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日記風雑読書きなぐり
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1944年生まれ、とうに還暦を迎え、年金収入だけに頼るオジサンがほぼ毎週1冊、読んだ新刊書の数々を紹介します。ミステリー、時代小説、歴史小説、ときには純文学も。亀の甲より年の功、センスが古いと言われるのを承知で感性のおもむくままに綴っていきます。
時代、歴史小説の刺激か、最近、江戸文化にも興味が及び江戸文化歴史ウォーキングフォトアルバムもアップし始めました。

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タイトル 日 時
山崎豊子 『運命の人 三』 国家権力への怒りか?著者はいったいなにを訴えたかったのだろうか。
山崎豊子 『運命の人 三』  国家権力への怒りか?著者はいったいなにを訴えたかったのだろうか。 この小説に従って裁判の流れを追うと次の通り 1972年 5月 沖縄復帰。 1972年 6月 佐橋総理退陣、田淵内閣誕生 1972年10月 東京地裁、外務省機密漏洩事件初公判 1972年12月 佐橋元首相、ノーベル平和賞候補としてノミネート 1974年 1月 東京地裁一審判決。三木昭子元事務官、懲役6ヶ月執行猶予1年。          弓成記者、無罪          検察側控訴 1974年 2月 三木昭子、「週刊潮流」に告白の手記発表 1974年12月 佐橋元首相ノーベル... ...続きを見る

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2009/07/01 23:48
スティーグ・ラーソン 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』 高福祉国家スウェーデンの闇を告発
スティーグ・ラーソン 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』  高福祉国家スウェーデンの闇を告発 スウェーデンはなじみのない国だ。知らない国は理解しにくいから、そこの小説はあまり読む気にならないのだが、この作品は世界的なベストセラーになっているとの宣伝についつい乗っけられたことによる。 私にあるスウェーデンの断片は映画のイングマール・ベルイマン『処女の泉』、フリーセックス、高福祉国家程度に過ぎない。『処女の泉』は高校生のころだったが、神との対話という深遠なテーマはまったく理解できず、当時としてはショッキングな少女強姦シーンが話題になっていてそこが見たかった。かつてフリーセックスというと... ...続きを見る

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2009/06/23 22:45
レイモンド・チャンドラー・村上春樹訳 『さよなら、愛しい人』 新訳でいまよみがえるマーロウの魅力
レイモンド・チャンドラー・村上春樹訳 『さよなら、愛しい人』 新訳でいまよみがえるマーロウの魅力 訳者・村上春樹によればチャンドラーは 「論理的・整合的というよりはむしろ気分で書いていくところがある」 のだそうだが、読み手もこれはすんなりと気分で読んで楽しもう。 一人の男が同じようにそのネオンサインを見上げていた。彼はうっとりした表情を顔に貼りつけ頭上の汚れた窓を熱心に見つめていた。自由の女神像をはじめて目にしたヨーロッパからの移民みたいに。大男だが身長は二メートルよりは高くないし、肩幅はビールの配達トラックほど大きくない。冒頭で語られる、マーロウがマロイと出会った印象だ。 ここ... ...続きを見る

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2009/06/15 00:13
山崎豊子 『運命の人 二』 これはモデル小説ではないとおっしゃるが………
山崎豊子 『運命の人 二』 これはモデル小説ではないとおっしゃるが……… 毎朝新聞の弓成亮太は、昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、ある密約が結ばれようとしていることに気づいた。弓成は外務省安西審議官の秘書・三木昭子事務官と「情を通じ」、彼女より極秘電文を入手、この事実を知る。公式にはアメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドルを実は日本政府が肩代わりし秘密裏にアメリカに支払うという密約であった。これが事件の発端で、すでに第一巻で述べられている。 ...続きを見る

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2009/06/10 21:28
山崎豊子 『運命の人 一』 10年ぶりの大作に飛びついた。
山崎豊子 『運命の人 一』  10年ぶりの大作に飛びついた。 山崎豊子の作品はいつごろからか、新刊が出るたびに読むようになっていたから、この作品も内容はまったく知らないまま手に取った。 昭和46年、毎朝新聞政治部、外務省詰キャップ・弓成亮太。今でもそうだろうが新聞社では出世街道をトップで走る役職である。それだけの実績を上げている敏腕記者。昼となく夜となく、ゴルフだ宴席だ。相手の自宅で懇親の酒を酌み交わす。彼の仕事ぶりが綿密に描かれる。個人的に親密になるため、世間から見たら胡散臭いやり方で官僚の上層部へ食い込み、特定の政治家の懐に飛び込み、都合よく情報... ...続きを見る

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2009/06/07 00:15
佐藤賢一 『小説フランス革命V 聖者の戦い』 大政治家の奥の手 「魔法」とはなにか?
佐藤賢一 『小説フランス革命V 聖者の戦い』 大政治家の奥の手 「魔法」とはなにか? 革命の中で宗教はどういう目にあったのだろう。軍事力は実際にはだれの手にあったのだろう。さらに聖職者と軍隊と王権がどのように絡み合っているのか。第一巻、第二巻はそんな疑問が消化不良のままにあったが、私の期待に応えるかのようにこの第三巻で佐藤賢一はちゃんと押さえてくれていた。しかも引き続きドラマティックな語りである。 ...続きを見る

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2009/05/31 18:14
佐藤賢一 『小説フランス革命U バスティーユの陥落』 早くもクライマックスが訪れる第二巻
佐藤賢一 『小説フランス革命U バスティーユの陥落』 早くもクライマックスが訪れる第二巻 民衆の鬱屈したエネルギーは発火点に達し、ついに燃え上がる。それは旧体制打破の革命を牽引する快挙か?革命を封じ込める旧体制に都合のいい口実を与える愚行か。大衆は政治舞台の主役になりうるのか。民意とは? 政治は民意を反映できるのか?現代に通じるこの葛藤の構図を佐藤はミラボーに託して語りかける。 ...続きを見る

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2009/05/27 13:45
佐藤賢一 『小説フランス革命T 革命のライオン』 久々のヨーロッパ歴史ロマンの大作だ。
佐藤賢一 『小説フランス革命T 革命のライオン』 久々のヨーロッパ歴史ロマンの大作だ。 フランス革命を描く全十巻の大作だ。 ...続きを見る

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2009/05/24 16:15
篠田節子 『仮想儀礼』 宗教にある狂気と暴力
篠田節子 『仮想儀礼』 宗教にある狂気と暴力 篠田節子の『弥勒』『ホーラ 死都』は宗教を通じた異文化コンタクトを扱った秀作だった。これは私たちの身近にある宗教をなまなましく描き出した異色作である。 ...続きを見る

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2009/05/19 23:04
テレビドラマ夏樹静子の『量刑』が放映される。
テレビドラマ夏樹静子の『量刑』が放映される。 2001年に読んだ。 来週 ドラマが放映される。 いまの裁判員制度ではない。 ...続きを見る

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2009/05/18 23:39
宮本昌孝 『海王 下』 これはまさしく大衆小説の傑作だ。
宮本昌孝 『海王 下』 これはまさしく大衆小説の傑作だ。 天下一統の大業と世の安寧を目指しながら、謀反に斃れた足利将軍・義輝。その夢を継ぐはずだった信長もまた本能寺に斃れた下巻は光秀、秀吉、家康らが信長の覇業を継ぐべく義輝の遺児・海王を天下争奪戦略の隠し玉にするという破天荒なストーリーだ。歴史の流れから言えば、光秀が滅ぶ山崎の合戦が詳細に語られ、織田・秀吉連合軍と家康軍のいわゆる小牧・長久手の戦いとその終戦処理で終わるのだが、宮本昌孝が広げに広げた大風呂敷の中身はあれやこれやのお楽しみがてんこ盛りだった。 ...続きを見る

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2009/05/10 23:34
宮本昌孝 『海王 上』久しぶりの大型娯楽時代小説の傑作だ
宮本昌孝 『海王 上』久しぶりの大型娯楽時代小説の傑作だ このところテレビのドラマは歴史小説、クイズも歴史、バラエティ番組も歴史秘話と「史実」花盛りであるが………。まずは壮絶バトルを堪能しよう。そして改竄された虚構の歴史を大いに楽しむ余裕のある読者ならば、これは最近とんとお目にかかることがなかった大スケール時代小説の掘り出し物だ。 剣豪将軍として名高き足利第十三代将軍・義輝が松永弾正の奸計に斃れてから十余年後………。ひとりの少年が信長の戦勝に沸く堺の街に姿を現した。少年の名は海王。かつて大武装船団を率いて東シナ海を席巻した倭寇の大頭目・五峰王直を... ...続きを見る

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2009/05/04 17:20
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー下』  リメンバーではないよ。ウェルカムトゥパールハーバー!
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー下』  リメンバーではないよ。ウェルカムトゥパールハーバー! わが国がアメリカの一方的戦略に乗りやすい体質だとはかねがね思うところなんだが、真珠湾もそうだったんですよと言われても、それは素直には受け入れられないなぁ。 三国同盟の結成で無謀な覇権争いに関与した日本。そこに仕掛けられた巨大な罠。激烈な諜報戦の果てに、真珠湾の奈落が待っていた。この作品の骨格は真珠湾奇襲による太平洋戦争勃発は日本側の積極的作戦ではなく、イギリスが仕掛けた罠に日本がまんまと引っかかった結果だとしているところである。「奈落」か。そうか日本は被害者だったんだ? 日本を戦争へと導... ...続きを見る

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2009/04/26 18:28
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー 上』 太平洋戦争勃発前夜の外交秘話として楽しめる。
西木正明 『ウェルカムトゥパールハーバー 上』 太平洋戦争勃発前夜の外交秘話として楽しめる。 プロローグはチャーチルの祝杯だ。 「諸君、日本がハワイを奇襲攻撃した。永らく我々が待ち望んだ状況になった。周到に練られたトレチャラスアタックだ。アメリカは間違いなく日本に宣戦を布告する。それは同時にヨーロッパ戦線に参入することを意味する。」 ...続きを見る

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2009/04/19 17:10
連城三紀彦 『造花の蜜』  造花の蜜の妖しい香りとは?
連城三紀彦 『造花の蜜』  造花の蜜の妖しい香りとは? しっとりとしたムードが漂い、しかもトリッキーなひねりの新作ミステリーを読みたいと思っていたところで連城三紀彦の『造花の蜜』が目にとまった。 ...続きを見る

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2009/04/05 22:47
船戸与一 『満州国演義5 灰塵の暦』 佳境にはいる大陸侵略のドラマ
船戸与一 『満州国演義5 灰塵の暦』  佳境にはいる大陸侵略のドラマ 暴走した理想が、地獄の扉を開く中国大陸侵略のドラマも南京虐殺を描いたこの巻でようやく佳境をむかえた感がある。 ...続きを見る

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2009/03/29 23:30
奥泉光 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』  戦争の狂気をシリアスに思索するユーモア文芸
奥泉光 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』  戦争の狂気をシリアスに思索するユーモア文芸 『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』『モーダルな事象』と共通するロンギヌスの石は登場するがこれらが抱腹絶倒の笑いの文学であるのとは異なり、笑いは笑いでも醒めたブラックユーモアである。デフォルメしてあるからブラックユーモアなのだが、戦争のグロテスクな狂気をシリアスに捉えた思索の文学である。 ...続きを見る

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2009/03/21 19:53
フランク・シェッツイング 『深海のYrr(イール)』 人類絶滅の序曲が始まっていた。
フランク・シェッツイング 『深海のYrr(イール)』 人類絶滅の序曲が始まっていた。 人類滅亡をテーマにした本格ハードSFのようである。が、それだけではない。ショッキングなシーンが連続する大規模パニック映像をみるような興奮と楽しさでいっぱいのエンタテインメントであることに間違いはない。そして進化の頂点に立った人類のおごりに対する警鐘であると本気になって受け止めざるを得ないシリアスな思索が底流にある。陳腐な言い方になってしまうのだが断然「面白くてためになる」。すべての階層世代にお勧めしたい傑作の大長編小説だ。 ...続きを見る

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2009/02/24 22:46
久坂部羊 『まず石を投げよ』  あまりにお粗末な内容なのであきれ返る。
久坂部羊 『まず石を投げよ』  あまりにお粗末な内容なのであきれ返る。 それは医療ミスなのか、それともひそかな殺人か。恐るべき実態をあばく。衝撃のミステリーと装丁帯にあった。 ...続きを見る

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2009/02/11 22:51
三浦しをん 『光』 エロスとバイオレンスに新たなメスを入れた実験的小説
三浦しをん 『光』 エロスとバイオレンスに新たなメスを入れた実験的小説 普段、読書とはおよそ縁のないご婦人から 「テレビで三浦しをんが過激な暴力とセックスで長編ミステリーを描いたと紹介されていましたが、読んでみたらいかが」 と無責任な注文を受けた。当人は中学生の異様に色気づいた描写の初めの十数ページが、ひどく現実離れしていて嫌気がさしたそうだ。かつての桐野夏生風、エロスとバイオレンスかな?と興味がひかれた。天災ですべてを失った中学生の信之。共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。二十年後過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・... ...続きを見る

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2009/02/07 09:15
佐々木譲 『警官の紋章』 洞爺湖サミットへのテロ?圧倒される迫真の警察l小説
佐々木譲 『警官の紋章』 洞爺湖サミットへのテロ?圧倒される迫真の警察l小説 「警官の紋章」とは「警察の紋章」ではない。警察権力の象徴とか、あるいは組織の統制と団結力を象徴する代紋をさすのではない。市民生活の安全を守るために正義を貫こうとする警官ひとりひとりの志をさしているのだろう。 警察官僚上層エリートの個人的な醜悪さを描く警察小説はよく見かける。エライ人イコールワルイ人と単純な図式だけにわかりやすく、これを叩きのめすたたき上げの警官の痛快な格闘ぶり、楽しく読める娯楽小説だ。 だが本当の悪はそうではないところに存在するのが現実ではないのだろうか。 警察組織には... ...続きを見る

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2009/02/02 16:42
奥田英朗 『オリンピックの身代金』  昭和39年という時代はそう、こんな時代だったんだと懐かしい
奥田英朗 『オリンピックの身代金』   昭和39年という時代はそう、こんな時代だったんだと懐かしい 奥田英朗はずいぶん前に『最悪』と『邪魔』を読んだきりだった。二作とも日常生活におこるクライムノベルだったが、これはクライムノベルとすればはるかにスケールが大きく、面白さも前作を格段にしのいでいる。昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という(<懐かしいではないか>あの草加次郎を名乗... ...続きを見る

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2009/01/24 18:46
諸田玲子 『美女いくさ』 信長の妹・お市の方の末娘 小督の波乱の生涯
諸田玲子 『美女いくさ』  信長の妹・お市の方の末娘 小督の波乱の生涯 幼くして三度の落城に遭遇し、三度の婚姻を強いられた女性・小督(おごう)。織田信長の妹・お市の方が浅井長政との間になした末娘、小督の生涯をたどっている。同時に信長・秀吉・家康が天下取りのため必要であった政略結婚の系譜を俯瞰している。これほど徹底していたのかと驚くことになったのだが、婚姻とは政略以外のなにものでもないことを痛感させられた。そして手駒にさせられた女たちが、それでも、それぞれに生き抜こうとする。この多彩な人間模様が読者を魅了する、出色の時代小説である。 ...続きを見る

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2009/01/12 01:02
トム・ロブ・スミス 『チャイルド44』 あまりのサディスティックな描写に度肝を抜かれる
トム・ロブ・スミス 『チャイルド44』 あまりのサディスティックな描写に度肝を抜かれる 盗聴盗撮装置を張り巡らし国民の私生活を徹底的に管理する未来社会。首相暗殺の犯人にでっち上げられた若者が警察に追われる。絶体絶命。危機一髪、友人の協力で逃れる。甘美な友情賛歌。伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』は思想などとはおよそ無関係、饒舌の若者たちがドタバタする近未来ファンタジーであり、コミカルな香港製アクション映画のようだった。 ...続きを見る

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2009/01/01 00:21
デニス・ルヘイン 『運命の日・下』 ボストンは火の海と化した。すさまじい迫力の暴動描写
デニス・ルヘイン 『運命の日・下』 ボストンは火の海と化した。すさまじい迫力の暴動描写 警察という暴力機構の暴力がどうにかこうにか市民の安全を維持している。この時代のボストンはそれほどいたるところに暴力が横行する町だったんだ。今のアメリカの話ではないのだろう。 NHKホームドラマ「篤姫」ではないが今年は「家族」をテーマにした作品がことのほか多かったような気がしている。この作品もボストン市警警部、トマス・コグリン一家の結束と崩壊をひとつの軸としている。 トマス・コグリンはこの地区の治安維持に貢献し、実力を認められている警察の幹部なのだ。家には市会議員、政治指導者、検事、市警副... ...続きを見る

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2008/12/30 19:37
デニス・ルヘイン 『運命の日・上』  アメリカの宿命をドラマティックに描いた傑作
デニス・ルヘイン 『運命の日・上』  アメリカの宿命をドラマティックに描いた傑作 たぶん、頭が混乱するものを見るとすぐ答えが欲しくなるからじゃないかな。で、答えが目の前にないと、なんだろうとつかみとってそれを答えにしてしまう それが変わらぬアメリカの素顔だ。 ...続きを見る

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2008/12/29 20:19
ジェフリー・ディーヴァー 『スリーピング・ドール』  あの『ウォッチメイカー』、キャサリン・ダンスが
ジェフリー・ディーヴァー 『スリーピング・ドール』  あの『ウォッチメイカー』、キャサリン・ダンスが ジェフリー・ディーヴァーの作品はどれも追いつ追われつのパターンは似ているのだが、それぞれに独自の趣向を凝らしてついつい手を出してみたくなる魅力がある。この最新作もいつもの疾走感と新たな工夫を楽しもうと読み始めた。カルトを率い、8年前に一家を惨殺したその男が、大胆かつ緻密な計画で脱走したカルトのリーダーとは日本であればすぐにあの麻原某を思い浮かべられるし、マインドコントロ−ルという特異な才能というか雰囲気を身につけていることも周知で、この作品の犯罪者・ダニエル・ベルが他人をコントロールする天才... ...続きを見る

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2008/11/30 11:00
北茨城の秋 (笠間稲荷 西山荘 竜神峡 花貫渓谷)
北茨城の秋 (笠間稲荷 西山荘 竜神峡 花貫渓谷) 江戸崎小学校の同期生と11月15日16日と北茨城の紅葉狩りを楽しみました。笠間稲荷の菊祭り、西山荘、御岩神社、竜神峡、花貫渓谷。時折小雨がぱらついてきましたが、それぞれの風景に深まる秋の情趣を堪能することができました。 ...続きを見る

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2008/11/24 18:00
私の故郷 江戸崎 寺社のある風景 
私の故郷 江戸崎 寺社のある風景  いつになっても故郷の思い出は忘れがたい。あちらこちらに散らばって生活している小学校の同期生も集まれば江戸崎弁丸出しではしゃぎあう。その仲間たちと故郷江戸崎再発見ウォーキングをしてきました。 2008年11月15日 ...続きを見る

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2008/11/24 13:09
雫井脩介 『犯罪小説家』  著者の野心的新ジャンルかと期待できたが………
雫井脩介 『犯罪小説家』  著者の野心的新ジャンルかと期待できたが……… 本を手にするときにたいがいはどこかで得た先入観を持って臨むものだ。その著者の作品を読んだことのある場合はなおさらである。先入観があると作品の本来の価値を誤解しやすい。また、先入観は期待感でもあり、期待はずれという印象を受けることがある。 二、三日前にテレビで映画化された雫井脩介原作の『犯人に告ぐ』を観た。原作はマスメディアの暴力を告発する姿勢がもっと強かったような気がするが、劇場型捜査と銘打って発表されただけのダイナミックな動きと緊迫感の盛り上がりが満喫できる娯楽性の高い第一級のミステリー... ...続きを見る

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2008/11/23 10:52
五十嵐貴久 『誘拐』 あまりのご都合主義にあきれかえる。
五十嵐貴久 『誘拐』 あまりのご都合主義にあきれかえる。 先日テレビで黒澤明の映画『天国と地獄』を観た。1963年の映画館で見た印象は今でも鮮明である。エド・マクベインの『キングの身代金』が原作だといわれるが、新幹線のトイレの窓を使った身代金の受け渡しというアイデアには驚嘆したものだ。スラム街で生きる凶悪のインテリ・山崎努が演じる誘拐犯。スラム街からはるか見上げる高台の豪邸に暮らす製靴会社常務を三船敏郎が演じる。山崎努は三船の息子と誤って彼の運転手の息子を誘拐する。身代金を要求された三船の苦悩するシーンがこの映画をレベルの高い人間ドラマとして完... ...続きを見る

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2008/11/18 23:20
藤沢周平 『密謀』 これはもう一人の直江兼続 『天地人』と読み比べる。
藤沢周平 『密謀』  これはもう一人の直江兼続 『天地人』と読み比べる。 NHKの来年の大河ドラマは直江兼続だが火坂雅志『天地人』と読み比べるのもいいだろう。 謙信以来の精強を誇る東国の雄・上杉で主君景勝を支えるのは、二十代の若さだが知謀の将として聞こえる直江兼続。本書は兼続の慧眼と彼が擁する草(忍びの者)の暗躍を軸に戦国の世の盛衰を活写した興趣尽きない歴史・時代小説である。 来年のNHK大河ドラマの原作になっている火坂雅志 『天地人』を読んだ直後に友人から直江兼続なら藤沢周平も書いていると本著を紹介された。藤沢周平の作品は映画やテレビドラマではよく観ているが... ...続きを見る

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2008/11/11 23:07
葉室麟 『いのちなりけり』 葉隠の恋を描いた大人の純愛時代小説
葉室麟 『いのちなりけり』  葉隠の恋を描いた大人の純愛時代小説 いっとき武士道でもって政治・経営を論ずることがもてはやされた。 全世界の屋台骨が悲鳴を上げているこの事態では、日本的美徳に解決の糸口を求めるような、そんな立論はまったく影も形もなくなった。 この物語は「葉隠」編纂の前史である。 私は「葉隠」については 「武士道とは死ぬことと見つけたり」と 「忍ぶ恋こそ至極の恋」というそれだけしか知らない。 そしてこの異質とも思える二つが見事に融合しているではないか。 「葉隠」でもって現代人にお説教する姿勢などまったくないのがむしろ爽やかであった... ...続きを見る

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2008/11/02 01:29
湊かなえ 『告白』  第一章だけが光る長編ミステリー
湊かなえ 『告白』  第一章だけが光る長編ミステリー 女性教師が担任のクラスの生徒を制裁のために殺しまくるというショッキングなお話はかつて黒武洋『そして粛清の扉を』がありました。そう、あれはハードバイオレンスのキワモノでしたね。これも同質のキワモノですがやり口が気味が悪くなるほど陰湿な復讐譚であります。 ...続きを見る

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2008/10/30 21:55
真藤順丈 『地図男』 ダ・ヴィンチ文学賞大賞っていかがなものか
真藤順丈 『地図男』  ダ・ヴィンチ文学賞大賞っていかがなものか 新刊本を手にするきっかけはいろいろあるものだが、人に薦められて読み始めることもある。 本好きの友人から電話があった。 「真藤順丈という作家知ってる?その人の作品で『地図男』というのがいくつもの賞をとって評判がいいから読んでみたらどうか」 この友人は文庫本主義者であるから、本人は読んでいないのだろう。作者も作品もまったく知らなかった。昔、首藤瓜於の『脳男』というタイトルの作品を読んでがっかりした記憶があるがタイトルからして魅力に欠けているので、わかったわかったといい加減に応えてあった... ...続きを見る

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2008/10/28 23:21
池上永一 『テンペスト』 琉球王朝の大奥、豪華絢爛の女の争い!
池上永一 『テンペスト』 琉球王朝の大奥、豪華絢爛の女の争い! 読む前に、私はこの作品が琉球王朝の末期を舞台にした本格的歴史小説だと思っていました。 琉球の歴史を知らないので百科事典で小当たりしたところ、琉球王朝は1372年から1879年までの約500年間続いた独立国家でした。中国、日本、朝鮮、東南アジアの文化を摂取し、琉球古来の文化に立って創造された独自の性格を持つ文化圏です。王宮首里城のある首里には多くの建造物が建てられ,琉球文化の華を開かせました。王朝の経済的基盤は王の経営する国家貿易です。琉球船は自国産の品物に加えて豊富な中国産品を積み、日... ...続きを見る

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2008/10/16 17:24
帚木蓬生 『インターセックス』 帚木蓬生のヒューマニズム復活
帚木蓬生 『インターセックス』 帚木蓬生のヒューマニズム復活 インターセックス。古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形成や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義にみると100人に一人の出生頻度で出現する。久しぶりに帚木蓬生が医学界の現状に真摯に向き合った好著を手にした。 なにしろ冒頭の医療事故の裁判があまりにも迫真的だった。 これは新聞記事だが、去る8月20日、帝王切開で出産する患者が死亡した福島県立大野病院事件で福島地裁は業務上過失致死罪に問われた医師に無罪を言い渡した。検察側の「癒着胎盤を認識した時点で、胎盤を子宮から... ...続きを見る

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2008/10/07 12:15
桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな?
桐野夏生 『東京島』 極限で露呈する現代人のサバイバル作法とは………と大見得切った作品なのかな? [桐野夏生] ブログ村キーワード ...続きを見る

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2008/09/28 18:40
『のぼうの城』の町 行田市散策
『のぼうの城』の町 行田市散策 和田竜のベストセラー『のぼうの城』を読んだものだから、一度歩いてみたかった。 行田市は「古代ハス」が有名で前に訪ねたことがあったが、忍城というのはまるで知りませんでした。 豊臣秀吉の関東平定に際して石田三成の水攻めに耐えた難攻不落の浮き城。忍藩十万石の城下町として栄えた町です。 それと昭和43年に国宝「金錯銘鉄剣」の出土により、一躍有名になった貴重な古墳群がある歴史の町なのです。 ...続きを見る

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2008/09/28 01:14
飯嶋和一 『出星前夜』  怒涛の迫力で描く島原の乱
飯嶋和一 『出星前夜』  怒涛の迫力で描く島原の乱 歴史小説の新刊をいくつも読んでいるのだが、ここ数年で最も手ごたえを感じることになった作品だ。おそらく後世にまでその名を残す歴史小説の代表作といえるのではないか。 島原の乱といえば天草四郎であり、キリシタン信仰であり、禁教令に反抗した宗教一揆と、その程度の知識でしかなかった。 島原の乱とはなんだったのか? 著者はその根源にさかのぼる。確立の途上にある幕藩体制。その新たな秩序にどうしても耐え切れない地方の生活者。両者の基本的対立の構図が見えてくる。 また蜂起から全滅にいたる攻防の4ヶ... ...続きを見る

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2008/09/25 23:58
火坂雅志 『天地人』 2009年NHK大河ドラマの原作。傑作の歴史小説
火坂雅志 『天地人』 2009年NHK大河ドラマの原作。傑作の歴史小説 輝虎(謙信)公の曰く、天の時、地の利に叶い、人の和ともに整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なおあるべしをも覚えずなるほどこういう為政者は今日まで出現したためしはない。 ...続きを見る

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2008/09/15 16:58
和田竜 『忍びの国』 手抜きの歴史小説
和田竜 『忍びの国』 手抜きの歴史小説  『のぼうの城』が大ブレークし、出版社から第二作を急かれたために、ついつい詰の甘い作品になってしまったというところか。 ...続きを見る

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2008/09/07 23:34
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは?
平野啓一郎 『決壊 下』 現代人の罪と罰、そして贖罪とは? 神の存在しない日本社会を「悪魔」は食い尽くすのだろうか?ドストエフスキー流の融通無碍な視線で現代人の罪と罰と贖罪を見つめた思索のドラマがここにある。 2002年10月、全国で次々と犯行声明つきのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介良介には妻と喘息もちの男の子がいる。故郷には退職後の気鬱にある父とそれとの生活に疲れ気味の母がいるが、この父母も歳相応にはしっくりしないところがあっても普通の家庭だ。良介の兄・崇は良介とは違って子供のときから優等生の誉れ高く、いまではエ... ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 4

2008/09/02 00:17
平野啓一郎 『決壊 上』 超重量級のクライムノベルでもある
平野啓一郎 『決壊 上』 超重量級のクライムノベルでもある 私はこれまでこれほどショッキングな犯罪小説を読んだことがない。なぶり殺しにして死体を切り刻む犯行、あるいは無差別の大量殺戮が生々しく詳細に書かれているからだけではない。その内心が残忍であり、あまりにも醜悪な犯人像は「私たちの世界」からまるで「離脱」している。それを生み出す現代社会。重層的にしつらえたエピソードはすべて悪意が善意を食らい尽くすプロセスであり、どれもが読んでいていたたまれないほどに無惨極まりないのである。ここまで病んでいる。世の中はひどく病んでいる。人ごととは思えないこの事態は身... ...続きを見る

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2008/08/27 23:37
船戸与一 『満州国演義4 炎の回廊』 日本の夏は大陸に残した残酷な爪あとを省みるべき季節である。
船戸与一 『満州国演義4 炎の回廊』 日本の夏は大陸に残した残酷な爪あとを省みるべき季節である。 日本の夏は、愚直に平和を祈念する季節である。その素朴な祈りの心を持って大陸に残した残酷な爪あとを省みるべき季節である。 ...続きを見る

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2008/08/10 19:41
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき
吉田修一 『さよなら渓谷』 この猛暑に汗を流しながら読むべき 今年の夏はことのほか暑い。外に出かける気にはならず、しかし、なんの因果かわが家のクーラーが壊れているものだから、生暖かい扇風機の風にあおられながら、汗が流れるままにゴロゴロと読書をしている。そういう、いたたまれないようなかったるい気分で読むとどこか主人公たちの無為な日常を実感できるようで、この夏つきあうのにふさわしい内容の作品であった。 桂川渓谷と呼ばれる景勝地が近くにあるがその涼風は届かない。町の奥まったところ、老朽化した市営住宅団地がある。真夏の朝、8時、締め切った狭い部屋、クーラ... ...続きを見る

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2008/07/30 13:52
今野敏 『果断 隠蔽捜査2』 まず前作の『隠蔽捜査』を読んでおくべきでしょう。
今野敏 『果断 隠蔽捜査2』 まず前作の『隠蔽捜査』を読んでおくべきでしょう。 型破りの警察小説、『隠蔽捜査』で充分に楽しませてくれた個性、あの竜崎の再登場である。第21回山本周五郎賞と第61回日本推理作家協会賞のW受賞のこの作品は警察組織を痛快に揶揄してのけるところ、前作を上回る面白さがあった。 ...続きを見る

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2008/07/24 17:23
今野敏 『隠蔽捜査』 はみ出しの一匹狼が活躍するハードボイルドかと思っていたが………
今野敏 『隠蔽捜査』  はみ出しの一匹狼が活躍するハードボイルドかと思っていたが……… エライ奴はワルイ奴である。使命感が欠落している薄汚い奴だ。権力欲・金銭欲の権化であり、ありついたポストは絶対に手放さない。そのエライ・ワルイ奴を現場密着型のはみ出し野郎が徹底的に痛めつける。この爽快感がまぁ警察小説のひとつの典型といってよい。 そうしたこれまでの警察小説の殻を破った驚きの作品だった。まったく新しいヒーローの誕生である。警察内部の不祥事をテーマにした警察小説は数多くあり、この作品も同じなのだが、著者の切り口の斬新さには脱帽した。 ...続きを見る

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2008/07/18 14:12
三浦しをん 『まほろ駅前多田便利軒』 著者の父上とおしゃべりして………
三浦しをん 『まほろ駅前多田便利軒』 著者の父上とおしゃべりして……… まほろ市。東京都下南西部にある最大の住宅地、神奈川県と川を隔てて隣接している。いかにもモデルがありそうなのだが………、どこか現実離れをして蜃気楼のようにもやもやと歪んだところのある著者が作り出した空間である。ちょっと町の外に出れば農家があるのだが、市内は歓楽街、電気街、書店街、学生街があってスーパー、デパート、商店街、映画館、そして銭湯までもがそろっている。そんな町が現実にあるかもしれないと思わせながら、夜にはヤンキーがあふれるとなれば私の知っているいくつかのベッドタウンには該当しそうもない... ...続きを見る

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2008/07/09 15:09
和田竜 『のぼうの城』 埼玉県行田市が仕掛けたか?これぞ町おこしの隠し玉
和田竜 『のぼうの城』 埼玉県行田市が仕掛けたか?これぞ町おこしの隠し玉 埼玉県に住んでいながら、この物語の舞台となった忍城(おしじょう)と城主であった成田一族についてはほとんど知らなかった。戦国時代を描いた数々の歴史小説でもこれを取り上げたものはあまりないのかもしれないと興味津々として読み始めた。それにしても「忍城」といい別名「浮き城」といい、城攻めが難しい秘密の仕掛けを用意した忍者屋敷のようで、いかにも冒険とロマンにあふれている。この作品はまさにその雰囲気そのままに波乱万丈であった。 ...続きを見る

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2008/06/25 15:55

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