03/19 01:24
2002年5月12日 結末がさわやかなサスペンス
ジョン・コラピント 『著者略歴』 事故死した友人の小説を盗作し一躍ベストセラー作家になった青年は死亡した友人の恋人まで我が物にする。名声と栄光の絶頂にたった彼の前に盗作の事実を知る女性の脅迫者が現れ、バラ色の未来は一転して崩れ始める。主人公は本質的には善人であるから、盗作行為も場当たり的なら脅迫者対策も出たとこ勝負の成り行き任せ、このためうまくいくこともあるが裏目に出ることもあり、このコミカルなてんやわんやが面白く、読者を引き込んでいく。 ...続きを見る

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2005/03/19 01:12
2002年5月6日 山岳冒険小説「天空の回廊」エベレスト山頂の死闘
普段運動靴など履いたことのない身で、エアクッションのウォーキングシューズと軽便なリュックを買い求め、この連休の3〜5日に秩父34ヶ所札所巡りを徒歩で30ヶ所まで巡礼をして、相当くたびれた。その経験からエベレスト登頂を舞台にする山岳小説の迫力はまた格別の感がするものである。 ...続きを見る

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2005/03/19 01:04
迫真の大犯罪小説、その醍醐味 高木彬光「白昼の死角
西武鉄道オーナー支配の終焉とライブドアのフジテレビ乗っ取りは、日本の今をわかりやすく象徴する経済事件ですが、ずいぶん前に読んだ高木彬光「白昼の死角」には戦後動乱期の経済社会を象徴する類似のエッセンスがあったような思いがして古い日記をめくってみました。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:35
2002年4月14日 愛のない夫婦の家庭崩壊………と定番
連城三紀彦「白光」 連城三紀彦の作品をはじめて読んだ。実はもっと若い世代の方と勘違いしていました。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:30
2002年4月7日 お子様向けの優しさがあふれる 
ネビル・シュート 「パイド・パイパー 自由への越境」 そうでもなければ、触手を動かさなかったであろう小説でしたが、作者があの映画「渚にて」の原作者と知ってそれではと読むことになりました。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:28
2002年3月31日 こんなダメオヤジにはなりたくない
歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」 初めて読む作品で作者のすべてを推し量ることは失礼にあたるとわかっているつもりだが、定価1600円の価値があるとは到底思えないそのできばえに、この人はどういう人なのだろうと変なところに関心を持った。 ...続きを見る

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2005/03/17 22:27
「邂逅の森」について
「邂逅の森」について 大いなる自然の道理に導かれている存在。山、森、谷、川、そのものがそうであり、そこで息づいている草木や熊、カモシカ、ウサギなどの獣がそうだ。それらは自然の恵みをあるがままに受け入れる。しかし一方で自然の過酷な試練にさらされ、しかも生きつづけることもまた道理なのである。 人間はそうではなかった。人間は常に自然を征服しようとする。それが人類の進歩であり、文明発展の歴史であり、合理主義を真理とする近代化である。そして現代の繁栄がある。ただその延長にある未来に栄光が待っているの... ...続きを見る

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2005/03/15 14:46
2002年3月16日 現代版キリストの寓話 半村良『岬一郎の抵抗』
SFの夢と下町の人情が織り上げる現代版キリストの寓話。半村良がなくなった。『産霊山秘録』『石の血脈』さらに集大成としての『妖星伝』と、半村良が作り出した伝奇SFという妖しい世界に夢中になったときがあった。しかし、むしろ直木賞受賞作である『雨やどり』など、今を生きる庶民の世界、欲や名誉やメンツなどにこだわったりしない人情噺をかかせてその本来の奇才ぶりを発揮する人であったようだ。 ...続きを見る

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2005/03/14 19:01
2002年3月12日 ちょっと期待はずれの「静寂の叫び」
ジェフリ−・ディーヴァーの「ボーンコレクター」以前の作品なのですね、これは。 聾学校の生徒と教員を乗せたバスが脱獄囚にのっとられ、廃屋同然の食肉工場に監禁。FBI危機管理チームが人質解放に向けて交渉を開始する。全体の構想はいいんですが。途中、何度か退屈してしまうところがありました。 ...続きを見る

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2005/03/14 18:44
2002年3月7日 癒し系です、短編集です、フォーサイス「戦士たちの挽歌」
フレデリック・フォーサイスのいくつかの長編は読んだが、記憶に残るものはやはり処女作の「ジャッカルの日」だ。かれこれ30年も前になる。ドゴールフランス大統領暗殺未遂という現実の国際的事件を背景にしたところにドキュメンタリータッチの迫真性が目新しく、また暗殺者ジャッカルとフランス警察の追いつ追われつの攻防戦を善悪を度外視し、完全なエンターテイメントに仕立てた感覚、当時は珍しかったあの分厚い装丁とともにこんなボリュームの長編ミステリーがあったろうかと、わたしのミステリー歴の中でもとくに忘れられない一... ...続きを見る

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2005/03/14 18:37
2002年3月1日 夢枕獏『神々の山嶺』の強烈なインパクト!
外へでた。思わず、声のでそうな景観の中に、いきなり深町の身はさらされた。地上ではなく、いきなり、宇宙のただなかへ放り出されたようであった。頭上には銀河がかぶさっている。雲は一つもない。おそろしいほど透明な空に夥しい数の星がきらめいていた。月もないのに雪や岩の細かいディテールまでがみてとれる。雪明りと、星灯りとで、ここまで視界を得ることができるのかと思った。 ...続きを見る

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2005/03/13 15:54
2002年2月16日社会派推理小説の金字塔水上勉『飢餓海峡』
樽見京一郎は京都の僻村に生まれた。17歳で北海道に渡り貧困のどん底にあえぎながら必死で這い上がる。その彼が出世し社会的名声も得る。しかし、その成り上がりのためにはいくつかの残虐な殺人を犯さねばならなかった。下北半島、恐山のふもとの寒村で生まれ、親を養うために身を売る薄倖の女・杉戸八重との出会い。彼女は上京し、焼け野原の新宿、池袋、亀戸を酌婦・娼妓として転々とする。10年の歳月が流れ二人の運命の出会いから次の殺人事件が……… ...続きを見る

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2005/03/12 23:56
2002年2月10日マジックとトリック 折原一『沈黙者』
ミステリーのジャンルに「新本格」といわれる作風・作家群があって、ものの解説によると 「島田荘司の推薦をうけてデビューした京都大学推理小説研究会出身者を中心とする若手作家」たちとあった。実にわかりやすい解説だ。さらに「講談社新書版」から1988年以降続出した同じ傾向の作品群を指すようである。折原一は講談社系ではないが今では新本格派の第一人者であろう。新本格派はトリック至上主義がその作風であるといえよう。 ...続きを見る

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2005/03/12 23:38
2002年2月9日 鮎川哲也『黒いトランク』戦後本格推理小説の代表作、復刊
「これぞ本格推理」「本格の金字塔!純度100%のトリック」「読み継がれるべき不朽の名作!」とかねて本格ファンより復刊が期待されていた作品が出版された。 1956年、鮎川哲也の実質的デビュー作である。キャッチフレーズが語るとおり「戦後の本格推理小説の代表作」とされています。 ...続きを見る

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2005/03/11 23:05
2002年2月3日超重量級 山田正紀『ミステリ・オペラ』
押しも押されもせぬわが国SF界の巨匠、入魂の大作、宝島社「このミステリーがすごい!」の昨年国内編第3位でもあり、2段組み700ページの超重量級に挑戦してみました。 ...続きを見る

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