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zoom RSS ジェフリー・ディーヴァー 『スリーピング・ドール』  あの『ウォッチメイカー』、キャサリン・ダンスが

<<   作成日時 : 2008/11/30 11:00   >>

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ジェフリー・ディーヴァーの作品はどれも追いつ追われつのパターンは似ているのだが、それぞれに独自の趣向を凝らしてついつい手を出してみたくなる魅力がある。この最新作もいつもの疾走感と新たな工夫を楽しもうと読み始めた。
カルトを率い、8年前に一家を惨殺したその男が、大胆かつ緻密な計画で脱走した
カルトのリーダーとは日本であればすぐにあの麻原某を思い浮かべられるし、マインドコントロ−ルという特異な才能というか雰囲気を身につけていることも周知で、この作品の犯罪者・ダニエル・ベルが他人をコントロールする天才であり、また逆に自分がコントロールされる立場になると耐え難い苦痛を感じる性格の持ち主であることは容易に理解できる。
巧みに警察の裏をかいて逃走を続けるベルを追うのはキャサリン・ダンス。いかなる嘘も見抜く尋問の達人
 『ウォッチメイカー』で活躍した美貌のキネシクストである。キネシクスとは「容疑者や証人のボディランゲージや言葉遣いを観察し、分析する科学」。あえて「科学」と言わずとも古今東西に共通した尋問の基本ツールであろう。
ベルもキャサリンも人間の深層心理にコンタクトする卓越した人間観察眼の持ち主だといえよう。リンカーン・ライムの徹底した物証主義とは異質である。二人の飛びぬけた才能がぶつかり合いながらのディヴァーが得意とするマンハントチェイスストーリーだ。キャサリンが気づいた間一髪で実行にうつされる冒頭、火だるまの脱獄シーンから迫力があった。

これまでのリンカーンライムシリーズとは大きく異なる趣向がある。リンカーンライムシリーズは事件そのものに焦点をあて、一直線に迫るゲーム感覚の乾いた緊張感が読みどころだったのだが、この作品では二人が接触する多くの人々の人間性に焦点があたる。ウェットな人間関係がドラマの中心になっている。主人公であるベルもキャサリンにしろ、ライムシリーズに登場するような超人性は薄らいで弱点を多く持っている人間くさい人格なのだ。ベルの「元ファミリー」であった複数の女たち、あるいは「スリーピング・ドール」と呼ばれる重要証人、捜査陣を構成する捜査官たち、またキャサリンの家族などなど。これら登場人物の生い立ちや個性がキャサリン、ベルの目を通して詳細に語られる。

だからライムシリーズに慣れた私は途中、「えらくまわりくどいな」と感じるところが多かった。ベルも「知能犯」というよりはどこか抜けているし、それに捜査陣がとてもお粗末。だから「たまたま」すんでのところで取り逃がす。これが繰り返されるのにはうんざりするところもあった。ただしさすがディヴァーで、こうした回り道の中にはラストに向けた伏線が仕掛けられているところが多いのだ。

人間ドラマである。夢破れた何人かの男と女の鎮魂のセレナーデと言ったメロドラマの風情が漂ってくる。ラストのどんでん返しもまるで趣が異なっていた。

ただ、正直なところ、この作品の人間ドラマは類型的なそれであって、ライムシリーズのほうがディヴァーらしさでは成功しているような気がする。

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