![]() 野沢尚は脚本家としてヒットメーカーであるがミステリー「破線のマリス」では97年江戸川乱歩賞を獲得し小説家としてもその才能を認められている。 「破線のマリス」もそうであったが、今回の「深紅」もジャーナリスティックな題材を特異な感覚でメスを入れ、ひきつけられるところがある作品であった。 新興の事業に成功しつつあり、一見恵まれた家庭が幼子二人を含む一家惨殺、猟奇的事件に見舞われる。ただ一人、事件をまぬがれた小学生の少女はその時のショックで精神に障害を受ける。死刑を宣告された殺人者の上申書を読んだ彼女は自分の父が詐欺的手段で犯人の家庭を破滅させた事実を知り、またマスコミが死刑囚に同情を寄せるに及びその心の傷はさらに複雑に屈折していく。父の犯した罪障の重みを背負う己の存在と罪のない弟妹までハンマーで殴り殺した殺人者に対する憎悪の交錯。読みどころはこの特殊な状況設定を前提にした若い女性の心理を丹念に分析していくところにある。さらにこの死刑囚が残した同年の娘の生きざまを垣間見ながら彼女のとった行動は………?徹底的な復讐か?人殺しの娘はやはり人殺しなのか? 「親の因果が子に報い………」昔からある定番の因果応報説を思い出してしまいました。日本の代表的怪談はこの手の説諭が正面からとりこまれています。この作者、思いのほか発想が古いのではないかと。 バーチャルリアリティーとしての緊張感はありますが、読み終わってどこか作り物めいて現実感はない小説でしたと気がついた。 同じように一家惨殺事件を扱ったミステリーでも宮部みゆき「理由」の切り口、日本の戦後史をなぞった迫真の生活実感と比較してしまいますね。好みの問題でしょうが、われわれの年代ですと共感できるのは後者の視点になるかな。 オジサンの書評集「よっちゃんの書斎」>「ミステリーの部屋」をごらんください。 |
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野沢尚
Counter: 0, today: 0, yesterday: 0 野沢尚 † 名前:野沢尚(のざわひさし) 【blogmap】 生年月日: 出身地: 受賞歴: 公式サイト: 備考: ↑目次 † 野沢尚 目次 砦なき者 魔笛 反乱のボヤージュ 眠れぬ夜を抱いて 深紅 呼人 ... ...続きを見る |
PukiWiki/TrackBack 0... 2005/02/24 15:27 |
明日より映画化公開 野沢尚『深紅』
2004年に野沢さんが首吊り自殺の報道を知ったときはびっくりしました。その2ヶ月ほど前に氏の最後のTVドラマになった『砦なき者」でそんなシーンがあったことを思い出しました。 ...続きを見る |
日記風雑読書きなぐり 2005/09/16 11:17 |
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コメントありがとうございます。「因果応報」ですか。様々な人の感想はホントに新鮮に受け止めることができます。自己の内面を多様化した意識が無遠慮に侵食していく過程、現代ならではの病変のようにも見受けられました。「理由」も読みました。あちらの方が現実感ありましたね。罪を犯す理由にリアリティがありました。衛星かどこかでドラマ化されましたが、映像化したものは暗すぎるなって感じましたけどご覧になりましたか?映像化は難しかったと思いますけどね(~_~;) |
hatumi 2005/08/05 16:16 |
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