テーマ:ドストエフスキー

高野史緒 『カラマーゾフの妹』 予想だにしなかった「父殺し」の真犯人!イワンが挑む驚愕の推理とは?

2007年、亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』を一読してあったものだから、このコピーはなんとも魅力的なものでした。話題騒然の本年度江戸川乱歩賞受賞作!! あの世界文学の金字塔には、真犯人がいる。 世界文学の最高峰として名高い『カラマーゾフの兄弟』には第二部がある。 ドストエフスキーはその予告をしながら、ついに書き上げることなく世…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー 亀山郁夫訳 『罪と罰』 3 ラスコーリニコフの犯罪の核心を推測する

「道の道とすべきは、常の道にあらず」 彼は「道」に謀反し、「道」に誅せられ、「道」に回帰していく。 エピローグにあるこの事件の裁判に関する記述は興味深い。あの「犯罪論」が俎上に乗ることはなかったようだ。裁き方いかんでは政治犯として死刑になりかねない証拠であったはずだがポリフィーニーの配慮があったのだろう。明らかにされた鬱病や心…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

ドストエフスキー 亀山郁夫訳 『罪と罰』2 ナポレオン主義とはなにか?

義を見てせざるは勇なきなりと一肌脱いで感謝されるとうれしくなる。ところが思いがけないところから余計なことをしてくれたとお小言を頂戴する。内心複雑な思いで弁解にあい努めるハメに追い込まれた。 よくあることだが、これってナポレオン主義と関係あり!? ラスコーリニコフの犯罪論を読んだポリフィーリーがラスコーリニコフの殺人哲学について挑…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー 亀山郁夫訳 『罪と罰』1 理解不能な今のわが国の犯罪と重ね合わせながら………

まもなく衆議院選挙だ。 日本が羅針盤を失い漂流しはじめてから何年になるか。その間に積もり積もった焦燥感が解消されるどころか、さらにふくれあがるであろうことをだれもが認識している政治的プロセスである。 昭和19年に生まれて40年のサラリーマン人生を金融危機の激動のなかで終えたものの実感なのだが、グローバリゼーション・グローバル…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

亀山郁夫 『「罪と罰」ノート』 ドストエフスキー『罪と罰』を熟読したあとで

亀山郁夫氏の著書ではじめに読んだのは『「悪霊」神になりたかった男』だった。ドストエフスキーの『悪霊』は岩波文庫の米川正男訳になじめず、新潮文庫の江川卓訳でどうにか通読できたそのころ、この著作でまさに目からうろこが落ちたという爽やかな気分で私なりの理解に到達感を持つことができた。 ドストエフスキーを読むといつものことなのだが、「神」…
トラックバック:0
コメント:5

続きを読むread more

ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟5』亀山郁夫訳  ようやく読み終えて充実感を味わっている。

ドストエフスキーの描く少年・少女だが、どれもこれも子どもらしさがない、かわいらしさがない、ひとことでいえばこわい。読んだ作品ではじめに印象的だった子どもは『悪霊』の少女マトリョーシャだった。亀山郁夫の『『悪霊』神になりたかった男』は亀山が『悪霊』から「スタヴローギンの告白」だけを抜粋し翻訳して解説している。亀山はマトリョーシャを10…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟4』亀山郁夫訳 こんな楽しみ方もあります

16歳の少女が斧で警察官の父親を殺害した。つい最近の出来事である。同種の事件は過去にもいくつもあった。現在日本の刑法に尊属殺人という概念は消えている。にもかかわらず私たちには大変ショッキングな犯罪である。私のどこかに親は敬うべきものと儒教思想の残滓があるのかもしれない。『カラマーゾフの兄弟』が扱うのはキリスト教社会において最悪の犯罪…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟3』亀山郁夫訳 第三部の読みどころアリョーシャ

『カラマーゾフの兄弟』は第一の小説と第二の小説の構想があって第二の小説は書かれていないのだが、序文「著者より」によれば全体として三男アリョーシャを主人公にしている。ただこの第一の小説ではアリョーシャの影は薄い。とはいえ「第三部第七編アリョーシャ」には引っかかるところがあって読み返したら、独断的なアリョーシャ印象をくどくどと書いてみた…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟2」亀山郁夫訳 なぜこんなに難解なのだろう。

全巻エピローグまで読み終えたものの混沌の宇宙に放り出されたような頼りなさでいらだたしい心境にある。最後にある亀山郁夫の解説を読むことは中断してこの酩酊状態をしばし楽しむことにしよう。 これはもともと未完の作品だから仕方がないのだと割り切ったってかまわないのかもしれない。前文の「著者より」が暗示するように「個々のばらばらな部分を…
トラックバック:0
コメント:5

続きを読むread more

ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟1』亀山郁夫訳 なぜこれほどわかりやすいのか

巻末の著者による「読書ガイド」は難解なこの作品を理解するうえでとても重宝である。適度な突っ込みだから読者の自由度を束縛することなく、ポイントをついた手引書になっている。そしておそらく著者の個性的な翻訳姿勢によってこの書はいまや話題のベストセラーとして注目されることになったのだろう。 世界文学の最高峰とまで言われるくらいのド…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>2  なるほどこれは危険な作品だ

スタヴローギンを「神になりたかった男」と指摘した亀山郁夫氏は神についてかなり個性的なイメージをお持ちのようだ。しかし、信仰を持たない私にはとてもわかりやすい共感できるイメージです。 神という存在は万物の生成、変質、消滅を支配する存在であるから、当然に人間の運命を意のままにコントロールしている絶対者である。そういう絶対者を人…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

亀山郁夫 <『悪霊』神になりたかった男>目からうろこの『悪霊』解説

タイトルに「神になりたかった男」とありますが、日本の歴史上の人物で言えば、魔王と恐れられた革命児織田信長をイメージしてしまいます。最近流行の解釈ですよね。信長の野心は天皇の地位の簒奪にあったとか、神の国を造り自らが神としてその国の王たらんとしたなど。この場合の「神」は俗世界を政治機構の頂点で支配する神様のような超絶の専制者として…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦21 スタヴローギンの悪魔性2

「広島 女児殺害事件 4日判決」 今朝のNHKニュースより この事件は、去年11月、広島市安芸区で、下校中だった小学1年生の木下あいりさん(当時7歳)が殺害されたもので、近くに住んでいたペルー人のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(34)が殺人や強制わいせつ致死など4つの罪に問われています。裁判で、検察側は「犯行には幼女への…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦20 スタヴローギンの悪魔性

『悪霊』を一通り読んで、それも三度か四度にはなっただろうが、最近になってどうも読み方に手落ちがあったことに気づかされたのです。 きっかけは亀山郁夫著<『悪霊』神になりたかった男>を読んだことでした。みすず書房から発刊されている「理想の教室」シリーズのひとつで、文学、哲学、科学、芸術などの分野の名作を第一線の研究者・専門家…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

江川卓 『ドストエフスキー』ドストエフスキーと直接向き合う人のために

新書版で「ドストエフスキー」と表題されていればこれはドストエフスキーのひととなりをを概説したもので、これからその作品群を読み始める人のためのいわば入門書かと思われがちである。あるいは一般教養として、この世界史的な文豪をちょとかじっておこうと手に取る人も多いだろう。だがその当ては完全にはずされる。 一昨年のこと、『罪と罰』を読む…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦19 超人

「悪魔的超人スタヴローギン」、「非凡な頭脳と繊細な感受性そして超人的な体力に恵まれながら、思想も感情も分裂し、悪徳と虚無に生きる呪われた男スタヴローギン」と文庫本のキャッチコピーで表現されるのを見てスタヴローギンにアメリカ漫画にあるヒーロー・スーパーマンを想像するのは粗忽だと思うのだが、すくなくともこんなエキセントリックな表現ではこの超…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦18 神の死

今アメリカでは「知的設計論」とよばれる新創造主論が勢力を強めつつある。「知的設計=インテリジェント・デザイン」とは人間が下等な生物から進化した点を認めながら「生命の精妙な発展は偶然だけでは説明できない。何者かによる知的な計らいが進化の方向を決めた」とする主張でこの設計主を「神」だと明言しないところで従来の反進化論と異なるところがミソ…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦17 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」2

ヴェーバーはプロテスタンティズムというキリスト教信仰の生活様式の中に資本増殖の合理性を見いだしたのであるが、同時に富の蓄積運動、営利追求そのものが目的化して、キリスト者にあるべき信仰、禁欲的労働、職業的倫理が喪失しつつある資本主義社会を見詰めていたのです。 ヴェーバーがこの著作を著す半世紀も前からロシアでは同じような視点でローマ・…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦16 キリスト教にある「非ロシア的なるもの」1

先日テレビの報道番組、楽天の三木谷社長とセブン&アイ(イトーヨーカ堂)CEOの鈴木会長たち。突如大株主として登場し、TBSに楽天との持ち株会社設立を強行しようとしている三木谷氏、いっぽう、受けて立つ側はかつて経済界のニューリーダーとして新しい経営スタイルで国際的にも成功してきた日本企業経営のベテラン。 鈴木氏 「しかし、君ねぇ。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦15 資本の自己増殖に不可欠だった巨大インフラ

昨日、東京証券市場がプログラムのミスでシステム障害を起こし午前中の取引ができずマーケットは大混乱しました。これを日経紙のコラムが取り上げています。 十数年前、統制経済からの移行が始まったばかりのロシアで、仲間と民間企業を立ち上げた経営者から、市場経済への愚痴をさんざん聞かされた覚えがある。彼が言うには、会社法制などルールづくりが遅…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦14 「ロシア的なるもの」

「ロシア的なるもの」。『 悪霊』を読むにはこの曖昧な「ロシア的なるもの」とか「ロシア人とは」とする語感を緊張して受けとめる必要がありますね。 たとえば転向したシャートフの人物が語られるところですが、 以前の社会主義的信条のあるものをがらりと変えて、反対の極端を突っ走っていた。彼は、ある力強い思想に打たれると、たちまちその思想…
トラックバック:2
コメント:2

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦13 キリスト教の倫理と合理主義の精神

スタヴローギンの役割こそがおそらく『悪霊』の本質的テーマであろうと思われます。これを理解するには当時のロシアにおけるキリスト教のポジションをもう少し掘り下げておいた方が的確ではないだろうか。そのためにはユダヤ教とギリシア思想とがまさにエポックメーキングな融合をはたすところに着目することが必要です。 ユダヤ民族が神に対して誓った…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦12 若者たちが企てた「革命」とは?

ペテルブルグから少し距離のある地方の県庁所在地で若者たちは「革命」の烽火をあげることを意図するのであるが、はじめに通読した限りではだれがなんのためになにをしたのかががアタマに入りませんでした。そこでこの骨格だけは整理しておく必要がありました。 わかりにくかった最大の原因はキャッチコピーなどによる誤った印象にあります。なにしろ悪…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦11 宗教論4

巻頭に付せられているもう一つのエピグラフはプーシキンの詩です。 どうあがいてもわだちは見えぬ 道踏み迷うたぞなんとしょう? 悪霊め(オニめ)に憑かれて荒野のなかを 堂々めぐりする羽目か ……………………… あまたの悪霊め(オニめ)はどこへといそぐ なんとて悲しく歌うたう? かまどの神の葬いか それとも魔女の嫁入…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦10 宗教論3

スラブ民族にも10世紀ぐらいまでは日本民族と同じようなカミサマがいました。ただスラブ民族は9世紀以前には文字を持たなかったためにこういう神話が記録としては残っていないようです。 神殿があって、雷神ペルーン、家畜と富の神ベーレス、太陽神ダージボグ・トホルス、火の神スバローグ、風の神ストリボーグ、女性労働の守護神モーコシ、 七頭神…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦9 宗教論2

「宗教というものはキリスト教にしろ仏教にしろ人間の生き方を教え諭すところがあるものなのにどうして神道にはそれがないのでしょうか」 十数年も前のことでしょうか、結婚式場、貸衣装、レストランを経営している神社の宮司さんにたずねたことがあります。 宮司さんが答えてくれた記憶はありませんが、今思うにこれは愚問でした。キリスト教の神と神道…
トラックバック:3
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦8 宗教論1

『悪霊』の巻頭には二つのエピグラフが付せられている。その一つがルカ福音書からの次の引用である。イエスが顕す奇跡である。 そこなる山べに、おぴただしき豚の群れ、飼われありしかぱ、悪霊ども、その豚に入ることを許せと願えり。 イエス許したもう。悪霊ども、人より出でて豚に入りたれば、 その群れ、崖より湖に駆けくだりて溺る。牧者ども、起…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦7 時代背景<革命運動>3

政治闘争に関連してもう一つ『悪霊』執筆の契機となったネチャーエフ事件があります。 学生運動が社会改革、革命運動の先頭に立つのはなにもフランスや戦後の日本、中国、韓国だけではなかったんですね。ネチャーエフはペテルブルグ大学の大学紛争に加わり学生運動の革命化をすすめた。「目的のためには手段を選ばず」をモットーにした過激派だったようです…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

ドストエフスキー 『悪霊』への挑戦6 時代背景<革命運動>2

こうした反政府思想の広範なたかまりの中で文壇デビューまもない20代のドストエフスキーが直接巻き込まれた政府による弾圧事件がありました。ペトラシェフスキー事件です。 外務省翻訳官・ペトラシェフスキーの家に若いインテリゲンチャが集まって、フランスの空想的社会主義者フーリエやドイツの進歩的哲学者フォイエルバハの著書などで議論していた…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

ドストエフスキー『悪霊』への挑戦5 時代背景<革命運動>1

ロシアの革命思想といえばせいぜい20世紀初頭のボルシェビキ政権を樹立したマルクスレーニン主義を思いつく程度だから、その前夜にあたるこの当時の反政府思想にいたってはまるで見当もつかない。ところがこの小説ではいろいろな登場人物がいろいろな考えを激論し、あげくの果てに内ゲバまで起こる、しかもそれをドストエフスキーのシニカルな色眼鏡をと…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more