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みんなの「時代小説」ブログ

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梶よう子 『一朝の夢』 朝顔に託した男たちの夢とはなんだったのか?安政の大獄をバックに傑作の時代小説
梶よう子 『一朝の夢』 朝顔に託した男たちの夢とはなんだったのか?安政の大獄をバックに傑作の時代小説 いま仕事をしている国立大学の喫煙小屋に集う仲間の一人から借り受けたのがこれである。たまたま、安政の大獄に話が及び、わたしが推薦した時代小説は諸田玲子『奸婦にあらず』であったのだが、彼は梶よう子『一朝の夢』も井伊直弼の通説をひっくり返す作品だと言う。 ...続きを見る

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2012/05/20 12:25
夢枕獏 『大江戸釣客伝 上下』 若き日の英一蝶、宝井其角が破天荒に遊ぶ元禄の世界
夢枕獏 『大江戸釣客伝 上下』 若き日の英一蝶、宝井其角が破天荒に遊ぶ元禄の世界 夢枕獏といえばいつごろだったろうか、「魔獣狩りシリーズ」をおおいに楽しんで読んでいた時期があった。当時は菊地秀行の「魔界都市シリーズ」も発刊されるたびに読んだ。もうすこし前には平井和正「ウルフガイシリーズ」が面白かった。これらはSF的伝奇的素材を現代に持ち込んでバケモノ的な超能力者同士のバトルアクションに工夫を凝らした小説群で、山田風太郎の「忍法帳シリーズ」の忍法合戦にあった刺激性と似た魅力があった。夢枕獏のその後の作品は読むことはなかったが、ひとつだけ、まるでジャンルをかえた本格山岳小説『... ...続きを見る

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2012/04/15 15:55
諸田玲子 『四十八人目の忠臣』 恋と忠義の狭間で揺れ動く女心
諸田玲子 『四十八人目の忠臣』 恋と忠義の狭間で揺れ動く女心 昨年のNHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』。NHKらしく、現代という視線からその時代の女性を描いている。いつもながら女性が男どもを右往左往させる豪華絢爛のホームドラマであって、現代女性をそのまま戦国時代にタイムスリップさせたような珍妙さにはしばしば失笑を禁じえなかった。2009年に読んでいた諸田玲子の『美女いくさ』と比べたものだから余計に子供だましのように映ったのかもしれない。 ...続きを見る

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2012/02/12 10:17
五木寛之 『親鸞 激動篇』 「鬼神を敬してこれを遠ざく」の親鸞。専修念仏の布教の前に立ちはだかる障壁
五木寛之 『親鸞 激動篇』 「鬼神を敬してこれを遠ざく」の親鸞。専修念仏の布教の前に立ちはだかる障壁 死後の世界など無頓着であり信仰に救済を求めるなどまったく考えられない私ですが、実際には大勢の人が神仏に祈りをこめる向き合い方をしている。科学万能の現代でなお科学者のなかには真理の究極に霊的存在を認める方がおられる。身の回りを見れば、私だって墓参もすれば葬儀もあるという具合に日本人の生活様式に深く組み込まれている。また政治や国家、民族の動向に宗教が強く関わっている。さらに宗教にある熱狂が個人に限らず集団の暴力を生み、民族・国家間の戦争すら引き起こす。 信仰心のないものでも宗教に強い関心を持た... ...続きを見る

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2012/02/06 22:58
葉室麟 『蜩ノ記』 現代に通ずる男の生き様 その美学に陶然とする
葉室麟 『蜩ノ記』 現代に通ずる男の生き様 その美学に陶然とする 遠望すれば春霞の山々に桜の花びらが舞い、近くは谷川のせせらぎ、カワセミの飛翔、清浄な山間の風景に礫をもつ少年が姿を現す。 久々の葉室麟であるが、期待たがわず、この美しい冒頭の情景から引き込まれた。 あと三年の後に切腹を命じられている男の至誠を貫く暮らしぶりを象徴して、幕開けにふさわしく、静穏の中に緊張感が漂っている。 読み終えて窓を向けば朝空は降る雪に煙り、思わず姿勢をただす、清爽の読後感であった。 ...続きを見る

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2012/01/21 19:35
志水辰夫 『みのたけの春』 冒険小説の第一人者が円熟した筆で語る若者のいきかた
志水辰夫 『みのたけの春』 冒険小説の第一人者が円熟した筆で語る若者のいきかた 志水辰夫といえばハードボイルド・冒険小説界の第一人者だったのだが、このところ時代小説に転じたらしい。ダイナミックなこれまでのイメージとは異なって『みのたけの春』、相当に渋い。この作品を読んだあとで、1936年生まれと知ってびっくりした。私よりも8歳も年上のオジイチャンだったのだ。なるほど、「若者の生き方のひとつ」として、多分にアナクロニズムであるかもしれないのだが、われわれの年代には、微妙にこそばゆい共感を覚えずにはいられない深みがこめられていた。 ...続きを見る

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2011/11/29 19:29
隆慶一郎 『吉原御免状』 第一級の大衆娯楽小説を満喫する
隆慶一郎 『吉原御免状』 第一級の大衆娯楽小説を満喫する 未読のままにあった一時代前の傑作を読むというのはいつもと違う高揚感があるものだ。物語に没頭しながらもあれやこれやと雑念がわいてくるのが楽しいからです ...続きを見る

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2011/07/05 22:57
安部龍太郎 『葉隠物語』 今、武士道が見直されている??? 小説好きの読者向け、葉隠れ入門書
安部龍太郎 『葉隠物語』 今、武士道が見直されている??? 小説好きの読者向け、葉隠れ入門書 「葉隠」については詳しくない。ただ、その語感にはつつましさに潜む熱い思いがある。いつのまにか失ってしまった日本人の美徳を象徴しているようで、引きつけられるところだ。時代小説では葉室麟が描いた『いのちなりけり』にあった葉隠には共感するところが多かった。 ところが一方で、最近評論家の語るあるべき国家論やあるべき日本人論のなかに、よくこの葉隠精神をみかけるのだが、そこにはなんとなく胡散臭いものを感じるのだ。どうやら現代人の立場からは適当につまみ食いができるあいまいな主張の寄せ集めのようで、興... ...続きを見る

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2011/05/20 20:45
木内昇 『漂砂のうたう』 「自由」という虚構に踊らされる人々
木内昇 『漂砂のうたう』 「自由」という虚構に踊らされる人々 漂砂? なじみのない言葉だ。スーパー大辞林によれば「波浪・潮流などによって流動する土砂。また、その移動する現象。河口・港湾などを埋積したり海岸を浸食したりする。」とある。 「漂砂のうたう」? 流れのままに動かされるだけのちっぽけな存在が索漠たる思いを抱えて人生をやり過ごしている………とも思えるが。それだけではなく、ちっぽけな存在であるが、それらがあたかも海岸や河岸を削るように事象のどこかに痕跡を残すのだともとれる。 ...続きを見る

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2011/03/29 09:15
松井今朝子 『吉原十二月』 吉原遊郭案内の上級篇
松井今朝子 『吉原十二月』 吉原遊郭案内の上級篇 これであなたは最高級の花魁になれます。 吉原屈指の妓楼主になれます。 そして超一流のお客になって吉原の奥深さを味わい尽くせるでしょう。 実践しないで本を見るだけの読者にとっては五つ星の業界ガイドブックでございます。容貌(きりょう)も気性もまるきり違うふたりの妓(おんな)。妓楼を二分する激しい嫉妬とつば競り合いの先に女の幸せはあるのか?飾り帯にはこう記されております。 たしかに一月から十二月まで各月ごとの吉原歳時記をバックに、花魁ふたり(小夜衣と胡蝶)の競艶が見ものではありますが、「つ... ...続きを見る

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2011/02/03 23:31
池宮彰一郎 『四十七人目の浪士』 目下上映中『最後の忠臣蔵』の原作
池宮彰一郎 『四十七人目の浪士』 目下上映中『最後の忠臣蔵』の原作 忠臣蔵ものはやはり寒気の候に楽しむものだろう。 昨年の暮れにも民放テレビで田村正和が大石内蔵助を演じるドラマが放映されていた。特に新解釈の作品ではなく昔ながらの名場面をつなげたもので、特段役者の演技力が優れていたわけではないのだが、どうしても涙をこらえきれないシーンがいくつかあった。 「立花左近との邂逅」内蔵助が江戸下向の途中、身分を隠すために立花左近を名乗った旅籠で立花左近本人と出くわすのだが、内蔵助一行であることを看破、義挙決行と合点して黙ってこの騙りを見逃す。黙契の義侠心に打たれる... ...続きを見る

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2011/01/08 15:55
乾緑郎 『忍び外伝』  本格伝奇小説の復活
乾緑郎 『忍び外伝』  本格伝奇小説の復活 飾り帯にこうあった。伊賀の上忍・百地丹波によって一流の忍者に育てられた文吾は、何ゆえ忍びを目指すのか思い悩む。やがて北畠(織田)信雄率いる大軍が伊賀に迫る………「伊賀、百地」に「思い悩む忍者」とあっては、戦後、忍者ブームのはしりとなった村山知義『忍びの者』の再来かと思った。また「信雄率いる大軍が伊賀に迫る」のであれば、和田竜の第二作目、『忍びの城』の焼き直しではないかと勘ぐったりもした。 「朝日時代小説大賞受賞作」という、忍者を描いた「本格時代小説」かと思って手に取ったしだい。 ...続きを見る

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2010/12/26 16:53
松本清張 『かげろう絵図』 清張初期の長編大衆時代小説 仔細な江戸の描写
松本清張 『かげろう絵図』 清張初期の長編大衆時代小説 仔細な江戸の描写 『かげろう絵図』は昭和33年〜34年に「東京新聞」に連載された清張初期の長編時代小説である。初めて読む作品だが森村誠一『悪道』に物足りなさを感じたところで手に取った。 ...続きを見る

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2010/10/11 16:44
森村誠一 『悪道』 悪人・柳沢吉保と善人の忍者・流英次郎のマンハントチェイス
森村誠一 『悪道』 悪人・柳沢吉保と善人の忍者・流英次郎のマンハントチェイス 「著者10年ぶりの単行本書き下ろし!」の時代小説 という魅力的なコピーが目に留まった。 77歳とご高齢でありながらその執筆活動の逞しさには感嘆させられる。最近は松尾芭蕉の奥の細道研究に熱心に取り組まれていると聞いている。昭和61年の『忠臣蔵』以降、著者の作品は読んでいなかったことを思い出し、懐かしい思いもあって手に取ったのが本著『悪道』である。 ...続きを見る

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2010/09/20 11:59
松井今朝子 『円朝の女』 円朝を愛した女たちのそれぞれのやせ我慢
松井今朝子 『円朝の女』 円朝を愛した女たちのそれぞれのやせ我慢 今の時代「昔はよかったなぁ」としみじみ思いする年代はいくつぐらいの人たちなのだろうか。私なんぞはそれだけの年季には至っていないのだが………。このお話の人たちはみなそれぞれがそんな思いで今を生きている年季の入った人ばかりなんだ。 ...続きを見る

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2010/02/11 16:17
五木寛之 『親鸞』 「善人なほもて往生をとぐ いはんや悪人をや」とはいったいなんなんだ?
五木寛之 『親鸞』 「善人なほもて往生をとぐ いはんや悪人をや」とはいったいなんなんだ? 「とにかく面白い」との宣伝文句に引かれて手に取ったのですが、期待をこえてとにかく面白い作品でした。五木寛之の作品を読むのはこれがはじめて。著者は最近では仏教に関心を深めた著作、紀行活動が盛んなようで抹香くさい小説かなと思っていたものでしたが、スリリングな場面の連続で、終始、伝奇風時代小説を読むような疾走感を味わうことができました。 ...続きを見る

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2010/01/29 23:43
葉室麟 『秋月記』 地方小藩のお家騒動に見える現代の混乱
葉室麟 『秋月記』 地方小藩のお家騒動に見える現代の混乱 壮絶な死闘が繰り返されるエンタテインメントであるが、どうしても政治家たるものかくあるべしと現代に重ね合わせることになる、時代小説の傑作だ。 ...続きを見る

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2009/09/20 00:03
宮本昌孝 『海王 下』 これはまさしく大衆小説の傑作だ。
宮本昌孝 『海王 下』 これはまさしく大衆小説の傑作だ。 天下一統の大業と世の安寧を目指しながら、謀反に斃れた足利将軍・義輝。その夢を継ぐはずだった信長もまた本能寺に斃れた下巻は光秀、秀吉、家康らが信長の覇業を継ぐべく義輝の遺児・海王を天下争奪戦略の隠し玉にするという破天荒なストーリーだ。歴史の流れから言えば、光秀が滅ぶ山崎の合戦が詳細に語られ、織田・秀吉連合軍と家康軍のいわゆる小牧・長久手の戦いとその終戦処理で終わるのだが、宮本昌孝が広げに広げた大風呂敷の中身はあれやこれやのお楽しみがてんこ盛りだった。 ...続きを見る

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2009/05/10 23:34
宮本昌孝 『海王 上』久しぶりの大型娯楽時代小説の傑作だ
宮本昌孝 『海王 上』久しぶりの大型娯楽時代小説の傑作だ このところテレビのドラマは歴史小説、クイズも歴史、バラエティ番組も歴史秘話と「史実」花盛りであるが………。まずは壮絶バトルを堪能しよう。そして改竄された虚構の歴史を大いに楽しむ余裕のある読者ならば、これは最近とんとお目にかかることがなかった大スケール時代小説の掘り出し物だ。 剣豪将軍として名高き足利第十三代将軍・義輝が松永弾正の奸計に斃れてから十余年後………。ひとりの少年が信長の戦勝に沸く堺の街に姿を現した。少年の名は海王。かつて大武装船団を率いて東シナ海を席巻した倭寇の大頭目・五峰王直を... ...続きを見る

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2009/05/04 17:20
諸田玲子 『美女いくさ』 信長の妹・お市の方の末娘 小督の波乱の生涯
諸田玲子 『美女いくさ』  信長の妹・お市の方の末娘 小督の波乱の生涯 幼くして三度の落城に遭遇し、三度の婚姻を強いられた女性・小督(おごう)。織田信長の妹・お市の方が浅井長政との間になした末娘、小督の生涯をたどっている。同時に信長・秀吉・家康が天下取りのため必要であった政略結婚の系譜を俯瞰している。これほど徹底していたのかと驚くことになったのだが、婚姻とは政略以外のなにものでもないことを痛感させられた。そして手駒にさせられた女たちが、それでも、それぞれに生き抜こうとする。この多彩な人間模様が読者を魅了する、出色の時代小説である。 ...続きを見る

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2009/01/12 01:02
葉室麟 『いのちなりけり』 葉隠の恋を描いた大人の純愛時代小説
葉室麟 『いのちなりけり』  葉隠の恋を描いた大人の純愛時代小説 いっとき武士道でもって政治・経営を論ずることがもてはやされた。 全世界の屋台骨が悲鳴を上げているこの事態では、日本的美徳に解決の糸口を求めるような、そんな立論はまったく影も形もなくなった。 この物語は「葉隠」編纂の前史である。 私は「葉隠」については 「武士道とは死ぬことと見つけたり」と 「忍ぶ恋こそ至極の恋」というそれだけしか知らない。 そしてこの異質とも思える二つが見事に融合しているではないか。 「葉隠」でもって現代人にお説教する姿勢などまったくないのがむしろ爽やかであった... ...続きを見る

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2008/11/02 01:29
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。
鳥羽亮 『絆 山田浅右衛門 斬日譚』  慈愛の人・浅右衛門の内心を探る。 山田浅右衛門といえば「首斬り浅右衛門」として、死罪人の斬首役であるとの知識しかなかったが、本職が徳川家御佩刀御試御用役だったとはこの作品ではじめて知ったことだ。 実は先日読んだ、山本兼一『いっしん虎徹』で刀剣の斬れ味を鑑定する「試刀」という職業(一太刀で何体の死体を斬ることができるかを基準にして利鈍を試す)があることに驚いたばかりで、おっつけ読んだ山田浅右衛門の家業がこれであったかと偶然の出会いに思わず膝を打った。 罪人を斬首するためにふるう剣、山田流試刀術………。その奥義は、密かに... ...続きを見る

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2007/12/01 17:09
山本兼一 『いっしん虎徹』 またまた傑作時代小説にぶつかりました。
山本兼一 『いっしん虎徹』 またまた傑作時代小説にぶつかりました。 虎徹といえば新撰組隊長近藤勇の斬殺剣だと講談本の知識はあった。江戸時代を代表する刀工であろう。長曽祢興里(おきさと)、もともと 越前国福井の甲冑鍛冶師であったが、自ら鍛えた当代随一の兜を一刀にして断ち切ることのできる日本刀を鍛えるべく、病床にある妻とともに江戸にでる。入道して古鉄、虎徹と称す。とくに切れ味の鋭いことでは全刀工中第一といわれ、江戸時代の刀剣書に高く評価されている。実際に「三ッ胴截断」「二ッ胴切落」「石灯籠切」などと切れ味を誇る添銘した作が数多く現存しているそうだ。 鉄とともに... ...続きを見る

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2007/08/13 20:03
葉室麟 『銀漢の賦』 漢(おとこ)たちの凛冽の生き様を描いて松本清張賞受賞にふさわしい時代小説の傑作
葉室麟 『銀漢の賦』 漢(おとこ)たちの凛冽の生き様を描いて松本清張賞受賞にふさわしい時代小説の傑作 齢60をこえると、自分の半生を振り返り、ほろ苦い感傷にぼんやりするときがあるものだ。サラリーマンだって自分なりに大仕事だったと思える経験がいくつかあって、結果が本当に全体にとってよかったのかと冷静になれば自信こそないのだが、ただただ古きよき思い出として消化してしまう心境でいいのじゃないだろうか。そして、そういうことを語り合える友がいればなおさら満たされるものだ。 国家財政が困窮し、地方がそれでも自活しようとなれば選択肢は多くない。市町村合併か、米軍基地の移転先、大規模ゴミ処理場の建設、ある... ...続きを見る

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2007/08/05 23:32
諸田玲子 『かってまま』 これは宮部みゆきの世界ではないかと………。
諸田玲子 『かってまま』 これは宮部みゆきの世界ではないかと………。 売れっ子の女流作家 宮部みゆき『日暮らし』、松井今朝子『吉原手引草』 桐野夏生『メタボラ』に似て非なる傑作の人情噺。 ...続きを見る

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2007/07/25 23:52
松井今朝子 『吉原手引草』 歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう
松井今朝子 『吉原手引草』  歌舞伎観劇の楽しみ方で読みましょう 演技に工夫を凝らして新しい定九郎像を創造した江戸時代初期の歌舞伎役者、中村仲蔵を描いた『仲蔵狂乱』で記憶に残っておりました。その松井今朝子が新作を発表した。歌舞伎の世界に精通した著者が今回は遊郭の世界だ。『吉原手引草』。手にとらないわけにはいかんでしょう。江戸文化はこの吉原を抜きにしては語れない。それほど人々の生活と密着していて、今でも、映画、芝居、噺などを通じて私たちにもお馴染みの世界でございます。 ...続きを見る

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2007/05/23 01:38
辻原登 『円朝芝居噺 夫婦幽霊』 名人芸で辻原が語る名人円朝伝
辻原登 『円朝芝居噺 夫婦幽霊』 名人芸で辻原が語る名人円朝伝 芝居は観るもの、寄席は聞くもの、小説は読むものとこれが世間の相場なら、はて円朝の創り出した作品・芸風ばかりはどうやらこんな一筋縄では収拾がつかないようだと読み終えて思わず感嘆のため息が洩れます。うらを返せばこれほどの円朝活写をものした著者辻原登へのお世辞抜き、賞賛でございます。 古今無双の知的エンターテイメント文学ミステリーとございますが、このジャンルならしばらく前に世の絶賛を博しえました丸谷才一『輝く日の宮』、あれに比肩する上等の文学ミステリーであります。ま、丸谷のはやんごとなきところの... ...続きを見る

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2007/04/30 01:55
「江戸文化歴史検定」を受験しみた。
「江戸文化歴史検定」を受験しみた。 今日青山学院でこの検定試験が行われた。 ...続きを見る

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2006/11/03 16:27
辻原登 『花はさくら木』波瀾万丈の伝奇時代小説?
辻原登 『花はさくら木』波瀾万丈の伝奇時代小説? 「京・大坂を舞台に、即位前の女性天皇・智子内親王(後桜町)、権謀術数の田沼意次が活躍する」 「時は宝暦十一(1761)年、大君は前年に襲職したばかりの十代将軍家治、天皇(すめらみこと)は百十六代桃園の御代である」 ...続きを見る

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2006/05/08 15:16
宮本昌孝 『風魔』 めったにお目にかかれないバトルシーンの連続だ。
宮本昌孝 『風魔』 めったにお目にかかれないバトルシーンの連続だ。 「風魔一族」。忍法小説に時折見かける、らっぱ集団である。実際、小田原北条家につかえ、北条軍団の系列下でゲリラ戦、攪乱戦、諜報戦を得意とする武装集団だったようだ。『北条五代記』には武田勝頼軍をさんざ悩ませた黄瀬川の戦いが紹介されている。そこでは頭領の風魔小太郎について、身の丈七尺二寸、筋骨隆々として、眼は逆さまに裂け、牙四本が剥き出ているというから、さながら魔人と言ったところか。家康が関東を制圧した頃には盗人集団と化し、小太郎は処刑されたという説もある。 ...続きを見る

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2006/05/03 20:07
荒山徹 『柳生薔薇剣』 アナクロかもしれないがとにかく面白い。
荒山徹 『柳生薔薇剣』 アナクロかもしれないがとにかく面白い。 「司馬遼太郎の透徹した歴史観と山田風太郎の奇想天外な構想力、さらに柴田錬三郎の波瀾万丈の物語展開を受け継ぐ時代小説作家がついに誕生した」文芸評論家・菊池仁 とこの賛辞はポイントをついているのだが、「ついに誕生した」とは認識不足じゃないか。 『高麗秘帳』に始まり『魔風海峡』 『魔岩伝説』 『十兵衛両断』と時代小説に新風を吹き込んだエンターテイナー、著者の実力はすでに定着しています。 ...続きを見る

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2006/01/23 16:11
宮部みゆき『孤宿の人』 これぞ宮部ワールドの感動生産装置
宮部みゆき『孤宿の人』 これぞ宮部ワールドの感動生産装置 これだけ肉厚の歴史的素材を集中させ、いよいよ宮部みゆきが本格時代小説に挑戦したと思わせる長編であったが……… ...続きを見る

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2006/01/06 23:39
池宮彰一郎 『天下騒乱』 せっかくだから正月までに読んでおいたらいかが
池宮彰一郎 『天下騒乱』 せっかくだから正月までに読んでおいたらいかが 毎年の正月2日にテレビ東京で10時間の時代劇ドラマが放映されている。豪華キャストで金もかけているし、筋立てもおおむねはすでに知っているお馴染み系で、はなやかな見せ場がいくつも用意されているから通しで見ていなくとも楽しめる。うつらうつらとほろ酔いながら観るには格好の番組だ。 ...続きを見る

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2005/12/12 12:26
文庫本がでました。宮本昌孝『ふたり道三』
時代小説、数ある中で後世に残る大娯楽傑作が誕生した。小説のもつ娯楽性をこれほどまで高めた作品はめったにお目にかかれるものではない。斎藤道三親子が二代をかけて時に敵対し、時に相補しつつ、美濃を掌中にするまでの波乱万丈の天下争奪絵巻である。 ...続きを見る

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2005/09/29 20:00
本年度松本清張賞受賞作 城野隆『一枚摺屋』
本年度松本清張賞受賞作 城野隆『一枚摺屋』 時代劇のドラマや映画ではおなじみですね。号外配りのような、瓦版売り。実際には当時、市中で読み売りされた一枚摺(瓦版)はニュースの媒体というよりも好色ものを中心とした娯楽的色彩の強い絵草紙だったようです。ところが反骨の人・与兵衛が制作する一枚摺は硬派で実際の出来事、「記実」=記事を扱っていたのです。御政道を批判する内容だとお上も煙たかったことでしょう ...続きを見る

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2005/09/04 23:49
文庫本がでました。宮本昌孝『夏雲あがれ』
これはだいぶ前に単行本で発刊されました。「青春時代小説」がうたい文句でした。 題名からすると時代小説のイメージはありません。 ところがどうしてこれがおもしろいのです。 しかも「若く明るい」青春ものです。 「青春もの」なんて言葉は通用するのかな。昔のそれを思い出しながら楽しみました。 ...続きを見る

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2005/08/19 21:03
04/02/01 京極夏彦「巷説百物語シリーズ」 その1
04/02/01 京極夏彦「巷説百物語シリーズ」 その1 先般の直木賞をこの『後巷説百物語』が受賞しましたので積読状態にありました『続巷説百物語』とあわせて読んでみました。このシリーズは最初の『巷説百物語』がとても楽しい読み物だったのです。 ...続きを見る

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2005/05/27 19:59
宮部みゆき 『日暮らし』 「癒し」を求める読者に応える作品ではあるが………
宮部みゆき 『日暮らし』 「癒し」を求める読者に応える作品ではあるが……… 毎日、毎日を平穏に平凡につつがなく生きていくこと、それ以上のことは望まない人たちがそのご近所にたくさんいる。周囲と調和することで最も安らぎを得られるタイプ。町方役人・平四郎とその女房、平四郎の甥で佐賀町の藍玉問屋河合屋の五男坊・弓之助13歳、世話好きな煮売屋・お徳、植木職人・佐吉夫婦、本所元町に住む岡っ引き・政五郎、その子分で13歳のおでこなどなど。そこではこれらやさしさにあふれた人たちが助け合いながらおまんまを食っている。市井の片隅にこじんまりとした、あったかい人情に包まれた日常がそこにある... ...続きを見る

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2005/05/24 00:13
『国盗り物語』・蝮の道三を読まれたら次はもっと娯楽的なこれ
「迷うなぁ・・・。」について 『国盗り物語』は前編、「斉藤道三」が特によかったような気がします。信長・光秀・秀吉のお話は子供のころからのなじみでしたが、道三はこの小説ではじめて魅力的人物だったと知ることができました。 山岡荘八や司馬遼太郎の「歴史小説」がお好きな方の趣味ではないかもしれませんが道三といえば宮本昌孝 『ふたり道三』をおすすめします。全四巻の長編で、歴史小説というよりどちらかというと『影武者徳川家康』系統の時代小説ですが、それだけ読み出したらとまらない面白さです。 ...続きを見る

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2005/05/15 23:24
私も読んだ嗤う伊右衛門』
「最近読んでいる本、「嗤(わら)う伊右衛門」」について ...続きを見る

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2005/05/15 14:08
03/11/24京極夏彦 『嗤う伊右衛門』幽霊のでない四谷怪談の恐怖
03/11/24京極夏彦 『嗤う伊右衛門』幽霊のでない四谷怪談の恐怖 この京極流四谷怪談、時代設定はあの四谷怪談でありますが、明日の見えない現代の不安とそこで生きるもののこころの歪みをあな恐ろしく描写しています。 ...続きを見る

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2005/05/13 13:05
03/06/30 京極夏彦『覘き小平次』 怪談にして怪談にあらず、鏡に映る自分が怖い?
03/06/30 京極夏彦『覘き小平次』 怪談にして怪談にあらず、鏡に映る自分が怖い? 怪談と申しますと文化・文政期の合本、読本、歌舞伎を真っ先に思い浮かべますな。人間界の邪悪な葛藤、その結果がひきおこす殺人、加虐、血みどろな幽霊と凄惨な復讐がおりなす、妖美・淫虐の世界でございます。 ...続きを見る

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2005/04/25 00:15
03/01/13 これぞ忠臣蔵の決定版
03/01/13 これぞ忠臣蔵の決定版 例年、正月の二日は10時間のテレビドラマを楽しみにしている。今年は「忠臣蔵」であった。この誰もが知っている美談をどう解釈しているかがもっぱら興味の対象であったが『仮名手本忠臣蔵』の素材をかなり取り込んで、世話物、人情噺といわば古典的解釈の「義士」を描くドラマで拍子抜けしたが、それでも、最近でははやらない挿話がむしろ懐かしく、年寄りと一緒に見て会話も弾んだものだ。 ...続きを見る

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2005/04/10 22:48
2002年12月24日新生サラリーマン必須 清濁のこころえ
2002年12月24日新生サラリーマン必須 清濁のこころえ 「すまじきものは宮仕え」と自嘲しながら師走の寒風に身をすくめる方もおられるのでしょうが、そんな逃げ口上のことは百も承知で、自分を貫く道をなんとか見出そうと四苦八苦しているのが多くのサラリーマンというものでしょう。 ...続きを見る

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2005/04/06 18:48
2002年11月15日 痛快、爽快!!青春時代劇
2002年11月15日 痛快、爽快!!青春時代劇 宮本昌孝 『夏雲あがれ』 痛快!!! これは楽しめる、「きらめく青春」の時代小説の傑作だ ...続きを見る

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2005/04/01 23:53
2002年11月16日 青春モノにあるオジサン族の思い出
2002年11月16日 青春モノにあるオジサン族の思い出 宮本昌孝  『夏雲あがれ』 「きらめく青春の光、爽快な時代小説」と背の帯装丁にある。「きらめく青春」かぁ、なんと古めかしい言葉なのだろう。今この言葉を使うのは気恥ずかしい思いがする。こんなコピーを使っていまどきそんな本が売れるのかしらと心配になります。 「きらめく」は健康的躍動感の表現だろうが、ところで、今の若者たちにも「きらめく青春」はあるのだろうか。もしかしたら死語になってしまっているのではないだろうか。 ...続きを見る

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2005/04/01 23:44
隆慶一郎 『影武者・徳川家康』 いろいろな徳川家康のイメージ、理屈抜きにおもしろい家康も
隆慶一郎 『影武者・徳川家康』 いろいろな徳川家康のイメージ、理屈抜きにおもしろい家康も 「徳川家康 全26巻を読破」を拝見、「あぁ、当時読んでおくべきだったな」とくやまれました。 ...続きを見る

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2005/03/29 21:43
2002年6月3日  第5回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作はどうだったか
2002年6月3日  第5回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作はどうだったか 『ボーン・コレクター コフィン・ダンサー』から『エンプティー・チェアー』までリンカーン・ライムシリーズを読まれた若い方から「日本のミステリーでこのような面白い小説はないでしょうか」とたずねられ、ハタと困った。「このような面白い」の意味は犯罪のスケールと重要にかかわっている。しかも現実感がともなわなければあれだけの緊張感は生まれない。あまりないのである。若い人は時代小説を好まないが、ジャンルをここまで広げると紹介できるミステリーはいくつも見えてくる。ひとつあげると池宮彰一郎『四十七人の刺客』など... ...続きを見る

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2005/03/21 20:01
2001年9月14日 逢坂剛『重蔵始末』 
2001年9月14日 逢坂剛『重蔵始末』  逢坂・重蔵対池波・平蔵 火付盗賊改方の腕比べ 最近発売された「江戸東京古地図散歩」と称するパソコンソフトがあって、現在の地図と重ね合わせながらぐりぐりと地図をドラッグしつつ、どこがどうなっているのかなどと「江戸名所図会」を眺めるよりは、はるかにわかりやすく時代小説の世界を楽しめるという。値が張るからマージャンで勝利したときに買おうと思いながら、これを縦横に駆使して楽しめる小説は「鬼平犯科帳」をおいて他はないと、しかし鬼平を読み出したら、しばらく他のミステリーを読む時間がなくなるし、とためらい... ...続きを見る

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2005/02/26 16:26
リアルタイム 京極夏彦「巷説百物語シリーズ」
宮部みゆきの時代小説が大変なブレイクのようですが同じくミステリー作家京極夏彦の時代小説もすばらしい。 ...続きを見る

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2005/02/24 17:19
2001年2月24日 伴野朗『陰の刺客』 たまには剣戟小説も
伴野朗の作品は「五十万年の死角」すら読むチャンスがないまま、なぜか際立つ作品にお目にかかったことがなかった。今回「陰の刺客」という作品を読んでみたが、結構楽しめました。 「アヘン戦争」を舞台として、捌き方によっては重厚な仕上がりになったと思われるが、しばらく前に日本でもベストセラーになった中国の作家、金庸の武侠格闘風であり、また往時の山田風太郎忍法帖の様式を踏んで、気楽にしかも興味深く読める娯楽作品である。 ...続きを見る

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2005/01/15 18:14
2001年2月18日 浅田次郎『壬生義士伝』 死に様の美学
「戦にて死ぬことこそがあっぱれ武士の誉れじゃなどと、いってえどこの誰がそんたな馬鹿なことを言い始めたのでござんすか。わしはわしなりに、四書五経ば修めてしみじみ思うた。孔子様はそんたなこと、ひとっこともおっしゃられてはおられね。君に忠、親に孝とは申されても、忠孝のために死せよとは申されてね」 ...続きを見る

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2005/01/15 17:38
リアルタイム この正月にお勧め 宮本昌孝  『ふたり道三』
この二日、12チャンネル恒例の10時間ドラマは『国盗り物語』だ。司馬遼太郎の初期の作品だが後半の織田信長よりは前半の斉藤道三の美濃乗っ取りが面白い。そして斉藤道三の話ならこの宮本昌孝『ふたり道三』がエンタテイメント性において司馬遼太郎を上回って楽しめる。全4巻のボリュームでしり込みせず、手に取れば読み出したらやめられぬ。 ...続きを見る

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2005/01/01 08:16
2000年11月30日 敵討ちの背景 池宮彰一郎「天下騒乱」
「長屋の花見」という落語の面白さは敵討という武士階級にのみ許された公認の私闘を庶民が笑い飛ばすところにある。「盲亀の浮木、優曇華の花咲きえたる今日の対面、いざ尋常に勝負、勝負」。落語だけでなく講談でも「高田馬場」の中山安兵衛は大方の庶民にとって身近な英雄として迎えられている。あれは飲兵衛で長屋住まいの素浪人だったからであろう。 ...続きを見る

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2004/12/03 20:42
2000年9月30日 年寄りの好みか? 痛快チャンバラ小説!
時代小説のジャンルも大変広いのですが、決闘シーンを見せ場にしたエンタテイメントも好きなんですね。 宮本昌孝の「北斗の銃弾」は鼠小僧、国定忠治などお馴染みの脇役、善悪入り乱れた剣客、忍者が死闘と面白さの一級品でしたが、最近の「陣借り平助」もまた期待に違わず、これもお馴染み、桶狭間の合戦や川中島の戦いをバックに破天荒な快青年が虚構で固めた剣法、兵法を縦横無尽に披露し大活躍、一服のストレス解消剤として効用大でした。 ...続きを見る

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2004/12/02 00:09
2000年2月11日 失って懐かしくなるものは
いやぁ最近の三面記事、週刊誌、テレヴィのニュースショウをみますると ひどい事件が目に余り 歳も程々重ねた者なら 時代遅れのグチもひとこと出ようというモノです。 なにかこう「人の道」というものがどこかにいっちまったと 心底薄ら寒いひどい時代に落ちこんじまいました。 か弱いものには残酷な仕打ち、 しつけとか孝行という当たり前のことももなくなっちまったんでしょうかねぇ。 高倉の健さんや緋牡丹の姐さんの「任侠」、 強きをくじく座頭市のあの「啖呵」、 懐かしくなるのは しかし、アナ... ...続きを見る

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2004/10/30 22:00
1999年10月10日 京極夏彦「巷説百物語」
この作者本当に才人なんだなとまた感心しました。都筑道夫ばりの本格ものも書けるんだなと。時に本格ミステリーの短編集を読むのもいいものですね。ウーンとうなって読み返すことができるのも短編ならではのことです。妖怪談義のいつもの衒学的蘊蓄は背後に薄れて昔読んだ都筑道夫の「○○長屋」とか「○○砂絵」をなんとなく彷彿させます。まああの軽妙洒脱の世界とはまるで違いますが「本格性」は同じだろうと思います。ついでながら積んであった「魍魎の匣」も並行して読み始めました。 今日は結婚して29年目に当たるんです。体... ...続きを見る

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2004/10/26 22:30
1999年8月1日 たまにはチャンバラものもと………
多田容子 「双眼」 柳生十兵衛が幕藩体制確立のため西国の大藩をいじめるお話。隻眼の使い手が活躍するのに「双眼」とは……禁ネタバレ。五味康祐や柴田錬三郎の剣豪小説とは趣がまるで違います。 「71年香川県生まれ。93年京都大学経済部卒。柳生新陰流初伝、居合道三段、また手裏剣も打つ 」いわば本物の女流剣士の作です。十兵衛はスーパーマンではなく、ハードボイルドでもなく、真摯な求道の兵法者として描いています。作者自身きっと柳生新陰流奥義を手にしようと研鑽を積んでいてこの小説の主人公と一体になっている... ...続きを見る

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2004/10/11 20:21

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