テーマ:ノンフィクション

『わが父テッポー』『遠くへ』の著者・渡部伸一郎君の死亡のこと

高校同期生の渡部伸一郎君が亡くなった。 高校時代は学生運動で、卒業後のしばらくは飲み屋でつきあいがあったものの古い思い出に過ぎず、その後は長い間友人と言えるような親しい交流があったわけではない。 ただわたしは伸一郎君の著作を通じて彼の世界とはつきあってきたような気がする。 1993年 『蝶』 1999年 『亜大陸』 2…
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デビッド・フィッシャー 『スエズ運河を消せ トリックで戦った男たち』 第二次大戦のビックリ秘話

著者は米国のノンフィクション作家であり、これは実話を小説風に描いたものだ。どこまでが本当も話なのかわからないのがマジックなのかもしれない。 私はあまりノンフィクション系を読まないのだが、この本の書評が新聞2紙に紹介されていたのが目に付いた、第二次大戦の北アフリカを舞台に本物のマジシャンがマジックの手法でドイツ軍を翻弄する。日本にも…
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渡部伸一郎 『遠くへ』 知の迷宮回廊に点在する自画像の謎

著者の渡部伸一郎君は新宿高校の同期生である。今年の4月、同期会の席で彼が 「今、小説を書いている。面白い作品だと思っているんだが、出版したら読んでね」 と、どんぐり眼をぎょろりとさせて近づいてきた。7年も前になるだろうか、彼の著書『わが父 テッポー』の感想を述べたことがあった。彼にその記憶が残っていたのか、顔を合わせたついでに声…
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渡部伸一郎 『わが父 テッポー』 新宿高校同期の非凡な個性が語る父の記憶

この所感は平成16年当時に書き留めてあったものです。実は最近、彼が新たにエッセー集を出版したと聞き、今それを読んでいる最中で、読後アップするつもりですが、とりあえずこの前作を紹介しておきます。 渡部伸一郎 『わが父 テッポー』 著者の渡部伸一郎君は私と新宿高校の同期生、大学も同じだったが親友と呼ぶには最近では何年も会った…
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秋本吉徳 『常陸国風土記 全訳注』 大和朝廷による関東蝦夷(えみし)征討のプロセスに注目

奈良朝初期、『古事記』や『日本書紀』とほぼ同時期に編述された作品、『風土記』。そこには、古代人の生活、習俗のさまがいきいきと描かれている。春秋の歌垣の行事にまつわる童子女の松原の悲劇、夜刀の神をめぐる人と神との争いなど、洗練された文章の背後に窺われる古代東国の人々の生活。本書は『常陸国風土記』訓下し文に詳細な訳注をほどこす。さて本書…
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貝塚茂樹 『韓非』 歴史大ロマンを読む心地で

数人の仲間と『韓非子』を読んでいる。中国文学の権威・村松暎先生と雑談を交わしながら全編を通読するのではなく、先生が用意された解釈なしの原文テキストで「孤憤」「説難」「和氏」「姦劫弑臣」「五蠹」までを読んだ。五十五篇の大著のなかからどうしてこの篇をとりあげ、この順序で読むのかわからないままに先生の洒脱な語りぶりとおとぼけにすっかりのめ…
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「江戸文化歴史検定」を受験しみた。

今日青山学院でこの検定試験が行われた。 「江戸から学ぶ=えどケーション」 多くの人々にもっと江戸を知ってもらい、日本人が創り出したすばらしい文化を後世に伝えてゆきたい、そんな目的で実施する検定試験です。 と江戸文化歴史検定協会という組織が今年初めて実施するイベントだ。 大学の門前でびっくりした。こんなにも…
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養老孟司先生の講演を聴く

10月16日、元勤務先のOB会が開催した養老孟司先生の講演会に出席した。先生の著書はだいぶ前に『バカの壁』を読んだことがある。そのときの印象は支離滅裂でなにを言っているのかまるでわからないことだけであって、よくこの著書がベストセラーになったものだと首をかしげた。 人間の脳の働きで他の動物と際立っているのは五感でインプットされた千差万別…
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江戸文化歴史検定協会・編  『大江戸見聞録』 そりゃぁ 冗談だろう!と笑い飛ばすかこの企画

「江戸文化歴史検定」という検定制度があるのだそうだ。資格を取って金になるものならそのための指導システムも作られようが、あきらかに金にならない資格を作ってそれで稼ごうというのだから魂消た根性である。 江戸文化歴史の知識をどのくらい所持しているかをテストして3級2級1級とランク付ける。テレビのクイズ番組ではないから最高位をとったと…
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「ザマイカー」この雑誌はこういう使い方をするのか。

車を買い替えようかと思った。日産のプリメーラを9万2千キロ乗って、瑕だらけになっている。まだ会社勤めのころにつき合った職場に近い東京にあるディーラーから20年以上も買い換えていた。今回は自宅近辺のディーラにしようかと考えた。家内に言わせればはるか遠くにいてメンテには無関心のディーラーよりは近場のディーラーのほうが後々便利だとのこ…
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鮫島淳一郎 『北海道の樹木』

北海道の魅力は雄大な自然景観にある。私は北海道へ赴任するまで森林は針葉樹林でなりたっているのかと誤解していた。寒冷地はそうなのだと思い込んでいたからだ。ところがそうではなかった。本州の山は圧倒的に杉だが北海道は広葉樹林に覆われていると言ってよい。そのため紅葉の時期には本州では経験できない広大な自然の美を眺望することができるのだ。 …
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速水敏彦 『他人を見下す若者たち』 時代遅れの発言と見下されても言っておきたいことがある

ごく最近のことだ。滅多にないことだが、身近にいる若者の何人かと個人的な就職問題でいささか深刻な会話をした。その体験から本著を読んでみる気になったのだが、直後のせいもあってひとつひとつの分析結果がいちいちもっともだと思われてならなかった。 その後、ある大企業の部長職に 「最近の若者はキレるそうだが職場で実際そうか」 とたずねてみ…
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江川卓 『ドストエフスキー』ドストエフスキーと直接向き合う人のために

新書版で「ドストエフスキー」と表題されていればこれはドストエフスキーのひととなりをを概説したもので、これからその作品群を読み始める人のためのいわば入門書かと思われがちである。あるいは一般教養として、この世界史的な文豪をちょとかじっておこうと手に取る人も多いだろう。だがその当ては完全にはずされる。 一昨年のこと、『罪と罰』を読む…
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04/08/23 「水滸伝」を楽しく読むために 高島俊男 『水滸伝の世界』

「水滸伝」を楽しく読むための格好のガイドブック。北方謙三『水滸伝』の面白さを倍増できます。 著者の高島俊男氏は中国文学の研究者で、著書に『李白と杜甫』『中国の大盗賊』『水滸伝と日本人』『水滸伝人物事典』などがある。私は少年時代に簡略版の「水滸伝」(おそらく100回本)を読んだときの残尿感的印象だけがあったので、今回北方謙三の『水滸…
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私が読んだマックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」終わり

10.グローバリゼーションの急速な進展とアメリカのエートス この四半世紀、特に20世紀の最後の10年は装いを新たにした経済的合理主義が国家間を串刺しに貫いたときであった。情報技術の飛躍的進歩によって瞬時に大量に管理された資本の国際間移動が可能となった。国家間を自由に移動して自己増殖する資本の運動こそがボーダレスの経済活動の究極に見…
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私が読んだマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」その5

8.今なぜヴェーバーか 昨年、羽入辰郎著『マックス・ヴェーバーの犯罪』というヴェーバー研究論が発表され話題になった。この内容は知らないのだが、広くには、プロテスタンティズムが存在しなかったら資本主義は誕生しなかったのか?との観点からするヴェーバー批判があるところである。 ヴェーバー自身そういう断定は避けているのであって、これは的…
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私が読んだマックス・ヴェーバ- 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」その4

7-2.非合理と合理の合体 全く私などは知らなかったことなのだが、カルヴァンの根本にといわれる教義がある。 神に祝福される人間と神に拒否される人間は生まれながらにして定まっている と説くのである。 つまり、高価な免罪符を買おうが、 教会に多額の寄付をしようが、 聖職者に懺悔をなそうが、 敬虔な祈りの日々を過ごそうが、 …
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私が読んだマックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』3

6.エートス ヴェーバーを理解するうえで欠かせない概念に「エートス」がある。 大塚久雄先生の解説では 宗教的倫理であれ、あるいは単なる世俗的な伝統主義の倫理であれ、そうした倫理綱領とか倫理的徳目とかという倫理規範でなくて、そういうものが歴史の流れのなかでいつしか人間の血となり肉となってしまった、いわば社会の倫理的雰囲気とでも言う…
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わたしが読んだマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』2

3・キリスト教にある合理性 ヴェーバーの示唆をまたずとも、歴史的に見ればキリスト教は発祥のときから合理的思想と融合しやすい教義であった。イエスの生きた時代は人間の文化が東方から西方へ、呪術から合理・理性へと転換する大移行期であった。ギリシアの思想家たち──彼らの影響は、ローマ帝国を通してヨーロッパに広がっていったのだが──は、理性を発…
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私が読んだマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズの倫理と資本主義の精神』

先日ホリエモン騒動をとりあげた日経紙のコラムでマックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を引用、マーケット至上主義の世界にも一定の倫理観が必要ではないかと述べていた。 今年は本著が発表されてちょうど百年になるという。 学問とは全く無縁でただサラリーマンをやってきたオジサンが、これは2003年の春に読んでま…
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今日の日経紙「核心」によれば、今、マックス・ヴェーバーの再評価だと。

二つの買収劇が日本を揺さぶっている。ひとつはニッポン放送をめぐるライブドアとフジテレビの攻防であり、もうひとつは郵政民営化をめぐる政治のあつれきだ。 そして それは戦後日本の経済システムがきしみながらも、終わりを迎えたことを示している。 とし、資本主義の進化が必要だと述べるが、必ずしもグローバル競争の勝者となった米国流…
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荒木一郎著「テクニカルなカードマジック」中級レベル

世の中マジックブームだそうでございます。昔からテレビではイリュージョンと言われる大がかりな舞台マジックを見かけることはありましたが、最近では少人数の観客に対し披露するクロースアップ型のマジックの受けがよろしいようで、設備投資がかさまないため、それを素人が見て楽しむばかりか実際に演技して見ていただくことを楽しむ方が増えているのですね。し…
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「いきなりマジック塾 「どこでも」「すぐ」できる簡単びっくり手品80 宝島社 」について

「いきなりマジック塾 「どこでも」「すぐ」できる簡単びっくり手品80 宝島社 」について 私は丸善で「テクニカルなカードマジック講座」荒木一郎著と言う奴をおととい買ったばかりだったものでついついご挨拶いたします。この本は「トランプ手品」となっていない、「カードマジック」としてあるところがいかにも中級らしく、しかもCD-ROMつきで…
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03/02/01目からうろこのキリスト教誕生の背景-2

バーバラ・スィーリング 『イエスのミステリー 死海文書で謎を解く』 隠れた新事実として実に驚くべきものが明らかにされるため、この聖書解読は上質のミステリー同様スリリングである。 たとえば 「イエスは十字架の上では死ななかった。友人たちに墓の中から助け出され、ローマに到着する」。この著はいわゆる「とんでも本」の類だと評するむきがある…
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03/02/01目からうろこのキリスト教誕生の背景-1

バーバラ・スィーリング 『イエスのミステリー 死海文書で謎を解く』 まず、死海写本あるいは死海文書(しかいもんじょ)とは? 1947年から1956年にかけて死海北岸クムランの洞窟等から発見された最古の旧約聖書写本を指す。旧約聖書のほかにクムラン集団エッセネ派に関する文書が含まれている。ネーミングの感触からしてもミステリアスなのだ…
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宗教には縁のない私のキリスト教に関するまじめな疑問その2 『小説 聖書 新約編』

2002年12月5日 前に読んだアベカシスの 『クムラン』ではイエスですら磔刑の苦痛のなかで 「なぜ神は私を見捨てるのか」 と絶望することが記されていた。 これでは往生はできません。 この神の子にして救われなかったとするこの小説に虚構としての面白さを感じたのである。 しかし、どうやら虚構と断定するにはそう単純ではない…
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平和の伝道者であったローマ法王が神に召された 『小説 聖書 旧約編』

宗教とはずっと無縁の立場であった者が聖書を読んでみる気になった時がある。そのときウォルター・ワンゲリン 『小説 聖書 旧約編』。小説であれ「聖書」なるものを読んでみた。いまどき、不謹慎なことかもしれないが、キリスト教の神に関するその時の印象はやはり現時点でも変わらない。 2002年11月24日 このベストセラーの著者ウォル…
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2001年9月9日 泡坂妻夫 『大江戸奇術考』

著者泡坂妻夫のよれば「文献に現れた日本最古のマジシャンの名は卑弥呼である」。鬼道を事とし能く衆を惑わすと魏志倭人伝にある。 英語のマジシャンの概念は奇術師より広く魔法、魔術、呪術の意味が含まれるのだそうだ。「鬼道」などと中国語の語感は「魔術師」「魔法使い」よりはるかにエライ人が操る、いかにも怪しさが漂う表現ですね。エロティック…
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「桶川ストーカー殺人事件ー遺言ー」 もっちゃんより

このごろの警察と裁判について 発言者:もっちゃん 2005年2月23日(水) 清水潔氏著「桶川ストーカー殺人事件ー遺言ー」を読んで正に事実は小説より奇なりと思うしかありませんでした。さて、先日この事件に関連した東京高等裁判所の判決がでたので、記憶に新しいと思いますが、本書は6年前に起こった美人女子大生ストーカー殺人事件を…
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2001年5月20日 青木昭 『修復士とミケランジェロと

モサの友人は風雅を好むなかなかの遊び人で自ら絵筆をとり油絵を描くことも趣味にしている。保険会社に勤務していたときにこの素養を買われたのだろうバチカンのシスティーナ礼拝堂壁画修復という歴史的事業の日本側スポンサーとしてこの保険会社が名乗りをあげた際、第一線で活躍したという実にうらやましい経験をしている。 もう一方のスポンサーである日…
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