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zoom RSS 03/06/21ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』 リンカーン・ライムシリーズ第4作目の出来映えは?

<<   作成日時 : 2005/04/23 17:41   >>

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第1作は「四股麻痺科学捜査官・ライムとNY市警の女巡査・サックスが明かす異常殺人事件の謎」『ボーン・コレクター』
第2作は「棺おけの前で踊る死神の刺青をした連続殺人鬼を追うライムとサックス」『コフィン・ダンサー』

この二つの作品は都会型の凶悪犯罪でしかも相手は奸智に長けた頭脳犯。この追う者、追われる者の知恵のせめぎあいにクールで、ドライで、直線的な緊張感が全編を貫徹していた。まさにジェットコースター型で理屈ぬきの興奮を味わえる第1級のエンタテイメントであった。

第3作は「証拠はすべて少年の有罪を指している。だが、サックス巡査だけは彼の無実を確信していた。こよなく昆虫を愛する少年が人を殺すはずがない」『エンプティー・チェア』
この作品ではライムとサックスのセックス関係が進展するという余計なおまけがつきで、犯罪が地方共同体型に変化し、どちらかというと頭脳プレイではなく腕力戦と変貌する。「空っぽの椅子に座っているのはだれ?」などと捜査の方法論としてそれまでの一貫した実証主義方法から精神分析的方法論、あるいは女の第六感主義方法論をとりいれるくだりになると緊張感が薄らいでくる。

そして本著は「蛇頭の殺し屋ゴースト、11人殺害容疑で国際指名手配中」すなわち強敵は中国マフィアの殺し屋である。

一般にシリーズ物というのは三作目あたりがその後息長く続くかどうかの正念場である。ライムシリーズは『エンプティー・チェア』で息切れし、この4作目ではそろそろ限界が見えたような気がする。

腐敗と汚職まみれの中国共産党支配下で体制を批判する中国人民には過酷な弾圧が待っている。なけなしの財産をかけて密航を企てるものを待ちける蛇頭の殺し屋・ファック野郎だ。
今回の敵は単なる粗暴なサディストである。
いかにもアジア人らしく頭脳的ではないところがこれまでの作品の犯人像と異なる。
捜査網にかからないのは中国流の信仰に支えられた運の良さである。
映画『ブラックレイン』の松田優作の「凄さ」が感じられないのだ。
中国マフィアのお話なら大沢在昌の迫真性にはかなわない。

自由の国、豊かな国アメリカ、そのアメリカへの憧れで逃れてくるものたちをヒューマニスト・サックスは命をかけて守る!
儒教精神、老荘思想、漢方医学、犯罪捜査も風水占術方法論など迷信とあやしげな思考方法にたいしてもアメリカの英雄ライムは受け入れる懐の深さを持ち合わせています。

よくあることだが、西洋人の分別で東洋を見るあの一段高い場所に立った視線が随所に表れる。
作者が生半可で孔子、老子、荘子の教えを説くものだから、よく理解できない禅問答むしろコンニャク問答を聞かされることになる。
つまり東洋哲学と西洋技術のコンタクトゾーンに関する叙述が長く、しかも私には退屈であったということだ。

それで、これまでの三作にあった驚愕のエンディングは………?

参考
第5作『魔術師』


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リアルタイム 新刊書紹介ジェフリー・ディーヴァー『魔術師(イリュージョニスト)』
お待ちかねニューヨークへの帰還 やはりライムとアメリアの捜査は都市型犯罪がよろしい ...続きを見る
日記風雑読書きなぐり@WebryBlog
2005/05/27 14:20
石の猿/ジェフリー・ディーヴァー
これまた物足りなさを感じるライム・シリーズ第4作。 今回もAmazon書影は文庫上巻を使用しております。 ...続きを見る
黒猫の隠れ処
2008/02/19 11:56

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